JP2000182278A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体およびその製造方法

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JP2000182278A
JP2000182278A JP10356479A JP35647998A JP2000182278A JP 2000182278 A JP2000182278 A JP 2000182278A JP 10356479 A JP10356479 A JP 10356479A JP 35647998 A JP35647998 A JP 35647998A JP 2000182278 A JP2000182278 A JP 2000182278A
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Yukihiro Sano
幸浩 佐野
Taiji Kawachi
泰司 河内
Shoichi Kawai
川井  正一
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録レーザ光の照射時に記録膜で吸収したエ
ネルギーが反射膜を通って逃げるのを防止し、記録感度
のよい光情報記録媒体を得る。 【解決手段】 透明基板1の一面1a上に、記録膜2、
反射膜4を順次積層し、基板1の他面1b側から記録レ
ーザ光を照射することにより、記録膜2に情報を記録す
る光情報情報媒体100において、記録膜2と反射膜4
との間には、反射膜4よりも低い熱伝導率を持つ断熱膜
3が介在されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明な基板上に記
録膜、反射膜を順次積層してなり、記録レーザ光の照射
により前記記録膜に情報を記録する光情報記録媒体およ
びその製造方法に関し、この光情報記録媒体としては、
光ディスク、光カード等に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】現在、光情報記録媒体として、例えばC
D(コンパクトディスク)と再生時互換性がある追記型
CDが商品化されており、例えば、特開平10−119
437号公報に記載のものが提案されている。これは、
透明なプラスチック基板の一面上に、無機材料や有機色
素材料等からなる記録膜、Au等からなる反射膜、UV
(紫外線)樹脂保護膜を順次積層したもので、基板の他
面側から記録レーザ光を照射することにより、記録膜に
吸収された光が熱エネルギーにかわり、記録膜の熱分解
による基板の変形によって記録部の反射率を低下させ、
信号(情報)を記録するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等が上記従来のCD構造に基づいて検討したところ、
記録膜で吸収した熱エネルギーが、熱の良導体である反
射膜を通って逃げてしまい、記録感度が良くないという
問題があることがわかった。本発明は上記問題に鑑み、
記録時に記録膜で吸収したエネルギーが反射膜を通って
逃げるのを防止し、記録感度のよい光情報記録媒体を得
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来構造
においては、記録膜と反射膜とが直接接しているため、
記録膜で吸収した熱エネルギーが熱の良導体である反射
膜を通って逃げてしまうことに着目してなされたもので
ある。即ち、請求項1記載の発明においては、記録膜
(2、12、18、22、26)と反射膜(4、14、
16、24、28)との間に、該反射膜よりも低い熱伝
導率を持つ断熱膜(3、13、17、23、27)を介
在させたことを特徴としている。
【0005】本発明では、熱伝導率の低い断熱膜が、記
録膜と反射膜との間において熱伝導の障壁となり断熱効
果を発揮するため、記録レーザ光の照射時に、記録膜に
吸収された熱エネルギーが反射膜を通って逃げるのを防
止することができ、従って、記録感度のよい光情報記録
媒体を得ることができる。また、反射膜は反射率が良い
ことを主眼に作られているため、通常、金属材料(例え
ば金、アルミ等)が採用されている。そして、熱伝導率
は、一般に材料の電気伝導率に依存し、特に、導電材料
と非導電材料(誘電体、絶縁体)とでは大きく異なる。
従って、反射膜よりも低い熱伝導率を持つ断熱膜として
は、誘電体等の非導電材料を用いることが好ましい。
【0006】請求項2記載の発明は、上記の考えに基づ
いたもので、誘電体等の非導電材料の熱伝導率の上限と
しては、10W/mK程度であることから、それ以下の
熱伝導率を有する断熱膜(3、13、17、23、2
7)としたものである。ここで、断熱膜(3、13、1
7、23、27)を構成する物質としては、請求項3記
載の発明のように、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物
及び有機高分子から選択された少なくとも1つの物質を
採用することができる。これらの物質によれば、反射膜
を構成する金属等よりも熱伝導率が低く且つ透明な膜を
実現できる。
【0007】また、断熱膜(3、13、17、23、2
7)の膜厚は、あまり薄いと十分な断熱効果が得られ
ず、あまり厚いと成膜に時間がかかる等製造上の理由か
ら、請求項4記載の発明のように、50nm〜200n
mであることが好ましい。また、請求項5記載の発明に
よれば、請求項1〜請求項4に記載の光情報記録媒体を
適切に製造することができる。
【0008】なお、上記した括弧内の符号は、後述する
実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1に、本発明の一実施形態に係る
光情報記録媒体の模式的な断面構成を示す。図に示すよ
うに、プラスチック、ガラス等の透明基板1の一面1a
上に、記録膜2、断熱膜3、反射膜4、樹脂保護膜5が
形成されて光情報記録媒体100が構成されている。そ
して、光情報記録媒体100においては、透明基板1の
他面1b側から図1の白抜き矢印に示す様に、記録レー
ザ光が照射されるようになっている。
【0010】透明基板1の一面1aには、ウォブルを持
った案内溝(グループ)6が形成されており、この案内
溝6は、例えば深さが50nm以下で、幅が0.7〜
0.5μm程度のものである。記録膜2は、記録レーザ
光の照射により熱分解するような無機材料や有機色素材
料等からなる。特に、記録膜2は、真空成膜法で形成さ
れたものであって、記録レーザ光の照射時に熱分解を起
こす物質(熱分解物質)を含み、記録レーザ光の照射に
より該熱分解物質が熱分解し、複素屈折率の変化が隆起
変形よりも支配的に生じて情報の記録が行われるように
したものが好ましい。
【0011】更に、記録膜2は、上記熱分解物質に加え
て、熱分解により生じた物質を記録膜2中に分散される
物質、および記録レーザ光の対し透明で記録膜2の光吸
収率を調整する物質、の中から選択された少なくとも1
つの物質を含んでいるものが好ましい。記録レーザ光の
照射時に熱分解を起こす物質としては、Cu−Nを用い
ることができる。また、Sn−N、Ag−N、Ni−N
などの金属と窒素の化合物を用いることもできる。
【0012】また、熱分解により生じた物質を記録膜2
中に分散させる物質としては、C、H、F、S、O、C
l、N、P、I、Brのうちの少なくとも1種を含むガ
スを導入して形成された有機物質、例えばCY X (Y
=1〜5、X=1〜10)を主成分とするものを用いる
ことができ、具体的にはCH4 を用いることができる。
さらに、記録膜2の光吸収率を調整する物質としては、
ZnS−SiO2 を用いることができる。
【0013】記録膜2と反射膜4との間に介在する断熱
膜3は、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物及び有機高
分子から選択された少なくとも1つの物質を、真空成膜
法で形成したものを用いることができる。具体的には、
SiO2 、SiC、ZnS等の無機材料の透明膜をスパ
ッタ法で成膜したものを用いることができる。または、
C、H、F、S、O、Cl、N、P、I、Brのうちの
少なくとも1種を含むガスを導入して形成された有機物
質、例えばCY X (Y=1〜5、X=1〜10)を主
成分とするものを用いることができ、具体的にはCH4
のプラズマ重合によって成膜したものを用いることがで
きる。
【0014】また、断熱膜3は、反射膜よりも低い熱伝
導率を持つ。具体的には、熱伝導率を10W/mK以下
としている。また、その膜厚は、あまり薄いと十分な断
熱効果が得られず、あまり厚いと成膜に時間がかかる等
製造上の理由から、50nm〜200nmであることが
好ましい。なお、断熱膜3として記録膜2と同種の物質
を用いた場合には、記録膜2の記録特性に影響の無いよ
うに且つ断熱膜3を上記低熱伝導率とすべく、両膜2、
3の互いの組成比を変える。
【0015】反射膜4は、スパッタ法、蒸着法により形
成された金属反射膜、例えばAu、Ag、Al膜または
合金を用いることができる。また、金属反射膜の代わり
に光干渉多層反射膜を用いてもよい。樹脂保護膜5とし
ては、UV硬化樹脂などを用いることができる。かかる
構成を有する光情報記録媒体100は、案内溝6が形成
された透明基板1の一面1a上に、記録膜2を真空成膜
法で形成し、その上に断熱膜3を真空成膜法で形成し、
その上に反射膜4をスパッタ法、蒸着法により形成し、
最後に、樹脂保護膜5を塗布、UV硬化することによ
り、製造される。
【0016】特に、上記の好ましい記録膜2の成膜方法
としては、熱分解を起こすもととなる物質をターゲット
とし、この物質と化合物を形成して熱分解を起こす物質
(上記熱分解物質)を生成するための原料ガスと、C、
H、F、S、O、C1、N、P、I、Brのうち少なく
とも1種を含むガスを導入して反応性スパッタにより形
成することができる。また、上記の熱分解を起こすもと
となる物質と上記の光吸収率を調整する物質を異なるタ
ーゲットとして、反応性スパッタを行うこともできる。
【0017】なお、記録膜2は、スパッタ法以外に、蒸
着法、イオンプレーティング法などを用いて成膜しても
よい。このように透明基板1上に記録膜2、断熱膜3、
反射膜4、樹脂保護膜5を形成することによって、情報
記録時に記録部の反射率が低下するようにした追記型の
光ディスクを構成することができる。この場合、記録膜
2および断熱膜3を真空成膜法を用いて形成することに
より、タクトタイムの短縮と生産歩留まりの向上を図る
ことができる。
【0018】そして、光情報記録媒体100において、
図1の白抜き矢印に示す様に、記録レーザ光が照射され
ると、記録膜に吸収された光が熱エネルギーにかわり、
記録膜の熱分解による基板の変形によって記録部の反射
率を低下させ、信号(情報)を記録するものである。特
に、上記の好ましい記録膜2とした場合には、上記の熱
エネルギーにより熱分解物質が熱分解し、複素屈折率の
変化が隆起変形よりも支配的に生じて情報の記録が行わ
れる。
【0019】本実施形態では、この情報の記録時(記録
レーザ光の照射時)において、熱伝導率を10W/mK
以下と反射膜4よりも低くした断熱膜3が、記録膜2と
反射膜4との間において熱伝導の障壁となり断熱効果を
発揮するため、記録膜2に吸収された熱エネルギーが反
射膜4を通って逃げるのを防止することができ、記録感
度のよい光情報記録媒体を得ることができる。
【0020】また、光情報記録媒体としては、保護板も
しくは図1に示すものと同種の基板を接着剤、UV樹脂
等で貼り合わせた構造のものであってもよい。また、D
VD(デジタルビデオディスク)のような2枚張り合わ
せディスクにおいて、両方の基板に記録層を設けて片方
の面から2つの層の信号を読み出す片面2層方式のも
の、あるいは2層の信号面の基板を張り合わせた両面2
層方式のものであってもよい。
【0021】図2に、DVDにおける片面2層方式の構
造を示す。案内溝をもった透明基板11に半透明の記録
膜12と断熱膜13と半透明の反射膜14が形成され、
もう一方の案内溝をもった透明基板15に反射膜16と
断熱膜17と記録膜18が形成されている。2つの基板
11、15は、UV樹脂スペーサ19で張り合わされて
いる。スペーサ19の厚さは、30〜80nmである。
記録・再生は、記録膜12、18のいずれかに記録・再
生レーザ(図中R1、R2)の焦点を合わせることによ
り行う。
【0022】図3にDVDにおける両面2層方式の構造
を示す。案内溝をもった透明基板21に半透明の記録膜
22と断熱膜23と半透明反射膜24が形成され、その
上に2P法により案内溝をもったスペーサ25が形成さ
れ、その上に記録膜26、断熱膜27、反射膜28、保
護膜29が形成されている。このような構造のディスク
が接着層30により2枚張り合わせて構成されている。
スペーサ25の厚さは、30〜80nmである。記録・
再生は、両面のどちらかの記録膜に記録・再生レーザ
(図中、R3、R4)の焦点を合わせることにより行
う。
【0023】なお、図2及び図3における、透明基板、
記録膜、断熱膜、反射膜及び保護膜は、上記図1に示す
ものと同様のものとできることは勿論である。次に、本
発明の光情報記録媒体について、以下の実施例及び比較
例に基づいて更に具体的説明を行う。
【0024】
【実施例】(実施例1)本実施例1及び後述の実施例2
は上記図1に示し光情報記録媒体100に係るものであ
る。案内溝6を持った透明なポリカーボネイト基板1上
に、反応性高周波スパッタ法(反応性DCスパッタ法で
もよい)により、CuターゲットとZnS−SiO 2
ーゲットを同時にスパッタし、記録膜2を形成する。こ
のとき、ArとN2CH4 のガスを導入する。スパッタ
パワーはCuターゲットが200Wであり、ZnS−S
iO2 ターゲットが400Wである。また、ガス圧は1
2Paであり、ArとN2 とCH4 の比率は7:2:3
である。
【0025】その後、SiO2 (SiO2 100%)タ
ーゲットを用い、Arガスで高周波スパッタ法(Siタ
ーゲットにO2 の反応性DCスパッタ法でもよい)によ
り、SiO2 からなる断熱膜3を成膜する。このときス
パッタパワーは400W、ガス圧は12Paである。さ
らに、反射膜4としてAuを100nm形成する。最後
に、樹脂保護膜5として、UV硬化樹脂をスピンコータ
で塗布し、紫外線を照射することにより、硬化させる。
【0026】次に、実際に、この光ディスク(光情報記
録媒体)に記録を行い、断熱膜ありのものと無しのもの
の比較を行った。線速1.4m/sでEFM信号を記録
してみた結果、断熱膜無しのもの(図4参照)はレーザ
パワー(780nm)8mWで記録可能であったのに対
し、断熱膜のあるもの(図5参照)は5mWで記録可能
であった。
【0027】なお、記録可能であるか否かの基準は、C
D規格、即ちCDの実用規格(CD−WO規格)で決め
た。CD規格は、反射率(未記録状態の反射率)が65
%以上、振幅変調度が60%以上、C/Nが47dB以
上であり、本例では、振幅変調度が60%以上、C/N
が47dB以上を満足するレーザパワー範囲が、断熱膜
無しのもの(図4参照)では8mW以上、断熱膜のある
もの(図5参照)では5mW以上であり、断熱膜を設け
た本実施例の光情報記録媒体は、レーザパワーを低く、
即ち記録感度を向上できた。
【0028】また、EFM信号の中でパルス幅の最も長
い信号であるI11の振幅変調度は90%となり、振幅
変調度60%以上を必要とする上記CD規格を満足し、
良好な再生信号を得ることができた。 (実施例2)案内溝を持った透明なポリカーボネイト基
板1上に、反応性DCスパッタ法により、Cuターゲッ
トをスパッタし、記録膜2を形成する。このとき、N2
とC 5 8 (イソプレン)ガスを導入する。スパッタパ
ワーは4kWであり、また、ガス流量はN2 が80sc
cm、C5 8 が25sccmである。
【0029】その後、CuターゲットをN2 とC5 8
(イソプレン)ガスでスパッタして、N2 とC5 8
からなる有機高分子にCuが微量含有されてなる断熱膜
3を成膜する。このとき、スパッタパワーは4kWであ
り、ガス流量は、N2 が100sccm、C5 8 が5
0sccmである。ここで、本例では記録膜2もN2
5 8 とからなる有機高分子にCuが微量含有されて
なる膜であるが、N2とC5 8 のガス流量を変えるこ
とにより、両膜2、3の組成比を変えている。
【0030】さらに、反射膜4としてAuを100nm
形成する。最後に、樹脂保護膜5として、UV硬化樹脂
をスピンコータで塗布し、紫外線を照射することによ
り、硬化させる。このディスクの評価を行った結果、上
記実施例1と同様に、レーザパワー5mWでCD規格を
十分に満たす性能が得られ、記録時に記録膜で吸収した
エネルギーが反射膜を通って逃げるのを断熱膜にて防止
し、記録感度のよい光情報記録媒体を得ることができ
た。
【0031】(実施例3)本実施例3は上記図2に示す
片面2層方式のDVD構造に係るものである。案内溝を
もった厚さ0.6mmの透明基板11に、実施例1と同
様の方法で、半透明の記録膜12を110nm形成し、
その上に断熱膜13としてSiO2 膜を100nm形成
し、さらにSiCの半透明の反射膜14を60nm形成
する。このとき反射膜14単独の透過率は、60%であ
った。
【0032】もう一方の案内溝をもった厚さ0.6mm
の透明基板15に、反射膜16としてAuを80nm形
成し、その上に実施例1と同様の方法で、断熱膜17と
してSiO2 膜を100nm形成し、さらに記録膜18
を110nm形成する。2つの基板11、15を液体状
のUV樹脂で張り合わせ、スピンナーでUV樹脂を振り
切り、スペーサ19の厚さを55μmにする。次に、U
V照射し、硬化させる。
【0033】このときの記録膜12の反射率(図2中の
R1で示す光の経路によるもの)は24%であり、基板
11を通した記録膜18の反射率(図2中のR2で示す
光の経路によるもの)は23%であった。線速3.84
m/sにおいて、波長635nmのレーザにより、DV
D信号を記録した結果、記録膜12は6mWで記録で
き、このときのジッターは7nsであった。同様に、記
録膜18の記録パワーは5mWであり、このときのジッ
ターは8nsであった。
【0034】このように、本実施例3においても、記録
時に記録膜で吸収したエネルギーが反射膜を通って逃げ
るのを断熱膜にて防止し、記録感度のよい光情報記録媒
体を得ることができた。 (実施例4)本実施例4は上記図3に示す両面2層方式
のDVD構造に係るものである。
【0035】案内溝をもった厚さ0.6mmの透明基板
21に、実施例1と同様の方法で、半透明の記録膜22
を110nm形成し、その上に断熱膜23としてSiO
2 膜を100nm形成し、さらにその上にSiCの半透
明の反射膜24を60nm形成する。このとき半透明の
反射膜24単独の透過率は、60%であった。この半透
明の反射膜23上にUV樹脂を付け、案内溝のあるスタ
ンパーを押し付け、スピン回転によりスペーサ25の厚
さを55nmにする。次に、UV照射により硬化させ、
スタンパーを剥離する。
【0036】さらに、実施例1と同様の方法で、記録膜
26を110nm形成し、その上に断熱膜27としてS
iO2 膜を100nm形成し、さらにその上に反射膜2
8としてAuを80nm形成し、さらに保護層29を形
成する。そして、上記のようにした形成された2つの基
板を、接着層30となる液体状のUV樹脂で張り合わ
せ、スピンナーで樹脂を振り切り、次に、UV照射し、
硬化させる。
【0037】このときの記録膜22の反射率(図3中の
R3で示す光の経路によるもの)は24%であり、基板
21を通した記録膜26の反射率(図3中のR4で示す
光の経路によるもの)は23%であった。線速3.84
m/sにおいて、波長635nmのレーザにより、DV
D信号を記録した結果、記録膜22は6mWで記録で
き、このときのジッターは7nsであった。同様に、記
録膜26の記録パワーは5mWであり、このときのジッ
ターは8nsであった。
【0038】このように、本実施例4においても、記録
時に記録膜で吸収したエネルギーが反射膜を通って逃げ
るのを断熱膜にて防止し、記録感度のよい光情報記録媒
体を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す光情報記録媒体の模
式的な断面構成面である。
【図2】DVDにおける片面2層方式の構造を示す図で
ある。
【図3】DVDにおける両面2層方式の構造を示す図で
ある。
【図4】本発明の実施例1において、断熱膜がない場合
の、反射率、振幅変調度、C/Nの、記録レーザパワー
依存性の測定結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例1において、断熱膜がある場合
の、反射率、振幅変調度、C/Nの、記録レーザパワー
依存性の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1、11、15、21…透明基板、2、12、18、2
2、26…記録膜、3、13、17、23、27…断熱
膜、4、14、16、24、28…反射膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川井 正一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 5D029 MA28 5D121 AA03 EE01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な基板(1、11、15、21)の
    一面上に、記録膜(2、12、18、22、26)、反
    射膜(4、14、16、24、28)を順次積層し、前
    記基板の他面側から記録レーザ光を照射することによ
    り、前記記録膜に情報を記録する光情報記録媒体におい
    て、 前記記録膜と前記反射膜との間には、前記反射膜よりも
    低い熱伝導率を持つ断熱膜(3、13、17、23、2
    7)が介在されていることを特徴とする光情報記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記断熱膜(3、13、17、23、2
    7)の熱伝導率が10W/mK以下のものであることを
    特徴とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記断熱膜(3、13、17、23、2
    7)は、酸化物、硫化物、フッ化物、窒化物及び有機高
    分子から選択された少なくとも1つの物質よりなること
    を特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記断熱膜(3、13、17、23、2
    7)の膜厚は、50nm〜200nmであることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1つに記載
    の光情報記録媒体を製造する方法であって前記記録膜
    (2、12、18、22、26)上に、真空成膜法を用
    いて前記断熱膜(3、13、17、23、27)を形成
    した後、その上に、前記反射膜(4、14、16、2
    4、28)を成膜することを特徴とする光情報記録媒体
    の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100994943B1 (ko) 2002-08-29 2010-11-18 코닌클리케 필립스 일렉트로닉스 엔.브이. 다층 광 데이터 저장매체 및 이를 이용한 다층 기록방법

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KR100994943B1 (ko) 2002-08-29 2010-11-18 코닌클리케 필립스 일렉트로닉스 엔.브이. 다층 광 데이터 저장매체 및 이를 이용한 다층 기록방법

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