JP2000177122A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JP2000177122A
JP2000177122A JP35435898A JP35435898A JP2000177122A JP 2000177122 A JP2000177122 A JP 2000177122A JP 35435898 A JP35435898 A JP 35435898A JP 35435898 A JP35435898 A JP 35435898A JP 2000177122 A JP2000177122 A JP 2000177122A
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conductivity type
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diaphragm
individual electrode
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Shuya Abe
修也 阿部
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Ricoh Co Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14314Structure of ink jet print heads with electrostatically actuated membrane
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/18Electrical connection established using vias

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板サイズの小サイズ化、実装工程の簡略化
及び低価格化、振動板の対向電極の高密度化、工程の簡
略化等を図る。 【解決手段】 液室130,振動板120,個別電極2
20とを有し、振動板120に取り付けられた共通電極
と個別電極220との間に駆動電圧を印加し、前記振動
板120を静電力により変形させ、ノズル330からイ
ンク液滴を吐出して記録する。個別電極220が形成さ
れている基板210は第1導電型の半導体基板であっ
て、前記個別電極220に外部から電位を与えるための
電極取り出しパッド250が前記基板210の振動板1
20と反対側の面に設けられており、前記個別電極22
0と前記個別電極取り出しパッド250間が、前記第1
導電型の半導体基板210中に形成された第2導電型の
不純物拡散層240で電気的に接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド、より詳細には、インクジェット記録装置のプリン
トヘッドに関し、例えば、プリンタ,ファクシミリ,複
写機等の記録に使用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】図13は、特開平7−125196号公
報に開示されたインクジェットヘッドの一例を説明する
ための断面図で、図13(A)は要部断面図、図13
(B)は図13(A)のB−B断面図で、図中、1は第
1の基板、2は第2の基板、3は第3の基板で、これら
の基板を図示のごとく接合することによって、ノズル孔
4、インク室6、オリフィス7、インクキャビティ8等
が形成される。第1の基板1には、振動板5が一体的に
形成され、第2の基板2には、該振動板5に対して、ギ
ャップGを介して個別電極9が形成されている。個別電
極9と振動板5の共通電極との間には、駆動回路11が
接続され、該駆動回路11より、個別電極9と共通電極
(振動板5)との間に電圧を印加すると、これら個別電
極9と振動板5との間にギャップGを介して静電引力が
働き、印加電圧を解除した時に、振動板5が跳ね返り、
インク室6内のインクを加圧し、ノズル孔4よりインク
滴を噴射し、記録紙12上に印写するものである。而し
て、このインクジェットヘッドにおいては、個別電極と
振動板電極とは、それぞれの同一の平面I,II上に引き
出され、そこで電圧が印加されるようになっている。
【0003】図14は、特開平5−169660号公報
に開示されたインクジェットヘッドの一例を説明するた
めの要部断面図で、図14(A)は要部の模式的断面
図、図14(B)はインクタンク27を取り外し可能に
設けた時の模式的断面図であり、このインクジェットヘ
ッドは、支持体21と、該支持体21に沿って配置さ
れ、記録信号に応じて吐出口22からインクを吐出する
ために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生
手段が設けられたエネルギー基板23と、前記支持体2
1に沿って配置され、ワイヤボンディング24を介して
記録装置本体からの前記記録信号を前記エネルギー基板
23に伝達するための配線基板25とを有し、前記支持
体21の前記エネルギー基板23が配置されている側と
は反対側にコンタクトパッド26が配置されている。
【0004】図15は、本出願人の先に提案したインク
ジェットヘッド(特開平7−1251956号公報)の
一例を説明するための要部断面図で、このインクジェッ
トヘッドは、ガラス基板31へ導体埋め込み用スルーホ
ール32が形成され、ここに導体を埋め込み、振動板3
3の対向電極34をスルーホール32内に埋め込まれた
導体(図示せず)を通してガラス基板31の裏面に引出
し、バンプ状導体35を介して実装し、電圧をかけられ
るようにしている。なお、37はインク導入口、38は
インク室、39はノズルで、図13に示したインクジェ
ットヘッドと同様、対向電極(個別電極)34と振動板
33との間に電圧を印加して、振動板33を撓ませ、そ
の反動力でインク室38内のインクをノズル39より吐
出させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−12519
5号公報のインクジェットヘッド構造では、個別電極側
の実装表面高さIと振導板側の実装表面高さIIが異なる
ため、それぞれに実装工程を行う必要がある。また、そ
れぞれ個別電極、振動板から実装する領域まで電極を引
き出して実装する必要があるとともに、個別電極を実装
する領域は振動板側の電極へ実装する領域よりも外側に
張り出す必要があり、必然的に基板のサイズが大きくな
る。
【0006】特開平5−169660号公報のインクジ
ェットヘッド構造では、インクにエネルギーを伝達する
ためにエネルギー基板部と駆動回路部分をフレキシブル
基板やワイヤーボンディング,半田等を用いて接続する
が、その際、 1)エネルギーを伝達するための配線基板であるフレキ
シブル基板の曲がる範囲が限定され、支持体の厚みが必
要とされる。 2)支持体裏側まで電極を引出すために、ワイヤーボン
ディング,配線基板,半田接続を用いる工程を踏んでお
り、実装にかかる時間を要し、また、コスト高になる。
【0007】特開平7−125195号公報のインクジ
ェットヘッド構造では、ガラス基板に対してスルーホー
ルを開けて導体を埋め込むという困難な工程を要する。
【0008】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなさ
れたもので、基板サイズの小サイズ化、実装工程の簡略
化及び低価格化、振動板の対向電極の高密度化、工程の
簡略化等を図ることを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ノズ
ルと、該ノズルに連通するインク流路と、流路の一部に
設けられた液室及び振動板と、該振動板に対向して設け
られた個別電極とを有し、前記振動板に取り付けられた
共通電極と前記個別電極間に駆動電圧を印加して前記振
動板を静電力により変形させ、前記ノズルからインク液
滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記個別
電極が形成されている基板は第1導電型の半導体基板で
あって、前記個別電極に外部から電位を与えるための電
極取り出しパッドが前記基板の振動板側と反対の面にも
うけられており、前記個別電極と前記個別電極取り出し
パッド間が、前記第1導電型の半導体基板中に形成され
た第2導電型の不純物拡散層で電気的に接続されている
ことを特徴としたものである。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記第1導電型の半導体基板に第2導電型を示す不
純物を導入したのち、第1導電型半導体層をエピ成長及
び熱拡散させることにより第1導電型半導体基板中に埋
め込まれた第2導電型拡散領域を個別電極と個別電極取
り出しパッド間の電気的な接続に用いたことを特徴とし
たものである。
【0011】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、個別電極が形成されている半導体基板の厚さが振動
板の厚さよりも厚く電極ピッチよりも小さいことを特徴
としたものである。
【0012】請求項4の発明は、請求項3の発明におい
て、個別電極が形成されている半導体基板の厚さを、液
室を形成している基板との接合後に薄くしたことを特徴
としたものである。
【0013】請求項5の発明は、ノズルと、該ノズルに
連通するインク流路と、流路の一部に設けられた液室及
び振動板と、該振動板に対向して設けられた個別電極と
を有し、前記振動板に取り付けられた共通電極と前記個
別電極間に駆動電圧を印加して前記振動板を静電力によ
り変形させ、前記ノズルからインク液滴を吐出するイン
クジェットヘッドであって、前記個別電極が形成されて
いる基板が第1導電型の半導体基板であって、前記個別
電極に外部から電位を与えるための電極取り出しパッド
が前記基板の振動板側と反対の面にもうけられており、
前記個別電極と前記個別電極取り出しパッド間が、前記
第1導電型の半導体基板中に形成された第2導電型の不
純物拡散層で電気的に接続されているインクジェットヘ
ッドの製造方法において、前記第1導電型の半導体基板
に第2導電型を示す不純物を導入したのち、第1導電型
半導体層をエピ成長及び熱拡散させることにより第1導
電型半導体基板中に埋め込まれた第2導電型拡散領域を
個別電極と個別電極取り出しパッド間の電気的な接続に
用いることを特徴としたものである。
【0014】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、個別電極が形成されている半導体基板の厚さを、液
室を形成している基板との接合後に薄くすることを特徴
としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明の請
求項1のインクジェットヘッドの構成を示す要部断面構
成図で、ウエハサイズで液壁・振動板基板110、振動
板120の対向電極220を有する電極基板210を加
工,組立後に個別のチップに切り出した状態を示してい
る。液壁・振動板基板110は例えば(100)面また
は(110)面を基板表面に有するSiウエハを加圧液
室の形状に合わせて溝加工し、板厚5μmの振動板12
0を構成している。
【0016】振動板120の対向電極220をなす電極
基板210は、例えば(100)面または(110)面
を基板表面に有する基板からなり、その電極基板210
には、振動板120に対向させた位置に対向電極220
が配置され、振動板120とその対向電極と220間に
は微小間隔を確保してある。対向電極220に接続する
ように、電極基板210の導電型と異なる導電型の不純
物層領域240が形成されており、その不純物層領域2
40を介して、電極基板210表側にある振動板120
の対向電極220の電位を電極基板210裏側に引き出
している。さらに、電極基板210裏側へ引き出した電
極240上に、外部接続用のパッドメタル250を形成
している。
【0017】上述のごとき構成の振動板基板110と電
極基板210とを直接接合などにより張り合わせ、さら
には、インク供給口320とインク吐出口であるノズル
孔330を形成したノズル基板310を振動板基板11
0上に張り合わせてインクジェットヘッドを構成してい
る。このようなインクジェットヘッドにおいて、振動板
120と対向電極220の間に電圧を印加したとき、振
動板120と電極220間に静電引力が働き、振動板1
20は対向電極220の方に引かれる。このとき液室1
30は陰圧となりインク供給のための流路160を経て
共通液室140から個別液室130へとインクが供給さ
れる。電圧を切ると振動板(及び電極基板)120はS
iの剛性によりもとの位置へと戻り、このとき個別液室
130は加圧されノズル孔330を経て記録紙上へとイ
ンクが吐出される。
【0018】図2は、本発明のインクジェットヘッドの
パッド取り出し部分のレイアウトについての概略を示し
た図で(電極基板210のパッド取り出し側から見た
図)、図2(A)に示すように、対向電極220に接す
るように第1半導体基板210中に形成された第2導電
型不純物拡散領域240とコンタクトホールを介して前
記第2導電型不純物拡散領域240に接続している外部
接続用パッドメタル250と前記外部接続用パッドメタ
ル250に外部とパッド接続するためにパッシベーショ
ン膜270に開けたパッド取り出し穴271がほぼ同じ
位置に重なって配置される場合もあれば、図2(B)に
示すように、第2導電型不純物拡散領域240とパッド
メタル250が接続しているコンタクト領域から該パッ
ドメタル250を引き延ばして、別の場所にパッド取り
出し穴を設け、該パッド取り出し穴272を介して外部
とパッド接続する配置にして、より実装しやすくするこ
ともできる。また、場合によっては多層メタル構造にし
てもかまわない。また、電極基板の裏面にトランジスタ
等を作り込んで、スイッチやドライブ回路等を一体化す
ることも可能である。
【0019】図3乃至図5は、図1に示した構成のイン
クジェットヘッドを形成する製造工程を説明するための
要部断面概略図で、製造工程を工程順に従って(A)〜
(K)にて示したものである。 工程(A):厚さ400μm程度のp型シリコンウエハ
の半導体基板210をフォトリソ技術を用いて形成した
レジストマスクにより、所定の領域にイオン注入法によ
りリンを注入する(図3(A))。このときシリコンウ
エハ上には例えば25nm程度のバッファ酸化膜を形成
し、該酸化膜を通して注入する方が望ましい。また、本
実施例においては、不純物としてヒ素やアンチモンなど
n型の導電型領域を形成する不純物であれば他の元素で
もかまわない。また、ウエハの導電型はp型のものを用
いたが、n型を用いても構わない。n型基板を用いた場
合には電極部分にはp型の導電型領域を形成するような
不純物、例えばボロンやアルミ等を注入すればよい。ま
た、本実施例ではイオン注入法を用いたが、気相拡散法
や固相拡散法を用いて不純物導入を行っても構わない。
また、ウエハの厚みは400μm程度のものを用いた
が、他の厚みでも構わない。
【0020】工程(B):工程(A)で所定の領域にリ
ンを注入したp型シリコンウエハを、アニールを行って
非晶質化された部分の再結晶化及び欠陥回復を行い前処
理を行った後にp型シリコン層をエピ成長させる。本実
施例では50μm程度成長させる(図3(B))。
【0021】工程(C):工程(A)と同様に、先に注
入を行った所定の領域にリンを注入し、その後、工程
(B)と同様に、アニール後にエピ成長を行う。このサ
イクルを何回か(本実施例では7回)繰り返す(図3
(C)、なお図3(C)では3層に省略して描いてあ
る)。本実施例では全ての工程を同一条件で処理した
が、再結晶化のアニール時やエピ成長時にも不純物拡散
が起きるため、それを考慮して不純物の種類を変えた
り、エピ成長層の厚みを変えてもよい。
【0022】工程(D):工程(C)までで所定の位置
にn型不純物(リン)が埋め込まれたウエハをアニール
し、先に埋め込んだ不純物を拡散させ、相互に接続する
ようにする。本実施例では50μm間隔で埋め込み不純
物層を形成してあったので、拡散距離が25μmとなる
ように拡散を行えば拡散領域が相互につながる。
【0023】工程(E):工程(D)までベースの基板
として用いていた部分を研磨により除去することによ
り、所定の位置でn型拡散領域が貫通している構造のp
型シリコン基板が得られる。これを電極基板210とし
て以後の工程で用いる(図4(E))。
【0024】工程(F):工程(E)までで作成した電
極基板210の表面に約500nmの熱酸化膜260を
成長させる。続いて電極基板210の1表面上に、フォ
トリソグラフィー技術を用いて、すでに形成されている
n型拡散領域240に整合させて、対向電極部分が開口
するようなレジストマスクを形成し、酸化膜260をエ
ッチングした後、イオン注入法によりn型導電型領域を
形成するような不純物、例えばリンを注入する。ここで
注入されたリンは後の熱工程によって活性化され、n型
導電型領域を形成し、このn型導電型領域が振動板12
0の対向電極220となる。また、先に成長した熱酸化
膜260は振動板120と該振動板120の対向電極2
20間との間のギャップを形成する(図4(F))。本
実施例では、対向電極220としてn型拡散層を用いる
が、TiやTiNなどの高融点金属・TiSiやWSi
などのシリサイドやポリシリコンそれらの積層膜を用い
ることもできる。この場合は酸化膜260をエッチング
した後、熱酸化により酸化膜を形成後コンタクトホール
を開口してn型不純物領域に接するように金属膜等を成
膜、フォトリソ・エッチングによりパターニングを行え
ばよい。
【0025】工程(G):工程(F)でギャップ及び対
向電極を形成された電極基板210のギャップ及び対向
電極が形成された面と、後に液室・振動板となる基板1
10の振動板が形成される面を張り付け合わせる。張り
合わせ方法としては、例えば電極基板210上の熱酸化
膜260を介した直接接合法を用いる(図4(G))。
【0026】工程(H):電極基板210の工程(G)
で張り合わせを行った面と反対側の面(以後、電極基板
裏面とする)上に酸化膜261を成膜し、すでに形成さ
れているn型不純物拡散領域240に接するようにコン
タクトホールを開口し、n型不純物拡散領域240に接
するように外部取り出し用パッドメタル250を形成
し、その上にパッド取り出し用の開口をしたパッシベー
ション膜270を形成する。これらは、通常の半導体プ
ロセスで用いられている成膜方法及びフォトリソ,エッ
チング工程をもって形成される(図4(H))。
【0027】工程(I):共通液室140から個別液室
130へインクを供給するための流路となる部分150
をエッチングであらかじめ窪ませたのち、液室形成のた
めのエッチングマスクを形成する。本実施例では厚さ1
μmのTa205を用いた。Ta205はスパッタ法に
て成膜し、フォトリソグラフィー法でレジストをパター
ニング、CF4ガスを用いたドライエッチングし、レジ
ストを除去すれば形成できる(図5(I))。本実施例
以外でもSiO層,Si膜,SiON膜やそれ
らの積層膜をエッチングマスクとして利用できる。ただ
し、例えば熱CVDで成膜したSi膜など、高温
での成膜を要する膜をエッチングマスクとして用いる場
合には、本実施例の工程(E)で行ったパッドメタル及
びパッシベーション膜の形成は、メタル材料の耐熱性を
考慮すると、その種類にもよるが、この工程以降に行う
ことが望ましい。また、本実施例では電極基板と液室・
振動板基板を張り付けた後に液室形成マスクをパターニ
ングを行ったが、あらかじめ液室形成マスクをパターニ
ングしてから電極基板と張り合わせることも可能であ
る。
【0028】工程(J):工程(I)で形成したエッチ
ングマスクを用い液室130及び共通液室140を形成
する。本実施例では、これらの液室を精度よく形成する
ために、TAMH(テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド)にてシリコンの異方性エッチングを行うことによ
り形成した(図5(J))。TAMH以外にもKOH水
溶液を用いても同様に異方性エッチングを行うことがで
きる。
【0029】工程(K):ノズル孔330,インク供給
口320を形成したノズル基板310を振動板基板11
0に位置整合させ、エポキシ系接着剤を用いて接着し、
インクジェットヘッドは完成する(図5(K))。な
お、本実施例では説明を省略したが、電極基板210の
電位固定のための電極もとっておくことはもちろんであ
る。
【0030】(実施例2)図6は、本発明の請求項3に
記載したインクジェットヘッドの構成を示す断面構成図
で、同図は、ウエハサイズで液壁・振動板基板110,
振動板120の対向電極220を有する電極基板210
を加工,組立後に個別のチップに切り出した状態を示し
ている。振動板基板110は例えば(110)面または
(110)面を基板表面に有するSiウエハからなり、
そのシリコンウエハを加圧液室の形状に合わせて溝加工
し、板厚5μmの振動板120を構成している。振動板
120の対向電極220を有する電極基板210は、例
えば(100)面または(110)面を基板表面に有す
る、厚さ10μmのシリコン基板からなり、その電極基
板(第1導電型半導体基板)210には、振動板120
に対向させた位置に対向電極220が配置され、振動板
120とその対向電極220間には微小間隔を確保して
ある。電極基板210の振動板120と対向していない
部分で、かつその対向電極220と接続するように、電
極基板210の導電型と異なる導電型を示す(第2導電
型)不純物層領域240が形成されていて、その不純物
層領域240を介して、電極基板210表側にある振動
板120の対向電極220の電位を電極基板210裏側
に引き出している。さらに、電極基板210裏側の引出
電極240上へ、外部接続用パッドメタル250を形成
している。
【0031】上述のごとき構成の振動板基板110と電
極基板210とを直接接合などにより張り合わせ、さら
にはインク供給口320とインク吐出口であるノズル孔
330を形成したノズル基板310を振動板基板110
上に張り合わせてインクジェットヘッドを構成してい
る。このようなインクジェットヘッドにおいて、振動板
120と対向電極220の間に電圧を印加したとき、振
動板120と電極220との間に静電引力が働き、振動
板120と対向電極220は互いに引かれあう。このと
き、変位量は厚みの3乗に反比例するため、本実施例で
は電極基板210の厚みは振動板120の厚みの2倍な
ので、振動板120の変位量と電極基板210の変位量
の比は8:1となり、振動板120の変位が総変位の大
部分を占める。このとき液室130は陰圧となりインク
供給のための流路150を経て共通液室140から個別
液室130へとインクが供給される。電圧を切ると振動
板120(及び電極基板210)はSiの剛性によりも
との位置へと戻り、このとき個別液室130は加圧され
ノズル孔330を経て記録紙上へとインクが吐出され
る。
【0032】ここで、電極基板210の方が振動板12
0よりも薄いと、静電引力が働いたときに振動板120
の変位量よりも電極基板210の変位量の方が大きくな
ってしまい、効率よくインクを吐出することができな
い。また、電極基板210の厚さが電極ピッチよりも厚
いと、横方向拡散のために基板の両面からの拡散だけで
は隣り合うビットの電極に接続するための不純物拡散層
同士がつながってしまう。そのため、本請求項3の発明
では電極基板210厚みとしては振動板120よりも厚
く電極ピッチ以下とした。電極基板210をこのような
厚みとすることにより、エピ成長による埋め込み拡散層
の形成を必要とせず、電極基板210の両面からの拡散
によってのみ、電極基板210の厚さ方向に貫通するよ
うな不純物拡散領域を形成することができる。ただし、
電極基板210があまりに厚いと該電極基板210を貫
通するような不純物拡散領域240を形成するのに非常
に時間がかかるため、30μm以下とすることが望まし
い。
【0033】図7及び図8は、図6に示した構成のイン
クジェットヘッドを形成する製造工程を説明するための
要部断面概略図で、製造工程を工程順に従って(A)〜
(H)に示したものである。 工程(A):電極基板(第1導電型半導体基板)210
として用いる厚さ400μm程度のp型シリコンウエハ
を用い、その表面に約5000Åの熱酸化膜260,2
61を成長させる。続いて電極基板210の1表面上に
フォトリソグラフィー技術を用いて対向電極部分が開口
するようなレジストマスクを形成し、そのレジストマス
クを用いて先に成長させた酸化膜260をエッチングし
た後、イオン注入法によりn型導電型領域を形成するよ
うな不純物、例えばリンを注入する。ここで注入された
リンは後の熱工程によって活性化され、n型導電型領域
を形成し、このn型導電型領域が振動板120の対向電
極220となる。また、先に成長した熱酸化膜260は
振動板120と該振動板120の対向電極220とのギ
ャップを形成する(図7(A))。
【0034】本実施例においては、n型導電型領域を形
成するための不純物としてリンを用いたが、ヒ素やアン
チモンなどn型の導電型領域を形成する不純物であれば
他の元素でも構わない。また、ウエハの導電型はp型の
ものを用いたが、n型を用いても構わない。n型基板を
用いた場合には電極部分にはp型の導電型領域を形成す
るような不純物、例えば、ボロンやアルミ等を注入すれ
ばよい。また、本実施例ではイオン注入法を用いたが、
気相拡散法や固相拡散法を用いて不純物導入を行っても
構わない。また、ウエハの厚みは400μm程度のもの
を用いたが、他の厚みでもかまわない。また、本実施例
ではギャップ形成の同一パターンで不純物導入を行った
が、ギャップ形成用マスクとは別のマスクで不純物導入
しても構わない。また、不純物をイオン注入法にて導入
する場合には薄い酸化膜、例えば、250nm程度の酸
化膜を通して注入することもできる。また、本実施例で
は省いたが、対向電極220と振動板120の絶縁のた
めに、対向電極220の表面に絶縁膜を形成したり、そ
の絶縁膜表面を凹凸形状に加工したりすることも、成膜
及びフォトリソ・エッチング技術を用いて行うことが可
能である。また、本実施例ではギャップは電極基板側に
形成したが、液室・振動板基板側にギャップ形成しても
よい。
【0035】工程(B):工程(A)でギャップ及び対
向電極を形成された電極基板210のギャップ及び対向
電極が形成された面と、後に液室・振動板となる基板1
10の振動板が形成される面を張り付け合わせる。張り
合わせ方法としては、例えば電極基板210上の熱酸化
膜260を介した、Si−Siの直接接合法を用いる
(図7(B))。
【0036】工程(C):工程(A)で電極基板210
と液室・振動板基板110を張り合わせたウエハの電極
基板210を研磨により、振動板の膜厚以上で30μm
以下の厚さになるように、本実施例では10μm程度ま
で薄くする。続いて、電極基板210の表面に絶縁膜2
61を成長させた後フォトリソ・グラフィー技術によ
り、対向電極220の位置に合わせてレジストの開口窓
をあけ、それをマスクに絶縁膜261をエッチングした
後、イオン注入法によりn型導電型領域(第2導電型不
純物注入領域)240を形成するような不純物、例えば
リンを注入する(図7(C))。本実施例では研磨によ
り電極基板210を薄くしたが、エッチングで薄くする
ことによっても同様の構造を得ることもできる。特に、
あらかじめ電極基板210をSOI基板に作り込み、液
室・振動板基板110と張り合わせた後にSOI基板の
支持基板部分をエッチングで除去する方法によれば、精
度よくかつ表面性のよい面を得ることができる。また、
電気化学エッチストップ法や高濃度ボロン拡散層による
エッチストップ技術を用いても高精度で表面性の良い基
板の薄層化が可能である。また、本実施例では、電極基
板にはp型基板を用い、導入する不純物にはリンを用
い、導入方法はイオン注入法を用いたが、先述した対向
電極220の場合と同様に、電極基板の導電型、導入す
る不純物の種類、導入方法はこれに限ったものではな
い。
【0037】工程(D):工程(C)でリンを注入しレ
ジストを除去した後に熱拡散法を用いて先に注入したリ
ンを活性化すると同時に電極基板中に拡散させ、対向電
極220と第2導電型不純物拡散領域240を電気的に
接続する。このとき、本実施例では、対向電極220の
形成のためにも先にリンを注入していて、対向電極22
0側からもリンが拡散してくるので、それぞれに5μm
の深さの拡散を行えば、基板210の中心付近でお互い
に接続することになる(図8(D))。本実施例では、
この時点で対向電極220と第2導電型不純物拡散領域
240が接続するようにしているが、この工程の後でも
熱工程が加わるのであれば、そのときに拡散することも
見越して、拡散深さを浅めにしてやることも可能であ
る。この時点で対向電極220と第2導電型不純物拡散
領域240が接続されていなくても、すべての工程が終
わった時点で最終的に接続するのであれば構わない。
【0038】工程(E):工程(D)で形成した第2導
電型不純物拡散領域240に接するように外部取り出し
用パッドメタル250を、その上にパッド取り出し用の
開口をしたパッシベーション膜270を形成する。これ
らは、通常の半導体プロセスで用いられている成膜方法
及びフォトリソ・エッチング工程をもって形成される
(図8(E))。パッドメタルとしては本実施例ではA
l−Si−Cuを用いたが、それ以外にもAl,Ti,
TiN,Pt,Au,Cr,それらを主成分とする合金
及びそれらのシリサイドを単層でもしくは積層した状態
で用いられる。成膜方法もスパッタ法,真空蒸着法,C
VD等各種方法が用いられている。また、パッシベーシ
ョン膜270としては、本実施例ではプラズマCVD法
で成膜したSiN膜を用いたが、これ以外にもSiO2
膜,SiON膜及びそれらを積層したものでも良く、成
膜方法もプラズマCVD以外にも常圧CVD,減圧CV
D,スパッタなどで形成可能である。また、これらの工
程もこの時点ではなく、後述する液室形成後やノズル取
り付け後に行っても構わない。また、本実施例では先の
工程(C)で形成した絶縁膜260を層間絶縁膜とし
て、また、工程(C)で不純物導入のために絶縁膜26
1に開口した孔をコンタクトホールとしてそのまま用い
たが、層間絶縁膜をあらためて成膜し直しコンタクトホ
ールを開け直しすることも通常の半導体プロセスを用い
て可能である。
【0039】工程(F):共通液室140から個別液室
130へインクを供給するための流路となる部分150
をエッチングであらかじめ窪ませたのち、液室形成のた
めのエッチングマスクを形成する。本実施例では厚さ1
μmのTa205を用いた。Ta205はスパッタ法に
て成膜し、フォトリソグラフィー法でレジストをパター
ニング、CF4ガスを用いたドライエッチングし、レジ
ストを除去すれば形成できる(図8(F))。本実施例
以外でもSiO2膜,Si34膜,SiON膜やそれら
の積層膜をエッチングマスクとして利用できる。ただ
し、例えば、熱CVDで成膜したSi34膜など、高温
での成膜を要する膜をエッチングマスクとして用いる場
合には、本実施例の工程(E)で行ったパッドメタル及
びパッシベーション膜の形成は、その材料の種類にもよ
るが、この工程以降に行うことが望ましい。また、本実
施例では、電極基板と液室・振動板基板を張り付けた後
に液室形成マスクのパターニングを行ったが、あらかじ
め液室形成マスクをパターニングしてから電極基板と張
り合わせることも可能である。
【0040】工程(G):工程(F)で形成したエッチ
ングマスクを用い液室130、共通液室140、及び流
路150を形成する。本実施例では、これらの液室を精
度良く形成するために、TMAH(テトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド)にてシリコンの異方性エッチング
を行うことにより形成した(図8(G))。TMAH以
外にもKOH水溶液を用いても同様に異方性エッチング
を行うことができる。
【0041】工程(H):ノズル孔330、インク供給
口320を形成したノズル基板310を振動板基板11
0に位置整合させ、エポキシ系接着剤を用いて接着し、
インクジェットヘッドを完成する(図8(H))。な
お、本実施例では説明を省略したが、電極基板210の
電位固定のための電極もどこかに取っておくことはもち
ろんである。
【0042】図9は、図6に示した構成のインクジェッ
トヘッドを形成する他の製造工程を説明するための要部
断面概略図で、製造工程を工程順に従って図9(A)〜
図9(E)に示したものである。 工程(A):電極基板210として用いる厚さ400μ
m程度のp型シリコンウエハを用い、その表面に約50
00Åの熱酸化膜260を成長させる。続いて電極基板
210の表面上にフォトリソグラフィー技術及びエッチ
ング技術を用いて、先に成長させた酸化膜260の1部
をエッチングし、ギャップを形成する。次にギャップの
一部にイオン注入法によりn型導電型領域を形成するよ
うな不純物、例えば、リンを注入後、熱拡散法によりリ
ンを深さ10μm程度まで拡散させる(図9(A))。
本製造工程においても、不純物の種類,基板の厚み,導
電型、及び不純物の導入方法が前記に限らないことは先
述した第1の製造方法(図7,図8)の場合と同様であ
る。また、不純物の拡散深さも前記の値に限らず、すべ
ての工程が終わった時点で最終的に対向電極とパッドメ
タルが電気的に接続されていれば良い。
【0043】工程(B):工程(A)でギャップ及び不
純物拡散領域240が形成された電極基板210の表面
に熱酸化法により酸化膜を形成し、不純物拡散領域24
0に導電がとれるようなコンタクトホールをフォトリソ
・エッチング技術を用いて酸化膜に開口した後、WSi
/poly−Siを積層構造で構成された対向電極22
0を形成する。対向電極220と不純物拡散領域240
はコンタクトホールを介して接合される(図9
(B))。WSi/poly−Siの積層構造で構成さ
れた対向電極220はpoly−SiをLP−CVD法
で成膜後リンデポまたはイオン注入法により低抵抗化の
ための不純物が導入された後、WSiをスパッタ法もし
くはCVD法にて成膜,フォトリソ・エッチング技術に
よりパターニングを行うことにより形成される。また、
必要に応じてWSi/poly−Si上に絶縁膜のギャ
ップを設けることも可能である。また、電極材料もこれ
らに限らず、Ti,TiN,TiSiや他の高融点金属
でも可能である。また、第1の実施例と同様にSi基板
表面に形成した不純物拡散領域でも構わない。ただし、
この場合には絶縁膜上ではなくSi基板内部に形成され
る。
【0044】工程(C):工程(B)でギャップ及び不
純物拡散領域240が形成された電極基板210のギャ
ップ及び対向電極が形成された面と、後に液室・振動板
となる基板110の振動板が形成される面を張り付け合
わせる。張り合わせ方法としては、例えば、電極基板2
10上の熱酸化膜260を介して、Si−Siの直接接
合法を用いる(図9(C))。
【0045】工程(D):工程(C)で電極基板210
と液室・振動板基板110を張り合わせたウエハの電極
基板210を、研磨により振動板の膜厚以上で30μm
以下の厚さになるように、本実施例では10μm程度ま
で薄くする。このとき工程(A)で形成された不純物拡
散領域240が露出される。続いて、電極基板210の
表面に絶縁膜261を成長させた後フォトリソグラフィ
ー・エッチング技術により、不純物拡散領域240の位
置に合わせてコンタクトホールを開口する(図9
(D))。本実施例では研磨により電極基板210を薄
くしたが、他の方法によっても同様の構造を得ることが
可能であることは、第1の製造方法の場合と同様であ
る。
【0046】工程(E):工程(D)で形成したコンタ
クトホール部分を介して外部取り出し用パッドメタル2
50を、その上にパッド取り出し用の開口をしたパッシ
ベーション膜270を形成する(図9(E))。これら
の材料及び形成方法は第1の製造方法の場合と同様であ
る。以後、第1の製造方法と同様な方法で液室、ノズル
等を形成しインクジェットヘッドを完成する。
【0047】(実施例3)図10は、請求項3に記載し
たインクジェットヘッドの第2の実施例を示す断面構成
図で、同図は、ウエハサイズで液壁・振動板基板11
0,振動板120の対向電極220を有する電極基板2
10を加工,組立後に個別のチップに切り出した状態を
示している。基本的な構成・動作は第1の実施例と同様
である。第1の実施例との違いは、第1の実施例では、
対向電極220と外部接続用メタルパッド250を電気
的に接続するための第2導電型不純物拡散領域240
は、対向電極220が形成されている領域に対して部分
的に形成されているのに対し、この第2の実施例では対
向電極220が形成されている領域とほぼ同じ領域にわ
たって第2導電型不純物拡散領域240が形成されてい
て、それら2つがほぼ区別なく一体となっている。
【0048】図11(A)は、図10に示した断面に垂
直な断面(図10のXI−XI断面)を示し、図11(B)
に比較として第1の実施例の構造についての同様な断面
図を示す。図11(A),図11(B)から明らかなよ
うに、第2の実施例図11(A)の方が電極基板210
と対向電極220(第2の実施例では接続用の第2導電
型不純物拡散領域240を兼ねている)の対向する面積
が小さくなっているため、対向電極220と電極基板2
10間の静電容量が小さくなり、動作速度の高速化及び
低消費電力化が可能になる。
【0049】図12は、図10に示した第2の実施例の
インクジェットヘッドを形成するための製造工程を、製
造工程順に図12(A)〜図12(D)にて示したもの
である。 工程(A):電極基板210として用いる厚さ400μ
m程度のp型シリコンウエハを用い、その表面に約50
00Åの熱酸化膜260を成長させる。続いて電極基板
210の1表面上にフォトリソグラフィー技術を用いて
形成した対向電極部分が開口するようなレジストマスク
で、先に成長させた酸化膜260の一部をエッチングし
た後イオン注入法によりn型導電型領域を形成するよう
な不純物、例えばリンを注入する。ここで注入されたリ
ンは後の熱工程によって活性化され、n型導電型領域を
形成し、このn型導電型領域が振動板120の対向電極
220となる。また、先に成長した熱酸化膜260は振
動板120と該振動板120の対向電極220とのギャ
ップを形成する(図12(A))。不純物の種類,導入
方法,基板の種類その他がこれに限らないことは、第1
実施例の製造方法と同様である。
【0050】工程(B):工程(A)でギャップ及び対
向電極を形成された電極基板210のギャップ及び対向
電極が形成された面と、後に液室・振動板となる基板1
10の振動板が形成される面を張り付け合わせる。張り
合わせ方法としては、例えば電極基板210上の熱酸化
膜260を介した、直接接合法を用いる(図12
(B))。
【0051】工程(C):工程(A)で電極基板210
と液室・振動板基板110を張り合わせたウエハの電極
基板210を、研磨により振動板の膜厚以上で30μm
以下の厚さになるように、本実施例では10μm程度ま
で薄くする。続いて、電極基板210の表面に25nm
程度のバッファ酸化膜261を形成後フォトリソグラフ
ィー技術により、対向電極220の位置に合わせてレジ
ストの開口窓をあけ、イオン注入法によりn型導電型領
域240を形成するような不純物、例えばリンをバッフ
ァ酸化膜261を通して注入する(図12(C))。電
極基板210を薄くする方法,不純物の種類,導入方法
がこれに限らないことは第1実施例の製造方法と同様で
ある。
【0052】工程(D):工程(C)でリンを注入し、
レジストを除去した後に熱拡散法を用いて先に注入した
リンを活性化すると同時に電極基板中に拡散させ、対向
電極220と第2導電型不純物拡散領域240を電気的
に接続する。このとき本実施例では対向電極220の形
成のためにも先にリンを注入しておき、対向電極220
側からもリンが拡散してくるので、それぞれに5μmの
深さの拡散を行えば、基板の中心付近でお互いに接続す
ることになる。また、この拡散時に酸素雰囲気中で拡散
を行うことにより、電極基板210表面に300nm程
度の酸化膜を成長させる。その後通常用いられている工
程により、コンタクトホール開口,パッドメタル250
の成膜・パターニング,パッシベーション膜270の成
膜・パッド開口を行う(図12(D))。
【0053】本製造方法ではこの時点で対向電極220
と第2導電型不純物拡散領域240が接続するようにし
ているが、この工程の後でも熱工程が加わるのであれ
ば、そのときに拡散することも見越して、拡散深さを浅
めにしてやることも可能である。この時点で対向電極2
20と第2導電型不純物拡散領域240が接続されてい
なくても、すべての工程が終わった時点で最終的に接続
するのであれば構わない。また、本製造方法では先の注
入時に用いたバッファ酸化膜を残したまま拡散を行った
が、一度除去した後に拡散を行っても良い。また、本製
造方法では酸素雰囲気中で拡散を行い、拡散と同時に酸
化膜の形成を行ったが、雰囲気として水蒸気雰囲気を用
いればもっと厚い酸化膜を成長することが可能である
し、また、拡散と酸化の工程を別々に行っていたり、追
加酸化を行っても構わない。また、CVD法等他の方法
で絶縁膜形成を行うこともできる。また、絶縁膜,電極
形成以降のプロセスはこの時点ではなく、もっと後で行
っても構わない。
【0054】工程(D)を行ったのち、第1実施例の製
造方法と同様な方法で液室,ノズル等を形成しインクジ
ェットヘッドは完成する。また、本実施例では拡散時間
の短縮のため、電極基板の対向電極側と電極取り出し側
の両側から拡散を行ったが、どちらか一方からのみの拡
散で同様な構造を形成することも可能である。
【0055】
【発明の効果】請求項1の発明の効果:電極基板の電極
を電極基板内の不純物拡散領域を通して電極基板裏側に
取り出すことで電極基板裏側で電圧印加に必要な実装が
できるので、インクジェットヘッドに必要なチップの表
面積が小さくすることができ、また、実装表面上部に積
層するものが無いので、実装が容易にできる。
【0056】請求項2の発明の効果:請求項1のインク
ジェットヘッドを精度良く製造することができる。
【0057】請求項3の発明の効果:電極基板の膜厚を
薄くすることにより、対向電極の電位取り出しのための
不純物拡散領域の形成が拡散工程のみで行うことがで
き、工程が短縮され歩留まりや信頼性も高い。
【0058】請求項4の発明の効果:液室・振動板基板
と張り合わせてから電極基板を薄くすることにより、ハ
ンドリングの問題が無くなるため、電極基板をより薄く
することが可能になり、拡散時間の短縮がなされる。
【0059】請求項5の発明の効果:請求項1のインク
ジェットヘッドを精度良く製造することができる。
【0060】請求項6の発明の効果:個別電極が形成さ
れている本導体基板の厚さを、より薄くすることが可能
となり、拡散時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の請求項1のインクジェットヘッドの
構成を示す要部断面構成図である。
【図2】 本発明のインクジェットヘッドのパッド取り
出し部分のレイアウトについての概略を示した図であ
る。
【図3】 図1に示したインクジェットヘッドの製造工
程の一部(工程(A)〜工程(D))を説明するための
要部工程図である。
【図4】 図3に示した製造工程に続く工程の一部(工
程(E)〜工程(H))を説明するための要部工程図で
ある。
【図5】 図4に示した製造工程に続く工程(工程
(I)〜工程(K))を説明するための要部工程図であ
る。
【図6】 本発明の請求項3に記載してインクジェット
ヘッドの構成を示す断面構成図である。
【図7】 図6に示した工程製造工程に続く工程(工程
(A)〜工程(C))を説明するための要部工程図であ
る。
【図8】 図6に示した工程製造工程に続く工程(工程
(D)〜工程(H))を説明するための要部工程図であ
る。
【図9】 図6に示したインクジェットヘッドの製造工
程の他の製造方法の一例を説明するための要部工程図で
ある。
【図10】 請求項3に記載したインクジェットヘッド
の第2の実施例を示す断面構成図である。
【図11】 図10に示したインクジェットヘッドのXI
−XI線断面図(図11(A))及び図6に示したインク
ジェットヘッドの対応部断面図(図11(B))であ
る。
【図12】 図10に示した第2の実施例のインクジェ
ットヘッドを形成するための製造工程を示す図である。
【図13】 特開平7−125196号公報に開示され
たインクジェットヘッドの一例を説明するための断面図
である。
【図14】 特開平5−169660号公報に開示され
たインクジェットヘッドの一例を説明するための要部断
面図である。
【図15】 本出願人の先に提案したインクジェットヘ
ッド(特開平7−1251956号公報)の一例を説明
するための要部断面図である。
【符号の説明】
110…液壁・振動板基板、120…振動板、130…
液室、140…共通液室、160…流路、210…電極
基板、220…対向電極、310…ノズル基板、320
…インク供給口、330…ノズル孔。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルと、該ノズルに連通するインク流
    路と、流路の一部に設けられた液室及び振動板と、該振
    動板に対向して設けられた個別電極とを有し、前記振動
    板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電
    圧を印加して前記振動板を静電力により変形させ、前記
    ノズルからインク液滴を吐出するインクジェットヘッド
    において、前記個別電極が形成されている基板は第1導
    電型の半導体基板であって、前記個別電極に外部から電
    位を与えるための電極取り出しパッドが前記基板の振動
    板側と反対の面にもうけられており、前記個別電極と前
    記個別電極取り出しパッド間が、前記第1導電型の半導
    体基板中に形成された第2導電型の不純物拡散層で電気
    的に接続されていることを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 請求項1のインクジェッドヘッドにおい
    て、前記第1導電型の半導体基板に第2導電型を示す不
    純物を導入したのち、第1導電型半導体層をエピ成長及
    び熱拡散させることにより第1導電型半導体基板中に埋
    め込まれた第2導電型拡散領域を個別電極と個別電極取
    り出しパッド間の電気的な接続に用いたことを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1のインクジェッドヘッドにおい
    て、個別電極が形成されている半導体基板の厚さが振動
    板の厚さよりも厚く電極ピッチよりも小さいことを特徴
    としたインクジェッドヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3のインクジェットヘッドにおい
    て、個別電極が形成されている半導体基板の厚さを、液
    室を形成している基板との接合後に薄くしたことを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 ノズルと、該ノズルに連通するインク流
    路と、流路の一部に設けられた液室及び振動板と、該振
    動板に対向して設けられた個別電極とを有し、前記振動
    板に取り付けられた共通電極と前記個別電極間に駆動電
    圧を印加して前記振動板を静電力により変形させ、前記
    ノズルからインク液滴を吐出するインクジェットヘッド
    であって、前記個別電極が形成されている基板が第1導
    電型の半導体基板であって、前記個別電極に外部から電
    位を与えるための電極取り出しパッドが前記基板の振動
    板側と反対の面にもうけられており、前記個別電極と前
    記個別電極取り出しパッド間が、前記第1導電型の半導
    体基板中に形成された第2導電型の不純物拡散層で電気
    的に接続されているインクジェットヘッドの製造方法に
    おいて、前記第1導電型の半導体基板に第2導電型を示
    す不純物を導入したのち、第1導電型半導体層をエピ成
    長及び熱拡散させることにより第1導電型半導体基板中
    に埋め込まれた第2導電型拡散領域を個別電極と個別電
    極取り出しパッド間の電気的な接続に用いることを特徴
    とするインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5のインクジェットヘッドの製造
    方法において、個別電極が形成されている半導体基板の
    厚さを、液室を形成している基板との接合後に薄くする
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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