JP2000177571A - マスタシリンダおよびこのマスタシリンダを用いた液圧発生装置 - Google Patents

マスタシリンダおよびこのマスタシリンダを用いた液圧発生装置

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JP2000177571A
JP2000177571A JP35498098A JP35498098A JP2000177571A JP 2000177571 A JP2000177571 A JP 2000177571A JP 35498098 A JP35498098 A JP 35498098A JP 35498098 A JP35498098 A JP 35498098A JP 2000177571 A JP2000177571 A JP 2000177571A
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master cylinder
piston
hole
chamber
hydraulic
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JP35498098A
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Masahiro Shimada
島田昌宏
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Bosch Corp
Bosch Braking Systems Corp
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Bosch Braking Systems Co Ltd
Bosch Braking Systems Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】補給液通路のための部品点数をできるだけ削減
して構造を簡素化する。 【解決手段】後端開口部を有する筒状のマスタシリンダ
用ハウジング70の内部にスリーブ68が配設され、こ
のスリーブ68を軸方向に支持するキャップ69がハウ
ジング70に、その後端開口部を閉塞するように螺合さ
れている。プライマリピストン43の前端部に穿設され
た径方向孔58は、プライマリピストン43の外周面と
第3孔7内周面との間の隙間、第2および第3カップシ
ール46,47の間のキャップ69に穿設された通路孔
59、ハウジング70に穿設された通路孔60を介して
マスタシリンダ用リザーバ61に連通されている。キャ
ップ69の通路孔59は、径方向に延びる円周溝59a
とこの円周溝59aから連続して軸方向に延びる傾斜孔
59bとから構成され、これらの通路孔59と通路孔6
0とでプライマリ室52への補給液通路が構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作手段の操作力
でマスタシリンダ圧を発生するマスタシリンダおよびこ
のマスタシリンダと液圧により操作手段の操作力を所定
の大きさに倍力させて出力してマスタシリンダを作動さ
せる液圧倍力装置とを一体に組み立てた液圧発生装置の
技術分野に属し、特に、部品点数が少なくかつ簡素な構
造のマスタシリンダおよびこのマスタシリンダを用いた
液圧発生装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のブレーキシステムに用いられて
いるマスタシリンダとして、従来、後端開口部を有する
筒状のマスタシリンダ用ハウジングに、筒状のキャップ
が後端開口部を閉塞するように取り付け、このキャップ
に、作動時にマスタシリンダ圧が発生する液圧室とブレ
ーキ液を蓄えるリザーバとを接続する補給液通路が形成
されているマスタシリンダがある。このようなマスタシ
リンダの一例として、特開平6−305409号公報に
開示されているマスタシリンダがある。
【0003】この公開公報に開示されているマスタシリ
ンダでは、ハウジングの開口部を閉塞するキャップ内に
ピストンガイドが挿入されているとともに、補給液通路
がこのピストンガイドに設けられた径方向に延びる通路
と、この通路に連続してキャップとマスタシリンダピス
トンを案内するスリーブとの間に形成された軸方向に延
びる隙間とで構成されている。
【0004】また、同公開公報に開示されている他のマ
スタシリンダでは、ピストンガイドが省略されており、
代わりに、補給液通路がキャップを径方向に貫通する貫
通孔と、この貫通孔に連続して軸方向に延びる傾斜孔と
から構成されている。その場合、貫通孔の外部開口端は
スチールボールで閉塞されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公
開公報に開示されている一方のマスタシリンダでは、ピ
ストンガイドが必要となっているとともに、他方のマス
タシリンダではスチールボールが必要となっている。こ
のため、補給液通路を構成するために部品点数が多くな
ることを余儀なくされ、その分、構造が複雑となってい
る。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、その目的は、補給液通路のための部品
の点数をできるだけ削減して構造を簡素化できるマスタ
シリンダおよびこのマスタシリンダと液圧倍力装置との
一体組立体の部品の点数もできるだけ削減して構成をコ
ンパクトにできる液圧発生装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、請求項1の発明のマスタシリンダは、液を蓄える
リザーバと、後端開口部を有する筒状のマスタシリンダ
用ハウジングと、このマスタシリンダ用ハウジングに、
その後端開口部を閉塞するように取り付けられたキャッ
プと、このキャップを液密にかつ摺動可能に貫通するマ
スタシリンダピストンと、このマスタシリンダピストン
の作動時にマスタシリンダ圧が発生されるマスタシリン
ダ液圧室と、前記マスタシリンダピストンの非作動時に
前記マスタシリンダ液圧室と前記リザーバとを連通する
補給液通路とからなるマスタシリンダにおいて、前記補
給液通路の少なくとも一部は、前記キャップに設けられ
た、前記マスタシリンダ液圧室に連通可能な径方向の円
周溝と、前記キャップにこの円周溝に連続して設けられ
た、前記リザーバに連通する軸方向の傾斜孔とから構成
されていることを特徴としている。
【0008】また、請求項2の発明の液圧発生装置は、
請求項1記載のマスタシリンダと、前記マスタシリンダ
用ハウジングに連結される液圧倍力装置用ハウジング、
この液圧倍力装置用ハウジング内に設けられかつ液圧源
からの液圧が供給される動力室、前記液圧倍力装置用ハ
ウジング内に設けられかつ前記動力室の液圧で作動して
出力するパワーピストン、操作時に加えられる入力で作
動する入力軸、およびこの入力軸で作動制御されかつ前
記動力室への液圧源からの液圧の供給排出を制御して前
記動力室に前記入力軸の入力に応じた動力室圧を発生さ
せる制御弁を少なくとも備えた液圧倍力装置とからな
り、前記マスタシリンダピストンの一部が前記液圧倍力
装置用ハウジング内に配設されているとともに、このマ
スタシリンダピストンの後端部に形成された孔内に前記
パワーピストンの前端部が遊嵌されていることを特徴と
している。
【0009】更に、請求項3の発明は、前記マスタシリ
ンダピストンを非作動位置にリターンさせるリターンス
プリングが設けられているとともに、このリターンスプ
リングで前記パワーピストンも非作動位置にリターンさ
せるようになっていることを特徴としている。
【0010】
【作用】このような構成をした本発明のマスタシリンダ
においては、マスタシリンダ液圧室への補給液通路の少
なくとも一部が、キャップに形成された円周溝とこの円
周溝に連続して設けられた軸方向に延びる傾斜孔とで形
成されるようになる。したがって、前述の従来のような
ピストンガイドやキャップを径方向に貫通する貫通孔を
塞ぐスチールボール等の部品が不要となり、部品点数が
削減されるとともに、構造が簡素化される。
【0011】また、本発明の液圧倍力装置においては、
マスタシリンダのマスタシリンダピストンの一部が液圧
倍力装置用ハウジング内に配設されるとともに、パワー
ピストンの前端部がマスタシリンダピストンの後端部の
孔内に遊嵌されるようになる。したがって、液圧倍力装
置とマスタシリンダとの一体組立体の全長がより短くな
り、しかも、マスタシリンダの構造簡素化と相俟って、
この一体組立体全体は効果的にコンパクトに構成される
ようになる。
【0012】更に、本発明の液圧発生装置においては、
液圧倍力装置のパワーピストンのリターンがマスタシリ
ンダのマスタシリンダピストンのリターンスプリングで
行われるようになる。したがって、パワーピストン専用
のリターンスプリングが不要となり、更に部品点数が削
減されるとともに、マスタシリンダと液圧倍力装置との
一体組立体の構造が更に効果的に簡素化される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1は本発明に係る液圧発生
装置の実施の形態の一例が適用されたブレーキ液圧発生
装置の断面図、図2は図1の部分拡大断面図、図3は図
1に示すブレーキ液圧発生装置に用いられている反力ピ
ストンの断面図、図4は図1の部分拡大断面図である。
【0014】図1ないし図4に示すように、この例のブ
レーキ液圧発生装置1は、液圧倍力装置2とこの液圧倍
力装置2の出力によって作動されるマスタシリンダ3と
が一体的に連結されている。その場合、液圧倍力装置用
ハウジング4に、右端に開口する第1孔5と、この第1
孔5の左端に連続して形成され、第1孔5の径より小さ
い径の第2孔6とがそれぞれ穿設され、また、マスタシ
リンダ3のキャップ69に第3孔7が穿設され、更に、
マスタシリンダ3のスリーブ68に第4孔8が穿設さ
れ、更に、マスタシリンダ用ハウジング70に第5孔9
が穿設されている。これらの第1ないし第5孔5,6,
7,8,9は1つの段付孔として形成されており、それら
のうち、第2ないし第4孔6,7,8が等径に設定されて
いる。
【0015】まず、液圧倍力装置2について説明する
と、第1孔5の右端はプラグ10によって液密に閉塞さ
れており、このプラグ10は液圧倍力装置用ハウジング
4に螺合されたナット11によって第1孔5および第2
孔6の段部に当接されてハウジング4に固定されてい
る。
【0016】第2孔6内には液圧倍力装置2のパワーピ
ストン12が配設されており、このパワーピストン12
は、後側が大径部12aで前側が小径部12bの段付ピ
ストンとして構成されており、大径部12aが第2孔6
内に、この大径部12aの外周面に設けられたOリング
により液密にかつ摺動可能に嵌合されている。
【0017】パワーピストン12には、このパワーピス
トン12の後端に開口する第6孔13と、この第6孔1
3の左端に連続して形成されるとともに左端が閉塞され
た、第6孔13の径より小さい径の第7孔14とがそれ
ぞれ穿設され、これらの第6および第7孔13,14は
1つの段付孔として形成されている。第7孔14内には
筒状の弁座部材15が液密に配設されており、この弁座
部材15のフランジ部15aは、第6孔13内に嵌入さ
れた筒状固定部材16を介してパワーピストン12の右
端に螺合されたナット17によってパワーピストン12
に固定されている。弁座部材15のフランジ部15aの
後端面には、所定数の径方向の溝15bが形成されてい
る。
【0018】第7孔14内には、ボール弁18を支持し
た弁体19が摺動可能に配設されており、この弁体19
はバルブスプリング20によりボール弁18が弁座部材
15の第1弁座15cに着座する方向に常時付勢されて
いる。また、弁座部材15の軸方向孔15d内には、ボ
ール弁18に当接可能な第2弁座21aを先端に有する
筒状部材21が配設されている。この筒状部材21は、
入力軸22の前端部に嵌合固定された筒状ストッパ部材
23の軸方向孔に嵌合されているとともに、弁座部材1
5と筒状部材21との間に縮設されたスプリング24に
よって筒状ストッパ部材23に固定されている。入力軸
22と筒状ストッパ部材23とは、プラグ10の筒状突
出部10aの軸方向孔10bを貫通している。更に、入
力軸22はプラグ10を液密にかつ摺動可能に貫通して
おり、この入力軸22の後端は、図示しないがブレーキ
ペダルに連結されるようになっている。そして、図示す
るように筒状ストッパ部材23のフランジ部23aがプ
ラグ10の筒状突出部10aの先端10cに当接するこ
とにより、筒状部材21、入力軸22および筒状ストッ
パ部材23の各後退限がそれぞれ規定されている。
【0019】入力軸22と筒状ストッパ部材23の各外
周とプラグ10の筒状突出部10aの軸方向孔10bの
内周との間に、筒状の反力ピストン25がいずれにも摺
動可能に嵌合されている。図3に示すように、この反力
ピストン25の図3において左端部には、第1フランジ
部25aと第2フランジ部25bとが設けられており、
第1フランジ部25aの左側部は、筒状ストッパ部材2
3のフランジ部23aが当接可能となっており、このフ
ランジ部23aが当接することにより、反力ピストン2
5に対してこの筒状ストッパ部材23のそれ以上の後退
を阻止するストッパ部25cとされている。
【0020】また、第2フランジ部25bの右側部は、
反力ピストン25がパワーピストン12に対して所定量
後退移動したとき、筒状固定部材16の段部16aに係
合する係合部25dとされている。更に、反力ピストン
25の右端25eは、入力軸22の段部22aに当接可
能となっている。そして、反力ピストン25の第2フラ
ンジ部25bと筒状固定部材16との間にスプリング2
6が縮設されており、このスプリング26のばね力によ
り、通常時は反力ピストン25の第2フランジ部25b
は弁座部材15のフランジ部15aの後面に当接されて
いる。
【0021】更に液圧倍力装置用ハウジング4には、圧
液が導入される入力口27と、この入力口27と第2孔
6とを連通する通路孔28とが設けられているととも
に、パワーピストン12の外周にこの通路孔28に連通
する環状溝29が設けられ、更にパワーピストン12に
この環状溝29と第7孔14の弁座部材15より弁体1
9側との間を連通する通路孔30が穿設されている。こ
れらの入力口27、通路孔28、環状溝29、および通
路孔30により、液圧供給通路が構成されている。
【0022】プラグ10とパワーピストン12の後端と
の間の第2孔6内には、動力室31が形成されており、
この動力室31は弁座部材15の軸方向孔15dに常時
連通されている。この動力室31内に、筒状ストッパ部
材23のフランジ部23aおよび反力ピストン25の第
1および第2フランジ部25a,25bがそれぞれ位置
されている。なお、プラグ10の筒状突出部10aの外
周面と筒状固定部材16のスプリング支持部の内周面と
の間に軸方向溝(不図示)が設けられていて、筒状固定
部材16の軸方向両側で作動液が自由に流動可能となっ
ている。また、動力室31は、ハウジング4に穿設され
た通路孔32を介して図示しない出力口に常時連通され
ているとともに、この出力口は2ブレーキ系統のうちの
一方の系統における図示しないホイールシリンダに常時
連通されている。
【0023】更に、左右両端に開口する筒状部材21の
軸方向孔21bは、入力軸22に穿設された軸方向通路
孔33および径方向の通路孔34、プラグ10に形成さ
れた環状溝35および径方向の通路孔36、プラグ10
とハウジング4との間に形成された環状空間37、液圧
倍力装置用ハウジング4に穿設された軸方向の通路孔3
8を介して排出口39に常時連通されており、この排出
口39は図示しない液圧倍力装置用リザーバに常時連通
されている。
【0024】更に、図示しないが従来の一般的な液圧ブ
レーキシステムと同様に、入力口27と液圧倍力装置用
リザーバとを接続する液圧回路に、液圧ポンプとこの液
圧ポンプの吐出側にチェックバルブを介してアキュムレ
ータとがそれぞれ設けられている。アキュムレータに
は、液圧ポンプの吐出圧によって常時所定圧が蓄えられ
ているとともに、このアキュムレータの蓄圧が入力口2
7に常時導入されている。
【0025】そして、ブレーキペダルが踏み込まれない
ブレーキ非操作時は、ボール弁18、弁座部材15の第
1弁座15cおよび筒状部材21の第2弁座21aは、
図1および図2に示す位置関係にある。すなわち、ボー
ル弁18が弁座部材15の第1弁座15cに着座してい
るとともに、ボール弁18が筒状部材21の第2弁座2
1aから離座しており、この状態では入力口27に常時
連通している通路孔30と弁座部材15の軸方向孔15
dとが遮断されているとともに、弁座部材15の軸方向
孔15dと排出口39と常時連通している筒状部材21
の軸方向孔21bとが連通している。したがって、ブレ
ーキ非操作時は、動力室31が液圧ポンプおよびアキュ
ムレータから遮断されているとともに液圧倍力装置用リ
ザーバに連通し、動力室には圧液が供給されない。
【0026】また、ブレーキペダルが踏み込まれたブレ
ーキ操作時は、入力軸22が前進し、筒状部材21の第
2弁座21aがボール弁18に当接してボール弁18が
第2弁座21aに着座するとともに、ボール弁18が弁
座部材15の第1弁座15cから離座するので、この状
態では弁座部材15の軸方向孔15dと筒状部材21の
軸方向孔21bとが遮断されるとともに、通路孔30と
弁座部材15の軸方向孔15dとが連通する。したがっ
て、ブレーキ操作時は、動力室31が液圧倍力装置用リ
ザーバから遮断されるとともに液圧ポンプおよびアキュ
ムレータに連通し、動力室31にアキュムレータの圧液
が供給される。このように、ボール弁18、弁座部材1
5の第1弁座15cおよび筒状部材21の第2弁座21
aにより、動力室31を液圧ポンプおよびアキュムレー
タの液圧源または液圧倍力装置用リザーバのいずれかに
選択的に切換制御する液圧倍力装置2の制御弁40が構
成されている。更に、動力室31は、パワーピストン1
2に穿設された軸方向の通路孔41を介して弁体19の
左端に面する室42に常時連通されている。
【0027】一方、マスタシリンダ3について説明する
と、図1および図4に示すように、マスタシリンダ3は
後端開口部を有する筒状のマスタシリンダ用ハウジング
70を備えており、このマスタシリンダ用ハウジング7
0の内部にスリーブ68が配設されているとともに、こ
のスリーブ68をマスタシリンダ用ハウジング70との
間で軸方向に支持するキャップ69がマスタシリンダ用
ハウジング70に、その後端開口部を閉塞するように螺
合されている。このマスタシリンダ3は、互いに有効受
圧面積が等しく設定されたプライマリピストン43とセ
カンダリピストン44とを有するタンデムマスタシリン
ダとして構成されている。
【0028】プライマリピストン43は、図2および図
4に示すように、液圧倍力装置用ハウジング4の第2孔
6、キャップ69の第3孔7およびスリーブ68の第4
孔8内に配設されている。すなわち、プライマリピスト
ン43の一部が液圧倍力装置2用のハウジングである液
圧倍力装置用ハウジング4内に配設されている。このプ
ライマリピストン43は液圧倍力装置用ハウジング4の
第2孔6の内周面に設けられた第1カップシール45、
キャップ69の第3孔7の内周面に設けられた第2カッ
プシール46、およびスリーブ68およびキャップ69
の間に配設され、キャップ69の第3孔7の内周面に設
けられた第3カップシール47により液密にかつ摺動可
能にこれらの孔6,7,8に設けられている。第3カップ
シール47は、その前側から後側への液の流れを阻止し
かつその逆の流れを許容するようになっている。
【0029】プライマリピストン43の後端部に穿設さ
れた第8孔48には、パワーピストン12の小径部12
bが遊嵌されている。このパワーピストン12の小径部
12bの先端には調整部材49が設けられており、この
調整部材49は、小径部12bの先端中央に穿設された
孔12cに嵌合、固定された円柱部材49aと、この円
柱部材49aに外嵌されて円柱部材49aの孔12cか
らの脱落を防止するためのOリングやゴムリング等の弾
性部材49bとからなっている。この調整部材49はマ
スタシリンダ3のプライマリピストン43に当接してパ
ワーピストン12とプライマリピストン43およびセカ
ンダリピストン44との位置調整を行うものである。
【0030】セカンダリピストン44はハウジング4の
スリーブ68の第4孔8、およびマスタシリンダ用ハウ
ジング70の第5孔9内に配設されている。このセカン
ダリピストン44はスリーブ68の第4孔8の内周面に
設けられた第4カップシール50およびマスタシリンダ
用ハウジング70とスリーブ68との間に配設され、マ
スタシリンダ用ハウジング70の第5孔9の内周面に設
けられた第5カップシール51により液密にかつ摺動可
能にこれらの孔8,9に設けられている。第5カップシ
ール51は、その前側から後側への液の流れを阻止しか
つその逆の液の流れを許容するようになっている。
【0031】プライマリピストン43とセカンダリピス
トン44との間にはプライマリ室52が形成されている
とともに、プライマリスプリングリテーナ53によって
最大長が規制されたプライマリリターンスプリング54
が縮設されている。また、マスタシリンダ用ハウジング
70とセカンダリピストン44との間の第5孔9には、
セカンダリ室55が形成されているとともに、セカンダ
リスプリングリテーナ56によって最大長が規制された
セカンダリリターンスプリング57が縮設されている。
その場合、プライマリリターンスプリング54のばね力
よりセカンダリリターンスプリング57のばね力が大き
く設定されている。
【0032】プライマリピストン43の前端部には径方
向孔58が穿設されており、この径方向孔58は、プラ
イマリピストン43の外周面と第3孔7内周面との間の
隙間、第2および第3カップシール46,47の間のキ
ャップ69に穿設された通路孔59、マスタシリンダ用
ハウジング70に穿設された通路孔60を介してマスタ
シリンダ用リザーバ61に連通可能となっている。キャ
ップ69の通路孔59は、キャップ69の第3孔7に開
口する径方向に延びる円周溝59aと、この円周溝59
aから連続して軸方向に延びる傾斜孔59bとから構成
されている。そして、通路孔59と通路孔60とによ
り、プライマリ室52へのブレーキ液の補給液通路が構
成されている。
【0033】プライマリピストン43の図示の非作動位
置では、径方向孔58が第3カップシール47より若干
後方に位置しており、このときは、プライマリ室52が
マスタシリンダ用リザーバ61に連通するが、プライマ
リピストン43の前進で径方向孔58が第3カップシー
ル47より前方に位置したときは、プライマリ室52と
マスタシリンダ用リザーバ61とが、プライマリ室52
からマスタシリンダ用リザーバ61に向かう方向には遮
断され、プライマリ室52にはマスタシリンダ圧が発生
するようになっている。
【0034】また、セカンダリピストン44の前端部に
は径方向孔62が穿設されており、この径方向孔62
は、セカンダリピストン44の外周面と第4孔8内周面
との間の隙間、第4および第5カップシール50,51
の間のスリーブ68に穿設された通路孔63、マスタシ
リンダ用ハウジング70に穿設された通路孔64を介し
てマスタシリンダ用リザーバ61に連通可能となってい
る。そして、通路孔63と通路孔64とにより、セカン
ダリ室55へのブレーキ液の補給液通路が構成されてい
る。
【0035】セカンダリピストン44の図示の非作動位
置では、径方向孔62が第5カップシール51より若干
後方に位置しており、このときは、セカンダリ室55が
マスタシリンダ用リザーバ61に連通するが、セカンダ
リピストン44の前進で径方向孔62が第5カップシー
ル51より前方に位置したときは、セカンダリ室55と
マスタシリンダ用リザーバ61とが、セカンダリ室55
からマスタシリンダ用リザーバ61に向かう方向には遮
断され、セカンダリ室55にはマスタシリンダ圧が発生
するようになっている。
【0036】プライマリ室52は、スリーブ68に穿設
された孔65およびマスタシリンダ用ハウジング70に
穿設されたプライマリ出力口66を介して2ブレーキ系
統のうちの一方の系統のホイールシリンダに接続されて
いるとともに、セカンダリ室55が、マスタシリンダ用
ハウジング70に穿設されたセカンダリ出力口67を介
して2ブレーキ系統の他方の系統の図示しないホイール
シリンダに接続されている。
【0037】ところで、この例のブレーキ液圧発生装置
1は、液圧倍力装置2の動力室31の動力室圧とマスタ
シリンダ3のプライマリ室52およびセカンダリ室55
のマスタシリンダ圧とが2ブレーキ系統のホイールシリ
ンダに供給される、いわゆるセミフルパワーブレーキシ
ステムに用いられていることから、動力室圧とマスタシ
リンダ圧とが同圧になるようにする必要がある。そのた
めに、パワーピストン12の有効受圧面積とプライマリ
ピストン43およびセカンダリピストン44の各有効受
圧面積とを単純に等しくすることが考えられる。しか
し、パワーピストン12の外周面の環状溝29に、液圧
源であるアキュムレータの蓄圧が入力口27を通して常
時作用しているなどで、パワーピストン12の摺動抵抗
がプライマリピストン43およびセカンダリピストン4
4の各摺動抵抗より大きいため、このように各有効受圧
面積を単純に等しくすると、動力室圧の方がマスタシリ
ンダ圧より高くなってしまう。そこで、この例のブレー
キ液圧発生装置1では、プライマリピストン43および
セカンダリピストン44の各有効受圧面積がパワーピス
トン12の有効受圧面積より小さくされていて、動力室
圧とマスタシリンダ圧とが同圧になるようにされてい
る。
【0038】また、この例のブレーキ液圧発生装置1で
は、液圧倍力装置2とマスタシリンダ3とが別体に形成
されているが、その場合、液圧倍力装置2におけるパワ
ーピストン12の専用のリターンスプリングが省略され
ている。そして、パワーピストン12を非作動位置にリ
ターンさせるために、マスタシリンダ3におけるプライ
マリピストン43のプライマリリターンスプリング54
およびセカンダリピストン44のセカンダリリターンス
プリング57が兼用されている。このように、マスタシ
リンダ3のリターンスプリングがパワーピストン12の
リターンのために兼用されることで、パワーピストン1
2の専用のリターンスプリングが不要となるとともに、
この専用のリターンスプリングを配設するスペースも不
要となるので、部品点数が削減されて、ブレーキ液圧発
生装置1の簡素化および小型化が図れるようにされてい
る。
【0039】次に、このように構成されたこの例のブレ
ーキ液圧発生装置1の作動について説明する。ブレーキ
ペダルが踏み込まれないブレーキ非操作時には、入力軸
22が前進しなく、制御弁40は前述のように図1およ
び図2に示す非作動状態にある。したがって、動力室3
1にはアキュムレータからの圧液が供給されないので、
パワーピストン12は作動しなく、液圧倍力装置2は出
力しない。また、反力ピストン25の右端25eは、入
力軸22の段部22aから離隔しているとともに、筒状
ストッパ部材23のフランジ部23aが筒状突出部10
aの先端10cに当接して反力ピストン25の第1フラ
ンジ部25aのストッパ部25cから離隔し、このスト
ッパ部25cより前進した位置となっている。
【0040】更に、マスタシリンダ3は作動しなく、図
4に示すようにプライマリピストン43の径方向孔58
は第3カップシール47より後方にあり,プライマリ室
52は径方向孔58および通路孔59,60を介してマ
スタシリンダ用リザーバ61に連通している。更に、セ
カンダリピストン44の径方向孔62は第5カップシー
ル51より後方にあり,セカンダリ室55は径方向孔6
2および通路孔63,64を介してマスタシリンダ用リ
ザーバ61に連通している。したがって、プライマリ室
52およびセカンダリ室55には、マスタシリンダ圧は
発生していない。
【0041】ブレーキペダルの踏込によりブレーキ操作
が行われると、入力軸22、筒状ストッパ部材23およ
び筒状部材21が前進し、前述のようにボール弁18が
第2弁座21aに着座するとともに第1弁座15cから
離座して、制御弁40が切り換わる。これにより、動力
室31が液圧倍力装置用リザーバから遮断されかつアキ
ュムレータに連通されるので、この動力室31内にアキ
ュムレータからの圧液が導入される。動力室31内に導
入された圧液がパワーピストン12の摺動抵抗およびプ
ライマリリターンスプリング54のばね力に打ち勝つ圧
力になると、この圧液によりパワーピストン12が前進
し、液圧倍力装置2が出力するとともに、プライマリピ
ストン43が前進してその径方向孔58が第3カップシ
ール47を通過し、プライマリ室52にマスタシリンダ
圧が発生する。同時に、動力室31内の圧液が通路孔3
2を介して一方の系統の両ホイールシリンダに導入され
る。さらに、プライマリ室52に発生したマスタシリン
ダ圧により、セカンダリピストン44が前進してその径
方向孔62が第5カップシール51を通過し、セカンダ
リ室55にもマスタシリンダ圧が発生する。セカンダリ
室55に発生したマスタシリンダ圧は、セカンダリ出力
口67から他方の系統の両ホイールシリンダに導入され
る。
【0042】そして、前述のように動力室31の動力室
圧、プライマリ室52およびセカンダリ室55の各マス
タシリンダ圧は同圧となっていて、各ホイールシリンダ
にはともに等しい液圧の圧液が供給され、2ブレーキ系
統のブレーキ圧は等しくなっている。更に、動力室31
内の圧液は軸方向通路孔41を介して室42内にも導入
され、この室42内の液圧により弁体19は入力軸22
の入力に抗する方向に付勢される。
【0043】動力室31内の液圧により反力ピストン2
5がスプリング26のばね力に抗してパワーピストン1
2および入力軸22に対して右方へ相対変位されるが、
各ホイールシリンダのロスストロークがあって実質的に
これら各ホイールシリンダがブレーキ力を発生しない作
動初期においては、反力ピストン25の後端25eが入
力軸22の段部22aに当接するまでには至らない。こ
のように、反力ピストン25の右端25eが入力軸22
の段部22aに当接しないので、入力軸22は反力ピス
トン25から何らの力も作用されない。したがって、入
力軸22は、その先端にある筒状ストッパ部材23およ
び筒状部材21の比較的小さな有効受圧面が受ける動力
室31内の液圧による力が作用されるようになり、この
力が反力として運転者に伝えられる。
【0044】入力軸22の反力が入力軸22の入力に等
しくなると、ボール弁18が第1弁座15cおよび第2
弁座21aのいずれにも着座し、動力室31はアキュム
レータおよび液圧倍力装置用リザーバのいずれからも遮
断される。入力軸22の入力が更に上昇すると、再びボ
ール弁18が第1弁座15cから再び離座し、動力室3
1には更にアキュムレータの圧液が供給され、動力室3
1内の液圧が更に上昇する。以後、ボール弁18が第1
弁座15cに対する着座および離座を繰り返すことによ
り、動力室31内の液圧が入力軸22の入力の上昇にし
たがって、所定の倍力比で連続的に上昇する。
【0045】各ホイールシリンダのロスストローク中
は、反力ピストン25の右端の25eが入力軸22の段
部22aに当接していないので、動力室31内の液圧が
作用する入力軸22の有効受圧面積が小さく、したがっ
てこのときの倍力比は大きい。このため、液圧倍力装置
2の出力は大きな倍力比で入力軸22の入力に対してき
わめて大きく上昇し、液圧倍力装置2はいわゆるジャン
ピング作用を行うようになる。
【0046】動力室31内の液圧が更に上昇してパワー
ピストン12が更に前進し、各ホイールシリンダのロス
ストロークが解消すると、各ホイールシリンダがブレー
キ力を発生し、実質的に2ブレーキ系統のブレーキが作
動するようになる。この状態では、上昇した動力室31
内の液圧により反力ピストン25の右端25eが入力軸
22の段部22aに当接し、反力ピストン25は動力室
31内の液圧による付勢力で入力軸22に力を入力軸2
2の入力に対抗するように作用する。したがって、入力
軸22に作用される反力が大きくなり、液圧倍力装置2
の出力は入力軸22の入力に対してロスストローク中よ
りは小さく上昇し、ジャンピング作用が終了する。
【0047】以後、液圧倍力装置2は反力が大きくなる
ことから通常の比較的小さな倍力比で入力軸22の入力
を倍力して出力するとともに、動力室31内の液圧がこ
の倍力比に対応した液圧となる。そして、動力室31内
の圧液が一方の系統のホイールシリンダに供給されると
ともに、液圧倍力装置2の出力でマスタシリンダ3がマ
スタシリンダ圧を発生し、セカンダリ室55に発生した
マスタシリンダ圧が他方の系統のホイールシリンダに供
給され、各系統の各ホイールシリンダはそれぞれ入力軸
22の入力に対して大きなブレーキ力を発生し、このブ
レーキ力でブレーキが作動する。
【0048】ブレーキペダルを解放してブレーキ作動を
解除すると、入力軸22、筒状ストッパ部材23および
筒状部材21がともに右方へ後退し、前述のように制御
弁40の第2弁座21aがボール弁18から離隔して切
り換わり、動力室31が弁座部材15の軸方向孔15
d、ボール弁18と第2弁座21aとの間の間隙、筒状
部材21の軸方向孔21b、入力軸22の軸方向通路孔
33および径方向通路孔34、プラグ10の環状溝35
および径方向通路孔36、プラグ10とハウジング4と
の間の環状空間37、液圧倍力装置用ハウジング4の軸
方向通路孔38、および排出口39を通って液圧倍力装
置用リザーバに連通し、動力室31内の圧液は液圧倍力
装置用リザーバに排出される。このとき、筒状ストッパ
部材23のフランジ部23aが、反力ピストン25のス
トッパ部25cに当接するまで、入力軸22が大きく後
退するので、第2弁座21aがボール弁18から大きく
離隔し、制御弁40が大きく開くようになる。したがっ
て、動力室31内の圧液は迅速に排出され、動力室31
内の液圧が低下する。
【0049】動力室31内の圧液の排出により、一方の
系統のホイールシリンダの圧液も迅速に動力室31を通
って液圧倍力装置用リザーバに排出されるとともに、セ
カンダリ室55およびセカンダリリターンスプリング5
7のばね力により、プライマリピストン43、セカンダ
リピストン44およびパワーピストン12が迅速にとも
に迅速に後退する。プライマリピストン43およびセカ
ンダリピストン44の後退で、径方向孔58および径方
向孔62がそれぞれ第3カップシール47および第5カ
ップシール51を通過して再び第3カップシール47お
よび第5カップシール51の後方に位置するので、プラ
イマリ室52およびセカンダリ室55がともに再びマス
タシリンダ用リザーバ61に連通する。このため、他方
の系統のホイールシリンダの圧液も迅速にセカンダリ室
55を通ってマスタシリンダ用リザーバ61に排出され
る。これにより、両ブレーキ系統のブレーキが迅速に解
除開始される。
【0050】動力室31内の液圧が所定圧に低下する
と、スプリング26のばね力により反力ピストン25が
パワーピストン12および入力軸22に対して相対的に
前進して弁座部材15のフランジ部15aに当接すると
ともに、反力ピストン25の右端25eが入力軸33の
段部22aから離隔する。
【0051】ブレーキ解除がほぼ終了するまで入力軸2
2が更に後退すると、筒状ストッパ部材23のフランジ
部23aがプラグ10の筒状突出部10aの先端10c
に当接することにより、入力軸22、筒状ストッパ部材
23および筒状部材21の後退が停止し、入力軸22、
筒状ストッパ部材23および筒状部材21はともに後退
限となる。しかしながら、入力軸22、筒状ストッパ部
材23および筒状部材21の後退が停止しても、パワー
ピストン12、反力ピストン25、ボール弁18および
弁座部材15は、ともに更に後退を続ける。このため、
筒状ストッパ部材23のフランジ部23aが反力ピスト
ン25のストッパ部25cから離隔するとともに、ボー
ル弁18が筒状部材21の第2弁座21aに近づいてく
る。
【0052】パワーピストン12の後端が図1および図
2に示すプラグ10に当接すると、パワーピストン12
の後退が停止し、パワーピストン12は非作動位置とな
り、これにともないマスタシリンダ3のプライマリピス
トン43およびセカンダリピストン44も後退が停止し
て非作動位置となって、ブレーキが迅速にかつ完全に解
除される。この状態では、ボール弁18が第2弁座21
aにきわめて近づいてボール弁18と第2弁座21aと
の間の間隙がきわめて小さくなり、着座寸前となる。し
たがって、次にブレーキペダルが踏み込まれて入力軸2
2および筒状部材21が前進すると、直ぐに第2弁座2
1aがボール弁18に当接して、ボール弁18が第2弁
座21aの着座するとともに第1弁座15cから直ぐに
離座する。すなわち、制御弁40の切換作動を行うため
のロスストロークがきわめて小さくなり、ブレーキが迅
速に作動する。
【0053】このようにして、ブレーキ操作時には迅速
にブレーキが作動するとともに、ブレーキ操作解除時に
はブレーキ作動が迅速に解除し、ブレーキ液圧発生装置
1はきわめて応答性のよいものとなる。
【0054】ポンプやアキュムレータ等の液圧源が故障
して、ブレーキ操作時に動力室31にアキュムレータの
圧液が流入されないときは、ブレーキペダルが踏み込ま
れて入力ピストン8が前進すると、前述と同様に筒状部
材21がボール弁18に当接し、このボール弁18を介
して弁体19を前方に押圧する。一方、筒状ストッパ部
材23のストッパ部23aが弁座部材15のフランジ部
15aに当接する。このため、入力軸22が筒状ストッ
パ部材23、弁座部材15、パワーピストン12および
調整部材49を介してプライマリピストン43を直接押
すようになるため、プライマリピストン43が前進す
る。これにより、前述と同様に径方向孔58が第3カッ
プシール47より前方に前進してプライマリ室52にマ
スタシリンダ圧が発生するとともに、このプライマリ室
52のマスタシリンダ圧によりセカンダリピストン44
が前進するため、径方向孔62が第5カップシール51
より前方に前進してセカンダリ室55にマスタシリンダ
圧が発生する。これらのプライマリ室52およびセカン
ダリ室55のマスタシリンダ圧が、それぞれプライマリ
出力口66およびセカンダリ出力口67を介して2ブレ
ーキ系統の各ホイールシリンダに供給され、2ブレーキ
系統のブレーキが作動される。こうして、ポンプ故障時
にも、2ブレーキ系統のブレーキ作動が確実に行われる
ようになる。
【0055】このように、この例のマスタシリンダ3に
よれば、プライマリ室52へのブレーキ液の補給液通路
のうち、キャップ69に形成した通路部分を、キャップ
69の第3孔7に開口する径方向の円周溝59aとこの
円周溝59aに連続して設けられた軸方向の傾斜孔59
bとで形成しているので、前述の従来のようなピストン
ガイドやキャップを径方向に貫通する貫通孔を塞ぐスチ
ールボール等の部品が不要となり、部品点数を削減でき
るとともに、構造を簡素化できる。
【0056】また、この例のブレーキ液圧発生装置1に
よれば、液圧倍力装置2のパワーピストン12のリター
ンをマスタシリンダ3のプライマリリターンスプリング
54およびセカンダリリターンスプリング57のばね力
で行うようにしているので、スプリングが不要となり、
更に部品点数を削減できるとともに、構造を更に効果的
に簡素化できる。
【0057】更に、この例のブレーキ液圧発生装置1に
よれば、マスタシリンダ3のプライマリピストン43の
一部が液圧倍力装置2の液圧倍力装置用ハウジング4内
に配設されるとともに、パワーピストン12の前部の小
径部12bがプライマリピストン43の後端部の孔48
内に遊嵌されているので、液圧倍力装置2とマスタシリ
ンダ3との一体組立体の全長を効果的に短くでき、全体
にコンパクトに構成することができる。
【0058】なお、前述の例の液圧発生装置では、ブレ
ーキ液圧発生装置1が、動力室圧が一方の系統のホイー
ルシリンダに供給されるとともにマスタシリンダ圧が他
方の系統のホイールシリンダに供給されるセミフルパワ
ーブレーキシステムに適用されているが、本発明の液圧
発生装置は、動力室圧が一方の系統のホイールシリンダ
に供給されずにパワーピストン12の作動のためにのみ
使用され、プライマリ室52のマスタシリンダ圧が一方
の系統のホイールシリンダに供給されるとともにセカン
ダリ室55のマスタシリンダ圧が他方の系統のホイール
シリンダに供給されるブレーキシステムにも適用するこ
とができる。
【0059】また、前述の例のブレーキ液圧発生装置1
では、反力ピストン25によりジャンピング特性を有す
るようにしているが、反力ピストン25は必ずしも必要
ではなく、省略することもできる。
【0060】更に、本発明の液圧発生装置は、二系統の
液圧システムに限定されることなく、液圧倍力装置の出
力でシングルマスタシリンダが作動されて、このシング
ルマスタシリンダが発生するマスタシリンダ圧のみを利
用する一系統の液圧システムにも適用することができ
る。更に、本発明の液圧発生装置は、ブレーキシステム
以外の他の液圧システムにも適用することができる。
【0061】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のマスタシリンダによれば、マスタシリンダの補給液通
路の少なくとも一部を、キャップに形成した円周溝とこ
の円周溝に連続して設けた軸方向の傾斜孔とで形成して
いるので、前述の従来のようなピストンガイドやキャッ
プを径方向に貫通する貫通孔を塞ぐスチールボール等の
部品を不要にできる。したがって、部品点数を削減でき
るとともに、構造を簡素化できる。
【0062】また、本発明の液圧倍力装置によれば、マ
スタシリンダピストンの一部を液圧倍力装置用ハウジン
グ内に配設するとともに、パワーピストンの前端部をマ
スタシリンダピストンの後端部の孔内に遊嵌させている
ので、液圧倍力装置とマスタシリンダとの一体組立体の
全長をより短くでき、しかも、マスタシリンダの構造簡
素化と相俟って、この一体組立体全体を効果的にコンパ
クトに構成できる。
【0063】更に、本発明の液圧発生装置によれば、液
圧倍力装置のパワーピストンのリターンをマスタシリン
ダピストンのリターンスプリングで行ようにしているの
で、パワーピストン専用のリターンスプリングを不要に
でき、部品点数を更に一層が削減できるとともに、マス
タシリンダと液圧倍力装置との一体組立体の構造を更に
効果的に簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液圧発生装置の実施の形態の一
例が適用されたブレーキ液圧発生装置の断面図である。
【図2】 図1に示すブレーキ液圧発生装置の部分拡大
断面図である。
【図3】 図1および図2に示す反力ピストンの詳細断
面図である。
【図4】 図1に示すブレーキ液圧発生装置の部分拡大
断面図である。
【符号の説明】
1…ブレーキ液圧発生装置、2…液圧倍力装置、3…マ
スタシリンダ、4…液圧倍力装置用ハウジング、12…
パワーピストン、12a…大径部、12b…小径部、1
5…弁座部材、15c…第1弁座、16…筒状固定部
材、18…ボール弁、19…弁体、21…筒状部材、2
1a…第2弁座、22…入力軸、22a…段部、23…
筒状ストッパ部材、25…反力ピストン、27…入力
口、31…動力室、32…通路孔、39…排出口、40
…制御弁、43…プライマリピストン、45…第1カッ
プシール、46…第2カップシール、47…第3カップ
シール、49…調整部材、50…第4カップシール、5
1…第5カップシール、52…プライマリ室、54…プ
ライマリリターンスプリング、55…セカンダリ室、5
7…セカンダリリターンスプリング、58…径方向孔、
61…マスタシリンダ用リザーバ、62…径方向孔、6
6…プライマリ出力口、67…セカンダリ出力口、68
…スリーブ、69…キャップ、70…マスタシリンダ用
ハウジング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液を蓄えるリザーバと、後端開口部を有
    する筒状のマスタシリンダ用ハウジングと、このマスタ
    シリンダ用ハウジングに、その後端開口部を閉塞するよ
    うに取り付けられたキャップと、このキャップを液密に
    かつ摺動可能に貫通するマスタシリンダピストンと、こ
    のマスタシリンダピストンの作動時にマスタシリンダ圧
    が発生されるマスタシリンダ液圧室と、前記マスタシリ
    ンダピストンの非作動時に前記マスタシリンダ液圧室と
    前記リザーバとを連通する補給液通路とからなるマスタ
    シリンダにおいて、 前記補給液通路の少なくとも一部は、前記キャップに設
    けられた、前記マスタシリンダ液圧室に連通可能な径方
    向の円周溝と、前記キャップにこの円周溝に連続して設
    けられた、前記リザーバに連通する軸方向の傾斜孔とか
    ら構成されていることを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のマスタシリンダと、 前記マスタシリンダ用ハウジングに連結される液圧倍力
    装置用ハウジング、この液圧倍力装置用ハウジング内に
    設けられかつ液圧源からの液圧が供給される動力室、前
    記液圧倍力装置用ハウジング内に設けられかつ前記動力
    室の液圧で作動して出力するパワーピストン、操作時に
    加えられる入力で作動する入力軸、およびこの入力軸で
    作動制御されかつ前記動力室への液圧源からの液圧の供
    給排出を制御して前記動力室に前記入力軸の入力に応じ
    た動力室圧を発生させる制御弁を少なくとも備えた液圧
    倍力装置とからなり、 前記マスタシリンダピストンの一部が前記液圧倍力装置
    用ハウジング内に配設されているとともに、このマスタ
    シリンダピストンの後端部に形成された孔内に前記パワ
    ーピストンの前端部が遊嵌されていることを特徴とする
    液圧発生装置。
  3. 【請求項3】 前記マスタシリンダピストンを非作動位
    置にリターンさせるリターンスプリングが設けられてい
    るとともに、このリターンスプリングで前記パワーピス
    トンも非作動位置にリターンさせるようになっているこ
    とを特徴とする請求項2記載の液圧発生装置。
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