JP2000053514A - レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質、これを用いた殺菌剤、水処理剤、スライム抑制剤、及びこれらの製造方法 - Google Patents

レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質、これを用いた殺菌剤、水処理剤、スライム抑制剤、及びこれらの製造方法

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JP2000053514A
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bacteria
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Hajime Kono
源 河野
Norio Koyanagi
範夫 小柳
Hiroaki Inoue
浩章 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レジオネラ属細菌に対する高い殺菌性と、低
腐食性、安全性を兼ね備えた殺菌剤、水処理剤、スライ
ム抑制剤及びこれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質
である。レジオネラ属細菌を吸着材を添加した培地で培
養し、レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質を吸着材
に吸着させ、吸着材に吸着せしめた殺菌性物質を溶出
し、回収することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、レジオネラ症や
冷却水系統のスライム障害の原因となるレジオネラ属細
菌に対し、殺菌性を有する物質及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】 レジオネラ症(在郷軍人病)は、肺炎
類似の症状を引き起こす細菌性疾患であり、冷却塔冷却
水や空調設備を媒介として集団発生する点、適切な治療
を行わない場合の致命率が15〜25%にも及ぶ点にお
いて重大な社会問題となっている。
【0003】 レジオネラ症の原因となるレジオネラ属
細菌は、通常土壌中に存在するが土埃と共に舞い上が
り、冷却塔より冷却水系に侵入し、冷却水中で増殖す
る。そして、冷却塔からの飛散水によりその下を通る通
行人に感染したり、或いは外気取入口からビル内に侵入
し、内部で働いている人々に感染するという経路が最も
有力な感染経路と推定されている。
【0004】 また、レジオネラ属細菌に限らず、細菌
類が冷却水系に侵入して増殖した場合には、配管内など
にスライムが付着して配管が閉塞したり、或いは熱交換
率が低下する等のスライム障害の原因ともなり得る。こ
のような事態は、冷却水の交換、消毒、冷却設備の清掃
等を行うことにより防止することができるが、比較的簡
便に実施可能な殺菌剤による消毒が最も頻繁に行われて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 従来、殺菌剤として
は、塩素系やイソチアゾリン等の有機窒素硫黄系の殺菌
剤が用いられているが、前者は腐食性が強く冷却配管等
を腐食する点において、後者は高価であり作業者の手に
付着した場合に薬傷を負う可能性がある点において好ま
しくない。
【0006】 即ち、現状では、レジオネラ属細菌に対
する高い殺菌性と、低腐食性、安全性を兼ね備えた殺菌
剤として、十分に満足できるものは見出されておらず、
これらの性質を満足する殺菌剤が切望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 従来、レジオネラ属細
菌が通常の培地では培養できず活性炭を添加した培地で
のみ培養できるという事実から、培地の成分若しくはレ
ジオネラ属細菌の生産物に、レジオネラ属細菌の生育阻
害物質が存在するのではないかという仮説が提唱されて
いる。しかしながら、当該生育阻害物質の存在を確認
し、或いは単離・特定したという報告は未だ為されてい
ない。
【0008】 そこで、本発明者らは、前記生育阻害物
質が存在するとの仮定に基づき鋭意検討した結果、当該
生育阻害物質がレジオネラ属細菌が生産する物質である
こと、及び当該生育阻害物質が、殺菌性、特にレジオネ
ラ属細菌に対し特異的な殺菌性を有することを見出し
て、本発明に到達した。
【0009】 即ち、本発明によれば、レジオネラ(Le
gionella)属細菌が生産する殺菌性物質が提供される。
また、本発明によれば、レジオネラ属細菌を吸着材の存
在下で培養し、当該吸着材から抽出してなる殺菌性物質
が提供される。
【0010】 本発明の殺菌性物質は、レジオネラ属細
菌に対する殺菌性を有するものであり、更にはレジオネ
ラ属細菌に対し特異的な殺菌性を有するものである。従
って、本発明の殺菌性物質は、当該殺菌性物質を有効成
分とする殺菌剤組成物、水処理剤、スライム抑制剤とし
て好適に用いることができる。
【0011】 また、本発明によれば、レジオネラ属細
菌を吸着材を添加した培地で培養し、当該レジオネラ属
細菌が生産する殺菌性物質を前記吸着材に吸着させ、当
該吸着材に吸着せしめた殺菌性物質を溶出し、回収する
ことを特徴とするレジオネラ属細菌産生殺菌性物質の製
造方法が提供される。
【0012】 本発明の製造方法においては、レジオネ
ラ属細菌を液体培養により培養することが好ましく、培
養するレジオネラ属細菌としては、レジオネラ・ニュー
モフィラ(Legionella pneumophila)又はレジオネラ・
ボゼマニー(Legionella bozemanii)を用いることがで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】 本発明の殺菌性物質は、レジオ
ネラ属細菌が生産する殺菌性物質であり、具体的には例
えば、レジオネラ属細菌を吸着材を添加した培地で培養
し、当該レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質を前記
吸着材に吸着させ、当該吸着材に吸着せしめた殺菌性物
質を溶出し、回収する方法により得ることができる。以
下、詳細に説明する。
【0014】 本発明で培養に用いる細菌は、レジオネ
ラ属の細菌である限りにおいて特に限定されず、入手が
容易な菌種を適宜選択して用いればよい。具体的にはレ
ジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophil
a)、レジオネラ・ボゼマニー(Legionella bozemani
i)等を用いることができる。
【0015】 本発明では、上述のようなレジオネラ属
細菌(以下、単に「レジオネラ」という。)を、吸着材
を添加した培地で培養する。レジオネラに殺菌性物質を
生産させ、当該吸着材にレジオネラが生産する殺菌性物
質を吸着させるためである。
【0016】 従前においても、BCYE(buffered c
harcoal yeast extract)α培地のように活性炭を吸着
材として添加した培地により、レジオネラを培養するこ
とが定法として行われている。吸着材を添加しなけれ
ば、培地由来の物質或いはレジオネラ自身が生産する自
己増殖阻害物質により、レジオネラが生育を阻害される
ため、レジオネラの培養が不能となると考えられていた
からである。
【0017】 しかしながら、本発明者の研究により、
吸着材を添加しない培地においても条件によってはレジ
オネラが培養可能であることが確認されており、更に
は、このような条件でレジオネラを培養した後、吸着材
を添加して同様の操作を行っても殺菌性物質の存在は確
認されなかった。
【0018】 即ち、本発明における吸着材は、レジオ
ネラが生産した殺菌性物質を吸着する手段であるのみな
らず、何らかの形でレジオネラの殺菌性物質の生産を誘
導し、また、殺菌性物質の生産性を向上させる因子にな
っていると推察される。
【0019】 本発明で用いる吸着材は、脂溶性物質で
ある、本発明の殺菌性物質を吸着し得る限りにおいて特
に限定されず、従前と同様に活性炭を吸着材として用い
ることも可能である。但し、活性炭のように培地が黒濁
せず、培養後の処理が容易な吸着材を用いることが好ま
しい。このような吸着材の例としては、ポリスチレンか
らなる合成吸着材(例えば、商品名:Diaion HP-20(三
菱化学(株)製)、Amberlite XAD-2(ローム・アンド
・ハース社製))が挙げられる。
【0020】 レジオネラの培養は、通常、寒天培地の
ような固形の平板培地により行うが、本発明において
は、液体培地を用いた液体培養により培養することが好
ましい。液体培養の方が大量培養に適しており、培養後
の処理も容易だからである。液体培地は、レジオネラの
生存や増殖、エネルギー代謝等に必要な全ての栄養素、
無機塩、緩衝剤等を脱イオン水に溶解し、既述の吸着材
を添加して調製することができる。
【0021】 このような液体培地にレジオネラを植菌
し、35〜37℃で6〜7日間培養する。培養方法の例
としては、培地を静置した状態で液表面や容器底面近傍
に菌を培養する静置液体培養の他、培地を機械的に通気
攪拌、または振とうすることにより液中に菌を分散させ
ながら培養する液体内浮遊培養等が挙げられる。本発明
においては、大量培養に適し、殺菌性物質の吸着材への
吸着を促進できる点において、液体内浮遊培養が好まし
い。
【0022】 上述のような方法でレジオネラを培養す
ることにより、レジオネラが生産する殺菌性物質が培地
中の吸着材に吸着される。前記殺菌性物質は比較的低分
子の脂溶性化合物と推定されるため、吸着材から適当な
有機溶剤を用いて溶出させることにより回収することが
できる。具体的には、前記吸着材を充分に水洗した後、
メタノール等の有機溶剤により吸着成分を溶出する方法
で回収すればよい。
【0023】 当該溶出物は、濃縮乾固することにより
油状物として得ることができるが、適当な精製処理を加
えたものを用いることが好ましい。精製方法としては、
一般的に行われる天然有機化合物の精製方法、具体的に
は有機溶媒抽出法、シリカゲルを用いたカラムクロマト
グラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
等の方法又はこれらを組み合わせた方法が挙げられる。
【0024】 前記の油状物は、そのまま又は希釈して
液状で、或いは噴霧乾燥又は凍結乾燥して粉末状で用い
ることができる。前記の方法により得られる殺菌性物質
は、有機溶剤に対する溶解性等から比較的低分子の脂溶
性化合物と推察されるが、その化学的組成については、
未だ確認されていない。
【0025】 しかしながら、本発明者が検討した結
果、前記殺菌性物質は以下に示すような性質を有するこ
とが確認された。第一に、本発明の殺菌性物質は、レジ
オネラに対する殺菌性を有することが確認された。即
ち、本発明の殺菌性物質は、レジオネラに起因するレジ
オネラ症、スライム障害等の抑制に極めて有効なもので
ある。
【0026】 第二に、本発明の殺菌性物質は、レジオ
ネラに対し特異的な殺菌性を有するものであることが確
認された。即ち、本発明の殺菌性物質はレジオネラを選
択的に殺菌する安全な殺菌剤として極めて有用なもので
ある。従って、本発明の殺菌性物質は、当該殺菌性物質
を有効成分とする殺菌剤組成物として好適に用いること
ができ、また、冷却水系統に添加する水処理剤、スライ
ム抑制剤としての用途も期待できる。
【0027】
【実施例】 以下、本発明の殺菌性物質について更に詳
細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例、比較例における殺菌
性及び抗菌性については、以下に示す方法により評価し
た。
【0028】(殺菌性評価用緩衝液の調製)殺菌性評価
用緩衝液(以下、単に「緩衝液」という。)として表1
に示す組成の緩衝液を調製した。
【0029】
【表1】
【0030】(殺菌性評価)テスト実施2日前に保存用
培地から表2に示す組成のBCYEα培地に移植画線し
たレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophi
la)GIFU9134株又は、レジオネラ・ボゼマニー
Legionella bozemanii)GIFU9140株を、1白
金耳分とり4mlの滅菌水に懸濁させ、試験管ミキサー
で約1分間充分に混合した。
【0031】
【表2】
【0032】 50ml平底フラスコに緩衝液を30m
lずつ分注してシリコ栓をし、121℃で15分間オー
トクレーブ滅菌したものに対し、前記菌の懸濁液を滅菌
チップ付メカニカルピペットにより50μl加えた。こ
の際、コントロールの菌数は104個/mlを目安とし
て調製した。
【0033】 試験濃度に応じてエタノールに溶解希釈
した殺菌性物質を滅菌チップ付メカニカルピペットで平
底フラスコに所定量添加した。但し、エタノールの影響
を避けるため、緩衝液中のエタノール濃度は1%以下と
なるようにした。殺菌性物質を含まないエタノールのみ
を30μl添加したもの(即ち、緩衝液中のエタノール
濃度が1%のもの)をコントロールとした。
【0034】 振とう培養装置に平底フラスコをセット
し、温度36℃、振とう速度約60rpm.で24時間
振とう後、振とうを停止し、サンプリングを行なった。
予め表面を乾かした、表2に示す組成のBCYEα培地
に、サンプリング液を50μl、滅菌チップ付メカニカ
ルピペットで接種し、接種したサンプリング液を滅菌コ
ンラジ棒で培地に完全に吸収されるまで十分に塗り拡げ
た。
【0035】 接種終了後、直ちにシャーレを逆さまに
した状態で36℃のインキュベータに投入し、7日間培
養した後で出現した集落数を計数した。計数した集落数
を20倍することにより、1ml当たりの生菌数に換算
して薬剤と24時間接触後の生菌数(CFU/ml)と
した。
【0036】 24時間接触で培地上に現れた集落数が
0個の時、殺菌効果ありとし、殺菌効果の認められた最
低の薬剤濃度を最小殺菌濃度(以下、「MBC」とい
う。)とした。
【0037】(抗菌性評価)抗菌性評価は、液体培地希
釈法により行った。なお、抗菌性評価用の培地にはニュ
ートリエントブロス(肉エキス5g、ペプトン10g、
塩化ナトリウム5gを脱イオン水に溶解し、全体を10
00mlとしたもの、pH=7.2)を用いた。
【0038】 試験管にニュートリエントブロスを10
ml入れ、121℃で15分間オートクレーブ滅菌を行
った後、保存用培地から試験菌株を少量移植し、36℃
で一晩振とう培養して、種菌を作った。
【0039】 当該種菌を、オートクレーブ滅菌したニ
ュートリエントブロス30mlに、104個オーダーに
なるように懸濁し、滅菌済み24穴マイクロプレートに
1980μlずつ分注した。エタノールに溶解、希釈し
た殺菌性物質を20μlずつ各菌懸濁培地に添加した。
コントロールとしては、エタノールのみ20μl添加し
たものを用意し、殺菌性物質を添加したものと同様の処
理を行った。
【0040】 37℃で24時間培養後、培地の濁度の
上昇が認められなければ細菌が増殖していないものと判
断し、細菌が増殖しない最低の殺菌性物質濃度を最小発
育阻止濃度(以下、「MlC」という。)とした。
【0041】(実施例1) レジオネラ増殖用の培地と
して、表3に示す組成の液体培地200mlを用意し
た。なお、合成吸着材としては、ポリスチレンからなる
合成吸着材 Diaion HP-20(商品名:三菱化学(株)
製)を使用した。
【0042】
【表3】
【0043】 表2に示す組成のBCYEα培地に予め
画線培養しておいたレジオネラ・ニューモフィラGIF
U9134株を、菌数がおよそ103個/mlとなるよ
うに前記液体培地に植菌し、36℃で7日間培養した。
【0044】 培養終了後、培地中の合成吸着材を取り
出し、ガラス製のクロマト管に充填した。そのカラムを
水でよく洗浄した後、メタノールを用いて吸着している
物質を溶出した。メタノール溶出液を濃縮・乾固させ、
再び水で溶解させ酢酸エチルを同量加えて溶媒抽出を行
なった。得られた酢酸エチル抽出物を濃縮・乾固し、1
0mgの油状物を得た。
【0045】(実施例2) レジオネラ・ボゼマニーG
IFU9140株を用い、実施例1と同様の培養、処理
を行い、8mgの油状物を得た。
【0046】(比較例1) 表3中の成分のうち、合成
吸着材のみを添加せず同様に調製した液体培地200m
lに、実施例1と同様にレジオネラを培養した。培養終
了後、培地に合成吸着材10mlを添加し、培地を攪拌
して吸着処理を行った。吸着終了後、合成吸着材を取り
出し、実施例1と同様の処理を行い、7mgの油状物を
得た。
【0047】(比較例2) 表3に示す組成の液体培地
200mlを攪拌し、培地由来の成分の吸着処理を行っ
た。吸着終了後、合成吸着材を取り出し、実施例1と同
様の処理を行い、3mgの油状物を得た。
【0048】 以下、実施例1〜2、比較例1〜2で得
られた油状物について、殺菌性その他の評価を行った結
果を示す。
【0049】(殺菌性評価)まず、実施例1及び比較例
1〜2で得られた油状物について、レジオネラ・ニュー
モフィラに対する殺菌性を評価した。その結果、表4に
示すように、実施例1の油状物ではMBCが25μg/
mlと殺菌性が認められた。
【0050】 一方、比較例1及び比較例2において
は、いずれもMBCは100μg/ml以上であり、殺
菌性は認められなかった。比較例2の結果より、殺菌性
物質が培地由来の成分ではなく、レジオネラの生産物で
あることが明らかになった。
【0051】
【表4】
【0052】 また、表5に示すように、実施例1と比
較例1の3日目〜7日目の生菌数を比較すると合成吸着
材を添加した実施例1の方が培養初期におけるレジオネ
ラの増殖が速いものの、従来レジオネラが生育しないと
いわれていた吸着材を添加しない培地(比較例1)にお
いても増殖が確認された。しかしながら、比較例1の結
果より明らかなように、殺菌性物質は実施例1のように
吸着材を培地に添加しなければ生産されないことが確認
された。
【0053】
【表5】
【0054】 次に、実施例1の油状物(即ち、レジオ
ネラ・ニューモフィラ生産物)のレジオネラ・ボゼマニ
ーGIFU9140株に対する殺菌性及び、実施例2の
油状物(即ち、レジオネラ・ボゼマニー生産物)のレジ
オネラ・ニューモフィラGIFU9134株に対する殺
菌性を評価した。
【0055】 その結果、表6〜表7に示すように、実
施例1の油状物のレジオネラ・ボゼマニーGIFU91
40株に対するMBCは50μg/ml、実施例2の油
状物のレジオネラ・ニューモフィラGIFU9134株
に対するMBCは12.5μg/mlであり、いずれも
殺菌性が認められた。即ち、本発明の殺菌性物質は、殺
菌性物質を生産した菌種以外の菌種に対しても、レジオ
ネラ属細菌である限りにおいて殺菌作用を有することが
確認された。
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】(抗菌性評価)次に、実施例1の油状物の
レジオネラ属細菌以外の細菌に対する抗菌性を評価し
た。レジオネラ属細菌以外の細菌としては、Bacillus s
ubtilis(バチルス・サブチルス)、Micrococcus luteu
s(マイクロコッカス・ルテウス)、Escherichia coli
(エシェリキア・コリ)、Pseudomonas aeruginosa(シ
ュードモナス・エルギノーサ)を選択した。
【0059】 その結果、表8に示すように、実施例1
の油状物のレジオネラ属細菌以外の細菌に対するMIC
はいずれも100μg/ml以上であり、抗菌性は確認
できなかった。抗菌性がなければ、殺菌性を有すること
はないため、本発明の殺菌性物質の殺菌作用はレジオネ
ラ属細菌に特異的であると判断した。
【0060】
【表8】
【0061】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の殺菌性
物質は、レジオネラ属細菌に対する殺菌性を有するた
め、レジオネラ属細菌に起因するレジオネラ症、スライ
ム障害等の抑制に極めて有効である。また、本発明の殺
菌性物質は、レジオネラ属細菌に対し特異的な殺菌性を
有するため、レジオネラ属細菌を選択的に殺菌する安全
な殺菌剤として極めて有用である。従って、本発明の殺
菌性物質は、当該殺菌性物質を有効成分とする殺菌剤組
成物として好適に用いることができ、また、冷却水系統
に添加する水処理剤、スライム抑制剤としての用途が期
待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 532 C02F 1/50 532A 540 540B C12P 1/04 C12P 1/04 Z (72)発明者 井上 浩章 茨城県つくば市緑ヶ原4−4 アクアス株 式会社つくば総合研究所内 Fターム(参考) 4B064 AH19 CA02 CC01 DA02 DA16 4H011 AA02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レジオネラ(Legionella)属細菌が生産
    する殺菌性物質。
  2. 【請求項2】 レジオネラ(Legionella)属細菌を吸着
    材の存在下で培養し、当該吸着材から抽出してなる殺菌
    性物質。
  3. 【請求項3】 レジオネラ(Legionella)属細菌に対す
    る殺菌性を有する請求項1又は2に記載の殺菌性物質。
  4. 【請求項4】 レジオネラ(Legionella)属細菌に対
    し、特異的な殺菌性を有する請求項1〜3のいずれか一
    項に記載の殺菌性物質。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の殺
    菌性物質を有効成分とする殺菌剤組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の殺
    菌性物質を有効成分とする水処理剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の殺
    菌性物質を有効成分とするスライム抑制剤。
  8. 【請求項8】 レジオネラ(Legionella)属細菌を吸着
    材を添加した培地で培養し、当該レジオネラ(Legionel
    la)属細菌が生産する殺菌性物質を前記吸着材に吸着さ
    せ、当該吸着材に吸着せしめた殺菌性物質を溶出し、回
    収することを特徴とするレジオネラ(Legionella)属細
    菌産生殺菌性物質の製造方法。
  9. 【請求項9】 レジオネラ(Legionella)属細菌を液体
    培養により培養する請求項8に記載のレジオネラ(Legi
    onella)属細菌産生殺菌性物質の製造方法。
  10. 【請求項10】 培養するレジオネラ(Legionella)属
    細菌が、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pne
    umophila)又はレジオネラ・ボゼマニー(Legionella b
    ozemanii)である請求項8又は9に記載のレジオネラ
    Legionella)属細菌産生殺菌性物質の製造方法。
JP10223421A 1998-08-06 1998-08-06 レジオネラ属細菌が生産する殺菌性物質、これを用いた殺菌剤、水処理剤、スライム抑制剤、及びこれらの製造方法 Withdrawn JP2000053514A (ja)

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