JP2000176460A - レジオネラ属細菌の殺菌方法、発生防止方法及び殺菌用部材 - Google Patents

レジオネラ属細菌の殺菌方法、発生防止方法及び殺菌用部材

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JP2000176460A
JP2000176460A JP10362714A JP36271498A JP2000176460A JP 2000176460 A JP2000176460 A JP 2000176460A JP 10362714 A JP10362714 A JP 10362714A JP 36271498 A JP36271498 A JP 36271498A JP 2000176460 A JP2000176460 A JP 2000176460A
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legionella
elemental sulfur
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sterilizing
aqueous system
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Hajime Kono
源 河野
Hiroaki Inoue
浩章 井上
Hiromichi Nagasawa
寛道 長澤
Shohei Sakuta
庄平 作田
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Aquas Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レジオネラに対する殺菌効果が高く、レジオ
ネラを選択的に殺菌することができ、かつ、人体に対す
る安全性が高い殺菌方法を提供する。 【解決手段】 単体硫黄により、水系に存在するレジオ
ネラ属細菌を殺菌するレジオネラ属細菌の殺菌方法であ
る。殺菌対象となる水系に単体硫黄、或いは単体硫黄を
含む混合物を添加し、又は支持体に固定化した単体硫黄
と、レジオネラ属細菌の存在する水系とを接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、レジオネラ症の
原因となるLegionella属細菌(以下、単に「レジオネ
ラ」という。)の殺菌方法、発生防止方法、殺菌剤組成
物、水処理剤組成物及び殺菌用部材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 レジオネラ症(在郷軍人病)は、肺炎
類似の症状を引き起こす細菌性疾患であり、冷却塔冷却
水や空調設備を媒介として集団発生する点、適切な治療
を行わない場合の致命率が15〜25%にも及ぶ点にお
いて重大な社会問題となっている。
【0003】 レジオネラ症の原因となるレジオネラ
は、通常土壌中に存在するが土埃と共に舞い上がり、冷
却塔より冷却水系に侵入し、冷却水中で増殖する。そし
て、冷却塔からの飛散水によりその下を通る通行人に感
染したり、或いは外気取入口からビル内に侵入し、内部
で働いている人々に感染するという経路が最も有力な感
染経路と推定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 ところで、レジオネ
ラは冷却水系のような工業用水のみならず、最近急速に
普及してきた24時間循環風呂を始めとする循環式浴用
水、温泉水、或いはプール水(以下、「循環式浴用水
等」という場合がある。)等の人体と直接接触する水系
においても増殖することが知られており、実際に感染
例、死亡例が報告されている。
【0005】 しかしながら、レジオネラに対する殺菌
効果が高い殺菌剤は、イソチアゾリンのように皮膚に付
着した場合に薬傷を負う可能性があるもの等、人体に対
する安全性に問題があるものが殆どである。即ち、循環
式浴用水等の人体と直接接触する水系における殺菌方法
としては採用することが困難である。
【0006】 このような事情から、従来の循環式浴用
水等においては、紫外線ランプのような人体に対する安
全性を確保できる殺菌方法を採用してきたが、紫外線ラ
ンプはランプを照射している部分にしか殺菌効果が及ば
ず、ランプに水垢等が付着することにより殺菌効果が低
下するため、レジオネラに対する殺菌効果という点にお
いて不十分であった。
【0007】 また、殺菌効果が高く、イソチアゾリン
等の殺菌剤と比較すれば人体に対する安全性が高い殺菌
方法として、塩素系の殺菌剤やオゾンを用いる方法もあ
るが、水系中の有機物と容易に反応するため濃度維持が
困難である点、高濃度で使用した場合には配管に対する
腐食性や人体に対する毒性・刺激性が無視できない点、
循環式浴用水のように有用細菌類を濾過石に付着せしめ
た生物濾床により微生物浄化を行う水系においては、こ
れらの有用細菌類までも殺菌してしまう点において好ま
しくない。
【0008】 即ち、現状では、レジオネラに対する殺
菌効果が高く、レジオネラを選択的に殺菌することがで
き、かつ、人体に対する安全性が高い殺菌方法は見出さ
れておらず、これらの条件を兼ね備えた殺菌方法が切望
されている。
【0009】
【課題を解決するための手段】 そこで本発明者らが上
述の従来技術の問題点について鋭意検討した結果、単体
硫黄がレジオネラに対して選択的な殺菌効果を有するこ
とを見出して本発明を完成した。
【0010】 即ち、本発明によれば、単体硫黄によ
り、水系に存在するレジオネラ属細菌を殺菌することを
特徴とするレジオネラ属細菌の殺菌方法が提供される。
本発明の殺菌方法は、殺菌対象となる水系が、人体と直
接接触する水系である場合に特に好適に用いることがで
きる。
【0011】 本発明の殺菌方法としては、殺菌対象と
なる水系に単体硫黄、或いは単体硫黄を含む混合物を添
加する方法を用いることができ、この場合には水系にお
ける単体硫黄の濃度が0.15mg/l以上となるよう
に単体硫黄を添加することが好ましい。また、本発明の
殺菌方法としては、支持体に固定化した単体硫黄と、レ
ジオネラ属細菌の存在する水系とを接触させる方法を用
いてもよい。
【0012】 更に、本発明によれば、単体硫黄によ
り、水系におけるレジオネラ属細菌の発生を予防するこ
とを特徴とするレジオネラ属細菌の発生防止方法、単体
硫黄を有効成分とすることを特徴とするレジオネラ属細
菌の殺菌剤組成物、単体硫黄を有効成分とすることを特
徴とする水処理剤組成物、及び支持体に単体硫黄を固定
化してなることを特徴とするレジオネラ属細菌の殺菌用
部材が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】 本発明の殺菌方法は、単体硫黄
によりレジオネラを殺菌することを特徴とする。本発明
によれば、レジオネラに対する殺菌効果が高く、レジオ
ネラを選択的に殺菌することができ、かつ、人体に対す
る安全性が高い殺菌方法が提供される。以下、本発明に
ついて詳細に説明する。
【0014】 本発明の殺菌方法は、単体硫黄によりレ
ジオネラ属細菌を殺菌することを特徴とする。一般に
「単体」とは、化合物と対比される概念であって、ただ
1種の元素からなる物質を意味するため、本発明におい
て「単体硫黄」というときは、硫黄原子のみによって構
成される物質(S8、S6、S4、S2等)を意味し、硫化
物、硫酸塩、その他の硫黄化合物は除外される。
【0015】 単体硫黄は純度99.5%以上の局方医
薬品として市販されており、本発明においてもこれを用
いることができる。但し、本発明においては必ずしもこ
のような高純度品を用いる必要はなく、硫黄温泉華(い
わゆる湯の華)のような「単体硫黄」を含む混合物を使
用することもできる。また、通常、単体硫黄は固体であ
り粉末状を呈するが、結晶状、固形状、液体、或いは気
体の単体硫黄を用いてもよい。
【0016】 本発明において、単体硫黄を殺菌剤とし
て使用するのは以下の理由からである。第1の理由は、
単体硫黄がレジオネラに対する殺菌効果を有し、紫外線
ランプを利用する殺菌方法等と比較して高い殺菌効果を
得ることができる点にある。即ち、本発明の殺菌方法
は、レジオネラに起因するレジオネラ症の抑制に極めて
有効である。
【0017】 単体硫黄は果樹類のうどん粉病等に対し
て効果がある農薬として知られているものの、レジオネ
ラに対する殺菌効果については未だ報告されておらず、
本発明者らが今回初めて見出したものである。
【0018】 第2の理由は、単体硫黄がレジオネラに
選択的な殺菌効果を有し、24時間循環風呂のような微
生物浄化を行っている水系でも、有用細菌類まで殺菌し
てしまう事態を回避することができる点にある。即ち、
レジオネラに対する殺菌効果が認められる濃度まで単体
硫黄を添加しても、レジオネラ以外の細菌類に対しては
殺菌効果が認められないことが、本発明者らの研究によ
り明らかとなっている。
【0019】 第3の理由は、人体に対しては無毒・無
害であり、24時間循環風呂を始めとする循環式浴用
水、温泉水、或いはプール水(以下、「循環式浴用水
等」という場合がある。)等、人体に直接接触するよう
な水系に対しても極めて安全な殺菌剤として添加できる
点にある。
【0020】 従来知られている、レジオネラに対して
有効な殺菌剤は、イソチアゾリンのように皮膚に付着し
た場合に薬傷を負う可能性があるものや、オゾンのよう
に毒性を有し、濃度の高いガスを吸引すると頭痛、眼
痛、胸部痛を引き起こす危険があるもの等、人体に対す
る安全性に問題があるものが殆どであるのに対し、単体
硫黄は硫黄温泉華(いわゆる湯の華)等の形で天然に広
く存在しており、ニキビ治療薬等の医薬としても用いら
れている安全な物質だからである。
【0021】 本発明において水系というときは、滞留
していると、流動していると、循環しているとを問わ
ず、一定量以上の水の集合を意味し、具体的には冷却
水、冷温水、蓄熱水、スクラバー水等の工業用水系をは
じめ、給湯水、加湿器用の水、循環式浴用水、温泉水、
プール水、噴水等の修景水、植物工場における水耕栽培
用の培養液などが挙げられる。
【0022】 従って、本発明においては、これらの水
系を当然に殺菌対象とすることができ、更にはこれらの
水系のみならずレジオネラが存在する水系である限り本
発明の殺菌方法を適用することが可能である。
【0023】 本発明の殺菌方法は、前記全ての水系に
適用する場合において、作業者の安全を確保する意味で
従来技術に比して有益であるが、単体硫黄が人体に対し
て無害・無毒であることから、循環式浴用水等の人体と
直接接触する水系を殺菌対象とする場合に特に好適に用
いることができる。
【0024】 以下、単体硫黄の対レジオネラ殺菌活
性、レジオネラ選択的殺菌活性について評価した結果を
示す。
【0025】単体硫黄の対レジオネラ殺菌活性 まず、単体硫黄のレジオネラに対する殺菌活性について
評価した。検定菌株として、Legionella pneumophila G
IFU9134株(以下、「レジオネラ・ニューモフィ
ラ」という。)、Legionella bozemanii GIFU9140
株(以下、「レジオネラ・ボゼマニー」という。)を使
用し、以下の評価方法により評価した。
【0026】(評価方法)まず、単体硫黄の1mg/m
lジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とい
う。)溶液を調製し、DMSOで2倍ずつ希釈すること
により、12水準の濃度の単体硫黄溶液を調製した。次
いで各濃度の単体硫黄溶液と、コントロールとなる単体
硫黄を含まないDMSOとをマイクロプレートに各々2
0μlずつ注入した。
【0027】 一方、表1に示す組成のBCYE(buff
ered charcoal yeast extract)α培地で継代培養して
きた検定菌株を、表2に示す組成の滅菌リン酸緩衝液
(以下、「PBS」という。)に約104個/mlとな
るように懸濁して菌懸濁液を調製した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】 硫黄溶液が注入されたマイクロプレート
に菌懸濁液を1980μlずつ加え、36℃のインキュ
べータで24時間培養した(即ち、各培養液中における
単体硫黄濃度は、添加した各単体硫黄溶液を100倍に
希釈した濃度になる)。当該培養液は、予め表面を乾か
した、表1に示す組成のBCYEα培地に、50μlづ
つ滅菌チップ付メカニカルピペットで接種し、滅菌コン
ラジ棒で培地に完全に吸収されるまで十分に塗り拡げ
た。
【0031】 接種終了後、直ちにシャーレを逆さまに
した状態で36℃のインキュベータに投入し、6日間培
養した後で出現した集落数を計数した。計数した集落数
を20倍することにより、1ml当たりのレジオネラ数
(cfu/ml)に換算し、コントロールと比較するこ
とにより殺菌効果を評価した。
【0032】(評価結果)前記評価方法により評価した
結果、表3に示すように、単体硫黄のレジオネラ・ニュ
ーモフィラ、レジオネラ・ボゼマニーに対する99%殺
菌濃度は0.15μg/mlであり、いずれも殺菌活性
が認められた。即ち、単体硫黄には対レジオネラ殺菌活
性が認められた。
【0033】
【表3】
【0034】単体硫黄のレジオネラ選択的殺菌活性 次に、単体硫黄のレジオネラ選択的殺菌活性について評
価した。実際の24時間循環風呂から採水した試験水に
単体硫黄を添加し、レジオネラ及びレジオネラ以外の細
菌類に対する殺菌活性を評価した。
【0035】 なお、ここでいう「レジオネラ以外の細
菌」とは、前記試験水中に存在する全ての細菌のうち、
標準寒天培地で36℃、6日間培養したときに集落を形
成する細菌を指し、特定の細菌を示すものではない。評
価方法の詳細を以下に示す。
【0036】(評価方法)乾熱滅菌した50ml平底フ
ラスコ4本に試験水を30mlずつ分注し、各平底フラ
スコに1mg/ml、100μg/ml、10μg/m
lの濃度に調製した単体硫黄のDMSO溶液を滅菌チッ
プ付メカニカルピペットで300μlづつ添加した(即
ち、各々のフラスコ中の硫黄濃度は10μg/ml、1
μg/ml、0.1μg/mlとなる)。4本のうち1
本は単体硫黄を含まないDMSO300μlを添加して
コントロールとした。
【0037】 振とう培養装置に平底フラスコをセット
し、振とう速度約60rpmで振とうし、24時間後、
48時間後、72時間後に振とうを停止し、培養液を採
取した。培養温度は、24時間循環風呂における水温と
条件を整合させるため42℃とした。
【0038】 当該培養液1mlを培地に接種し、直ち
にシャーレを逆さまにした状態で36℃のインキュベー
タに投入し、6日間培養した後で出現した集落数を計数
した。但し、レジオネラは生育が遅く、他の細菌が共存
すると発育しないという特徴があるため、レジオネラと
レジオネラ以外の細菌とは以下に示す方法により別個に
培養した。
【0039】 レジオネラの培養は、既述のBCYEα
培地に抗生物質等を添加してなるレジオネラ選択培地
(WYOα培地)を使用して行った。即ち、予め表面を
乾かした、表4に示す組成のWYOα培地に1mlずつ
滅菌チップ付メカニカルピペットで接種し、接種した培
養液を滅菌コンラジ棒で培地に完全に吸収されるまで十
分に塗り拡げた後、上記の培養を行った。
【0040】 一方、レジオネラ以外の細菌の培養は、
滅菌水で10倍づつの段階希釈をした培養液1mlを標
準寒天培地で混釈培養することにより行った。
【0041】
【表4】
【0042】 計数した集落数に希釈倍数を乗ずること
により、各時間における1ml当たりのレジオネラ数、
細菌数(cfu/ml)に換算し、コントロールと比較
することにより殺菌効果を評価した。
【0043】(評価結果)前記評価方法により評価した
結果、表5,表6に示すように、単体硫黄は24時間循
環風呂の水中に存在する細菌のうち、レジオネラに対し
て選択的な殺菌活性が認められ、レジオネラ以外の細菌
類に対してはレジオネラに有効な濃度においても殺菌活
性が認められなかった。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】 上述のように単体硫黄は、対レジオネラ
殺菌活性及び、レジオネラ選択的殺菌活性を有するた
め、レジオネラの存在する水系と単体硫黄とを何らかの
形で接触させることにより、レジオネラを選択的に殺菌
することが可能である。具体的には、レジオネラの存在
する水系に単体硫黄、或いは単体硫黄を含む混合物(以
下、「単体硫黄等」という。)を添加する方法が挙げら
れる。この方法は極めて簡便に実施できる点において好
ましい。
【0047】 単体硫黄等の添加は、粉末状の単体硫黄
等を添加することにより行うことができるが、各種添加
剤とともに製剤した、単体硫黄等を有効成分とする殺菌
剤組成物として水系に添加してもよい。製剤形態は特に
限定されないが、例えば、溶剤に溶解させた溶液、乳化
剤により分散させた乳液(エマルジョン)、或いは賦形
剤により賦形した錠剤、等が挙げられる。
【0048】 なお、本発明には、単体硫黄を他の殺菌
剤、或いは殺菌以外の目的で添加される各種薬剤と混合
して水系に添加し、或いは一の薬剤として製剤すること
も包含される。例えば、工業用水用の水処理剤組成物と
して、単体硫黄等と防食剤、スケール防止剤、スライム
防除剤、その他の水処理剤を混合して、一の薬剤として
製剤することも好ましい形態の1つである。
【0049】 前記防食剤の例としては、例えばトリル
トリアゾール、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾ
チアゾール、又はモリブデン酸、亜鉛、リン酸、亜硝
酸、亜硫酸及びこれらの塩などが、前記スケール防止剤
の例としては、例えばアクリル酸系重合体、メタクリル
酸系重合体、マレイン酸系重合体、スルホン酸系重合
体、リン酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレ
ン系重合体、又はホスホン酸、ホスフィン酸及びこれら
の水溶性塩などが挙げられる。
【0050】 前記スライム防除剤の例としては、例え
ば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−
オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチア
ゾリン系化合物、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒ
ド等のアルデヒド類、メチレンビスチオシアネート等の
チオシアネート系化合物、ジチオール系化合物、ピリチ
オン系化合物、四級アンモニウム塩、ヨーネンポリマ
ー、ピリジニウム塩、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系
殺菌剤、臭素系殺菌剤、ヨウ素系殺菌剤などが挙げられ
る。
【0051】 前記その他の水処理剤の例としては、例
えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミ
ン系化合物、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢
酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸
系化合物、グルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒
石酸、コハク酸、乳酸、フィチン酸等の有機カルボン酸
などが挙げられる。
【0052】 単体硫黄等を添加する方法、殺菌剤組成
物、水処理剤組成物として添加する方法のいずれを用い
る場合においても、単体硫黄の添加濃度が0.15mg
/l以上であることが好ましい。
【0053】 単体硫黄のレジオネラに対する99%殺
菌濃度が0.15mg/lであるため、0.15mg/
l未満の添加濃度では十分な殺菌効果が得られないため
である。添加濃度の上限は特に限定されないが、経済的
な観点、或いは濁り等の外観上の観点から妥当な添加濃
度を決定すべきである。
【0054】 また、支持体に固定化した単体硫黄と、
レジオネラの存在する水系とを接触させる方法を用いて
もよい。単体硫黄は水に対して殆ど溶解しないため、固
定化した単体硫黄が一気に溶出することはなく、水系に
溶解し得る微量の単体硫黄が継続的に溶出し続けるた
め、殺菌効果が長期間持続するとともに濃度が均一に維
持される点において好ましい。
【0055】 また、水系に単体硫黄を添加する方法で
は、水系が濁る等の外観上の問題の他、浴用水などの定
期的に水の交換を行う水系では濃度を維持するため交換
の度に単体硫黄を添加する必要があるのに対し、固定化
した単体硫黄を用いる方法ではこのような不具合はな
い。
【0056】 本発明における「固定化」には、単体硫
黄と殺菌対象となる水系とが接触し、かつ、単体硫黄が
固形分として水系に流出しない状態の全てが包含され
る。例えば、単体硫黄を充填した殺菌用カラム、単体硫
黄を含浸した殺菌用フィルタ、配管の内壁に単体硫黄を
塗布・含浸した循環配管、等の殺菌用部材にレジオネラ
の存在する水を透過させる方法や、単体硫黄を透水性の
包袋に内蔵したもの、単体硫黄を部材表面に塗布し又は
部材に含浸したもの、等の殺菌用部材を水系に着水させ
る方法、等が挙げられる。
【0057】 単体硫黄の含浸は、単体硫黄をクロロホ
ルム等の溶媒に溶解して単体硫黄溶液とし、当該溶液中
に繊維状物、多孔質体等を浸漬した後、乾燥するという
比較的簡便な操作で行うことができる。例えば、糸巻き
式のフィルタ、セラミックフィルタ、軽石等を単体硫黄
溶液に含浸し、乾燥することにより殺菌用フィルタを得
ることができる。
【0058】 既述した本発明の殺菌方法は、既に発生
しているレジオネラの殺菌の他、レジオネラの発生の未
然防止にも適用できる。即ち、レジオネラが存在しない
水系に対して予め単体硫黄を添加し、或いは支持体に固
定化した単体硫黄を接触させておくことにより、当該水
系におけるレジオネラの発生を予防することが可能とな
る。
【0059】
【実施例】 以下、本発明の殺菌方法を24時間循環風
呂のモデルに適用した実施例により、更に詳細に説明す
る。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0060】 本実施例においては、60lの水槽に市
販の循環装置を設置したものを24時間循環風呂のモデ
ルとした。当該モデルを3台用意し、各々水温を42℃
に設定して温水の循環運転を2週間程度行い、十分にレ
ジオネラが増殖し、菌数が安定した時点から実験を開始
した。なお、単体硫黄としては、純度98%の市販の化
学用試薬(和光純薬製)を使用した。
【0061】(評価方法)本実施例における殺菌効果の
評価は、各モデルから経時的に水を採取し100mlあ
たりのレジオネラ数を測定することにより行った。レジ
オネラ数の測定方法は、「レジオネラ防止指針」(19
94年発行、厚生省生活衛生局企画課監修)に記載の方
法に準拠して行った。
【0062】(実施例1)実施例1では、レジオネラの
存在する水系に単体硫黄を直接添加する方法によりレジ
オネラの殺菌を試みた。具体的には、実験開始時に、水
槽中の単体硫黄の添加濃度が50ppmとなるように硫
黄の懸濁水を添加した。
【0063】(実施例2)実施例2では、単体硫黄を固
定化した殺菌用フィルタにレジオネラの存在する水を通
水する方法、具体的には実験開始時に殺菌用フィルタを
循環装置の出口(即ち、水槽に戻る部分)に取り付ける
ことによりレジオネラの殺菌を試みた。
【0064】 なお、殺菌用フィルタは、50℃前後の
加温下で単体硫黄をクロロホルムに溶解して単体硫黄溶
液を調製し、当該単体硫黄溶液中に糸巻き式フィルタを
浸漬することにより単体硫黄を含浸し、乾燥することに
より製作した。
【0065】(比較例1)比較例1では、何らの処理も
行わず、温水の循環運転を行った。
【0066】(評価結果)前記評価方法により評価した
結果、表7に示すように、比較例1のレジオネラ数がほ
ぼ一定で安定しているのに対し、実施例1,実施例2に
ついてはいずれもレジオネラ数が減少しており、3日後
においては90%以上が殺菌された。即ち、単体硫黄の
添加、殺菌用フィルタのいずれの方法を使用した場合で
も24時間循環風呂におけるレジオネラの殺菌が可能で
あった。
【0067】
【表7】
【0068】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の殺菌方
法はレジオネラに対する殺菌効果が高いため、レジオネ
ラに起因するレジオネラ症の抑制に極めて有効である。
また、本発明の殺菌方法はレジオネラを選択的に殺菌す
ることができるため、微生物浄化に使用される有用微生
物を殺菌することなく、レジオネラを選択的に殺菌する
ことが可能である。
【0069】 更に、本発明の殺菌方法は人体に対する
安全性が高いため、24時間循環風呂をはじめとする循
環式浴用水、温泉水、プール水等の人体と直接接触する
水系に対して特に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 540 C02F 1/50 540B 540D 540E 540F 560 560Z A01N 59/02 A01N 59/02 A (72)発明者 作田 庄平 千葉県千葉市稲毛区弥生町1−170−1− 403 Fターム(参考) 4H011 AA02 BB18 DA13 DD01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単体硫黄により、水系に存在するレジオ
    ネラ属細菌を殺菌することを特徴とするレジオネラ属細
    菌の殺菌方法。
  2. 【請求項2】 殺菌対象となる水系が、人体と直接接触
    する水系である請求項1に記載のレジオネラ属細菌の殺
    菌方法。
  3. 【請求項3】 殺菌対象となる水系に単体硫黄、或いは
    単体硫黄を含む混合物を添加する請求項1又は2に記載
    のレジオネラ属細菌の殺菌方法。
  4. 【請求項4】 水系における単体硫黄の濃度が0.15
    mg/l以上となるように単体硫黄を添加する請求項3
    に記載のレジオネラ属細菌の殺菌方法。
  5. 【請求項5】 支持体に固定化した単体硫黄と、レジオ
    ネラ属細菌の存在する水系とを接触させる請求項1又は
    2に記載のレジオネラ属細菌の殺菌方法。
  6. 【請求項6】 単体硫黄により、水系におけるレジオネ
    ラ属細菌の発生を予防することを特徴とするレジオネラ
    属細菌の発生防止方法。
  7. 【請求項7】 単体硫黄を有効成分とすることを特徴と
    するレジオネラ属細菌の殺菌剤組成物。
  8. 【請求項8】 単体硫黄を有効成分とすることを特徴と
    する水処理剤組成物。
  9. 【請求項9】 支持体に単体硫黄を固定化してなること
    を特徴とするレジオネラ属細菌の殺菌用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015504506A (ja) * 2011-11-25 2015-02-12 ▲陽▼光▲凱▼迪新能源集▲団▼有限公司 季節エネルギ蓄積冷却および加熱システム
JP2015230303A (ja) * 2014-06-06 2015-12-21 林正祥 廃水診断システム、廃水診断装置及び廃水診断データ処理方法

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