JP2000166512A - サイリウム粘性低下用多糖類およびこれを含有する食品 - Google Patents

サイリウム粘性低下用多糖類およびこれを含有する食品

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイリウムの水和系における粘性の発現を抑
えて飲料等の食品への添加加工を容易にすることができ
る、サイリウム粘性低下用多糖類を提供する。 【解決手段】 分子量が20,000以上であり、且つ
2重量%水溶液の粘度が9.0cp(B型粘度計、ロータ
ーNo.1、60rpm、25℃での測定値)以下であること
を特徴とする、サイリウム水和物の粘性を低下させる能
力を有する多糖類およびこの多糖類とサイリウムとを含
む食品添加用組成物ならびにこれらを含有する食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイリウム水和物
の粘性およびゲル化の発現を著しく低下させる能力を有
する多糖類およびこの多糖類とサイリウムとを含む食品
添加用組成物ならびにこれらを含有する食品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、日本人の食生活の西欧化に伴い、
国民の食物繊維の摂取量は年々減少しており、現在、1
日当たりの食物繊維摂取量は約17g程度である。これ
は、厚生省が認定している目標値の20〜25gを大幅
に下回っている。体内における食物繊維の働きに関する
生理学的研究が進むにつれ、健康維持や疾病予防の面で
その重要性が認められるようになった。そこで、不足し
がちな食物繊維を摂取できるよう、種々食品中に添加す
ることが研究されている。
【0003】本発明者等は、食物繊維の中でも特に保水
性および膨潤性に優れ、整腸作用、血中脂質調整作用、
血糖上昇抑制作用、血中コレステロール低下作用、大腸
癌予防作用等の生理作用を有することが報告され、また
難消化性且つ低カロリーで満腹感が持続でき、ダイエッ
ト効果が期待されているサイリウムに着目した。
【0004】サイリウムとは、インドのラジャスタン州
やグジャラート州で栽培されるオオバコの一種であるPl
antago種(Plantaginaceae)植物のPlantago Ovata For
skal等の種子から採った天然植物ガムである。サイリウ
ムは水和すると高粘性の分散液を形成し、例えば、1重
量%濃度でも約4000cpの高粘性(B型粘度計、ロ
ーターNo.3、30rpm、25℃での測定値)の分散液を
形成し、2%濃度では、ゼラチン様のクリアーなゲル塊
を形成する。また、1%分散液を90℃に加熱して次に
冷却すると、堅いゲル状のかたまりになってしまう。こ
の粘性は他の同濃度でのグアガム、ローカストビーンガ
ム、タラガム等の増粘多糖類と比較して数倍〜数十倍の
粘度である。また、これらの増粘多糖類は粘度の高いも
のでも流動性を有しているが、サイリウムは高い粘性と
共に高ゲル化能を有する。
【0005】従って、サイリウムを前記整腸作用等の生
理作用を期待して、ドリンク、菓子、パン、麺類等の食
品に添加しようとすると、前記物性により水との混合以
降の製造工程中にサイリウムが膨潤して高い粘稠性を呈
するようになる。そのため、加工が困難になったり、食
感に悪影響を及ぼす等の問題点があり、食品加工分野へ
の適用が極めて困難であった。従って、サイリウムの各
種食品への加工適性を改善すべく、水和による粘稠性お
よびゲル化の発現を抑える技術が待たれているのが現状
である。
【0006】このような粘稠性発現の抑制を目的とする
従来技術としては、特開平5−15340号公報に記載
の発明があり、これには加熱溶解した寒天溶液にサイリ
ウム粉末を添加混合した後冷却凝固させる食物繊維サイ
リウムの加工方法が開示されている。しかしながら、当
該発明方法では、寒天の凝固作用によりサイリウムを融
合してその粘稠性の喪失が成し遂げられるのであるが、
使用に際してはサイリウムと寒天の凝固物が粉砕されて
用いられるのであり、サイリウムの水和系におけるゲル
化能自体を低下させるものではない。また寒天凝固物の
粉砕品として使用されるため、それ自体の物性を考慮す
ると使用される食品も制限される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、サイリウム
の水和による粘稠性とゲル化(以下、単に粘性という)
の発現を抑え、且つサイリウムが本来有する整腸作用等
の生理作用を損なうことの少ない、サイリウム粘性低下
用多糖類を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明者等は前記目的を達成す
べく研究の結果、意外にも、サイリウムの水和系におい
てある種の澱粉等の多糖類が配合されている場合には、
サイリウム水和物での粘性の発現を著しく抑えることが
できるとの知見を得、更に鋭意研究の結果、当該多糖類
を特定するに至り本発明を完成したのである。
【0009】即ち、本発明は、分子量が20,000以
上であり、且つ2重量%水溶液の粘度が9.0cp(B型
粘度計、ローターNo.1、60rpm、25℃での測定値)
以下であるサイリウム粘性低下用多糖類をその要旨とす
る。これらの物性を有する多糖類は、サイリウムが本来
持っている有用な生理作用を損なうことなく、水分を含
有する食品に添加する際に製造工程上支障を来さず食感
にも影響しないように、サイリウム水和系での粘性を低
下させることができる。
【0010】本発明にかかる前記粘性低下用多糖類とし
て、化工澱粉、アラビアガム、アラビノガラクタン、グ
アガム分解物、プルラン、食物繊維およびこれらの組合
せよりなる群から選択される多糖類が、優れたサイリウ
ム粘性低下能を有するので好ましい。
【0011】前記化工澱粉の化工方法としては、酸化、
エーテル化、エステル化またはアルファー化の1種以上
が挙げられる。
【0012】そして、本発明において特に好ましい多糖
類は、酸化タピオカ澱粉、酸化馬鈴薯澱粉、アルファー
化馬鈴薯澱粉、オクテニルコハク酸エステル化ワキシー
コーンスターチ、酸処理ヒドロキシプロピルエーテル化
タピオカ澱粉、およびこれらの組合せより選択されるも
のである。
【0013】また、本発明は、サイリウム粘性低下能を
有する多糖類とサイリウムとを含む食品添加用組成物を
その要旨とする。この食品添加用組成物は、サイリウム
に前記多糖類が配合されるため、食品、特に飲料等、水
系で調製される食品や製造工程に水和状態での加熱工程
が含まれる食品への配合が容易となり、且つ配合された
サイリウムは、その生理作用を保持しているので、これ
を含む食品の喫食者に有益な効果を及ぼすことができ
る。
【0014】そして本発明は、如上のサイリウム粘性低
下能を有する多糖類と、サイリウムが含有されることを
特徴とする食品を企図する。かかる食品として、麺類、
菓子類、シリアル食品、氷菓、パン類、冷菓類、スープ
類、水産加工品、畜肉加工品、飲料または乳製品等、原
材料自体が水分を含有する食品、製造工程中に水分を添
加する食品または喫食時に水分を添加して調製または調
理する食品が好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、説明する。
【0016】先ず、本発明におけるサイリウムとは、オ
オバコ科の植物 Plantago ovata の種子の外皮から得ら
れる多糖類であり、サイリウム、サイリウムシードガム
として一般に市販されているものが含まれる。かかるサ
イリウムの精製方法および粒度は特に限定されない。
【0017】なお、「粘性低下」とは、本来のサイリウ
ム水和物が有する粘度およびゲル強度を下回るように変
化させることを称する。
【0018】1.サイリウム粘性低下用多糖類の特定 本発明による多糖類は、上述したように分子量が20,
000以上であり、2%水溶液の粘度がB型粘度計にて
ローターNo.1、60rpm、25℃で測定した場合に9.0
cp以下であることが必須である。また、このような物性
を有する多糖類を、1種以上組合わせて用いてもよい。
ここで分子量は、ゲル濾過用カラム(例えば、東ソー社
製、TSKgelトヨパール)を備えたゲル濾過クロマト
グラフィーにて、標準物質から得られる検量線を基に算
出した。
【0019】本発明の多糖類は、その由来は特に限定さ
れず、例えば後述する化工澱粉のほかに、アラビアガ
ム、アラビノガラクタン、さらに大豆などの食物繊維、
プルラン、またはこれらの組合せが挙げられる(実施例
2参照)。
【0020】そして、前記化工澱粉の材料としては、タ
ピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、米澱粉、小
麦澱粉などが挙げられる。
【0021】化工澱粉を得るためのこれら澱粉の化工方
法としては、 (1)次亜塩素酸ナトリウムなどによる酸化; (2)例えばヒドロキシプロピルエーテル化、カルボキ
シメチルエーテル化などのエーテル化; (3)例えば酢酸エステル化、オクテニルコハク酸エス
テル化、リン酸エステル化などのエステル化;および (4)アルファー化のうち1種またはこれらの2種以上
の組み合わせが可能である。
【0022】こうして生成される化工澱粉の中でも特
に、酸化タピオカ澱粉、酸化馬鈴薯澱粉、アルファー化
馬鈴薯澱粉、オクテニルコハク酸エステル化ワキシーコ
ーンスターチ、酸処理ヒドロキシプロピルエーテル化タ
ピオカ澱粉が、優れたサイリウム粘性低下能を有すると
いう点で好ましい(実施例1参照)。更に、酸処理ヒド
ロキシプロピルエーテル化タピオカ澱粉は、耐熱性の点
でより好ましい。すなわち、加熱殺菌等の高温処理を施
しても優れたサイリウム粘性低下能を保持しているの
で、食品を調製するうえで有用である(実施例5参
照)。
【0023】尚、如上の多糖類をサイリウムに添加する
ことによりその粘性を低下させた後にも、サイリウムが
本来有している生理活性は保持されるべきであり、生体
内消化モデル系(in vitro)での保水力の測定により、
粘性低下前に比して約70%以上の保水力が保持される
ことが確認されている(実施例6参照)。
【0024】2.多糖類の使用量 本発明における多糖類のサイリウムに対する添加量は、
サイリウムの濃度および使用する多糖類自体が有する粘
性により適宜設定されるものである。即ち、本発明にお
ける多糖類は、その由来および化工方法により、ある濃
度(添加量)まではサイリウムの粘性低下効果が添加量
に応じて増大する。しかし、当該多糖類自体もある程度
の粘性を有するので、その添加により達成される粘性低
下能に伴うサイリウムの粘度を超えることのない範囲で
多糖類を添加するようにすべきである。
【0025】例えば、後記実施例3に示されるように、
サイリウム粘性低下用多糖類として酸処理ヒドロキシプ
ロピルエーテル化タピオカ澱粉を使用し、1または2重
量%のサイリウム水溶液に配合した場合、濃度20〜3
0重量%までサイリウムの粘性は低下することが明らか
になっている。また、アラビアガムまたはアラビノガラ
クタンを2重量%のサイリウム水溶液に用いた場合、そ
れぞれ2重量%以下および3重量%以下でサイリウムの
粘性低下傾向が認められている。
【0026】3.多糖類とサイリウム水和系の形成方法 サイリウムは前記の通り、本発明の多糖類との水和系に
おいて粘性が著しく低下する。該水和系とは、前記多糖
類とサイリウム粒子とが水性物質中に共存し、溶解/分
散している系を意味するものであり、食品素材としての
他の物質の存在を許容する。前記水和系の形成方法は特
に限定されるものではなく、例えば、(1)多糖類含有
水性物質中にサイリウムを添加混合する方法、(2)多
糖類とサイリウムの粉体混合物を水性物質に添加後、溶
解する方法、(3)多糖類とサイリウムとそれぞれを含
む水性物質を混合する方法、(4)サイリウム含有液に
多糖類を添加混合し、溶解する方法等がある(実施例4
参照)。
【0027】前記多糖類の内、水に不溶性のものの溶液
を得るためには、加熱溶解するか、予めアルファー化し
て水溶性にすることにより使用するとよい。
【0028】4.食品添加用組成物への利用 以上に述べた多糖類とサイリウムとを含む食品添加用組
成物の形態としては、多糖類とサイリウムの粉体混合
物、3.に上記した方法で形成された双方の水和物など
が適用可能であり、各々の配合率は多糖類がサイリウム
粘性低下能を発揮する範囲において適宜に選択される。
【0029】この食品添加用組成物によれば、選択する
多糖類により(例えば、酸処理ヒドロキシプロピルエー
テル化タピオカ澱粉など)加熱処理に伴うサイリウムの
増粘・ゲル化も防止できる。
【0030】5.加工食品への利用 本発明による多糖類は、上述の如く、サイリウムと水和
系にて作用させた場合、サイリウムの増粘・ゲル化能を
極めて顕著に低下するため、今までその強力な増粘・ゲ
ル化能により使用が困難であった、水分を含有する食品
または製造工程中に加水が必要な食品へのサイリウムの
使用を可能にするものである。前記食品としては、例え
ば、麺類、菓子類、パン類、シリアル食品、冷菓類、氷
菓、スープ類、水産加工品、畜肉加工品、飲料、乳製品
等がある。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に
説明するが、これら実施例により本発明が限定的に解釈
されるべきではない。
【0032】尚、以下の実施例において、粘度測定には
B型粘度計(東京計器社製、B8L型)を使用し、25
℃での粘度を測定した。そして分子量は、ゲル濾過用充
填剤(東ソー社製、TSKgel、トヨパールHW−6
5)を充填したカラム(φ15mm×75cm)を備え
たゲル濾過クロマトグラフィー(ファルマシアファイン
ケミカルズ社製、FPLC)にて、溶離液として純水を
用い、検出は示差屈折計を用い、流速0.8ml/分に
て、0.2mlの試料について測定した。分子量の標準
物質はプルラン(ウォーターズ社製)を用いた。また、
実施例中、配合率を表す「%」はすべて、重量%を示す
ものである。
【0033】[実施例1:化工澱粉によるサイリウム粘
性低下能]本発明のサイリウム粘性低下用多糖類のう
ち、化工澱粉のサイリウム粘性低下能を調べる試験を行
った。先ず、イオン交換水96gに、表1に示すそれぞ
れの化工澱粉(試料No.1〜13)2gを加え、加熱溶
解後冷却し、粘度を測定した(ローターNo.1、60r
pm)。次いで、前記澱粉水溶液にサイリウム粉末(大日
本製薬社製、ヘルシーガム)を2g添加混合し、粘度を
測定した(ローターNo.2、1.5rpm)。この結果を
以下の表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示される結果より、以下の通りに結
論付けられた。
【0036】(1)サイリウム粘性低下作用と澱粉の由
来には相関関係がない。
【0037】(2)澱粉水溶液の粘度が高い場合(No.1
および2)、粘性低下作用はない。
【0038】(3) No.6〜13の、酸処理ヒドロキシ
プロピルエーテル化タピオカ澱粉、酸化タピオカ澱粉、
オクテニルコハク酸エステル化ワキシーコーンスター
チ、アルファー化馬鈴薯澱粉、酸化馬鈴薯澱粉で、サイ
リウム粘性(増粘・ゲル化)低下効果が見られた。尚、
No.1の馬鈴薯澱粉の分子量については、ゲル濾過に
おける測定の結果2つのピークが検出され、2種の多糖
の混合物であることが示唆された。
【0039】以上、サイリウムの粘性低下効果には、澱
粉類の分子量とその水溶液粘度が影響しており、化工処
理が施されて分子量が20,000以上、且つ水溶液の
粘度が9cp以下としたものにサイリウム粘性低下効果
が確認される。
【0040】[実施例2:化工澱粉以外の多糖類による
サイリウム粘性低下能]イオン交換水96gに多糖類
(試料No.1〜7)をそれぞれ2g加えて加熱溶解
後、実施例1と同様にサイリウム2gを添加混合し、冷
却後、粘度を測定した。この結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2に示される結果より、以下の通りに結
論付けられた。
【0043】(1)No.3〜7のアラビアガム、アラ
ビノガラクタン、グアガム分解物、プルラン、大豆食物
繊維にサイリウム粘性低下効果が見られた。
【0044】(2)ポリデキストロースにはサイリウム
粘性低下効果は見られなかった。No.2のペクチンにつ
いても殆ど粘性低下効果は見られかなった。
【0045】(3)澱粉類と同様に、粘性低下効果には
多糖類の分子量と水溶液の粘度が影響しており、多糖類
の内、やはり分子量が20,000以上、且つ水溶液の
粘度が9cp以下のもので、サイリウム粘性低下効果が
見られた。尚、No.2のペクチンの分子量について
は、ゲル濾過における測定の結果2つのピークが検出さ
れ、2種の多糖の混合物であることが示唆された。
【0046】[実施例3:多糖類の使用濃度]多糖類の
使用濃度とサイリウム粘性低下能の相関を調べるために
以下の試験を行った。酸処理ヒドロシキプロピルエーテ
ル化タピオカ澱粉の0.25%,0.5%,1%,2,5
%,10%,20%,30%,40%水溶液、またはア
ラビアガムもしくはアラビノガラクタンの0.5%,1
%,2%,3%水溶液を調製し、この水溶液に実施例1
と同様にサイリウムを2%添加した後、冷却して粘度を
測定した。この結果を以下の表3および4に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】表3および4に示される結果より、以下の
通りに結論付けられた。
【0050】酸処理ヒドロキシプロピルエーテル化タピ
オカ澱粉を2%サイリウム溶液または1%サイリウム溶
液に使用する場合、濃度20%までサイリウムの粘性は
低下する。更に、2%サイリウム溶液の場合には当該澱
粉濃度が30%を超えると粘性低下効果はあるものの粘
度が増加する傾向が出てくる。また1%サイリウム溶液
の場合には30%を超えると多糖類不含の対照区よりも
粘度が増加する。これは澱粉自体の粘性によるものであ
る。
【0051】サイリウム2%溶液において、アラビアガ
ムでは2%以下、アラビノガラクタンでは3%以下で、
サイリウムの粘性低下傾向が見られる。
【0052】[実施例4:多糖類とサイリウム水和系の
形成方法]本実施例では、以下の異なる4種の方法で水
和系を形成するために、多糖類(化工澱粉)としては酸
処理ヒドロキシプロピルエーテル化タピオカ澱粉を使用
した。水はイオン交換水を使用した。加熱溶解および加
熱処理はすべて沸騰浴中で10分間の加熱処理とし、冷
却して25℃とした。
【0053】それぞれの水和系形成後の濃度が多糖類1
0%およびサイリウム2%となるように、以下に示す手
順により水和系を形成し、その粘度を、ローターNO.
2を用い30rpmにて測定した。
【0054】<試料> 試料1:水88gに化工澱粉10gを加熱溶解後冷却
し、サイリウム2gを添加混合し、加熱処理後冷却して
粘度を測定した。
【0055】試料2:水88gに化工澱粉10gとサイ
リウム2gを粉体混合したものを添加し、加熱処理後冷
却し粘度を測定した。
【0056】試料3:水40gに化工澱粉10gを加熱
溶解した水溶液と、水48gにサイリウム2gを加熱溶
解した溶液を混合し、加熱処理後、冷却して粘度を測定
した。
【0057】試料4:水88gにサイリウム2gを加熱
溶解し、冷却後化工澱粉10gを添加混合し、加熱処理
後冷却して粘度を測定した。
【0058】以上のそれぞれの試料の粘度を以下の表5
に示す。
【0059】
【表5】
【0060】この結果、サイリウムと多糖類の混合溶解
順序・水和系の形成方法にかかわらず、酸処理ヒドロキ
シプロピルエーテル化タピオカ澱粉によるサイリウムの
粘性低下効果が見られた。
【0061】[実施例5:サイリウム粘性低下能の加熱
耐性]前記の通り、サイリウムの水和系は、加熱に伴い
大幅に増粘することが知られている。本発明の多糖類の
サイリウム粘性低下効果が加熱によってどのような影響
を受けるかを調べるために、以下の通りに加熱耐性試験
を実施した。
【0062】水はイオン交換水を使用した。サイリウム
の濃度は2%、多糖類(化工澱粉)として、酸処理ヒド
ロキシプロピルエーテル化タピオカ澱粉を使用し、その
濃度は10%とした。
【0063】(1)水にサイリウムだけを溶解した場
合、その粘度は14210cp(ローターNo.2、
1.5rpm)であった。
【0064】(2)水にサイリウムと化工澱粉を溶解し
た場合、その粘度は302cp(ローターNo.2、3
0rpm)であった。
【0065】(3)前記(1)および(2)の水溶液を
加熱処理(沸騰浴中、10分間)し、冷却後粘度を測定
すると、サイリウムだけの場合(1)には餅状のゲルを
形成して粘度が10万cp以上にまで上昇してしまうの
に対して、化工澱粉を添加したもの(2)では、粘度の
上昇は見られず、234cp(ローターNo.2、30
rpm)と低粘度を維持していた。従って、多糖類添加
によるサイリウム粘性低下能の耐熱性が明らかになっ
た。
【0066】[実施例6:多糖類添加によるサイリウム
保水量に対する影響]本発明による多糖類をサイリウム
に添加し、粘性(増粘・ゲル化)を低下させた水和系で
の保水量を測定した。サイリウムが有する整腸作用等の
種々の生理作用は、サイリウムが有する顕著な保水力に
起因するものと考えられるため、本発明による多糖類添
加後のサイリウム生理作用の維持効果を確認するためそ
の水和系での保水量を測定することとした。尚、本測定
は胃内・小腸内での消化を考慮した生体内消化モデル系
での測定とした。
【0067】<試料> 対照:サイリウム2g 試料1:サイリウム2g、多糖類(酸処理ヒドロキシプ
ロピルエーテル化タピオカ澱粉10g、アラビアガム
0.5g) 試料2:サイリウム2g、多糖類(酸処理ヒドロキシプ
ロピルエーテル化タピオカ澱粉6g、アラビアガム0.
5g) 試料3:サイリウム2g、多糖類(酸化タピオカ澱粉1
0g、アラビアガム0.5g) <測定法>上記試料を含有する400gの水溶液(サイ
リウム0.5重量%)を調製し、前記水溶液10gを秤
量する。2N HClを用いてpH2に調整後、ペプシン
50mgを加え、37℃で4時間酵素消化を行う。次
に、最終濃度20mMとなるように500mMリン酸緩
衝液pH7.2を加えた後、2N NaOHを用いてp
H7.2に調整する。パンクレアチン150mgを加
え、37℃で3時間酵素消化を行う。14,000 x
G、10分間の遠心分離を行い、上清の液量を測定す
る。添加した水分(HCl水溶液、リン酸緩衝液およびN
aOH水溶液を含む)の量から上清液量を減じた値を、
サイリウム量で除した値を保水量とする。
【0068】この結果を表6に示す。
【0069】
【表6】
【0070】表6に明らかなとおり、本発明による多糖
類を添加しても、対照に比較して約70%以上の保水量
が維持されていた。この実施例から、本発明の多糖類と
サイリウムを含む組成物は、喫食され胃および小腸での
消化分解を受けた後にも大腸内で保水し、整腸作用を発
揮できることが示唆される。
【0071】
【発明の効果】本発明の多糖類によれば、サイリウムの
生理活性を維持して、その水和系における粘性(増粘・
ゲル化)を著しく低下させることができるので、水分を
含有する食品への添加加工が容易になり、且つ添加した
食品の食感を損ねることが無い。
フロントページの続き (72)発明者 中世古 拓男 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 Fターム(参考) 4B018 LB01 LB02 LB06 LB07 LB08 MD33 MD34 MD37 MD47 ME01 ME11 MF02 4B041 LC05 LD02 LH01 LH02 LH07 LH17 4C086 EA20 EA21 MA02 MA05 MA52 NA20 ZA73 ZC33 ZC35 4C088 AB22 AC04 MA52 ZA73 ZC33 ZC35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が20,000以上であり、且つ
    2重量%水溶液の粘度が9.0cp(B型粘度計、ロータ
    ーNo.1、60rpm、25℃での測定値)以下であること
    を特徴とするサイリウム粘性低下用多糖類。
  2. 【請求項2】 前記多糖類が化工澱粉、アラビアガム、
    アラビノガラクタン、グアガム分解物、プルラン、食物
    繊維およびこれらの組合せよりなる群から選択されるこ
    とを特徴とする請求項1記載のサイリウム粘性低下用多
    糖類。
  3. 【請求項3】 前記化工澱粉の化工方法が、酸化、エー
    テル化、エステル化またはアルファー化の1種以上を含
    むことを特徴とする請求項2記載のサイリウム粘性低下
    用多糖類。
  4. 【請求項4】 前記多糖類が、酸化タピオカ澱粉、酸化
    馬鈴薯澱粉、アルファー化馬鈴薯澱粉、オクテニルコハ
    ク酸エステル化ワキシーコーンスターチ、酸処理ヒドロ
    キシプロピルエーテル化タピオカ澱粉、およびこれらの
    組合せより選択されることを特徴とする請求項3記載の
    サイリウム粘性低下用多糖類。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のサイ
    リウム粘性低下能を有する多糖類と、サイリウムとを含
    む食品添加用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載のサイ
    リウム粘性低下能を有する多糖類と、サイリウムが含有
    されることを特徴とする食品。
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