JP2000177354A - サスペンション装置 - Google Patents

サスペンション装置

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JP2000177354A
JP2000177354A JP10361197A JP36119798A JP2000177354A JP 2000177354 A JP2000177354 A JP 2000177354A JP 10361197 A JP10361197 A JP 10361197A JP 36119798 A JP36119798 A JP 36119798A JP 2000177354 A JP2000177354 A JP 2000177354A
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Japan
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roll
stabilizer
suspension
suspension device
vehicle
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JP10361197A
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Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体ロール時の乗り心地の向上と安定性の向
上とを両立可能なサスペンション装置の提供を課題とす
る。 【解決手段】 リアスタビライザ11の両アーム部11
cはばね特性を持つ力伝達部材17を介して、またフロ
ントスタビライザ1の両アーム部1cはコンロッド部材
5を介して、それぞれ車輪支持体またはリンク部材に連
結され、リアスタビライザ11を備えるリアサスペンシ
ョンのロールモーメント(ロール剛性)が0.2 G 〜0.5
G の旋回求心加速度相当の車体ロール角Rにて屈曲点
P’を持つ非線型に設定され、ロール角R以下の小ロー
ル角領域ではフロント/リアサスペンション間のロール
剛性配分がほぼ等しく、ロール角Rを越える大ロール角
領域ではロール剛性の配分割合がフロントサスペンショ
ン側へより大きくなるように設定されたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に自動車に使用
されるサスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション装置のスタビライ
ザとして、例えば実開昭57−127008号公報や、
実開昭60−138816号公報に開示されたものがあ
る。
【0003】これらは、図15にフロントサスペンショ
ンとリアサスペンションのロール角に対するロールモー
メント特性をそれぞれA,Bで示すように、スタビライ
ザに入力されるねじり入力(ロール角)が小さくてねじ
れ変位が小さい範囲においてはスタビライザをねじり剛
性の低い構成とし、ねじれ変位が大きい範囲においては
ねじり剛性が大きくなるような構成とし、ねじれ変位が
小さい範囲における入力の車体への伝達力を低減して、
乗り心地を向上させることをねらったものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのスタ
ビライザ(サスペンション)には、つぎのような問題点
があった。
【0005】第1の問題点は、車体のロール角の小さい
領域内でねじり剛性を低くする構成であるため、後述す
る問題点があり、乗り心地を本質的に良くできていない
という問題である。
【0006】なお、この乗り心地の問題点は、上記従来
例以外の、従来のより一般的なスタビライザ(サスペン
ション)についてもいえるものであった。
【0007】車両の4輪に入力される任意の上下入力
(変位入力)は、図16の左半部に各矢印で示すような
バウンス、ロール、ピッチ、ねじりの4つの独立した入
力モードの入力の組合せとして表現することができる。
同図の右半部に各モードの振動伝達ゲイン曲線を示す。
ピーク時の周波数が各モードの共振周波数である。
【0008】図16示のように、従来は、車両側のサス
ペンション諸元としては、主に、バウンス方向ばね/減
衰、ロール方向ばね/減衰、ピッチ方向ばね/減衰とい
った3つのサスペンション諸元を調節しながら、車両の
ばね上(車体)の姿勢(車高/ロール角/ピッチ角)の
維持と、路面入力の車体への伝達の防止とのバランスを
とっていた。
【0009】すなわち、バウンスについては、ばねを柔
らかくすると、路面入力の車体への伝達が減って乗り心
地が良くなるが、積載条件などが変ったときの車高変化
が大きくなるといった競合問題の調整、またピッチ方向
については、ピッチ方向の剛性が高ければ、制動時等の
車両のピッチング姿勢変化が小さくなるが、路面のピッ
チ変化に車両が敏感に応答してしまう、といった競合問
題の調整が必要となった。
【0010】上記の4つの入力モードの中で、路面のね
じり入力は、他の3つの入力モードとは異なり、本来、
車体の姿勢維持には関係のない入力モードであるため
に、本来は、車体への伝達率をゼロにして、路面のねじ
り入力による車体の挙動をなくしたい入力である。とこ
ろが、各車輪に設けられたばねと、左右輪の間に設けら
れたスタビライザを有する車両では、フロントサスペン
ションとリアサスペンションのロール剛性が、この路面
のねじり入力を車体に伝達する作用をする。
【0011】すなわち、図17に示すように、車体(ば
ね上)を固定して考えると、フロントサスペンションお
よびリアサスペンションには、矢印で示す大きさが等し
く、逆相のロール入力が入ることになる。ところが、一
般に、車両の旋回時の求心加速度が高い領域での車両の
アンダーステア特性を確保するために、フロントサスペ
ンションのロール剛性はリアサスペンションのロール剛
性よりも高く設定されているため、ロール(変位)入力
の大きさは等しくても、車体に伝達されるロールモーメ
ントはフロントの方が大きくなり(Mf >Mr )、その
結果、フロントサスペンションとリアサスペンションで
発生するロールモーメントが打ち消し合わないで、その
差分のロールモーメントが車体に伝達されてしまう。
【0012】このように、車体には伝える必要のない路
面ねじり入力からも、車体にロールモーメントが伝達さ
れてしまい、車両のロール方向の振動を発生させて、車
両の乗り心地を悪化させていた。
【0013】この路面ねじり入力による車体のロール方
向の振動の発生という問題は、単にロール剛性を低下さ
せるという上記従来例の構成をとるだけでは、本質的に
改善されない問題である。
【0014】さらに、第2の問題点として、上記従来例
においては、ロール角の小さい領域でスタビライザの働
きを抑え、ロール剛性を低下させる構成であったため、
高速道路を走行するときのような、高速走行で比較的発
生横加速度が小さな操舵を行う場合に、ドライバがロー
ル方向のふらつきを感じ、運転フィーリングが良くな
い、という問題もあった。
【0015】また、上記従来例においては、スタビライ
ザ(サスペンション)の剛性を非線型的に高める必要が
あるが、大ロール角領域でのトータルロール剛性を確保
するためには、スタビライザ単体の剛性をかなり高めて
おく必要があり、スタビライザのレイアウト上の問題が
生じる場合もあった。
【0016】そこで、本発明は、車体ロール時の乗り心
地の向上と安定性の向上とを両立可能なサスペンション
装置の提供を課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、フロントスタビライザを
備えた車両のフロントサスペンションとリアスタビライ
ザを備えたリアサスペンションとの少なくとも一方が、
車体のロール角に対するロールモーメントの特性に屈曲
点を持つ非線型特性となるように設定され、前記ロール
モーメントの変化割合であるロール剛性のリアサスペン
ションに対するフロントサスペンションへの配分割合
が、前記屈曲点を境にロール角の大きな領域で相対的に
大きく、同小さな領域で相対的に小さくなるように前記
非線型特性が設定されたことを特徴とする。
【0018】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のサスペンション装置であって、前記非線型のロールモ
ーメント特性を持つサスペンションに備えられたスタビ
ライザは、該サスペンションの屈曲点に対応するロール
角においてロール剛性が変化する屈曲点を持つように設
定されたことを特徴とする。
【0019】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のサスペンション装置であって、前記サスペン
ションおよびスタビライザの屈曲点が、車両旋回時の求
心加速度0.2 G 〜0.5 G に相当するロール角領域に存在
するように設定されたことを特徴とする。
【0020】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載のサスペンション装置であって、前記屈
曲点よりもロール角の小さな領域において、前記フロン
トサスペンションとリアサスペンションとへのロール剛
性の配分割合がほぼ等しくなるように設定されたことを
特徴とする。
【0021】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
のサスペンション装置であって、前記屈曲点前後の両サ
スペンションの少なくとも一方のロール剛性は、前記ロ
ール角の大きな領域よりも同小さな領域で高くなるよう
に設定されたことを特徴とする。
【0022】請求項6に記載の発明は、請求項4に記載
のサスペンション装置であって、前記屈曲点前後の両サ
スペンションの少なくとも一方のロール剛性は、前記ロ
ール角の大きな領域よりも同小さな領域で低くなるよう
に設定されたことを特徴とする。
【0023】請求項7に記載の発明は、請求項5に記載
のサスペンション装置であって、前記フロントスタビラ
イザとリアスタビライザとはそれぞれ、車両横方向に延
びて配置される中央部とほぼ車両前後方向に延びる左右
のアーム部とを有し、前記中央部は、弾性部材を介して
車体側部材に回動可能に支持され、前記リアスタビライ
ザの左右アーム部は、それぞれ弾性伸縮可能な力伝達部
材を介して車輪支持体またはリンク部材に連結され、前
記フロントスタビライザの左右アーム部は、それぞれコ
ンロッド部材を介して車輪支持体またはリンク部材に連
結されたことを特徴とする。
【0024】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
のサスペンション装置であって、前記力伝達部材は、内
蔵する付勢部材の付勢力により取付け時荷重が定まると
共に取付け時荷重以下の入力荷重では長さ変化を生じ
ず、該取付け時荷重を越える入力荷重に応じて伸縮長さ
変化を生じるばね特性を有することを特徴とする。
【0025】請求項9に記載の発明は、請求項6に記載
のサスペンション装置であって、前記フロントスタビラ
イザとリアスタビライザとは、それぞれ車両横方向に延
びて配置される中央部とほぼ車両前後方向に延びる左右
のアーム部とを有し、前記中央部は、弾性部材を介して
車体側部材に回動可能に支持され、前記フロントスタビ
ライザの左右アーム部の一方が弾性伸縮可能な力伝達部
材を介して車輪支持体またはリンク部材に連結されると
共に、同他方がコンロッド部材を介して車輪支持体また
はリンク部材に連結され、前記リアスタビライザの左右
アーム部は、それぞれコンロッド部材を介して車輪支持
体またはリンク部材に連結されたことを特徴とする。
【0026】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載のサスペンション装置であって、前記力伝達部材は、
内蔵する付勢部材の付勢力により取付け時長さが定まる
と共に入力荷重に応じて伸縮方向共に等しい長さ変化を
生じ、入力荷重が所定値に達すると長さ変化を停止する
ことを特徴とする。
【0027】請求項11に記載の発明は、フロントスタ
ビライザを備えた車両のフロントサスペンションとリア
スタビライザを備えたリアサスペンションとを備え、前
記フロントスタビライザとリアスタビライザとは、それ
ぞれ車両横方向に延びて配置される中央部とほぼ車両前
後方向に延びる左右のアーム部とを有し、前記中央部
は、弾性部材を介して車体側部材に回動可能に支持さ
れ、前記リアスタビライザの左右アーム部の一方が弾性
伸縮可能な力伝達部材を介して車輪支持体またはリンク
部材に連結されると共に、同他方がコンロッド部材を介
して車輪支持体またはリンク部材に連結され、前記フロ
ントスタビライザの左右アーム部は、それぞれコンロッ
ド部材を介して車輪支持体またはリンク部材に連結さ
れ、前記力伝達部材は、内蔵する付勢部材によりばね特
性を有すると共に長さ変化速度に比例した減衰力を発生
する減衰部材を備えるサスペンション装置であって、前
記力伝達部材がコンロッド部材に置き換えられた場合
に、フロントサスペンションとリアサスペンションのロ
ール剛性がほぼ等しくなることを特徴とする。
【0028】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載のサスペンション装置であって、前記力伝達部材の
減衰部材は、減衰係数をC、力伝達部材の等価ばね定数
をKe としたとき、f0 =(Ke /C)/2πで表され
る周波数f0 が車両の操縦応答特性の、ヨー共振周波数
およびロール共振周波数よりも低くなるように減衰係数
Cを設定したことを特徴とする。
【0029】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、屈曲点
よりも大きい車体ロール角領域では、ロール剛性の配分
割合がフロントサスペンション側に偏り、リアサスペン
ション側への配分割合が小さいので、屈曲点を越える大
きなロール角が生じるような旋回走行時に、車両のアン
ダステア特性を適度に確保することが可能となり、安定
性を向上することができる。
【0030】一方、屈曲点以下の小さい車体ロール角が
生じる場合には、フロント/リアサスペンション間のロ
ール剛性の配分割合がより等配分に近くなるので、小さ
なロール入力に対してはロール方向の安定が得られ、例
えばねじれ変位入力(図16参照)に対し両サスペンシ
ョン間の等配分に近いロール剛性配分によって、ばね上
へのロール振動伝達が緩和され、乗り心地が向上する。
【0031】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の発明と同等の効果が得られるうえに、スタビライザの
ロール剛性が変化するときのロール角を選定することに
より、サスペンションの屈曲点を容易に設定することが
できる。
【0032】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
または2の発明と同等の効果が得られるうえに、屈曲点
を求心加速度の0.2G〜0.5 G 相当のロール角に選定する
ことにより、フロント/リアサスペンション間のロール
剛性の配分割合を切替えるロール角が適切なものとな
る。
【0033】すなわち、車両の直進走行時や微舵入力時
などのような(0.2G 〜0.5 G)以下の小さいロール入力に
対してはロール方向の安定による乗り心地の向上が得ら
れ、また、(0.2G 〜0.5 G)を越える大きいロール入力に
対してはアンダステア特性による安定性の向上が確実に
得られる。
【0034】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜3のいずれかの発明と同等の効果が得られるうえに、
屈曲点以下の小さなロール角領域では、例えば路面のね
じり変位入力があったとき、ロール剛性がほぼ等しい両
サスペンションによりフロントとリアのロールモーメン
トが相殺され、ばね上(車体)がロール振動を起こさな
くなり、乗り心地が向上する。
【0035】請求項5に記載の発明によれば、請求項4
の発明と同等の効果が得られるうえに、屈曲点以下の小
さなロール角領域ではロール剛性が相対的に高いので、
例えば、高速走行中に比較的横加速度が小さな操舵を行
う場合に、ロール方向のふらつき感を低減することがで
きる。
【0036】請求項6に記載の発明によれば、請求項4
の発明と同等の効果が得られるうえに、屈曲点以下の小
さなロール角領域ではロール剛性が相対的に低いので、
小さなロール角領域での車体へのロール振動の伝達力を
特に低減して乗り心地を向上させたい場合において、対
応が可能となる。
【0037】請求項7に記載の発明によれば、請求項5
の発明と同等の効果が得られるうえに、リアスタビライ
ザの一方のアーム部への力伝達部材の配置により、およ
びその力伝達部材のばね定数を選定することにより、小
さなロール角領域でのロール剛性を大きなロール角領域
のそれよりも高く設定することを容易に行うことができ
る。
【0038】また、力伝達部材をリアスタビライザの一
方のアーム部だけに用いる構成であるので、構成が簡単
で、コスト上有利となる。
【0039】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
の発明と同等の効果が得られるうえに、力伝達部材の取
付け時荷重の選定およびばね定数の選定により、小さな
ロール角領域でのロール剛性を大きなロール角領域のそ
れよりも高く設定することを容易に行うことができる。
【0040】請求項9に記載の発明によれば、請求項6
の発明と同等の効果が得られるうえに、フロントスタビ
ライザの一方のアーム部への力伝達部材の配置により、
およびその力伝達部材のばね定数を選定することによ
り、小さなロール角領域でのロール剛性を同ロール角の
大きな領域のそれよりも低く設定することを容易に行う
ことができる。
【0041】また、力伝達部材をフロントスタビライザ
の一方のアーム部だけに用いる構成であるので、構成が
簡単で、コスト上有利となる。
【0042】請求項10に記載の発明によれば、請求項
9の発明と同等の効果が得られるうえに、フロントスタ
ビライザに配置された力伝達部材のばね定数の選定およ
び長さ変化量の設定により、小さなロール角領域におけ
るロール剛性を大きなロール角領域のそれよりも低く設
定することを容易に行うことができる。
【0043】請求項11に記載の発明によれば、リアス
タビライザの一方のアーム部に設けた力伝達部材が、低
周波のロール入力に対しては減衰力を作用し、高周波の
入力に対しては減衰作用をせずに、ばねとして作用する
ように設定することが可能であるので、ロール入力が低
周波数で車両の操縦安定性を維持し易い入力領域ではリ
アサスペンション側のロール方向の減衰作用を利用して
フロントサスペンション側にロール剛性配分を偏らせる
ことができ、車両のアンダーステア特性を確保すること
ができ、安定性が向上する。
【0044】また、入力周波数が高い領域では力伝達部
材のばね作用を利用してフロント/リアサスペンション
のロール剛性配分をほぼ等しくできるので、路面のねじ
り入力に対して車両のロール振動を防止でき、乗り心地
を向上することができる。
【0045】また、力伝達部材をリアスタビライザの一
方のアーム部だけに用いる構成であるので、構成が簡単
で、コスト上有利となる。
【0046】請求項12に記載の発明によれば、請求項
11の発明と同等の効果が得られるうえに、力伝達部材
の作用が減衰作用からばね作用へ切り替わるときのロー
ル入力周波数f0 の設定が減衰係数Cの選定により可能
であるので、要求入力周波数に対して適確に対応し、設
定することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実
施形態を図1〜図6により説明する。図1は本実施形態
の要部(スタビライザ部)の構成概要を示す斜視図であ
り、図の左方が車両前方である。なお、本発明はサスペ
ンションが備えるスタビライザに特徴を有するので、ス
タビライザを主体に説明する。まず構成を説明する。
【0048】図1に示すように、図外のフロントサスペ
ンションに備えられたフロントスタビライザ1は、ほぼ
コの字状に形成され、車両横方向に直線状に延びる中央
部1bが弾性ブッシュ部材(弾性部材)3,3を介して
回転自在に図示省略の車体側部材に取り付けられ、ねじ
れ変形可能にされている。
【0049】また、車両前後方向に延びる左右のアーム
部1c,1cは剛体のコンロッド部材5,5を介して図
外のフロントサスペンションの車輪支持体またはアーム
/リンク部材に揺動自在に取り付けられている。コンロ
ッド部材5はロール運動に伴うフロントサスペンション
のストローク変化をフロントスタビライザ1に伝える。
【0050】一方、リアサスペンションに備えられたリ
アスタビライザ11全体は、リアスタビライザ本体11
aがほぼコの字状に形成され、車両横方向に直線状に延
びる中央部11bが弾性ブッシュ部材13,13を介し
て回転自在に図示省略の車体側部材に取り付けられ、ね
じれ変形可能にされている。
【0051】また、車両前後方向に延びる左右のアーム
部11c,11cは力伝達部材17,17の下端部17
aに取り付けられ、力伝達部材17の上端部17bはボ
ールジョイント部21を介して図外のリアサスペンショ
ンの車輪支持体またはアーム/リンク部材に揺動自在に
取り付けられている。リアスタビライザ11全体の特性
は、リアスタビライザ本体11aと力伝達部材17との
各特性を合成したものとなる。
【0052】図2は力伝達部材17の構造概要を示す。
図示のように、ロッド23とピストン25がナット27
により一体化され、伸縮方向に移動可能にシリンダ29
内に収容されると共に抜け止めされている。力伝達部材
17の下端部17aとピストン25との間に配置された
ばね(付勢部材)31の取付け時撓みにより、ロッド2
3は最伸状態で、伸び方向に所定の予圧(プリロード)
を与えられている。
【0053】図3は力伝達部材17の長さ対荷重特性を
示す。横軸は力伝達部材17の下端部17aと上端部1
7bの両連結中心点間距離(以下単に長さという)を示
す。すなわち、図3示のように、力伝達部材17が引張
荷重を受ける引張荷重範囲では、ロッド23は最伸状態
のままで長さ変化はない(剛棒領域)。
【0054】一方、圧縮荷重範囲では入力荷重が予圧に
達するまでは力伝達部材17の長さ変化(短縮)はな
い。圧縮荷重が予圧を上まわると力伝達部材17は短縮
され、そのときの長さ対荷重特性はばね31のばね定数
Kcにより定まる。圧縮荷重の増加と共に、力伝達部材1
7は短縮されていき、ばね31の密着や別途設けた図外
のストッパ部材へのロッド23側の当接等により短縮ス
トロークは終了し、力伝達部材17は剛棒領域に入る。
【0055】図4(a),(b)は、車体ロール時のリ
アスタビライザ11のアーム部11cの姿勢変化の様子
を示す。図4は車両後方から見た斜視概念図である。
【0056】図4(a)はロール入力が小さい場合を示
す。左後輪側の力伝達部材17が圧縮荷重を受け、右後
輪側の力伝達部材17が引張荷重を受けている状態を示
す。アーム部11cの破線はロール前の姿勢を示す。ロ
ール角が小さい場合、ばね31の予圧以下の圧縮荷重を
受ける左後輪側(例えば旋回外輪)の力伝達部材17
と、そのとき旋回内輪側で引張荷重を受ける右後輪側の
力伝達部材17とは共に長さが変化しない剛棒領域にあ
る(図3参照)。
【0057】したがって、図4(a)の右半部に示す等
価モデルでは、左右の力伝達部材17はばね特性を持た
ないコンロッド部材で示される。コンロッド部材による
連結の場合は、通常のスタビライザと同様の作用/剛性
を示す。また、リアスタビライザ本体11aのねじり剛
性をKtで示す。
【0058】図4(b)はロール入力が大きい場合を示
す。この場合には、左後輪側の圧縮荷重を受けている力
伝達部材17はばね特性を示す領域にあり、等価モデル
ではばね定数Kcで示している。一方、引張荷重を受けて
いる右後輪側の力伝達部材17は剛棒領域にある。した
がって、等価モデルではばね特性を持たないコンロッド
部材で示している。
【0059】図4(c)は、リアスタビライザ11全体
のロール角対ロールモーメントの特性を示す。横軸はロ
ール角を示し、縦軸はロールモーメントを示す。ロール
モーメント特性の勾配はロール剛性を表す。すなわち、
ロール剛性は図示のように、ロール角Rにおいて屈曲点
Pを持ち、ロール角Rを境に、その前後でロール剛性は
変化するように設定されている。屈曲点Pのロール角R
は、車両の旋回求心加速度(0.2 G〜0.5 G)に相当するロ
ール角に設定されている。
【0060】この屈曲点Pにおける力伝達部材17の長
さおよび圧縮荷重は、ばね31の予圧により調整し、設
定される。屈曲点Pに対応するロール角Rを境界にし
て、ロール角R以下の領域(以降、小ロール角領域とい
う)のロール剛性はKtとなるが(図4a)、ロール角R
を越えるロール角領域(以降、大ロール角領域という)
のリアスタビライザ11全体のねじり剛性は、リアスタ
ビライザ本体11aのねじりばね定数Ktと力伝達部材1
7のばね定数Kcとの直列ばねの特性となり、リアスタビ
ライザ11全体のねじり剛性は大ロール角領域で低下す
る。
【0061】すなわち、小ロール角領域のロール剛性Kt
の方が大ロール角領域のロール剛性よりも大きく設定さ
れている。
【0062】図5は、フロントサスペンションとリアサ
スペンションのロール角に対するロールモーメントの特
性を示す。図示のように、フロントサスペンションのロ
ールモーメント特性は直線状であり、屈曲点を持たな
い。一方、リアサスペンションのロールモーメント特性
は、リアスタビライザ11全体のロールモーメント特性
の屈曲点Pに対応するロール角Rと同じロール角Rにお
いて屈曲点P’を持つ非線型特性になるように設定され
ている。
【0063】すなわち、フロント/リアの両サスペンシ
ョンのロールモーメント特性が図5の特性となるよう
に、フロントサスペンションのばね定数、リアサスペン
ションのばね定数、フロントスタビライザ1のばね定
数、リアスタビライザ本体11aのばね定数Kt、力伝達
部材17の予圧およびばね定数Kcを調整している。
【0064】こうして、小ロール角領域では、フロント
サスペンションとリアサスペンションのロール剛性が等
しくなるようにされ(ロール剛性配分が50:50 )、一
方、大ロール角領域では、フロントサスペンション側に
ロール剛性の配分割合を偏らせる特性とし、リアサスペ
ンションのロール剛性をフロントに対して低く設定し、
車両のアンダステア特性を十分確保できるようにしてい
る。
【0065】つぎに、作用を説明する。
【0066】図5に示すように、車体の小ロール角領域
では、フロントサスペンションとリアサスペンションの
ロール剛性配分が50:50 に設定されているので、路面の
ねじり変位入力に対して(図16参照)、フロントサス
ペンションとリアサスペンションとで発生するロールモ
ーメントが方向が逆で大きさが等しくなるため、車体
(ばね上)全体に伝達されるロールモーメントが相殺さ
れ、路面のねじり変位入力に対して、ばね上がロール振
動を起こさなくなり、車両の乗り心地が向上する。
【0067】また、リアスタビライザ11全体のロール
剛性の屈曲点Pのロール角Rに相当する旋回求心加速度
が0.2 G 〜0.5 G に設定されているので、車両の直進走
行時および微舵入力時の路面入力によって発生する程度
の車体ロール角はロール角R以下であり、ロール方向の
ふらつき感を低減することができる。
【0068】また、車体の大ロール角領域(ロール角R
よりも大きい領域)では、リアサスペンションのロール
モーメントの発生がフロントサスペンションに比べて小
さいため、車両のアンダーステア特性を適度に確保する
ことができる。
【0069】また、リアスタビライザ11全体のロール
剛性の上記屈曲点Pの設定および大ロール角領域でのロ
ール剛性の選定は、力伝達部材17のばね31の取付け
時荷重(予圧)の設定およびばね定数の選定により、容
易に可能である。
【0070】さらに、小ロール角領域におけるリアサス
ペンションのロール剛性が大ロール角領域に比べて高く
設定され、フロントサスペンションのロール剛性と等し
く設定されているので、高速道路を走行するときのよう
な、高速走行で比較的発生横加速度が小さな操舵を行う
ような場合、車両がロール方向に安定し、ロール方向の
ふらつき感を低減することができる。
【0071】このようにして、本実施形態によれば、リ
アサスペンションおよびリアスタビライザ11のロール
モーメント(ロール剛性)が変る屈曲点P’(P)を、
旋回求心加速度0.2 G 〜0.5 G に相当する車体ロール角
Rに対応して設定し、屈曲点P’を境に、小ロール角領
域では大ロール角領域よりもロール剛性を高く設定する
と共に、小ロール角領域ではフロントサスペンションと
50:50 のロール剛性配分に設定し、大ロール角領域では
フロントサスペンションへロール剛性配分を偏らせてい
るので、上記の屈曲点P’を適切な車体ロール角に設定
でき、大ロール角領域での車両のアンダーステア特性の
確保と、小ロール角領域での車両の乗り心地の向上とを
両立させることができる。
【0072】そして、上述の作用・効果はリアスタビラ
イザ11に設けた力伝達部材17のばね31の予圧およ
びばね定数の選定により容易に実現することができる。
【0073】さらに、リアスタビライザ本体11aのね
じれ角は、力伝達部材17の長さが縮むぶんだけ小さく
なるので、リアスタビライザ本体11aの発生応力が小
さくなり、そのぶん大径化したり、リアスタビライザ本
体11aの配置スペースをコンパクト化できる。
【0074】また、本実施形態では、リアスタビライザ
本体11aの両アーム部11cに力伝達部材17を設け
たので、力伝達部材17の長さ対荷重特性の変化点は圧
縮(短縮)側に1つしかないものの(図3)、左側への
ロールと右側へのロールとで、左と右のそれぞれ短縮側
となる力伝達部材17が特性変化点を持つので、左右対
称なロール角対モーメントの特性を得ることができる。
【0075】なお、図6(a)に、上記力伝達部材の他
の構造例を示す。
【0076】この力伝達部材37は、大別して、ロッド
43、ピストン45およびシリンダ49とからなり、力
伝達部材37の下端部17aとピストン45との間にフ
リーピストン51が移動可能に配置され、フリーピスト
ン51とピストン45との間には作動油が充填され、油
密に保たれている。一方、フリーピストン51と下端部
17aとの間には所定の高圧の気体が封入されている。
そして、この気体の圧力により、力伝達部材37は荷重
が加わらない状態ではロッド43が最伸状態になり、そ
の長さ対荷重の特性は図6(b)に示すような特性とな
り、上記図3に示した特性と同様の特性となる。
【0077】こうして、この力伝達部材37を使用して
も、上記と同じロール剛性配分時の作用・効果を達成す
ることが可能となる。
【0078】また、図2および図6(a)には、短縮側
で特性変化点を持つような力伝達部材17,37を示し
たが、引張り側(伸び側)で特性変化点を持つような力
伝達部材を用いても、同様な効果を発揮することは明ら
かである。
【0079】[第2実施形態]本発明の第2実施形態を
図7〜図11により説明する。図7は本実施形態の全体
構成を示す斜視図であり、図の左方が車両前方である。
【0080】本実施形態は、力伝達部材67の配置部位
が上記第1実施形態の構成と異なり、その他は同様であ
る。したがって、相違点を説明し、重複する説明は省略
する。
【0081】図7に示すように、フロントサスペンショ
ンに備えられたフロントスタビライザ本体61aの一方
(左)のアーム部61cは力伝達部材67の下端部67
aに取り付けられ、この力伝達部材67を介してフロン
トサスペンションの車輪支持体またはアーム/リンク部
材に揺動自在に取り付けられている。他方(右)のアー
ム部61cは剛体のコンロッド部材5を介して、同様に
フロントサスペンションの車輪支持体またはアーム/リ
ンク部材に揺動自在に取り付けられている。
【0082】一方、リアサスペンションに備えられたリ
アスタビライザ71は、左右のアーム部71cがそれぞ
れコンロッド部材5,5を介して図外のリアサスペンシ
ョンの車輪支持体またはアーム/リンク部材に揺動自在
に取り付けられている。
【0083】図8は,力伝達部材67の構成を示す。図
示のように、ピストン75の両側には、すなわち、ピス
トン75と力伝達部材67の下端部17aとの間、およ
びピストン75とシリンダ79の頭部79aとの間に、
それぞればね(付勢部材)81,83が配置されてい
る。力伝達部材67に荷重がかからない時には、2つの
ばね81,83の作用により、ピストン75(ロッド7
3)はシリンダ79の所定の釣合い位置に保持される。
【0084】図9は,この力伝達部材67の荷重対長さ
の特性を示す。すなわち、引張り方向および圧縮方向の
いずれの方向の荷重に対しても、力伝達部材67の長さ
は変化し、そのときの荷重の変化特性は力伝達部材67
のばね81,83に共通のばね定数Kcにより定まる。
引張り荷重/圧縮荷重の増加と共に、力伝達部材67の
長さは長く/短くなっていくが、ばね81,83のいず
れかが密着状態または図示しないストッパにロッド73
側が当接すると引張り側/圧縮側の長さ変化は終了し、
力伝達部材67は図示の剛棒領域に入る。
【0085】図10(a)〜(c)はフロントスタビラ
イザ61全体の特性変化の様子を示す。フロントスタビ
ライザ61へのロール変位入力に伴い、力伝達部材67
には、引張荷重または圧縮荷重が作用する。
【0086】フロントスタビライザ61へのロール変位
入力が小さい、すなわち小ロール角領域(ロール角R以
下の領域)では、力伝達部材67は圧縮側/引張り側共
にばね定数Kcにより定まる長さ変化を生じ、このと
き、フロントスタビライザ61全体は、フロントスタビ
ライザ本体61aのねじりばね定数Ktと力伝達部材67
のばね定数Kcの直列ばねの特性となり、フロントスタビ
ライザ61のロール剛性は低下する。
【0087】フロントスタビライザ61全体へのロール
変位入力が大きくなり、大ロール角領域(ロール角Rを
越える領域)に入ると、力伝達部材67はもはや長さ変
化をしなくなり、通常のコンロッド部材のような剛体棒
を介して支持するような特性となるため、このときフロ
ントスタビライザ61全体のロール剛性は、単にフロン
トスタビライザ本体61aのねじりばね定数Ktにより定
まる。したがって、図10(c)に示すように、ロール
剛性は屈曲点Pにおけるロール角Rの前後で異なり、ロ
ール角R以下(屈曲点P以下)の小ロール角領域ではロ
ール剛性が低く、ロール角R(屈曲点P)を越える大ロ
ール角領域ではロール剛性が高い特性を持つ。
【0088】このように、力伝達部材67が引張り/圧
縮の入力荷重に対して、同一の荷重対長さの特性を持っ
ているので(図9)、フロントスタビライザ本体61a
の両アーム部61cのそれぞれに力伝達部材67を設け
ることなく、左右いずれかのアーム部61cに設けるだ
けで、フロントスタビライザ61全体のロール角対ロー
ルモーメント特性は右ロールと左ロールとで同じ特性と
なる。
【0089】図11は、フロントサスペンションとリア
サスペンションのロール角に対するロールモーメントの
特性を示す。図示のように、リアサスペンションのロー
ルモーメント特性は直線状であり、屈曲点を持たない。
一方、フロントサスペンションのロールモーメント特性
は、フロントスタビライザ61全体のロールモーメント
特性の屈曲点Pに対応するロール角Rと同じロール角R
において屈曲点P’を持つ非線型特性になるように設定
されている。
【0090】すなわち、フロント/リアの両サスペンシ
ョンのロールモーメント特性が図11の特性となるよう
に、フロントサスペンションのばね定数、リアサスペン
ションのばね定数、フロントスタビライザ本体61aの
ねじりばね定数Kt、力伝達部材67のばね定数Kc、リア
スタビライザ71のばね定数を調整している。
【0091】すなわち、小ロール角領域で、フロントサ
スペンションとリアサスペンションのロール剛性が等し
くなるように(ロール剛性配分が50:50 )すると共に、
大ロール角領域のロール剛性配分割合をフロントサスペ
ンション側に偏らせて設定している。
【0092】このような構成および特性の設定により、
小ロール角領域での車体へのロール振動の伝達力を特に
低減して乗り心地を向上させたい場合に、対応が可能と
なる。
【0093】また、大ロール角領域では、ロール剛性配
分がフロント側に偏る特性となるように設定しているの
で、アンダステア特性が十分確保される。
【0094】こうして、本実施形態によれば、フロント
スタビライザ本体61aの左右いずれか一方のアーム6
1cに力伝達部材67を設け、そのばね特性を引張り/
圧縮側で同一に設定すると共に、大ロール角領域に移行
する屈曲点Pにてばね作用を停止する構成とし、かつフ
ロントとリアの両サスペンションの特性を上記の特性
(図11)とすることにより、上記第1実施形態と同様
に、上記の作用が容易に得られる。
【0095】また、力伝達部材67の使用に伴い、フロ
ントスタビライザ本体61aのねじれ角が小さくなるの
で、フロントスタビライザ本体61aのねじり応力を緩
和でき、これの大径化やフロントスタビライザ61全体
の配置スペースをコンパクト化することができる。
【0096】さらに、フロントスタビライザ61の一方
のアーム61cにだけ力伝達部材67を備える構成であ
るので、それだけコストが低減される。
【0097】[第3実施形態]本発明の第3実施形態を
図12〜図14により説明する。図12は本実施形態の
力伝達部材107の構造を示す断面図である。
【0098】本実施形態はつぎの点が上記第2実施形態
の構成(図7)と異なる。すなわち、力伝達部材107
の構造が異なり、また、この力伝達部材107がリアス
タビライザ111側に配置されている点が異なる。その
他の構成は第2実施形態と同様である。したがって、相
違点を説明し、重複する説明は省略する。
【0099】図12に示すように、本実施形態の力伝達
部材107は、上記第2実施形態の力伝達部材67(図
8)の下端部17a側のばね81の代りにフリーピスト
ン109が設けられている。フリーピストン109とピ
ストン115との間には作動油が充填されている。ま
た、フリーピストン109と力伝達部材107の下端部
17aとの間には所定の高圧の気体が封入され、気密に
保たれている。一方、フリーピストン109とシリンダ
119の頭部119aとの間にばね(付勢部材)121
が配置されている。
【0100】こうして、力伝達部材107に荷重がかか
らない時には、気体の圧力とばね121の作用により、
ピストン115(ロッド113)はシリンダ119の所
定の釣合い位置に保持される。
【0101】そして、力伝達部材107に荷重がかかっ
たときの長さ変化に対する荷重の変化割合、すなわち力
伝達部材107のばね定数は比較的小さく、例えば上記
第1、第2実施形態に比べて小さく設定されている。
【0102】また、この力伝達部材107では、ピスト
ン115に図示しないオリフィス(減衰部材)が作動油
室123とばね室125とを連通するように設けられ、
作動油がオリフィスを通過するときの流体抵抗により力
伝達部材107の伸縮に対する減衰力が発生する。
【0103】図13(a)にリアスタビライザ111全
体をモデル化して示すように、リアスタビライザ本体1
11aの右側アーム部111cの先端部が力伝達部材1
07の下端部17aに揺動可能に取り付けられ、左側ア
ーム部111cの先端部はコンロッド5に取り付けら
れ、各アーム部111cはそれぞれ力伝達部材107、
コンロッド部材5を介して図外のリアサスペンションの
車輪支持体またはアーム/リンク部材に取り付けられて
いる。なお、図13(a)は車両後方からの斜視状態を
示す。
【0104】上述のように、力伝達部材107のばね定
数は比較的小さく設定され、オリフィス(減衰部材)を
通る作動油により力伝達部材107の長さ変化速度に比
例する減衰力が生じる。したがって、リアスタビライザ
本体111aのねじりばね定数Kt を、力伝達部材10
7での等価的なばね定数Ke で置き換えると、Kt =K
e ×r×r………(rはアーム111cの長さ、図13
(a)参照)という関係式で表される。リアスタビライ
ザ111全体はばね(ばね定数Ke )とオリフィス(減
衰係数C)とが直列に連結された構成でモデル化され
る。
【0105】このような構成のリアスタビライザ111
の振動伝達特性は、図13(b)に示すように、静的な
変位入力に対しては、オリフィスが変位入力を吸収し伝
達力は発生しない。また、入力周波数が小さい(低振動
数)入力領域では、全体として減衰係数Cで示す特性に
近く、入力周波数の増加に伴って伝達力のゲインが上が
る。入力周波数の増加につれてオリフィスの減衰作用は
追従せずに剛体棒のようになっていくので、高周波領域
では全体としてばねKe の特性となる。すなわち、オリ
フィス(減衰係数C)が作用する低周波数領域から、ば
ね(ばね定数Ke )として作用する高周波数領域へと変
化していく入力周波数f0 は、f0 =ω0 /2πで与え
られる(ここにω0 =Ke /C)。
【0106】本実施形態では、この周波数f0 を、車両
の操舵周波数応答特性のロール共振周波数やヨー共振周
波数よりも小さい周波数に設定している。このように設
定することによって、この設定周波数よりも入力周波数
の小さな操舵時のような車両の操縦安定性への影響の少
ない入力に対しては、リアスタビライザ111はロール
方向の減衰作用を発生し、ロール剛性を発生することは
ない。
【0107】このような構成および特性の設定により、
図14に示すように、入力の低周波数領域ではリアサス
ペンションの等価的なロール剛性が低下し、フロントサ
スペンション側にロール剛性配分を偏らせることができ
るので、車両のアンダーステア特性を確保することがで
きる。
【0108】また、入力周波数の高い領域では、リアス
タビライザ111全体はばねKe の特性で作用するの
で、高周波入力の領域では等価的なロール剛性の配分割
合はフロントサスペンションとリアサスペンションで5
0:50 になり、路面のねじり入力に対して車両のロール
振動が発生せず、乗り心地が向上する。
【0109】こうして、本実施形態によれば、上記第
1、第2実施形態と同様に、車両のアンダーステア特性
の確保と、車両の乗り心地の向上を両立させることがで
きる。
【0110】なお、上記各実施形態では、スタビライザ
本体のアーム部先端部に力伝達部材を備えているが、こ
の部位に力伝達部材を備える代りに、例えばスタビライ
ザ本体を分割して、その間を上記力伝達部材と同様な作
用・効果を発揮する部材により連結するような構成を採
ってもよい。
【0111】あるいは、スタビライザ本体を車体側部材
に取り付ける弾性ブッシュ部材の特性を同様な効果を発
揮する特性にしてもよい。
【0112】これにより、路面入力(特に路面のねじり
入力)による車体のロール方向の振動を防止し、車両の
乗り心地を向上させながら、比較的旋回求心加速度が大
きな領域で車両のアンダーステア特性を確保できるとい
う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成概要を示す斜
視図である。
【図2】第1実施形態の要部の構成概要を示す断面図で
ある。
【図3】第1実施形態の要部の特性を示す説明図であ
る。
【図4】第1実施形態の要部の作動(a,b図)および
特性(c図)を示す説明図である。
【図5】第1実施形態の特性を示す説明図である。
【図6】第1実施形態の要部の他の構成例(a図)およ
びその構成例の特性を示す図(b図)である。
【図7】本発明の第2実施形態の全体構成概要を示す斜
視図である。
【図8】第2実施形態の要部の構成概要を示す断面図で
ある。
【図9】第2実施形態の要部の特性を示す説明図であ
る。
【図10】第2実施形態の要部の作動(a,b図)およ
び特性(c図)を示す説明図である。
【図11】第2実施形態の特性を示す説明図である。
【図12】本発明の第3実施形態の要部の構成概要を示
す断面図である。
【図13】第3実施形態の要部の作動(a図)および特
性(b図)を示す説明図である。
【図14】第3実施形態の特性を示す説明図である。
【図15】従来例の特性を示す説明図である。
【図16】従来例の説明図である。
【図17】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1,11,61,71,111 スタビライザ 11a,61a,71a,111a スタビライザ本体 1b,11b 中央部 1c,11c,61c,71c,111c アーム部 3,13 弾性ブッシュ部材(弾性部材) 5 コンロッド部材 17,37,67,107 力伝達部材 31,81,83,121 ばね(付勢部材) P,P’ 屈曲点 R 屈曲点P,P’に対応する車体ロール角

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フロントスタビライザを備えた車両のフ
    ロントサスペンションとリアスタビライザを備えたリア
    サスペンションとの少なくとも一方が、車体のロール角
    に対するロールモーメントの特性に屈曲点を持つ非線型
    特性となるように設定され、 前記ロールモーメントの変化割合であるロール剛性のリ
    アサスペンションに対するフロントサスペンションへの
    配分割合が、前記屈曲点を境にロール角の大きな領域で
    相対的に大きく、同小さな領域で相対的に小さくなるよ
    うに前記非線型特性が設定されたことを特徴とするサス
    ペンション装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記非線型のロールモーメント特性を持つサスペンショ
    ンに備えられたスタビライザは、該サスペンションの屈
    曲点に対応するロール角においてロール剛性が変化する
    屈曲点を持つように設定されたことを特徴とするサスペ
    ンション装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のサスペンショ
    ン装置であって、 前記サスペンションおよびスタビライザの屈曲点が、車
    両旋回時の求心加速度0.2 G 〜0.5 G に相当するロール
    角領域に存在するように設定されたことを特徴とするサ
    スペンション装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のサスペ
    ンション装置であって、 前記屈曲点よりもロール角の小さな領域において、前記
    フロントサスペンションとリアサスペンションとへのロ
    ール剛性の配分割合がほぼ等しくなるように設定された
    ことを特徴とするサスペンション装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記屈曲点前後の両サスペンションの少なくとも一方の
    ロール剛性は、前記ロール角の大きな領域よりも同小さ
    な領域で高くなるように設定されたことを特徴とするサ
    スペンション装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記屈曲点前後の両サスペンションの少なくとも一方の
    ロール剛性は、前記ロール角の大きな領域よりも同小さ
    な領域で低くなるように設定されたことを特徴とするサ
    スペンション装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記フロントスタビライザとリアスタビライザとはそれ
    ぞれ、車両横方向に延びて配置される中央部とほぼ車両
    前後方向に延びる左右のアーム部とを有し、 前記中央部は、弾性部材を介して車体側部材に回動可能
    に支持され、 前記リアスタビライザの左右アーム部は、それぞれ弾性
    伸縮可能な力伝達部材を介して車輪支持体またはリンク
    部材に連結され、 前記フロントスタビライザの左右アーム部は、それぞれ
    コンロッド部材を介して車輪支持体またはリンク部材に
    連結されたことを特徴とするサスペンション装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記力伝達部材は、内蔵する付勢部材の付勢力により取
    付け時荷重が定まると共に取付け時荷重以下の入力荷重
    では長さ変化を生じず、該取付け時荷重を越える入力荷
    重に応じて伸縮長さ変化を生じるばね特性を有すること
    を特徴とするサスペンション装置。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載のサスペンション装置で
    あって、 前記フロントスタビライザとリアスタビライザとは、そ
    れぞれ車両横方向に延びて配置される中央部とほぼ車両
    前後方向に延びる左右のアーム部とを有し、 前記中央部は、弾性部材を介して車体側部材に回動可能
    に支持され、 前記フロントスタビライザの左右アーム部の一方が弾性
    伸縮可能な力伝達部材を介して車輪支持体またはリンク
    部材に連結されると共に、同他方がコンロッド部材を介
    して車輪支持体またはリンク部材に連結され、 前記リアスタビライザの左右アーム部は、それぞれコン
    ロッド部材を介して車輪支持体またはリンク部材に連結
    されたことを特徴とするサスペンション装置。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のサスペンション装置
    であって、 前記力伝達部材は、内蔵する付勢部材の付勢力により取
    付け時長さが定まると共に入力荷重に応じて伸縮方向共
    に等しい長さ変化を生じ、入力荷重が所定値に達すると
    長さ変化を停止することを特徴とするサスペンション装
    置。
  11. 【請求項11】 フロントスタビライザを備えた車両の
    フロントサスペンションとリアスタビライザを備えたリ
    アサスペンションとを備え、 前記フロントスタビライザとリアスタビライザとは、そ
    れぞれ車両横方向に延びて配置される中央部とほぼ車両
    前後方向に延びる左右のアーム部とを有し、 前記中央部は、弾性部材を介して車体側部材に回動可能
    に支持され、 前記リアスタビライザの左右アーム部の一方が弾性伸縮
    可能な力伝達部材を介して車輪支持体またはリンク部材
    に連結されると共に、同他方がコンロッド部材を介して
    車輪支持体またはリンク部材に連結され、 前記フロントスタビライザの左右アーム部は、それぞれ
    コンロッド部材を介して車輪支持体またはリンク部材に
    連結され、 前記力伝達部材は、内蔵する付勢部材によりばね特性を
    有すると共に長さ変化速度に比例した減衰力を発生する
    減衰部材を備えるサスペンション装置であって、 前記力伝達部材がコンロッド部材に置き換えられた場合
    に、フロントサスペンションとリアサスペンションのロ
    ール剛性がほぼ等しくなることを特徴とするサスペンシ
    ョン装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のサスペンション装
    置であって、 前記力伝達部材の減衰部材は、減衰係数をC、力伝達部
    材の等価ばね定数をKe としたとき、f0 =(Ke /
    C)/2πで表される周波数f0 が車両の操縦応答特性
    の、ヨー共振周波数およびロール共振周波数よりも低く
    なるように減衰係数Cを設定したことを特徴とするサス
    ペンション装置。
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