JP2000188176A - 誘導加熱焼入用コイル及び誘導加熱焼入装置 - Google Patents

誘導加熱焼入用コイル及び誘導加熱焼入装置

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JP2000188176A
JP2000188176A JP10366135A JP36613598A JP2000188176A JP 2000188176 A JP2000188176 A JP 2000188176A JP 10366135 A JP10366135 A JP 10366135A JP 36613598 A JP36613598 A JP 36613598A JP 2000188176 A JP2000188176 A JP 2000188176A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導加熱焼入用コイル及び誘導加熱焼入装置 【解決手段】 中空部11aにコイル冷却液を貫流させ
て自己冷却する中空管から形成された誘導子11の中空
部を貫通して被焼入部に焼入液及び/または雰囲気ガス
を噴射する噴射管12が設けられた誘導加熱コイル10
を備え、該噴射管12に焼入液及び/または雰囲気ガス
を供給する供給箱21と、焼入れ冷却時にワークWの被
焼入面の裏側を冷却する補助冷却手段30とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば内歯車ある
いは外歯車を有するリングギヤなどの歯形の焼入れや、
リング体部材の内周面または外周面を焼入れする誘導加
熱コイルと誘導加熱焼入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば内歯車のリングギヤの歯形
焼入れをする場合に、加熱コイルにより歯形を誘導加熱
した後、被焼入体を移動して加熱面に焼入冷却液を噴射
して冷却する方法が行われた。しかし、この方法では被
焼入体を移動する機構が必要で装置が複雑になり、また
加熱から冷却までの時間がかかって焼入れむらが生じた
りする場合があった。また、被加熱部の加熱中の酸化防
止のために被加熱部に不活性ガスなどを吹き付けるに
は、誘導子と被加熱体の隙間から不活性ガスを噴射する
手段などを別個に設ける必要があった。
【0003】そこで、図5の断面図に示すような中空管
の誘導子11の加熱コイルを使用して被焼入ギヤWの歯
形を誘導加熱後した後、この中空管の中空部から外壁に
設けられた噴出口3を通して焼入冷却液(以下焼入液と
いう)を被焼入歯面に噴射し急冷して焼入れする方法が
採られた。また、この加熱コイルでは、誘導加熱時に中
空部から窒素などの不活性ガスを被焼入歯面に噴射し
て、加熱部に不活性雰囲気を作り酸化スケールの発生を
減少させることが行われる。しかし、このような加熱コ
イルでは誘導子自体の冷却手段が必要であり、例えば図
5に示す内歯車Wを加熱焼入れするコイルでは、図5
(a),(b)に示すように誘導子の両端面、あるいは
内周面に接触させて冷却管4あるいは5を設けることが
行われた。即ち、この冷却管4あるいは5に誘導子冷却
用の冷却液(以下コイル冷却液という)を貫流させて外
部から冷却した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5
(a)にを示すような誘導子2の両端面にコイル冷却管
4を設けたコイルでは、誘導子11と冷却管4を合わせ
たコイル厚さTが被焼入歯形の厚さtより大きくなるた
めに不要の部分まで加熱され加熱パターンが設定し難い
という問題点がある。また、図5(b)のように誘導子
11の内周に冷却管5を設けた場合には、パワー効率が
悪くなるという問題点がある。さらに、上記(a),
(b)いずれの方法においても、冷却の熱伝導を誘導子
11と冷却管4,5の接触面により行うために熱伝導が
悪くなり、誘導子11の被加熱面側とその反対側とに温
度差が生じたり、冷却不足のためにコイルにダメージを
与えるなどの問題点があった。また、被焼入面のみを急
冷して焼入れを行うと焼入面の裏側との冷却速度の差で
焼入れ歪みが生ずる場合があった。
【0005】そこで本発明は、上記問題点を解消し上記
欠陥がない誘導加熱焼入用コイル及び誘導加熱焼入装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の誘導加熱焼入用コイルは、中空部にコイル冷
却液を貫流させて自己冷却する中空管から形成された誘
導子を有する誘導加熱コイルにおいて、被焼入部に焼入
冷却液及び/または雰囲気ガスを噴射する噴射管が前記
誘導子の中空部を貫通して設けられたことを特徴とする
ものである。
【0007】即ち、本発明の誘導加熱焼入用コイルは、
誘導子自体の自己冷却は誘導子の中空部を貫流するコイ
ル冷却液によって行われるので、誘導子の全周が均一か
つ十分に冷却され、冷却不良によりコイルにダメージが
生ずるようなことがない。また、加熱中の被加熱面の酸
化防止のための不活性ガスの噴射や、焼入れ時の焼入液
の噴射は、誘導子の中空部を貫通させて設けられた噴射
管により行われるので加熱面の雰囲気調整が自由にでき
る。これにより、加熱中の被加熱面の酸化防止が十分に
行われる。また、焼入液を被焼入面に自由な角度で噴射
することができるので、焼入れ時の急冷が完全に行われ
均一な焼入れ硬さが得られる。
【0008】また、本発明の誘導加熱焼入装置は、被焼
入リング体の内周面または外周面を焼入れする誘導加熱
焼入装置において、中空部にコイル冷却液を貫流させて
自己冷却する中空管がリング形に成形された誘導子と、
焼入冷却液及び/または雰囲気ガスを被焼入部に噴射す
るように該誘導子の中空部を貫通して該誘導子リングの
放射方向に設けられた噴射管とを備えた誘導加熱焼入用
コイルと、焼入冷却液及び/または雰囲気ガスを前記噴
射管に供給する供給部とが設けられたことを特徴とする
ものである。この供給部は、誘導加熱焼入用コイルに一
体に組み立てて構成されることが簡易な構造で目的を達
成するために望ましい。
【0009】即ち、リング体の内周あるいは外周を焼入
れする場合には、リング形の誘導子に放射方向に貫通し
て噴射管を設けることにより、焼入面に任意の角度・範
囲で雰囲気ガスや焼入液を噴射することができるので、
十分な雰囲気保護と急冷焼入れができて均一な焼入れ硬
さが得られる。また供給部を設けて、この供給部に導入
した焼入冷却液及び/または雰囲気ガスを噴射管に供給
するようにすれば、容易にガスまたは液の供給ができ、
さらにこの供給部を加熱コイルと一体に組み立てること
により配管などを省略し供給路の短縮による圧力低下な
どを防止できる。
【0010】上記本発明の誘導加熱焼入用コイル及び焼
入装置は、リング体の内周または外周の焼入れに適する
のみでなく、直線体の表面を焼入れする場合などにも使
用できる。また、ここで使用する雰囲気ガスは窒素など
の不活性ガスのみでなく、アンモニアガスや炭酸ガスな
どの他のガスも使用できる。
【0011】また、焼入れ急冷時に、被焼入リング体の
内周面焼入れの場合には外周面を、リング体の外周面焼
入れの場合には内周面を噴射冷却する補助冷却手段を設
けることにより、一層歪みの少ない誘導加熱焼入れをす
ることができる。本発明の誘導加熱焼入装置は内歯車ま
たは外歯車のリングギヤの歯形焼入れに適する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の一実施形態
について具体的に説明する。図1は本発明第1実施形態
の誘導加熱焼入用コイル及び誘導加熱焼入装置の構成を
示す断面図、図2はその上面図、図3は主要部分の詳細
拡大図である。
【0013】これらの図おいて、誘導加熱コイル10の
誘導子11は、中空部11aを有する中空平角管が1部
切欠きリング形に成型され、この中空部11aにコイル
冷却液が貫流されて誘導子11を自己冷却する。また、
リング形の切欠部の両端に接続されたリード部13a,
13bを介してターミナル14a,14bが設けられ、
ターミナル14a,14bが図示しない高周波誘導電源
に接続される。誘導子11には、フェライトなどのコ字
型断面の複数のコアブロック15が誘導子11を内周側
から抱くようにして取り付けられている。
【0014】誘導子11の中空部11aを放射方向に貫
通して複数の噴射管12が設けられる。誘導子11の内
周側にコアブロック15を介在させて円筒箱型の供給箱
(供給部)21が挿入される。供給箱21はエポキシ樹
脂などの絶縁体で作られフレーム1に固定される。供給
箱21の外周フランジ21aと底蓋22のフランジによ
りコアブロック15の両端部が挟まれて誘導加熱コイル
10がフレーム1に絶縁されて支持されている。
【0015】供給箱21の上底21bには焼入液供給管
24とガス供給管25が設けられ、図示しない切り換え
手段により切り換えられて、供給箱21の箱内に焼入液
や雰囲気ガスを供給するようになっている。供給箱21
の円筒壁には放射方向に複数の貫通孔21cが設けら
れ、コアブロック15を貫通して設けられた貫通孔15
aと噴射管12の中心孔を貫通して焼入液あるいは雰囲
気ガスを噴射するようになっている。供給箱21の円筒
部外周とコアブロック15の内周面、及びコアブロック
15の外周面と誘導子11の内周との間はエポキシ系接
着剤で気密に接着されて、噴射管12に供給される焼入
液や雰囲気ガスが漏洩しないようになっている。底蓋2
2の箱内側にはガス・液流を整流化するように突起部2
2aが設けられている。
【0016】被焼入体(以下ワークという)Wは内歯車
のリングギアで、内歯車と誘導子の外周との間に所定の
隙間を設けて載置されて加熱焼入れされる。ワークWは
加熱時に回転するようにすることが望ましいが、回転さ
せなくてもよい。
【0017】ワークWの外周を囲んで補助冷却手段30
がボルト33によりフレーム1に懸垂支持されて設けら
れている。補助冷却手段30はリング形の中空管31か
らなり、中空管内周壁に噴射口32が設けられている。
ワークWの内面の焼入れ冷却時に噴射口32から補助冷
却液が噴射されて、その外周側を冷却するようになって
いる。
【0018】上記構成の本発明の焼入装置の動作につい
て説明する。誘導子11の外周側に所定の隙間をおいて
ワークWを置き、誘導子11に通電してワークWの内周
歯形を誘導加熱する。このとき誘導子11は、中空部1
1aに貫流されているコイル冷却液により自己冷却され
るので完全均一な冷却が行われる。誘導加熱中、ガス供
給管25から、例えば低圧に減圧された窒素ガスが供給
箱内に送気され、貫通孔21c,15aを介して複数の
噴射管12から被焼入部に排気され被加熱部を不活性雰
囲気に保持する。これによって加熱中の酸化スケールの
発生を減少できる。本実施形態の誘導加熱焼入用コイル
は、誘導子11をコアブロック15により囲んでいるの
で漏洩磁束が少なく加熱効率がよいが、必ずしもコアブ
ロックを使用するものに限らない。
【0019】ワークWが所定焼入温度に加熱されると、
加熱コイルの電源が遮断され、雰囲気ガス供給管45か
ら供給されていた窒素ガスが停止されて、図示しない切
替えバルブによりガスから焼入液に切り換えられて、焼
入液が焼入液供給管44から供給箱21内に注入され、
貫通孔21c,15aを介して噴射管12からワークW
の内周焼入面に噴射され、被焼入面が急冷されて焼入れ
される。同時に補助冷却手段30の噴射口32から補助
冷却液が噴射されてワークWの外周を冷却する。これに
よりワークWは内外周が均等かつ急速に冷却されるので
冷却歪みの変動が減少し焼き割れが防止される。
【0020】図4は本発明第2実施形態の誘導加熱焼入
装置の構成断面を示す図である。第1実施形態はリング
体の内周を焼入れするものであるが、本第2実施形態は
外歯車リングギア歯形などのリング体の外周を焼入れす
るものである。第2実施形態も主要構成は第1実施形態
と同様であるので、共通部は共通記号を使用する。
【0021】図4において、誘導子11は第1実施形態
と同様に一部切欠リング形の中空部11aを有するの平
角管からなり、中空部11aにコイル冷却液が貫流され
て誘導子11を冷却する。図示を省略するがリード部、
ターミナルが接続されて誘導加熱コイル10が構成され
ることも同様である。コアブロック15は誘導子11の
外側から抱くようにして取り付けられる。
【0022】誘導子11の中空部11aを貫通して放射
状に複数の噴射管12が設けられるが、供給箱(供給
部)21´はコアブロック15を外側から取り巻く中空
リング形の箱からなる。図示しない焼入液供給管とガス
供給管から中空部に焼入液や雰囲気ガスが供給され、供
給箱21´の内周壁に設けられた貫通孔21c´、コア
ブロック15を貫通して設けられた貫通孔15aを通じ
て噴射管12に供給される。
【0023】補助冷却手段30はリング形の中空管31
´からなり、ワークW´の内周側に設けられて、焼入れ
冷却時に噴射口32´から補助冷却液が噴射され、ワー
クWの内周側を冷却するようになっている。
【0024】第2実施形態の焼入装置の動作については
第1実施形態と同様であるので省略する。
【0025】なお、本発明の焼入装置は、前記第1、第
2実施形態に述べたリング体だけでなく直線体、曲面体
の平面などの焼入れにも応用できる。
【0026】以上述べたように、本発明実施形態の誘導
加熱焼入装置は、誘導子が中空管中を貫流するコイル冷
却液により自己冷却されるので、冷却管を誘導子の外側
に接触して設けた従来方法に比し完全に冷却が行われ、
冷却不足によりコイルにダメージを生ずることがない。
一方、加熱中の加熱部の雰囲気制御と、焼入れ時の急冷
は誘導子を貫通して設けられた噴射管により、雰囲気ガ
スの噴射と焼入液の噴射によって行われるので、完全な
雰囲気制御と十分な急冷が行われて均一な焼入れ硬さが
得られる。
【0027】また、補助冷却手段を設け、焼入れ冷却時
に被焼入部材の焼入面の裏側を同時冷却するので、焼入
れ歪みが減少し焼き割れを生ずるようなことがない。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の誘導加熱
焼入装置によれば、誘導子が完全に自己冷却されるので
コイルのダメージがない。また、誘導加熱時に加熱部の
雰囲気制御が容易にできるので、加熱面のスケールの発
生を減少し光輝焼入れができる。また、焼入れ冷却時に
噴射管から焼入液が焼入面に適切かつ均等に噴射される
ので均一に急冷され均一な焼入れ硬さが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態の誘導加熱焼入装置の構成を示
す断面図である。
【図2】本発明実施形態の誘導加熱焼入装置の上面図で
ある。
【図3】本発明実施形態の誘導加熱焼入装置の誘導加熱
コイルの詳細を示す拡大図である。
【図4】本発明第2実施形態の誘導加熱焼入装置の構成
を示す断面図である。
【図5】従来の誘導加熱コイルを説明する断面図であ
る。
【符号の説明】
W,W´ 被焼入部材(ワーク) 1 フレーム 2 誘導子 3 噴射口 4,5 冷却管 10 誘導加熱コイル 11 誘導子 12 噴射管 13a,b リード部 14a,b ターミナル 15 コアーブロック 15a 貫通孔 21,21´ 供給箱(供給部) 21a フランジ 21b 上底 21c,21c´ 貫通孔 22 上底 23 下底 24 焼入液供給管 25 ガス供給管 30 補助冷却手段 31,31´ 中空管 32,32´ 噴射口 33 ボルト

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部にコイル冷却液を貫流させて自己
    冷却する中空管から形成された誘導子を有する誘導加熱
    コイルにおいて、被焼入部に焼入冷却液及び/または雰
    囲気ガスを噴射する噴射管が前記誘導子の中空部を貫通
    して設けられたことを特徴とする誘導加熱焼入用コイ
    ル。
  2. 【請求項2】 被焼入リング体の内周面または外周面を
    焼入れする誘導加熱焼入装置において、中空部にコイル
    冷却液を貫流させて自己冷却する中空管がリング形に成
    形された誘導子と、焼入冷却液及び/または雰囲気ガス
    を被焼入部に噴射するように該誘導子の中空部を貫通し
    て該誘導子リングの放射方向に設けられた噴射管とを備
    えた誘導加熱焼入用コイルと、焼入冷却液及び/または
    雰囲気ガスを前記噴射管に供給する供給部とが設けられ
    たことを特徴とする誘導加熱焼入装置。
  3. 【請求項3】 前記供給部が前記誘導加熱焼入用コイル
    に一体に組み立てられて構成されることを特徴とする請
    求項2に記載の誘導加熱焼入装置。
  4. 【請求項4】 焼入れ急冷時に、被焼入リング体の内周
    面焼入れの場合には外周面を、外周面焼入れの場合には
    内周面を噴射冷却する補助冷却手段を設けたことを特徴
    とする請求項2または3に記載の誘導加熱焼入装置。
  5. 【請求項5】 前記被焼入リング体は内歯車または外歯
    車のリングギヤであることを特徴とする請求項2から4
    のいずれかに記載の誘導加熱焼入装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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RU2529322C2 (ru) * 2009-02-11 2014-09-27 Дзе Боинг Компани Упрочненная структура титанового сплава для применения в зубчатых колесах трансмиссий
JP2020129443A (ja) * 2019-02-07 2020-08-27 日本電子工業株式会社 誘導加熱コイルとその製造方法
CN111876567A (zh) * 2020-06-29 2020-11-03 上海中国弹簧制造有限公司 基于双机器人协同工作的稳定杆感应淬火系统及淬火方法

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