JP2000169434A - (s,s)−アルキレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造方法 - Google Patents

(s,s)−アルキレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造方法

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JP2000169434A
JP2000169434A JP10348480A JP34848098A JP2000169434A JP 2000169434 A JP2000169434 A JP 2000169434A JP 10348480 A JP10348480 A JP 10348480A JP 34848098 A JP34848098 A JP 34848098A JP 2000169434 A JP2000169434 A JP 2000169434A
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aspartic acid
acid
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aspartate
distillation
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Katsufumi Kujira
勝文 鯨
Mitsuko Yabe
晃子 矢部
Masako Yoshitake
政子 吉竹
Hiroshi Iwane
寛 岩根
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C227/00Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
    • C07C227/14Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton from compounds containing already amino and carboxyl groups or derivatives thereof
    • C07C227/18Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton from compounds containing already amino and carboxyl groups or derivatives thereof by reactions involving amino or carboxyl groups, e.g. hydrolysis of esters or amides, by formation of halides, salts or esters

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (S,S)−アルキレンジアミン−N,N’
−ジコハク酸の製造方法において製品の品質を損なうこ
となく、かつ、工業的に実用可能な安価で効率的な製造
方法を提供する。 【解決手段】 L−アスパラギン酸アンモニウムと水酸
化アルカリ金属化合物とを接触させた後、脱アンモニア
蒸留をし、ジハロアルカンと反応させて、(S,S)−
アルキレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する
方法において、脱アンモニア蒸留後の水性媒体中の残留
アンモニア濃度が水性媒体中のアスパラギン酸塩のアス
パラギン酸換算量に対して4.0wt%以下であること
を特徴とする(S,S)−アルキレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性キレート
剤として有用な(S,S)−アルキレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸の製造方法に関する。詳しくは、L−
アスパラギン酸アンモニウム塩を水酸化アルカリ金属化
合物と接触させた後にジハロアルカンと反応させ、
(S,S)−アルキレンジアミン−N,N’−ジコハク
酸を製造するにあたって工業的に実用可能な製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来技術】アスパラギン酸の窒素原子を水性媒体中で
各種炭素求電子剤と反応させることにより、種々の機能
化学品や医農薬中間体などの有用な誘導体が製造される
ことは知られており、特に(S,S)体のアルキレンジ
アミン−N,N’−ジコハク酸に関しては、エチレンジ
アミン4酢酸(EDTA)等の汎用キレート剤に変わり
うる生分解性キレート剤として、注目を集めている。
【0003】アルキレンジアミン−N,N−ジコハク酸
の製造方法としては、1)エチレンジアミンにマレイン
酸を反応させる方法(Zhurnal Obshche
iKhinii., 49,659(1978))や
2)L−アスパラギン酸にジハロアルカンを反応させる
方法(Inorg. Chem.,7,2405(19
68)、Chem.Zvesti.,20,414(1
966)、WO9512570及びWO960180
3)等種々の検討がなされている。
【0004】上記方法1)については、反応性が低く、
副生成物も多いうえ、不斉炭素の立体を制御することも
できないので実用的ではなく、2)の方法に関しては、
通常、L−アスパラギン酸は、L−アスパラギン酸アン
モニウム塩水溶液から酸析し、単離・精製するという煩
雑な工程を経て得られるものであるため、原料コストが
高くなり、収率や最終製品の値段等を勘案すると、工業
的に実用化することは難しかった。
【0005】一方、原料としてアスパラギン酸アンモニ
ウム塩を用い、炭素求電子剤と反応させるに当たって
は、一度アルカリ金属化合物とアンモニアとの塩交換を
行ったほうが好ましいこと、さらに塩交換したアンモニ
アを系外に除去した方がその後の炭素求電子剤との反応
の促進等、収率を向上することも知られている(特公平
7−71490号公報)。
【0006】これらをふまえ、L−アスパラギン酸アン
モニウム塩からL−アスパラギン酸金属塩を製造する場
合にアンモニア蒸留を行い、残存アンモニア濃度が20
ppmと低減されたL−アスパラギン酸金属塩を作る方
法も報告されている(特開平9−202754)。しか
しながら、上記のようにL−アスパラギン酸アンモニウ
ム塩から炭素求電子剤との反応によりその誘導体を製造
するにあたっては、アルカリ金属とアンモニアとの塩交
換後にアンモニア濃度を如何に下げるかがその後の収率
等に大きな影響を与えると考えられており、蒸留工程に
大きな負荷がかかることやキレート剤等の添加剤が必要
等によりコストの大幅な上昇が避けられず、未だ工業的
な実用化は難しいものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記アスパ
ラギン酸誘導体の内、生分解性キレート剤として有用で
ある(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−ジコハ
ク酸の製造において、製品の品質を損なうことなく、か
つ、工業的に実用可能な、安価で効率的な製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、L−アスパラギン
酸アンモニウムと水酸化アルカリ金属化合物とを接触さ
せた後、脱アンモニア蒸留をした、水性媒体中の残留ア
ンモニア濃度が、特定の範囲である場合であれば、その
後のジハロアルカンとの反応において、収率や製品の品
質等を損なうことがないことを見出し、本発明を完成す
るに到った。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、L−アスパラ
ギン酸アンモニウムと水酸化アルカリ金属化合物とを接
触させた後、脱アンモニア蒸留をし、ジハロアルカンと
反応させて、アルキレンジアミン−N,N−ジコハク酸
を製造する方法において、脱アンモニア蒸留後の水性媒
体中の残留アンモニア濃度が水性媒体中のアスパラギン
酸塩のアスパラギン酸換算量に対して4.0wt%以下
であることを特徴とする(S,S)−アルキレンジアミ
ン−N,N’−ジコハク酸の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるL−アスパラ
ギン酸アンモニウムは、特に限定はされないが、通常、
フマル酸とアンモニア又はフマル酸アンモニウムにアス
パルターゼ及び/又はそれを含有する微生物を作用させ
る方法により得ることができる。上記製造方法としては
公知であり、それらに準じて行われれば、特に限定され
るものではない。また、該フマル酸アンモニウムは、マ
レイン酸とアンモニアにマレイン酸イソメラーゼ及び/
又はそれを含有する微生物を作用させて得るという公知
の方法を用いて製造してもよく、その場合、イソメラー
ゼを用いた酵素による異性化反応とアスパルターゼによ
る反応をワンポットで行うこともできる。
【0011】上記酵素反応に用いられる微生物として
は、アスパルターゼ活性を有する微生物であれば、特に
限定されないが、例えば、ブレビバクテリウム属、エシ
ェリヒア属、シュードモナス属、バチルス属等の微生物
が挙げられる。具体的には、ブレビバクテリウム・フラ
バム(Brevibacterium flavum)MJ−233(FERM BP
-1497)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacter
ium flavum)MJ−233−AB−41(FERM BP-149
8)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Breviba
cterium ammoniagenes)ATCC6872、エシェリヒ
ア・コリ(Escherichia coli)ATCC11303、エ
シェリヒア・コリ(Escherichia coli)ATCC273
25等を例示することが出来る。
【0012】菌体を用いる場合には、培養した各菌体を
予めリン酸緩衝液(pH7)等で洗浄した後、反応にそ
のまま用いることが出来る。洗浄用のリン酸緩衝液の濃
度としては、0.05M〜0.2M程度が好適に用いら
れる。また、予め菌体を凍結したり、Triton X
−100またはTween 20等の界面活性剤で処理
することにより、菌体の透過性を高めてから使用しても
良い。
【0013】また、菌体を超音波破砕等で処理した菌体
処理物;該破砕物を遠心分離した細胞抽出液;細胞抽出
液を硫安分画法、イオン交換かラム、ゲル濾過かラム等
で精製した部分精製酵素;又はそれらの固定化物等も用
いることが出来る。上記酵素反応におけるpHは、通常
7.5〜10が好ましい。反応温度は酵素反応が効率的
に行われる温度であれば良く、通常、10〜80℃、好
ましくは20〜60℃である。反応時のpHを調整する
に当たっては、L−アスパラギン酸の製造原料の一つで
あるアンモニアを用いるのが最も好ましいが、アンモニ
アに対して10重量%以下であれば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物などを併
用しても良い。
【0014】上記反応に用いられるアンモニアの使用量
としては、酵素処理が可能であれば、特に限定されない
が、フマル酸に対するモル比として1.0〜3.0の範
囲であり、好ましくは2.0〜2.6である。モル比が
小さすぎても大きすぎてもpHがアスパルターゼの至適
pHである7.5〜9.5を外れ、反応が進行しにくく
なる。
【0015】この酵素反応で得られた反応液は、L−ア
スパラギン酸アンモニウムを主体として含むが、このア
ンモニウム塩は、モノ塩とジ塩の混合物である。また、
その他、未反応のフマル酸アンモニウム及びマレイン酸
アンモニウムを含むこともあるが、この場合これらの含
有量を反応条件の最適化により2g/L、好ましくは1
g/Lに制御するのが望ましい。
【0016】また、反応液中のL−アスパラギン酸濃度
は、通常、50〜800g/Lの範囲であり、好ましく
は100〜500g/Lである。濃度が低すぎると大量
の水溶液を扱うことになり、プロセス面で不利になり、
濃度が高すぎると酵素反応の進行に支障を来す。酵素反
応の反応方式としては、バッチ法でも連続法でも特に限
定されないが、連続法の方が効率的である。連続法とし
ては、具体的には、菌体を固定化した充填層に原料水溶
液を通液する方法、菌体懸濁液に原料水溶液を添加しな
がら、反応液を抜き出し、菌体とL−アスパラギン酸を
含有する反応液を限外濾過膜、遠心分離器等で分離し菌
体をリサイクル使用する方法等が挙げられる。
【0017】本発明の方法においては、L−アスパラギ
ン酸アンモニウムに水酸化アルカリ金属化合物とを接触
させた後に脱アンモニア蒸留を行う。上記水酸化アルカ
リ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金
属水酸化物が挙げられるが、このうちアルカリ金属水酸
化物が好ましく、特に好ましくは水酸化ナトリウムであ
る。
【0018】該水酸化アルカリ金属化合物は、水溶液の
形態でL−アスパラギン酸アンモニウムと接触させても
良いし、固体をL−アスパラギン酸アンモニウム水溶液
と接触させても良い。用いられる水酸化アルカリ金属化
合物の量は、L−アスパラギン酸塩のL−アスパラギン
酸換算量に対して0.5〜4倍モルであり、このうち好
ましくは0.65〜3倍モル、特に好ましくは0.8〜
2.5倍モルである。使用量が少なすぎると残存アンモ
ニアの量が多くなるためジハロアルカンとの反応に悪影
響を及ぼすし、また多すぎると液の粘性が高くなるとと
もに塩基性も増すため操作上好ましくない。
【0019】水酸化アルカリ金属化合物をL−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に添加する方法としては、連
続操作でもバッチ操作でも問題なく、撹拌可能な混合槽
を用いてもラインミキシング等の混合装置を用いても良
い。こうして得られる、L−アスパラギン酸アンモニウ
ムと水酸化アルカリ金属化合物との混合物は、蒸留操作
又はストリッピング操作(以下、アンモニア除去操作と
言うことがある)によりアンモニアを除去することによ
り、実質的にL−アスパラギン酸アルカリ金属塩とする
事ができる。
【0020】本発明の方法においては、このアンモニア
除去操作後の残存アンモニア量が、L−アスパラギン酸
塩のL−アスパラギン酸換算量に対して4.0wt%以
下にすることを特徴とする。アンモニア残存量として好
ましくは3.5wt%であり、特に好ましくは3.0w
t%以下である。残存アンモニア濃度が4.0wt%以
上であるとジハロアルカンとの反応の収率が急激に悪化
するため好ましくない。
【0021】また、実用的には、残存アンモニア濃度2
0ppm〜4.0wt%であり、好ましくは200pp
m〜3.5wt%、特に好ましくは400ppm〜3.
0wt%である。残存アンモニア濃度を20ppm以下
にするには、蒸留またはストリッピング工程に負荷がか
かるためコスト上昇につながり好ましくない。特にジク
ロロエタンとの反応を行なう場合には、残存アンモニア
濃度は好ましくは0.1〜4wt%、特に好ましくは
0.3〜3.5wt%という範囲が挙げられる。
【0022】アンモニア除去操作は、常圧下でも減圧下
でもよく、液温は30〜100℃、好ましくは40〜8
0℃で行う。低温下でアンモニア除去操作を行うには、
減圧度を高めねばならず、操作上の制約が大きくなり、
高温下では反応液の熱劣化を招くので好ましくない。こ
の場合、供給液の温度は特に限定されないが、それぞれ
の工程の反応と操作温度を考慮すると、5〜80℃、好
ましくは10〜50℃である。滞留時間は塔底温度にも
よるが、通常、0.01〜5時間、好ましくは0.02
〜4時間の範囲である。
【0023】アンモニア蒸留操作はバッチ式でも連続式
でも構わないが、短時間で処理可能な連続式の方が好ま
しい。本発明の方法におけるアンモニア除去装置として
は、一般的な化学工業で用いられているフラッシュ蒸留
塔又は適当な段数を有する蒸留塔が挙げられる。また、
可能な限り熱劣化を避けるため、薄膜蒸留器のような短
時間処理可能な装置を用いても良い。このアンモニア除
去操作では、アンモニアと水が蒸気として分離されるの
で、これを冷却塔で冷却して得られるアンモニア水をL
−アスパラギン酸アンモニウム製造工程に再度使用する
ことが出来る。
【0024】アンモニア除去操作後のL−アスパラギン
酸アルカリ金属塩濃度は、後のジハロアルカンとの反応
を考慮し、L−アスパラギン酸として5〜50重量%、
好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜3
0重量%に調整する。上記方法で得られたL−アスパラ
ギン酸アルカリ金属塩をさらにジハロアルカンと反応さ
せることにより、目的生成物である(S,S)−アルキ
レンジアミン−N,N’−ジコハク酸を得ることができ
る。
【0025】本発明に用いられるジハロアルカンとして
は、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタ
ン、1,2−ジクロロプロパン、1,2−ジブロモプロ
パン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプ
ロパン、1,2−ジクロロブタン、1,4−ジクロロブ
タン、1,2−ジブロモブタン、1,4−ジブロモブタ
ン、1,5−ジクロロペンタン、1,5−ジブロモペン
タン、1,6−ジクロロヘキサン、1,6−ジブロモヘ
キサン等の炭素数2〜6のジハロアルカンが挙げられ、
このうち反応性の点で好ましくは、1,2−ジクロロエ
タン、1,3−ジクロロプロパン又は1,2−ジブロモ
エタン等の炭素数2〜3のジハロアルカンであり、特に
好ましくは、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロ
ロプロパンであり、最も好ましくは、1,2−ジクロロ
エタンである。
【0026】ジハロアルカンはL−アスパラギン酸アル
カリ金属塩に対して0.3〜1.0モル、好ましくは
0.5〜0.7モル、特に好ましくは0.5〜0.6モ
ルの範囲で用いられる。0.3モルより少ないと未反応
のL−アスパラギン酸量が多くなり精製効率が著しく低
下するし、1.0モルより多いと副生物の増加等のため
好ましくない。
【0027】反応溶媒としては、水が好ましいが、メタ
ノール、グリコール等のアルコール類などの他の水溶性
有機溶媒を併用することで反応速度を向上させることも
できる。溶媒の使用量としては、L−アスパラギン酸ア
ルカリ金属塩の濃度が5〜50重量%になるように使用
することが望ましい。本反応は塩基性条件下で行われ、
反応液のpHは、9〜13が好ましい。反応液を塩基性
に調節するのに、必要に応じて水酸化アルカリ金属化合
物を添加しても良い。水酸化アルカリ金属化合物とは、
アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物
であり、このうち好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムまた
はそれらの混合物である。
【0028】水酸化アルカリ金属化合物の添加方法とし
ては、水難溶性の化合物については、反応開始前に一括
添加しても構わないが、水に易溶性の化合物の場合に
は、ジハロアルカンの分解を押さえるためにも、分割添
加が好ましい。反応温度は50〜140℃、好ましくは
80〜120℃、特に好ましくは90〜110℃の範囲
で行う。50℃よりも低温では反応速度が著しく低下
し、140℃よりも高温では、目的物選択性が低下し、
またL−アスパラギン酸がラセミ化する問題もある。反
応圧力は常圧または加圧下で行うことができ、反応時間
はその他の条件にもよるが0.5〜50時間の範囲で行
われる。
【0029】反応終了後、反応液より未反応のジハロア
ルカンを留去した後、無機酸を添加し目的物を析出させ
る。無機酸を添加する前に必要に応じて、反応液中の目
的物濃度が1〜50重量%、好ましくは3〜30重量
%、特に好ましくは5〜20重量%になるように、水を
加えて濃度を調整しても良い。濃度が低いと析出効率が
悪く、濃度が高すぎると析出結晶により、系中の撹拌が
均等に行えないなど操作が難しくなる。
【0030】使用する酸としては、塩酸または硫酸が好
ましく、酸の濃度としては3〜50重量%に希釈された
ものが過度の発熱防止の観点から好ましい。酸の添加方
法としては、分割添加が好ましく、この時酸を添加し目
的物が析出し始めたときのpHと析出によって上昇した
pHとの差(△pH)が小さくなるように添加するのが
よい。具体的には、△pHが0.5以下、好ましくは
0.3以下である。△pHが0.5以下の場合には、結
晶サイズが10μm以上の取り扱いやすいものを得るこ
とが出来る。
【0031】晶析工程においては、最終的には液のpH
を2.0〜5.0、好ましくは2.5〜4.0に調整す
る。晶析温度としては、5〜80℃、好ましくは20〜
60℃である。晶析温度とは、酸の添加時間はスケール
にもよるが、0.1〜30時間の範囲で行う。添加終了
後、0〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲で、1
〜10時間程度熟成させても良い。
【0032】析出した結晶は、加圧濾過、減圧濾過、遠
心分離等の通常の濾過操作により分取し、水で数回洗浄
し、乾燥することで単離できる。上記晶析操作におい
て、目的物を濾別した後の濾液を直接、あるいは濾液を
濃縮、pH及び温度の操作により、未反応原料のL−ア
スパラギン酸を析出させこれ回収し、再度原料として使
用することが出来る。
【0033】
【実施例】以下、実施例、比較例、参考例を挙げて本発
明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越
えない限り実施例に限定されるものではない。生成物、
L−アスパラギン酸、フマル酸、マレイン酸は、高速液
体クロマトグラフィー(島津製作所社製;LC−10
A)で、アンモニア、ナトリウムはイオンクロマトグラ
フィー(横河アナリティカル(株)社製IC−500)
で、水分はカールフィッシャー(三菱化成(株)社製C
A−05)により定量した。
【0034】実施例1 通常の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有する
ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−
41(FERM BP−1498)の限外濾過膜(旭化
成社製−ACV−3050)による濃縮菌体50kg
(湿菌体40重量%)を、原料(フマル酸45kgおよ
び25%アンモニア水61kgに、水を加えて全量を2
00Lとした水溶液;pH約9)に添加して、45℃で
30時間反応させた。反応終了後、限外濾過膜により菌
体を除去し、得られた濾液を分析したところ、L−アス
パラギン酸(以下、ASPと略す)が259g/L、フ
マル酸が0.5g/L、NH4 +が45.5g/L(NH
4 +/ASPモル比は1.30:アンモニアの対アスパラ
ギン酸含量は17.6wt%)、pHは9(25℃)で
あった。
【0035】300mLナスフラスコに該反応液100
ml(L−アスパラギン酸として25.9g:0.19
5モル)と粒状97%水酸化ナトリウム 16.08g
(0.39モル)を加え、室温で30分間撹拌した。そ
の後、エバポレーターでアンモニア蒸留を30℃、50
mmHgで0.2時間行った。蒸留後の回収液には、L
−アスパラギン酸241g/L、アンモニア4.1g/
L(対アスパラギン酸
【0036】1.7wt%)含有していた。この液を3
00mLオートクレーブに仕込み、1,2−ジクロロエ
タン9.9g(0.1モル)を加え、攪拌下100℃で
反応した。反応圧力は約0.2MPaであった。4時間
反応後、反応液を冷却して20wt%水酸化ナトリウム
水溶液20g(NaOH 0.1モル)を加え、引き続
き上記と同様の条件で反応を6時間行った(反応時間:
計10時間)。
【0037】反応終了後、反応液の一部を採取し、分析
したところ、L−アスパラギン酸の転化率は75.6%
であり、(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−ジ
コハク酸(EDDS)の収率は、L−アスパラギン酸基
準で57.0%であった。その後、微量の未反応1,2
−ジクロロエタンを減圧下回収し、残液をビーカーに取
り、室温攪拌下で40wt%硫酸水溶液を加えたとこ
ろ、pH4.5で白色結晶が析出した。この時の液温は
29℃であった。pH3.7〜4.5に保持しながら硫
酸水溶液を徐々に滴下し、晶析を継続した。放置しても
pHの上昇が見られなくなったら、硫酸の添加をやめ、
そのまま30分間撹拌し、その後減圧濾過により析出し
た結晶を分取した。結晶を30mlの水で3回洗浄した
後、減圧乾燥を行った。回収結晶は、15.3gであ
り、高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、E
DDS13.4g(87.6重量%、L−アスパラギン
酸換算収率54.5%)、L−アスパラギン酸0.11
g、ナトリウム100ppm及び水10.6重量%であ
った。
【0038】比較例1(アンモニア蒸留無し) 実施例1に記載の酵素反応液100ml(アンモニアの
対アスパラギン酸含量は17.6wt%)と粒状97%
水酸化ナトリウム 16.08g及び1,2−ジクロロ
エタン 9.9gを300mlオートクレーブ内に仕込
み、室温で30分撹拌した後に実施例1と同様の反応条
件にて反応を行った。反応終了後、反応液の一部を採取
し、分析したところ、L−アスパラギン酸の転化率は4
9.2%であり、(S,S)−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸(EDDS)の収率は、L−アスパラ
ギン酸基準で8.3%であった。
【0039】参考例1 L−アスパラギン酸(和光純薬工業(株)社製:ロット
番号017−04835:アンモニア含量50ppm以
下) 25.9g(0.195モル)、粒状97%水酸化ナト
リウム16.08g(0.39モル)、水75gを氷冷
等により、40〜50℃以上にしないように発熱に注意
しながら混合し、300mlオートクレーブに仕込ん
だ。1,2−ジクロロエタン9.9g(0.1モル)を
加え、実施例1に記載と同様の反応条件で反応を行っ
た。
【0040】反応終了後、反応液の一部を採取し、分析
したところ、L−アスパラギン酸の転化率は74.2%
であり、(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−ジ
コハク酸(EDDS)の収率は、L−アスパラギン酸基
準で55.1%であった。その後、実施例1と同様の操
作で晶析を行い、得られた結晶を分析したところ、回収
結晶は14.9g、EDDS13.1g(87.9重量
%、L−アスパラギン酸換算収率53.3%)、L−ア
スパラギン酸0.09g、ナトリウム100ppm及び
水10.9重量%であった。
【0041】実施例2 アンモニア除去工程の時間を0.2時間から1.5時間
に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。蒸
留後の回収液には、L−アスパラギン酸261g/L、
アンモニア0.15g/L(対アスパラギン酸 0.0
57wt%)含まれていた。1,2−ジクロロエタンと
の反応終了後、反応液の一部を採取し、分析したとこ
ろ、L−アスパラギン酸の転化率は73.8%であり、
(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸
(EDDS)の収率は、L−アスパラギン酸基準で5
6.3%であった。
【0042】実施例3〜5 L−アスパラギン酸236g/L、アンモニア7.08
g/L(対L−アスパラギン酸 3.0wt%)のL−
アスパラギン酸ナトリウム水溶液100mlを実施例1
と同様の操作で1、2−ジクロロエタンと反応させた。
反応終了後、反応液の一部を採取し、分析したところ、
L−アスパラギン酸の転化率は72.5%であり、
(S,S)−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸
(EDDS)の収率は、L−アスパラギン酸基準で5
3.9%であった。尚、対アスパラギン酸アンモニア量
を5.0wt%、13.0wt%のL−アスパラギン酸
塩水溶液を用いて同様に行った。実施例1〜5、比較例
及び参考例の結果を以下の表に示す。
【0043】
【表1】 対アスパラギン酸 アスパラギン酸 EDDS収率 アンモニア含量 転化率(%) (%) 参考例1 50ppm以下 74.2 55.1 実施例1 1.70 wt% 75.6 57.0 実施例2 0.057wt% 73.8 56.3 実施例3 3.0 wt% 72.5 53.9 実施例4 5.0 wt% 56.4 11.4 実施例5 13.0 wt% 48.1 9.5 比較例1 17.6 wt% 49.2 8.3
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、生分解性キレート剤と
して有用である(S,S)−アルキレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸の製造において、収率及び製品の品質
を損なうことなく、安価で効率的に製造することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】対アスパラギン酸アンモニア含量とEDDS収
率との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉竹 政子 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 岩根 寛 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4B064 AE17 CA02 CA21 CC03 CD01 CD07 DA16 4H006 AA02 AC52 AD11 BC31 BD20 BD70 BE11 BS10 BU32

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−アスパラギン酸アンモニウムと水酸
    化アルカリ金属化合物とを接触させた後、脱アンモニア
    蒸留をし、ジハロアルカンと反応させて、(S,S)−
    アルキレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する
    方法において、脱アンモニア蒸留後の水性媒体中の残留
    アンモニア濃度が水性媒体中のアスパラギン酸塩のアス
    パラギン酸換算量に対して4.0wt%以下であること
    を特徴とする(S,S)−アルキレンジアミン−N,
    N’−ジコハク酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 残留アンモニア濃度が20ppm〜4.
    0wt%以下であることを特徴とする請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 残留アンモニア濃度が3.5wt%以下
    であることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 残留アンモニア濃度が3.0wt%以下
    であることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 水酸化アルカリ金属化合物の量がL−ア
    スパラギン酸塩のL−アスパラギン酸換算量に対して
    0.5〜4倍モルであることを特徴とする請求項1記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 水酸化アルカリ金属化合物が水酸化ナト
    リウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請
    求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 脱アンモニア蒸留後のL−アスパラギン
    酸塩のL−アスパラギン酸換算濃度が15wt%以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 脱アンモニア蒸留後の水性媒体のpHが
    7〜13であることを特徴とする請求項1記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 L−アスパラギン酸アンモニウムがフマ
    ル酸とアンモニア又はフマル酸アンモニウムからアスパ
    ルターゼ及び/又はアスパルターゼを含有する微生物を
    用いて製造されたものであることを特徴とする請求項1
    〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 ジハロアルカンがジクロロエタンであ
    る請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
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