JP2000161291A - 電動送風機のバランス修正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、整流子モータと遠心羽根車と
の組合せによる回転バランスの精度向上が行える電動送
風機のアンバランス修正方法を提供する。 【解決手段】回転子４の回転軸１５に遠心羽根車９を取
付ける際に、遠心羽根車９とナット１６の間に、円板状
のバランス修正部材２０を組込み、ケーシング１０の空
気取り入口２２からドリル２９、もしくはディスペーサ
３１を介して、回転バランス修正を行い、振動，騒音の
低減が図れ、モータの信頼性をより向上させる事ができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、整流子モータと遠
心羽根車により構成される電動送風機のバランス修正方
法に係り、特に安定した性能を維持するために対応し
た、電動送風機のバランス修正装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、モータのバランス修正方法として
は、特開昭60−122300号公報に記載されている様に、エ
ンドブラケットを兼ねた軸受保持部を有するエアガイド
を組み込む前に回転子に遠心羽根車を固着させ、これら
を一体化させた状態でバランス修正を行う構造が紹介さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来技術において
は、回転子と遠心羽根車とを一体化させて、バランス修
正する事にはなっているが、回転子と遠心羽根車との組
合せバランスは、回転部自体のアンバランス量が大きく
影響する以外に、モータとして組み込まれた場合の軸受
の軸芯精度も影響する。また、回転子の回転軸に遠心羽
根車を組み込む場合においては、ネジにより一体固定を
行っているが、ネジ自身の偏芯によるアンバランスもあ
り、従来例によれば、回転部自体のバランス修正は可能
であるが、最終モータ組立状態、すなわち記述のエアガ
イドによって、軸受を保持された組立状態では、回転バ
ランスの精度が低下する不具合がある。

【０００４】さらに整流子モータにおいては、カーボン
ブラシと整流子との摺動部の回転精度が悪かったり、不
安定であると整流火花が大きくなり、性能の低下や、カ
ーボンブラシ磨耗が早くなり寿命が短くなる問題があ
る。

【０００５】本発明の目的は、整流子モータと遠心羽根
車との組合せによる回転バランスの精度を向上させて、
振動，騒音の低減を図り、信頼性の高い電動送風機を得
ることができる電動送風機のバランス修正装置を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明では、開口部を有するモータハウジング内に回転
子及び固定子を収納し、前記エンドブラケットを貫通す
るモータ回転軸に取付けた遠心羽根車とを有し、前記遠
心羽根車からの吐出気流をエンドブラケットの孔部から
モータハウジング内に導いて、整流子モータを冷却する
構造の電動送風機において、前記回転子の回転軸に遠心
羽根車を取付固定する際に、遠心羽根車とナット間に、
回転バランス修正が行える円板状の部材を設ける事によ
り達成できる。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の電動送風
機のバランス修正方法を図面を用いて説明する。まず、
図１は、電気掃除機に用いられる電動送風機に適用した
例を示す。電動送風機１は、電動機部２及び送風機部３
から構成される。電動機部２は、整流子形電動機で、ハ
ウジング６とエンドブラケット７内に回転子４及び固定
子５が収納される。

【０００８】回転子４は、軸受１３，１４により支持さ
れ、回転軸１５はエンドブラケット７を貫通して送風機
部３側へ延びている。送風機部３は、エンドブラケット
７上に固定案内羽根８が配置し、その上に羽根車９（以
下、遠心羽根車と称す。）と円板状のバランス修正部材
２０が、回転軸１５にネジ１６によって一体固定され
る。

【０００９】さらに、それらを覆ってケーシング１０
が、エンドブラケット７外周と圧入固定され、固定案内
羽根８を狭持固定している。回転子４は、両端軸受１
３，１４の間に整流子１７、及び鉄心１８が配置固定さ
れている。鉄心１８には、巻線１９が巻回されて、整流
子１７の外周部に電気的に接続される。また、ハウジン
グ６の外周面上にネジ止め固定されるブラシ保持器１１
に収納されるカーボンブラシ１２は、ブラシ保持器１１
内でバネ等に付勢されて整流子１７の外周面に当接し、
電気的に接続される。

【００１０】回転子４、及び遠心羽根車９は、各々に製
作上の寸法バラツキ等から、アンバランスが発生する
が、各々毎にバランス修正機等によって所定の値以下に
管理している。図２（ａ),（ｂ）に遠心羽根車９の修正
後、及び回転子４の修正後のアンバランス測定結果を示
す。

【００１１】しかしながら、従来は遠心羽根車９を回転
子４の回転軸１５に取付ける際は、ナット１６を回転軸
１５に締め付けて遠心羽根車９を取付けている。しか
し、ナット１６単体にも偏芯がある事から、図３に示す
ようにアンバランスが発生する。回転軸１５に遠心羽根
車９をナット１６を使用して締め付けた場合、ナット１
６のアンバランスも含んだ状態で遠心羽根車９を取付け
る事になる。また、回転軸１５と遠心羽根車９の内径と
の嵌合隙間によってもアンバランスが発生するので、そ
れぞれのアンバランスのベクトル和によっては、図２
（ｃ）に示すように、組合せアンバランス量が大きくな
ってしまう。

【００１２】以上より、回転子４と遠心羽根車９が一体
固定された状態、及び最終軸受支持状態でのバランス修
正、すなわち電動送風機１が組み立てられた状態でのバ
ランス修正が、高精度且つ、理想的なバランス修正方法
である。

【００１３】以下詳細に、本発明における具体的なバラ
ンス修正方法について説明する。電動送風機１が図１の
ごとく組み立てられた後、電動機部２に通電が行われる
と、回転子４と遠心羽根車９が回転する。そこで、図４
に示すように、回転軸１５の上端面にアンバランス位置
検出用溝２１を設け、光学的センサ２３（例えばフォト
ダイオード）を使用すれば、図５に示すような位置検出
波形２４，２５が得られる。また、図４に示すようにケ
ーシング１０の外周面上に、磁石２６で吸着された加速
度ピックアップセンサ２７により、ケーシングに伝わる
遠心羽根車９の振動を感知し、フィルタを介して検出さ
れた回転１次成分の波形は、図５に示すような正弦波形
２８となり、正弦波形２８の振幅の最大点Ａが、回転中
の遠心羽根車９のアンバランス修正位置である。

【００１４】上記より、検出された正弦波形２８と位置
検出波形２４から周期Ｔａを求め、演算してアンバラン
ス修正角度を求めることが可能となる。次に、回転子４
の回転軸１５に遠心羽根車９が取付けられた状態での回
転バランス修正方法は、図６に示すように、遠心羽根車
９とナット１６の間に円板状のバランス修正部材２０を
配置し、前述で求めたアンバランス修正位置にケーシン
グ１０の空気取り入口２２からドリル２９を合わせ、バ
ランス修正部材２０の上端部を切削してバランス修正を
行うことができる。

【００１５】尚、バランス修正時にドリル２９の切削粉
が、電動機部２内に入り込むと、巻線１９の断線、及び
短絡の原因となる恐れがあるが、これを防止するために
は、例えばドリル２９の外周に切削粉吸引ノズルを配置
しておけば良い。

【００１６】図７は、バランス修正部材２０の上面端部
に環状の凹部３０を形成するとともに、ケーシング１０
の空気取り入口２２を介して、ディスペーサノズル３１
からバランス修正部材２０の環状の凹部３０に対し、接
着剤等の付加荷重を付着させて、バランス修正を行う場
合を示している。また、環状の凹部３０の形状は、図８
に示すようなＶ溝３２に形成すれば、接着剤等も流れや
すく、遠心力で接着剤が飛び出す恐れもない。

【００１７】

【発明の効果】以上、本発明によれば、遠心羽根車とナ
ットの間に回転バランス修正部材を設け、ケーシングの
空気取り入口から回転バランス修正を行えるようにする
事により、整流子モータと遠心羽根車との組合せによる
回転バランスの精度を向上させて、振動，騒音の低減を
図り、モータの信頼性をより向上させる事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わる電動送風機の縦断面
図。

【図２】（ａ）ないし（ｃ）は電動送風機の回転子，遠
心羽根車のアンバランス修正後のアンバランス分布、及
び組立後のアンバランス分布を説明する特性図。

【図３】ナット偏芯とアンバランス量の関係を示す特性
図。

【図４】アンバランス修正位置検出方法を示す図１の電
動送風機の縦断面図。

【図５】図４で検出された遠心羽根車側の振動の波形を
示す特性図。

【図６】電動送風機の遠心羽根車にバランス修正を施
す、第１の例を示す縦断面図。

【図７】電動送風機の遠心羽根車にバランス修正を施
す、第２の例を示す縦断面図。

【図８】電動送風機の遠心羽根車にバランス修正を施
す、第３の例を示す縦断面図。

【符号の説明】

１…電動送風機、４…回転子、６…ハウジング、９…遠
心羽根車、１５…回転軸、１６…ナット、２０…バラン
ス修正部材、２２…空気取り入口、３０…凹部、３２…
Ｖ溝。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端面側が開口した円筒上のハウジング内
   に回転子及び固定子を収納し、前記端面上にエンドブラ
   ケットを配置固定した整流子モータと、前記エンドブラ
   ケットを貫通した前記回転軸に取付固定された遠心羽根
   車を有し、遠心羽根車からの吐出し気流を前記エンドブ
   ラケットの孔部からハウジング内を通して前記整流子モ
   ータを冷却する電動送風機において、前記モータ回転軸
   に取付けられる遠心羽根車のモータケーシングの空気取
   り入口側の端面に、回転バランスを修正する円板状のバ
   ランス修正部材を前記回転軸に一体固定し、前記回転軸
   に遠心羽根車を取付けた電動送風機の状態で、バランス
   修正が行える事を特徴とする電動送風機のバランス修正
   装置。
2. 【請求項２】請求項１において、電動送風機の回転バラ
   ンスを修正する部材の上面端部に対向して、モータケー
   シングの空気取り入口開口部からドリルを通して回転バ
   ランスを修正する部材の上面端部を切削する事を特徴と
   する電動送風機の回転バランス修正装置。
3. 【請求項３】請求項１において、電動送風機の回転バラ
   ンスを修正する部材は、上面端部に環状の凹部を形成
   し、この凹部に対向して、モータケーシングの空気取り
   入口開口部を介して、ディスペーサノズルからバランス
   修正部材の凹部に接着剤等を付加荷重する事を特徴とす
   る電動送風機の回転バランス修正装置。