JP2000155972A - 光ピックアップ - Google Patents

光ピックアップ

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JP2000155972A
JP2000155972A JP10346589A JP34658998A JP2000155972A JP 2000155972 A JP2000155972 A JP 2000155972A JP 10346589 A JP10346589 A JP 10346589A JP 34658998 A JP34658998 A JP 34658998A JP 2000155972 A JP2000155972 A JP 2000155972A
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Yasuo Hachi
羽地  泰雄
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体レーザ素子の共振器長の製造誤差のば
らつきが生じても、戻り光によるノイズの発生を抑制す
ることができる光ピックアップを提供する。 【解決手段】 半導体レーザ素子1より射出されたレー
ザ光Lをコリメータレンズ3で平行光に変換して対物レ
ンズ4に入射し、光スポットを光ディスク読み取り面に
形成して、この光スポットの反射光を受光センサ6によ
り受光することにより前記光ディスク上の情報を再生す
る光ピックアップにおいて、前記半導体レーザ素子の出
射端面と前記光ディスクとの間の光路長が、式[半導体
レーザ素子の実効共振器長×m(mは整数)×(1+
0.5)]で与えられる長さの場合であって、前記光路
長が前記半導体レーザ素子の共振器長の誤差に起因し
て、式[実効共振器長×(N±0.25)(Nは正
数)]で与えられる範囲内の長さになるときは、屈折率
が1以上の光路長補正光学素子11をコリメータレンズ
3と対物レンズ4との間の光路中に介在させる。これに
より、半導体レーザ素子の共振器長の製造誤差のばらつ
きが生じても、戻り光によるノイズの発生を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクに記録
された情報を読みとる光ピックアップに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、光ピックアップでは半導体レー
ザ素子より出射された光ビームがレンズ系によりスポッ
トに集光されてディスク面の情報を読みとるとき、ディ
スク面からの反射光が、復路の光学系を通じて、半導体
レーザ素子に帰還すると、ディスク面が外部の共振器と
なって、半導体レーザ素子の発振波長の決定に作用し、
電流の増加や外部環境の変化で素子温度が変化して光発
生の利得変動で波長がジャンプし、いわゆる戻り光のモ
ードホップノイズが発生する。この結果、読み取りスポ
ットの光量変動や、ランダムな情報でないノイズが発生
してサーボ動作の不安定や読み取り信号のC/N劣化に
よりジッターが増加する等の問題があった。
【0003】この点を図5を参照して説明する。半導体
レーザ素子1から出射されたレーザ光Lは分割線2Aに
より3分割された周知のホログラム2を介してコリメー
タレンズ3に入射して平行光になされ、更に対物レンズ
4により集光されて光ディスクD上に読み取り用の光ス
ポット5を形成する。光ディスクDからの反射光は、上
記とは逆の光路を通り、すなわち対物レンズ4、コリメ
ータレンズ3及びホログラム2を通ってここで回折さ
れ、受光センサ6にて検出される。この受光センサ6
は、複数、例えば6つに分割されて中心にフォーカス・
RF検出用素子6Aを設け、この両側にトラッキング・
RF検出用素子6Bを設けている。
【0004】ここで、光ディスクDから情報を再生し、
フォーカスサーボを動作させながら、再生している光デ
ィスクDの高さを±1mm程度の範囲内で変化したと
き、あるディスク高さで、再生信号のレベルが変動し、
再生信号にノイズが混入し、ジッターが劣化する。この
時の様子を図6に示す。ここでディスク高さの変化は光
路長の変化として表れ、ディスクの位置を横軸とし、縦
軸を再生信号のジッターとしている。ここでは、ディス
ク高さ位置の異なる2つの光ピックアップA、Bを用い
ており、光路長の変動により信号波形の片方のレベルが
変動する現象が観測され、またジッターが劣化してい
る。
【0005】これは半導体レーザ素子1(出射端面1
a)から光ディスクDまでの光路長が半導体レーザ素子
1の実効共振器長を光スペクトルアナイザで計測し、検
討した結果、実効共振器長の整数倍に光路長が近くなる
ディスク高さになった場合、戻り光で半導体レーザ素子
1の出力振幅が変動し、また、戻り光ノイズでノイズレ
ベルが上昇してジッターが劣化していると推定される。
換言すれば、ホログラム2の回折によって、0次光及び
±1次光が形成されるが、受光センサ6により光電変換
されるのは1次光であり、0次光は半導体レーザ素子1
の方へ戻るのでこの種のホログラムを用いた光ピックア
ップでは戻り光が多くなるる。このため、半導体レーザ
素子1に対して光ディスクDの反射面は外部共振器とし
て強く作用することになる。
【0006】図7(A)はこの外部共振器の原理を示す
構成図であり、半導体レーザ素子1の共振器長L1に対
して、光ディスクDの反射面に対応する外部反射鏡7が
半導体レーザ素子1の出射端面からL2の距離で存在す
る構成である。この状態での発振波長はレーザ素子自身
の共振器長L1で決まる内部モードと、外部反射鏡7に
よる外部共振器によって決まる外部モードがある。外部
共振器長は半導体レーザ素子1の共振器長L1より長い
ため、外部モードの波長間隔△λeは内部モードで決ま
る波長間隔△λより小さい(図7(B)参照)。波長は
光利得分布と共振器長モードで決まる。波長の決定過程
での外部共振器の影響は、外部共振器長が実効共振器長
(後述)の整数倍であるか、非整数倍であるかで異な
る。また、光ディスクからの戻り光量の強さ(戻り光比
率)によって影響が異なることが種々の研究で解明され
ている。
【0007】例えば、半導体レーザ素子の端面から光デ
ィスクの反射面までの実効距離LR(距離×屈折率)が
半導体レーザ素子の実効共振器長LD(共振器長×分散
を考慮した屈折率)の整数倍に近いとき(LR=m×L
D)CW動作のI−L特性には出力の鋭いうねり(出力
変動)が現れることが発表されている(反射光による半
導体レーザのI−L非直線化とスペクトル変化、昭和5
4年春 応物学会 複合共振器半導体レーザにおけるm
ulti−stability 昭和54年春応物学
会)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点の対策とし
て、以下に示すような公報にて開示されているように高
周波重畳回路を用いてマルチモード化する方法が知られ
ている。特公昭59−9086号公報や特公平6−66
059号公報では半導体レーザ素子に高周波発振回路に
よる電圧を重畳してレーザ光をパルス化し、発光をマル
チモード化する方法が示されている。また、特開平5−
89465号公報や特開平8−139418号公報では
光路長が変化するときについて記述されている。このよ
うな高周波重畳回路により、縦シングルモード発振の半
導体レーザ素子をマルチモード化し、重畳信号の周波数
を光路長に対して最適に設定することにより、戻り光に
よるモードホップノイズを低減できる。
【0009】しかし、高周波重畳電圧の周波数は350
MHz以上であるため、半導体レーザ素子の内部インピ
ーダンスが適当でないと半導体レーザ素子チップに電圧
が加わらない。即ち、半導体レーザ素子のリード線イン
ダクタンスが数nH(ヘンリー)で、レーザチップの抵
抗が数オームで並列容量が数十pFであると、レーザチ
ップに流される電流の周波数特性が高周波帯域で低下す
る。このような場合は必要なDC光パワーを出力する直
流電流に加算した高周波電流によって発光する光出力が
パルス化され難くなりマルチモード化して、コヒーレン
シーを低下する効果が少なくなる。このため、高周波印
加電圧のレベルを高くすることとなり、この結果、高周
波重畳回路で発振させた電流は通路のリードをアンテナ
として不要輻射される。
【0010】不要輻射対策として、導電体でレーザ素子
部を囲うシールド対策を十分する必要が生じ、導通抵抗
の小さいシールドケースや導電路で不要輻射を抑圧させ
る貫通コンデンサーが必要となる。また、高周波重畳レ
ベルを高くするため高周波重畳発振回路のトランジスタ
ーに通電する電流が大きくなり、その結果、消費電流が
大きくなり、発熱が大きくなるなどの問題などが発生す
る。また、半導体レーザ素子の共振器長に関係した対策
を光路長に取り入れても、半導体レーザ素子の共振器長
が変化すると最適光路長からはずれてノイズの発生する
光路長となるため問題となる。
【0011】このように、戻り光ノイズ対策は高周波重
畳回路による半導体レーザ素子のマルチモード化でコヒ
ーレンス長を短くすると共に、レーザ素子の実効共振器
長に対応した光路長での対策をとりつつ、レーザ素子の
の共振器長の変動にも対応した複合した対策が必要であ
るが、解決策が提案されていないのが実情である。すな
わち、光ピックアップの光路長は機構的に決まってしま
うが、もし、半導体レーザ素子の共振器長が製造過程に
おいてばらついて変動すると、光ディスク面を反射面と
する外部共振器長とした戻り光の影響が発生しにくい光
路長にある半導体レーザ素子を基本にピックアップの光
路長を設定しても、製造誤差により共振器長がばらつい
た別なレーザ素子に対しては、都合の悪い光路長にな
り、これにより戻り光によるノイズが発生するので、こ
のような状態を出来るだけ少ない追加の手段で防ぐこと
が必要である。本発明は、以上のような問題点に着目
し、これを有効に解決すべく創案されたものであり、そ
の目的は、半導体レーザ素子の共振器長の製造誤差のば
らつきが生じても、戻り光によるノイズの発生を抑制す
ることができる光ピックアップを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、半導体レー
ザ素子の共振器長のばらつきに応じて、光ピックアップ
の光路長を変えられるように構成することにより、再生
光ディスクが上下動してもジッターが劣化するような光
路長を避けるように構成することができる、という知見
を見い出すことにより本発明に至ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体レーザ
素子より射出されたレーザ光をコリメータレンズで平行
光に変換して対物レンズに入射し、光スポットを光ディ
スク読み取り面に形成して、この光スポットの反射光を
受光センサにより受光することにより前記光ディスク上
の情報を再生する光ピックアップにおいて、前記半導体
レーザ素子の出射端面と前記光ディスクとの間の光路長
が式[半導体レーザ素子の実効共振器長×m(mは整
数)×(1+0.5)]で与えられる長さの場合であっ
て、前記光路長が前記半導体レーザ素子の共振器長の誤
差に起因して式[実効共振器長×(N±0.25)(N
は正数)]で与えられる範囲内の長さになるときは、屈
折率が1以上の光路長補正光学素子を光路中に介在させ
るようにしたものである。これにより、製造工程におい
て半導体レーザ素子の共振器長がばらついて、光路長と
の関係が大きくずれた時には、光路長補正光学素子を前
記コリメータレンズと前記対物レンズとの間の光路中に
設けることによって、光路長を修正して共振器長の誤差
を吸収し、これにより、戻り光によるノイズの混入を防
止し、ジッターの劣化を抑制する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る光ピックア
ップの一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は
本発明の光ピックアップの光学系の一例を示す構成図、
図2は図1に示す光学系の主要部を示す構成図、図3は
半導体レーザ素子の共振器長のばらつき具合を示すグラ
フである。図示するように、この光ピックアップ10の
構成は、コリメータレンズ3と対物レンズ4との間の光
路中に光路長補正光学素子11を介在させた以外は、図
5に示す従来の光ピックアップと全く同様に構成されて
いる。すなわち、図中、1は読み取り用のレーザ光Lを
出力する半導体レーザ素子であり、1aはレーザ素子1
の出射端面、2は分割線2Aにより3分割された周知の
ホログラム、3はコリメータレンズ、4は対物レンズ、
6は反射光を受光する受光センサである。この受光セン
サ6は例えば6つに短冊状に分割されて、中心にフォー
カス・RF検出用素子6Aを設け、両側にトラッキング
・RF検出用素子6Bを設けており、RF信号とフォー
カス及びトラッキング制御用のサーボ信号を得るように
なっている。
【0015】そして、上記光路長補正光学素子11は、
図示例ではコリメータレンズ3と対物レンズ4との間の
光路途中に介在されている。ここで重要な点は、半導体
レーザ素子1の共振器長が設計値に対してばらつきが非
常に少ない時には、上記光路長補正光学素子11を設け
る必要がなく、製造過程で共振器長が設計値に対してば
らつきが大きくなった時に上記光路長補正光学素子11
をコリメータレンズ3と対物レンズ4との間に介在させ
るという点である。光ディスクDとしては、例えばCD
やDVDを用いることができ、光源である半導体レーザ
素子1から出射された楕円形のレーザ光Lの光束はホロ
グラム2を通じて、コリメータレンズ3で集光され平行
光にされる。平行光は光学素子11を設けていない場合
には、対物レンズ4に入射され、光ディスクDの透明媒
体を通して情報面にスポットを形成する。ROMディス
クの場合、情報面に形成されたピットで光スポット5が
回折作用で強度変調される。反射光は対物レンズ4、コ
リメータレンズ3(光学素子を設けていない場合)を通
じてホログラム2で分割され、受光センサ6に結像して
受光され、光電変換し、RF信号、サーボ信号が形成さ
れる。
【0016】ホログラム2は反射光を分割するが、その
断面が矩形で鋸波状にブレーズされたものではないた
め、回折光に0次光、±1次光が形成される。光電変換
されるのは1次光であり、0次光は読み取りに使われる
のではなく、レーザ素子1の方へ戻る。このため、発光
源のレーザ素子1に対して、光ディスクの反射面(読み
取り面)DAは外部共振器としての作用が強くなる。以
上の点は、先に説明した通りである。そして、半導体レ
ーザ素子1の共振器長が、製造過程において設計値より
も大きくずれている時には、上記した光路長補正光学素
子11を介在させることによって、光路長をその分だけ
長くし、戻り光によるノイズの発生を抑制する。
【0017】一般的に、光ピックアップの光路長は半導
体レーザ素子1の中心的な可干渉距離に基づいて決定す
る。そして、半導体レーザ素子1は共振器の形成を劈開
によっており、反射面を形成するため、結晶をある長さ
で折ってウエハより作成する。ウエハよりレーザ素子チ
ップに分割する工程には種々の方式が提案されている。
例えば、特開平6−318635号公報ではダイシング
手段としてダイヤモンド針によるカッター部でウエハ上
に切削傷を形成し、この傷により劈開でウエハをバー状
に分割している。この方式では切削傷の深さで分割の寸
法精度が変化することが説明されている。また、特開平
5−304339号公報では半導体レーザウエハに劈開
ラインに沿ってスクライブ傷を付け、粘着性シートでウ
エハを挟み込み、劈開ラインに垂直な方向に引っ張り力
を加えて劈開させる方法やある曲率面の金属治具で平面
部から押して劈開させる方法が示されている。また、半
導体レーザ素子の生産設備に関係して共振器長を450
μmに設定しても、どの方法を採用してレーザ素子のブ
ロック片を形成したかにより±10μm程度のばらつき
となる場合や±50μm程度のばらつきになる場合が存
在する。
【0018】図3はその時の共振器長のばらつきの具合
を示しており、ここでは600μmの目標共振器長に対
して500個のサンプルを製造しており、このグラフか
ら明らかなように、現行の技術では最大±50μm(±
10%)程度の誤差が発生することは避けられない。こ
れに対して、光ピックアップの光路長はレーザ素子のあ
る中心的な共振器長を対象にして、機械的な寸法の設計
を行い、決定する。また、筐体は金型をおこし、これで
生産する。この場合、レーザ素子の共振器長のばらつき
に対応して光ピックアップの光路長の異なる複数の金型
を準備することになり、コストアップとなっていたが、
本発明では、光路長補正光学素子11をレーザ素子の共
振器長のばらつきに応じて選択時に設けるようにしてい
るので、金型は例えば1つで済む。
【0019】一般的に、レーザ素子1の射出面(出射端
面)1aから光ディスク面に至る光路長は、式[実効共
振器長×m(整数)×(1+0.5)]で与えられる値
となるように設計される。ここで実効共振器長とは、半
導体レーザ素子の共振器長にこの実効屈折率を乗算した
値である。そして、レーザ素子の製造誤差に起因して、
上記光路長が、式[実効共振器長×(N±0.25)
(Nは正数)]で与えられる範囲内の長さ、すなわち光
路長が、実効共振器長×(N−0.25)〜実効共振器
長×(N+0.25)の範囲内になった時には、誤差が
大き過ぎるので、上記光路長補正光学素子11を介在さ
せて光路長の調整を行なう。これに対して、レーザ素子
の製造誤差に起因して、上記光路長が、実効共振器長×
(N+0.5±0.25)の範囲になっている時、すな
わち実効共振器長×(N+0.25)〜実効共振器長×
(N+0.75)の範囲内になっている時には、許容範
囲内であるとして光学素子11は設けず、光路長の調整
は行わない。これにより、いずれの場合にも、すなわち
レーザ素子の共振器長に種々のばらつきが生じても光路
長は略、実効共振器長×m(整数)×(1+0.5)の
長さとなり、戻り光によるノイズの発生を抑制すること
が可能となる。
【0020】ここで図4も参照して半導体レーザ素子の
共振器長の変化の影響について検討する。図4はある光
路長に設定した光ピックアップで共振器長が変化したと
きの望ましい光路長を示すグラフである。例えば実効共
振器長(共振器長450μm)が2.15mmでこれの
21.5倍の46.225mmに共振器長を設定したと
する。この光路長で実効共振器長の整数倍となる光路長
をもとめる。ここで中心の共振器長から、ばらついた場
合の光路長を計算する。ここでは実効共振器長の長さの
変動は共振器長の寸法のばらつきの変化のみで、分散を
考慮した屈折率は変化しないとする。
【0021】まず、450μmの中心共振器長で−10
%、+5%程度のばらつきでどのようになるか検討す
る。このレーザ素子でのコヒーレンスは約4.3/2m
mであり、実効屈折率は4.7程度となる。光ピックア
ップの光路長を、レーザ素子の実効共振器長の整数倍を
避けて21.5倍とする。この結果、光路長は上述のよ
うに46.225mmとなる。ここで、450μm(2
1.5倍)の中心共振器長に対して±45μm程度共振
器長が変化し、±10%程度の共振器長の変化があった
とする。この範囲内で共振器長のみ変化し、実効屈折率
は変化しないとして、レーザ素子の実効共振器長の整数
倍となる光路長を求め、これを図4に示すグラフにす
る。
【0022】ここで光路長に対して、整数倍となる実効
共振器長が問題となる。411.7μm(23.5倍)
(点P1)、430μm(22.5倍)(点P2)、4
71.95μm(20.5倍)(点P3)、496.1
5μm(19.5倍)(点P4)の共振器長のときは非
整数倍である。また、403.13μm(24倍)(点
Q1)、420.65μm(23倍)(点Q2)、43
9.77μm(22倍)(点Q3)、460.71μm
(21倍)(点Q4),483.75μm(20倍)
(点Q5)の共振器長のとき光路長に対して、実効共振
器長は整数倍となる。このため、これを避けて非整数倍
となる光路長はどのようになるかを計算した。その結
果、上記共振器長に対して、47.188mm(24.
5倍)、47.23mm(23.5倍),47.276
mm(22.5倍),47.326mm(21.5
倍),47.381mm(20.5倍)の光路長は非整
数倍となる。
【0023】ここで中心値として47.3mmを第二の
光路長とすると仮定する。この光路長は、前記46.2
25mmに設定した共振器長に対して実効共振器長の整
数倍となる共振器長のときに略良好な光路長である。こ
こで、この光路長に切り替える切り替え点を求める。共
振器長が444.83μm(21.75倍)(点R1)
のとき光路長46.7563mmは22倍であり、4
7.3mmの光路長でディスク高さが0.5437mm
低くなった場合この条件になる。他方、光路長を46.
225mmとしたときは0.5313mm分ディスク高
さが高くなると整数倍となる。従って、この共振器長に
対しては47.3mmのほうがディスク高さの変化に対
して大きいため良い。これにより、[整数倍−0.25
倍]の共振器長は47.3mmがよい。また、共振器長
が455.29μm(21.25倍)(点R2)に対し
ては光路長47.3mmでは47.8565mmで0.
5565mm分ディスク高さが下がると問題となる。ま
た、光路長46.225mmに対しては45.6812
mmで+0.5438mmで問題となる。この2つのデ
ィスク高さ変化の大きい方をとるとすると0.25倍か
ら正数倍までの共振器長は光路長の長い方を選択させ
る。
【0024】このように光路長を可変させるために、屈
折率nが空気と異なってn>1の材料による、例えば平
板ガラスよりなる上記した光路長補正光学素子11を挿
入して介在させる構成をとる。いまこの光学素子11
を、屈折率n=1.55の材料で1.876mmの厚み
とすると、これを挿入したときの光路長の変化は(1.
55−1)×1.876=1.031mmとなり、光路
長は空気のときより長くなる。また、これが無いときは
1.876mmの光路長となり、機械的な同一寸法で上
記光路長の差を得ることができ、1つの金型での筐体で
2種の光路長を得ることができる。
【0025】また、この2つの光路長間である程度の共
振器長の変動範囲を確保して、光ピックアップの戻り光
によるノイズ発生に対してサーボ動作等を安定化させる
ことができる。これにより、空気の場合と同じ寸法で光
路長を屈折率にリンクして長くできるため、すべての範
囲で平等に最適化したものではないが、光路長を可変さ
せることができる。これにより光ピックアップの光路長
が半導体レーザ素子の実効共振器長の整数倍になること
を阻止して、戻り光ノイズが発生するのを防ぐことがで
きる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ピック
アップによれば、次のように優れた作用効果を発揮する
ことができる。半導体レーザ素子の共振器長が製造誤差
によるぱらつきで変化しても、ある程度、最適な光路長
になるように光路途中に光路長補正光学素子を挿入する
ことにより、光路長を1段階、可変し、これにより実効
共振器長の整数倍の光路長となることを阻止し、戻り光
による出力変化の発生を防止し、同時にノイズを発生す
る不安定な動作状態を避けることができる。これによ
り、低コストで不安定な戻り光ノイズ発生の状態を回避
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ピックアップの光学系の一例を示す
構成図である。
【図2】図1に示す光学系の主要部を示す構成図であ
る。
【図3】半導体レーザ素子の共振器長のばらつき具合を
示すグラフである。
【図4】所定の光路長に設定した光ピックアップで共振
器長が変化したときの望ましい光路長を示すグラフであ
る。
【図5】従来の光ピックアップを示す構成図である。
【図6】光路長の変化に対するジッターの特性を示す図
である。
【図7】外部共振器の原理を示す構成図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ素子、2…ホログラム、3…コリメー
タレンズ、4…対物レンズ、6…受光センサ、10…光
ピックアップ、11…光路長補正光学素子、D…光ディ
スク、L…レーザ光。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ素子より射出されたレーザ
    光をコリメータレンズで平行光に変換して対物レンズに
    入射し、光スポットを光ディスク読み取り面に形成し
    て、この光スポットの反射光を受光センサにより受光す
    ることにより前記光ディスク上の情報を再生する光ピッ
    クアップにおいて、前記半導体レーザ素子の出射端面と
    前記光ディスクとの間の光路長が式[半導体レーザ素子
    の実効共振器長×m(mは整数)×(1+0.5)]で
    与えられる長さの場合であって、前記光路長が前記半導
    体レーザ素子の共振器長の誤差に起因して式[実効共振
    器長×(N±0.25)(Nは正数)]で与えられる範
    囲内の長さになるときは、屈折率が1以上の光路長補正
    光学素子を前記コリメータレンズと前記対物レンズとの
    間の光路中に介在させるようにしたことを特徴とする光
    ピックアップ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7313073B2 (en) 2002-03-13 2007-12-25 Rohm Co., Ltd. Optical pickup and optical disk system

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7313073B2 (en) 2002-03-13 2007-12-25 Rohm Co., Ltd. Optical pickup and optical disk system

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