JP2000186227A - 高分子アゾ系染料及びその用途 - Google Patents

高分子アゾ系染料及びその用途

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JP2000186227A
JP2000186227A JP22183498A JP22183498A JP2000186227A JP 2000186227 A JP2000186227 A JP 2000186227A JP 22183498 A JP22183498 A JP 22183498A JP 22183498 A JP22183498 A JP 22183498A JP 2000186227 A JP2000186227 A JP 2000186227A
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azo
acid
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ink
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JP22183498A
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English (en)
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Yoriaki Matsuzaki
▲頼▼明 松▲崎▼
Tatsu Oi
龍 大井
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 一般式1の高分子アゾ系染料及びその用
途。 (Rは水素、ハロゲン、水酸基、アミノ基、カルボン酸
基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、
アルキル基、ハロゲノアルキル基またはアルコキシ基を
示し、互いに同一でも異なってもよく、xは0〜3の整
数を示し、同一でも異なってもよく、Aはいずれも置換
されてもよいフェニレン、ジフェニレン、ジフェニルエ
ーテルまたはナフチレン基を示し、Dはモノアゾ、ジス
アゾ、トリスアゾまたはテトラキスアゾ基あるいはアミ
ノ基を示し、互いに同一でも異なってもよく1つ以上は
アゾ基であり、zは0〜300の整数、yはz+2であ
る。) 【効果】 本高分子アゾ系染料は水溶性が高く、耐光性
に優れ、該高分子アゾ系染料を用いて調製した記録液も
耐光性、保存安定性に優れ、該記録液を用いることで高
品位で滲みのない画像形成、耐水性に優れた記録液を提
供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な高分子アゾ
系染料に関し、繊維染色用、各種インク、特にインクジ
ェット記録方式及びその記録液に好適な高分子アゾ系染
料及びそれを用いた水溶性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】筆記用具あるいはインクジェット記録方
式の記録用に用いられている水溶性インクは、基本的に
染料、水及び有機溶剤から構成されるが、臭気、人体及
び周辺環境への安全性の配慮から、水を主溶媒とする水
性インクが主流となっている。また、染料としては、一
般的に、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、及び直接
性染料等の水溶性染料が使用される。
【0003】これらの染料及び水溶性インクには様々な
特性が要求されている。特に、インクジェット記録方式
の記録液に用いられる水溶性インクには、以下に示され
る様々な要求特性が挙げられる。すなわち、 (1)インクの粘度、表面張力、比電導度、密度、pH
等の物性値が適当であること (2)インクの長期保存安定性が良好であること (3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノズルを目詰まり
させないこと (4)被記録材での速乾性が良好であること (5)記録画像が鮮明性であり、耐光性、耐水性が良好
であること 等である。しかし、これらの要求特性の全てを満足でき
るまでには至っていないのが現状である。また、上記の
他に、マーカーペンに対する耐性等の印字性能も要求さ
れる。
【0004】これらの要求特性の中で、速乾性の向上を
図ると記録画像に滲みが生じ鮮明性に欠け、画像品位の
向上を図ると速乾性が劣るという問題がある。また、水
溶性インクの場合、水溶性染料を使用しているため、記
録画像に水が掛かった場合、染料が溶出し、記録画像が
滲んだり、消失してしまうなど耐水性にも問題があり、
様々な検討がなされている。例えば、インクの速乾性向
上では、特開昭63−139964号公報等に界面活性
剤の添加が記載されているが、高画像品位までには到っ
ていない。また、その他、インクの耐水性向上では、顔
料を色素として用いるインク、水溶性染料に加えて、さ
らに油溶性染料を色素として用いるインク、水溶性染料
を用いた水性インクに有機溶剤や樹脂等を添加する方法
等、多くの検討が行われている。
【0005】しかし、顔料を用いた場合には分散安定性
が悪く保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰まり
を引き起こす等の問題があった。油溶性染料を用いた場
合には有機溶剤を用いているため、臭気等の環境衛生等
に問題があったり、インクの滲みが大きく画像品位の低
下を招くなどの問題もあった。添加剤を加えたインクの
場合でも、保存安定性が不良であったり、ノズルの目詰
まり、あるいはインクが高粘度化しインクの飛翔が悪い
等の問題点があった。特にインクジェット記録方式に用
いられるインクの諸特性においては、染料固有の特性に
影響されるところが大きく、これら諸条件を満たす染料
の創出が極めて重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐光
性、水溶性に優れた高分子アゾ系染料、及び該染料を用
いることで高画像品位で速乾性に優れ、かつ保存安定
性、耐水性に優れたインクジェット記録方式の記録液と
して有用な水溶性インクを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に到った。すなわち、本発明は、芳香族アミン樹脂の
構造単位中にアゾ結合を有していることを特徴とする下
記一般式(1)(化3)で表される高分子アゾ系染料に
関するものである。
【0008】
【化3】 (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ
基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、ス
ルホン酸塩基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、また
はアルコキシ基を示し、互いに同一でも、異なっていて
もよく、xは0〜3の整数を示し、同一でも異なってい
てもよく、Aは置換されていてもよいフェニレン基、置
換されていてもよいジフェニレン基、置換されていても
よいジフェニルエーテル基、または置換されていてもよ
いナフチレン基を示し、Dはモノアゾ、ジスアゾ、トリ
スアゾまたはテトラキスアゾのアゾ基、あるいはアミノ
基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、少なく
とも1つはアゾ基であり、zは0〜300の整数、yは
z+2である。) また、本発明は、アゾ基が下記一般式(2)(化4)
で表される前記の高分子アゾ系染料に関するものであ
る。
【0009】
【化4】 (式中、K1 及びK2 はカップラー残基であり、K1
置換されていてもよいフェニレン基、置換されていても
よいナフチレン基を示し、K2 は置換されていてもよい
フェニル基、置換されていてもよいナフチル基を示し、
nは0〜3の整数であり、n≧2の時、K1 は互いに同
一でも、異なっていてもよい。)
【0010】さらに、本発明は、カップラーがベンゼ
ンスルホン酸誘導体、安息香酸誘導体、フェノール誘導
体、アニリン誘導体、ナフタレンスルホン酸誘導体、ナ
フタレンカルボン酸誘導体、ナフトール誘導体、ナフチ
ルアミン誘導体、ピラゾロン誘導体、または、ピリドン
誘導体であることを特徴とする前記の高分子アゾ系染
料、 前記〜のいずれかの高分子アゾ系染料を含有する
ことを特徴とする水溶性インク、 インクジェット記録方式の記録液に用いられる前記
〜のいずれかの高分子アゾ系染料、 インクジェット記録方式の記録液に用いられる前記
の水性インクに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高分子アゾ系染料は、芳
香族アミン樹脂の構造単位中にアゾ結合を有することを
特徴とする前記一般式(1)で表される高分子アゾ系染
料である。一般式(1)において、Rは水素原子、ハロ
ゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、カルボン
酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アルキル基、
ハロゲノアルキル基、またはアルコキシ基である。ハロ
ゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子等が挙げられ、カルボン酸塩基、スルホン酸塩
基の塩としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリ
ウム原子等のアルカリ金属、アンモニウム塩、第一アミ
ン、第二アミン、第三アミン等の有機アミン塩が挙げら
れる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso −プロピル基、n−ブチル基、iso −ブ
チル基、tert−ブチル基等が挙げられ、ハロゲノアルキ
ル基としてはトリフルオロメチル基等が挙げられ、アル
コキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポ
キシ基、iso −プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso −
ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
【0012】一般式(1)において、Aは置換されてい
てもよいフェニレン基、置換されていてもよいジフェニ
レン基、置換されていてもよいジフェニルエーテル基、
または置換されていてもよいナフチレン基を表す。置換
されていてもよいフェニレン基としては無置換のフェニ
レン基、あるいはメチル基、エチル基、メトキシ基、エ
トキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等で置換された
フェニレン基等が挙げられ、置換されていてもよいジフ
ェニレン基としては無置換のジフェニレン基、あるいは
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等で置換されたジフェニレン基
等が挙げられ、置換されていてもよいジフェニルエーテ
ル基としては無置換のジフェニルエーテル基、あるいは
メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素等で置換されたジフェニルエー
テル基等が挙げられ、または置換されていてもよいナフ
チレン基としては無置換のナフチレン基、あるいはメチ
ル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等で置換されたナフチレン基等が挙げ
られる。
【0013】一般式(1)において、Dはモノアゾ、ジ
スアゾ、トリスアゾまたはテトラキスアゾのアゾ基、あ
るいはアミノ基を表し、互いに同一でも異なっていても
よく、少なくとも1つはアゾ基である。また、一般式
(1)において、zは0〜300の整数、yはz+2で
ある。アゾ基としては、前記一般式(2)で表されるア
ゾ基が好ましい。一般式(2)において、K1 及びK2
はカップラーからの残基であり、K1 は置換されていて
もよいフェニレン基、置換されていてもよいナフチレン
基を示し、K2 は置換されていてもよいフェニル基、ま
たは置換されていてもよいナフチル基を示し、nは0〜
3の整数である。ただし、n≧2の時、K1 は互いに同
一でも、異なっていてもよい。
【0014】カップラーとしては、アゾカップリング反
応によりアゾ基を介して結合する化合物の全てが挙げら
れる。例えば、細田豊著「理論製造染料化学」昭和43
年7月15日5版発行、(株)技報堂発行に記載の化合
物、ピラゾロン誘導体、ピリドン誘導体、アニリン誘導
体、安息香酸誘導体、フェノール誘導体、ナフタレン誘
導体等が挙げられる。例えば、以下のものが例示される
が、これらに限定されるものではない。ピラゾロン誘導
体としては、下記一般式(化5)で表される化合物であ
る。
【0015】
【化5】 (式中、R1 はアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸
エステル基を表し、R2、R3 はアルキル基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子を表し、pは0、1または2を表
す。) アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等
が挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、カルボ
ン酸エステル基としてはカルボキシメチル基、カルボキ
シエチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素
原子、塩素原子、臭素原子、要素原子等が挙げられる。
【0016】好適な化合物としては、1−フェニル−3
−メチル−5−ピラゾロン、1−(4’−アミノフェニ
ル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(4’−スル
ホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−
(3’−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロ
ン、1−フェニル−3−カルボキシ−5−ピラゾロン、
1−フェニル−3−カルボキシエチル−5−ピラゾロ
ン、1−(4’−スルホフェニル)−3−カルボキシエ
チル−5−ピラゾロン、1−(4’−スルホフェニル)
−3−カルボキシエチル−5−ピラゾロン、1−フェニ
ル−3−メチル−5−イミノピラゾロン等のピラゾロン
誘導体である。ピリドン誘導体としては、下記一般式
(化6)で表される化合物である。
【0017】
【化6】 (式中、R4 はアルキル基、ハロゲノアルキル基を表
し、R5 はアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキ
シアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリ
ールオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラル
キル基を表す。)
【0018】アルキル基としてはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙
げられ、ハロゲノアルキル基としてはトリフルオロメチ
ル基、クロロエチル基等が挙げられ、アルコキシアルキ
ル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、
メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチ
ル基、ブトキシエチル基等が挙げられ、アルコキシカル
ボニルアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル
基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニ
ルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、ペンチルオ
キシカルボニルメチル基、ヘキシルオキシカルボニルメ
チル基等が挙げられ、アリールオキシカルボニルアルキ
ル基としてはフェノキシカルボニルメチル基等が挙げら
れ、アリール基としてはフェニル基、トルイル基、キシ
リジル基、ナフチル基、クロロフェニル基、ブロモフェ
ニル基、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェ
ニル基等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル
基、フェネチル基等が挙げられる。アニリン誘導体、安
息香酸誘導体、フェノール誘導体としては、下記一般式
(化7)で表される化合物である。
【0019】
【化7】 (式中、R6 、R7 は水素原子、アルキル基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルカルボニルア
ミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホ
ニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、水酸基、
カルボン酸基を表し、R6 、R7 のうち、少なくとも1
つはアミノ基、カルボン酸基、またはヒドロキシ基であ
り、qは0、1または2を表す。)
【0020】アルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等
が挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、ハロゲ
ン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子等が挙げられ、アルキルカルボニルアミノ基とし
てはメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミ
ノ基、プロピルアルボニルアミノ基等が挙げられ、アリ
ールカルボニルアミノ基としてはフェニルカルボニルア
ミノ基、トリルカルボニルアミノ基等が挙げられ、アル
キルスルホニルアミノ基としてはメチルスルホニルアミ
ノ基、エチルスルホニルアミノ基、プロピルスルホニル
アミノ基等が挙げられ、アリールスルホニルアミノ基と
してはフェニルスルホニルアミノ基、トリルスルホニル
アミノ基等が挙げられる。ナフタレン誘導体としては、
下記一般式(化8)で表される化合物である。
【0021】
【化8】 (式中、R8 、R10は水素原子、アルキル基、アルコキ
シ基、ハロゲン原子、アミノ基、水酸基、カルボン酸基
を表し、R9 は水素原子、アルキル基、アリール基、ア
ルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基を表し、r、sは
0,1または2を表す。)
【0022】アルキル基としてはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基が挙げられ、アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基
等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、アリール基
としてはフェニル基、トリル基等が挙げられ、アルキル
カルボニル基としてはメチルカルボニル基、エチルカル
ボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基
等が挙げられ、アリールカルボニル基としてはフェニル
カルボニル基、トリルカルボニル基等が挙げられ、アル
キルスルホニル基としてはメチルスルホニル基、エチル
スルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニ
ル基等が挙げられ、アリールスルホニル基としてはフェ
ニルスルホニル基、トリルスルホニル基等が挙げられ
る。
【0023】ナフタレン誘導体としては、例えば、1−
ヒドロキシ−6−アミノナフタレン−3−スルホン酸
(以下J酸と略す)、N−フェニルJ酸、N−(p−メ
チルフェニル)J酸、N−メチルJ酸、N−アセチルJ
酸、N−メチル−N−アセチルJ酸、N−ベンゾイルJ
酸、N−(3−または4−カルボキシフェニル)J酸、
N−(3−または4−スルホフェニル)J酸、N−(4
−アミノ−3−スルホフェニル)J酸、N−(4−ヒド
ロキシ−3−カルボキシフェニル)J酸、N−(4−ア
ミノベンゾイル)J酸、N−(4−アミノ−3−スルホ
ベンゾイル)J酸、N−(4−ヒドロキシ−3−カルボ
キシベンゾイル)J酸、N−(4−ニトロフェニル)J
酸、N−(4−ニトロベンゾイル)J酸、N−(4−ア
ミノ−3−メチルベンゾイル)J酸、N−(3または4
−カルボキシベンゾイル)J酸、N−(3または4−ス
ルホベンゾイル)J酸、N−(β−ヒドロキシエチル)
J酸、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン−3−ス
ルホン酸(以下γ酸と略す)、N−フェニルγ酸、N−
メチルγ酸、N−アセチルγ酸、N−メチル−N−アセ
チルγ酸、N−ベンゾイルγ酸、N−(3または4−カ
ルボキシフェニル)γ酸、N−(3または4−スルホフ
ェニル)γ酸、N−(4−アミノ−3−スルホフェニ
ル)γ酸、N−(4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェ
ニル)γ酸、N−(4−アミノベンゾイル)γ酸、N−
(4−アミノ−3−スルホベンゾイル)γ酸、N−(4
−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾイル)γ酸、N−
(4−ニトロフェニル)γ酸、N−(4−ニトロベンゾ
イル)γ酸、N−(4−アミノ−3−メチルベンゾイ
ル)γ酸、N−(3または4−カルボキシベンゾイル)
γ酸、N−(3または4−スルホベンゾイル)γ酸、N
−(β−ヒドロキシエチル)γ酸、1−ヒドロキシ−8
−アミノナフタレン−3,6−ジスルホン酸(以下H酸
と略す)、N−アセチルH酸、N−ベンゾイルH酸、N
−(p−トルエンスルホニル)H酸、N−(ベンゼンス
ルホニル)H酸、N−(p−クロルベンゾイル)H酸、
1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−3,5−ジス
ルホン酸(以下K酸と略す)、N−アセチルK酸、1−
ヒドロキシ−8−アミノナフタレン−5,7−ジスルホ
ン酸、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン−3,6
−ジスルホン酸、1−ナフトール−3,6−ジスルホン
酸、1−ナフトール、2−ナフトール、NW酸、L酸、
GR酸、シェファー酸、G酸、R酸、S酸、SS酸等が
挙げられる。
【0024】また、反応染料のごとく前記活性水素を有
するカップラーにシアヌール酸を結合させて高分子アゾ
系染料としてもよい。本発明の高分子アゾ系染料を製造
するに際して、アゾカップリング反応で用いる芳香族ア
ミン樹脂は、下記一般式(3)(化9)で表される。
【0025】
【化9】 〔式中、R、A、xおよびzは一般式(1)の場合と同
じ意味を表す。〕 好ましい芳香族アミン樹脂としては、例えば、一般式
(3)においてRが水素原子、スルホン酸基またはスル
ホン酸塩基で、Aがフェニレン基、ビフェニレン基、ジ
フェニルエーテル基またはナフチレン基である。また、
zは0〜300で、好ましくは1〜300である。
【0026】本発明で使用する芳香族アミン樹脂(3)
は、例えば、特開平1-123828号公報に記載の方法により
製造できる。すなわち、第一段階として、一般式(4)
(化10)で表される芳香族アミン化合物と、一般式
(5)(化10)で表されるビスハロゲノメチル誘導体
とを、0〜130℃で1〜10時間反応させ、第二段階
として130〜240℃で5〜40時間転位反応させる
ことで製造される。更に、例えば、スルホン酸基あるい
はスルホン酸塩基等が結合した芳香族アミン樹脂につい
ては、上記一般式(4)あるいは一般式(5)にスルホ
ン酸基あるいはスルホン酸塩基等が結合した化合物を用
いて製造するか、あるいは、芳香族アミン樹脂を製造し
た後、スルホン化等を行い製造する。
【0027】
【化10】 〔上式中、x、R及びAは一般式(1)の場合と同じで
あり、Xはハロゲン原子を示す。〕
【0028】一般式(4)で表される芳香族アミン化合
物としては、ハロゲン原子、アミノ基、水酸基、カルボ
ン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩
基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、またはアルコキ
シ基等で置換されていてもよいアニリン誘導体が挙げら
れる。例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイ
ジン、p−トルイジン、o−エチルアニリン、m−エチ
ルアニリン、p−エチルアニリン、o−イソプロピルア
ニリン、m−イソプロピルアニリン、p−イソプロピル
アニリン、o−n−プロピルアニリン、o−tert−
ブチルアニリン、p−tert−ブチルアニリン、o−
n−ブチルアニリン、p−sec−ブチルアニリン、
2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,6−キ
シリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、
2−メチル−3−エチルアニリン、2−メチル−4−イ
ソプロピルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2−
エチル−5−tert−ブチルアニリン、2,4−ジイ
ソプロピルアニリン、o−トリフルオロメチルアニリ
ン、m−トリフルオロメチルアニリン、p−トリフルオ
ロメチルアニリン、4−クロロアニリン、4−ブロモア
ニリン、4−フルオロアニリン、3−クロロアニリン、
3−ブロモアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3−
クロロ−o−トルイジン、3−クロロ−p−トルイジ
ン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p
−アミノフェノール、2−アミノ−4−クレゾール、4
−アミノ−2−tert−ブチルフェノール、2−アミ
ノ1,3−レゾルシン、4−アミノ−1,3−レゾルシ
ン、2−アミノハイドロキノン、2−メトキシアニリ
ン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、2
−イソプロポキシアニリン、2,4−ジメトキシアニリ
ン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノエチル
ベンゼン、2,6−ジアミノエチルベンゼン、2,4−
ジアミノイソプロピルベンゼン、2,4−ジアミノ−t
ert−ブチルベンゼン、2,6−ジアミノ−tert
−ブチルベンゼン等を挙げることができる。なお、好適
な化合物はアニリン、トルイジン類、トリフルオロメチ
ルアニリン類である。
【0029】一般式(5)で表されるビスハロゲノメチ
ル誘導体としては、例えば、α,α’−ジクロロ−o−
キシレン、α,α’−ジクロロ−m−キシレン、α,
α’−ジクロロ−p−キシレン、α,α’−ジブロモ−
o−キシレン、α,α’−ジブロモ−m−キシレン、
α,α’−ジブロモ−p−キシレン、α,α’−ジフル
オロ−o−キシレン、α,α’−ジフルオロ−m−キシ
レン、α,α’−ジフルオロ−p−キシレン、α,α’
−ジヨード−o−キシレン、α,α’−ジヨード−m−
キシレン、α,α’−ジヨード−p−キシレン、4,
4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルエーテル、4,
4’−ビス(クロロメチル)ジフェニル、2,6−ビス
(クロロメチル)ナフタレン、4,4’−ビス(ブロモ
メチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ブロモ
メチル)ジフェニル、2,6−ビス(ブロモメチル)ナ
フタレン、4,4’−ビス(フルオロメチル)ジフェニ
ルエーテル、4,4’−ビス(フルオロメチル)ジフェ
ニル、4,4’−ビス(ヨードメチル)ジフェニルエー
テル、4,4’−ビス(ヨードメチル)ジフェニル、
α,α’−ジクロロ−2−メチル−p−キシレン、α,
α’−ジクロロ−3−メチル−m−キシレン、α,α’
−ジクロロ−2,5−ジメチル−p−キシレン、α,
α’−ジブロモ−2,5−メチル−p−キシレン、α,
α’−ジクロロ−2,4−ジメチル−1,3−キシレ
ン、α,α’−ジクロロ−2,4−ジメチル−1,5−
キシレン、等を挙げることができる。なお、これらの中
で好適な化合物は、α,α’−ジクロロ−p−キシレン
である。
【0030】本発明で使用する芳香族アミン樹脂は、芳
香族アミン化合物とビスハロゲノメチル誘導体のモル比
を変えることで、一般式(3)におけるzが0のものを
主成分とする低分子量樹脂から、zが300程度までの
高分子量樹脂まで任意に合成することができる。
【0031】本発明の高分子アゾ系染料は、常法に従
い、例えば、(細田豊著「理論製造染料化学」、135
〜234頁、579〜672頁、昭和43年7月15日
5版発行、(株)技報堂発行に記載の方法に準じて、通
常のジアゾ化、カップリング反応の繰り返しにより製造
することができる。その際、芳香族アミン樹脂は、アゾ
カップリング反応において、アミン成分あるいはカップ
ラー成分のいずれかに用いて本発明の高分子アゾ系染料
を製造することができる。
【0032】アゾカップリング反応のアミン成分として
用いる場合、一般式(3)で表される化合物をジアゾ化
し、カップラーと反応させる。一方、アゾカップリング
反応のカップラー成分として用いる場合、前記の芳香族
アミン化合物をジアゾ化し、一般式(3)で表される化
合物と反応させる。さらに、ジスアゾ、トリスアゾ、テ
トラキスアゾ等のアゾ系染料は、前記のアゾカップリン
グ反応を繰り返すことで製造される。例えば、一般式
(2)においてn=0の場合、一般式(3)で表される
化合物を、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリウムを用い
てジアゾ化し、残基K2 のカップラーと温度0〜30
℃、用いるカップラーに応じpH3〜5あるいはpH5
〜10の範囲でカップリングして、モノアゾ基が下記一
般式(6)で表される化合物を製造することができる。
勿論、これ以外の製造方法によっても、本発明の化合物
は製造することができる。
【0033】−N=N−K2 (6) また、一般式(2)においてn=1の場合、まず、一般
式(3)で表される化合物を、鉱酸中0〜30℃で亜硝
酸ナトリウムを用いてジアゾ化し、残基K1 のカップラ
ーと温度0〜30℃、カップラーに応じpH3〜5ある
いはpH5〜10の範囲でカップリングし、モノアゾ基
が下記一般式(7)で表される化合物を製造する。 −N=N−K1 (7) ついで、モノアゾ基が一般式(7)で表される化合物を
公知の方法、例えば、鉱酸中0〜30℃で亜硝酸ナトリ
ウムを用いてジアゾ化し、残基K2 のカップラーと温度
0〜30℃、カップラーに応じpH3〜5あるいはpH
5〜10の範囲でカップリングして、ジスアゾ基が下記
一般式(8)で表される化合物を製造することができ
る。 −N=N−K1 −N=N−K2 (8) 更に、n=2であるトリスアゾ化合物、n=3であるテ
トラキスアゾ化合物は、前記ジスアゾ化合物の製造方法
と同様にアゾカップリングを繰り返すことで製造するこ
とができる。勿論、これ以外の製造方法によっても、本
発明の化合物を製造することができる。
【0034】また、本発明で使用する芳香族アミン樹脂
は、構造単位中に複数のアミノ基を有しているため、こ
れに応じて複数のアゾ残基を導入することができる。そ
の際、芳香族アミン樹脂の構造単位中に複数のアゾ残基
を導入する方法は、芳香族アミン樹脂のアミン当量(過
塩素酸−氷酢酸法で測定した値)に合わせて、導入数に
応じた必要量のジアゾ化試薬によりジアゾ化し、用いた
ジアゾ化試薬の当量以上のカップラーと反応させること
で製造することができる。
【0035】本発明の高分子アゾ系染料は、遊離酸の状
態でも、また、塩の形態でもよく、使用に際してはいず
れの形態で使用されてもよい。塩としては、ナトリウ
ム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アルキル
アンモニウムまたはヒドロキシアルキルアンモニウムの
塩、アンモニア、アルキルアミンまたはヒドロキシアル
キルアミン、カルボキシ置換アミン等の有機アミンの塩
等が例示される。これらは単一の塩として用いられても
よく、複数の塩の混合物として用いられてもよく、また
一部は遊離酸の形態のままであってもよい。また、必要
に応じて、適宜、塩交換を行っても差し支えない。
【0036】上記の製造方法で得られる高分子アゾ系染
料は、一般式(1)で表されるものであり、zが0〜3
00の混合物として得られる。また、混合物をカラムク
ロマトグラフィー等によって精製し、単一化合物として
単離することもできる。本発明の用途においては、本発
明の高分子アゾ系染料は、混合物の状態でも、また、単
一化合物の状態でも使用可能である。
【0037】本発明の高分子アゾ系染料は、高い水溶性
と定着性を有しているため、各種繊維、紙、皮革、絹、
樹脂等の染色または捺染に用いることができる。本発明
の高分子アゾ系染料は、各種インク、特にインクジェッ
ト記録方式の記録液用の色素として有用である。本発明
の高分子アゾ系染料はそのままでも使用可能であるが、
特にインクジェット記録方式の記録液として用いる場
合、染料中に含まれる無機塩等による記録装置の吐出ノ
ズルの目詰まりを防止するために、例えば、イオン交換
樹脂や限外濾過による脱塩処理や、その他の脱塩処理方
法等による精製を行った後に用いることもできる。
【0038】本発明の水溶性インクは、本発明の高分子
アゾ系染料を含有するもので、高分子アゾ系染料、水、
及び、必要に応じて、有機溶剤を含有するものである。
一般式(1)で表される高分子アゾ系染料は、単独で用
いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。そ
の使用量は、用途、目的、染料の種類、インク組成、イ
ンクの印字濃度、目詰まり性によって異なる。水溶性イ
ンクとしては、高分子アゾ系染料は0.5〜20%、水
は0.1〜99.5%、有機溶剤は0〜80%が好まし
い範囲である。また、インクの色調を調製するために、
その他の水溶性染料や、インク特性を損なわない程度
に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状
態に処理したものを添加しても差し支えない。
【0039】本発明の水溶性インクでは、溶媒成分は、
主として水である。また、インクの乾燥防止、染料の溶
解性を向上させる等の目的で、水に有機溶媒を混合して
使用することもできる。有機溶剤としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール
類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチ
ル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化
合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のア
ルコール類等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独
で、または2種類以上を混合して用いてもよく、その使
用量は、全溶媒の5〜50重量%の範囲が好ましい。
【0040】本発明の水溶性インクでは、インクの耐水
性を向上させるため、インクのpHは8以上が好まし
い。また、耐水性を更に向上させるために、アンモニア
等のアミン類とトリエタノールアミン等のヒドロキシア
ミン類を併用することが好ましい。その使用量は、イン
クに対して0.001〜10重量%程度が好ましい。こ
れらのアミン類は、本発明の高分子アゾ系染料と対イオ
ンを形成させて用いてもよい。また、本発明の高分子ア
ゾ系染料を含有するインクでは、尿素、チオ尿素及びこ
れら誘導体を併用してもよい。使用量はインクに対して
0.1〜15重量%程度が好ましい。
【0041】また、本発明の水溶性インクには、必要に
応じて、従来使用されている種々の添加剤、例えば、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、キレート化剤、水溶性ポリマ
ー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界
面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整
剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等を添加することができ
る。前記の組成で構成される本発明の水溶性インクは、
筆記用具等のインクあるいはインクジェット記録方式の
インクとして、記録特性、保存安定性、被記録材への定
着性、記録画像の鮮明性、耐光性、耐水性等に優れたも
のである。
【0042】本発明の水溶性インクは、本発明の高分子
アゾ系染料を、水、有機溶剤、必要に応じて、前記で挙
げた添加物等とともに溶解させ、不溶物を除去するため
メンブランフィルター等の微小孔径のフィルターで濾過
することで製造される。このように製造された水溶性イ
ンクは、特にインクジェット記録方式の記録液として有
用であるが、その他、ボールペン、フェルトペン、万年
筆等の筆記用具のインクとしても使用される。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、「化合物( )を主成分とする高分子アゾ系
染料」とは、構造式( )で表される化合物を最も多く
含有し、かつ、その合成に際して生成するy、zの異な
る化合物をも含有する混合物からなる染料を意味する。
また、実施例中の「部」は重量部を示し、「%」は重量
%を示し、アゾ系染料は遊離酸の構造で示す。
【0044】合成例1 撹拌機、温度計を装着した反応容器に、アニリン11
1.6部及びα,α’−ジクロロ−p−キシレン70部
を装入し、窒素通気下で、100℃まで加熱し、3時間
撹拌した。さらに200℃まで加熱し20時間撹拌し
た。反応終了後、90℃まで冷却して、15%苛性ソー
ダ230部を加えて撹拌した。静置後、下層の水層を分
液除去し、飽和食塩水を加えて洗浄分液した。窒素気流
下、加熱脱水を行い、無機塩等を除去した後、真空下、
濃縮して未反応のアニリンを除去し、化合物(a)(化
11)で表される芳香族アミン樹脂100部を得た。こ
の芳香族アミン樹脂のアミン当量(過塩素酸−氷酢酸
法)を測定したところ、0.65当量/100gであ
り、重量平均分子量は880であった。
【0045】
【化11】
【0046】合成例2 水500部と96%硫酸32.5部の混合液に、合成例
1で得た芳香族アミン樹脂50部を、50℃以下で加え
て、固形状の硫酸塩を形成させた。100℃まで加熱
し、水を減圧除去した後、この固形物を190℃で5時
間加熱した。その後、20℃に冷却し、固形物を濾過
し、冷水で洗浄して、下記式(b)(化12)で表され
る芳香族アミン樹脂39部を得た。得られた樹脂の重量
平均分子量は1040であった。
【0047】
【化12】
【0048】実施例1:化合物(c)を主成分とする高
分子アゾ系染料の合成 水50部、35%塩酸7.5部に、合成例1で得られた
芳香族アミン樹脂5部を加えて、10℃以下に冷却し
た。10℃以下で20%亜硝酸ナトリウム水溶液13.
3部を滴下し2時間攪拌し、スルファミン酸0.5部を
加えてジアゾ溶液とした。別に水100部、水酸化ナト
リウム1.4部の溶液に、γ酸8.4部を加え10℃以
下に冷却してカップラー溶液とした。このカップラー溶
液へ、10℃以下で、前記ジアゾ溶液を1時間かけて加
え2時間攪拌した。アゾカップリング終了後、食塩を加
えて、晶析させた。この結晶を濾過し、飽和食塩水で洗
浄、乾燥して赤色固体11.2部を得た。この固体を、
高速液体クロマトグラフィーにより組成分析を行ったと
ころ、化合物(c)(化13)を主成分とする高分子ア
ゾ系染料であった。該化合物の水中での吸収極大波長は
511nmであった。
【0049】
【化13】
【0050】・インクの調製 下記に示す組成で、それぞれの化合物を混合溶解させ、
孔径0.45ミクロンのテフロンフィルターで濾過して
インクを調製した。 高分子アゾ系染料(c) 3% ジエチレングリコール 30% N−メチル−2−ピロリドン 10% イオン交換水 57% ・特性の評価 上記で調製したインクを、バブルジェット方式インクジ
ェットプリンターBJC−35v(キャノン社製)用イ
ンクカートリッジに充填し、同プリンターにより印字及
び画像記録を行い、下記の項目について試験を行った。
その結果、(A)画像評価:◎、(B)耐水性評価:
◎、(C)耐光性評価:◎、(D)インクの保存安定性
評価:○、であり良好であった。
【0051】なお、各試験項目の評価基準は下記の通り
である。 (A)画像評価:普通紙に画像を形成させ、滲み状態を
目視により判定した。 (B)耐水性評価:試験の画像記録された普通紙の印字
部分に、水を一滴滴下し自然乾燥後、反射濃度計(マク
ベス社製)を用い、印字濃度(OD値)を測定し、耐水
性評価を行った。 評価基準:OD値が100〜80%:◎、 OD値が80〜70%:○、 OD値が70〜50% :△、 OD値が50%未満 :× (C)耐光性評価:キセノンフェードメーター(スガ試
験機社製)を用い、印字部分に100時間照射した後、
印字濃度(OD値)を測定し、耐光性評価を行った。 評価基準:OD値が100〜80%:◎、 OD値が80〜70%:○、 OD値が70〜50%: △、 OD値が50%未満 :× (D)インクの保存安定性評価:記録液を40℃で3ヶ
月間保存後、上記プリンターで長時間連続記録して、目
詰まりの有無を観察した。 評価基準:異常なし : ○、 異常あり : ×
【0052】実施例2:化合物(d)を主成分とする高
分子アゾ系染料の合成 水50部、35%塩酸7.5部に、合成例1で得られた
芳香族アミン樹脂5部を加えて、10℃以下に冷却し
た。10℃以下で20%亜硝酸ナトリウム水溶液13.
3部を滴下し2時間攪拌し、スルファミン酸0.5部を
加えてジアゾ溶液とした。別に水100部、水酸化ナト
リウム1.3部、炭酸水素ナトリウム6.3部の溶液
に、H酸18.4部を加え10℃以下に冷却してカップ
ラー溶液とした。このカップラー溶液へ、10℃以下
で、前記ジアゾ溶液を1時間かけて加え2時間攪拌し
た。アゾカップリング終了後、食塩を加えて、晶析させ
た。この結晶を濾過、飽和食塩水で洗浄、乾燥して赤色
固体21.1部を得た。この固体を高速液体クロマトグ
ラフィーにより分析した結果、化合物(d)(化14)
を主成分とする高分子アゾ系染料てあった。該化合物の
水中での吸収極大波長は535nmであった。
【0053】
【化14】
【0054】・インクの調製 下記に示す組成にて、それぞれの化合物を混合溶解さ
せ、孔径0.45ミクロンのテフロンフィルターで濾過
してインクを調製した。 高分子アゾ系染料(d) 3% ジエチレングリコール 30% N−メチル−2−ピロリドン 10% イオン交換水 57% ・特性の評価 実施例1に記載の方法で、上記インクを用い特性の評価
を行った。その結果、(A)画像評価:◎、(B)耐水
性評価:○、(C)耐光性評価:◎、(D)インクの保
存安定性評価:○、であり良好であった。
【0055】実施例3:化合物(f)を主成分とする高
分子アゾ系染料の合成 水50部、炭酸ナトリウム2部に、合成例2で得た芳香
族アミン樹脂3部を加えて溶解させた後、亜硝酸ナトリ
ウム1.6部を加えて、10℃以下に冷却した。10℃
以下で、1時間かけて10%塩酸を滴下した。2時間攪
拌した後、スルファミン酸0.5部を加えてジアゾ溶液
とした。別に水50部、水酸化ナトリウム0.8部の溶
液に、下記化合物(e)(化15)5.9部を加え10
℃以下に冷却してカップラー溶液とした。このカップラ
ー溶液へ、10℃以下で、前記ジアゾ溶液を1時間かけ
て加え2時間攪拌した。アゾカップリング終了後、食塩
を加えて、晶析させた。この結晶を濾過、飽和食塩水で
洗浄、乾燥して黄色固体9.2部を得た。この固体を高
速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、化合物
(f)(化15)を主成分とする高分子アゾ系染料であ
った。該化合物の水中での吸収極大波長は443nmで
あった。
【0056】
【化15】
【0057】・インクの調製 下記に示す組成にて、それぞれの化合物を混合溶解さ
せ、孔径0.45ミクロンのテフロンフィルターで濾過
してインクを調製した。 高分子アゾ系染料(f) 3% ジエチレングリコール 30% N−メチル−2−ピロリドン 10% イオン交換水 57% ・特性の評価 実施例1に記載の方法で、上記インクを用い特性の評価
を行った。その結果、(A)画像評価:◎、(B)耐水
性評価:◎、(C)耐光性評価:◎、(D)インクの保
存安定性評価:○、であり良好であった。
【0058】実施例4〜23 実施例1〜3の高分子アゾ系染料の合成方法に準じて表
1(表1〜5)に示す化合物を主成分とする高分子アゾ
系染料を合成した。なお、表1において、y’は表中の
Dの個数を示し、y−y’はアミノ基の個数を示す。イ
ンクの調製は、実施例1において、表1に示す化合物が
主成分である高分子アゾ系染料を用い、それ以外は同様
な組成比にて行った。その結果、表1に示す様に、全て
のインクにおいて、本発明の高分子アゾ系染料を用いた
場合、長期に渡る保存安定性に優れたものとなった。記
録画像においても良好で滲みもなく、耐水性、耐光性に
優れたものであった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】比較例 下記のマゼンタ色アゾ系染料(g)(化16)を用い、
実施例2のインクの調製方法に従い、インクを調製し、
同様に特性評価を行った。その結果、(A)画像評価:
○、(B)耐水性評価:×、(C)耐光性評価:△、
(D)インクの保存安定性評価:○であった。本発明の
高分子アゾ系染料に比べ、特に耐水性評価において著し
く悪かった。
【0065】
【化16】
【0066】
【発明の効果】本発明の高分子アゾ系染料は、水溶性が
高く、耐光性に優れたもので、該高分子アゾ系染料を用
いて調製した本発明の水溶性インクも耐光性、保存安定
性に優れた性能を示す。特にインクジェット記録方式の
記録液として使用する場合、該記録液を用いることで高
品位で滲みのない画像形成が可能となり、記録画像も耐
水性に優れた特性を有する、優れた記録液を提供するこ
とができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族アミン樹脂の構造単位中にアゾ結
    合を有していることを特徴とする下記一般式(1)(化
    1)で表される高分子アゾ系染料。 【化1】 (式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ
    基、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、ス
    ルホン酸塩基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、また
    はアルコキシ基を示し、互いに同一でも、異なっていて
    もよく、xは0〜3の整数を示し、同一でも異なってい
    てもよく、Aは置換されていてもよいフェニレン基、置
    換されていてもよいジフェニレン基、置換されていても
    よいジフェニルエーテル基、または置換されていてもよ
    いナフチレン基を示し、Dはモノアゾ、ジスアゾ、トリ
    スアゾまたはテトラキスアゾのアゾ基、あるいはアミノ
    基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、少なく
    とも1つはアゾ基であり、zは0〜300の整数、yは
    z+2である。)
  2. 【請求項2】 アゾ基が下記一般式(2)(化2)で表
    される請求項1記 載の高分子アゾ系染料。 【化2】 (式中、K1 及びK2 はカップラー残基であり、K1
    置換されていてもよいフェニレン基、置換されていても
    よいナフチレン基を示し、K2 は置換されていてもよい
    フェニル基、置換されていてもよいナフチル基を示し、
    nは0〜3の整数であり、n≧2の時、K1 は互いに同
    一でも、異なっていてもよい。)
  3. 【請求項3】 カップラーがベンゼンスルホン酸誘導
    体、安息香酸誘導体、フェノール誘導体、アニリン誘導
    体、ナフタレンスルホン酸誘導体、ナフタレンカルボン
    酸誘導体、ナフトール誘導体、ナフチルアミン誘導体、
    ピラゾロン誘導体、またはピリドン誘導体であることを
    特徴とする請求項2記載の高分子アゾ系染料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の高分子
    アゾ系染料を含有することを特徴とする水溶性インク。
  5. 【請求項5】 インクジェット記録方式の記録液に用い
    られる請求項1〜3のいずれかに記載の高分子アゾ系染
    料。
  6. 【請求項6】 インクジェット記録方式の記録液に用い
    られる請求項4記載の水性インク。
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