JP2000157294A - β位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミノ酸の製造法 - Google Patents

β位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミノ酸の製造法

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JP2000157294A
JP2000157294A JP10336609A JP33660998A JP2000157294A JP 2000157294 A JP2000157294 A JP 2000157294A JP 10336609 A JP10336609 A JP 10336609A JP 33660998 A JP33660998 A JP 33660998A JP 2000157294 A JP2000157294 A JP 2000157294A
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carbamyl
decarbamylase
asymmetric carbon
methylphenylalanine
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Akira Shimizu
昌 清水
Jun Ogawa
順 小川
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 β位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミノ酸
の4種類の立体異性体の1つを分離する、効率よく簡便
な製造法の開発が望まれていた。 【解決手段】 光学活性α−アミノ酸の製造等に用いら
れているD又はL−デカルバミラーゼが、N−カルバミ
ル−α−アミノ酸のβ位の立体配置の違いを認識してい
ることを発見した。そして、これらの酵素を適切にえら
んで利用することにり、β位に不斉炭素を持つ光学活性
α−アミノ酸の立体異性体の1つを効率よく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品や農薬等の中
間体として用いられるα、β位に不斉炭素を持つ光学活
性アミノ酸の製造法、特にN−カルバミル−D−α−ア
ミノ酸のカルバミル基を除去して対応するD−α−アミ
ノ酸に変換する酵素(以下、D−デカルバミラ−ゼと称
する)、またはN−カルバミル−L−α−アミノ酸のカ
ルバミル基を除去して対応するL−α−アミノ酸に変換
する酵素(以下、L−デカルバミラ−ゼと称する)を使
用したβ位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミノ酸の製
造に関する。例えばスレオニンやイソロイシンを合成法
で製造する場合、副生してくるアロ体を除去する技術と
して利用できる。
【0002】
【従来の技術】β位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミ
ノ酸では4種類の立体異性体が存在するが、これらの共
存する状態(例えばアミノ酸を化学合成した場合)では
目的とする異性体を分離することが必要である。その分
離には、例えば溶解度の差等を利用したジアステレオマ
−相互の分離と、化学的な光学分割等による鏡像体の分
離を組み合わせた方法がとられる為、操作が煩雑で効率
が悪かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、天然又は非
天然のβ位に不斉炭素を持つ光学活性α−アミノ酸の4
つの異性体から目的とするジアステレオマ−を分離する
ための、効率よく簡便な方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、D−α−
アミノ酸の製造等に用いられているD−デカルバミラ−
ゼ、及びL−α−アミノ酸の製造等に用いられているL
−デカルバミラ−ゼについてその性質を精査したとこ
ろ、N−カルバミル−α−アミノ酸のβ位の立体配置の
違いを認識していることを発見し、これらの酵素を利用
することによってβ位に不斉炭素を持つ光学活性α−ア
ミノ酸を効率よく製造する方法を発明することにより本
発明を完成させるに至った。
【0005】即ち、本発明は、式(1) (式中、R1、R2、R3は、それぞれ異なり、かつ C
H(NH2)COOH、CH(NHCONH2)COOH
とはなることはなく、R123*−としてアミノ酸の
特性決定基を表す。C*は不斉炭素原子を表す)で表さ
れるβ位に不斉炭素を持つD−体および/またはL−体
のN−カルバミル−α−アミノ酸に、β位の不斉炭素に
関する立体配置を異にする異性体が共存する状態で、D
−またはL−N−カルバミル−α−アミノ酸をα−アミ
ノ酸に変換する酵素(デカルバミラ−ゼ)を作用させて
不斉加水分解することを特徴とする 式(2) (R1、R2、R3は前記に同じ)で表されるβ位に不斉
炭素を持つα−アミノ酸の、α,β炭素に関わる4つの
立体異性体の内特定の立体異性体を優先的に製造する方
法 に関わる。以下、本発明を詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明者らはβ位に不斉を持つ光
学活性α−アミノ酸であるスレオニン、イソロイシン等
を、D−α−アミノ酸の製造等に用いられているD−デ
カルバミラ−ゼ、及びL−α−アミノ酸の製造等に用い
られているL−デカルバミラ−ゼを用いて、そのそれぞ
れ対応するN−カルバミル−α−アミノ酸より製造する
研究を行っていた際に、該酵素がD体、L体の識別のみ
ではなく、β位の立体配置の違いを認識していることを
発見した。すなわち、スレオニンの例で説明すると、N
−カルバミル−スレオニンの4種の立体異性体(D-およ
びL-スレオニンとD-およびL-アロスレオニンのN−カル
バミル体)の共存する状態でD-体特異的なD−デカル
バミラ−ゼ、例えばアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ
(Agrobacterium sp.) KNK712(FERM BP-1900)由来の
D−デカルバミラ−ゼ等を作用させたところ、D-体特
異的に脱カルバミルされるが、生成してくるD−アミノ
酸のallo体とthreo体の比が基質として用いたN−カル
バミル体の比と大きく異なり、D−allo体が優先的に生
成していた。そこで、その反応の時間的な経過を見たと
ころ、反応の初期においてD− allo体の生成する優先
率が高く、時間と共にallo体と threo体の比が変化し
ており、例えばアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK
712(FERM BP-1900)由来のD−デカルバミラーゼ等を
作用させた場合には反応初期においてD− allo体が優
先的に生成し、時間の経過と共にallo体/threo体比の
値が減少していくという現象を発見した。このようなD
−またはL−デカルバミラ−ゼがβ-位の立体配置を識
別するという知見は、β位に不斉炭素を持つα−アミノ
酸とそのβ位の立体配置を異にする異性体が共存/夾雑
する状態にある場合、当該アミノ酸をN−カルバミル体
とした後適切なカルバミラ−ゼを作用させて一方の異性
体のカルバミル基を優先的に脱離し目的の立体配置を持
つアミノ酸を優先的に得ることに使用することができ
る。その上D−体とL−体のアミノ酸が共存している場
合、即ち4種の異性体のそれぞれ対応するN−カルバミ
ル−α−アミノ酸が共存する状態で、D−デカルバミラ
−ゼまたはL−デカルバミラ−ゼを適宜使用して、4種
の内特定の異性体を優位に取得することができる。式
(1)のβ位に不斉炭素を持つα-アミノ酸のN−カル
バミル体は構造に特に制限はなく、天然・非天然のα-
アミノ酸のカルバミル体が使用できる。 即ち 1、R2、R3は、それぞれ異なりアルキル基、アリ−
ル基、アリ−ルアルキル基、アミノ基、水酸基、チオ−
ル基、環状アミンなどの複素環、スルフォニル基(以
上、置換基を持っていてもよく又保護基で保護されてい
てもよい)、シアノ基、水素原子あるいはハロゲンなど
を表す。 但し、R1、R2、R3は、CH(NH2)−CO
OHやCH(NHCONH2)−COOHとはならない。
置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、アルキ
レンジオキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、
ハロゲン、シアノ基、スルフォニル基など通常の化学化
合物を構成する基をとることができる。アルキル基とし
ては、メチル、エチル、など炭素数1−6のアルキル
基、アリ−ル基としてはフェニル、アリ−ルアルキル基
としてはベンジル、フェネチルなど、アルコキシ基とし
てはメトキシ、エトキシなどをとることができる。
(1)の化合物としては、式(2)のα-アミノ酸のD
−体および/またはL−体のN−カルバミル化合物を使
用することができる。つまりD−アミノ酸またはL−ア
ミノ酸だけのβ位の2種の異性体が共存する状態、D−
アミノ酸とL−アミノ酸のそれぞれのβ位の異性体すな
わち4種の異性体が共存する状態いずれでも適用でき
る。それぞれの異性体の存在比率にも制限はなく、分離
を必要とする程度の割合であれば本発明を使用すること
ができる。例えばN−カルバミル−スレオニン、N−カ
ルバミル−イソロイシン、N−カルバミル−3,4−メ
チレンジオキシフェニルセリン或いはN−カルバミル−
β−メチルフェニルアラニン等で、それぞれのD−およ
び/またはL−体についてβ位の異性体が、任意の割合
で共存する状態で使用する事が出来る。反応は、D−ま
たはL−N−カルバミル−α−アミノ酸を対応するD−
またはL−α−アミノ酸に変換する酵素(デカルバミラ
ーゼ)を式(1)の化合物に作用させて加水分解しカル
バミル基を脱離する。D−N−カルバミル−α−アミノ
酸に選択的に作用する酵素をD−デカルバミラーゼ、L
−N−カルバミル−α−アミノ酸に選択的に作用する酵
素をL−デカルバミラーゼと言う。本発明で用いること
が出来るD−及びL−デカルバミラ−ゼとしては特に限
定されるものではないが、例えばアグロバクテリウム・
スピ−シ−ズ KNK712(FERM BP-1900)、ブラストバク
タ−・スピ−シ−ズ(Blastobacter sp.)A17p-4(FERM
BP-4410)の生産するD−デカルバミラ−ゼあるいはア
ルカリゲネス・キシロソキシダンス(Alcaligenes xylo
soxidans)A35(FERM BP-6383)の生産するL−デカル
バミラ−ゼ等が利用可能である。また、酵素の利用の形
態としては精製酵素のみならず、各種精製段階の粗精製
酵素、該酵素を生産する菌体、その破砕物、その処理
物、或いは担体等に固定化した菌体や各種精製段階の酵
素等が使用できる。デカルバミラ−ゼによる不斉加水分
解の条件、即ちpH、温度、式(1)の基質濃度酵素濃
度などは、使用するデカルバミラ−ゼに応じて適宜決め
ることができる。産生される式(2)のアミノ酸の4つ
の異性体としてはD−体、L−体についてそれぞれエリ
スロ型、スレオ型あるいは、別の表現をすれば、β−炭
素の立体配置が(R)もしくは(S)の場合がありう
る。D−α−アミノ酸であり且つそのα-炭素の立体配
置が(R)である式(1)のN−カルバミルアミノ酸
に、そのβ位の不斉炭素の立体配置を異にする2つの異
性体の共存下、D−デカルバミラ−ゼを作用させると、
優先的に生産される式(2)のアミノ酸のβ位の立体配
置は(R)となる場合、即ち(αR、βR)体となる場
合の多いことが観察された。式(1)のN−カルバミル
−α−アミノ酸の(αR)体と(αS)体とが共存し、
従って4つの異性体が共存する場合でも同じく(αR,
βR)の異性体が優先することが観察された。これは、
アミノ酸のD−体が(αR)配置、L−体が(αS)配
置である式(1)の化合物についてあてはまる。例え
ば、本願の式(1)においてR1、R2、R3が置換また
は無置換のアルキル基、アリ−ル基およびアリ−ルアル
キル基や水酸基でD−体が(αR)配置となる場合であ
って、置換基によっても無置換時とβ炭素の立体配置の
(R,S)表示が同じである式(1)の化合物については、
D−体にD−デカルバミラーゼを作用させるとβ位の不
斉炭素の立体配置は(R)配置となる。本願において具
体的に開示した式(1),(2)の化合物の場合、すべ
てD−体は(αR)配置であり、優先的に生成する
(2)のアミノ酸は(βR)であった。本来、D−また
はL−カルバミラ−ゼは、D−またはL−アミノ酸を識
別する酵素であり、酵素反応の基質となるアミノ酸につ
いては特性決定基(R123*−)のα−炭素に結合
する空間的な位置関係は決まっている。又α−炭素に結
合する他の基もH、NH2、COOH、と共通してい
る。それが立体選択性をより厳密にしていると思われる
が、β−炭素の場合、決まっている基は CH(N
2)COOH 1つで他の基は多様であり、D−体と
L−体とを識別する酵素にとってβ−位の立体選択性は
必須ではない。しかしながら、本発明ではD−またはL
−デカルバミラーゼがβ位を認識し、4種類の異性体の
中から特定の1つの化合物を認識していることは明らか
である。
【0007】脱カルバミル反応に使用する式(1)のN
−カルバミルアミノ酸の濃度は、およそ 0.001%〜2
0%、反応温度やpHは使用するカルバミラーゼに応じ
て通常10−90℃、pH6−9から適宜選ぶことがで
きる。反応は水性媒体、実質的に水媒体中で行う。これ
らは従来知られているD−またはL−カルバミラーゼの
使用条件と特に異なるところはない。
【0008】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0009】(実施例1)20 mMのN−カルバミル−ス
レオニン(4種の異性体それぞれ5 mM)、500 mMリン酸
カリウム緩衝液(pH 6.0)、0.80単位(N−カルバミル
−D−p−ヒドロキシフェニルグリシンより、pH7.
0、30℃の反応で1分間に1μMのD−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンを生成する酵素量を1単位と定義す
る。)のアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK712(F
ERM BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼを含む0.1 m
Lの溶液を30℃で反応させ、経時的に一部サンプリング
して分析を行った。分析は反応によって生成したアミノ
酸を Buckと Kurmmenの方法[Buck,R.H.とKrummen,K.,
ジャ−ナル オブ クロマトグラフィ−( J. Chromato
gr.),387巻,255-265 (1987年)]に従ってO-フタルアル
デヒドとN−アセチル−L−システインによって誘導体
とし、Shim-pack CLC-ODS(M)カラム(4.6×250 mm)を
装着した高速液体クロマトグラフィ−(島津製作所製)
を用い、50 mMのリン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、メタ
ノ−ル、テトラヒドロフランを70:40:2の容量比で含む
溶液を溶離液として分離し、励起波長344 nmで443 nmの
蛍光を検出することによって行った。その結果を図1に
示すが、D体のみが選択的に脱カルバミルされており、
そのうちD−アロスレオニンが優先的に生成しているこ
とが分かった。
【0010】(実施例2)8 mMのN−カルバミル−イソ
ロイシン(4種の異性体それぞれ2 mM)、500 mMホウ酸
−水酸化ナトリウム緩衝液(pH 11.0)、0.68単位のア
グロバクテリウム・スピーシーズ KNK712(FERM BP-190
0)由来のD−デカルバミラ−ゼを含む0.2 mLの溶液を3
0℃で反応させ、経時的に一部サンプリングして分析を
行った。その結果を図2に示すが、D体のみが選択的に
脱カルバミルされており、そのうちD−イソロイシンが
優先的に生成していることが分かった。 (実施例3)6.25mMのN−カルバミル−3,4−メチレ
ンジオキシフェニルセリン(4種の異性体それぞれ1.56
25 mM)、500 mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.5)、1.7単
位のアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK712(FERM
BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼを含む0.2 mLの
溶液を30℃で反応させ、経時的に一部サンプリングして
分析を行った。その結果を図3に示すが、D体のみが選
択的に脱カルバミルされており、そのうちD−エリスロ
−3,4−メチレンジオキシフェニルセリンが優先的に
生成していることが分かった。
【0011】(実施例4)5 mMのN−カルバミル−β−
メチルフェニルアラニン(4種の異性体それぞれ1.25 m
M)、500 mMホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液(pH 9.
0)、1.7単位のアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK
712(FERM BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼを含
む0.2 mLの溶液を30℃で反応させ、経時的に一部サンプ
リングして分析を行った。その結果を図4に示すが、D
体のみが選択的に脱カルバミルされており、そのうちス
レオ−D−β−メチルフェニルアラニンが優先的に生成
していることが分かった。 (実施例5)D−デカルバミラ−ゼを産生するブラスト
バクタ−・スピ−シ−ズ A17p-4(FERM BP-4410)の湿
菌体10%(W/V)、20 mMのN−カルバミル−β−メチルフ
ェニルアラニン(4種の異性体それぞれ5 mM)、200 mM
リン酸緩衝液(pH 7.0)を含む0.2 mLの溶液を30℃で一
晩反応させ、キラルTLC法(Macherey-Nagel社製、CH
IRALPLATE;アセトニトリル、メタノール及び水を4:
1:1で含む展開液によって分離し、0.2 %ニンヒドリン
(アセトン溶液)によって検出)により分析した。その
結果を図5に示すが、D体のみが選択的に脱カルバミル
されており、そのうちスレオ−D−β−メチルフェニル
アラニンが優先的に生成していることが分かった。
【0012】(実施例6)20 mMのN−カルバミル−D
−β−メチルフェニルアラニン(4種の異性体それぞれ
5 mM)、200 mMリン酸緩衝液(pH 7.0)、0.24単位のブ
ラストバクタ−・スピ−シ−ズ A17p-4(FERM BP-441
0)由来のD−デカルバミラ−ゼを含む0.2 mLの溶液を3
0℃で反応させ、一晩反応させ、キラルTLCによって
分析を行った。その結果を図6に示すが、D体のみが選
択的に脱カルバミルされており、そのうちスレオ−D−
β−メチルフェニルアラニンが優先的に生成しているこ
とが分かった。 (実施例7)L−デカルバミラ−ゼを産生するアルカリ
ゲネス・キシロソキシダンス A35(FERM BP-6383)の湿
菌体10%(W/V)、20 mMのN−カルバミル−β−メチルフ
ェニルアラニン(4種の異性体それぞれ5 mM)、200 mM
トリス−塩酸緩衝液(pH 7.4)を含む0.2 mLの溶液を30
℃で一晩反応させ、キラルTLCによって分析を行っ
た。アミノ酸生産量及びカルバミルアミノ酸減少量は高
速液体クロマトグラフィ−法[コスモシ−ル(登録商
標)5C18-ARカラム;35%メタノール水溶液(pH 2.5にリ
ン酸で調整)を溶離液とし、260 nmの吸光度により定
量]によって分析を行った。そしてアミノ酸の光学純度
の分析は、実施例1と同様に Buckと Kurmmenの方法に
よって行った。その結果を図5のカラムb及び図7に示
すが、L体のみが選択的に脱カルバミルされており、そ
のうちスレオ−L−β−メチルフェニルアラニンが優先
的に生成していることが分かった。 (参考例1)アグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK71
2(FERM BP-1900)を生育培地(25g/l グリセリ
ン、5g/l シュ−クロ−ス、5g/l KH2
4、5g/l Na2HPO4、1g/l MgSO4
7H2O、10mg/L MnCl2・4H2O、4g/
l イ−ストエキストラクト、2g/l 尿素、1g/
l D−N−カルバミル−p−ヒドロキシフェニルグリ
シン(pH6.5))で33℃、25時間培養した。こ
の培養液を遠心分離により菌を集め、生理食塩水で菌を
洗浄した後、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH
7.0)に懸濁して超音波によって菌を破砕した後、遠
心分離によって上清を分離して無細胞抽出液を得、その
まま又は精製を行ったものをD−デカルバミラ−ゼ酵素
液として用いた。 (参考例2)ブラストバクタ−・スピ−シ−ズ A17p-4
(FERM BP-4410)を生育培地(1g/l KH2PO4
1g/l K2HPO4、0.3g/l MgSO4・7
2O、3g/l イーストエキストラクト、3g/l
肉エキス、10g/l グリセリン、2g/l ポリ
ペプトン、1.5g/l ウラシル(pH7.0))で
28℃、7日間培養し、遠心分離によって菌を集め、生
理食塩水で菌を洗浄することにより菌体を調製した。無
細胞抽出液の調製は、この菌体を0.01Mリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.0)に懸濁して直径0.25mm
のガラスビーズを用いて菌を破砕した後、遠心分離によ
って上清を分離した。そしてそのまま又は精製を行った
ものをD−デカルバミラーゼ酵素液として用いた。 (参考例3)アルカリゲネス・キシロソキシダンス A35
(FERM BP-6383)を生育培地(1g/l KH2PO4
1g/l K2HPO4、0.3g/l MgSO4・7
2O、3g/l イ−ストエキストラクト、10g/
l グリセリン、1g/lNH4Cl、1.5g/l
N−カルバミル−L−ロイシン(pH7.0))で28
℃、1日間培養し、遠心分離によって菌を集め、生理食
塩水で菌を洗浄することによりL−デカルバミラ−ゼを
含む菌体を調製した。
【0013】
【発明の効果】本発明は、β位に不斉炭素を持つα−ア
ミノ酸の4つの立体異性体から目的とする異性体を優先
的に取得する方法を提供する。スレオニンやイソロイシ
ンなどの合成製造法においてアロ-体との分離に有効で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】N−カルバミル−スレオニンの4種の異性体
に、アグロバクテリウム・スピーシーズ KNK712(FERM
BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼを作用させた反
応によるD−アミノ酸の生産。
【図2】N−カルバミル−イソロイシンの4種の異性体
に、アグロバクテリウム・スピ−シ−ズ KNK712(FERM
BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼを作用させた反
応によるD−アミノ酸の生産。
【図3】N−カルバミル−3,4−メチレンジオキシフ
ェニルセリンの4種の異性体に、アグロバクテリウム・
スピ−シ−ズ KNK712(FERM BP-1900)由来のD−デカ
ルバミラ−ゼを作用させた反応によるD−アミノ酸の生
産。
【図4】 N−カルバミル−β−メチルフェニルアラニ
ンの4種の異性体にアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ
KNK712(FERM BP-1900)由来のD−デカルバミラ−ゼ
を作用させた反応によるD−アミノ酸の生産。
【図5】 N−カルバミル−β−メチルフェニルアラニ
ンの4種の異性体にD−デカルバミラ−ゼを産生するブ
ラストバクタ−・スピ−シ−ズ A17p-4(FERM BP-441
0)(カラムa)またはL−デカルバミラ−ゼを産生す
るアルカリゲネス・キシロソキシダンス A35(FERM BP-
6383)(カラムb)の湿菌体を作用させた反応により産
生されたアミノ酸のキラルTLCによる分析。
【図6】 N−カルバミル−β−メチルフェニルアラニ
ンの4種の異性体にブラストバクタ−・スピ−シ−ズ A
17p-4(FERM BP-4410)由来のD−デカルバミラ−ゼを
作用させた反応により産生されたアミノ酸のキラルTL
Cによる分析。
【図7】N−カルバミル−β−メチルフェニルアラニン
の4種の異性体にL−デカルバミラ−ゼを産生するアル
カリゲネス・キシロソキシダンス A35(FERMBP-6383)
の湿菌体を作用させた反応により産生されたアミノ酸の
高速液体クロマトグラフィ−法による分析。上段に反応
後の分析結果を、下段に4種のメチルフェニルアラニン
(Mphe)異性体のピークの保持時間を標準として示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:05) C07M 7:00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) (式中、R1、R2、R3は、それぞれ異なり、かつ C
    H(NH2)COOH、CH(NHCONH2)COOH
    とはなることはなく、R123*−としてアミノ酸の
    特性決定基を表す。C*は不斉炭素原子を表す)で表さ
    れるβ位に不斉炭素を持つD−体および/またはL−体
    のN−カルバミル−α−アミノ酸に、β位の不斉炭素に
    関する立体配置を異にする異性体が共存する状態で、D
    −またはL−N−カルバミル−α−アミノ酸をα−アミ
    ノ酸に変換する酵素(デカルバミラ−ゼ)を作用させて
    不斉加水分解することを特徴とする式(2) (R1、R2、R3は前記に同じ)で表されるβ位に不斉
    炭素を持つα−アミノ酸の、α,β炭素に関わる4つの
    立体異性体の内特定の立体異性体を優先的に製造する方
    法。
  2. 【請求項2】 D−N−カルバミル−α−アミノ酸のカ
    ルバミル基を除去して対応するD−α−アミノ酸に変換
    する酵素(以下、D−デカルバミラ−ゼと称する)を、
    D−N−カルバミル−α−アミノ酸またはD−およびL
    −N−カルバミル−α−アミノ酸に作用させる請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 用いる酵素がアグロバクテリウム(Agro
    bacterium ) 属またはブラストバクタ−(Blastobacte
    r)属由来のD−デカルバミラ−ゼである請求項2記載
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 アグロバクテリウム属由来のD−デカル
    バミラ−ゼがアグロバクテリウム・スピ−シ−ズ(Agro
    bacteriumsp.)KNK712(FERMBP-1900)由来のD−デカ
    ルバミラ−ゼである請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 ブラストバクタ−属由来のD−デカルバ
    ミラ−ゼが、ブラストバクタ−・スピ−シ−ズ(Blasto
    bacter sp.) A17p-4(FERM BP-4410)由来のD−デカ
    ルバミラ−ゼである請求項3記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 D−体またはD−体およびL体のN−カ
    ルバミル−α−アミノ酸が、それぞれD−体またはD−
    体およびL−体のスレオニン、イソロイシン、3,4−
    メチレンジオキシフェニルセリン、又はβ−メチルフェ
    ニルアラニンのN−カルバミル体であり、式(2)のα
    −アミノ酸の特定の立体異性体が、それぞれD−アロ・
    スレオニン、D−イソロイシン、エリスロ−D−3,4
    −メチレンジオキシフェニルセリン、又はスレオ−D−
    β−メチルフェニルアラニンである請求項2,3もしく
    は4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 D−体またはD−体およびL体のN−カ
    ルバミル−α−アミノ酸がD−体またはD−体およびL
    体のβ−メチルフェニルアラニンのN−カルバミル体で
    あり、式(2)のα−アミノ酸の特定の立体異性体がス
    レオ−D−β−メチルフェニルアラニンである請求項
    2,3もしくは5記載の製造法。
  8. 【請求項8】 D−N−カルバミル−α−アミノ酸がR
    −N−カルバミル−α−アミノ酸の場合で、D−カルバ
    ミラーゼを作用して得られるα−アミノ酸のβ−炭素の
    立体配置が(R)配置となる請求項2,3,4、5,6
    もしくは7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】L−N−カルバミル−α−アミノ酸のカル
    バミル基を除去して対応するL−α−アミノ酸に変換す
    る酵素(以下、L−デカルバミラ−ゼと称する)をL−
    体またはD−およびL−体のN−カルバミル−α−アミ
    ノ酸に作用させる請求項1記載の製造方法。
  10. 【請求項10】L−デカルバミラ−ゼがアルカリゲネス
    属由来のL−デカルバミラ−ゼである請求項9記載の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 アルカリゲネス属由来のL−デカルバ
    ミラ−ゼがアルカリゲネス・キシロソキシダンス(Alca
    ligenes xylosoxidans)A35(FERM BP-6383)由来のL
    −デカルバミラ−ゼである請求項10記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 L−体またはD−体およびL−体のN
    −カルバミル−α−アミノ酸がL−体またはD−体およ
    びL−体のβ−メチルフェニルアラニンのN−カルバミ
    ル体であり、式(2)のα−アミノ酸の特定の立体異性
    体が、スレオ−L−β−メチルフェニルアラニンである
    請求項9,10もしくは11に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004007741A1 (ja) * 2002-07-12 2004-01-22 Kaneka Corporation 光学活性β−アミノニトリル化合物及びその対掌体アミド化合物の製造方法

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