JP2000169392A - 新規なアジュバント及びそれを用いたワクチン - Google Patents

新規なアジュバント及びそれを用いたワクチン

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JP2000169392A
JP2000169392A JP11196150A JP19615099A JP2000169392A JP 2000169392 A JP2000169392 A JP 2000169392A JP 11196150 A JP11196150 A JP 11196150A JP 19615099 A JP19615099 A JP 19615099A JP 2000169392 A JP2000169392 A JP 2000169392A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接種動物に対して安全性が高く、且つアジュ
バント活性が高いアジュバントを提供し、更にこのアジ
ュバントを利用した高性能のワクチンを提供すること。 【解決手段】 構成単糖がグルコサミンであるオリゴ糖
と脂肪酸が少なくともアミド結合したオリゴ糖脂肪酸ア
ミド、又は構成単糖がグルコース、ガラクトース及びマ
ンノースのうち少なくとも1種であるオリゴ糖と脂肪酸
がエステル結合したオリゴ糖脂肪酸エステルを含有する
ことを特徴とするアジュバント、及びそれを含むワクチ
ン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家畜及び愛玩動物
用のワクチンに好適に用いることができるアジュバン
ト、及びそれを用いたワクチン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒト用あるいは動物用の不活化あるいは
コンポーネントワクチン等にはその免疫効果を高める目
的で、アジュバントと呼ばれる組成物を添加することが
あり、特に動物用ワクチンでは殆どの製品に何らかのア
ジュバントが添加されている。アジュバントの代表例と
してはリン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウムゲ
ル、ミョウバン、水酸化カルシウムゲル、キラヤサポニ
ン及びオイルアジュバントなどがあり、既に広く実用化
されている。しかし、これら既存のアジュバントには下
記の様な問題があった。
【0003】アルミニウムゲル、カルシウムゲルでは
接種部位の局所反応は弱く、安全性は高いものの、強い
免疫効果が得られない。またアルミニウムはアルツハイ
マー病との関連も疑われている。 キラヤサポニンはアジュバント効果は比較的優れてい
るが、溶血活性や組織への毒性が極めて高く、使用範囲
が限定される。 オイルアジュバントはアジュバント効果と抗体の持続
性では優れているが、接種反応が強く、ワクチンの接種
部位に硬結や、場合によっては膿瘍、壊死などを生ずる
場合がある。 これらの理由により、従来のアジュバントでは、安全性
と有効性の両立が困難な状態にあった。
【0004】畜産分野のワクチンアジュバントとして
は、特に鶏においてゲルアジュバント以外にミネラルオ
イルを主体とするW/O型オイルアジュバントが開発さ
れ、実用化されている。しかしこの型のアジュバント
は、接種局所反応が極めて強く、哺乳動物には母豚免疫
など特殊な用途以外には適用し難い。一方、アジュバン
ト物質の素材としては、単糖あるいは2糖類の誘導体が
知られている。例えば、単糖の誘導体としては、特開昭
52−83506号、特開昭52−156812号、特
開昭56−164196号、特開昭57−26698
号、特開昭56−169697号、特開昭55−192
36号、特開昭59−20297号、特開昭61−27
5299号の各公報等に記載のペプチド誘導体又は脂肪
酸エステル誘導体が挙げられる。2糖類の誘導体として
は、特開昭59−89632号、特開昭55−1456
96号、特開昭59−89632号、特開平1−146
891号の各公報に記載されたものが挙げられる。これ
ら素材は、アジュバント活性が低く、その活性を挙げる
ために、置換基を複雑化する必要があった。そのため
に、素材の合成上高価となる問題があった。
【0005】また、最近では合成高分子を素材としてポ
リオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリ
マーを用いたO/W型ワクチンアジュバント(特開平8
−32639号公報)や、疎水性合成リポ多糖体を構成
成分とするO/W型ワクチンアジュバント(特開平5−
255117号公報)が開示されている。しかし、これ
らはいずれも合成高分子であって、また乳化助剤として
ポリオキシエチレン系の界面活性剤を使用していること
から、接種動物に発熱や疼痛、接種部位の壊死等、強い
接種反応を生じることが予想される。
【0006】一方、本発明者らは、無水マンニトールと
オレイン酸エステル及び流動パラフィンからなる組成物
が、高いアジュバント活性を持つことを見いだしている
(特開昭63−35525号公報)。しかしながら、こ
のアジュバントも動物種によって接種反応を起こす場合
があり、安全面での問題を抱えていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、接種動物に対して安全性が高く、且つアジュバント
活性が高いアジュバントを提供し、更に、このアジュバ
ントを利用した高性能のワクチンを安価に提供すること
にある。尚、アジュバント活性とは、免疫機構を刺激
し、抗原に対する免疫反応を増強する機能をいう。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような従
来のアジュバントの問題点を解決すべく鋭意研究した結
果、特定のオリゴ糖と脂肪酸のエステルあるいはアミド
化物をアジュバントとして使用することにより、高いア
ジュバント活性と、接種動物に対して安全性が高いアジ
ュバントが得られる事を見出し、下記構成の本発明を完
成するに至った。 (1) 構成単糖がグルコサミンであるオリゴ糖と脂肪
酸が少なくともアミド結合したオリゴ糖脂肪酸アミド、
又は構成単糖がグルコース、ガラクトース及びマンノー
スのうち少なくとも1種であるオリゴ糖と脂肪酸がエス
テル結合したオリゴ糖脂肪酸エステルを含有することを
特徴とするアジュバント。
【0009】(2) 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオ
リゴ糖脂肪酸エステルを構成するオリゴ糖の糖鎖が3〜
99個の単糖で構成されることを特徴とする前記(1)
に記載のアジュバント。 (3) 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸
エステルを構成する脂肪酸が、オリゴ糖脂肪酸アミドで
は炭素数3〜24個の直鎖脂肪酸、炭素数4〜24個の
分岐脂肪酸あるいは炭素数6〜22個の不飽和脂肪酸で
あり、オリゴ糖脂肪酸エステルでは炭素数2〜24個の
直鎖脂肪酸、炭素数4〜24個の分岐脂肪酸あるいは炭
素数6〜22個の不飽和脂肪酸であることを特徴とする
前記(1)又は(2)に記載のアジュバント。
【0010】(4) 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオ
リゴ糖脂肪酸エステルの構成単糖当たりの脂肪酸の平均
導入数が0.3〜3.5であることを特徴とする前記
(1)〜(3)のいずれかに記載のアジュバント。 (5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載のアジュ
バントと所望の抗原を含むことを特徴とするワクチン組
成物。
【0011】本発明のアジュバントは、接種動物に対し
て安全性が高く且つアジュバント活性も高いもので、従
来のアジュバントの問題点を克服することができた。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、上記オリゴ糖脂肪酸アミドまたは上記
オリゴ糖脂肪酸エステルのオリゴ糖の糖鎖の構成単糖の
数は、3〜99個の範囲を表わす。好ましくは3〜50
個であり、更に好ましくは5〜20個である。これらの
好ましい範囲にすることにより、アジュバント活性が一
層高くなる。本発明においては、糖鎖の構成単糖数が異
なるオリゴ糖の混合物でも良いが、上記構成単糖数のオ
リゴ糖が主に含有することが好ましい。上記構成単糖数
のオリゴ糖が主に含有するとは、具体的には上記構成単
糖数のオリゴ糖が、好ましくはオリゴ糖の全重量に対し
て50重量%以上含有すること、より好ましくは100
重量%含有することを言う。後述の実施例で使用したグ
ルコースのオリゴ糖である市販のマルトデキストリン
は、イオンクロマトグラフによる測定の結果、糖鎖の単
糖数が50個以下のオリゴ糖の混合物であり、糖鎖の単
糖数が3〜50個のものが全オリゴ糖の約90%であっ
た。
【0013】本発明において、上記オリゴ糖脂肪酸アミ
ドの構成単糖としてはグルコサミンであり、上記オリゴ
糖脂肪酸エステルの糖鎖の構成単糖としては、グルコー
ス、ガラクトース及びマンノースが挙げられ、これらの
単独又はこれら2種以上の単糖を基本とするオリゴ糖が
好ましい。上記単糖を基本的に含有するとは、具体的に
は上記単糖が、オリゴ糖を構成する単糖全てに対して5
0モル%以上 、好ましくは100モル%含有すること
を言う。
【0014】具体的にはグルコースを基本糖鎖とするオ
リゴ糖としては、マルトトリオース、マルトテトラオー
ス、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルト
ヘプタオース、アミロース、マルトデキストリン、デキ
ストラン、セロトリオース、セロテトラオース、セロペ
ンタオース、セロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖等が挙
げられる。ガラクトースを基本糖鎖とするオリゴ糖とし
ては、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。
【0015】マンノースを基本糖鎖とするオリゴ糖とし
ては、象牙ヤシマンナン、酵母マンナン、海藻マンナ
ン、サプレッサマンナン等のマンナンを酸又は酵素によ
る部分加水分解により得られるマンナン由来のオリゴ糖
が挙げられる。グルコサミンを基本糖鎖とするオリゴ糖
としては、キトサン等を酸又は酵素による部分加水分解
により得られるオリゴ糖が挙げられる。上記構成単糖を
複数種含有する複合糖鎖を基本とするオリゴ糖として
は、グルコマンナン、ガラクトマンナン等を酸又は酵素
による部分加水分解により得られるオリゴ糖が挙げられ
る。
【0016】又、本発明におけるオリゴ糖脂肪酸アミド
又はオリゴ糖脂肪酸エステルのオリゴ糖の基本糖鎖の構
造としては直鎖構造若しくは分岐構造が挙げられる。
【0017】これらのオリゴ糖のうち、グルコース、ガ
ラクトースを基本糖鎖とするオリゴ糖及びセルロース由
来のオリゴ糖は市販品を用いることができる。例えば、
アルドリッチ社製のマルトデキストリン、和光純薬工業
社製のポリデキストロース、フルカ社製のデキストリン
及びデキストラン、東京化成社製のアミロース、シグマ
社製のセロオリゴ糖、ヤクルト薬品工業社製のガラクト
オリゴ糖等が挙げられる。マンノースを基本糖鎖とする
オリゴ糖は、生化学実験講座第4巻糖質の化学(上)
(日本生化学会編)記載の合成法、グルコサミンのオリ
ゴ糖はキチン、キトサン実験マニュアル(技報堂出版)
記載の合成法により合成できる。
【0018】上記オリゴ糖脂肪酸エステルのオリゴ糖と
しては、グルコース、マンノースを基本糖鎖とするオリ
ゴ糖、上記オリゴ糖脂肪酸アミドのオリゴ糖としては、
キトサン由来のオリゴ糖が好ましい。本発明において
は、グルコースを基本糖鎖とするオリゴ糖が更に好まし
い。
【0019】オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸
エステルに用いられる脂肪酸としては、直鎖脂肪酸、分
岐脂肪酸、不飽和脂肪酸が挙げられる。直鎖脂肪酸とし
ては、オリゴ糖脂肪酸アミドの場合には炭素数3〜24
個の直鎖飽和脂肪酸が好ましく、オリゴ糖脂肪酸エステ
ルの場合には炭素数2〜24個の直鎖飽和脂肪酸が好ま
しい。これらの脂肪酸の具体例としては、例えば、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタ
ン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン
酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペン
タデカン酸、ヘキサンデカン酸、ヘプタデカン酸、オク
タデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸
等が挙げられる。
【0020】又、オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂
肪酸エステルに用いられる分岐脂肪酸としては、炭素数
4〜24個の分岐飽和脂肪酸が好ましく、例えば、イソ
酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、イソペンタン酸、
ミコール酸等が挙げられる。
【0021】又、オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂
肪酸エステルに用いられる不飽和脂肪酸としては、炭素
数6〜22個の不飽和脂肪酸が好ましく、例えば、オレ
イン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パル
ミトレイン酸、イコサジエン酸、イコサトリエン酸、ア
ラキドン酸、イコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサテ
トラエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン
酸、テトラコセン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0022】オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸
エステルに用いられる脂肪酸として好ましくは、上記分
岐脂肪酸又は不飽和脂肪酸である。該脂肪酸としては、
より好ましくはオレイン酸、リノール酸、ミコール酸で
あり、更に好ましくは、オレイン酸である。これらの脂
肪酸を1種又は2種以上導入することにより、アジュバ
ント活性の高いオリゴ糖脂肪酸アミド化物又はエステル
化物を得ることができる。
【0023】本発明におけるオリゴ糖脂肪酸アミド又は
オリゴ糖脂肪酸エステルは、オリゴ糖およびアミノオリ
ゴ糖と脂肪酸クロライドとの置換反応、オリゴ糖と脂肪
酸メチルエステルとのエステル交換反応、オリゴ糖と脂
肪酸との縮合反応等により容易に合成することができ
る。脂肪酸の導入量は、原料の仕込みモル比を変化させ
ることで容易に調整することができる。
【0024】オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸
エステルの構成単糖1個当たりの脂肪酸の平均導入数
は、0.3〜3.5であることが好ましく、更に好まし
くは1.0〜3.5であり、特には1.0〜2.1が好
ましい。0.3未満ではアジュバント活性が不十分な場
合があり、3.5を超えると合成し難い。尚、上記オリ
ゴ糖脂肪酸アミドは、オリゴ糖と脂肪酸が少なくともア
ミド結合したオリゴ糖脂肪酸アミドであるが、アミド結
合ばかりでなく、エステル結合でオリゴ糖と脂肪酸が結
合していてもよい。
【0025】なお、オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖
脂肪酸エステルの構成単糖当たりの脂肪酸の平均導入数
は、400MHz1H−NMRを使用し、クロロホルム
を内部標準物質として使用するプロトン比率の測定によ
り定量することができる。
【0026】オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸
エステルの重量平均分子量としては、好ましくは1,0
00〜50,000であり、更に好ましくは、1,50
0〜30,000である。なお、重量平均分子量はGP
Cで測定した。
【0027】本発明のアジュバントは、上記オリゴ糖脂
肪酸アミド又は上記オリゴ糖脂肪酸エステルそのものの
みをアジュバントとしてもよいし、上記オリゴ糖脂肪酸
アミド又は上記オリゴ糖脂肪酸エステル化物を含有する
水性懸濁型アジュバントでも、油性アジュバント(W/
O型あるいはO/W型)でもよい。水性懸濁型アジュバ
ントの場合には、水性媒体中にオリゴ糖脂肪酸アミド又
はオリゴ糖脂肪酸エステルを添加する。油性アジュバン
トの場合には、油性媒体中にオリゴ糖脂肪酸アミド又は
オリゴ糖脂肪酸エステルを添加する。上記水性媒体とし
ては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)、グリセリン加PBS等の緩衝液が挙げられる。上
記油性媒体としては、流動パラフィン、スクワラン、ス
クワレン、合成直鎖アルカン、食用植物油等が挙げられ
る。
【0028】本発明のアジュバント中のオリゴ糖脂肪酸
アミド及び/又はオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量とし
ては、上記水性媒体に対しては通常0.1〜10W/V%
が好ましく、より好ましくは0.3〜5W/V %である。
W/O型油性アジュバントの場合、上記油性媒体に対し
ては通常3〜10W/V%が好ましく、より好ましくは3〜
5W/V %である。O/W型油性アジュバントの場合、上
記油性媒体に対しては通常5〜15W/V%が好ましく、
より好ましくは5〜10W/V %である。アジュバント
は、上記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸エス
テルを含む水性媒体あるいは油性媒体(必要により、所
望の抗原も含んでもよい)を、手振り、機械的振盪、超
音波分散、ホモミキサーによる分散、自己乳化、膜乳
化、真空乳化法、超高圧乳化法などの方法により調整で
きる。これらのアジュバントは、分子ふるい、遠心分離
等により粒度をそろえて使用することもできる。
【0029】また、W/O型オイルアジュバントは、具
体的には上記油性溶媒に所定量のオリゴ糖脂肪酸アミド
又はオリゴ糖脂肪酸エステルを分散させ、これに必要に
より、乳化安定剤、溶解補助剤を適量添加し、混合攪拌
することで調製できる。又、O/W型オイルアジュバン
トの場合には、上記混合物に必要により親水性界面活性
剤を添加することにより調製できる。
【0030】本発明のアジュバント中には、添加剤を含
有させることができる。そのような添加剤としては例え
ば、オレイン酸、スクワラン、スクワレン、流動パラフ
ィン、合成直鎖アルカン系オイル、サポニン、ポリグリ
セリンエステル系などの界面活性剤、リン酸アルミニウ
ムゲル、水酸化アルミニウムゲル等が含まれる。その含
有量は、オレイン酸、スクワラン、スクワレン、流動パ
ラフィン、合成直鎖アルカン系オイルについては通常8
5〜99.9V/V%であり、界面活性剤については通常
0.1〜15V/V%であり、リン酸アルミニウムゲル、
水酸化アルミニウムゲルについては通常5〜20V/V%
である。
【0031】本発明のワクチン組成物は、上記本発明の
アジュバントと所望の抗原を含有する。ワクチン組成物
中のアジュバントの含有量は、剤形により異なり、水性
懸濁アジュバントワクチン組成物の場合は、0.1〜1
0v/v%が好ましく、より好ましくは0.3〜5v/
v%である。油性アジュバントワクチン組成物の場合、
W/O型では通常2〜20V/V%が好ましく、より好ま
しくは5〜15V/V %であり、O/W型では、通常1〜
5V/V%が好ましく、より好ましくは3〜5V/V%であ
る。ワクチン組成物に、オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリ
ゴ糖脂肪酸エステルそのものを直接添加する場合には、
通常0.2〜5W/V%が好ましく、より好ましくは、
0.5〜2W/V%である。
【0032】ワクチン組成物中の所望の抗原液の含有量
は、水性懸濁アジュバントワクチン組成物の場合は、9
5〜99.8v/v%が好ましく、より好ましくは98
〜99.5v/v%である。油性アジュバントワクチン
組成物の場合、W/O型では通常10〜50V/V%が好
ましく、より好ましくは10〜30V/V%であり、O/
W型では、通常50〜99V/V%が好ましく、より好ま
しくは50〜80V/V %である。本発明のワクチン組成
物は、上記アジュバントに所望の抗原液を添加し、必要
により乳化/分散処理することで調整できる。抗原液と
アジュバントの混合比率は、液の乳化状態等の液の安定
性に影響を与えない範囲で適宜調整することができる。
所望の抗原としては、いずれの抗原でも用いることがで
きる。本発明のワクチン組成物の投与量、投与方法とし
ては、抗原の種類により異なるので適宜設定できる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
【0034】〔実施例1〕マルトヘキサオース(東京化
成社製)200mgをジメチルホルムアミド40mlに
溶解させ、トリエチルアミン520mgを添加した。こ
の溶液を5℃に冷却後、オレイン酸クロライド780m
gを添加し、20〜25℃で24時間反応した。反応
後、トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、ゲル濾過精
製を実施してマルトヘキサオースオレエート110mg
を得た。重量平均分子量は3,030で、構成単糖当た
りの脂肪酸の平均導入数は0.81であった。
【0035】〔実施例2〕マルトデキストリン(アルド
リッチ社製、デキストロース当量13.0〜17.0)
4gをジメチルホルムアミド160mlに溶解後、トリ
エチルアミン10.6gを添加した。この溶液に20℃
以下でアセチルクロライド2.1gを添加後、20℃で
2時間反応した。この反応液に更にオレイン酸クロライ
ド6.8gを添加して20〜25℃で24時間反応し
た。反応後、トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、濃
縮後、酢酸エチル120ml、飽和食塩水120ml及
び1N塩酸10mlを添加した。この溶液を60℃で1
時間反応してアセチル基を脱保護した。反応後、酢酸エ
チル層を分離、濃縮することで粗製のマルトデキストリ
ンオレエート固体を9.3g得た。この粗製品8.8g
をメタノール18mlに溶解後、水4.5ml添加して
分離したオイルを分液、濃縮、脱揮して、精製のマルト
デキストリンオレエート固体7.8gを得た。重量平均
分子量は4,710で、構成単糖当たりの脂肪酸の平均
導入数は2.05であった。
【0036】〔実施例3〕実施例2において、使用する
アセチルクロライド量を1.0gとし、又、オレイン酸
クロライド量を8.5gとする他は同じ合成法によっ
て、重量平均分子量は5,730で構成単糖当たりの脂
肪酸の平均導入数が2.48のマルトデキストリンオレ
エート固体7.3gを得た。
【0037】〔実施例4〕マルトデキストリン(アルド
リッチ社製、デキストロース当量13.0〜17.0)
1gをジメチルホルムアミド40mlに溶解し、トリエ
チルアミン2.64gを添加した。この溶液に20℃以
下でアセチルクロライド0.52gを添加後20℃で2
時間反応した。この反応液に更にオレイン酸クロライド
0.9gを添加し20〜25℃で24時間反応した。反
応後、トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、この濾液
に1N塩酸5ml添加し、60℃で1時間反応してアセ
チル基を脱保護した。この反応液を濃縮して粗製品を
4.3g得た。この粗製品をエタノール100mlで懸
濁攪拌後濾過分離してマルトデキストリンオレエート精
製品0.6gを得た。重量平均分子量は2,660で、
構成単糖当たりの脂肪酸の平均導入数は0.32であっ
た。
【0038】〔実施例5〕実施例4において、使用する
オレイン酸クロライド量を2.9gとする他は同じ合成
法によって、重量平均分子量は3,470、構成単糖当
たりの脂肪酸の平均導入数が1.01のマルトデキスト
リンオレエート固体0.7gを得た。
【0039】〔実施例6〕マルトデキストリン(アルド
リッチ社製、デキストロース当量4.0〜7.0)1g
をジメチルホルムアミド40mlに溶解し、トリエチル
アミン2.64gを添加した。この溶液に20℃以下で
アセチルクロライド0.52gを添加後、20℃で2時
間反応した。この反応液に更にオレイン酸クロライド
1.69gを添加し20〜25℃で24時間反応した。
反応後、トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、濃縮し
て粗製品を4.1g得た。この粗製品をエタノール10
0mlで懸濁攪拌後濾過分離してマルトデキストリンオ
レエート精製品0.6gを得た。重量平均分子量は1,
990で、構成単糖当たりの脂肪酸の平均導入数は0.
59であった。
【0040】〔実施例7〕アミロース(東京化成社製、
分子量約15,000、平均単糖数92個)1gをジメ
チルスルホキシド40mlに溶解し、トリエチルアミン
2.64gを添加した。この溶液に20℃以下でアセチ
ルクロライド0.52gを添加後、20℃で2時間反応
した。この反応液に更にオレイン酸クロライド1.69
gを添加し、20〜25℃で24時間反応した。反応
後、トリエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、濃縮して粗
製品を得た。この粗製品をエタノール100mlで懸濁
攪拌後濾過分離して、アミロースオレエート精製品0.
5gを得た。重量平均分子量は22,580で、構成単
糖当たりの脂肪酸の平均導入数は0.31であった。
【0041】〔実施例8〕マルトトリオース(東京化成
社製)1gをジメチルホルムアミド200mlに溶解さ
せ、トリエチルアミン3.9gを添加した。この溶液を
5℃に冷却後、オレイン酸クロライド5.8gを添加
し、20〜25℃で24時間反応した。反応後、トリエ
チルアミン塩酸塩を濾過分離し、ゲル濾過精製を実施し
てマルトトリオースオレエート0.5gを得た。重量平
均分子量は2,910で、構成単糖当たりの脂肪酸の平
均導入数は3.51であった。
【0042】〔実施例9〕オリゴ糖として、ガラクトオ
リゴ糖(ヤクルト薬品工業社製、オリゴメイト55P)
を1g 使用した他は、実施例8と同じ方法でガラクト
オリゴ糖オレエート精製品を 0.5g得た。重量平均
分子量は1,900で構成単糖当たりの脂肪酸の平均導
入数は2.10であった。
【0043】〔実施例10〕キトサン10gを濃塩酸1
00mlに溶解させ、80℃で2時間加水分解反応し
た。この分解液の不溶物を濾過分離後、濾液に0.5g
の活性炭を添加し、20℃で30分脱色後、濾過した。
この濾液を濃縮乾固し、メタノール100mlを加え2
0℃で2時間攪拌後、不溶物を濾過分離し、濾液を濃縮
乾固した。この濃縮乾固品をゲル濾過を実施して、糖鎖
の構成単糖数が3〜10個のキトサンオリゴ糖を1.8
g得た。キトサンオリゴ糖0.5gをジメチルホルムア
ミド20mlに溶解し、トリエチルアミン2.64gを
添加した。この溶液にオレイン酸クロライド0.60g
を添加し20〜25℃で24時間反応した。反応後、ト
リエチルアミン塩酸塩を濾過分離し、濃縮して粗製品
1.7gを得た。この粗製品をエタノール50mlで懸
濁攪拌後濾過分離してオレオイルキトサン精製品0.3
gを得た。重量平均分子量は2,130で、構成単糖当
たりの脂肪酸の平均導入数は0.61であった。
【0044】〔実施例11〕0.02Mクエン酸緩衝液
(pH7.0)50ml中に100gの酵母ペーストを
懸濁させ、オートクレーブ中で120〜125℃で90
分加熱した。冷却後遠心分離し、上澄み液を分離した。
この液に攪拌しながら80mlのフェーリング試薬を加
えた。マンナン−銅複合体のガム状の沈殿を濾過し、6
mlの3N塩酸を加えて溶解した。この溶液をメタノー
ル/酢酸混液(1/1)100mlへ攪拌しながら滴下
した。2時間放置してマンナンが沈殿した後、析出した
マンナンを濾過し、メタノール100mlに添加して洗
浄し、1.2gのマンナンを得た。上記操作を繰り返し
得られたマンナン6gを、無水酢酸−氷酢酸−98%硫
酸(1:1:0.1、V/V)混液75mlに10℃以
下で加え、10〜20℃で3日間攪拌後、遠心分離した
上澄み液を氷水1Lに注入した。この液を炭酸ナトリウ
ムで中和後、クロロホルム500mlで3回抽出し、濃
縮乾固後、メタノール50mlに再溶解させ1%ナトリ
ウムメチラート5mlを加え室温で30分攪拌して脱ア
セチル化を行う。脱アセチル化した液を酢酸で中和後、
濃縮乾固する。
【0045】この濃縮乾固品をゲル濾過を実施して、糖
鎖の構成単糖数が3〜9個のマンノオリゴ糖を1.5g
得た。マンノオリゴ糖0.5gをジメチルホルムアミド
20mlに溶解し、トリエチルアミン1.32gを添加
した。この溶液にオレイン酸クロライド0.85gを添
加し20〜25℃で24時間反応した。反応後、トリエ
チルアミン塩酸塩を濾過分離し、濃縮して粗製品1.5
gを得た。この粗製品をエタノール50mlで懸濁攪拌
後濾過分離してマンノオリゴ糖オレエート精製品0.4
gを得た。重量平均分子量は2,390で、構成単糖当
たりの脂肪酸の平均導入数は1.87であった。
【0046】〔実施例12〕セロペンタオース(関東化
学社製)0.4gをジメチルホルムアミド16mlに溶
解後、トリエチルアミン1.06gを添加した。この溶
液に20℃以下でアセチルクロライド0.21gを添加
後、20℃で2時間反応した。この反応液に更にオレイ
ン酸クロライド0.68gを添加して20〜25℃で2
4時間反応した。反応後、トリエチルアミン塩酸塩を濾
過分離し、濃縮後、酢酸エチル12ml及び飽和食塩水
12mlを添加した。酢酸エチル層を分離、濃縮するこ
とで粗製のセロペンタオースアセチルオレエート固体を
0.9g得た。この粗製品0.9gをメタノール2ml
に溶解後、水0.5ml添加して分離したオイルを分
液、濃縮、脱揮して、精製のセロペンタオースアセチル
オレエート固体0.7gを得た。重量平均分子量は2,
210で、構成単糖当たりの脂肪酸の平均導入数は1.
10であった。
【0047】〔アジュバント活性試験〕 〔実施例13〕卵白アルブミンに対するアジュバント効
果 卵白アルブミン(OVA)10μgにリン酸緩衝生理食
塩液(PBS)100μgを懸濁後、アジュバントとし
て実施例2記載のマルトデキストリンオレエート、エス
テル化率2.05(MDO−RT:2.05)10μg
を懸濁して3週齢のddY系マウスの後肢筋肉内に注射
し、卵白アルブミンに対するマウスの抗体応答を間接赤
血球凝集反応(PHA法)で継時的に測定した。これらの
結果を図1に示した。PHA抗体価の測定は以下の通りで
ある。
【0048】〔間接赤血球凝集反応(PHA)による抗OVA抗
体の測定法〕 [OVA固定赤血球の調製方法]りん酸緩衝食塩水10ml
に、OVA50mgおよびヒツジ生血球0.4ml(packed cell
vol.)を添加し、2.5%グルタルアルデヒド3mlを滴下
し、37℃下、撹拌器で1時間撹拌する。遠心後、血球を
りん酸緩衝食塩水10mlにて洗浄し、1MグリシンNaOH緩衝
液(pH7.2)1mlに浮遊し、4℃、1晩静置する。再び血球
をりん酸緩衝食塩水10mlにて洗浄し、血球の終濃度が1
%(v/v)となるようにグリシンベロナール緩衝液(GVB;
pH7.2)に浮遊、これをOVA固定赤血球とした。
【0049】[PHA価の測定]被検マウス血清をGVBにて2
階段希釈し、96ウェルU字底マイクロタイタープレート
(住友ベークライト社製)に100μlずつ添加する。つぎ
に上記OVA固定赤血球25μlを各ウェルに添加して、プレ
ートミキサーにて撹拌 、室温下4時間静置する。プレー
ト管底の血球凝集物の沈降円の大きさおよび色調を、陽
性/陰性両対照血清群のものと比較し、陽性を示す最小
希釈倍数の逆数をPHA価、すなわち被検血清の抗OVA抗体
価とした。
【0050】図1をみると、アジュバントを加えないマ
ウス(−▲−)では全く抗体感応がみられなかったのに
対して、マルトデキストリンオレエート(MDO−R
T:2.05)をアジュバントとした場合、高い抗体産
生がみとめられた。マルトデキストリンオレエートの抗
体価は比較としたリン酸アルミニウムゲル(添加量10
V/V%)に比べ、明らかに高く且つ持続性も優れてい
る事が確認され、本発明のものはnon-oil系(水性懸
濁)のアジュバントとして有用であることが確認され
た。
【0051】〔実施例14〕糖鎖長の異なる7種のグル
コースオリゴ糖、 平均構成単糖数 3 ;マルトトリオース(東京化成社製)、 5 ;マルトペンタオース(東京化成社製)、 7 ;マルトヘプタオース(東京化成社製)、 15 ;マルトデキストリン(アルドリッチ社製)、 18 ;マルトデキストリン(アルドリッチ社製)、 61 ;AS−10(中埜酢店製)、及び 92 ;アミロース(東京化成社製) を原料として実施例7に記載の方法に準じて構成単糖当
たりの脂肪酸(オレイン酸)導入率が0.3±0.02
となるように条件を整えて合成及び精製した。これらの
アミロースオレエートとOVAを10μg/0.1ml
ずつ含む免疫原をモルモットの大腿部筋肉内に注射し、
注射後4週目における血中抗体価を間接赤血球凝集抑制
反応で測定し、その結果を図2に示した。この結果か
ら、抗体価は特に単糖数7〜15で最も高い抗体価が得
られることが確認された。
【0052】〔実施例15〕猫ヘルペスウイルスに対す
るアジュバント効果 猫ヘルペスウイルス(FHV)感染CRFK細胞を界面活性
剤Nonidet P-40で可溶化したのち、超遠心した上清を
抗原(100HA unit/ml)とし、この抗原0.5mlに、実施例2
〜5記載のマルトデキストリンオレエート脂肪酸導入率
(MDO−RT)を0.32〜2.48へ変化させたマ
ルトデキストリンオレエ ート10μgをそれぞれ加え
たものを、ラットに皮下免疫し、FHVに対する抗体を
plaque reduction法で測定した。その結果を図3に示し
た。
【0053】〔ネコヘルペスウイルスに対する中和抗体
の測定法(plaque reduction法)〕被検血清を56℃、30
分間非働化し、希釈液で32倍に希釈する。希釈血清0.
1mlと約200pfu/0.1mlに調整したネコヘルペスウイルス
0.1mlを混合して37℃、1時間感作する。径60mmのシャー
レ上でコンフルエントになったネコ腎由来CRFK細胞に先
の感作液0.1mlを接種し、37℃、1時間吸着させる。接種
液を除去して1%寒天を含んだ培養液を重層し、寒天を
固化させる。37℃の5%炭酸ガス孵卵器内で4日間培養
し、先の重層寒天の組成にニュートラルレッドを0.01%
加えた寒天をさらに重層・固化して培養を続ける。翌
日、プラック(白く抜けた円形物)をカウントし、陰性
対照血清でのプラック形成阻止率を百分率で求めた。
【0054】脂肪酸導入率1.0未満のマルトデキスト
リンオレエートは透明に溶解したのに対して、1.0で
はやや白濁し、1.5以上では白色懸濁液となり、更に
2.0以上では疎水性が高いため懸濁状態が不安定であ
った。これらの結果から、脂肪導入率の違いにより水相
への溶解性が明らかに異なることが確認された。また、
図3をみると、FHVに対する抗体感応は脂肪酸導入率
1.0未満では比較的低いのに対して、1.0以上のサ
ンプルではより強い事が確認され、分子性状として親水
性の高いサンプルはアジュバント活性が比較的低く、疎
水性が高いサンプルはアジュバント活性がより高い事が
確認された。更に疎水性が高いサンプルの中でも、脂肪
酸導入率が1.0〜2.1の範囲のサンプルにより高い
活性が得られた。抗体価の上昇と持続を従来のリン酸ア
ルミニウムゲルアジュバント(添加量10V/V%)と
比較したところ、ゲルアジュバントは抗体が一過性に上
昇するが、持続が極めて短いのに対して、脂肪酸導入率
の高いマルトデキストリンオレエートは高い抗体価が3
ヶ月以上持続することが確認された。
【0055】〔実施例16〕 ヘモフィルス・パラガリナルム(H.pg−A)A型菌
(コリーザA型菌)に対する安全性(副作用)とアジュ
バント活性に関する試験 30日齢のハイライン系SPF鶏♀に、1.4×108cf
uのヘモフィルス・パラガリナルムA型菌と、実施例1
記載のマルトヘキサオースオレエート、実施例2、6記
載のマルトデキストリンオレエート、実施例8記載のマ
ルトトリオースオレエート、実施例9記載のガラクトオ
リゴ糖オレエート、実施例10記載のオレオイルキトサ
ン、実施例11記載のマンノオリゴ糖オレエート、実施
例12記載のセロペンタオースアセチルオレエート、又
は実施例1記載のマルトヘキサオースオレエートと実施
例10記載のオレオイルキトサンの1:1の混合物 それぞれ150μgとを0.5mlのPBSに懸濁させ
て、それを脚部筋肉内に注射し、注射直後から注射部位
の腫脹、硬結その他の一般症状を観察するとともに、注
射後3週間目および5週間目の時点で採血しHI抗体価
を測定した。また、同じく5週間目に剖検し、注射部位
の観察を行った。その結果を表1、表2に示した。な
お、一般所見の 観察は、注射直後より観察し、剖検ま
での間に所見の認められた例を表記し た。表1の副作
用において、+が多い程、重篤な副作用を表し、−は副
作用が認められなかったことを表す。また、+−は、副
作用が極わずか観察されたことを表す。抗体価の測定は
以下に記載した方法で実施した。
【0056】[ヘモフィルス・パラガリナルムA型菌に対
するHI抗体価の測定法]被検血清の0.025mlをP
BSで2倍階段希釈した。これに0.025ml中に4
単位のIC−A型菌(Hpg221株)赤血球凝集素を
含有したPBSを加え、室温で10分間感作後、0.5
%鶏赤血球浮遊液0.05mlを加え、振盪後、60分
間室温静置し、赤血球の凝集を完全に抑制した被検血清
の最高希釈倍数の逆数をHI抗体価とした。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】表1、2の試験の結果、安全性において
は、従来より広く実用化されているリン酸アルミニウム
ゲル(比較例3、添加量10V/V%)、水酸化アルミ
ニウムゲル(比較例4、添加量10V/V%)では、剖
検時点で軽度の接種反応が認められた。また、無水マン
ニトールオレイン酸エステル(比較例2、添加量3.0
wt%)においては、硬結、腫脹がみられ、筋肉の白色
変性も若干認められた。W/O型市販オイルアジュバン
トAでは極めて強い接種反応がみられ、膿瘍形成、筋肉
変性が顕著であった。これに対して、オリゴ糖オレイン
酸アミド又はオリゴ糖オレイン酸エステルでは高いアジ
ュバント活性を示し、又接種反応は軽微で、臨床的異常
も認められなかった。
【0060】アジュバント活性は、比較的脂肪酸導入率
の低いオレオイルキトサンが高い活性を示したことよ
り、キトサンの陽性荷電がアジュバント活性の発現に対
して有利に作用している可能性が示唆された。又、オリ
ゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸エステルを構成す
る糖鎖の長さとして、グルコース(単糖)のオレエート
(比較例1、添加量3.0wt%)、マルトース(二
糖)のオレエート(比較例6、添加量3.0wt%)は
アジュバント活性が低く、本発明のオリゴ糖脂肪酸アミ
ド又はオリゴ糖脂肪酸エステルが有用であることが確認
された。ガラクトースやグルコサミンの単糖や二糖につ
いても比較実験を行ったが、それぞれ同様の結果が得ら
れた。尚、これらの比較例の単糖及び二糖と脂肪酸との
反応物の合成は実施例1の合成と同様の合成法で合成し
た。
【0061】〔実施例17〕 オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸エステルのオ
イルアジュバントへの応用例(ニューカッスル病・鶏伝
染性コリーザA型、C型混合ワクチンへの応用) (W/O型オイルアジュバントワクチンの調整)軽質流
動パラフィン95容量部に、アジュバントとして実施例
2記載のマルトデキストリンオレエート脂肪酸導入率
2.05(MDO−RT2.05)5容量部を溶解し調
整したW/O乳剤用オイルアジュバント7容に対し、ニ
ューカッスル病ウイルスとして、109.5EID50/
mlヘモフィルス・パ ラガリナルム(H.pg)A型
及びC型のチメロサール不活化菌体をそれぞれ1.0×
108個/mlの濃度で含む抗原液3容を加えてウルト
ラホモジナイザーを用いて乳化してW/O型オイルアジ
ュバントワクチンを調製した。
【0062】(O/W型オイルアジュバントワクチンの
調整)実施例2記載のマルトデキストリンオレエート脂
肪酸導入率2.05(MDO−RT2.05)3容量部
をスクワラン30容量部に分散し、リン酸緩衝生理食塩
液67容量部を添加して乳化調整したO/W型乳剤用オ
イルアジュバント2.5溶に対して、ニューカッスル病
ウイルスとして、109.5 EID50/mlヘモフィル
ス・パラガリナルム(H.pg)A型及びC型のチメロ
サール不活化菌体をそれぞれ1.0×108個/mlの
濃度で含む抗原液7.5容を加えてウルトラホモジナイ
ザーを用いて乳化してO/W型オイルアジュバントワク
チンを調製した。
【0063】(水性懸濁型アジュバントの調整)実施例
2記載のマルトデキストリンオレエート脂肪酸導入率
2.05(MDO−RT2.05)3容量部を、リン酸
緩衝生理食塩液30容量部に分散して調整した水性懸濁
型(ノンオイル)アジュバント5溶に対して、ニューカ
ッスル病ウイルスとして、109.5 EID50/mlヘ
モフィルス・パラガリナルム(H.pg)A型 及びC型
のチメロサール不活化菌体をそれぞれ1.0×108
/mlの濃度で含む抗原液5容を加えてウルトラホモジ
ナイザーを用いて乳化して、水性懸濁型アジュバントワ
クチンを調製した。
【0064】上記各ワクチン0.5mlを、60日齢の
白色レグホン(スーパーニック)の下腿部筋肉内に注射
し、継時的に採血(注射後28日目と35日目)して、
ニューカッスル病ウイルスに対するHI抗体価(ND−H
I抗体価)、ヘモフィルス・パラガリナルムA型菌に対
するHI抗体価(H.pgA型−HI抗体価)、ヘモフィ
ルス・パラガリナルムC型菌に対するHI抗体価(H.p
g C型−HI抗体価)を各々測定した。比較例とし
て、水酸化アルミニウムゲル、市販のW/O型及びO/
W型オイルアジュバントを、上記ワクチンの各アジュバ
ントの代わりに使用して上記と同様に調整したワクチン
を用いた。それらの結果を図4、図5、図6に示した。
抗体価の測定は以下に記載した方法で実施した。
【0065】〔ND−HI抗体価の測定法〕プラスチッ
ク製血球凝集板(HA tray)上で被検血清をPB
Sで5倍に希釈し、これを元として0.2ml宛、2倍
階段希釈系列を作成する。これに0.2mlのNDVH
A抗原(4単位;ニューカッスル病診断用赤血球凝集素
(NDV石井株HA抗原;日生研株式会社製))を0.
2ml宛加え振盪後10分静置する。さらに0.5%鶏
赤血球浮遊液0.5mlを加え、振盪後60分間静置
し、赤血球の凝集を完全に抑制する被検血清の最高希釈
倍数の逆数をHI抗体価とした。 〔H.pg A型−HI抗体価の測定法〕上記実施例1
6に記載の方法と同様に行った。 〔H.pg C型−HI抗体価の測定法〕(ヒアルロニ
ダーゼ処理抗原使用) ホルマリン固定鶏赤血球で非特異凝集素を吸収した被検
血清0.2mlを5倍希釈し、その0.2mlを用いて
2倍階段希釈系列を作成した。これに4単位に調製した
HA抗原0.2mlを加え、0.4mlとして混和後1
0分静置した。これに1%ホルマリン固定赤血球浮遊液
0.4mlを加え、振盪混和し60分間室温で静置し、
上記ND−HI抗体価と同様にHI抗体価を判定した。
【0066】その結果、図4〜6に示すように、オリゴ
糖脂肪酸エステル(MDO−RT2.05;マルトデキ
ストリンオレエート)を含むオイルアジュバントは水性
懸濁型のものに比べてより高い抗体上昇が認められ、抗
体価の持続も優れ、従来より市販さ れているオイルア
ジュバントに比較しても明らかに高力価を示した。上記
ワクチン組成物を注射した鶏について、食欲、増体重、
跛行の有無などを観察するとともに、注射後五週間目に
剖検して注射部位の反応を確認した。その結果、各ワク
チン組成物を注射された鶏で上記の異常が見られた例は
なかった。剖検においてもコリーザ菌を含有するW/O
型ワクチン組成物を注射した例で、筋間結合織にワクチ
ンの残留と周辺の白色変化が認められた以外は、他の剤
型では全く変化が認められなかった。従来のW/O型ワ
クチン組成物では、接種部位の腫脹と筋肉における強度
の白色変性、膿瘍形成などが認められることから見て、
上記結果は、本発明のアジュバント及びワクチン組成物
の安全性を実証するものである。
【0067】
【発明の効果】以上の記載の様に、本発明におけるオリ
ゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖脂肪酸エステルを含有す
るアジュバントは、比較例の無水マンニトールオレイン
酸エステルよりもアジュバント活性が高く、接種部位が
壊死、硬結等の副作用が無く、安全性を改良することが
できた。又、これらの化合物は、合成が容易であること
からより安価に提供することが可能である。本発明のア
ジュバントは、オリゴ糖脂肪酸エステル化物そのもの、
W/O型、O/W型及び水性懸濁の乳剤のいずれでも使
用することが可能である。以上の性能の向上により、安
全且つ効果的なアジュバント、更にワクチンとして適用
することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OVAに対するマルトデキストリンオレエート
のアジュバント効果をグラフで示した図である。
【図2】平均構成単糖数とアジュバント活性の関係をグ
ラフで示した図である。
【図3】脂肪酸導入率とアジュバント活性の関係をグラ
フで示した図である。
【図4】NDに対する各種アジュバント効果をグラフで
示した図である。
【図5】コリーザA型菌に対する各種アジュバント効果
をグラフで示した図である。
【図6】コリーザC型菌に対する各種アジュバント効果
をグラフで示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/245 A61K 39/245 (72)発明者 小田 健司 京都府城陽市寺田市ノ久保2−7 (72)発明者 長井 淑郎 神奈川県平塚市東八幡5−2−3 三協化 学株式会社合成化学研究所内 (72)発明者 佐藤 由香利 神奈川県平塚市東八幡5−2−3 三協化 学株式会社合成化学研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成単糖がグルコサミンであるオリゴ糖
    と脂肪酸が少なくともアミド結合したオリゴ糖脂肪酸ア
    ミド、又は構成単糖がグルコース、ガラクトース及びマ
    ンノースのうち少なくとも1種であるオリゴ糖と脂肪酸
    がエステル結合したオリゴ糖脂肪酸エステルを含有する
    ことを特徴とするアジュバント。
  2. 【請求項2】 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖
    脂肪酸エステルを構成するオリゴ糖の糖鎖が3〜99個
    の単糖で構成されることを特徴とする請求項1に記載の
    アジュバント。
  3. 【請求項3】 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖
    脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、オリゴ糖脂肪酸ア
    ミドでは炭素数3〜24個の直鎖脂肪酸、炭素数4〜2
    4個の分岐脂肪酸あるいは炭素数6〜22個の不飽和脂
    肪酸であり、オリゴ糖脂肪酸エステルでは炭素数2〜2
    4個の直鎖脂肪酸、炭素数4〜24個の分岐脂肪酸ある
    いは炭素数6〜22個の不飽和脂肪酸であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載のアジュバント。
  4. 【請求項4】 前記オリゴ糖脂肪酸アミド又はオリゴ糖
    脂肪酸エステルの構成単糖当たりの脂肪酸の平均導入数
    が0.3〜3.5であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のアジュバント。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のアジュ
    バントと所望の抗原を含むことを特徴とするワクチン組
    成物。
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