JP2000159089A - マスタシリンダ - Google Patents
マスタシリンダInfo
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Abstract
の真空充填の際に、セカンダリ圧力室の充填がプライマ
リ圧力室よりも早く完了した場合に、セカンダリピスト
ンがプライマリ側へ移動しピストンのカップ類がシリン
ダ側面の穴により損傷する可能性があった。 【解決手段】プライマリピストンフランジ部の外周面の
ピストン軸方向の長さをセカンダリ側より短くしプライ
マリ側のブレーキ液の流通性を良好にすることにより、
セカンダリ圧力室の充填がプライマリ圧力室よりも早く
完了することを防止しセカンダリピストンがプライマリ
側へ移動しピストンのカップ類がシリンダ側面の穴によ
り損傷することを防ぐ。
Description
係り、特に自動車組立の際のブレーキ液真空充填時の作
業を良好にするタンデムマスタシリンダに関する。
て、ブレーキ装置へのブレーキ液の充填作業には、エア
抜きと呼ばれる作業が必要であった。これは、ブレーキ
装置の液圧系統にブレーキ液を注入した後、液圧系統内
に残留した空気を除去する作業である。しかし、このエ
ア抜き作業には手数と時間がかかるため、近年は真空充
填という方法でブレーキ液を充填するのが一般的であ
る。
た後にまず真空ポンプを用いてブレーキ装置の液圧系統
内を真空状態にし、その後、マスタシリンダのリザーバ
からブレーキ液を充填する方法である。
スタシリンダの構成についてまず説明する。
断面図である。ここで、1はシリンダ本体であり、シリ
ンダ本体1には有底の円筒状のシリンダ孔1Aが開口形
成されている。シリンダ孔1Aには、プライマリピスト
ン2とセカンダリピストン3とがシリンダ孔1A内を移
動可能に直列に嵌装されている。セカンダリピストン3
はプライマリピストン2に対して、シリンダ孔1Aの底
側に配置されている。
Aの開放側から底側へ、プライマリプレッシャカップ保
持部2bとプライマリピストンフランジ部2aとからな
る2つのフランジ部が順次設けられており、セカンダリ
ピストン3には、シリンダ孔1Aの開口側から底側へ、
セカンダリプレッシャカップ保持部3bとセカンダリピ
ストンフランジ部3aとからなる2つのフランジ部が順
次設けられている。
トンフランジ部3aに保持されたセカンダリピストンカ
ップ8によりシリンダ孔1Aの底部側に画成されたセカ
ンダリ圧力室10と、セカンダリピストンカップ8とセ
カンダリプレッシャカップ保持部3bに保持されたセカ
ンダリプレッシャカップ15とにより画成されたセカン
ダリ補給室11と、セカンダリプレッシャカップ15と
プライマリピストンフランジ部2aに保持されたプライ
マリピストンカップ9とにより画成されたプライマリ圧
力室12と、プライマリピストンカップ9とプライマリ
プレッシャカップ保持部2bとにより画成されたプライ
マリ補給室13とに区画されている。プライマリピスト
ンフランジ部2aの外周面2aaおよびセカンダリピス
トンフランジ部3aの外周面3aaとシリンダ孔1Aの
内周面1aとの間にはそれぞれ微小な隙間がある。
ップ部をシリンダ孔1Aの内周面1aに当接させて嵌装
されていることにより、マスタシリンダが作動状態のと
きにセカンダリ圧力室10からセカンダリ補給室11へ
のブレーキ液の洩れを防止している。また、プライマリ
ピストンカップ9はその外周リップ部をシリンダ孔1A
の内周面1aに当接させて嵌装されていることにより、
マスタシリンダが作動状態のときにプライマリ圧力室1
2からプライマリ補給室13へのブレーキ液の洩れを防
止している。なお、プライマリ圧力室12からセカンダ
リ補給室11へのブレーキ液の洩れは、セカンダリプレ
ッシャカップ15により防止されており、プライマリ補
給室13からシリンダ本体1の開口部へのブレーキ液の
洩れは、プライマリプレッシャカップ18により防止さ
れている。
れており、マスタシリンダが非作動状態のときに、該リ
ザーバ14内部が、シリンダ孔1A内のセカンダリ圧力
室10、セカンダリ補給室11、プライマリ圧力室1
2、プライマリ補給室13に連通するように、シリンダ
本体1の周壁部にはそれぞれセカンダリサプライポート
4、プライマリサプライポート5、セカンダリリリーフ
ポート6、プライマリリリーフポート7が穿孔されてい
る。
スタシリンダにおけるブレーキ液真空充填時のブレーキ
液の流れについて、説明する。
ザーバ14にブレーキ液を注入すると、ブレーキ液は、
セカンダリサプライポート4およびプライマリサプライ
ポート5から、セカンダリ補給室11とプライマリ補給
室13にそれぞれ流入する。この時、セカンダリリリー
フポート6およびプライマリリリーフポート7からそれ
ぞれセカンダリ圧力室10およびプライマリ圧力室12
にもブレーキ液が流入するが、ポート径がセカンダリサ
プライポート4およびプライマリサプライポート5に較
べて小さいため、リザーバ14からの流入量はセカンダ
リ補給室11およびプライマリ補給室13に較べるとご
く僅かである。そして、ブレーキ液は、セカンダリ補給
室11とプライマリ補給室13内部に充填されると、そ
こからそれぞれセカンダリピストンフランジ部3aの外
周面3aaとシリンダ孔1Aの内周面1aとの隙間およ
びプライマリピストンフランジ部2aの外周面2aaと
シリンダ孔1Aの内周面1aとの隙間を通過し、セカン
ダリピストンカップ8とプライマリピストンカップ9を
液圧で変形させて通過し、それぞれセカンダリ圧力室1
0とプライマリ圧力室12へ流入する。その後、ブレー
キ液はセカンダリ圧力室10とプライマリ圧力室12か
らそれぞれセカンダリ側吐出口16とプライマリ側吐出
口17とを通ってブレーキ装置の液圧系統全体に充填さ
れる。
の空気を除去しているため、液圧系統内に空気が残留せ
ず、エア抜き作業が不要となる。しかし、プライマリサ
プライポート5のポート径とセカンダリサプライポート
4のポート径とは略等しいため、リザーバ14からそれ
ぞれプライマリサプライポート5およびセカンダリサプ
ライポート4を通ってプライマリ補給室13とセカンダ
リ補給室11とに流入するブレーキ液の時間当たりの流
入量は略等しいのに対し、例えば、セカンダリ補給室1
1の容積がプライマリ補給室13の容積よりも少ない場
合には、セカンダリ補給室11のブレーキ液の充填がプ
ライマリ補給室13のブレーキ液の充填よりも早く完了
し、セカンダリ圧力室10の方がプライマリ圧力室12
よりも早くブレーキ液の流入が始まる。
部3aとプライマリピストンフランジ部4aのそれぞれ
の外周面のピストン軸方向の長さは略等しいため両方の
ピストンフランジ部外周面2aaおよび3aaとシリン
ダ孔1Aの内周面1aとの隙間とにより生じるオリフィ
ス効果は略等しくなり、セカンダリ補給室11からセカ
ンダリピストンフランジ部3aとシリンダ本体1の隙間
を通過してセカンダリ圧力室10へ流入するブレーキ液
の時間当たりの流入量とプライマリ補給室13からプラ
イマリピストンフランジ部4aとシリンダ本体1の隙間
を通過してプライマリ圧力室12へ流入するブレーキ液
の時間当たりの流入量は略等しくなる。このため、セカ
ンダリ圧力室10の容積とプライマリ圧力室12の容積
が略同じであっても、早くブレーキ液の流入が始まった
セカンダリ圧力室10の方がプライマリ圧力室12より
も早くブレーキ液の充填が完了することになる。
イマリ補給室13の容積が略同じであっても、セカンダ
リ圧力室10の容積がプライマリ圧力室12の容積より
も少ない場合には、同様にセカンダリ圧力室10の方が
プライマリ圧力室12よりも早くブレーキ液の充填が完
了する。
ライマリ圧力室12よりも早くブレーキ液の充填が完了
した場合、セカンダリ圧力室10内の液圧がセカンダリ
ピストン3をプライマリ圧力室12側へ移動させ、セカ
ンダリピストンカップ8がセカンダリサプライポート4
を通過することにより損傷を受ける可能性が有り、また
セカンダリプレッシャカップ15がプライマリ側吐出口
17を通過することにより損傷を受ける可能性があっ
た。
技術に鑑み、ブレーキ装置のブレーキ液真空充填におい
て、セカンダリ補給室の容積がプライマリ補給室の容積
よりも少ない場合や、セカンダリ圧力室の容積がプライ
マリ圧力室の容積より少ない場合においても、タンデム
マスタシリンダのセカンダリ圧力室の方がプライマリ圧
力室よりも早くブレーキ液の充填が完了しセカンダリピ
ストンがプライマリ圧力室の方に移動することによるセ
カンダリピストンカップおよびセカンダリプレッシャカ
ップの損傷を防止することを目的とする。
ために、本発明は、有底のシリンダ孔が形成されたシリ
ンダ本体と、シリンダ孔内をそれぞれ軸方向に移動可能
に、シリンダ孔の開放側から底側へ順次配置されたプラ
イマリピストン及びセカンダリピストンと、プライマリ
ピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた
第1のフランジ部及び第2のフランジ部と、セカンダリ
ピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた
第3のフランジ部及び第4のフランジ部とを備え、シリ
ンダ孔内を、第4のフランジ部に保持された第4のシー
ル部材によってセカンダリピストンのシリンダ孔底側に
画成された第2の液圧発生室と、第4のシール部材と第
3のフランジ部に保持された第3のシール部材によって
画成された第2の補給室と、第3のシール部材と第2の
フランジ部に保持された第2のシール部材との間に画成
された第1の液圧発生室と、第2のシール部材と第1の
フランジ部に保持された第1のシール部材との間に画成
された第1の補給室とに区画してなるマスタシリンダに
おいて、第2のフランジ部の外周面のピストン軸方向の
長さを、第4のフランジ部の外周面のピストン軸方向の
長さより短くし、第2のフランジ部とシリンダ孔内周と
の隙間のブレーキ液の流通抵抗を第4のフランジ部とシ
リンダ孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗よりも小
さく構成したことを特徴とする。
されたシリンダ本体と、シリンダ孔内をそれぞれ軸方向
に移動可能に、シリンダ孔の開放側から底側へ順次配置
されたプライマリピストン及びセカンダリピストンと、
プライマリピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次
設けられた第1のフランジ部及び第2のフランジ部と、
セカンダリピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次
設けられた第3のフランジ部及び第4のフランジ部とを
備え、シリンダ孔内を、第4のフランジ部に保持された
第4のシール部材によってセカンダリピストンのシリン
ダ孔底側に画成された第2の液圧発生室と、第4のシー
ル部材と第3のフランジ部に保持された第3のシール部
材によって画成された第2の補給室と、第3のシール部
材と第2のフランジ部に保持された第2のシール部材と
の間に画成された第1の液圧発生室と、第2のシール部
材と第1のフランジ部に保持された第1のシール部材と
の間に画成された第1の補給室とに区画してなるマスタ
シリンダにおいて、第2のフランジ部の外周面または第
2のフランジ部と第4のフランジ部のそれぞれの外周面
に、ピストンの軸方向に1つまたは複数の溝または切り
欠きを、数または形状を違えて設け、第2のフランジ部
とシリンダ孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗を第
4のフランジ部とシリンダ孔内周との隙間のブレーキ液
の流通抵抗よりも小さく構成したことを特徴とする。
用いて説明する。この第1の実施例は、セカンダリピス
トンフランジ部23aのピストン軸方向のフランジ部長
さよりもプライマリピストンフランジ部22aのピスト
ン軸方向のフランジ部長さを短くしたものである。な
お、他の構成は略図6と同じであるので、説明を省略す
る。
後、リザーバ14からブレーキ液を注入すると、ブレー
キ液は、セカンダリサプライポート4およびプライマリ
サプライポート5から、セカンダリ補給室11とプライ
マリ補給室13にそれぞれ流入する。この時、セカンダ
リリリーフポート6およびプライマリリリーフポート7
からそれぞれセカンダリ圧力室10およびプライマリ圧
力室12にもブレーキ液が流入するが、ポート径がセカ
ンダリサプライポート4およびプライマリサプライポー
ト7と比較して小さいため流入量はごく僅かである。セ
カンダリ補給室11とプライマリ補給室13にそれぞれ
ブレーキ液が充填されると、次にブレーキ液は、セカン
ダリ補給室11とプライマリ補給室13とからそれぞれ
セカンダリピストンフランジ部23aとシリンダ本体1
との隙間、およびプライマリピストンフランジ部22a
とシリンダ本体1のと隙間を通過し、セカンダリピスト
ンカップ8とプライマリピストンカップ9を液圧で変形
させて通過し、それぞれセカンダリ圧力室10とプライ
マリ圧力室12へ流入する。
3aよりもプライマリピストンフランジ部22aの方が
ピストン軸方向のフランジ部長さが短いので、セカンダ
リピストンフランジ部外周面23aaとシリンダ孔1A
の内周面1aの隙間よりもプライマリピストンフランジ
部外周面22aaとシリンダ孔1Aの内周面1aの隙間
の方がオリフィス効果が少なく、ブレーキ液が通過しや
すい。このため、セカンダリ圧力室10へのブレーキ液
の流入量よりもプライマリ圧力室12へのブレーキ液の
流入量の方が多くなり、ブレーキ液のセカンダリ圧力室
10への充填がプライマリ圧力室への充填よりも早く完
了することを防止できる。また、セカンダリピストンフ
ランジ部23aよりもプライマリピストンフランジ部2
2aの方がピストン軸方向のフランジ部長さが短いの
で、マスタシリンダへの組付け時に、プライマリピスト
ンとセカンダリピストンの区別が容易になり、誤組付け
を防止できる。
2を用いて説明する。図2は、本実施例のプライマリピ
ストンフランジ部42aおよびセカンダリピストンフラ
ンジ部43aのピストン軸方向断面形状を表したもの
で、それぞれ図6の2aおよび3aに相当する。本実施
例のマスタシリンダのその他の構成は図6と略同様であ
るので説明を省略する。本実施例においては、プライマ
リ側のピストンフランジ部42aの内周側の軸方向長さ
はセカンダリ側のピストンフランジ部43aの内周側の
軸方向長さと同じであるのに対し、外周側はプライマリ
側の軸方向のカップシールと反対側の平面と外周面とに
より構成される角部分をセカンダリ側のそれよりも比較
的大きく面取り加工することにより、プライマリピスト
ンフランジ部42aの外周面のピストン軸方向の長さを
セカンダリピストンフランジ部43aの外周面のピスト
ン軸方向の長さより短くしている。
周面42aaはセカンダリピストンフランジ部43aの
外周面43aaに比べて大きく面取り加工が施されてい
るため、プライマリピストンフランジ部42aとセカン
ダリピストンフランジ部43aのピストン軸方向のフラ
ンジ部長さ(DとC)は同じであるにもかかわらず、プ
ライマリピストンフランジ部42aの外周面42aaの
ピストン軸方向の長さBはセカンダリピストンフランジ
部43aの外周面43aaのピストン軸方向の長さAよ
り短くなり、セカンダリピストンフランジ部43aの外
周面43aaとシリンダ孔1Aの内周面1aの隙間より
もプライマリピストンフランジ部42aの外周面42a
aとシリンダ孔1Aの内周面1aの隙間の方がオリフィ
ス効果が少なく、ブレーキ液が通過しやすいため、ブレ
ーキ液の真空充填時のセカンダリ圧力室10へのブレー
キ液の流入量よりもプライマリ圧力室12へのブレーキ
液の流入量の方が多くなり、ブレーキ液のセカンダリ圧
力室10への充填がプライマリ圧力室への充填よりも早
く完了することを防止できる。また、プライマリピスト
ンフランジ部42aとセカンダリピストンフランジ部4
3aのピストン軸方向のフランジ部長さは同じであるた
め、ピストンの加工は従来の工程の面取り加工を変更す
るだけでよく、実施が容易である。
としたが、これに限るものではなく、図3に示す第3の
実施例のような形状でもよい。第3の実施例は、図2の
プライマリピストンフランジ部42aのピストン軸方向
断面形状を62aとしたものであるが、プライマリピス
トンフランジ部62aの面取りはこのように曲面の面取
り加工でも同様の効果がある。
4を用いて説明する。図4は、本実施例のプライマリピ
ストンフランジ部72aおよびセカンダリピストンフラ
ンジ部43aのピストン軸方向断面形状を表したもの
で、それぞれ図6の2aおよび3aに相当する。本実施
例のマスタシリンダのその他の構成は図6と略同様であ
るので説明を省略する。本実施例においては、プライマ
リ側のピストンフランジ部72aの内周側の軸方向長さ
はセカンダリ側のピストンフランジ部43aの内周側の
軸方向長さと同じであるのに対し、外周側はプライマリ
側のピストンフランジ部72aの外周面にフランジ円周
方向に溝を設けることにより、プライマリピストンフラ
ンジ部72aの外周面のピストン軸方向の長さをセカン
ダリピストンフランジ部43aの外周面のピストン軸方
向の長さより短くしている。
周面72aaには円周方向に溝が設けられているため、
プライマリピストンフランジ部72aとセカンダリピス
トンフランジ部43aのピストン軸方向のフランジ部長
さ(D”’とC)は同じであるにもかかわらず、プライ
マリピストンフランジ部72aの外周面72aaのピス
トン軸方向の長さE1+E2はセカンダリピストンフラ
ンジ部43aの外周面43aaのピストン軸方向の長さ
Aより短くなり、セカンダリピストンフランジ部43a
の外周面43aaとシシリンダ孔1Aの内周面1aの隙
間よりもプライマリピストンフランジ部72aの外周面
72aaとシリンダ孔1Aの内周面1aの隙間の方がオ
リフィス効果が少なく、ブレーキ液が通過しやすいた
め、ブレーキ液の真空充填時のセカンダリ圧力室10へ
のブレーキ液の流入量よりもプライマリ圧力室12への
ブレーキ液の流入量の方が多くなり、ブレーキ液のセカ
ンダリ圧力室10への充填がプライマリ圧力室への充填
よりも早く完了することを防止できる。また、プライマ
リピストンフランジ部72aとセカンダリピストンフラ
ンジ部43aのピストン軸方向のフランジ部長さは同じ
であるため、ピストンの加工は従来の工程に溝切削加工
を追加するだけでよく、実施が容易である。また、マス
タシリンダへの組付け時に、ピストンフランジ部の外周
面の形状の違いでプライマリピストンとセカンダリピス
トンの区別が容易になり、誤組付けを防止できる。な
お、本実施例では溝は片方のピストンフランジ部にしか
設けていないが、これに限るものではなく、両方にその
数や形状を違えて設けることによって、プライマリピス
トンフランジ部72aの外周面のピストン軸方向の長さ
をセカンダリピストンフランジ部43aの外周面のピス
トン軸方向の長さより短くして、ブレーキ液の流通性に
差を持たせてもよい。また、溝は図4のものに限らず、
深さや断面積や断面形状や数が変わってもよい。
5を用いて説明する。図5は、本実施例のプライマリピ
ストンフランジ部82aおよびセカンダリピストンフラ
ンジ部43aのピストン軸方向断面形状を表したもの
で、それぞれ図6の2aおよび3aに相当する。本実施
例のマスタシリンダのその他の構成は図6と略同様であ
るのでその説明は省略する。プライマリピストンフラン
ジ部82aの外周面82aaには、ピストン軸方向にプ
ライマリ側の軸方向のカップシールと反対側から1本も
しくは複数本の溝が長さ方向途中まで延びて設けられて
いるため、プライマリピストンフランジ部82aとセカ
ンダリピストンフランジ部43aの内周側のピストン軸
方向のフランジ部長さ(D”とC)は同じであるにもか
かわらず、外周側はピストン軸方向に溝を形成した部分
がこの溝の長さ分だけ溝を形成しない部分に対してピス
トン軸方向長さが短くなっているため、この溝を形成し
た部分は溝を形成していない部分よりもブレーキ液の流
通性が良好になっており、全体として流通抵抗が小さく
なっている。
43aの外周面43aaとシリンダ孔1Aの内周面1a
の隙間よりもプライマリピストンフランジ部82aaと
シリンダ孔1Aの内周面1aの隙間の方がオリフィス効
果が少なく(流通抵抗が小さく)、ブレーキ液が通過し
やすくなり、ブレーキ液の真空充填時のセカンダリ圧力
室10へのブレーキ液の流入量よりもプライマリ圧力室
12へのブレーキ液の流入量の方が多くなり、ブレーキ
液のセカンダリ圧力室10への充填がプライマリ圧力室
への充填よりも早く完了することを防止できる。また、
プライマリピストンフランジ部82aとセカンダリピス
トンフランジ部43aのピストン軸方向のフランジ部長
さは従来通り同じであっても、ピストンの加工は従来の
工程に溝切削加工を付加するだけでよく、実施が容易で
ある。また、マスタシリンダへの組付け時に、ピストン
フランジ部の外周面の形状の違いでプライマリピストン
とセカンダリピストンの区別が容易になり、誤組付けを
防止できる。なお、本実施例では溝は片方のピストンフ
ランジ部にしか設けていないが、これに限るものではな
く、両方にその数や大きさや形状を違えて設けることに
よってブレーキ液の流通性に差を持たせてもよい。ま
た、溝は図5のものに限らず、深さや断面積や断面形状
や数が変わってもよく、また切り欠きの形状でもよい。
なお、本実施例においては、ピストンフランジ部の外周
側のピストン軸方向のフランジ部の長さの違いは無関係
となる。
トンフランジ部のカップシール側は流通抵抗を小さくす
るための溝や面取り加工等を施していないので、カップ
シールがシリンダ孔1Aとピストンフランジ部外周面と
の隙間に噛み込むことを防止できる。
シリンダ孔が形成されたシリンダ本体と、シリンダ孔内
をそれぞれ軸方向に移動可能に、シリンダ孔の開放側か
ら底側へ順次配置されたプライマリピストン及びセカン
ダリピストンと、プライマリピストンにシリンダ孔開放
側から底側へ順次設けられた第1のフランジ部及び第2
のフランジ部と、セカンダリピストンにシリンダ孔開放
側から底側へ順次設けられた第3のフランジ部及び第4
のフランジ部とを備え、シリンダ孔内を、第4のフラン
ジ部に保持された第4のシール部材によってセカンダリ
ピストンのシリンダ孔底側に画成された第2の液圧発生
室と、第4のシール部材と第3のフランジ部に保持され
た第3のシール部材によって画成された第2の補給室
と、第3のシール部材と第2のフランジ部に保持された
第2のシール部材との間に画成された第1の液圧発生室
と、第2のシール部材と第1のフランジ部に保持された
第1のシール部材との間に画成された第1の補給室とに
区画してなるマスタシリンダにおいて、第2のフランジ
部の外周面のピストン軸方向の長さを、第4のフランジ
部の外周面のピストン軸方向の長さより短くし、第2の
フランジ部とシリンダ孔内周との隙間のブレーキ液の流
通抵抗を第4のフランジ部とシリンダ孔内周との隙間の
ブレーキ液の流通抵抗よりも小さく構成し、プライマリ
ピストンフランジ部の外周面のブレーキ液の流通性をセ
カンダリピストンフランジ部の外周面より良好にしたこ
とにより、タンデムマスタシリンダのセカンダリ圧力室
の方がプライマリ圧力室よりも早くブレーキ液の充填が
完了しセカンダリピストンがプライマリ圧力室の方に移
動することによるセカンダリピストンカップおよびセカ
ンダリプレッシャカップの損傷を防止することができ
る。
ンダ本体と、シリンダ孔内をそれぞれ軸方向に移動可能
に、シリンダ孔の開放側から底側へ順次配置されたプラ
イマリピストン及びセカンダリピストンと、プライマリ
ピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた
第1のフランジ部及び第2のフランジ部と、セカンダリ
ピストンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた
第3のフランジ部及び第4のフランジ部とを備え、シリ
ンダ孔内を、第4のフランジ部に保持された第4のシー
ル部材によってセカンダリピストンのシリンダ孔底側に
画成された第2の液圧発生室と、第4のシール部材と第
3のフランジ部に保持された第3のシール部材によって
画成された第2の補給室と、第3のシール部材と第2の
フランジ部に保持された第2のシール部材との間に画成
された第1の液圧発生室と、第2のシール部材と第1の
フランジ部に保持された第1のシール部材との間に画成
された第1の補給室とに区画してなるマスタシリンダに
おいて、第2のフランジ部の外周面または第2のフラン
ジ部と第4のフランジ部のそれぞれの外周面に、ピスト
ンの軸方向に1つまたは複数の溝または切り欠きを、数
または形状を違えて設け、第2のフランジ部とシリンダ
孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗を第4のフラン
ジ部とシリンダ孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗
よりも小さく構成したことにより、上記と同様の効果が
ある。
ダの軸方向縦断面図である。
ダのプライマリピストンフランジ部とセカンダリピスト
ンフランジ部のピストン軸方向断面図である。
ダのプライマリピストンフランジ部とセカンダリピスト
ンフランジ部のピストン軸方向断面図である。
ダのプライマリピストンフランジ部とセカンダリピスト
ンフランジ部のピストン軸方向断面図である。
ダのプライマリピストンフランジ部とセカンダリピスト
ンフランジ部のピストン軸方向断面図である。
方向断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 有底のシリンダ孔が形成されたシリンダ
本体と、シリンダ孔内をそれぞれ軸方向に移動可能に、
シリンダ孔の開放側から底側へ順次配置されたプライマ
リピストン及びセカンダリピストンと、プライマリピス
トンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた第1
のフランジ部及び第2のフランジ部と、セカンダリピス
トンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた第3
のフランジ部及び第4のフランジ部とを備え、シリンダ
孔内を、第4のフランジ部に保持された第4のシール部
材によってセカンダリピストンのシリンダ孔底側に画成
された第2の液圧発生室と、第4のシール部材と第3の
フランジ部に保持された第3のシール部材によって画成
された第2の補給室と、第3のシール部材と第2のフラ
ンジ部に保持された第2のシール部材との間に画成され
た第1の液圧発生室と、第2のシール部材と第1のフラ
ンジ部に保持された第1のシール部材との間に画成され
た第1の補給室とに区画してなるマスタシリンダにおい
て、第2のフランジ部の外周面のピストン軸方向の長さ
を、第4のフランジ部の外周面のピストン軸方向の長さ
より短くし、第2のフランジ部とシリンダ孔内周との隙
間のブレーキ液の流通抵抗を第4のフランジ部とシリン
ダ孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗よりも小さく
構成したことを特徴とするマスタシリンダ。 - 【請求項2】 有底のシリンダ孔が形成されたシリンダ
本体と、シリンダ孔内をそれぞれ軸方向に移動可能に、
シリンダ孔の開放側から底側へ順次配置されたプライマ
リピストン及びセカンダリピストンと、プライマリピス
トンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた第1
のフランジ部及び第2のフランジ部と、セカンダリピス
トンにシリンダ孔開放側から底側へ順次設けられた第3
のフランジ部及び第4のフランジ部とを備え、シリンダ
孔内を、第4のフランジ部に保持された第4のシール部
材によってセカンダリピストンのシリンダ孔底側に画成
された第2の液圧発生室と、第4のシール部材と第3の
フランジ部に保持された第3のシール部材によって画成
された第2の補給室と、第3のシール部材と第2のフラ
ンジ部に保持された第2のシール部材との間に画成され
た第1の液圧発生室と、第2のシール部材と第1のフラ
ンジ部に保持された第1のシール部材との間に画成され
た第1の補給室とに区画してなるマスタシリンダにおい
て、第2のフランジ部の外周面または第2のフランジ部
と第4のフランジ部のそれぞれの外周面に、ピストンの
軸方向に1つまたは複数の溝または切り欠きを、数また
は形状を違えて設け、第2のフランジ部とシリンダ孔内
周との隙間のブレーキ液の流通抵抗を第4のフランジ部
とシリンダ孔内周との隙間のブレーキ液の流通抵抗より
も小さく構成したことを特徴とするマスタシリンダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33817098A JP4096324B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | マスタシリンダ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33817098A JP4096324B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | マスタシリンダ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000159089A true JP2000159089A (ja) | 2000-06-13 |
JP4096324B2 JP4096324B2 (ja) | 2008-06-04 |
Family
ID=18315584
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33817098A Expired - Lifetime JP4096324B2 (ja) | 1998-11-27 | 1998-11-27 | マスタシリンダ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4096324B2 (ja) |
-
1998
- 1998-11-27 JP JP33817098A patent/JP4096324B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4096324B2 (ja) | 2008-06-04 |
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