JP2000170889A - トラクタのトランスミッション - Google Patents

トラクタのトランスミッション

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JP2000170889A
JP2000170889A JP10351856A JP35185698A JP2000170889A JP 2000170889 A JP2000170889 A JP 2000170889A JP 10351856 A JP10351856 A JP 10351856A JP 35185698 A JP35185698 A JP 35185698A JP 2000170889 A JP2000170889 A JP 2000170889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラクタが軽負荷作業時・重負荷作業時いず
れの状態においても、主変速操作手段の切替時に発生す
る変速ショックを効果的に緩和できるようにする。 【解決手段】 エンジンからの出力を主変速操作手段7
7及び副変速操作手段98の操作に連動して変速する変
速機構、並びに、該出力をリバーサ操作手段82の操作
に連動して切り替える油圧クラッチ式正逆切替機構を有
するトラクタのトランスミッションにおいて、前記油圧
クラッチ式正逆切替機構を昇圧する波形として「走行モ
ード」の波形及び「作業モード」の波形の二種類を設定
し、主変速操作手段77が切り替わった場合には該油圧
クラッチ式正逆切替機構の圧力を減圧した後、前記二種
類のうちいずれか一の波形を用いて該油圧クラッチ式正
逆切替機構を制御するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンからの出
力を主変速操作手段及び副変速操作手段の操作に連動し
て変速する油圧クラッチ式変速機構、及び、該出力をリ
バーサ操作手段の操作に連動して切り替える油圧クラッ
チ式正逆切替機構を有するトラクタのトランスミッショ
ンにおいて、トラクタが軽負荷作業時及び重負荷作業時
のいずれにおいても、変速ショックを効果的に緩和する
ための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンからの出力を主変速
操作手段及び副変速操作手段の操作に連動して変速する
油圧クラッチ式変速機構、及び、該出力をリバーサ操作
手段の操作に連動して切り替える油圧クラッチ式正逆切
替機構を有するトラクタのトランスミッションの技術は
公知となっている。また、主変速レバーの切替による変
速ショックを緩衝するために、油圧クラッチ式変速機構
に作動油を圧送する油圧回路にディレイリリーフバルブ
を設け、主変速用油圧クラッチの接続が緩やかにかつス
ムーズに行われるようにしたトランスミッションの技術
もひろく公知となっている。また、リバーサ用油圧クラ
ッチに作動油を圧送する油圧回路に比例減圧弁を設け、
該比例減圧弁を制御装置に接続し、主変速レバーの切替
時には該比例減圧弁を減圧することにより、主変速用油
圧クラッチの接続が緩やかにかつスムーズに行われるよ
うにして、変速ショックを緩衝することとしたトランス
ミッションの技術も公知となっている。
【0003】公知技術としては、例えば、油圧変速クラ
ッチを電磁弁にて制御することとした特許第18807
55号の技術や、油圧クラッチの噛み合い特性を制御す
ることとした特許第1823494号の技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のような
従来の比例減圧弁による制御においては、昇圧波形を一
種類しか設定できなかった。従って、トラクタが軽負荷
の状態にあるときに変速ショックが小さくなるように昇
圧波形を設定すると、重負荷作業時(例えば耕耘作業
時)において大きい変速ショックが生じることとなって
しまう。また、逆に重負荷の状態にあるときに変速ショ
ックが小さくなるように昇圧波形を設定すると、軽負荷
作業時(例えば路上走行時)において大きい変速ショッ
クが生じることとなってしまう。
【0005】このことより、トラクタが軽負荷時・重負
荷時いずれの状態においても、主変速レバー切替時の変
速ショックを効果的に緩和できるような技術の開発が望
まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。請求項1においては、エンジンか
らの出力を主変速操作手段及び副変速操作手段の操作に
連動して変速する変速機構、並びに、該出力をリバーサ
操作手段の操作に連動して切り替える油圧クラッチ式正
逆切替機構を有するトラクタのトランスミッションにお
いて、前記油圧クラッチ式正逆切替機構を切り替えるた
めに「走行モード」及び「作業モード」の二種類の波形
を設定し、主変速操作手段が切り替わった場合に、前記
二種類のうちいずれか一の波形を用いて前記油圧クラッ
チ式正逆切替機構を切替制御するものである。
【0007】請求項2においては、請求項1記載のトラ
クタのトランスミッションにおいて、前記主変速操作手
段及び副変速操作手段を検出する速度段検出手段、並び
に、エンジンの回転数を検出する回転数検出手段及びエ
ンジンの負荷率を検出する負荷率検出手段を制御装置に
接続し、該制御装置はこれら検出手段の検出値に基づい
て前記「走行モード」又は「作業モード」のいずれか一
を自動的に選択するものである。
【0008】請求項3においては、請求項2記載のトラ
クタのトランスミッションにおいて、前記制御装置は、
回転数検出手段及び負荷率検出手段の検出値に基づいて
前記「作業モード」を維持するか否かを判断するもので
ある。
【0009】請求項4においては、請求項1から請求項
3までのいずれか一項記載のトラクタのトランスミッシ
ョンにおいて、前記油圧クラッチ式正逆切替機構に作動
油を圧送する回路に比例減圧弁を設け、該比例減圧弁を
制御装置と接続し、該制御装置は該比例減圧弁を介して
前記油圧クラッチ式正逆切替機構の圧力を制御するもの
である。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1は本発明の一実施例に係る農用トラクタの全体
的な構成を示した側面図、図2は主変速レバー及び主変
速レバー位置検出用のポテンショメータ並びに副変速レ
バーの配置構成を示した側面図、図3は副変速レバー位
置検出スイッチの配置構成を示した側面図、図4はメイ
ンクラッチ及びトランスミッションの構成を示した側面
断面展開図である。図5は本トラクタの動力伝達構成を
示したスケルトン図、図6は本トラクタの油圧回路図で
ある。
【0011】まず、本発明の一実施例に係る農用トラク
タの全体的な構成について、図1を用いて説明する。す
なわち、このトラクタは、前後に前輪1及び後輪2を懸
架する本体の前部にボンネット6を配設し、該ボンネッ
ト6内部にはエンジン5を配置している。ボンネット6
の後方にはステアリングハンドル10を設けており、該
ステアリングハンドル近傍にはリバーサ操作手段たるリ
バーサレバー82が配設される。
【0012】該リバーサレバー82は「前進」・「中
立」・「後進」の三段階切替としており、オペレータが
リバーサレバー82を「前進」側又は「後進」側へ操作
することにより、トラクタの駆動方向が前進方向又は後
進方向に決定される。
【0013】上記ステアリングハンドル10の後方には
シート11を配設している。ステアリングハンドル10
及びシート11は、キャビン12によって覆われる。
【0014】エンジン5の後方にはクラッチハウジング
8を配設し、該クラッチハウジング8の後方にはミッシ
ョンケース9を連結し、エンジン5からの動力を後輪2
に伝達して駆動している。但し、操作によっては、前輪
1にも同時に駆動力を伝達する四輪駆動とすることも可
能である。
【0015】また、エンジン5の駆動力はミッションケ
ース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて該P
TO軸15を駆動し、機体後端に接続した作業機100
(図1においては図略)を駆動するように構成してい
る。
【0016】そして、トラクタを操作するオペレータの
足元には、クラッチを断接操作するためのクラッチペダ
ル16が傾動可能に支持される。また、オペレータが座
るシート11の側部には、変速を行うための主変速操作
手段たる主変速レバー77と副変速操作手段たる副変速
レバー98がそれぞれ図2の如く突設される。
【0017】主変速レバー77は一〜四段階の変速M1
・M2・M3・M4及び中立位置MNの計五つの位置に
切替可能としており、該主変速レバー77の操作により
車両の変速が行われる。そして、該主変速レバー77の
近傍位置には速度段検出手段たるポテンショメータ77
aが配置され該主変速レバー77と連係されており、主
変速レバー77の位置を検出することとしている。
【0018】上記副変速レバー98は二つの中立位置S
N・SNとクリープ(超低速)SC、低速SL、中速S
M及び高速SHの計六つの位置に切替可能で、オペレー
タが該副変速レバー98を操作することにより車両の変
速が行われる。そして、該副変速レバー98の近傍位置
には、もう一つの速度段検出手段たる副変速高速検出ス
イッチ98aが図3に示す如く配設される。該副変速高
速検出スイッチ98aは、副変速レバー98が高速位置
SHにあるときのみONとなるよう構成している。
【0019】次に、クラッチハウジング8及びミッショ
ンケース9内の構成について、図4及び図5をもとに説
明する。即ち、エンジン5の後方にクラッチハウジング
8を固設し、クラッチハウジング8の後面にはミッショ
ンケース9が取り付けられる。ミッションケース9は前
後に二分割される構成(9a・9b)としており、間に
センタープレート13を挟持している。後半部のトラン
スミッションハウジング9bの後部左右側にはリアアク
スルケースが固設される。
【0020】次に、後車軸伝動系の構成について説明す
る。即ち、上記クラッチハウジング8内には上記クラッ
チペダル16に連係される湿式多板式のメインクラッチ
21が配置され、該メインクラッチ21の原動側軸22
にエンジン5のクランク軸の回転が入力される。メイン
クラッチ21の従動側軸23は機体後方に延出され、そ
の後端に形設したギア23aには走行クラッチ軸24に
遊嵌された主変速四速歯車34が噛合している。該主変
速四速歯車34は主軸25に固設された伝達歯車44に
噛合している。該主軸25には三枚の伝達歯車41・4
2・43が更に固設されあるいは形設されており、該三
枚の伝達歯車41・42・43を介して、走行クラッチ
軸24にそれぞれ遊嵌された主変速一速歯車31、主変
速二速歯車32、主変速三速歯車33に動力が伝達され
る。従って、メインクラッチ21の従動側軸23が回転
すると、主変速一速歯車31、主変速二速歯車32、主
変速三速歯車33及び主変速四速歯車34は各々異なる
回転数で回転することとなる。そして、上記主変速レバ
ー77に連動連結された油圧制御弁により、四つの油圧
クラッチ51・52・53・54のいずれか一が選択さ
れて「接」とされて、四段階の変速が可能となり、主軸
25の回転が該変速を経て走行クラッチ軸24に伝達さ
れる。
【0021】走行クラッチ軸24はセンタープレート1
3を貫通して後方に延長される。該延長部分には正転側
歯車26及び逆転側歯車27がそれぞれ同一軸心上に遊
嵌される。そして、前記リバーサレバー82に連係する
油圧制御弁の操作により、前進側のリバーサ用油圧クラ
ッチ56又は後進側のリバーサ用油圧クラッチ57のい
ずれか一が選択され接続され、走行クラッチ軸24の回
転は正転側歯車26又は逆転側歯車27のいずれか一に
伝達される。ただし、リバーサレバー82がニュートラ
ル位置の場合は、回転は両歯車26・27いずれにも伝
達されない。
【0022】正転側歯車26は副変速軸35に相対回転
不能に連結され、同時に、クリープ変速軸36に固設さ
れた伝達歯車37に噛合しており、その回転を両軸35
・36に伝達する。逆転側歯車27は、正逆転軸38の
一端に形設された歯車39に噛合しており、該正逆転軸
の他端に形設された歯車40は、クリープ変速軸36に
固設された前記伝達歯車37に噛合する。従って、逆転
側歯車27の回転は、正逆転軸38を介して該クリープ
変速軸36を逆転方向に回転させる。また、該クリープ
変速軸36の伝達歯車37に噛合する正転側歯車26を
介して、それに連結された副変速軸35を逆転方向に回
転させる。即ち、前述の二つのリバーサ用油圧クラッチ
56・57を選択的に作動せしめることで、エンジン5
の出力を正逆変換することが可能であり、この意味で、
該リバーサ用油圧クラッチ56・57が前述の正逆切替
手段としての役割を果たすものである。
【0023】副変速軸35の後部には副変速第二軸45
が同一軸心上に配置され遊転可能としており、該副変速
第二軸45にはクリープ変速歯車46が遊嵌される。該
クリープ変速歯車46はクリープ変速軸36に形設した
歯車47に噛合している。また、副変速第二軸45には
入力クラッチスライダ91が軸方向摺動可能にスプライ
ン嵌合され、上述の副変速レバー98に連係されてい
る。従って、該入力クラッチスライダ91は、上記副変
速レバー98の操作により副変速軸35又はクリープ変
速歯車46のいずれか一に噛み合って、その回転を副変
速第二軸45に伝達可能としている。即ち、該入力クラ
ッチスライダ91の摺動に基づく選択により、副変速軸
35の回転又は副変速軸35からクリープ変速軸36に
よるクリープ変速を経た回転のいずれか一が、副変速第
二軸45に入力される。
【0024】また、出力軸48が副変速第二軸45と平
行に軸支され、該出力軸48には二枚の伝達歯車49・
50が固設される。該伝達歯車49・50は副変速第二
軸45に遊嵌された二枚の変速歯車59・60に噛合し
ている。また、副変速第二軸45には出力クラッチスラ
イダ92が軸方向摺動可能にスプライン嵌合されてい
る。該出力クラッチスライダ92は上述の副変速レバー
98に連係されている。従って、副変速レバー98の操
作により出力クラッチスライダ92が摺動され、二枚の
変速歯車59・60のいずれか一に噛み合って、該副変
速第二軸45の回転を二枚の変速歯車59・60のいず
れか一に伝達可能としている。従って、出力クラッチス
ライダ92の摺動に基づく選択により、副変速第二軸4
5の回転が二段の変速を経て出力され、出力軸48に入
力される。
【0025】トランスミッションハウジング後部9bに
は後輪デフ部66bが配置され、前記出力軸48の回転
が、その後端に形設したベベルギア20を介して該後輪
デフ部66bに入力され、リアアクスルケース内の車
軸、伝達歯車等を経由して後輪2を駆動する。
【0026】次に、PTO伝動系について説明する。即
ち、トランスミッションハウジング前部9a内には主軸
25と平行にPTOクラッチ軸29が配置され、該PT
Oクラッチ軸29には四枚のPTO変速歯車、即ちPT
O一速歯車61、PTO二速歯車62、PTO三速歯車
63、PTO四速歯車64が遊嵌される。該PTO変速
歯車61・62・63・64は、主軸25に固設あるい
は形設した四枚の前記伝達歯車41・42・43・44
に噛合しており、主軸25の回転により該PTO変速歯
車61・62・63・64が異なる回転数で回転され
る。また、PTOクラッチ軸29にはPTO逆転歯車6
5が遊嵌され、該PTO逆転歯車65は、走行クラッチ
軸24に遊嵌された前述の主変速一速歯車31に噛合し
ている。即ち、該主変速一速歯車31は、PTO逆転付
与機構のアイドルギアとしての役割をも果たす。
【0027】また、PTOクラッチ軸には二つのPTO
クラッチスライダ93・94が軸方向摺動可能にスプラ
イン嵌合される。また、該PTOクラッチスライダ93
・94は、図略のPTO変速レバーに連係されている。
従って、両PTOクラッチスライダ93・94の摺動に
基づく選択により、主軸の回転が四段階の変速を経た後
にPTO軸に伝達される。また、主変速一速歯車31、
PTO逆転歯車65を介して、主軸25の回転が正逆変
換されてPTOクラッチ軸29に伝達される。即ち、正
転四速、逆転一速の変速が両軸25・29の間に行われ
る。前記PTOクラッチ軸29はPTO軸15に相対回
転不能に連結される。該PTO軸15は後方に延出さ
れ、トラクタ後端に接続された作業機100を駆動す
る。
【0028】次に、前車軸伝動系について説明する。即
ち、前記PTO軸15にはパイプ状の前輪入力軸55が
遊転可能に外嵌され、該前輪入力軸55と平行に前輪ク
ラッチ軸30が軸支される。前記前輪入力軸55には入
力歯車67が固設され、該入力歯車67は前記出力軸4
8に固設された二枚の伝達歯車のうちの一枚49に噛合
している。該前輪入力軸55には更に二枚の変速歯車1
8・19が固設され、該変速歯車は前輪クラッチ軸30
に遊嵌された二枚の歯車、即ち四輪駆動側歯車68及び
前輪倍速側歯車69にそれぞれ噛合している。
【0029】そして、図略の4WD・前輪倍速切替スイ
ッチに連動する油圧制御弁の操作により、二つの油圧ク
ラッチ78・79のいずれか一が選択され接続されて、
前輪入力軸55の回転が略二倍の増速あるいは略等速で
前輪クラッチ軸30に伝達される。前輪クラッチ軸30
の回転は前端に連結する前輪伝達軸14、ユニバーサル
ジョイント等を介して前輪側のデフ部66aに入力さ
れ、フロントアクスルケース内の車軸、伝達歯車等を介
して前輪1を駆動する。
【0030】以上構成のトラクタに具備される油圧回路
の構成を、図6をもとに説明する。即ち、油タンク(ミ
ッションケース)71内の作動油はサクションストレー
ナ73を経て二方向に分岐され、一方は走行系油圧ポン
プ72によりパワーステアリングユニット74に圧送さ
れる。このパワーステアリングユニット74は、ステア
リングハンドル10を操作するのに必要なトルクを低減
すべく設けられるものであって、ステアリングハンドル
10に連動した切替弁75により、前輪操向装置に連結
された複動シリンダ76が駆動され、前輪1に舵取り角
を与えることとしている。
【0031】パワーステアリングユニット74を経た作
動油は三つに分岐され、一つは主変速レバー77に連動
した主変速コントロールバルブ80により、四つの油圧
クラッチ51・52・53・54のいずれか一を作動さ
せ、主変速を行う。もう一つは比例減圧弁81を経て、
リバーサレバー82に連動したリバーサコントロールバ
ルブ83により、二つのリバーサ用油圧クラッチ56・
57のうちいずれか一を作動させ、トラクタの前進又は
後進の切り替えを行う。前記比例減圧弁81は電磁バル
ブよりなる切替弁より構成されており、上述のリバーサ
用油圧クラッチ56・57に供給される油圧を調整する
役割を果たす。また、比例減圧弁81の切替によりリバ
ーサコントロールバルブ83のポンプポートをドレーン
して圧力をゼロとすることで、リバーサレバー82の位
置に関係なくリバーサ用油圧クラッチ56・57のいず
れをも作動させなくすることもできる。残りは電磁コン
トロールバルブ95を経て、二つの油圧クラッチ78・
79のうちいずれか一を作動させて、前輪増速又は四輪
駆動の切り替えを行う。前輪増速時は、更に後輪左右に
設けられるブレーキ装置84・85のうち旋回内側のも
のを作動させて、カーブの際の旋回半径を小さいものと
している。
【0032】次に、作業機制御系の油圧回路について説
明する。前記油タンク71からサクションストレーナ7
3を経て分岐された作動油は、作業機用油圧ポンプ86
により、外部油圧取出部87を経て作業機制御用ユニッ
ト88に圧送される。そして、作業機昇降用シリンダ8
9及び作業機水平制御シリンダ90を適宜作動させ、ト
ラクタ後端に連結された作業機100の昇降及び水平制
御を行う。
【0033】次に、上記のリバーサ用油圧クラッチ56
・57に圧油を供給する比例減圧弁81の制御につい
て、図7から図10までを用いて説明する。図7は比例
減圧弁の制御装置の構成図である。図8は制御装置のモ
ード選択フローを示した図、図9は制御装置の作業モー
ド維持判断フローを示した図、図10は比例減圧弁の制
御フローを示した図である。また、図11は走行モード
において主変速レバー切替時の比例減圧弁の圧力制御波
形を示した図、図12は作業モードにおいて主変速レバ
ー切替時の比例減圧弁の圧力制御波形を示した図であ
る。尚、図11及び図12において示すtは、主変速レ
バー77が切り替わった瞬間の時刻を表している。
【0034】即ち、図6及び図7に示す比例減圧弁81
は電磁切替型のものであって、制御手段たる制御装置9
6に電気的に接続されており、該制御装置96が送出す
る信号により圧力(デューティ比)が制御される。尚、
97は該制御装置96に電力を供給するバッテリーであ
る。
【0035】そして、主変速レバー77の位置を検出す
る手段となる前記ポテンショメータ77a(センサーで
あれば限定するものではなくロータリーエンコーダ等で
も検出できる)及び副変速レバー98の高速位置を検出
する手段となる前記副変速高速検出スイッチ98a(電
磁式や光式センサー等でも可能であり限定しない)が該
制御装置96に電気的に接続される。そして、ポテンシ
ョメータ77aの抵抗値及び副変速高速検出スイッチ9
8aの状態についての情報が該制御装置96に入力さ
れ、該制御装置96はその情報をもとに、主変速レバー
77及び副変速レバー98により決定される速度段が、
高速状態にあるか否かを判断する。具体的には、例え
ば、副変速高速検出スイッチ98aがONであれば、副
変速レバー98が高速位置SHにあることを意味するか
ら、さらに主変速レバー77の位置が一定位置(例えば
第三速の位置M3又は第四速M4の位置)にあれば、速
度段が高速状態にあると判断する等である。
【0036】また、操作部には、手動モード選択スイッ
チ4が配設され、制御装置96に接続されている。該手
動モード選択スイッチ4は、オペレータにより「走行モ
ード」「作業モード」の切替が可能としており、「走行
モード」位置にあるときにONとなるよう構成してお
り、その状態が制御装置96に入力される。但し、逆に
「作業モード」位置にあるときにONとなるように構成
してもよい。操作部には更にモード自動判別スイッチ3
が配設され、制御装置96に接続されている。該モード
自動判別スイッチ3は、オペレータの操作によりON・
OFFの切替が可能としており、その状態が制御装置9
6に入力される。
【0037】そして、エンジン5の出力軸等には、エン
ジン5の回転数を検出する回転数検出手段99a、及び
エンジン5の負荷率を検出する負荷率検出手段99bが
配設され、制御装置96に電気的に接続されており、こ
れによりエンジン5の回転数及び負荷率の情報が、制御
装置96に入力される。99はチェッカーである。
【0038】そして該制御装置96は、上記判断結果を
もとに、比例減圧弁81の昇圧波形を次のように制御す
る。即ち、図8に示す如く、制御装置96は最初にモー
ド自動判別スイッチ3のON・OFFを調べる。モード
自動判別スイッチ3がOFFであるときは、手動選択ス
イッチ4の状態に基づき走行モードか作業モードかを決
定する。即ち、手動選択スイッチ4の状態を調べ、ON
のときは走行モードとし、OFFのときは作業モードに
とる。モード自動判別スイッチ3がONであるときは、
手動選択スイッチ4の状態如何にかかわらず、現在の速
度段及びエンジンの回転数並びに負荷率の検出値によ
り、走行モードか作業モードかを決定する。即ち、速度
段が高速状態になく、エンジンの回転数が設定値以上で
あり、かつ、エンジンの負荷率が設定値以上の状態が一
定時間継続した場合にのみ作業モードとし、それ以外の
ときはすべて走行モードとするのである。この判断に
は、速度段検出手段77a・98aの検出値、エンジン
の回転数検出手段99aの検出値、エンジンの負荷率検
出手段99bの検出値が用いられる。
【0039】そして、モード自動判別スイッチ3がON
の場合であって、一度作業モードになった場合は、該作
業モードの状態を維持すべきか否かを判断すべく、図9
のように制御する。即ち、エンジン5の負荷率が設定値
以下である状態が一定時間継続し、かつ、その時点での
エンジン5の回転数が設定値以下である場合にのみ走行
モードになり、それ以外の場合はすべて作業モードの状
態が維持されるのである。この判断には、エンジンの回
転数検出手段99aの検出値、エンジンの負荷率検出手
段99bの検出値が用いられる。
【0040】尚、図7に示す符号70a、70bはそれ
ぞれ走行モードランプ、作業モードランプであって、上
記制御装置96に接続されており、上記フローにより決
定されたモードに対応して、二つのうちいずれか一のラ
ンプが点灯するように制御される。
【0041】上記のように走行モードか作業モードかを
決定した上で、主変速レバー77が切り替わった場合に
は、図10のように比例減圧弁を制御するのである。即
ち、主変速レバー77が切り替わった場合は、制御装置
96は現在のモードが走行モードか作業モードかを判別
して、走行モードの場合は走行モード波形Aで、作業モ
ードの場合は作業モード波形Bで、それぞれ比例減圧弁
81を制御するのである。
【0042】ここで、走行モード波形は軽負荷作業時に
変速ショックが小さくなるような昇圧波形とし、作業モ
ード波形は重負荷作業時に変速ショックが小さくなるよ
うな昇圧波形としている。図11のAは走行モードにお
ける圧力制御波形、図12のBは作業モードにおける圧
力制御波形の一例を示したものである。即ち、走行モー
ドにおいては主変速切り替えの瞬間に比例減圧弁を減圧
し、徐々に昇圧する波形としている。一方、作業モード
においては主変速切替時においても切替前の圧力を維持
する波形としている。ただし、図11や図12で示した
圧力制御波形は一例であって、この波形の傾斜や長さ等
は限定するものではない。
【0043】従って、路上走行時等の軽負荷作業時には
主変速切替時に走行モード波形が用いられ、耕耘作業・
牽引作業等の重負荷作業時には主変速切替時に作業モー
ド波形が用いられることにより、どちらの場合にも適し
た昇圧波形によりリバーサ用油圧クラッチ56・57が
昇圧され噛み合うこととなり、主変速レバー77の切替
時の変速ショックを効果的に緩和することができる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏するのである。即ち、請求項
1に示す如く、エンジンからの出力を主変速操作手段及
び副変速操作手段の操作に連動して変速する変速機構、
並びに、該出力をリバーサ操作手段の操作に連動して切
り替える油圧クラッチ式正逆切替機構を有するトラクタ
のトランスミッションにおいて、前記油圧クラッチ式正
逆切替機構を切り替えるために「走行モード」及び「作
業モード」の二種類の波形を設定し、主変速操作手段が
切り替わった場合に、前記二種類のうちいずれか一の波
形を用いて前記油圧クラッチ式正逆切替機構を切替制御
するので、適宜二種類の制御波形を選択して用いること
で、路上走行時等の軽負荷作業時においても耕耘作業時
・牽引作業時等の重負荷作業時においても、主変速切替
時の変速ショックを効果的に抑制できる。従って、変速
ショックによりオペレータが不安や不快感を感じること
がなくなり、快適な操作性を有するトラクタを提供でき
る。
【0045】請求項2に示す如く、請求項1記載のトラ
クタのトランスミッションにおいて、前記主変速操作手
段及び副変速操作手段を検出する速度段検出手段、並び
に、エンジンの回転数を検出する回転数検出手段及びエ
ンジンの負荷率を検出する負荷率検出手段を制御装置に
接続し、該制御装置はこれら検出手段の検出値に基づい
て前記「走行モード」又は「作業モード」のいずれか一
を自動的に選択するので、トラクタが現在軽負荷作業時
か重負荷作業時かをエンジンの回転数や負荷率などによ
り制御装置が自動的に判断し、適した昇圧波形を選択し
て油圧クラッチ式正逆切替機構を昇圧するので、軽負荷
作業時か重負荷作業時かをオペレータがいちいちトラク
タに指示する必要がない。従って、請求項1の効果に加
えて、主変速切替時の油圧クラッチ式正逆切替機構の制
御波形を選択する手間が省くことができ、更に操作性の
良いトラクタを提供できる。
【0046】請求項3に示す如く、請求項2記載のトラ
クタのトランスミッションにおいて、前記制御装置は、
回転数検出手段及び負荷率検出手段の検出値に基づいて
前記「作業モード」を維持するか否かを判断するので、
一度作業モードとなった場合には走行モードに戻るため
の特別の条件を設けることにより、請求項2に示す効果
に加えて、さらにきめの細かい制御波形の制御が可能と
なる。
【0047】請求項4に示す如く、請求項1から請求項
3までのいずれか一項記載のトラクタのトランスミッシ
ョンにおいて、前記油圧クラッチ式正逆切替機構に作動
油を圧送する回路に比例減圧弁を設け、該比例減圧弁を
制御装置と接続し、該制御装置は該比例減圧弁を介して
前記油圧クラッチ式正逆切替機構の圧力を制御するの
で、比例減圧弁に電気信号を送ることにより油圧クラッ
チ式正逆切替機構の油圧を自在に調節することができ、
従って、請求項1から請求項3までに示した効果が、簡
単な構成にて実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る農用トラクタの全体的
な構成を示した側面図。
【図2】主変速レバー及び主変速レバー位置検出用のポ
テンショメータ並びに副変速レバーの配置構成を示した
側面図。
【図3】副変速レバー位置検出スイッチの配置構成を示
した側面図。
【図4】メインクラッチ及びトランスミッションの構成
を示した側面断面展開図。
【図5】本トラクタの動力伝達構成を示したスケルトン
図。
【図6】本トラクタの油圧回路図。
【図7】比例減圧弁の制御装置の構成図。
【図8】制御装置のモード選択フローを示した図。
【図9】制御装置の作業モード維持判断フローを示した
図。
【図10】比例減圧弁の制御フローを示した図。
【図11】走行モードにおいて主変速レバー切替時の比
例減圧弁の圧力制御波形を示した図。
【図12】作業モードにおいて主変速レバー切替時の比
例減圧弁の圧力制御波形を示した図。
【符号の説明】
5 エンジン 16 クラッチペダル 21 メインクラッチ 51〜54 主変速用油圧クラッチ(主変速変速機構) 56・57 リバーサ用油圧クラッチ(正逆切替機構) 77 主変速レバー(主変速操作手段) 77a ポテンショメータ(速度段検出手段) 81 比例減圧弁 82 リバーサレバー(リバーサ操作手段) 83 リバーサコントロールバルブ 96 制御装置(制御手段) 98 副変速レバー(副変速操作手段) 98a 副変速高速検出スイッチ(速度段検出手段) 99a エンジン回転数検出手段 99b エンジン負荷率検出手段 A 走行モードにおける比例減圧弁の圧力制御波形 B 作業モードにおける比例減圧弁の圧力制御波形
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J028 EA21 EB09 EB12 EB20 EB23 EB62 FB05 FC33 FC42 FC66 GA14 HC03 HC05 HC15 3J052 AA01 CA05 GC11 GC42 HA01 HA17 HA18 KA01 LA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの出力を主変速操作手段及
    び副変速操作手段の操作に連動して変速する変速機構、
    並びに、該出力をリバーサ操作手段の操作に連動して切
    り替える油圧クラッチ式正逆切替機構を有するトラクタ
    のトランスミッションにおいて、前記油圧クラッチ式正
    逆切替機構を切り替えるために「走行モード」及び「作
    業モード」の二種類の波形を設定し、主変速操作手段が
    切り替わった場合に、前記二種類のうちいずれか一の波
    形を用いて前記油圧クラッチ式正逆切替機構を切替制御
    することを特徴とするトラクタのトランスミッション。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトラクタのトランスミッ
    ションにおいて、前記主変速操作手段及び副変速操作手
    段を検出する速度段検出手段、並びに、エンジンの回転
    数を検出する回転数検出手段及びエンジンの負荷率を検
    出する負荷率検出手段を制御装置に接続し、該制御装置
    はこれら検出手段の検出値に基づいて前記「走行モー
    ド」又は「作業モード」のいずれか一を自動的に選択す
    ることを特徴とするトラクタのトランスミッション。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のトラクタのトランスミッ
    ションにおいて、前記制御装置は、回転数検出手段及び
    負荷率検出手段の検出値に基づいて前記「作業モード」
    を維持するか否かを判断することを特徴とするトラクタ
    のトランスミッション。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか一
    項記載のトラクタのトランスミッションにおいて、前記
    油圧クラッチ式正逆切替機構に作動油を圧送する回路に
    比例減圧弁を設け、該比例減圧弁を制御装置と接続し、
    該制御装置は該比例減圧弁を介して前記油圧クラッチ式
    正逆切替機構の圧力を制御することを特徴とするトラク
    タのトランスミッション。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007120590A (ja) * 2005-10-27 2007-05-17 Iseki & Co Ltd トラクタの走行制御装置
JP2009228876A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd トラクタ
JP2009228875A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd トラクタ
JP2019173808A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 井関農機株式会社 作業車両

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