JP2000157825A - ガス吸着用シート及び空気清浄用フィルタ - Google Patents

ガス吸着用シート及び空気清浄用フィルタ

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JP2000157825A
JP2000157825A JP10334349A JP33434998A JP2000157825A JP 2000157825 A JP2000157825 A JP 2000157825A JP 10334349 A JP10334349 A JP 10334349A JP 33434998 A JP33434998 A JP 33434998A JP 2000157825 A JP2000157825 A JP 2000157825A
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sheet
gas adsorbing
thickness
gas
gas adsorption
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Kazuhiro Ueda
和宏 植田
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オゾンを初めとする有害なガスの除去性能が
高く、低圧損で、折り曲げ加工性が良好なガス吸着用シ
ート及び空気清浄用フィルタを提供すること。 【解決手段】 シート基材の両面に、ガス吸着層を形成
してなるガス吸着用シートであって、シート基材の厚み
が0.01〜0.1mmであり、且つ、ガス吸着層の厚
みがガス吸着用シートの厚みに対して40〜90%であ
ることを特徴とするガス吸着用シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス吸着用シート
及びそれをハニカム形状とした空気清浄用フィルタに関
するものであり、より詳しくはオゾン除去に優れ、かつ
難燃性を有するガス吸着用シート及びそれを用いた空気
清浄用フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】コロナ放電による帯電方式を採用した電
気集塵式空気清浄機や電子写真複写機などの事務用機器
では、コロナ放電が機内の空気中で行われるため多量の
オゾンが機内に発生する。このオゾンは非常に臭いの強
い、酸化性の強い気体であり、空気中に0.1ppmの濃度が
存在するだけで、息切れやめまい、吐き気、頭痛などの
生理作用を生じさせるものであるため、事務用機器とし
てはこのようなオゾンを機外へ漏洩させることは大きな
欠陥とされていた。
【0003】かかる問題を克服するため、当該事務用機
器の排気ダクトにオゾン除去フィルタを取り付けること
が従来から行われており、排気を効率的に行うという観
点から当該フィルタは通気抵抗の小さいハニカム構造体
が採用されていた。また、かかるフィルタにおいてオゾ
ンを除去する物質として、二酸化マンガン、二酸化ニッ
ケルなどの金属酸化物あるいは活性炭が使用されてい
た。
【0004】例えば、活性炭を用いたフィルターとし
て、特公昭63−31253号公報には、特定の細孔径
を有する繊維状活性炭をハニカム状に加工したフィルタ
が提案されている。しかし活性炭のみを使用した場合、
オゾンの除去は吸着の他、活性炭によるオゾンの還元分
解によっても進行するため、オゾンの除去とともに活性
炭の劣化が進行することは避けがたく、結果的に寿命が
短くなるという問題を生じていた。
【0005】そこで、オゾン除去能力の発現有効期間を
延ばそうとすれば繊維状活性炭の使用量を上げることが
必要となるが、繊維状活性炭では嵩密度が小さいため
に、シート状基材の厚みが増し、その結果、ハニカムの
空隙が小さくなり、圧力損失が増大するという問題を生
じていた。また、繊維状活性炭のみでは、ハニカム形状
に折り込み加工する際のシート状基材としての弾性強度
が不十分であった。このため当該フィルタでは、オゾン
除去性能を向上させることは勿論、その効果発現期間を
長くすることが実用上困難であり、フィルター加工にお
いても問題を有するものであった。
【0006】また、オゾン除去性能自体を向上させる目
的で、例えば特開昭62−286540号公報には、活
性炭に、カリウム化合物とナトリウム化合物を特定量混
合した活性炭成形体、特公平4−71641号公報に
は、特定の活性炭にアルカリ金属化合物またはアルカリ
土類金属化合物を添着し更に熱処理した活性炭が夫々提
案され、ガス吸着材のオゾン除去性能を向上させたフィ
ルターが開示されているが、シート状基材としての弾性
強度は不十分であり、また、シート状基材の厚みに起因
する圧力損失の大きいものであった。
【0007】このように、活性炭を用いたオゾン除去フ
ィルターで、圧力損失が小さく、且つ、折り曲げ加工時
の弾性強度が十分に満足し得るものは存在しないのが現
状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解
決するためになされたものであり、本発明の目的は、シ
ート状基材とガス吸着層を機能別の構成とすることによ
り、オゾンを初めとする人体に有害なガスの除去性能が
高く且つ長寿命な上、低圧損で、折り曲げ加工が容易な
ガス吸着用シート及びそれを用いた空気清浄用フィルタ
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、シート
基材の両面に、ガス吸着層を形成してなるガス吸着用シ
ートであって、シート基材の厚みが0.01〜0.1m
mであり、且つ、ガス吸着層の厚みがガス吸着用シート
の厚みに対して40〜90%であるガス吸着用シートを
提供することである。
【0010】本発明のガス吸着用シートの好ましい実施
態様は、前記ガス吸着層に、活性炭と、アルカリ金属化
合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方
と、難燃剤とが含有されてなるものである。
【0011】また、本発明は、上記のガス吸着用シート
を、開孔率が50%〜90%のハニカム形状としてなる
空気清浄用フィルタを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のガス吸着用シートは、厚
さが0.01〜0.1mmという薄いシート基材を骨材
として用い、その表裏両面にガス吸着層の厚みがガス吸
着用シート全体の40〜90%であるガス吸着層を形成
した3層構造としたことが大きな特徴である。即ち、シ
ート基材をガス吸着用シートに適度なしなやかさと強度
を保持するために用い、ガス吸着用シートの表面に位置
するガス吸着層に多くのオゾン分解剤を存在させること
により、高いオゾン分解性能を維持すると共に、従来の
活性炭成形体などに比べ強度・弾性を格段に高め、ハニ
カム形状への折り込み加工性を大幅に改善させたことを
特徴とするものである。なお、オゾンガスは活性炭と接
触分解すると言われる程反応時間が短く、表面層のオゾ
ン分解剤の効果が高いと考えられる。
【0013】本発明のガス吸着用シートのガス吸着層の
厚みは、ガス吸着用シートの厚みに対して40〜90%
であることが必要である。ガス吸着層の厚みが40%未
満の場合、高いオゾン分解性能を維持することができ
ず、厚みが90%を越える場合は、ガス吸着層の層強度
が強くなりガス吸着シートにしなやかさがなくなる。こ
のためハニカム成型加工時にシート割れが起きやすくな
る。
【0014】本発明で使用するシート基材の厚みは、
0.01〜0.1mmであることが必要である。シート
基材の厚みが0.01mm未満の場合には、ハニカム形
状への折り込み加工の際の強度が不十分となり、シート
基材の厚みが0.1mmを越える場合には、結局ガス吸
着用シート全体の厚みが増加し、ハニカム形状のフィル
ターにした際の圧力損失が大きくなり、また、ガス吸着
剤の目付が不十分となる。
【0015】本発明で使用するシート基材としては、例
えば抄紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂フィルム;アル
ミ箔や銅箔、ステンレス鋼などの金属シートが使用でき
る。抄紙の原料としては、レーヨンやポリエチレン、ポ
リエステル、ポリプロピレン等の短繊維又は木材系パル
プやマニラ麻パルプ、ポリオレフィン系パルプ、アクリ
ルパルプ、アラミドパルプなどのフィブリル化できる繊
維が挙げられる。シート基材の強度を上げるために、ポ
リビニルアルコール繊維やポリオレフィン系繊維、セラ
ミック繊維、ガラス繊維などを支持繊維として使用して
もよい。
【0016】本発明において、シート基材中に、難燃剤
を含有させると難燃性の度合いが向上し、ガス吸着層の
難燃剤量が低減でき、ガス吸着層のオゾン分解剤の存在
比率が増加し、更に高いオゾン吸着性能が維持できる。
難燃剤をシート基材中に含有させるには、シート基材の
製造過程で難燃剤を添加しておけばよい。例えばシート
基材として抄紙を用いるときは、短繊維及びフィブリル
化した繊維の抄紙時に難燃剤を混合した後、一般的に知
られている湿式抄紙法によって抄造しシート基材とすれ
ばよい。このとき、当該物質と繊維との結合を高めるた
めに、ポリアクリルアミドや脱アセチル化キチンなどの
抄紙助剤を使用してもよい。また樹脂フィルムをシート
基材として用いるときは、当該樹脂を製造する工程ある
いは当該樹脂をシート化する工程において難燃剤をシー
ト基材中に添加しておけばよい。
【0017】本発明で使用する活性炭としては、特に限
定はなく、これまで公知の活性炭が使用でき、かかる活
性炭は、例えば木材(木炭)やのこ屑、果実殻(ヤシ
殻、棉実殻、もみ殻、コーヒー豆など)、セルロース、
リグニン、パルプなどの植物系原料;褐炭、亜炭、泥
炭、無煙炭、石油スラッジなどの鉱物系原料等を素材と
し、塩化亜鉛などを使用した薬品賦活あるいは水蒸気な
どを用いたガス賦活等を施すことにより得られる。
【0018】本発明で使用する活性炭の形状は、粉末
状、粒状、繊維状のいずれであってもよいが、ガス吸着
用シート中での密度を上げるには、粉末状や粒状のもの
が好ましい。
【0019】この際、粉粒状活性炭の粒径としては、1
〜150ミクロンが好ましく、より好ましくは1〜10
0ミクロンである。また、シート基材上に形成されたガ
ス吸着層に使用される活性炭の種類としては1〜30ミ
クロンの範囲がよい。粒径が1ミクロン未満の活性炭
は、飛散や凝着など取り扱い性が悪く、他方150ミク
ロンより大きい活性炭ではガス吸着性シートの薄層化が
困難であり、また当該シートからの活性炭の剥離を招く
おそれがある。
【0020】本発明で使用する活性炭の比表面積は、8
00m2/g以上が好ましく、1,000m2/g以上が
より好ましい。活性炭の比表面積が800m2/gより
小さいと、オゾンの除去性能が低下するおそれがあるか
らである。
【0021】本発明において、ガス吸着層中に含まれる
活性炭量は5〜50g/m2が好ましい。より好ましい
範囲について述べると、下限値としては、7g/m2
上であり、さらに好ましくは10g/m2以上である。
他方上限としては、45g/m2以下であり、さらに好
ましくは40g/m2以下である。5g/m2未満の場合
は、十分なオゾン除去性能が得られず、他方50g/m
2を越える場合は、ガス吸着用シートの厚みが厚くなる
ため加工性が悪くなり、またハニカム形状に加工した場
合に開口率が小さくなって通過する空気の圧力損失が大
きくなるといった問題を生ずるおそれがある。
【0022】本発明において、ガス吸着用シートに含ま
れる活性炭の全含有量は、ガス吸着用シートに対して1
0〜80wt%が好ましい。より好ましい範囲について
述べると、下限値としては、20wt%以上である。他
方上限値としては、70wt%以下である。活性炭の含
有率が10wt%未満の場合、オゾン除去に機能する活
性炭量が不足するためオゾン除去が十分にはなされな
い。一方80wt%を越える場合、ガス吸着用シートの
強度が低下し、加工性が悪くなることがある。
【0023】本発明で使用するアルカリ金属化合物およ
びアルカリ土類金属化合物としては、それぞれアルカリ
金属およびアルカリ土類金属を含有する無機又は有機化
合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ア
ルカリ金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、リ
チウムなどのアルカリ金属類の水酸化物;酸化物;炭酸
塩、炭酸水素塩、酢酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸
塩、こはく酸、フタル酸、フタル酸水素などの水溶性の
塩;ハロゲン化物などが挙げられる。またアルカリ土類
金属化合物としては、カルシウム、マグネシウム、バリ
ウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;酸化物;炭酸
塩、酢酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩などの水溶性の塩;
ハロゲン化物などが挙げられる。使用に当たってはこれ
らのアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物
の一種または二種以上が使用できる。アルカリ金属化合
物やアルカリ土類金属化合物は、液状として使用しても
よいし、ペースト状として使用してもよい。
【0024】本発明において、ガス吸着層中のアルカリ
金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の添加量は、ガ
ス吸着層中の活性炭に対して10〜100wt%が好ま
しい。より好ましい範囲について述べると、下限値とし
ては、15wt%以上であり、より好ましくは20wt
%以上である。他方上限値としては、95wt%以下で
あり、より好ましくは90wt%以下である。アルカリ
金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の含有量が10
wt%より少ないとオゾン除去効果が小さくなるという
問題があり、100wt%より多いと、オゾン除去性能
は上がるが難燃性に劣るという問題がある。
【0025】本発明において、ガス吸着用シートに含ま
れるアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の
全含有量は、ガス吸着用シートに対して5〜60wt%
が好ましい。より好ましい範囲について述べると、下限
値としては、7wt%以上であり、より好ましくは10
wt%である。他方上限値としては、55wt%以下で
あり、より好ましくは50wt%以下である。アルカリ
金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の含有量が5w
t%より少ないと、オゾン除去効果が低いという問題が
あり、60wt%より多いと、難燃性に劣るという問題
がある。
【0026】本発明で使用する難燃剤としては難溶性難
燃剤が好ましく、例えばメタリン酸アルミニウム、リン
酸メラミン、リン酸マグネシウム、縮合リン酸アミドな
どのリン系難燃剤;水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウムなどの無機系難燃剤が使用できる。これらの難燃
剤を一種または二種以上を併用してもよい。
【0027】本発明において、ガス吸着層中の難燃剤の
添加量は、ガス吸着層中の活性炭に対して30〜130
wt%であることが好ましい。より好ましい範囲につい
て述べると、下限値としては、35wt%以上であり、
より好ましくは40wt%以上である。他方上限値とし
ては、125wt%以下であり、より好ましくは120
wt%以下である。難燃剤の含有量が30wt%より少
ないと、十分な難燃効果が得られず、ULの定める規格
を満足することができないという問題があり、130w
t%より多いと活性炭上のオゾン分割活性点が減少する
ため、ガス吸着用シートのオゾン除去性能が低下すると
いう問題がある。
【0028】本発明において、ガス吸着用シートに含ま
れる難燃剤の全含有量は、ガス吸着用シートに対して5
〜60wt%が好ましい。より好ましい範囲について述
べると、下限値としては、7wt%以上であり、より好
ましくは10wt%である。他方上限値としては、55
wt%以下であり、より好ましくは50wt%以下であ
る。難燃剤の含有量が5wt%より少ないと、十分な難
燃効果が得られず、ULの定める規格を満足することが
できないという問題があり、60wt%より多いと、活
性炭上のオゾン分割活性点が減少するため、ガス吸着用
シートのオゾン除去性能が低下するという問題がある。
【0029】本発明において、シート基材上のガス吸着
層の形成には、コーター法、グラビア法など公知のコー
ティング方法が使用できる。具体的には、活性炭と、ア
ルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少な
くとも一方と、難溶性難燃剤を接着剤及び必要により増
粘剤と共に混合しペースト状とした後、コーター法、グ
ラビア法などによってシート基材上に塗布しガス吸着層
を形成する。シート基材の両側面にガス吸着層を形成す
る場合は、片側面にガス吸着層を形成する上記処理を両
側面において施せばよい。図1(a)乃至(b)にシー
ト基材の両側面にガス吸着層を形成した本発明に係るガ
ス吸着用シートの好適態様例を示す。
【0030】本発明のガス吸着用シートの厚さは、0.
02〜0.3mmが好ましく、より好ましくは0.03
mm〜0.25mmである。0.02mmより薄いとオ
ゾン除去、難燃性の効果が小さく、0.3mmより厚い
とシートが厚くなり、ハニカム形状にシートを加工した
場合に開口率が小さくなって、通過する空気の圧力損失
が大きくなるといった問題が起こるおそれがある。
【0031】本発明のガス吸着用シートの目付は、10
〜150g/m2が好ましい。より好ましくは20〜1
00g/m2である。当該シートが10g/m2より軽い
とオゾン除去、難燃性の効果が小さく、150g/m2
より重いとシートが厚くなり、ハニカム形状にシートを
加工した場合に開口率が小さくなって、通過する空気の
圧力損失が大きくなるといった問題が起こるおそれがあ
る。
【0032】本発明のガス吸着用シートをハニカム形状
とするには、従来公知の加工方法を用いることができ
る。なお本発明においてハニカム形状とは、断面が六画
形状のものの他、四角、正弦波形、ロール形のものなど
中空多角柱、円柱などの中空柱体が連続したものをい
う。例えば、ガス吸着用シートを正弦波形のハニカム形
状とするには、まずガス吸着用シートを賦形ロールに通
して波形に賦形し、波形の当該ガス吸着用シートの片面
または両面に平らなシートを接合する。これを積層化し
て正弦波形のハニカム形状のフィルタとする。ここで、
波形の頂点に接着剤を付けて固定するのが普通である
が、波形のガス吸着用シートを積層するとその間にある
平らなシートは必然的に固定されるので、必ずしも接着
剤を付ける必要はない。なお、接着剤を付ける場合はシ
ートの吸着能を損なわないものを使用する必要がある。
接着剤としては例えば、コーンスターチに若干の合成の
りを混ぜたものが好適に使用できる。図2を参照して、
オゾン除去性能を高めるためには、波形のガス吸着用シ
ートの接着ピッチを小さくし、山高さを低くするとよ
い。好適範囲としては、ピッチ幅は0.5〜8mm、ピ
ッチ高は0.4〜5mmである。
【0033】本発明の空気清浄用フィルタの開口率は、
シートの厚みやピッチ、山の高さを調整することによっ
て制御することができ、好適範囲としては50〜90%
である。開口率が50%未満の場合、通過する流体の圧
力損失が大きくなり、90%を越える場合は、強度面で
耐久性が落ちるおそれがある。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。なお特に断りのない限り、実施
例および比較例に記載された「部」は重量部を、「%」
は「重量%」を示すものとする。
【0035】実施例1 レーヨン(1.5d×5mm)45部、ポリエステル4
5部、バインダーとしてのポリビニルアルコール10部
を混合してスラリーをつくり、これをヤンキー型湿式抄
紙機で抄紙(目付18g/m2、厚さ0.07mm)を
製造した。
【0036】このシート基材の両側表面に、粉末活性炭
(平均粒径10ミクロン、比表面積1200m2
g)、酢酸カリウムおよびメタリン酸アルミニウムを重
量比で2:1:2の割合で混合し、さらにアルギン酸ナ
トリウムを加えて、ペースト状としてシート基材上にコ
ート加工し、目付88g/m2、厚さ0.16mmのガ
ス吸着用シートを製造した。シート基材上に形成された
ガス吸着層の厚さは全体の56%であった。次に、コル
ゲート加工機を用いてガス吸着用シートをピッチ2.2
mm、山高さ1.0mmの片段ボールシートに成形し
た。この片段ボールシートを70段に重ね、切断加工し
て層長15mm、開口率58%のハニカム形状のフィル
タを得た。このフィルタを下記に示す方法によって評価
したところ、圧力損失1.6mmAq、初期オゾン除去
率97%、300時間後オゾン除去率91%であった。
また片段ボールシートの難燃性は、UL94に基づく試
験の結果、V−0の難燃性であった。結果をまとめて表
1に示す。
【0037】評価方法 (圧力損失)ハニカム形状のフィルタを直径65mm、
厚さ15mmに切断し、直径65mmのガラスカラムに
セットする。風速1m/secの条件でフィルタの圧力
損失を測定した。なお、圧力測定はマノスターゲージを
用いて測定した。
【0038】(オゾン除去率)ハニカム形状のフィルタ
を直径65mm、厚さ15mmに切断し、直径65mm
のガラスカラムにセットする。ここにオゾン濃度1PP
Mの空気を1m/secで通し、1回の通過でのオゾン
除去率を測定する。なおオゾン濃度は紫外線吸収法オゾ
ン濃度測定器で測定した。測定条件は、温度25±2
℃、湿度50±5%である。
【0039】(難燃性評価法)ULで定めるUL94V
試験法に基づいて評価した(Standard for Test forFla
mmability of Plastic Materials for Parts in Device
s and Appliances.Vertical Burning Test ;94V-0,94V-
1,94V-2)。UL94試験法に定められた有炎燃焼時
間、無炎燃焼時間から燃焼性のグレードを求め、定めら
れた基準に達しないものは難燃性を不合格とした。
【0040】実施例2 実施例1のシート基材に粉末活性炭(平均粒径10ミク
ロン、比表面積1200m2/g)、酢酸カリウムおよ
びリン酸メラミンを重量比で2:1:1.8の割合で混
合し、さらにアルギン酸ナトリウムを加えて、ペースト
状としてシート基材上にコート加工し、目付88g/m
2、厚さ0.16mmのガス吸着用シートを製造した。
シート基材上に形成されたガス吸着層の厚さは全体の5
8%であった。次に、コルゲート加工機を用いてガス吸
着用シートをピッチ2.2mm、山高さ1.0mmの片
段ボールシートに成形した。この片段ボールシートを7
0段に重ね、切断加工して層長15mm、開口率65%
のハニカム形状のフィルタを得た。このフィルタを下記
に示す方法によって評価したところ、圧力損失1.6m
mAq、初期オゾン除去率97%、300時間後オゾン
除去率90%であった。また片段ボールシートの難燃性
は、UL94に基づく試験の結果、V−0の難燃性であ
った。結果をまとめて表1に示す。
【0041】比較例1 レーヨン(1.5d×5mm)45部、ポリエステル4
5部、バインダーとしてのポリビニルアルコール10部
を混合してスラリーをつくり、これをヤンキー型湿式抄
紙機で抄紙(目付36g/m2、厚さ0.15mm)を
製造した。
【0042】このシート基材の両側表面に、粉末活性炭
(平均粒径10ミクロン、比表面積1200m2
g)、酢酸カリウムおよびメタリン酸アルミニウムを重
量比で2:1:2の割合で混合し、さらにアルギン酸ナ
トリウムを加えて、ペースト状としてシート基材上にコ
ート加工し、目付106g/m2、厚さ0.24mmの
ガス吸着用シートを製造した。シート基材上に形成され
たガス吸着層の厚さは全体の42%であった。次に、コ
ルゲート加工機を用いてガス吸着用シートをピッチ2.
2mm、山高さ1.0mmの片段ボールシートに成形し
た。この片段ボールシートを70段に重ね、切断加工し
て層長15mm、開口率36%のハニカム形状のフィル
タを得た。このフィルタを下記に示す方法によって評価
したところ、圧力損失4.5mmAq、初期オゾン除去
率95%、300時間後オゾン除去率88%であった。
また片段ボールシートの難燃性は、UL94に基づく試
験の結果、V−1の難燃性であった。結果をまとめて表
1に示す。
【0043】比較例2 活性炭(平均粒径20ミクロン、比表面積1200m2
/g)45部、叩解されたマニラ麻パルプ(濾水度30
度)48部、バインダーとしてのポリビニルアルコール
7部を混合してスラリーをつくり、これをヤンキー型湿
式抄シート機で抄シート(目付26g/m2、厚さ0.
12mm)を製造した。
【0044】このシート基材の両側表面に、粉末活性炭
(平均粒径10ミクロン、比表面積1200m2
g)、酢酸カリウムおよびメタリン酸アルミニウムを重
量比で1:1:1.8の割合で混合し、さらにアルギン
酸ナトリウムを加えて、ペースト状としてシート基材上
にコート加工し、目付83g/m2、厚さ0.18mm
のガス吸着用シートを製造した。シート基材上に形成さ
れたガス吸着層の厚さは全体の33%であった。次に、
コルゲート加工機を用いてガス吸着用シートをピッチ
2.2mm、山高さ1.0mmの片段ボールシートに成
形した。この片段ボールシートを70段に重ね、切断加
工して層長15mm、開口率52%のハニカム形状のフ
ィルタを得た。このフィルタを下記に示す方法によって
評価したところ、圧力損失1.8mmAq、初期オゾン
除去率96%、300時間後オゾン除去率78%であっ
た。また片段ボールシートの難燃性は、UL94に基づ
く試験の結果、V−0の難燃性であった。結果をまとめ
て表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】ガス吸着層に、活性炭と、アルカリ金属化
合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方
と、難溶性難燃剤とがそれぞれ含有されている実施例1
乃至4のガス吸着用シートでは、300時間後であって
もオゾン除去率が90%以上維持され、また難燃性評価
は、V−0又はV−1と事務機器の部品として使用でき
るレベルのものであった。一方、シート基材の厚みが
0.14の比較例1のガス吸着用シートでは、圧力損失
が4.5mmAqと実施例と比較して、約3倍である。
またシート基材中に活性炭を混合した比較例2は、オゾ
ン分解剤量は実施例と同等であるが、ガス吸着層の層厚
が40%未満であるため、300時間経過後のオゾン除
去率が78%と低い値となっている。
【0047】
【発明の効果】本発明のガス吸着用シートによれば、オ
ゾンを初めとする人体に有害なガスを効率的に除去する
ことができ、また、圧力損失を小さく抑さえて、且つ、
折り曲げ加工性が良好なガス吸着シートを提供すること
が可能である。また当該シートは長期間使用しても性能
が落ちず、しかもULの定める難燃性の基準を満足する
ものである。従って、事務用機器などの各種分野に適用
することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス吸着層を形成した本発明のガス吸着用シー
トの断面概略図である。
【図2】本発明のガス吸着用シートを片段ボールシート
とした断面概略図である。
【符号の説明】
1:シート基材 2:ガス吸着層 3:活性炭 4:アルカリ金属化合物 5:難燃剤 6:ガス吸着用シート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート基材の両面に、ガス吸着層を形成
    してなるガス吸着用シートであって、シート基材の厚み
    が0.01〜0.1mmであり、且つ、ガス吸着層の厚
    みがガス吸着用シートの厚みに対して40〜90%であ
    ることを特徴とするガス吸着用シート。
  2. 【請求項2】 前記ガス吸着層に、活性炭と、アルカリ
    金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも
    一方と、難燃剤とが含有されてなることを特徴とする請
    求項1に記載のガス吸着用シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のガス吸着用シー
    トを、開孔率が50%〜90%のハニカム形状としてな
    ることを特徴とする空気清浄用フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003047820A (ja) * 2001-08-08 2003-02-18 Toyobo Co Ltd ガス吸着シート及び空気浄化用フィルタ

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