JP2000173870A - 電解コンデンサ駆動用電解液及びこれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ駆動用電解液及びこれを用いた電解コンデンサ

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JP2000173870A JP10356906A JP35690698A JP2000173870A JP 2000173870 A JP2000173870 A JP 2000173870A JP 10356906 A JP10356906 A JP 10356906A JP 35690698 A JP35690698 A JP 35690698A JP 2000173870 A JP2000173870 A JP 2000173870A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低インピーダンスで、低温と常温でのインピ
ーダンス比で表される低温特性に優れ、寿命特性が良好
なアルミニウム電解コンデンサの利用を可能にする電解
コンデンサ駆動用電解液を提供する。 【解決手段】 本発明の電解コンデンサ駆動用電解液
は、(1)20〜80重量%の有機溶媒と80〜20重
量%の水とで構成される溶媒と、(2)カルボン酸、カ
ルボン酸の塩、無機酸及び無機酸の塩から選択される少
なくとも1種以上の電解質と、(3)ヒドロキシベンジ
ルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸及びその塩のう
ちの少なくとも1種の添加剤を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサに
関する。詳しく言えば、本発明は、低インピーダンスで
且つ低温特性に優れ、寿命特性が良好なアルミニウム電
解コンデンサの駆動用電解液に関する。
【0002】
【従来の技術】コンデンサは、一般的な電気部品の一つ
であり、種々の電気・電子製品において、主として電源
回路用や、ディジタル回路のノイズフィルター用に広く
使用されている。
【0003】現在使用されているコンデンサにはいろい
ろな種類のものがあるが、本発明が関係するのはアルミ
ニウム電解コンデンサであり、そのうちの典型的なもの
は、高純度アルミニウム箔をエッチングして表面積を増
加させ、その表面を陽極酸化して誘電体化した陽極箔
と、この陽極箔に対向し、表面をエッチングされたアル
ミニウム陰極箔と、陽極箔と陰極箔との問に介在するセ
パレータ(隔離紙)とから構成した積層体を巻き取つた
構造の素子に電解液を含浸し、この素子をケース(一般
にはアルミニウム製)に収容し、そして弾性封口体で密
封して構成されている。電解コンデンサにはこのような
巻回構造以外のものもある。
【0004】このような電解コンデンサにおいては、電
解液の特性が電解コンデンサの性能を決定する大きな要
因をなす。特に近年の電解コンデンサの小型化に伴い、
陽極箔あるいは陰極箔はエッチング培率の高いものが使
用されるようになり、コンデンサ本体の抵抗率が大きく
なっていることから、これに用いる電解液としては、抵
抗率(比抵抗)の小さな高電導度のものが常に要求され
る。
【0005】これまでの電解コンデンサの電解液は、エ
チレングリコール(EG)を主溶媒としてこれに水を約
10重量%程度まで加えて構成した溶媒に、電解質とし
てアジピン酸、安息香酸等のカルボン酸又はそのアンモ
ニウム塩を溶解したものが一般的である。このような電
解液では、比抵抗は1.5Ω・m(150Ω・cm)程
度である。
【0006】コンデンサにおいては、その性能を十分に
発揮するため、インピーダンス(Z)を低下させること
が絶えず求められている。インピーダンスは種々の要因
により決定され、例えばコンデンサの電極面積が増加す
れば低下し、そのため大型コンデンサになれば自ずと低
インピーダンス化が図られる。また、セパレータを改良
することで低インピーダンス化を図るアプローチもあ
る。とは言え、特に小型のコンデンサにおいては、電解
液の比抵抗がインピーダンスの支配因子となっている。
【0007】最近では非プロトン系(γ−ブチロラクト
ン等)の低比抵抗電解液が開発されている(特開昭62
−145713、62−145714、62−1457
15号公報)が、低比抵抗電解質として知られる電子伝
導体を用いた固体コンデンサに比べると、非プロトン系
電解液を用いたコンデンサはインピーダンスがはるかに
劣っている。
【0008】また、アルミニウム電解コンデンサは、電
解液を使用するために低温特性が悪く、100kHzに
おける−40℃でのインピーダンスと20℃でのインピ
ーダンスとの比(Z(−40℃)/Z(20℃))は約
40と、かなり大きいのが実情である。
【0009】その一方、アルミニウム電解コンデンサの
電解液の溶媒の一部として用いられる水は、陽極箔や陰
極箔の材料にとって化学的に活性な物質であり、陽極箔
や陰極箔に作用すること(水和反応)で、通常は電解コ
ンデンサの短寿命化を招きやすい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、低
インピーダンスで且つ、低温と常温でのインピーダンス
比で表される低温特性に優れ、しかも寿命特性も良好な
アルミニウム電解コンデンサ用の駆動用電解液を提供す
ることを目的とするものである。
【0011】本発明の電解液を用いることで、低インピ
ーダンス化し、低温特性が向上し、且つ長寿命を実現し
た電解コンデンサを提供することも、本発明の目的であ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電解コンデンサ
駆動用電解液は、(1)20〜80重量%の有機溶媒と
80〜20重量%の水とで構成される溶媒と、(2)カ
ルボン酸、カルボン酸の塩、無機酸及び無機酸の塩から
選択される少なくとも1種以上の電解質と、(3)ヒド
ロキシベンジルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸及
びその塩のうちから選択される少なくとも1種の添加
剤、を含むことを特徴とする。
【0013】本発明の電解コンデンサは、電解液として
本発明の電解液を使用していることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ駆動用電
解液では、溶媒を有機溶媒と水との混合物から構成す
る。
【0015】有機溶媒としては、プロトン系溶媒と非プ
ロトン系溶媒を使用することができる。代表的なプロト
ン系溶媒の例としては、アルコール化合物を挙げること
ができる。アルコール化合物の具体的な例としては、エ
チルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール等の二価アルコール(グリコール)、グリセリ
ン等の三価アルコールを挙げることができる。非プロト
ン系溶媒の例には、γ−ブチロラクトン等のラクトン化
合物の如き分子内分極化合物が含まれる。有機溶媒は、
プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒の中から選択される
1種以上を使用することができる。複数種のプロトン系
溶媒を使用してもよく、複数種の非プロトン系溶媒を使
用してもよく、プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒の混
合系を使用してもよい。
【0016】本発明の電解液には、溶媒として、有機溶
媒のほかに水が含まれる。このように、本発明の電解液
における溶媒は有機溶媒と水との混合物である。本発明
においては、このような混合溶媒を使用することで、溶
媒の凝固点を低下させ、それにより低温での電解液のイ
ンピーダンス特性を改善して、低温と常温でのインピー
ダンス比が小さいことで示される良好な低温特性を実現
することができる。溶媒中の水の含有量は20〜80重
量%が好適であり、残部が有機溶媒である。水の含有量
が20重量%より少ない場合にも、80重量%を超える
場合にも、電解液の凝固点降下の度合いは不十分とな
り、電解コンデンサの良好な低温特性を得るのが困難に
なる。溶媒においてより好適な水の量は30〜80重量
%であり、最も好ましいのは45〜80重量%である。
【0017】電解液における電解質としては、有機酸、
特に好ましくはカルボン酸、カルボン酸の塩、無機酸及
び無機酸の塩のうちから選択される1種以上を使用する
ことができる。カルボン酸として使用できるものには、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−ニトロ安息香
酸、サリチル酸及び安息香酸に代表されるモノカルボン
酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ア
ジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸及びアゼラ
イン酸に代表されるジカルボン酸が含まれ、例えばクエ
ン酸、オキシ酪酸のようにOH基等の官能基を持ったカ
ルボン酸も使用可能である。無機酸として使用できるも
のには、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホウ酸、スル
ファミン酸等が含まれる。カルボン酸又は無機酸の塩と
しては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等
を使用することができ、これらのうちアンモニウム塩を
用いるのがより好ましい。また、電解質として無機酸又
はその塩を使用すると、それによる電解液の凝固点降下
が期待でき、そのため電解液の低温特性の更なる向上に
寄与するものと考えられる。
【0018】本発明の電解液において使用する電解質の
量は、電解液に要求される特性、使用する溶媒の種類、
使用する電解質の種類等の条件に応じて、適宜決定すれ
ばよい。とは言え、一般的に言って、カルボン酸又はそ
の塩の量は、電解液の全重量の3〜30重量%程度がよ
い。3重量%に満たない場合には所望の電導度を十分確
保するすることができず、30重量%を超えると効果が
飽和してくる上に、溶媒に溶けにくくなる。無機酸又は
その塩の量は、電解液の全重量の0.1〜15重量%程
度がよく、0.1重量%に満たない場合には所望の電導
度を十分確保するすることができず、15重量%を超え
ると効果が飽和してくる上に、溶媒に溶けにくくなる。
カルボン酸又はその塩と無機酸又はその塩を併用する場
合にも、上述の範囲内で使用することができる。
【0019】更に、本発明者らの研究によると、電解質
として、カルボン酸又はその塩と、無機酸又は無機酸の
塩とを併用すると、それらを単独で使用した場合に比較
して、電解コンデンサの寿命を顕著に延長することがで
きるという効果も得ることができる。その上、従来の電
解コンデンサでは、電導度などの問題から、無機酸系の
電解質は主に中〜高電圧(160〜500V)のタイプ
の電解コンデンサに使用されてきたが、本発明のように
有機系と無機系の電解質を組み合わせて使用した場合、
低電圧(160V未満)のタイプの電解コンデンサにお
いても有利に使用することができる。
【0020】本発明の電解液には、添加剤として、ヒド
ロキシベンジルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸及
びその塩のうちの少なくとも1種が含まれる。ヒドロキ
シベンジルアルコール添加剤としては、2−ヒドロキシ
ベンジルアルコールが特に好ましいものである。L−グ
ルタミン酸二酢酸の塩としては、Na、K、NH4 、ア
ミン及びアルキルアンモニウム塩を使用することができ
る。電解液の添加剤としてい用いるこれらの化合物は、
アルミニウム電極箔の水和反応を抑制することにより電
極箔の劣化を防ぎ、電解コンデンサの長寿命化に寄与す
るものと考えられる。
【0021】本発明の電解液における上記の添加剤の添
加量は、電解液の全重量を基準として0.01〜5重量
%が好適である。添加剤の量が0.01重量%に満たな
い場合、電解コンデンサの長寿命化の効果はほとんど期
待できず、5重量%を超えると効果が飽和するほか溶液
中の溶質成分の析出が起こり、電導性低下すなわち比抵
抗の増大や低温での著しい特性劣化という不都合もあ
る。添加剤のより好ましい添加量は0.05〜5重量%
である。
【0022】本発明において、上述の混合溶媒とともに
上述の電解質及び添加剤を使用すると、電解液の比抵抗
を30℃において例えば21Ω・cm程度まで低下させ
ることができ、すなわち低インピーダンスの電解コンデ
ンサを実現することができる。先に述べたように、通常
の電解液で得られる比抵抗はせいぜい150Ω・cm程
度であるから、本発明による低インピーダンス化の効果
は目覚ましいものと言える。
【0023】本発明の電解液は、必要に応じ、上記した
以外の成分を追加の添加剤として含有することができ
る。適当な添加剤としては、例えば、本発明者らが本発
明と同時的に発明し、別に特許出願した発明で使用され
るような、下記の化合物を包含する。
【0024】(a)グルコン酸やグルコノラクトン。こ
の添加剤は、一般に、電解液の全重量の0.01〜5重
量%の量で使用され、これを使用すれば低インピーダン
スコンデンサのAl電極箔の水和反応の抑制による長寿
命化、電解コンデンサの低温特性の改善、耐食性の向上
の効果を奏することができる。
【0025】(b)キレート化合物,例えば、エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、trans−1,2−ジ
アミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸一
水和物(CyDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン
(DHEG)、エチレンジアミンテトラキス(メチレン
ホスホン酸)(EDTPO)、ジエチレントリアミン−
N,N,N’,N”,N”−五酢酸(DTPA)、ジア
ミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、エチレン
ジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン−N,
N’−ビス(メチレンホスホン酸)1/2水和物(ED
DPO)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GED
TA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(E
DTA−OH)等。キレート化合物は、一般に電解液の
全重量の0.01〜3重量%の範囲で添加するのが好ま
しい。このようなキレート化合物は、低インピーダンス
コンデンサのアルミニウム(Al)電極箔の水和反応の
抑制によるコンデンサの長寿命化、耐食性向上などの効
果をもたらすことができる。
【0026】(c)糖類、例えば、グルコース、フルク
トース、キシロース、ガラクトース等。糖類は、一般に
0.01〜5重量%の範囲で添加するのが好ましい。こ
のような糖類は、アルミニウム電極箔の水和反応を抑制
することで電極箔の劣化を防ぎ、電解コンデンサの長寿
命化を促進することができる。電解質としてカルボン酸
を使用する場合、糖類はその分解の抑制にも効果があ
る。
【0027】(d)ニトロフェノール、ニトロ安息香
酸、ジニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン及びニト
ロアニソールより選択されるニトロ化合物。この添加剤
は、一般に電解液の全重量の0.01〜5重量%の量で
使用され、そしてこれを使用すると水素ガスの顕著な吸
収効果が得られる。
【0028】上記(a)〜(d)の添加剤は、単独もし
くは組み合わせて使用することができる。
【0029】更に、これらの添加剤のほかにも、アルミ
ニウム電解コンデンサあるいはその他の電解コンデンサ
の分野で常用の添加剤を更に添加してもよく、それらの
例としては、マンニット、シランカップリング剤、水溶
性シリコーン、高分子電解質などを挙げることができ
る。
【0030】本発明の電解液は、有機溶媒と水との混合
物である溶媒に電解質と添加剤を溶解することで簡単に
調製することができる。上述の(a)〜(d)の追加の
添加剤やその他の添加剤を使用する場合も、それらを溶
媒に溶解させればよい。
【0031】本発明の電解コンデンサは、表面を酸化し
て誘電体化したアルミニウムから製作した陽極箔と、こ
の陽極箔の誘電体化した面に対向するアルミニウム製の
陰極箔と、陽極箔と陰極箔との問に介在するセパレータ
(隔離紙)とから構成した巻回素子に電解液を含浸した
ものをケ−ス内に密封したものであり、電解液として本
発明の電解液を使用している。このように本発明の電解
液を使用していることから、この電解コンデンサにあっ
ては、有機溶媒と水との混合溶媒による低温特性向上の
効果、添加剤による電極箔の水和反応抑制による長寿命
化の効果と併せて、低インピーダンス化の効果を達成す
ることができる。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に説明する。
言うまでもなく、ここに掲げた実施例は本発明を例示す
るためのものであり、本発明を限定しようとするもので
はない。
【0033】〔比較例1〜3、実施例1〜20〕ここで
は、巻回構造のアルミニウム電解コンデンサを例に説明
することにする。まず、アルミニウム箔を電気化学的に
エッチング処理し、陽極酸化して表面に酸化皮膜を形成
し、その後電極引出し用リードタブを取りつけてアルミ
ニウム陽極箔を作った。次に、別のアルミニウム箔にや
はり電気化学的にエッチング処理を施した後、電極引出
し用リードタブを収り付けてアルミニウム陰極箔を作っ
た。続いて、陽極箔と陰極箔間にセパレータ(隔離紙)
を挟んで巻回することにより、コンデンサ素子を作っ
た。そしてこのコンデンサ素子に、表1〜4に組成を示
した電解液を含浸してから、有底アルミニウムケースに
電極引出し用リードタブがケースの外に出るようにして
収容し、このケースの開口を弾性封口体で密封して、巻
回構造の電解コンデンサ(10WV−1000μF)を
作製した。なお、ヒドロキシベンジルアルコールとして
は、2−ヒドロキシベンジルアルコールを使用した。
【0034】使用した電解液の30℃における比抵抗の
値を表1〜4に示す。また、製作した電解コンデンサに
ついての低温(−40℃)でのインピーダンスと常温
(20℃)でのインピーダンスとの比として表されるイ
ンピーダンス比(Z比)を、120Hzと100kHz
で測定した。測定結果は表1〜4に示される。表1は、
本発明の添加剤を含まない電解液を使用した比較例を示
しており、表2〜4は、添加剤を添加した本発明の電解
液を使用した実施例を示している。
【0035】更に、各電解コンデンサの寿命特性を評価
するため、容量、tanδ及び漏れ電流の初期値を測定
してから、105℃で1000時間経過後にこれらの特
性値の測定を行った。結果をやはり表1〜4に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】これらの結果から、実施例5を除いて本発
明の電解液の比抵抗は、比較例のものと同等であること
が分かり、これらの比抵抗値は従来の一般の電解液のそ
れと比べて小さくなっていることがわかる。実施例5の
電解液の比抵抗値は表2のデータだけを見れば高いよう
に見えるが、上述のように従来の一般の電解液における
比抵抗値が150Ω・cm程度であったことから、これ
は通常の電解コンデンサと実質的に遜色なく、十分実用
的なレベルにあると言え、これまでの電解コンデンサと
の比較において相対的に低いインピーダンスを実現して
いることに注目すべきである。従って本発明の電解液を
使用したコンデンサは、これまでのものに比べて一層の
低インピーダンスを実現することができ、そうでなくと
も少なくともこれまでのものと同等程度の低インピーダ
ンスを実現することができる。
【0041】また、本発明の電解液を使用したコンデン
サにあっては、Z比が小さいことが分かり、特に100
kHzの高周波数でのZ比が比較例のものに比べて小さ
く抑えられていることが分かる。このことは、本発明の
電解液を用いた電解コンデンサが広い周波数にわたり良
好な低温特性を発揮することを示している。
【0042】一方、本発明の添加剤を使用した実施例で
は、105℃で1000時間経過後においても安定した
特性を示しており、ガス発生によるコンデンサ自体の破
壊に至ることもなかった。それに対し、添加剤を含まな
い電解液を使用した比較例のコンデンサは、いずれも1
000時間を経過するはるか以前にガス発生により防爆
弁が作動して使用不能になった。このことから、本発明
によれば電解コンデンサの長寿命化が容易に達成できる
ことが分かる。
【0043】〔実施例21〜24〕表5に示した組成の
電解液を使用して、先の各例と同様に電解コンデンサを
作製し、諸特性を測定した。これらの例では、寿命特性
を評価するためのデータを105℃で5000時間後に
測定した。
【0044】
【表5】
【0045】先に示したように、糖類を添加しない電解
液を使用した比較例1〜3においては250〜500時
間経過するまでにいずれも使用不能となったのに対し、
実施例21〜24のコンデンサの場合には、容量の低下
が認められるとは言え、5000時間経過後にも使用可
能であった。
【0046】更に注目すべきことは、有機系電解質のカ
ルボン酸の塩と無機系電解質の無機酸とを併用している
実施例21、24と、有機系電解質又は無機系電解質の
一方だけを使用している実施例22、23とを比較する
と、前者の方が後者よりも5000時間後の経時変化に
よる容量低下が少ないことである。このことから、本発
明において有機系電解質と無機系電解質を併用すると、
電解コンデンサの寿命特性が更に改善されることが分か
る。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、低イン
ピーダンスで、低温特性に優れ、寿命特性が良好な高信
頼性の電解コンデンサの利用が可能になる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)20〜80重量%の有機溶媒と8
    0〜20重量%の水とで構成される溶媒と、(2)カル
    ボン酸、カルボン酸の塩、無機酸及び無機酸の塩から選
    択される少なくとも1種以上の電解質と、(3)ヒドロ
    キシベンジルアルコール、L−グルタミン酸二酢酸及び
    その塩のうちから選択される少なくとも1種の添加剤、
    を含むことを特徴とする電解コンデンサ駆動用電解液。
  2. 【請求項2】 前記有機溶媒がプロトン系溶媒と非プロ
    トン系溶媒のうちから選択される少なくとも1種以上の
    溶媒である、請求項1記載の電解コンデンサ駆動用電解
    液。
  3. 【請求項3】 前記カルボン酸及びカルボン酸の塩が、
    蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−ニトロ安息香
    酸、サリチル酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハ
    ク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン
    酸、フタル酸、アゼライン酸、クエン酸及びオキシ酪酸
    並びにそれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウ
    ム塩、アミン塩及びアルキルアンモニウム塩から選択さ
    れる、請求項1又は2記載の電解コンデンサ駆動用電解
    液。
  4. 【請求項4】 前記無機酸及び無機酸の塩が、リン酸、
    亜リン酸、次亜リン酸、ホウ酸及びスルファミン酸並び
    のそれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム
    塩、アミン塩及びアルキルアンモニウム塩から選択され
    る、請求項1から3までのいずれか一つに記載の電解コ
    ンデンサ駆動用電解液。
  5. 【請求項5】 電解液の全重量を基準として0.01〜
    5重量%の前記添加剤を含有する、請求項1から4まで
    のいずれか一つに記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
  6. 【請求項6】 グルコン酸及びグルコノラクトンのうち
    の一方又は両方を更に含有する、請求項1から5までの
    いずれか一つに記載の電解コンデンサ駆動用電解液。
  7. 【請求項7】 請求項1から6までのいずれか一つに記
    載の電解コンデンサ駆動用電解液を電解液としているこ
    とを特徴とする電解コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20030087325A (ko) * 2002-05-08 2003-11-14 삼화전기주식회사 저전압 알루미늄 전해 콘덴서용 저저항 전해액
CN100380548C (zh) * 2002-11-12 2008-04-09 松下电器产业株式会社 固体电解电容器的制造方法

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