JP4033318B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置として用いるインクジェット記録装置において使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(圧力室、加圧液室、液室、インク流路等とも称される。)と、この吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段を駆動することで吐出室内インクを加圧してノズル孔からインク滴を吐出させるものであり、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方式のものが主流である。
【0003】
従来、吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段として、圧電素子を用いて吐出室の壁面を形成する振動板を変形させて吐出室内容積を変化させてインク滴を吐出させるようにしたもの(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵抗体を用いて吐出室内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるようにしたもの(特開昭61−59911号公報参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、上述した従来のインクジェットヘツドのうち、前者の圧電素子を用いる方式においては、吐出室に圧力を生じさせるために振動板に圧電素子のチップを貼り付ける工程が複雑であり、特にインクジェット記録装置では高速、高印字品質が求められてきており、これに対応するためにはマルチノズル化、ノズルの高密度化が不可欠であるが、圧電素子を微細に加工し、多数の圧電素子を振動板に接着することは、極めて煩雑で多くの時間がかかる。しかも、高密度化の結果、圧電素子を幅数十〜百数十μmで加工する必要が生じてきているが、従前の機械加工における寸法、形状精度では加工品質にばらつきが発生するために印字品質のばらつきが大きくなる。
【0005】
また、後者のインクを加熱する方式においては、圧電素子を用いる場合の問題は生じないものの、発熱抵抗体の急速な加熱、冷却の繰り返し、気泡消滅時の衝撃によって、発熱抵抗体がダメージを受けるために、総じてインクジェットヘッドの寿命が短くなる。
【0006】
そこで、こうした問題を解決するものとして、特開平6−71882号公報に記載されているように、吐出室の壁面を形成する振動板を静電気力(静電力)によって変形させることで吐出室内容積を変化させてインク滴を吐出させるインクジェットヘッドが提案されており、この静電気力を用いる方式にあっては、小型、高密度、高印字品質及び長寿命を達成できるという利点がある。
【0007】
ところで、静電気力を利用したインクジェットヘッドにあっては、振動板に静電気力による変形を生じさせるために振動板及び振動板に対向して配置されている電極に外部回路から電圧を印加しなければならない。
【0008】
そこで、例えば特開平9−307218号公報に記載されているように、振動板及び液室を形成する第1の基板と電極を形成する第2の基板とを接合して、振動板用の外部電極を第1の基板の上面に設け、電極用の外部電極(個別電極用外部電極)を第2の基板の凹部に形成して、このとき、振動板用外部電極と個別電極用外部電極との間に第1の基板の厚さ相当分の段差が生じるので、先端部が2つに分岐した特殊なFPCケーブルを用いて外部回路と接続するようにすることが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように振動板用外部電極と個別電極とを先端部が2つに分岐した特殊なFPCケーブルで接続しなければならないので、接続作業が面倒で作業効率が悪く、また、FPC自体のコストも高くなり、ヘッドのコスト高を招くという課題がある。
【0010】
また、インクジェットヘッドの高密度化のために振動板及び電極を狭ピッチ化する場合、例えば振動板作成用の基板としてSi基板を用いて異方性エッチングなどで振動板を形成した後、電極基板と接合しようとすると、接合不良や振動板の破損などによる歩留まりの低下を招くおそれがあり、またアライメントや接合回数が多く、量産性が低いという課題がある。
【0011】
さらに、電極基板としてSi基板を用いて電極としてN型やP型の不純物層を用いる(上記特開平6−71882号公報参照)と、成膜時にパーテイクルの発生のおそれがある金属膜を用いる場合に比べて、振動板と電極間に狭ギャップを形成し易いし、電極上の電極保護膜として膜質の良い熱酸化膜を形成することができるなどの利点があるものの、接合リークや電極間のパンチスルーの発生により、信頼性が低下する。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、工程増加を招くことなく、外部回路への接続手段を容易に接続できるようにすることを目的とする。
【0021】
課題を解決するための手段
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室と、この吐出室の少なくとも一つの壁面を形成する振動板と、この振動板に対向した凹部の底面に配置された個別電極とを有し、振動板と個別電極との間で発生させる静電力によって振動板を変形させてインク滴を吐出させるインクジェットヘッドの製造方法において、振動板及び振動板用外部電極を形成する単結晶シリコンからなる第1の基板と個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板とを、振動板と個別電極との間で所定の間隔を設けて接合した後、第1の基板に振動板をエッチングにより形成するときに、この第1の基板のうち、少なくとも第2の基板の個別電極用外部電極を含む領域に対応する領域及び振動板用外部電極を形成する部分を含むコンタクト部をエッチングにより振動板と同じ厚さに形成する工程と、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程とを含む構成とした。
【0022】
ここで、第2の基板がガラス基板からなり、第1の基板にSiO膜のギャップスペーサを形成し、若しくは第2の基板に凹部を形成して、振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを陽極接合する構成とできる。
【0023】
また、第2の基板が単結晶シリコン基板からなり、第1の基板及び第2の基板の少なくともいずれか一方にSiO膜のギャップスペーサを形成し、振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを直接接合する構成とできる。
【0024】
また、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、第1の基板の振動板用外部電極を形成する部分にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜する構成とできる。
【0025】
また、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、第1の基板のエッチングによる除去領域以外の領域にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜する構成とできる。
【0026】
また、振動板のコンタクト部の口の短辺をx、コンタクト部の短辺をy、第1基板の厚さをaとしたとき、少なくとも(a/x)>1、(a/y)<1の関係を充足する構成とできる。
【0029】
また、第2の基板に形成する個別電極の振動板に対向する部分にはP型又はN型不純物層を形成し、コンタクト部には耐熱性の高い耐熱膜をシート状に形成し、両者の間に不純物層と金属膜との接続孔を配置した電極構成とする構成とできる。
【0030】
また、振動板及び振動板用外部電極を形成する第1の基板となるシリコンウエハに個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板を接合した後、第1の基板エッチングを行い、シリコンウエハを個々のヘッドチップに切断した後、コンタクト部のうちの個別電極用外部電極に対応する領域を除去して開口を形成する構成とできる。
【0031】
この場合、振動板用外部電極を形成するときに、この振動板用外部電極を形成する部分にシリコンに比較してドライエッチングのエッチング速度が遅い金属層を形成する構成とできる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明を適用する静電型インクジェットヘッドの基本構成を説明する断面説明図、図2は図1の平面説明図である。
このインクジェットヘッドは、第1の基板1と、この第1の基板1の上側に設けた蓋部材2と、第1の基板1の下側に設けた電極基板3と、第1の基板1及び蓋部材2の前面側に設けたノズル板4とからなる。
【0036】
第1の基板1には、ノズル板4に形成した複数のノズル孔5に連通するインク吐出溝6と、各インク吐出溝6が連通する吐出室7を形成する凹部8と、各吐出室7の底部となりその壁面を形成する変形可能な振動板10と、各吐出室7にインクを供給するための共通インク流路11を形成する凹部12とを設けている。また、蓋部材2には、各吐出室7と共通インク流路11とを連通する流体抵抗部を兼ねたインク供給路13と、共通インク流路11へ外部からインクを供給するためのインク供給口14とを設けている。さらに、電極基板3には振動板10に所定のギャップを置いて対向する電極17を設け、この電極17と振動板10によってアクチュエータ部を構成する。
【0037】
このインクジェットヘッドにおいては、振動板10と電極17との間に駆動電圧を印加することによって静電力(静電気力)によって振動板10が変形して、吐出室7の内容積が変化することによってノズル孔5からインク滴が吐出される。
【0038】
そこで、このような静電型インクジェットヘッドに本発明を適用した実施形態について図3以降を参照して説明する。なお、以下の説明においては、図示の簡略化のために振動板基板上に形成する液室やノズル孔、或いは振動板基板上に接合する液室やノズルを形成した液室形成部材などの図示は省略する。
【0039】
また、振動板を形成する第1の基板となる振動板用基板には、KOHによる異方性エッチングで自発的なエッチストップが可能な高濃度ボロン層が形成された面方位(110)のSi基板を用い、また電極基板を形成する第2の基板には、ガラス基板を用いた例で説明するが、これらの基板に限定されるものではない。例えば、振動板用基板にはSOI基板を用いても良いし、振動板を形成するためのエッチングはドライエッチングで行っても良く、更に、電極基板としてSi基板を用いることもできる。
【0040】
先ず、本発明の第1実施形態について図3乃至図10を参照して説明する。なお、図3は電極基板と接合する前の振動板基板の上面図、図4は同振動板基板の製造工程を説明する図3のA−A線に沿う断面説明図、図5は振動板基板と接合する前の電極基板の上面図、図6は同電極基板の製造工程を説明する図5のB−B線に沿う断面説明図、図7は振動板基板と電極基板を接合して振動板を形成した状態の上面図、図8は同接合及び形成の製造工程を説明する図7のC−C線に沿う断面説明図、図9は同振動板基板に外部電極を形成した状態の上面図、図10は同外部電極形成の製造工程を説明する図9のD−D線に沿う断面説明図である。
【0041】
図3及び図4を参照して、接合前の振動板基板20の製造工程について説明すると、所望の厚さ(例えば3μm)の振動板25を形成する場合、図4(a)に示すように振動板用基板としての第1の基板であるSi基板21に3μmの高濃度ボロン層22を注入工程や不純物拡散工程などを経て形成し、その後、エッチングマスクとして例えばLPCVD−SiN膜23を表裏面に成膜する。なお、エツチングマスクとしては、例えば、SiO2膜でも良いし、SiO2膜とSiN膜の積層膜を用いることもできる。
【0042】
次に、Si基板21に図3に示すように振動板25とコンタクト部26がSiエッチングされるように図4(b)に示すようにフオトレジスト24をパターニングし、同図(c)に示すようにパターンニング面上のSiN23膜及び裏面全面のSiN膜23をエッチングして除去した後、フォトレジスト24を除去する。これによって、図3に示すようにSi基板21上に振動板25及びコンタクト部26が形成されるパターンをSiN膜23で形成した振動板基板20が得られる。
【0043】
ここで、コンタクト部26とは、後述する図7に示すように、電極基板30に形成した複数の電極33の各個別電極用外部電極34を含む領域に対応する領域及び振動板用外部電極を形成する部分をいうものとする。なお、このコンタクト部26は複数の個別電極用外部電極34を含む領域以上の大きさを有する領域であればよい。
【0044】
次に、図5及び図6を参照して、接合前の電極基板30の製造工程について説明すると、図5及び図6(a)に示すように、第2の基板であるガラス基板31に、後述するように対向して配置される振動板25と電極33との間に所定にギャップ(対向間隔)を得るために凹部(以下、「ギャップ」という。)32を形成する。このギャップ32は、ガラス基板31にギャップ32に対応するパターンを形成して、例えばフッ酸で0.5μm深さにエッチングして形成する。
【0045】
そして、図5及び図6(b)に示すように、ギャップ32中に電極33及びこれに連続する個別電極用外部電極34を形成する。これらの電極33、34は、電極となり得る金属、例えばニッケルを、例えばスパッタリング法により、例えば0.2μm厚で成膜した後、フォトリソグラフイ技術を用いてパターニングすることで形成できる。
【0046】
なお、ここでは、電極33、34を形成する金属としてニッケルを用いているが、アルミや金などを用いることもでき、材料は特に限定されるものではない。例えば、通常の半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等の高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結晶シリコン材料などを用いることができる。また、第2の基板2にシリコン基板を用いる場合、不純物拡散領域を用いることができ、このとき、拡散に用いる不純物は基板シリコンの導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散領域周辺にpn接合を形成し、電極33、34と第2の基板2とを電気的に絶縁する。
【0047】
その後、図5及び図6(c)に示すように、電極33及び個別電極用外部電極34表面に絶縁性の電極保護膜35を形成する。ここでは、電極保護膜として、例えばスパッタリング法により、例えばSiO2膜35を、例えば0.1μm厚で成膜した後、フォトトリソグラフィ技術を用いてパターニングしている。これにより、図5に示すように、ギャップ32に電極保護膜35で被覆された電極33及び個別電極用外部電極34が形成された電極基板30が得られる。
【0048】
そこで、図7及び図8を参照して、上述した工程を得て製造した図3及び図5に示す振動板基板20と電極基板30の接合から振動板形成までの工程について説明する。先ず、図8(a)に示すように、振動板基板20と電極基板30とを陽極接合法で、例えば400℃−500V印加の条件で接合する。この状態で、振動板基板20の振動板25(実際には振動板になる前の状態である)と電極基板30の電極33が所定の間隔を置いて対向すると共に、振動板基板20のコンタクト部26と電極基板30の複数の個別電極用外部電極34が対向する。
【0049】
その後、同図(b)に示すように、KOH液で振動板基板20のLPCVD−SiN膜23をマスクとして、第1の基板であるSi基板21を異方性エッチングすることにより、高濃度ボロン層22で急激にエッチングレートが低下するので、振動板基板20には厚さ3μmの高濃度ボロン層22である振動板25とコンタクト部26が精度良く形成される。そして、振動板基板20のエッチングマスクとして使用したLPCVD−SiN膜23を除去する。
【0050】
これによって、図7に示すように、振動板基板20の振動板25と電極基板30の電極33が所定の間隔を置いて対向すると共に、振動板基板20のコンタクト部26と電極基板30の複数の個別電極用外部電極34が対向する状態で接合された振動板基板20及び電極基板30からなる接合部材が得られる。
【0051】
そこで、図9及び図10を参照して、上述の工程で得られた振動板基板20及び電極基板30からなる接合部材に、振動板用外部電極27を形成し、個別電極用外部電極34を露出させる工程について説明する。なお、ここでは、振動板用基板20のコンタクト部26へのSiエッチングによる振動板用外部電極27の作製と個別電極用外部電極34の露出を同時に行っているが、Siエッチングはウエットエッチングであるとエッチング液がギャップ32に侵入するので、ドライエッチングが好ましく、ここではドライエツチングを前提に説明する。
【0052】
すなわち、まず、図10(a)に示すように、振動板基板20上に、Siエッチング時に振動板基板20のコンタクト部26のうちの所望の領域に振動板用外部電極27が残り、それ以外のコンタクト部26だけがSiエッチングされるようにパターンを形成したエッチング用メタルマスク36をセットし、同図(b)に示すように、例えばSF6を主体とするガスを用いてSiドライエッチングを行なう。
【0053】
これによって、同図(b)及び図9に示すように、振動板基板20のコンタクト部26のうちの振動板用外部電極27を形成する部分以外の部分が除去されて、振動板用外部電極27が形成される。更に、引き続き、個別電極用外部電極34上の電極保護膜(SiO2膜)35を除去するために、例えばCHF3を主体とするガスを用いてSiO2ドライエッチングを行うことによって、電極基板30のニッケルの個別電極用外部電極34が露出する。ここで、振動板用外部電極27と個別電極用外部電極34とは、ギャップ32の深さが0.5μm、電極34の厚みが0.2μmであるから、段差2μm以内の範囲になる。
【0054】
この場合、振動板用外部電極27は高濃度ボロン層22で形成しているので、金属を被膜しなくても、例えばFPCの電極とオーミック接触が得られることから、この段階で製造工程を完了することもできる。ただし、ここでは、振動板用外部電極27上に金属を被膜した方がより好ましいので、図10(c)に示すように、振動板用外部電極27のみに金属被膜されるようにパターンを形成したデポ用メタルマスク37をセットし、金28等を例えば抵抗加熱蒸着法で成膜し、製造工程を完了している。
【0055】
これによって、振動板25と同じ厚さの振動板用外部電極27を振動板25と同一平面上に設け、この振動板用外部電極27と複数の電極33の個別電極用外部電極34との段差を2μm以内にしたインクジェットヘッド(アクチュエータ部)を得ることができる。
【0056】
このように、振動板用外部電極を振動板と同一平面に設けることによって、振動板用外部電極と個別電極用外部電極との段差を小さくすることができ、小さい段差内に、振動板用外部電極と個別電極用外部電極が配置されるので、FPC等のリード線を含む接続手段によって、振動板及び電極を容易に外部回路と接続することができるようになる。
【0057】
ここで、振動板と同じ厚さの振動板用外部電極を振動板と同一平面に設け、個別電極用外部電極との段差を2μm以内にすることによって、振動板用外部電極と個別電極用外部電極の段差が極めて小さくなり、FPC等のリード線を含む接続手段を容易に接続することができ、振動板及び電極を容易に外部回路と接続することができるようになる。
【0058】
さらに、振動板用外部電極と個別電極用外部電極とを略一列に配置することによって、振動板用外部電極及び個別電極用外部電極を接続手段を用いて一括して接続することができ、接続作業が容易になり、従来のような先端部が2つに分岐した特殊な接続手段を用いる必要もなくなってコストの増加を招くことがない。
【0059】
なお、上記実施形態のようにして振動板外部電極と個別電極用外部電極を形成した場合、振動板用外部電極は個別電極用外部電極に対して振動板との対向間隔(ここでは0.5μm)の段差内に位置することになる。振動板と電極の対向間隔は、振動板が変位できる距離を保ちつつ、出来るだけ狭くした方が駆動電圧の低電圧化が可能であるために実用的な範囲として2μm以内の範囲で形成することが好ましく、従って、振動板用外部電極と個別電極用外部電極も容易に2μm以内の段差内にすることができる。
【0060】
この場合、振動板と振動板用外部電極を第1の基板に形成し、電極及び個別電極用外部電極を第2の基板に形成して、第1の基板のうち少なくとも第2の基板の個別電極用外部電極に対応する領域を含む領域が振動板用外部電極を残して除去されている構成とすることによって、第1の基板と第2の基板とを接合した後に振動板を形成することができるので、接合不良や振動板の破損による歩留りの低下を回避することができ、しかも振動板用外部電極の形成と個別電極用外部電極の露出を同時に行なうことができる。
【0061】
また、上述したように、振動板及び振動板用外部電極を形成する第1の基板と電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板とを、振動板と電極との間で所定の間隔を設けて接合した後、第1の基板に振動板を形成するときに、この第1の基板のうち、少なくとも第2の基板の複数の個別電極用外部電極を含む領域に対応する領域及び振動板用外部電極を形成する部分を含む振動板と同じ厚さのコンタクト部をエッチングで形成し、このコンタクト部のうちの振動板用外部電極を形成する部分以外の部分を除去して、振動板用外部電極を形成することによって、工程増加を招くことなく、振動板と同じ厚さの振動板用外部電極を振動板と同一平面に設けて個別電極用外部電極との段差を2μm以内にし、FPC等のリード線を含む接続手段によって容易に外部回路と接続することができるインクジェットヘッドを得ることができる。
【0062】
この場合、第1の基板として単結晶シリコン基板、第2の基板としてガラス基板を用いて、第2の基板に凹部を形成し、振動板と電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを陽極接合することで、第1の基板と第2の基板を接合することもでき、或いは、第1の基板にSiO2膜のギャップスペーサを形成し、振動板と電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを接合することもでき、いずれの場合にも上述した工程増加を招くことなく、接続手段によって容易に外部回路と接続することができるインクジェットヘッドを得ることができる。
【0063】
また、第1の基板及び第2の基板としていずれも単結晶シリコン基板を用いて、記第1の基板又は第2の基板、或いは第1の基板及び第2の基板のいずれにも、SiO2膜のギャップスペーサを形成し、振動板と電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを直接接合することもでき、このようにしても、上述した工程増加を招くことなく、接続手段によって容易に外部回路と接続することができるインクジェットヘッドを得ることができると共に、ガラス基板を用いた場合に発生する恐れのある潜傷と称するエッチング欠陥を回避でき、精度良く狭ギャップを作成することができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態においては、振動板形成の工程までは上記第1実施形態と同様で、その後の外部電極形成方法が異なっているのみであるので、図示を省略する。
【0065】
すなわち、振動板用外部電極27に金属膜を被膜する場合には、コンタクト部26へのSiエッチングを行う前に、図10(c)に示すようなデポ用メタルマスク37を用いて、コンタクト部26のうちの振動板用外部電極27として残す部分に、Siエッチングに対しエッチング耐性のある金属膜(保護膜)としての金28を被膜し、その後、Si基板21のコンタクト部26をエッチングして振動板用外部電極27以外の部分を除去することで、振動板用外部電極27を形成すると共に個別電極用外部電極34の電極保護膜35を除去する。
【0066】
これは、エッチング用メタルマスク36を用いたSiドライエツチングではサンプルの構造上マスク下へのサイドエッヂが発生しやすくなり、振動板用外部電極27を制御性良く残すことが難しくなることがある。そこで、Siエッチングに対してエッチング耐性のある金属膜(保護膜)で前もって被膜しておくことにより、振動板用外部電極27のエッチングマージンが広がる。
【0067】
この場合、シリコンエッチングに対しエッチング耐性のある金属としては、上述した金の他に、アルミ、ニッケル等がある。また、金属膜を成膜するできるだけ直前にHF系のエッチング液で洗浄することが好ましく、これにより、振動板用外部電極27と金属膜(保護膜)間に自然酸化膜などの絶縁膜が介在する確率を低くすることができ、より良好なオーミック接触を得ることができる。
【0068】
このようにコンタクト部の振動板用外部電極を形成する部分以外の部分を除去する工程の前に、振動板用外部電極を形成する部分にエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜することによって、保護膜を成膜した部分は確実にエッチングされずに残るので、振動板用外部電極を形成するためのコンタクト部のエッチングに対してエッチングマージンが増加し、また、金属膜(保護膜)の成膜前にHF系のエッチング液で洗浄することも可能になり、振動板用外部電極と金属膜との間に絶縁膜が介在することを防止できて良好なオーミック接触が可能になる。
【0069】
次に、本発明の第3実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は振動板基板に外部電極を形成した状態の上面図、図12は同外部電極形成の製造工程を説明する図11のE−E線に沿う断面説明図である。
この第3実施形態においても、振動板基板20のコンタクト部26へのSiエッチングを行う前に、シリコンエッチングに対してエッチング耐性のある保護膜(金属膜)で振動板用外部電極として残す部分を含めてSi基板を被覆するようにしている。
【0070】
すなわち、まず、前記第1実施形態の図8(b)の振動板形成の工程まで終了した後、金属膜を成膜するできるだけ直前に、HF系のエッチング液で洗浄した後、図11及び図12(a)に示すように、Si基板21のコンタクト部26のうちのシリコン除去領域以外の全面に金属が被膜されるようにパターンを形成したデポ用メタルマスク38を用いて、保護膜としての金28を被膜する。
【0071】
次に、同図(b)に示すように、例えばSF6を主体とするガスを用いてSiドライエッチングをして振動板基板20のコンタクト部26のうちの振動板用外部電極27を形成する部分以外の部分を除去する。引き続き、電極基板30の個別電極用外部電極34上の保護膜(SiO2膜)35を除去するために、例えばCHF3を主体とするガスを用いてSiO2ドライエッチングを行い、個別電極用外部電極34を露出させる。
【0072】
このとき、上記第1、第2実施形態では、エッチング用メタルマスク36を用いてエッチングを行ってきたが、ここではエッチング耐性のある金28でコンタクト部26のうちのシリコン除去領域以外の全面が覆われているので、マスクレスでエッチングが可能となる。
【0073】
このように、コンタクト部の振動板用外部電極形成する部分以外の部分を除去する工程の前に、第1の基板のエッチングによる除去領域以外の領域にエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜する構成とすることによって、マスクレスでのエッチングが可能になり、マスクを一枚低減することができ、コスト低下や工程短縮を図れ、アラインメントズレによる歩留まり低下を抑制できる。
【0074】
また、振動板基板上に形成する液室材料として高剛性材料である金属系材料を用いる場合、エッチング耐性のある金属膜として、共晶接合や圧着接合やはんだ接合やろう付けなどにも用いられる材料を選択すれば、振動板−液室接合プロセスの簡略化や接合の容易化などの効果もある。上記条件に合う金属材料としては、金、銀、鋼、ニッケル等がある。更に、化学的に安定な金属でインクに接する部分が覆われているので、インクに浸食されることがなく、接液性が良いという効果もある。
【0075】
次に、本発明の第4実施形態について参照して説明する。この実施形態においては、エッチング用メタルマスク37を用いずに、マスクレスでエッチングを可能にした他の例である。
すなわち、前述した図9及び図10に示すように、振動板25(開口部)の短辺をx、コンタクト部26(開口部)の短辺をy、振動板用Si基板21の厚さをaとするとき、図10(b)に示されるような構造において、コンタクト部26をエッチングをする場合、Si基板の厚さaが厚いので(通常数百μm)マイクロローデイング効果が顕著に現れる。出願人のスタンダードなRIE装置を用いて、コンタクト部26の短辺yを変えたときには、a/yをアスペクト比と考えると、Siの3μmエッチングの条件でアスペクト比0.3以下できれいにエツチオフされたが、アスペクト比0.6以上ではほとんどエッチングされなかった。
【0076】
その結果、エッチング条件や装置の違いやエッチングマージンなどを考慮すると、少なくともa/x>1、a/y<1の関係を充足する構成に振動板用Si基21が形成されている場合には、マスクレスでエッチングが可能であることを確認している。上記の関係式はスタンダードなRIE装置にはほぼあてはまるが、最近量産装置としても導入が進んでいる高密度プラズマエッチング装置にはあてはまらないものと思われる。
【0077】
ただし、高密度ブラズマエッチング装置はスタンダードなRIE装置に比べ非常に高価であるために、安価で量産実績のあるスタンダードなRIE装置で、マスクレスでエッチング可能なのはコスト低減に効果的である。また、高密度プラズマのエッチングチャンバーとスタンダードなRIEのエッチングチャンバーを兼ね備えた装置ならば、振動板25のエッチングを高密度プラズマで行い、コンタクト部26のエッチングをスタンダードなRIEで行うような組み合わせも考えられる。
【0078】
なお、コンタクト部26中に形成する振動板用外部電極27については、コンタクト部26のエッチングを行なう前にシリコンエッチングに対しエッチング耐性のある金属膜を被膜しておくことは言うまでもない。
【0079】
このように、振動板の開口部の短辺をx、コンタクト部の短辺をy、第1基板の厚さをaとしたとき、少なくとも(a/x)>1、(a/y)<1の関係を充足する構成とすることにより、コンタクト部のエッチングをマスクレスで行なうことができ、マスクを1枚低減することができてコスト低下や工程の短縮を図ることができ、アライメントズレによる歩留り低下を抑制することができる。さらに、コンタクト部のエッチング時に発生するおそれがあるマスク下へのサイドエッチや液室部材との接合面の汚れなどを防止できる。
【0080】
次に、本発明の第5実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は振動板基板に外部電極を形成した状態の上面図、図14は同外部電極形成の製造工程を説明する図13のF−F線に沿う断面説明図である。
この実施形態は、コンタクト部26中に形成する振動板用外部電極27を寸法の制御性良く形成できるようにしたものである。
【0081】
すなわち、まず、図14(a)に示すように、振動板用外部電極27とこの振動板用外部電極27に最も隣接する個別電極用外部電極34(これを符号「34A」で示す。)との間に、振動板25形成時のエッチングを施さないように、エッチングマスクであるLPCVD−SiN膜23をもパターニングしておき、その後、同図(b)に示すように振動板用のSi基板21のエッチングを行って振動板25及びコンタクト部26を形成する。これによって、振動板用外部電極27とこれに隣接する個別電極用外部電極34Aとの間にSiの柱39が残存形成される。
【0082】
そこで、同図(c)に示すようにデポ用メタルマスク37を用いて、振動板用外部電極27となる部分に例えば金28を蒸着した後、同図(d)に示すようにエッチング用マスク36を用いてコンタクト部26のSiと個別電極用外部電極34のSiO2膜35を除去する。
【0083】
このように、振動板用外部電極27とこれに隣接する個別電極用外部電極34Aとの間にSiの柱39を形成することによって、振動板用外部電極27を寸法精度良く形成することができる。すなわち、前記各実施形態においては、振動板用外部電極27とこれに隣接する個別電極用外部電極34Aとの間にSiの柱39がなかったので、デポ用メタルマスク37に対する振動板用外部電極27上に形成される金28の寸法の拡がりが大きかった。
【0084】
この場合、隣接する個別電極用外部電極34A上にまで金28が成膜されると、その場所のSiが貫通できなくなり、その個別電極用外部電極34Aが使えなくなることになる。また、金28の寸法の拡がりを許容する場合、隣接する個別電極用外部電極34Aとの間隔を十分に確保しなければならず、ヘッドの面積が大きくなってしまうことになる。このとき、金28の寸法の拡がりを補正するためには、マスク寸法を、拡がりを考慮して小さく設計する必要があり、マスク寸法が小さくなるにつれデポレートが減少し、成膜に時間がかかるなどの不都合を伴うことになる。
【0085】
これに対して、本実施形態においては、マスクの変更なしに、振動板用外部電極27上にマスク寸法通りの金28を形成することができる。また、エッチング用メタルマスク36を用いたSiドライエッチングでのエツチングマージンも広がる。
【0086】
このように、第1の基板をエッチングするときにコンタクト部のうちの振動板用外部電極を形成する部分とこれに隣接する個別電極用外部電極の間の部分を残すことによって、コンタクト部中に形成する振動板用外部電極への金属の成膜時やエッチング時においてマスクの密着性が向上し、振動板用外部電極を制御性良く形成することができる。
【0087】
この場合、図13及び図14に示すように、振動板25の短辺をx、コンタクト部26の短辺をy、振動板用外部電極27の短辺をz、振動板用Si基板21の厚さをaとしたとき、前記第4実施形態で説明したように、少なくともa/x>1、a/z>1、a/y<1の関係を満たすような構成に振動板用Si基板21が形成されている場合にはマスクレスでのエッチングが可能になる。この場合、振動板用外部電極27に金28を蒸着しなくても、Siドライエッチング時に振動板用外部電極27が残るので、金28を蒸着する工程はなくても良い。
【0089】
次に、本発明の第6実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は電極基板の上面図、図16は同電極基板の製造工程を説明する図15のG−G線に沿う断面図である。
この実施形態は、電極基板にSi基板を用いて、電極としてN型又はP型の不純物層を形成したものである。なお、振動板用Si基板の作製方法は上記第1乃至第5実施形態で説明したのと同様である。
【0090】
まず、図16(a)に示すように、Si基板40上にギヤツプスペーサとなるSiO2膜41を熱酸化膜法で例えば0.5μm形成した後、パターニングする。そして、同図(b)に示すように、振動板基板のコンタクト部26に形成する金属の支持台となるSiO2膜42を熱酸化膜法で例えば0.2μm形成した後、フトレジスト43でパターニングして不純物層を形成する箇所のSiO2膜42を除去し、引き続き、例えばリンを注入してN型不純物層44を形成する(P型不純物層を形成することもできる。)。
【0091】
その後、同図(c)に示すように、N型不純物層44の活性化を兼ねて、保護膜であるSiO2膜45を熱酸化方法で例えば0.1μm形成し、同図(d)に示すように、N型不純物層44の所望の位置に接続孔46を形成する。さらに、同図(e)に示すように金属膜を成膜するが、後で800℃等の高温で直接接合をすることを考慮すると、金属膜としては耐熱性の高いTiN膜47などが良い。引き続き、例えばプラズマCVD法によるSiO2膜48を連続して形成し、酸化Si膜48とTiN膜47をパターニングする。
【0092】
このときに形成されるPCVD−SiO2膜48はコンタクト部26をエッチングする際のエッチングカバー膜の役目をする。このように形成された不純物拡散層を電極とするSi基板電極は、高精度で狭ギャップが形成でき、高品質の電極保護膜を備えているので、高信頼性、高歩留まりの電極基板となる。
【0093】
ただし、このように不純物層を電極とする場合には問題点もある。これを図17及び図18を参照して説明する。図17に示す最終工程後の上面図においてH−H線に沿った断面で接続孔46の場所を拡大すると、図18に示すようになる。
【0094】
この図18(a)に示すように、接続孔46の周辺部分では段差があるためにステップカバレッジが悪く、TiN膜47やPCVD−SiO2膜48の膜厚が薄くなっていることが分る。しかも、PCVD−SiO2膜48は、熱酸化膜のように繊密な膜ではないので、微小なピンホールが生じていたり、ステップ部の膜質が悪くなるなどする。直接接合前の基板洗浄として、アンモニア過水や硫酸通水などで洗浄する場合などには、PCVD−SiO2膜48が多少エッチングされてしまい、場合によってはステップ部のPCVD−SiO2膜48が完全に除去されてしまうことがある。
【0095】
このような箇所が振動板基板のコンタクト部26に現れていると、コンタクト部26のSiエッチングの際にTiN膜47はもとよりN型不純物層44までエッチングされてしまうおそれがあり、このように状態になると、接合リークが増大してしまい、電極としての機能を果たすのが困難となる。
【0096】
そこで、図17に示すように、振動板25と対向する箇所にはN型不純物層44を、コンタクト部26にはシート状のTiN膜47のみを形成し、N型不純物層44とTiN膜47の接続孔46は、振動板25とコンタクト部26の間に形成した構成にすることによって、上述したような問題点を解決することができる。
【0097】
このように、第2の基板に形成する電極の振動板に対向する部分にはP型又はN型不純物層を形成し、コンタクト部には耐熱性の高い耐熱膜をシート状に形成し、両者の間に不純物層と金属膜との接続孔を配置した電極構成とすることによって、コンタクト部のエッチングの際にSi基板に到達するようなオーバーエッチングの発生を防ぐことができ、電極基板の信頼性が向上する。
【0098】
次に、本発明を適用した他のインクジェットヘッドについて図19乃至図21を参照して説明する。なお、図19は同インクジェットヘッドの図21のI−I線に沿う断面説明図、図20は同ヘッドの図21のJ−J線に沿う断面説明図、図21は同ヘッドの平面説明図、図22は図21からノズルユニットを除いた状態の平面説明図である。
【0099】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、SOI基板などのシリコン基板を用いた第1の基板である振動板/液室基板(上述したインクジェットヘッドの振動板基板1に相当する。)51と、この振動板/液室基板51の下側に設けたシリコン基板を用いた第2の基板である電極基板52と、振動板/液室基板1の上側に設けたノズルユニット53とを備え、ノズルユニット53は流路形成板54、共通インク室形成板55及びノズル板56からなり、複数のインク滴を吐出するノズル孔57、各ノズル孔57が連通するインク流路である吐出室58、各吐出室58にインク供給路を兼ねた流体抵抗部59を介して連通する共通インク室60及びノズル孔57と吐出室58とを連通するノズル連通路61などを形成している。
【0100】
振動板/液室基板51には、吐出室58及びこの吐出室58の壁面である底部をなす振動板(第1の電極)65を形成する凹部66を形成している。そして、振動板65と同一平面に振動板用外部電極(共通電極パッド部)67を設けている。振動板/液室基板51は、上述したように、単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボロンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロン層を形成し、電極基板52と接合した後、凹部66などをKOH水溶液などのエッチング液を用いて異方性エッチングし、このとき高濃度ボロン層がエッチングストップ層となって振動板65と共に振動板用外部電極67の部分が形成される。
【0101】
この振動板用外部電極(共通電極パッド部)67は、上述したように振動板65と同じ厚さの例えばSi基板に注入拡散した高濃度ボロン層などからなり、この振動板用外部電極67の上面には第1金属層68を形成し、この第1金属層68上に第2金属層69を形成している。
【0102】
ここで、シリコンと接触する最下層の金属層である第1金属層68にはSiとのオーミック性接触を示す金属、例えばAl、Ti、Auなどを用いている。また、最表面層である第2金属層69にはSiやSiO2の反応性イオンエッチングに耐性を有するAl、Ni、Pt、Au、TiNなどを用いている。この第2金属層69としては特に実装でコーティングする有機膜の溶剤に含まれるハロゲンによる腐食に耐えるAuやPtなどが好ましい。なお、金属層は2層構造に代えて、1層とすることも、3層以上とすることもできる。
【0103】
一方、電極基板52にはギャップスペーサとなるSiO2膜71を形成し、このSiO2膜71に形成した凹部(ギャップ)72の底面に電極73を設け、この電極73を延設して個別電極用外部電極(個別電極パッド部)74を一体に設け、電極73の表面には酸化膜やなどの電極保護膜である絶縁保護膜(パッシベーション酸化膜)75を成膜している。
【0104】
この場合、振動板65と同一平面に設けた共通電極パッド部(振動板用外部電極)67と電極基板52のギャップ72の底面に設けた個別電極パッド部(個別電極用外部電極)74とは段差が2μm以内になり、また、略一列に配置される。なお、共通電極パッド部(振動板用外部電極)67上に形成した金属層68,69を含めて段差が2μm以内になることが好ましい。
【0105】
ノズルユニット53の流路形成板54にはインク供給路59を形成する通孔及びノズル連通路61を形成する通孔を、共通インク室形成板55には共通インク室60を形成する貫通孔及びノズル連通路61を形成する通孔を、ノズル板56にはノズル孔57を形成している。なお、ノズル板56の表面には撥水性処理を施している。また、ノズルユニット53には共通インク室60に外部からインクを供給するためのインク供給口部76を設けている。
【0106】
このように、振動板用外部電極を振動板と同一平面に設けることによって、振動板用外部電極と個別電極用外部電極との段差を小さくすることができ、小さい段差内に、振動板用外部電極と個別電極用外部電極が配置されるので、FPC等のリード線を含む接続手段によって、振動板及び電極を容易に外部回路と接続することができるようになり、特に個別電極用外部電極との段差を2μm以内にすることによって、一層FPC等のリード線を含む接続手段を容易に接続することができ、振動板及び電極を容易に外部回路と接続することができるようになる。
【0107】
さらに、振動板用外部電極と個別電極用外部電極とを略一列に配置することによって、振動板用外部電極及び個別電極用外部電極を接続手段を用いて一括して接続することができ、接続作業が容易になり、従来のような特殊な接続手段を用いる必要もなくなってコストの増加を招くことがない。
【0108】
この場合、振動板と振動板用外部電極を第1の基板に形成し、振動板用外部電極上には金属層を形成することで、エッチングによって振動板と共に振動板用外部電極を形成することが可能になり、或いは、実装時の耐性を高めることができる。そして、この振動板用外部電極部分の金属層は多層構造とすることで、エッチング耐性と実装時の耐性の両者の得ることができる。ここで、多層構造の金属層の内の第1の基板と接触する層にシリコンとオーミック性接触が可能な金属を用いることで接触抵抗を低減することができ、金属層の内の最表面層にハロゲン系エッチング活性種に耐性を有する金属を用いることで、コストを低減して且つエッチング耐性を得ることができる。
【0109】
次に、このインクジェットヘッドの製造工程について図23以降をも参照して説明する。なお、説明では外部電極部(パッド部)を介して隣り合うチップの振動板用外部電極側付近のみ図示する。
先ず、図23を参照して振動板/液室基板と電極基板の接合までの工程を説明する。同図(a)に示すように、電極基板となる単結晶シリコンウエハ81にウエット酸化プロセスなどでギャップスペーサとなる熱酸化膜82を例えば2μm厚で形成する。
【0110】
そして、同図(b)に示すように、フォトリソグラフィを用いて有機レジスト膜をパターニングし、緩衝フッ酸で酸化膜82をエッチングしてギャップとなる凹部72を形成する。次いで、同図(c)に示すように、N2を添加したArでTiターゲットをスパッタしてTiN膜を成膜し、TiN膜上にプラズマCVDで酸化膜を成膜し、フォトリソグラフィで有機レジストをパターニングした後酸化膜をエッチングし、アッシングする。さらに、過酸化水素とアンモニアの混合液でエッチングして、電極73及び個別電極用外部電極74となるTiN電極84を形成し、絶縁保護膜となる酸化膜85で被覆する。
【0111】
一方、同図(d)に示すように、振動板/液室基板となる結晶面方位(110)の単結晶シリコンウエハ91に1E20cm-3以上の高濃度のボロン(B)を振動板の厚みに対応した深さに拡散してボロン拡散層92、93を形成する。なお、振動板/液室基板に振動板厚さに対応したn形ドナー不純物を含んだ活性層を有するSOIウエハを用いることもできる。
【0112】
そこで、同図(e)に示すように、シリコンウエハ81にシリコンウエハ91を真空中で重ね、大気解放後1000℃で加熱して、シリコンウエハ81、91を直接接合する。
【0113】
次に、直接接合した後の外部電極形成までの工程について図24乃至図27を参照して説明する。なお、図24は断面説明図、図25(a)は同図(b)のK−K線に沿う断面説明図、同図(b)は平面説明図、図26(a)は同図(b)のL−L線に沿う断面説明図、同図(b)は平面説明図、図27(a)は同図(c)のM−M線に沿う断面説明図、同図(b)は同図(c)のN−N線に沿う断面説明図、同図(c)は平面説明図である。
【0114】
先ず、図24に示すように、シリコンウエハ91を研磨して振動板/液室基板51の厚さ(例えば80μm)にし、SiN膜を熱CVDで成膜し、フォトリソグラフィでパターニングし、SiN膜マスク94を形成する。
【0115】
次いで、KOH水溶液でSiの異方性エッチングを行うことによって、図25に示すように、高濃度ボロン層92でエッチング速度が急速に低下し、吐出用凹部66と、高濃度ボロン層92の厚さで規定される振動板65並びに振動板用外部電極67を形成するためのコンタクト部96が形成される。なお、SOIウエハを用いた場合にはシリコンエッチングが進行し、酸化膜でエッチングが停止することにより振動板及びコンタクト部を形成することができる。
【0116】
そして、マルチターゲットのスパッタ装置や多蒸着源の蒸着装置を用いてコンタクト部96のうちの振動板用外部電極67となる部分の上に多層構造の金属層を形成する。すなわち、図26に示すように、シリコンウエハ91上に隣り合うチップの振動板用外部電極に対応する開口98aを有するにメタルマスク98を配置し、第1金属層68を形成する。この第1金属層68はシリコンウエハ91の高濃度ボロン層92に接するので、オーミック性接触を示す金属、例えば上述したようにAl、Ti、Auなどを用いる。
【0117】
そして、この第1金属層68上に第2金属層69を形成する。この第2金属層69としては、上述したようにSiやSiO2の反応性イオンエッチングに耐性を有するAl、Ni、Pt、Au、TiNなど、好ましくは実装でコーティングする有機膜の溶剤に含まれるハロゲンによる腐食に耐えるAuやPtなどである。
【0118】
このように金属層を多層構造とすることで、通常の金属に比べて50〜100程度もコストの高い貴金属の使用量を低減することができ、しかもシリコンとのオーミック性接触を取ることができる。例えば、Niは耐性に優れるものの、シリコンとのオーミック性が取れないので、オーミック性の良好な金属をシリコンとの間に介在させることで、最表面層を安価な金属で形成することができる。
【0119】
そして、メタルマスク98を取り除くことによって、図27に示すようにコンタクト部96の振動板用外部電極形成部分に第1、第2金属層101、102が積層成膜され、個別電極用外部電極74に対応する領域がコンタクト部96で覆われた部材が得られる。
【0120】
次に、ヘッドチップへの分割から個別電極用外部電極部の形成までの工程について図28乃至図30を参照して説明する。なお、図28(a)は同図(b)のO−O線に沿う断面説明図、同図(b)は平面説明図、図29(a)は同図(b)のP−P線に沿う断面説明図、同図(b)は平面説明図、図30(a)は同図(c)のQ−Q線に沿う断面説明図、同図(b)は同図(c)のR−R線に沿う断面説明図、同図(c)は平面説明図である。
【0121】
先ず、前述したシリコンウエハ81、91を接合した部材にダイシングを行うことで、図28に示すように、シリコンウエハ81、91を個々のヘッドチップに分割することで、シリコンウエハ91から形成した振動板/液室基板51とシリコンウエハ81から形成した電極基板52とを接合したヘッドチップが得られる。
【0122】
このとき、振動板/液室基板51には上述したような工程を経て振動板65、凹部66、コンタクト部96、コンタクト部96のうちの振動板用外部電極(共通電極パッド部)となる部分に第1、第2金属層68、69が形成されている。一方、電極基板52には電極73及び個別電極用外部電極(個別電極パッド部)74などが形成されている。そして、電極基板52の個別電極用外部電極(個別電極パッド部)74上には振動板/液室基板51のコンタクト部96にて覆われている。
【0123】
このようにシリコンウエハで形成した後複数のヘッドチップに分割することで低コスト化を図れる。そして、チップ化する際にダイシングを使用するとブレードを冷却するために水などの液体を用いるのが一般的であり、コンタクト部96の領域で個別電極用外部電極74に対応する領域の開口をダイシングの前に行うと、デバイスのギャップ72内に冷却水が侵入して、振動板65と個別電極73の貼り付きが発生するおそれがあるので、コンタクト部96のうちの個別電極用外部電極74に対応する領域を開口する前にダイシングを行って各ヘッドチップに分割するようにしている。
【0124】
その後、図29に示すように、エッチング用治具(エッチングマスク)105に装着する。エッチングマスク105としては、石英、アルミナなどのRIE中にエッチングされて反応生成物が生じない物質のものを用いる。そして、シリコンのRIEを例えばSF6の混合ガスなどのハロゲン系ガスでエッチングして、コンタクト部96のうちの少なくとも個別電極用外部電極74に対応する領域を開口し、TiN電極84からなる個別電極用外部電極74上の酸化膜85をCH3の混合ガスによりエッチングして個別電極用外部電極(TiN膜84)74を露出させ、電極73上に酸化膜85からなる絶縁保護膜75を残存させる。
【0125】
このように、エッチングマスクにエッチングプロセスでの生成物が生じない材質のものを用いることで、個別電極用外部電極74と接続手段との電気的接続の信頼性を向上することができる。
【0126】
ここで、マスクの材質と反応生成物の堆積について確認したところ、表1に示すような結果が得られた。なお、同表に示すように、ステンレスをフッ素樹脂ライニングした場合にも堆積は見られなかった。
【0127】
【表1】
Figure 0004033318
【0128】
以上のようにして酸化膜を除去することで、図30に示すようなヘッドチップが得られた。そこで、前述したように、振動板/液室基板51上のノズルユニット53をエポキシ系接着剤で接着接合し、FPCを異方性導電膜を介して振動板用外部電極67の第2金属層69表面及び個別電極用外部電極74表面に熱圧着して接続する。このとき、振動板用外n部電極67及び個別電極用外部電極74は略一列に並び段差も小さいので、分岐した特殊なFPCを用いることなく一括して圧着することができる。
【0129】
なお、上記各実施形態においては、振動板と電極とが平行に対向するインクジェットヘッドの例で説明したが、振動板と電極とが非平行な状態で対向する、つまり、ギャップが断面形状で振動板側の辺と電極側の辺が非平行になる形状、例えば、ギャップがリニアに大きくなる形状、或いは曲面形状を有するインクジェットヘッドにも同様に適用することができる。また、前述したように、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像形成装置(画像記録装置)に上記各実施形態のインクジェットヘッドを搭載することができる。
【0138】
発明の効果
以上説明したように、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法によればインク滴を吐出するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室と、この吐出室の少なくとも一つの壁面を形成する振動板と、この振動板に対向した凹部の底面に配置された個別電極とを有し、振動板と個別電極との間で発生させる静電力によって振動板を変形させてインク滴を吐出させるインクジェットヘッドの製造方法において、振動板及び振動板用外部電極を形成する単結晶シリコンからなる第1の基板と個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板とを、振動板と個別電極との間で所定の間隔を設けて接合した後、第1の基板に振動板をエッチングにより形成するときに、この第1の基板のうち、少なくとも第2の基板の個別電極用外部電極を含む領域に対応する領域及び振動板用外部電極を形成する部分を含むコンタクト部をエッチングにより振動板と同じ厚さに形成する工程と、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程とを含む構成としたので、工程増加を招くことなく、FPC等の接続手段を容易に接続することができる振動板用外部電極を有するインクジェットヘッドを得ることができる。
【0139】
ここで、第2の基板がガラス基板からなり、第1の基板にSiO膜のギャップスペーサを形成し、若しくは第2の基板に凹部を形成して、振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを陽極接合する構成とすることで、工程増加を招くことなく、FPC等の接続手段を容易に接続することができる振動板用外部電極を有するインクジェットヘッドを得ることができる。
【0140】
また、第2の基板が単結晶シリコン基板からなり、第1の基板及び第2の基板の少なくともいずれか一方にSiO膜のギャップスペーサを形成し、振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、第1の基板と第2の基板とを直接接合する構成とすることで、工程増加を招くことなく、FPC等の接続手段を容易に接続することができる振動板用外部電極を有するインクジェットヘッドを得ることができると共に、精度の良い狭ギャップを形成することができる。
【0141】
また、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、第1の基板の振動板用外部電極を形成する部分にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜する構成とすることで、エッチングマージンを増加し、良好なオーミック接触が可能になる。
【0142】
また、コンタクト部の振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、第1の基板のエッチングによる除去領域以外の領域にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜する構成とすることで、マスクレスでのエッチングが可能になって、コスト低下、工程の短縮を図れ、歩留まりの低下を抑制することができ、さらに、振動板基板上に形成する液室の接合が容易になり、接液性も向上する。
【0143】
また、振動板のコンタクト部の口の短辺をx、コンタクト部の短辺をy、第1基板の厚さをaとしたとき、少なくとも(a/x)>1、(a/y)<1の関係を充足する構成とすることで、マスクレスでのエッチングが可能になって、コスト低下、工程の短縮を図れ、歩留まりの低下を抑制することができ、さらに、サイドエッチや振動板基板上に形成する液室の接合面の汚れを防止できる。
【0146】
また、第2の基板に形成する個別電極の振動板に対向する部分にはP型又はN型不純物層を形成し、コンタクト部には耐熱性の高い耐熱膜をシート状に形成し、両者の間に不純物層と金属膜との接続孔を配置した電極構成とする構成とすることで、電極基板の信頼性を向上することができる。
【0147】
また、振動板及び振動板用外部電極を形成する第1の基板となるシリコンウエハに個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板を接合した後、第1の基板エッチングを行い、シリコンウエハを個々のヘッドチップに切断した後、コンタクト部のうちの個別電極用外部電極に対応する領域を除去して開口を形成する構成とすることで、信頼性の高いインクジェットヘッドを低コストで得ることができる。
【0148】
この場合、振動板用外部電極を形成するときに、この振動板用外部電極を形成する部分にシリコンに比較してドライエッチングのエッチング速度が遅い金属層を形成する構成とすることで、第1の基板で振動板用外部電極を形成するとき第1の基板が腐食することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する静電気力型インクジェットヘッドの基本構成を説明する断面説明図
【図2】図1の平面説明図
【図3】本発明の第1実施形態を説明する振動板基板の上面図
【図4】同振動板基板の製造工程を説明する図3のA−A線に沿う断面説明図
【図5】電極基板の上面図
【図6】同電極基板の製造工程を説明する図5のB−B線に沿う断面説明図
【図7】振動板基板と電極基板を接合して振動板を形成したときの上面図
【図8】同接合及び形成の製造工程を説明する図7のC−C線に沿う断面説明図
【図9】外部電極を形成したときの上面図
【図10】同外部電極形成の製造工程を説明する図9のD−D線に沿う断面説明図
【図11】本発明の第3実施形態を説明する上面図
【図12】同実施形態の製造工程を説明する図11のE−E線に沿う断面説明図
【図13】本発明の第5実施形態を説明する上面図
【図14】同実施形態の製造工程を説明する図13のF−F線に沿う断面説明図
【図15】本発明の第6実施形態を説明する上面図
【図16】同実施形態の製造工程を説明する図15のG−G線に沿う断面説明図
【図17】本発明の第6実施形態の他の例を説明する上面図
【図18】同実施形態の製造工程を説明する図17のH−H線に沿う断面説明図
【図19】本発明に係る他のインクジェットヘッドの図21のI−I線に沿う断面説明図
【図20】同ヘッドの図21のJ−J線に沿う断面説明図
【図21】同ヘッドの平面説明図
【図22】図21からノズルユニットを除いた状態の平面説明図
【図23】同ヘッドの振動板/液室基板と電極基板の接合までの工程を説明する説明図
【図24】同じく直接接合した後の外部電極形成までの工程を説明する断面説明図
【図25】同じく(a)は(b)のK−K線に沿う断面説明図、(b)は平面説明図
【図26】同じく(a)は(b)のL−L線に沿う断面説明図、(b)は平面説明図
【図27】同じく(a)は(c)のM−M線に沿う断面説明図、(b)は(c)のN−N線に沿う断面説明図、(c)は平面説明図
【図28】同じく(a)はヘッドチップへの分割から個別電極用外部電極部の形成までの工程を説明する(b)のO−O線に沿う断面説明図、(b)は平面説明図
【図29】同じく(a)は(b)のP−P線に沿う断面説明図、(b)は平面説明図
【図30】同じく(a)は同図(c)のQ−Q線に沿う断面説明図、(b)は(c)のR−R線に沿う断面説明図、(c)は平面説明図
【符号の説明】
1…第1の基板、2…蓋部材、3…電極基板、5…ノズル孔、7…吐出室、10…振動板、16…電極、20…振動板基板、21…Si基板(第1の基板)、25…振動板、26…コンタクト部、27…振動板用外部電極、28…金、30…電極基板、31…ガラス基板、32…ギャップ、33…電極、34…個別電極用外部電極、35…保護膜、39…柱、51…振動板/液室基板、52…電極基板、53…ノズルユニット、57…ノズル孔、58…吐出室、65…振動板、67…振動板用外部電極、68…第1金属層、69…第2金属層、73…電極、74…個別電極用外部電極、81、91…シリコンウエハ。

Claims (9)

  1. インク滴を吐出するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室と、この吐出室の少なくとも一つの壁面を形成する振動板と、この振動板に対向した凹部の底面に配置された個別電極とを有し、前記振動板と前記個別電極との間で発生させる静電力によって前記振動板を変形させて前記インク滴を吐出させるインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記振動板及び振動板用外部電極を形成する単結晶シリコンからなる第1の基板と前記個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板とを、前記振動板と個別電極との間で所定の間隔を設けて接合した後、
    前記第1の基板に前記振動板をエッチングにより形成するときに、この第1の基板のうち、少なくとも前記第2の基板の個別電極用外部電極を含む領域に対応する領域及び前記振動板用外部電極を形成する部分を含むコンタクト部を前記エッチングにより前記振動板と同じ厚さに形成する工程と、
    前記コンタクト部の前記振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、前記振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程とを
    含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記第2の基板がガラス基板からなり、前記第1の基板にSiO膜のギャップスペーサを形成し、若しくは前記第2の基板に凹部を形成して、前記振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、前記第1の基板と前記第2の基板とを陽極接合することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記第2の基板が単結晶シリコン基板からなり、前記第1の基板及び第2の基板の少なくともいずれか一方にSiO膜のギャップスペーサを形成し、前記振動板と個別電極との間で所定の間隔が形成される状態にして、前記第1の基板と前記第2の基板とを直接接合することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 請求項乃至のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記コンタクト部の前記振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、前記振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、前記第1の基板の前記振動板用外部電極を形成する部分にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記コンタクト部の前記振動板と同じ厚さに残存したシリコンのうち、前記振動板用外部電極を形成する領域以外の領域をドライエッチングにて除去して開口を形成する工程の前に、前記第1の基板のエッチングによる除去領域以外の領域にドライエッチングに対して耐性を有する保護膜を成膜することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板のコンタクト部の口の短辺をx、前記コンタクト部の短辺をy、前記第1基板の厚さをaとしたとき、少なくとも(a/x)>1、(a/y)<1の関係を充足することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記第2の基板に形成する前記個別電極の前記振動板に対向する部分にはP型又はN型不純物層を形成し、前記コンタクト部には耐熱性の高い耐熱膜をシート状に形成し、両者の間に不純物層と金属膜との接続孔を配置した電極構成とすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板及び振動板用外部電極を形成する第1の基板となるシリコンウエハに前記個別電極及び個別電極用外部電極を形成する第2の基板を接合した後、前記第1の基板エッチングを行い、前記シリコンウエハを個々のヘッドチップに切断した後、前記コンタクト部のうちの前記個別電極用外部電極に対応する領域を除去して開口を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記振動板用外部電極を形成するときに、この振動板用外部電極を形成する部分にシリコンに比較してドライエッチングのエッチング速度が遅い金属層を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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