JP2000160575A - 構築物用基礎の鉄筋枠及び型枠支持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】建物の基礎の施工に使用する部材の管理の手
間、及び、基礎の施工の段取りの手間を軽減し、且つ、
部材の製造コストを低減する。 【手段】棒材を曲げ加工して形成した左右一対の型枠支
持部３をベース板２に固着し、型枠支持部３に、鉄筋枠
Ｃのベース筋C1を吊懸ける鉤状の鉄筋枠支持部９を折曲
げ形成する。更に、型枠支持部３に上向き突設したスト
ッパー10により、型枠Ｄが外向きにずれるのを防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプレハブ住
宅や木造住宅等の建物のコンクリート基礎のように、上
向き突出部を有する基礎を施工するにおいて、基礎の上
向き突出部を施工するための型枠と、基礎の中に埋設さ
れる鉄筋とを支持し、コンクリートの打設後は鉄筋と共
に基礎の中に埋設される支持具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プレハブや木造の住宅のコンクリート製
基礎は、一般にベタ基礎と布基礎とに大別される。この
うち布基礎は、図９に示すように、地面を掘り下げた溝
Ａの中に嵌まり込んだ状態の下部B2とこれから立ち上が
った上向き突出部B1との逆Ｔ字状の断面構造になってい
る。基礎Ｂの下部B1は地面よりも下がっており、土で覆
われている。

【０００３】この基礎Ｂに埋設する鉄筋枠には幾つのか
形態があるが、その一つに、図10に示すように、基礎Ｂ
の幅方向に延びる多数本のベース筋C1と、ベース筋C1に
溶接等にて一体に固着した下主筋C2及びサイド筋C3、縦
筋C4を介して下主筋C2に接続した上主筋C5とから成る形
態がある。そして、この形態の鉄筋枠Ｃを使用した基礎
Ｂの施工は、従来、図11に示すように、型枠Ｄを離反不
能に保持するためのストッパー片E1を切り起こし形成し
た支持板Ｅと、この支持板Ｅを支持するための棒材製の
支持具Ｆと、鉄筋枠Ｃを載せるコンクリート製スペーサ
ブロックＧとを使用して行われていた。

【０００４】すなわち、溝Ａの底面に適当な間隔で一対
ずつのスペーサブロックＧを配置し、これらのスペーサ
ブロックＧで鉄筋枠Ｃのベース筋C1（又はサイド筋C3）
を支持する一方、溝Ａの底面に適当な間隔で配置した支
持具Ｆに支持板Ｅを載せて、この支持板Ｅに型枠Ｄを載
せ、その状態で、先ず、支持具Ｆの上面すれすれの高さ
までコンクリートを流し込むことにより、先ず基礎Ｂの
下部B1を施工し、下部B1のコンクリートが固まってか
ら、両型枠Ｄの間にコンクリートを流し込んで基礎Ｂの
上向き突出部B2を施工するのであり、上向き突出部B2の
コンクリートが固まったら型枠Ｄを取りして、下部B1の
上を土で覆う。

【０００５】なお、型枠Ｄは、支持板Ｅの上に載せてい
るだけであり、このため、支持板Ｅがコンクリートの圧
力で動かないようにはストッパー片E1を設けている。ま
た、型枠Ｄの高さを揃えるために支持具Ｆ及び支持板Ｅ
が使用されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この従来の施工方法
は、支持具ＦとスペーサブロックＧと支持板Ｅとを必要
とするため、これらの部材の管理や施工の段取りが面倒
であり、また、これらの部材の製造コストが嵩むという
問題があった。本発明は、この問題を解消することを目
的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、コンクリート
製基礎Ｂの上向き突出部を施工するための一対の型枠が
載り得る型枠支持部と、前記基礎Ｂに埋め込まれる鉄筋
枠を基礎Ｂの幅方向に沿った左右両側で支持する鉄筋支
持部と、前記型枠支持部で支持された一対の型枠を離反
不能に保持するストッパーとを備えた支持具により、前
記目的を達成するに至った。

【０００８】この場合、支持具は金属板製とすることも
可能であるが、コンクリートの流れ込みを確実化する点
からは棒材製とするのが好ましい。また、鉄筋支持部を
２か所設けて、鉄筋枠を、基礎の中心線を挟んだ両側の
左右２か所で支持するのが好ましく、鉄筋枠の安定性の
点からは、鉄筋支持部の間隔をできるだけ広く取るのが
好ましい。

【０００９】本発明の支持具を使用して基礎Ｂを施工す
るに当たってのコンクリートの流し込みは基本的には従
来と同じであり、地面に掘った溝の底面に支持具を適当
な間隔で配置し、これらの支持具で鉄筋枠と型枠とを支
持し、その状態で型枠支持部の高さ程度までコンクリー
トを流し込むことによって先ず基礎の下部を施工し、下
部のコンクリートが固まったら型枠の間の空間にコンク
リートを流し込んで上向き突出部を施工し、上向き突出
部が固まったら型枠を取り外す。

【００１０】

【発明の奏する効果】本発明の構成によると、支持具で
鉄筋枠を支持するものであるため、従来のスペーサブロ
ックを必要とせず、また、ストッパーを支持具に一体に
設けているため、従来のように支持具とは別体の支持板
を用意する必要もない。したがって、従来に比べて部材
の管理及び施工の段取りに要する手間を軽減することが
できるのであり、また、部材点数が少ないためコストを
低減することができる。

【００１１】

【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を図面に基
づいて説明する。 ≪第１実施形態≫図１〜図４は第１実施形態を示してお
り、このうち図１は鉄筋枠Ｃと支持具１とを分離した状
態の分離斜視図、図2(A)は正面図、図2(B)は側面図、図
３及び図４は施工状態を示す図である。

【００１２】鉄筋枠Ｃは図８で示した従来のものと同じ
形態で、ベース筋C1、下主筋C2、サイド筋C3、上主筋C5
及び縦筋C4から成っている。上下主筋C2,C5 の間に更に
適宜本数の中間主筋を配置しても良いし、また、主筋C
2,C5 と縦筋C4とから成るフレームを複数並列するな
ど、基礎Ｂの断面積や断面形状等に応じて適宜設定すれ
ば良い。

【００１３】支持具１は、金属板製のベース板２と、丸
棒（棒材）製の左右一対の型枠支持部３とを備えてい
る。型枠支持部３は支柱3aを備えており、支柱3aの下端
に折曲げ形成した脚４をベース板２に溶接している。ベ
ース板２に切り起こし形成した爪で脚４を固定するな
ど、型枠支持部３は他の手段でベース板２に固定しても
よい。

【００１４】ベース板２には、仮止め用の釘穴５と、コ
ンクリートの流れ込みを促進するための適当な大きさの
抜き穴６とを空けている。また、ベース板２は、強度を
高めるため、周囲にリブ７を設けて浅い皿状に形成して
いる。型枠支持部３は鉄筋枠Ｃのベース筋C1と平行に延
びており、他方、脚４は平面視で型枠支持部３と直交し
た方向に延びている。また、左右型枠支持部３の脚４を
逆向きにすることにより、全体の安定性を高めている。
左右の脚４の支柱3aは横棒８で連結している。

【００１５】型枠支持部３の先端には、鉄筋枠Ｃのベー
ス筋C1を支持するためのフック状の鉄筋枠支持部９を折
曲げ形成している。また、型枠支持部３には、これに載
せた型枠Ｄが外側にずれるのを防止するため、上向きの
ストッパー10を溶接で固着している。鉄筋枠支持部９と
横棒８とは、鉄筋枠支持部９で鉄筋枠Ｃのベース筋C1を
支持した状態で、鉄筋枠Ｃの下主筋C2は横棒８との間に
隙間が開くか又は下主筋C2が横棒８に載るように設定し
ている。

【００１６】以上の構成において、基礎Ｂを施工するに
は、溝Ａの底に支持具１を適当な間隔で配置し、必要に
応じて釘11で固定してから、各支持具１の鉄筋枠支持部
９に鉄筋枠Ｃのベース筋C1を載せ、次いで、型枠支持部
３に型枠Ｄを載せ、それから型枠支持具１の上面程度ま
でコンクリートを流し込んで基礎Ｂの下部B1を施工し、
下部B1が固まってから両型枠Ｄの間の空間にコンクリー
トを流し込んで上向き突出部B2を施工する。

【００１７】なお、基礎Ｂの下部B1を施工してから、型
枠Ｄを型枠支持部３に載せて、上向き突出部B1を施工す
ることも可能であり、また、左右の型枠Ｄの上部を治具
で固定しておいても良い。 ≪第２〜第４実施形態≫図５及び図６では第２実施形態
を示しており、図５は斜視図、図６は使用状態の正面図
である。

【００１８】この第２実施形態では、左右の型枠支持部
３をそれぞれ門形に形成して、水平状に延びる横棒８を
左右型枠支持部３の支柱3aに溶接によって固着し、横棒
８の両端を斜め上向きの姿勢に折曲げ、左右端部の支柱
3aと折曲げ部8aとでベース筋C1を支持するようにしてい
る。すなわち、支柱3aと折曲げ部8aとで鉄筋枠支持部が
構成されている。

【００１９】この第２実施形態によると、型枠支持部３
が門形であるため、全体の強度・安定性を向上できる利
点がある。図７では第３実施形態を示しており、この実
施形態では、型枠支持部３の先端に、鉄筋枠Ｃのサイド
筋C3を支持するＬ字状（Ｕ字状でも良い）の鉄筋枠支持
部９を折曲げ形成している。

【００２０】また、図８に示す第４実施形態では、型枠
支持部３の先端にストッパー10を折曲げ形成する一方、
横棒８の左右両端に、鉄筋枠Ｃのサイド筋C3を支持する
フック状の鉄筋枠支持部９を折曲げ形成している。な
お、図８の鉄筋枠Ｃ、フープ状の帯筋C6を主筋C7に溶接
や線材で固定している。 ≪その他≫本発明は上記実施形態に尽きるものではな
く、更に様々の形態に具体化できる。例えば、型枠支持
部と鉄筋支持部とストッパーとを分離した状態でベース
に固定したり、金属板製としたりするなどしても良い。
また、ベース板２は必ずしも必要はない。

【００２１】更に、鉄筋枠を支持する部位には特に限定
はなく、鉄筋枠の形態に応じて支持箇所を選定したら良
い。また、本発明の支持具は布基礎の施工のみでなく、
ベタ基礎など、上向き突出部を備えた基礎の施工に広く
適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態の斜視図である。

【図２】 (A)は正面図、 (B)は側面図である。

【図３】使用状態を示す正面図である。

【図４】図３のIV−IV視断面図である。

【図５】第２実施形態の斜視図である。

【図６】第２実施形態の使用状態を示す正面図でげあ
る。

【図７】第３実施形態の正面図である。

【図８】第４実施形態の正面図である。

【図９】布基礎Ｂの断面図である。

【図10】鉄筋枠の斜視図である。

【図11】従来の支持具及び施工状態を示す図である。

【符号の説明】

Ａ 溝 Ｂ 基礎 B2 上向き突出部 Ｃ 鉄筋枠 Ｄ 型枠 １ 支持具 ２ ベース板 ３ 型枠支持部 ８ 横棒 ９ 鉄筋枠支持部 10 ストッパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コンクリート製基礎の上向き突出部を施工
   するための一対の型枠が載り得る型枠支持部と、前記基
   礎に埋め込まれる鉄筋枠を基礎の幅方向に沿った左右両
   側で支持する鉄筋支持部と、前記型枠支持部で支持され
   た一対の型枠を離反不能に保持するストッパーとを備え
   ている構築物用基礎の鉄筋枠及び型枠支持具。