JP2000178664A - 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法 - Google Patents

溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法

Info

Publication number
JP2000178664A
JP2000178664A JP10362079A JP36207998A JP2000178664A JP 2000178664 A JP2000178664 A JP 2000178664A JP 10362079 A JP10362079 A JP 10362079A JP 36207998 A JP36207998 A JP 36207998A JP 2000178664 A JP2000178664 A JP 2000178664A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
platinum group
group element
organic phase
group elements
extraction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10362079A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3815093B2 (ja
Inventor
Satoshi Asano
聡 浅野
Kaoru Terao
薫 寺尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP36207998A priority Critical patent/JP3815093B2/ja
Publication of JP2000178664A publication Critical patent/JP2000178664A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3815093B2 publication Critical patent/JP3815093B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多くの不純物元素の共存する水溶液から、遊
離塩酸濃度が低くても、溶媒抽出により、有機相の劣化
を防止しつつ、白金族元素を集合的に且つ高い抽出率で
分離する方法を提供する。 【解決手段】 白金族元素とハロゲン化物イオンを含有
する水溶液から、酸化還元電位及び塩化物濃度を最適化
し、水に難溶性の第四アンモニウム塩及び中性抽出剤を
用いて白金族元素をまとまて有機相に抽出する。抽出後
の有機相は水又は塩酸で洗浄し、白金族以外の不純物金
属元素を水相に分離する。その後、洗浄後の有機相を還
元剤で処理し、白金族元素を金属単体として分離回収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白金族元素含有物
の処理工程あるいは非鉄金属製錬工程で発生する白金族
元素を含有する水溶液から、白金族元素をまとまて集合
的に抽出分離し、回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、非鉄金属製錬工程等で発生する
塩素浸出液には白金、パラジウム、ロジウム等の各種の
白金族元素が他の金属元素と共に含まれているので、こ
の塩素浸出液から各白金族元素を分離回収することが行
われている。
【0003】種々の元素の共存下で水溶液から白金族元
素を分離する方法としては、「新実験化学講座9、分析
化学I」、1974年、丸善、p354に記載されてい
るように、亜鉛や蟻酸などの還元剤を作用させて、比較
的還元されやすい白金族元素を還元分離する方法か、あ
るいは特開平4−246187号公報に記載されるよう
に、酸化雰囲気下で水溶液中の白金族元素を4価とし、
塩化アンモニウムを添加して水に難溶性の白金族元素の
クロロ錯塩を形成さることにより、沈澱分離する方法が
一般的である。
【0004】また、溶媒抽出により白金族元素を分離す
る方法では、例えば、“Solvent Extrac
tion Research and Develop
ment,Japan”、Vol.2、(1995)、
p149〜161に記載されているように、パラジウム
の抽出には硫化ジヘキシルや硫化トリイソブチルフォス
フィンが使用され、また白金、イリジウム、ルテニウム
の抽出には燐酸トリブチルが抽出剤として使用されてい
る。更に、ロジウムの抽出には、特開平4−14323
1号公報に記載されるようにキレート抽出剤を用いる
か、「資源・素材学会春季大会一般発表講演予稿集」、
1995年、p79に記載されるような、塩化スズ(I
I)の共存下で第3級アミンを使用する方法が知られて
いる。
【0005】更に、イオン交換法により白金族元素を分
離する方法としては、特開平3−158426号公報、
特開平3−166325号公報、特開平2−25412
6号公報に記載されているように、パラジウム、白金、
ルテニウムを陰イオン交換樹脂により吸着する方法、あ
るいは特開平5−33071号公報に記載されるよう
に、ロジウムをキレート樹脂によって吸着する方法など
が試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように白金族
元素の分離方法には各種の方法があるが、亜鉛や蟻酸な
どの還元剤で還元する方法では、白金やパラジウムは分
離可能であるが、イリジウムやルテニウムは理論的な酸
化還元電位よりもかなり電位を低下させないと金属への
還元反応が進行せず、また、このような低い電位では共
存元素の大部分も還元されて沈澱するため、白金族元素
の選択的な分離は困難であった。
【0007】また、クロロ錯塩の沈澱として分離する方
法では、水溶液中の塩化アルカリ濃度がかなり高くない
と白金族元素の析出が困難であった。また、水溶液中の
塩化アルカリ濃度が高くても、その条件下でのクロロ錯
塩の溶解度以下の濃度の白金族元素を回収することはで
きないため、希薄溶液からの白金族元素の分離回収には
適用できなかった。
【0008】一方、上記した従来の溶媒抽出法では、抽
出剤が白金族元素の混合物から個々の白金族元素を選択
的に分離することを目的に開発されているため、白金族
元素をまとまて分離する集合分離には適していなかっ
た。例えば、比較的多くの種類の白金族元素を抽出し得
る燐酸トリブチルを用いて最適条件で抽出した場合であ
っても、ほぼ定量的に抽出可能な元素は白金、イリジウ
ム、オスミウムのみであって、ルテニウム及びパラジウ
ムは抽出が不完全であり、ロジウムは殆ど抽出できなか
った。
【0009】逆にロジウムを抽出可能な塩化スズ(II)
を使用する抽出法では、他の白金族元素イオンが抽出さ
れにくい価数に還元され、加えてスズの添加によって白
金族元素が汚染される問題点があった。また、陽イオン
型のキレート抽出剤を使用したロジウムの抽出では、陽
イオンになり易い白金族元素のみが抽出され、クロロ錯
塩などの陰イオン形態の白金族元素は抽出できなかっ
た。
【0010】更に、イオン交換法では、ルテニウム、イ
リジウム、オスミウムなど一部の白金族元素は一旦吸着
されると樹脂に非常に強く固定され、種々の錯形成剤を
使用しても定量的な溶離が困難である。このため、イオ
ン交換樹脂から白金族元素を回収するには樹脂を焙焼し
なければならず、経済的ではなかった。
【0011】しかも、上記の溶媒抽出法及びイオン交換
法においては、白金族元素の回収率をより増大させるた
めに、水溶液を強酸化性に保ち、白金族元素の価数を4
価にすることがしばしば行われていたが、その場合には
抽出剤やイオン交換体の劣化や分解を招き、再使用回数
が減少するという欠点があった。また、遊離酸濃度が低
い場合は、ルテニウム、オスミウムなどが8価の酸化物
に変化し、抽出率が低下したり、あるいは揮発して損失
となる場合があった。
【0012】上記全ての方法に共通する問題点として
は、白金族元素の化学種が塩化物、あるいは塩化物イオ
ンが6配位した完全なクロロ錯塩である場合にのみ適用
が可能であり、遊離塩酸濃度が低い水溶液の場合や、他
の陰イオンを含有し、白金族元素が他の形態の錯イオン
として存在する可能性がある場合には適用が困難であっ
た。このような場合には、塩酸を大過剰に添加して長時
間加熱するなど、別途に前処理が必要であった。
【0013】本発明は、上記した従来方法の問題点に鑑
み、多くの不純物金属元素が共存する水溶液から、白金
族元素が低濃度であったり又遊離塩酸濃度が低い条件で
あっても、溶媒抽出法により、抽出剤又は有機相の劣化
を防止しつつ、全種類の白金族元素をまとめて集合的
に、且つ高い抽出率で分離する方法を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明が提供する溶媒抽出による白金族元素の集合
分離方法は、白金族元素とハロゲン化物イオンを含有す
る水溶液を、水に難溶性の第四アンモニウム塩及び中性
抽出剤と混合し、該水溶液中の白金族元素をまとまて有
機相に抽出することを特徴とする。
【0015】上記本発明の溶媒抽出による白金族元素の
集合分離方法では、特に、水に難溶性の第四アンモニウ
ム塩として塩化トリオクチルメチルアンモニウムを用い
ること、また中性抽出剤として燐酸トリブチルを用いる
ことが好ましい。また、抽出時の酸化還元電位は、銀/
塩化銀電極に対して700〜1000mVに維持するこ
とが好ましい。更に、水溶液中のハロゲン化物イオンが
塩化物イオンであり、該塩化物イオン濃度が2.0mo
l/lを越え、6.8mol/l未満であることが好ま
しい。
【0016】また、本発明の溶媒抽出による白金族元素
の集合分離方法においては、抽出後の有機相を水又は塩
酸により洗浄し、白金族以外の不純物金属元素を水相に
分離することができる。更に、この洗浄後の有機相を還
元剤で処理することにより、白金族元素を金属単体とし
て分離回収することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明では、主な抽出剤として水
溶液中の遊離塩酸濃度が低くても大部分の白金族元素を
抽出することができる第四アンモニウム塩を使用すると
共に、中性抽出剤を共存させることによって第四アンモ
ニウム塩の抽出率を増大させ、この2種類の抽出剤の相
乗的な協同作用により水溶液中に存在する全種類の白金
族元素の集合的抽出を可能としたものである。
【0018】また、第四アンモニウム塩と中性抽出剤に
より白金族元素以外の金属元素も抽出されるが、白金族
元素は有機相中で非常に安定しているので、有機相を洗
浄して白金族元素以外の金属元素のみを水相に分離除去
することができる。最終的に有機相中には白金族元素が
残留するので、この白金族元素は強還元することによ
り、有機相から高品位の白金族単体として回収される。
【0019】以下に、白金族元素を含有する水溶液中の
ハロゲン化物が塩化物の場合を例にとり、本発明方法を
各工程毎に詳しく説明する。尚、ハロゲン化物の種類と
しては、塩化物以外にも臭化物、ヨウ化物などがあり、
いずれも非鉄金属製錬工程等において白金族元素含有水
溶液の作製が可能であるが、工業的実施における経済性
を配慮すると塩化物が最適である。
【0020】第四アンモニウム塩は、一般的に陰イオン
交換樹脂の官能基として使用され、下記化学式1に示す
ように、陰イオン交換反応により白金族元素の抽出を行
う。尚、化学式1において、Mは4価の白金族元素を意
味する。
【0021】
【化1】 2R4NCl+MCl6 2- → (R4N)2MCl6+2Cl-
【0022】第四アンモニウム塩としては、工業的に生
産され、主要な有機溶媒に溶解するが水への溶解度は低
く、且つ安価であることが望ましく、特に塩化トリオク
チルメチルアンモニウムが好ましい。この塩化トリオク
チルメチルアンモニウムは、国内でも量産されており、
容易に入手して使用することができる。尚、工業的に使
用するには、主成分として塩化トリオクチルメチルアン
モニウムを含有する混合物である「Aliquat33
6」(商品名、Henkel社製)が代表的なものであ
る。
【0023】一般に、陰イオンを第四アンモニウム塩で
抽出する場合、イオン価数が高いほど立体障害のため抽
出されにくくなることが知られている。例えば、ヘキサ
クロロ白金(IV)酸イオン、ヘキサクロロパラジウム
(IV)酸イオンはイオン価数が−2であり、第四アンモ
ニウム塩単独でも容易に抽出できるが、イオン価数が−
3のヘキサクロロロジウム(III)酸イオンでは抽出が
不完全になる。また、白金族元素はハロゲン化物以外の
錯塩を形成すると、多くの場合溶媒抽出が困難になる。
【0024】ところが、第四アンモニウム塩に中性抽出
剤を組み合わせて使用すると、白金族元素を含むイオン
の水和水が中性抽出剤で置換され、抽出率が上昇するこ
とが分かった。即ち、ロジウム、イリジウム、ルテニウ
ム、オスミウムのようにクロロ錯塩が比較的不安定な元
素であっても、第四アンモニウム塩と中性抽出剤の併用
により完全な抽出が可能である。また、遊離塩酸濃度が
低い水溶液や、硫酸イオンなどハロゲン化物イオン以外
のイオン濃度が高い水溶液からでも、全ての白金族元素
をほぼ定量的に抽出することが可能となる。
【0025】工業的に生産される中性抽出剤としては、
燐酸トリブチル、酸化トリアルキルフォスフィン類が代
表的なものである。しかし、本発明においては、混合さ
れる第四アンモニウム塩の多くが常温で固体又は非常に
粘稠な液体であるため、常温で固体又は高粘度の液体の
形態が多い酸化トリアルキルフォスフィン類は適してお
らず、常温で低粘度の液体である燐酸トリブチルが最適
である。
【0026】水溶液中の塩化物濃度と抽出率との関係に
ついては、白金及びパラジウムでは殆ど影響を受けず、
常に定量的に抽出される。しかし、そのクロロ錯塩が比
較的不安定なロジウム、イリジウム、ルテニウム、オス
ミウムは、塩化物イオン濃度の影響を受けやすい。即
ち、塩化物濃度が2.0mol/l以下では錯塩が錯解
離するため、また6.8mol/l以上では有機相中の
クロロ錯イオンが水相中の塩化物イオンと置換するた
め、いずれも抽出率が低下する。従って、水溶液の塩化
物濃度は2.0mol/lを越え且つ6.8mol/l未
満が好ましく、特に2.9〜3.7mol/lの範囲が最
適である。
【0027】また、抽出に適した水溶液の酸化還元電位
は、存在する白金族元素の種類により変化するが、銀/
塩化銀電極に対して(以下同様)700mV未満では、
多くの白金族元素が抽出されにくい低い価数をとる。一
方、電位が1000mVを越えると、遊離塩酸濃度が低
い場合に、オスミウム及びルテニウムが容易に酸化され
て抽出されにくい酸化物を形成し、また揮発による損失
が大きくなる。従って、700〜1000mVの酸化還
元電位であれば、あらゆる白金族元素を定量的に抽出可
能であり、特に好ましい電位は800m〜900mVで
ある。
【0028】尚、抽出反応とは別に、酸化還元電位が1
000mVを越えると水溶液中の遊離塩素濃度が急激に
上昇し、第四アンモニウム塩が破壊されるため、この点
からも過剰に電位を上昇させることは好ましくない。ま
た、電位の調整に用いる酸化剤としては、抽出剤保護の
点からみると、塩素や次亜塩素酸塩などよりも、比較的
電位の上昇が少ない亜塩素酸塩が適している。
【0029】遊離塩酸濃度については、抽出反応が陰イ
オン交換反応であり、且つ白金族元素のクロロ錯塩が若
干不安定になる領域であっても、中性抽出剤による第四
アンモニウム塩との協同効果により白金族元素の抽出が
促進されるため、殆ど影響を受けることがない。従っ
て、共存元素が沈澱しない程度まで遊離塩酸濃度が低く
ても、白金族元素の抽出が可能である。
【0030】本発明方法によれば、第四アンモニウム塩
と中性抽出剤が共に白金族元素以外の金属元素に対して
も抽出力を有するため、有機相には白金族元素と共にこ
れらの金属元素も抽出される。しかし、有機相に抽出さ
れて一旦生成した白金族錯イオンと第四アンモニウムと
からなる塩は、水相中の錯塩の安定度とは異なり、いず
れの白金族元素でも非常に安定であるため、洗浄液を使
用して白金族元素以外の不純物金属元素を水相に分離
し、有機相に白金族元素のみを残すことができる。かか
る洗浄液としては、後工程に対する影響が少ない水又は
塩酸が好ましく、その濃度が低いほど多くの不純物を水
相側へ分離することができる。
【0031】白金族元素以外の不純物金属元素が分離さ
れた有機相からは、最終的に還元により白金族元素を金
属単体として析出させて回収する。この工程では、有機
相中に既に不純物金属元素が殆ど存在しない状態である
ため、不純物金属元素が共還元されるような強還元剤も
使用することができる。例えば、還元剤として、ヒドラ
ジン、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど
を使用することができる。還元反応は常温でも十分定量
的に進行し、析出した白金族元素の金属単体は有機相を
濾過することにより容易に回収することができる。
【0032】
【実施例】実施例1 下記表1に示す組成を有する白金族元素含有水溶液を、
原液として準備した。尚、原液中のCl-濃度は4.6m
ol/l、SO4 -2濃度は0.8mol/lであり、pH
は0.43であった。また、原液の酸化還元電位は、次
亜塩素酸ナトリウムにより、各試料ごとに660〜10
05mVの範囲で調整した。
【0033】
【表1】《原液の組成(g/l)》Pt Pd Rh Ir Ru Cu Se 0.14 0.24 0.021 0.049 0.053 49.0 46.3
【0034】上記原液に、抽出剤として80%塩化トリ
オクチルメチルアンモニウム(残部水)と燐酸トリブチ
ルの1:1の混合物を、相比O/A=1/4で混合し
た。抽出剤を混合した原液を10分間撹拌し、白金族元
素を有機相に抽出した。抽出終了後の抽残液(水相)の
組成と各白金族元素の抽出率を、抽出時の酸化還元電位
ごとに下記表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】この結果から分かるように、酸化還元電位
が700mVを下回ると抽出率がロジウム、イリジウ
ム、ルテニウムともに低下し、逆に1000mVを越え
ると特にルテニウムの抽出率が急激に低下した。また、
ロジウムは塩化物濃度の影響を受けやすく、上記原液の
塩化物濃度が最適濃度範囲よりやや高いため、抽出率の
絶対値は全体的に低くなったが、酸化還元電位に対する
傾向としてはルテニウムと類似であった。尚、白金及び
パラジウムは、酸化還元電位を問わず完全に抽出され
た。
【0037】実施例2 下記表3に示す組成の原液を、水で希釈して種々の塩化
物濃度の水溶液を調整した。尚、原液中のCl-濃度は
7.3mol/l、SO4 -2濃度は1.2mol/l、及
び遊離酸濃度(H+換算)は7.9mol/lであった。
また、希釈後の各水溶液の酸化還元電位は、亜塩素酸ナ
トリウムを用いて950mVに調整した。
【0038】
【表3】《原液の組成(g/l)》Pt Pd Rh Ir Ru Cu Se 0.22 0.38 0.037 0.077 0.085 77.0 73.0
【0039】上記各水溶液は、pHを0.25に調整し
た後、80%塩化トリオクチルメチルアンモニウムと燐
酸トリブチルの1:1の混合物を相比O/A=1/4で
混合し、10分間撹拌して白金族元素を有機相に抽出し
た。抽出終了後の抽残液(水相)の組成と各白金族元素
の抽出率を、各水溶液の塩化物濃度ごとに下記表4に示
した。
【0040】
【表4】
【0041】上記の結果から、白金族元素の種類によっ
て抽出に最適な塩化物濃度は異なるが、前記実施例1の
ようにロジウム及びルテニウムについては酸化還元電位
の最適化により抽出率の増大が可能であるため、イリジ
ウムの抽出率を最大にする条件に合わせると、水溶液の
塩化物濃度は2.0mol/lを越え6.8mol/l未
満の範囲が好ましいことが分かる。
【0042】実施例3 下記表5に示す組成を有する白金族元素含有水溶液を原
液とした。尚、原液中のCl-濃度は2.9mol/l、
SO4 -2濃度は0.5mol/lであり、pHは0.25
であった。また、原液の酸化還元電位は、亜塩素酸ナト
リウムにより800mVに調整した。
【0043】
【表5】《原液の組成(g/l)》Pt Pd Rh Ir Ru Cu Se 0.088 0.15 0.013 0.029 0.032 30.8 29.2
【0044】上記の原液に、80%塩化トリオクチルメ
チルアンモニウムと燐酸トリブチルの1:1の混合物を
相比O/A=1/4で混合し、10分間撹拌した。抽出
操作の終了後、有機相を分離し、得られた水相は上記と
同一組成の抽出剤の混合物により再度抽出した。このよ
うな抽出操作を合計5回繰り返した。各抽出操作毎の抽
残液(水相)中の白金族元素濃度を下記表6に示した。
【0045】
【表6】
【0046】塩化物濃度と酸化還元電位の最適化によ
り、いずれの白金族元素も抽出下限以下あるいは抽出下
限レベルまで集合的に抽出分離された。各白金族元素の
抽出率は、Ptが98%以上、Pdが99%以上、Rh
が85%、Irが93%、Ruが97%であった。
【0047】各抽出操作ごとの有機相を集め、これに
0.1mol/lの塩酸を相比O/A=1/1にて混合
し、十分に撹拌した後水相を分離した。残った有機相は
同様に塩酸と撹拌する洗浄操作を合計5回繰り返した。
各洗浄操作で分離された水相中の白金族元素濃度、及び
主要な不純物である銅とセレンの濃度を下記表7に示し
た。表7から分かるように、主要な不純物は5回の洗浄
によりほぼ完全に分離でき、しかも白金族元素は水相中
に殆ど溶出しなかった。
【0048】
【表7】 水相中の白金族元素及び不純物濃度(g/l) 洗浄回数 Pt Pd Rh Ir Ru Cu Se 1 <0.002 <0.001 0.001 0.002 0.002 18.4 2.97 2 <0.002 <0.001 <0.001 <0.002 0.001 2.79 0.98 3 <0.002 <0.001 <0.001 <0.002 0.001 0.14 0.41 4 <0.002 <0.001 <0.001 <0.002 0.001 0.008 0.18 5 <0.002 <0.001 <0.001 <0.002 <0.001 <0.001 0.09
【0049】最終的に得られた有機相は、相比O/A=
1/1にて水と混合し、水酸化ナトリウムにてpH13
に調整後、更にヒドラジンによって到達可能な最低電位
である−635mVまで還元した。析出した白金族金属
粉を濾過し、残った水相及び有機相を分析した結果を下
記表8に示した。
【0050】
【表8】
【0051】この結果から分かるように、有機相中から
白金族元素はほぼ完全に還元されて析出し、水相中への
溶出も殆ど見られなかった。また、残った有機相につい
ては、赤外分光光度計JIR−100(日本電子製)を
用いて官能基の変化を未使用品と比較した結果、いずれ
の官能基についても酸化等による破壊は観察されず、抽
出剤として繰り返し利用することが可能であった。
【0052】尚、上記いずれの実施例においてもオスミ
ウムの挙動は示されていないが、オスミウムは塩化物共
存下での抽出においてルテニウムと類似の挙動を示すこ
とが既に知られているため、本発明方法においてもルテ
ニウムと同様の挙動を示すものと考えられる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、種々の不純物を含有す
る水溶液から、溶媒抽出法によって、白金族元素を集合
して抽出分離することができ、特に酸化還元電位と塩化
物濃度の最適化により、高い抽出率で集合分離すること
ができる。また、遊離酸濃度が低い水溶液からでも、有
機相の劣化を防止しつつ、白金族元素を集合分離するこ
とができるので、工業的価値は非常に大きいものであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金族元素とハロゲン化物イオンを含有
    する水溶液を、水に難溶性の第四アンモニウム塩及び中
    性抽出剤と混合し、該水溶液中の白金族元素をまとまて
    有機相に抽出することを特徴とする溶媒抽出による白金
    族元素の集合分離方法。
  2. 【請求項2】 水に難溶性の第四アンモニウム塩が塩化
    トリオクチルメチルアンモニウムであることを特徴とす
    る、請求項1に記載の溶媒抽出による白金族元素の集合
    分離方法。
  3. 【請求項3】 中性抽出剤が燐酸トリブチルであること
    を特徴とする、請求項1又は2に記載の溶媒抽出による
    白金族元素の集合分離方法。
  4. 【請求項4】 抽出時の酸化還元電位を、銀/塩化銀電
    極に対して700〜1000mVに維持することを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれかに記載の溶媒抽出によ
    る白金族元素の集合分離方法。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化物イオンが塩化物イオンであ
    り、該塩化物イオン濃度が2.0mol/lを越え、6.
    8mol/l未満であることを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれかに記載の溶媒抽出による白金族元素の集合
    分離方法。
  6. 【請求項6】 抽出後の有機相を水又は塩酸により洗浄
    し、白金族元素以外の不純物金属元素を水相に分離する
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の溶
    媒抽出による白金族元素の集合分離方法。
  7. 【請求項7】 洗浄後の有機相を還元剤で処理すること
    により、白金族元素を金属単体として分離回収すること
    を特徴とする、請求項6に記載の溶媒抽出による白金族
    元素の集合分離方法。
JP36207998A 1998-12-21 1998-12-21 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法 Expired - Lifetime JP3815093B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36207998A JP3815093B2 (ja) 1998-12-21 1998-12-21 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36207998A JP3815093B2 (ja) 1998-12-21 1998-12-21 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000178664A true JP2000178664A (ja) 2000-06-27
JP3815093B2 JP3815093B2 (ja) 2006-08-30

Family

ID=18475840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36207998A Expired - Lifetime JP3815093B2 (ja) 1998-12-21 1998-12-21 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3815093B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010174327A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Nippon Mining & Metals Co Ltd Tbp中のイリジウムを逆抽出する方法。
JP2011208249A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Mitsubishi Materials Corp 白金族元素の分離方法
JP2011208248A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Mitsubishi Materials Corp 白金族元素の分離方法
JP2012233225A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 白金及びパラジウムの回収方法
EP2491150A4 (en) * 2010-07-23 2017-05-10 Metals Recovery Technology Inc. Process for recovery of precious metals
CN114182106A (zh) * 2021-11-25 2022-03-15 北京科技大学 一种铁合金中铂族金属分离提纯的方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010174327A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Nippon Mining & Metals Co Ltd Tbp中のイリジウムを逆抽出する方法。
JP2011208249A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Mitsubishi Materials Corp 白金族元素の分離方法
JP2011208248A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Mitsubishi Materials Corp 白金族元素の分離方法
EP2491150A4 (en) * 2010-07-23 2017-05-10 Metals Recovery Technology Inc. Process for recovery of precious metals
JP2012233225A (ja) * 2011-04-28 2012-11-29 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 白金及びパラジウムの回収方法
CN114182106A (zh) * 2021-11-25 2022-03-15 北京科技大学 一种铁合金中铂族金属分离提纯的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3815093B2 (ja) 2006-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3741117B2 (ja) 白金族元素の相互分離方法
RU2494159C1 (ru) Способ извлечения благородных металлов
JP4144311B2 (ja) 白金族元素の分離回収方法
JP3879126B2 (ja) 貴金属製錬方法
WO2005083131A1 (ja) パラジウムの抽出剤及びパラジウムの分離回収方法
JP5825484B2 (ja) 白金族金属の回収方法
JP3815093B2 (ja) 溶媒抽出による白金族元素の集合分離方法
JP2012246198A (ja) セレンの湿式法による精製方法
JP4116490B2 (ja) 高純度の白金族の回収方法
JP3826603B2 (ja) テルルの分離精製方法
JP2021143378A (ja) 白金族元素の相互分離方法
JP2015113503A (ja) 遷移金属含有水溶液中のセレンおよびテルルを分離回収する方法
JP6636819B2 (ja) 金属含有酸性水溶液の処理方法
JP7400443B2 (ja) 白金族元素の相互分離方法
EP1577408B2 (en) Method for separating platinum group elements from selenum/tellurium bearing materials
JP3975901B2 (ja) イリジウムの分離精製方法
JP4158706B2 (ja) 白金族含有溶液から金を分離する処理方法および製造方法
JP4281534B2 (ja) セレンテルル白金族含有物の処理方法
JPH10265863A (ja) 製錬残渣からの貴金属回収方法
JP2011195935A (ja) 白金族元素の分離回収方法
JP3480216B2 (ja) 白金とルテニウムとの分離方法
JP6756235B2 (ja) ビスマスの回収方法
JP4506041B2 (ja) 塩化ニッケル溶液からのオスミウムとルテニウムの除去方法
CN108467947A (zh) 一种高铋贵金属精矿的处理方法
RU2200132C1 (ru) Способ извлечения и разделения металлов платиновой группы

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100616

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100616

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110616

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130616

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140616

Year of fee payment: 8

EXPY Cancellation because of completion of term