JP2000185308A - コンクリ―ト製品の即脱用製造金型を用いた製造方法に於ける落下モルタルの堆積防止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は穴付き残存型枠などの生産性を向上
させて、製品のコストダウンに貢献できるコンクリ−ト
製品の即脱用製造金型を用いた製造方法に於ける落下モ
ルタルの堆積防止方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 少なくとも、金型枠体１の底部２に多数
の穴形成用ピン３を立設させ、それに底板４を上方から
金型枠体１内へ挿入し、底板押上手段５が備えられた製
造金型を用い、金型枠体１内にゼロスランプの生コンク
リ−トを詰め込んで圧縮成形した後、即脱して固化する
穴付きコンクリ−ト製品の製造方法に於いて、前記成形
した生コンクリ−トを金型枠体１内から即脱する際、前
記生コンクリ−トの各穴9aから底板４の穴4aを通過して
落下するモルタルを、金型枠体１の底部２から自然に落
下させる落下モルタルの堆積防止方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はコンクリ−ト製の擁
壁，砂防ダム，橋脚等を施工する際に、型枠内部に生コ
ンクリ−トを流し込んだ後に、固化したコンクリ−トの
表面に壁板として残存する型枠のタイプ、特にはゼロス
ランプの生コンクリ−トで一定面積のプレ−ト状に形成
すると共にその内部に補強用の金網を埋設させ、且つ多
数の貫通穴或いは溝穴等を設けたコンクリ−ト製品を効
率良く製造するためのものであり、コンクリ−ト製品の
即脱用製造金型に於ける落下モルタルの堆積防止方法に
関する。尚、本発明で言う「ゼロスランプの生コンクリ
−ト」とは、即時脱型方法で用いる材料を指し、コンク
リ−トのスランプ試験でスランプがゼロとなるものを指
す。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリ−ト製の擁壁，砂防ダ
ム，橋脚等を施工する際に、その表面に取付ける壁材と
して、本発明者が提案したコンクリ−ト製品（以降、残
存型枠と言う）が多く使用されている。この残存型枠は
一般に表側を仕上げた残存型枠が多く、その残存型枠を
製造するために外枠と内枠の二重構造の製造金型が用い
られ、前記内枠には、外枠に収納可能な箱形に一体化し
たもの或いは周囲と底を分離可能に組立てたものが用い
られる。又、前記製造金型を用いて表側用の残存型枠が
製造される場合には、テ−ブル振動機の上に予め外枠を
固定させておき、内枠を外枠の中に入れると共に振動に
耐えるように収納する。次に補強用の金網を底から浮か
せて取付ける。その後、内枠の内部に流動性のコンクリ
−トを流し込むと共に振動を加えて材料を充填させる。
充填後、内枠をテ−ブル振動機の上から取出し、コンク
リ−トが固化した後に内枠から残存型枠を取出して製品
が完成されていた。また裏側や基礎部で見えなくなる部
分に穴付き残存型枠を使用したいと言う要望が多くあ
る。この穴付き残存型枠の製造は、表側用の残存型枠の
製造に使用された外枠と内枠の二重構造で、且つ内枠を
貫通する多数の穴形成用ピンを立設した製造金型を用
い、流動性のコンクリ−トを内枠に流し込むと、コンク
リ−ト全体が固化した後でなければ内枠を押し上げるこ
とが出来なかった。また速硬性コンクリ−トを用いて固
化時間を早めることも可能であるが、生産性が悪いのが
現状である。このためゼロスランプの生コンクリ−トを
用い、それを内枠に入れて強力な振動締固め或いは圧力
等を加え、一定面積のプレ−ト状に形成すると共にその
内部に金網を埋設させて穴付き残存型枠を即時脱型方法
で製造することも本発明者によって検討されてきたとこ
ろである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記ゼロ
スランプの生コンクリ−トに強力な振動締固め或いは圧
力等を加えて圧縮成形した後、外枠から圧縮成形された
生コンクリ−トを即脱す際に、多数の穴形成用ピンと圧
縮成形された貫通穴の間に空間が徐々に大きくなると、
貫通穴からモルタルが落下する。この落下するモルタル
が外枠内部に堆積してしまい、そのまま製造すると底板
が浮いて残存型枠の厚さが不足したり、貫通穴が貫通し
ない等の問題を発生する恐れがあった。このため、この
落下モルタルは必ず除去しなければならず、その手間が
大変で生産性が悪くなり、穴付き残存型枠を安価で且つ
大量生産することが難しかった。

【０００４】本発明は穴付き残存型枠などの生産性を向
上させて、製品のコストダウンに貢献できるコンクリ−
ト製品の即脱用製造金型を用いた製造方法に於ける落下
モルタルの堆積防止方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は成されたものであり、つまり、少なくと
も、金型枠体の底部に多数の穴形成用ピンを立設させ、
その穴形成用ピンに貫入可能な多数の穴を有する底板を
上方から金型枠体の内部へ挿入し、底板を押上げ可能な
底板押上手段が金型枠体の下方に備えられた製造金型を
用い、金型枠体の内部にゼロスランプの生コンクリ−ト
を詰め込んで充填し圧縮した後、即脱して固化する貫通
穴付きコンクリ−ト製品の製造方法に於いて、その圧縮
成形された生コンクリ−トを金型枠体内部から即脱する
際、圧縮成形した生コンクリ−トの各穴から底板の穴を
通過して落下するモルタルを、金型枠体の底部から自然
に落下させる落下モルタルの堆積防止方法とする。また
金型枠体の底部を格子或いは多数の穴に形成すると良
い。尚、本発明で言う「即脱」とは、ゼロスランプの生
コンクリ−トを圧縮成形した後、素早く金型枠体から取
出す即時脱型することを指す。

【０００６】

【発明の実施の形態】図３は本発明の実施形態で使用す
る製造金型の要部構造を示す図であり、これに基づいて
図番を説明する。（１）は振動プレス機（８）の振動部
に取付けられた金型枠体であり、該金型枠体（１）は箱
枠状に形成されている。（２）は金型枠体（１）の底部
であり、これは金型枠体（１）内側に、図４（ａ）のよ
うな格子或いは図４（ｂ）のように多数の大きな穴が形
成された金属製の底受部材を固着させている。尚、前記
底部（２）を図４（ｂ）のように多数の大きな穴を形成
する場合には、金属板の下方に補強材を取付けると良
い。（３）は底部（２）の上側に突出して取付けられた
多数の穴形成用ピンであり、該穴形成用ピン（３）は耐
摩耗性を有した金属を用い且つその形状としては略徳利
形状とすると共にその下方にネジ棒（3a）を突設させ
る。（４）は金型枠体（１）の内部に、上方から挿入可
能な金属製の底板であり、該底板（４）には穴形成用ピ
ン（３）が貫入可能な多数の穴（4a）を穿設している。
また底板（４）の下部には複数本の補強材を設けて軽量
化させても良い。（５）は底板（４）を押上げ可能な底
板押上手段であり、該底板押上手段（５）には上下動さ
せる図示しない駆動装置に取付ける可動板（5a）と、そ
の可動板（5a）に立設させた複数本の押上げピン（5b）
とがある。（６）は穴形成用ピン（３）のネジ棒（3a）
と螺合させて締結した取付ナットである。（７）は金型
枠体（１）の内周に固定する内型枠駒であり、該内型枠
駒（７）を設けることにより、残存型枠（９）の周囲に
面取（9b）が形成される（図５参照）。

【０００７】図１は金網（91）入りで且つ貫通穴（9a）
付き残存型枠（９）を製造する要部工程を示す図であ
り、これに基づいて製造方法を説明する。予め製造金型
を振動プレス機（８）に取付けておくと共に底板押上手
段（５）の動作を確認して下準備を完了させておく［図
１（ａ）参照］。先ず始めに金型枠体（１）の内部に、
上部から底板（４）を穴形成用ピン（３）に貫入しなが
ら挿入させて底部（２）に載置する。そして金網（91）
を金型枠体（１）の内部に入れ、金網（91）の網目が穴
形成用ピン（３）の途中で引掛けられて浮いた状態にな
り、金網（91）は中間位置で保持される［図１（ｂ）参
照］。次に金型枠体（１）内に上部からゼロスランプの
生コンクリ−トを詰め込んで充填し、金型枠体（１）を
振動させながらその生コンクリ−トを上部から圧縮して
締固める［図１（ｃ）参照］。そして、直ぐに底板押上
手段（５）が作動して底板（４）を下方から押上げ、締
固めた生コンクリ−トの残存型枠（９）を金型枠体
（１）から即脱する［図１（ｄ）参照］。この時、押上
げて締固めた残存型枠（９）は底板（４）が介在されて
押上げられるため、安定した力で且つ衝撃力が加わるこ
となくスム−ズに取出される。それを所定の位置まで搬
出させると共に底板（４）上で養生して固化させる。養
生後に底板（４）が外され、必要に応じて周囲にバリが
あればそれを除去して、図５に示すような残存型枠
（９）が完成されるのである。

【０００８】しかしながら図１（ｄ）の状態に於いて、
締固めた生コンクリ−トの貫通穴（9a）の内周面からモ
ルタルが金型枠体（１）内部に落下する。しかし、この
落下モルタルが自然に除去されて堆積しない防止方法を
図２を基にして詳細に説明する。予め底板（４）と金網
（91）を金型枠体（１）の内部にセットし、その後に金
型枠体（１）内に上部からゼロスランプの生コンクリ−
トを詰め込んで充填させ、金型枠体（１）を振動させな
がらその生コンクリ−トを上部から圧縮して締固める
［図２（ａ）参照］。そして、直ぐに底板押上手段
（５）が作動して底板（４）を下方から押上げ、締固め
た生コンクリ−トを金型枠体（１）から即脱する［図２
（ｂ）参照］。この時、締固めた生コンクリ−トは底板
（４）が介在されて押上げられるが、締固めた生コンク
リ−トの貫通穴（9a）が穴形成用ピン（３）と離れ、そ
の間に空間が徐々に大きくなると、貫通穴（9a）の内周
面からモルタルが金型枠体（１）内部に落下する。この
モルタルは図中の矢印のように底板（４）の穴（4a）を
通過して落下すると、穴形成用ピン（３）の頭部に当っ
てその周面に沿って更に落下し、底部（２）の格子の隙
間或いは多数の大きな穴から金型枠体（１）の下方外部
へ向かって自然に落下モルタルは除去される。従って、
貫通穴（9a）の内周面からモルタルが金型枠体（１）内
部に溜ることなく落下し、堆積することなく除去できる
ため、モルタル堆積防止が可能となるのである。

【０００９】図２（ｂ）の状態から更に押し上げられる
と、前記締固めた生コンクリ−トの残存型枠（９）は底
板（４）の上に載せられたままフォ−クリフトなどによ
って、金型枠体（１）から搬出されるのである［図２
（ｃ）参照］。尚、貫通穴（9a）の内周面から落下した
モルタルが、穴形成用ピン（３）の周囲で且つ底部
（２）の格子或いは多数の大きな穴の上部に載り、例え
ば図４の点線部のように残った場合には、次の底板
（４）を上方から挿入しても、底板（４）に補強材を取
付けて軽量化したものを用いると、残ったモルタルは底
板（４）の周囲や補強材に当接しないので、そのまま製
造を続行しても悪影響はない。しかも、次の製造を行う
際に底部（２）が振動されるので、上部に載ったモルタ
ルは前記振動によって金型枠体（１）の下方外部へ自然
に落下し、エア−やブラシなどで残ったモルタルを金型
枠体（１）内部から一々除去する必要はなくなる。この
結果、連続製造が容易に行われて大量生産も可能となる
のである。

【００１０】

【発明の効果】本発明はこのように構成させたことによ
り、下記に記載する効果を有する。

【００１１】請求項１のように穴付きコンクリ−ト製品
の即脱用製造金型を用い、その金型枠体（１）の内部
に、ゼロスランプの生コンクリ−トを詰め込んで充填し
圧縮した後、即脱して固化するコンクリ−ト製品の製造
方法に於いて、その圧縮成形された生コンクリ−トを金
型枠体（１）内部から即脱する際、生コンクリ−トの各
穴から底板（４）の穴（4a）を通過して落下するモルタ
ルを、金型枠体（１）の底部（２）から自然に落下させ
る落下モルタルの堆積防止方法とすることにより、落下
するモルタルは金型枠体（１）の下方外部へ自然に落下
し、エア−やブラシなどで残ったモルタルを金型枠体
（１）内部から一々除去する手間が不要で、連続製造が
可能となって生産性を向上するため、穴付き残存型枠
（９）などのコストダウンに貢献できるものとなる。
尚、本発明方法は鋳物用砂型の成形や粒状のものを締固
める製品の製造などにも応用しても良い。

【００１２】請求項２のように金型枠体（１）の底部
（２）を格子に形成することにより、圧縮成形された生
コンクリ−トを金型枠体（１）内部から即脱する際、各
穴から底板（４）の穴（4a）を通過して落下するモルタ
ルが、底部（２）から殆ど残ることなく落下されて、格
子の上部にも落下モルタルが殆ど堆積されないものとな
る。また底部（２）を多数の穴に形成することにより、
各穴から落下するモルタルが金型枠体（１）の下方外部
へ自然にモルタルが落下すると共に底部（２）の上部に
殆どモルタルが残らないものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】残存型枠を製造する要部工程を示す説明図であ
る。

【図２】残存型枠の製造に於いて落下モルタルの堆積を
防止する本発明方法を示す説明図である。

【図３】本実施形態で使用する製造金型の要部構造を示
す説明図である。

【図４】本実施形態で使用する底部を示す説明図であ
る。

【図５】穴付きの残存型枠を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 金型枠体 ２ 底部 ３ 穴形成用ピン ４ 底板 4a 穴 ５ 底板押上手段

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも、金型枠体（１）の底部
   （２）には、多数の穴形成用ピン（３）を立設させ、そ
   の穴形成用ピン（３）に貫入可能な多数の穴（4a）を有
   する底板（４）を上方から前記金型枠体（１）の内部へ
   挿入し、前記底板（４）を押上げ可能な底板押上手段
   （５）を前記金型枠体（１）の下方に備えた製造金型が
   用いられ、前記金型枠体（１）の内部に、ゼロスランプ
   の生コンクリ−トを詰め込んで充填し圧縮した後、即脱
   して固化する穴付きコンクリ−ト製品の製造方法に於い
   て、その圧縮成形された生コンクリ−トを前記金型枠体
   （１）内部から即脱する際、前記生コンクリ−トの各穴
   から前記底板（４）の穴（4a）を通過して落下するモル
   タルを、前記金型枠体（１）の前記底部（２）から自然
   に落下させたことを特徴とするコンクリ−ト製品の即脱
   用製造金型を用いた製造方法に於ける落下モルタルの堆
   積防止方法。
2. 【請求項２】 前記金型枠体（１）の底部（２）が、格
   子或いは多数の穴に形成した請求項１記載のコンクリ−
   ト製品の即脱用製造金型を用いた製造方法に於ける落下
   モルタルの堆積防止方法。