JP2000154372A - 帯電緩和膜、画像形成装置、およびその製造方法 - Google Patents

帯電緩和膜、画像形成装置、およびその製造方法

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JP2000154372A
JP2000154372A JP5122499A JP5122499A JP2000154372A JP 2000154372 A JP2000154372 A JP 2000154372A JP 5122499 A JP5122499 A JP 5122499A JP 5122499 A JP5122499 A JP 5122499A JP 2000154372 A JP2000154372 A JP 2000154372A
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Nobuaki Oguri
宣明 大栗
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペーサ用の高抵抗膜の成膜の再現性が難し
い。熱工程で抵抗値が変化しやすい。 【解決手段】 ゲルマニウムと遷移金属とを含む窒素化
合物を有する帯電緩和膜10c。ゲルマニウムと遷移金
属とを含む窒素化合物を有し、ゲルマニウムの窒化率が
50%以上である帯電緩和膜10c、外囲器8内に、電
子放出素子1、画像形成部材5、及び、スペーサ10と
を備える画像形成装置において、スペーサ10は基材表
面に、帯電緩和膜10cを有するスペーサである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を内
包する容器内に配置される帯電緩和膜、及び、容器内
に、電子放出素子と画像形成部材とスペーサとを備える
画像形成装置、更には、該画像形成装置の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】奥行きの薄い平面型ディスプレイは省ス
ペースかつ軽量であることから、ブラウン管型ディスプ
レイに置き変わるものとして注目される。現在平面型デ
ィスプレイには液晶型、プラズマ発光型、マルチ電子源
を用いたものがある。プラズマ発光型およびマルチ電子
源ディスプレイは視野角が大きく、画質がブラウン管並
みであるために高品位な画像の表示が可能である。
【0003】図14は多数の微小な電子源を使用したデ
ィスプレイの断面模式図であり、51がガラスからなる
リアプレート52上に形成された電子源、54は蛍光体
等が形成されたガラスからなるフェースプレートであ
る。電子源は高密度化が可能な円錐状あるいは針状の先
端から電子を電界放出させる電界放出型電子放出素子あ
るいは表面伝導型電子放出素子などの冷陰極型電子放出
素子が開発されている。この図14は電子源を駆動する
ための配線は省略してある。ディスプレイの表示面積が
大きくなるにしたがい、内部の真空と外部の大気圧差に
よる基板の変形を抑えるためリアプレートおよびフェー
スプレートを厚くする必要がある。これはディスプレイ
の重量を増加させるのみならず、斜めから見たときに画
像のひずみをもたらす。そこで、比較的薄いガラス板を
使用して大気圧を支えるためリアプレートとフェースプ
レートとの間はスペーサあるいはリブと呼ばれる構造支
持体が用いられる。電子源が形成されたリアプレートと
蛍光体が形成されたフェースプレートとの間は通常サブ
ミリないし数ミリに保たれ、前述したように内部は高真
空に保持されている。
【0004】電子源からの放出電子を加速するために電
子源と蛍光体との間には数百V以上の高電圧が不図示の
アノード電極(メタルバック)に印加されている。すな
わち、蛍光体と電子源との間には電界強度にして1kV/mm
を越える強電界が印加されるため、スペーサ部での放電
が懸念される。また、スペーサは近傍電子源から放出さ
れた電子の一部が当たることにより、あるいは放出電子
によりイオン化した正イオンがスペーサに付着すること
により帯電をひきおこす。スペーサの帯電により電子源
から放出された電子はその軌道を曲げられ、蛍光体上の
正規な位置とは異なる場所に到達し、表示画像を前面ガ
ラスを介して見たとき、スペーサ近傍の画像がゆがんで
表示される。
【0005】この問題点を解決するために、スペーサに
微小電流が流れるようにして帯電を除去する提案がなさ
れている(特開昭57-118355号公報、特開昭61-124031号
公報)。そこでは絶縁性のスペーサの表面に高抵抗薄膜
を形成することにより、スペーサ表面に微小電流が流れ
るようにしている。ここで用いられている帯電緩和膜は
酸化スズ、あるいは酸化スズと酸化インジウム混晶薄膜
や金属膜である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例に使用され
た酸化スズ等の薄膜はガスセンサに応用されるほど酸素
等のガスに敏感なため雰囲気でその抵抗値が変化しやす
い。また、これらの材料や金属膜は比抵抗が小さいため
に高抵抗化するには島状に成膜したり、極めて薄膜化す
る必要がある。
【0007】すなわち、従来の高抵抗膜は成膜の再現性
が難しかったり、ディスプレイ作製工程でのフリット封
着やベーキング(ディスプレイ内を真空にひきながら加
熱する工程)といった熱工程で抵抗値が変化しやすいと
いう欠点がある。
【0008】本発明は、上述の問題に鑑みなされた発明
であって、その主たる目的は、電子放出素子を内包する
容器内の帯電を低減する帯電緩和膜を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、熱的に安定な、上記帯電緩
和膜を提供することにある。
【0009】また、本発明の目的は、放出電子への悪影
響を低減し得る、上記帯電緩和膜を提供することにあ
る。
【0010】また、本発明の目的は、帯電が低減される
スペーサを備える画像形成装置を提供することにある。
【0011】また、本発明の目的は、熱的に安定な、上
記スペーサを備える画像形成装置を提供することにあ
る。
【0012】また、本発明の目的は、スペーサによる放
出電子への悪影響が低減され、画像形成部材への照射位
置ずれの極力少ない画像形成装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の帯電緩和膜は、
ゲルマニウムと遷移金属とを含む窒素化合物を有するこ
とを特徴とするものである。
【0014】本発明の帯電緩和膜は、ゲルマニウムと遷
移金属とを含む窒素化合物を有し、前記ゲルマニウムの
窒化率が50%以上であることを特徴とするものであ
る。
【0015】本発明の画像形成装置は、外囲器内に、電
子放出素子、画像形成部材、及び、スペーサとを備える
画像形成装置において、前記スペーサは基材表面に、上
記のいずれかの帯電緩和膜を有するスペーサであること
を特徴とする。
【0016】本発明の画像形成装置の製造方法は、外囲
器内に、電子放出素子、画像形成部材、及び、スペーサ
とを備える画像形成装置の製造方法において、基材表面
に上記のいずれかの帯電緩和膜を被覆しスペーサを形成
する工程と、該スペーサ、電子放出素子、及び、画像形
成部材を外囲器内に配置後、該外囲器を非酸化雰囲気と
して、該外囲器の封着を行う工程を有することを特徴と
する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に詳述される帯電緩和膜は、
電子放出素子を用いた画像形成装置のスペーサ表面に適
用されるのが本発明において好ましい態様であるが、該
画像形成装置と同様に、容器内に電子放出素子を内包す
る装置で、上述同様の問題を生じるような場合において
は、該容器内面あるいは容器内に配置された部材表面に
適用することで、上述した帯電による放出電子の軌道へ
の悪影響を低減でき、あるいは、装置の製造時の熱工程
による該帯電緩和膜の特性変化を低減することができる
といった同様の効果を得ることができる。
【0018】帯電緩和膜は絶縁性基材の表面を導電性膜
で被覆することにより、絶縁性基材表面に蓄積した電荷
を除去するものであり、通常、帯電緩和膜の表面抵抗
(シート抵抗Rs)が1012Ω以下であることが望まし
い。さらに、十分な帯電防止効果を得るためにはより低
い抵抗値であればよく1011Ω以下であることが好まし
く、より低抵抗であれば除電効果が向上する。
【0019】帯電緩和膜を上記ディスプレイのスペーサ
に適応した場合においては、スペーサの表面抵抗値Rsは
帯電防止および消費電力からその望ましい範囲に設定さ
れる。シート抵抗の下限はスペーサにおける消費電力に
より制限される。低抵抗であるほどスペーサに蓄積する
電荷を速やかに除去することが可能となるが、スペーサ
で消費される電力が大きくなる。スペーサに使用する帯
電緩和膜としては比抵抗が小さい金属膜よりは半導電性
の材料であることが好ましい。その理由は比抵抗が小さ
い材料を用いた場合、表面抵抗Rsを所望の値にするため
には帯電緩和膜の厚みを極めて薄くしなければならない
からである。薄膜材料の表面エネルギーおよび基板との
密着性や基板温度によっても異なるが、一般的に10nmよ
り小さい薄膜は島状となり、抵抗が不安定で成膜再現性
に乏しい。
【0020】従って、比抵抗値が金属導電体より大き
く、絶縁体よりは小さい範囲にある半導電性材料が好ま
しいのであるが、これらは抵抗温度係数が負の材料が多
い。抵抗温度係数が負であると、スペーサ表面で消費さ
れる電力による温度上昇で抵抗値が減少し、さらに発熱
し温度が上昇しつづけ、過大な電流が流れる、いわゆる
熱暴走を引き起こす。しかし、発熱量すなわち消費電力
と放熱がバランスした状況では熱暴走は発生しない。ま
た、帯電緩和膜材料の抵抗温度係数(TCR)の絶対値が
小さければ熱暴走しにくい。
【0021】TCRが−1%の帯電緩和膜を用いた条件で
スペーサ1平方cm当たりの消費電力がおよそ0.1Wを越え
るようになるとスペーサに流れる電流が増加しつづけ、
熱暴走状態となることが実験で認められた。これはもち
ろんスペーサ形状とスペーサ間に印加される電圧Vaおよ
び帯電緩和膜の抵抗温度係数により左右されるが、以上
の条件から、消費電力が1平方cmあたり0.1Wを越えない
Rsの値は10×Va2/h2Ω以上である。尚、hは該スペーサ
が配置される部材間距離で、上記ディスプレイにおいて
は、フェースプレートとリアプレート間の距離である。
すなわち、平面型ディスプレイで代表される画像形成装
置のhは1cm以下に設定されるので、スペーサ上に形
成した帯電緩和膜のシート抵抗Rsは10×Va2Ωから1011
Ωの範囲に設定されることが望ましい。
【0022】上述したように絶縁性基材上に形成された
帯電緩和膜の厚みtは10nm以上が望ましい。一方膜厚t
が1μmを超えると膜応力が大きくなって膜はがれの危険
性が高まり、また成膜時間が長くなるため生産性が悪
い。従って、膜厚は10nm〜1μm、さらに好適には20〜50
0nmであることが望ましい。
【0023】比抵抗ρはシート抵抗Rsと膜厚tの積であ
り、以上に述べたRsとtの好ましい範囲から、帯電緩和
膜の比抵抗ρは10-7×Va2Ωm〜105Ωmであることが望
ましい。さらにシート抵抗と膜厚のより好ましい範囲を
実現するためには、ρは(2×10-7)Va2Ωm〜5×104Ω
mとするのが良い。
【0024】ディスプレイにおける電子の加速電圧Vaは
100V以上であり、CRTに通常用いられる高速電子用
蛍光体を平面型ディスプレイに用いた場合に十分な輝度
を得るためには1kV以上の電圧を要する。Va=1kVの条件
においては、帯電緩和膜の比抵抗は0.1Ωm〜105Ωmが
好ましい範囲である。
【0025】以上に述べた帯電緩和膜の特性を実現する
材料を鋭意検討した結果、特に、ゲルマニウムと遷移金
属との窒素化合物が、帯電緩和膜として極めて優れてい
ることを見いだした。遷移金属はTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,
Cu,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W等の中から選ばれるものであり、
これらを単独で使用しても良いが、2種以上の遷移金属
を合わせて用いることも可能である。遷移金属またはそ
の窒化物は良導電体であり、窒化ゲルマニウムは絶縁体
である。よって、上記の窒素化合物膜は遷移金属とゲル
マニウムとの組成を調整することにより、良導電体から
絶縁体まで広い範囲に比抵抗値を制御できる。すなわ
ち、スペーサ用帯電緩和膜として望ましい上述した比抵
抗値を遷移金属組成を変えることにより実現することが
できる。
【0026】ここで、ゲルマニウムとCr、Ti、Ta
の窒化化合物では金属組成(遷移金属/ゲルマニウム)
に対して比抵抗が変化する。上述した好ましい比抵抗が
得られる遷移金属比率はCrの場合およそ3at.%〜
50at.%、Tiは30at.%〜68at.%、T
aは35at.%〜80at.%である。また、遷移金
属がMoの場合Moの原子比(Mo/Ge)はおよそ3
at.%〜50at.%、Wの場合にはおよそ3〜60
at.%である。
【0027】さらには後述する画像形成装置作製の工程
においてとりわけ、上述の遷移金属とゲルマニウムとの
窒素化合物の帯電緩和膜は、抵抗値の変化が少なく安定
な材料であることがわかった。かつ、その抵抗温度係数
は負であるが絶対値は1%より小さく熱暴走しにくい材
料である。さらに、窒化物は二次電子放出率が小さいこ
とから、電子の照射により帯電しにくく、電子線を利用
したディスプレイに適した材料である。
【0028】本発明の帯電緩和膜である上述の遷移金属
とゲルマニウムとの窒素化合物膜はスパッタ法、反応性
スパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング
法、イオンアシスト蒸着法、CVD法等の薄膜形成手段
により絶縁性基材上に形成することができる。たとえば
スパッタ法の場合は、ゲルマニウムおよび遷移金属のタ
ーゲットを窒素あるいはアンモニアの少なくとも一方を
含むガス中でスパッタすることにより、スパッタ金属原
子を窒化し、上述の遷移金属とゲルマニウムとの窒素化
合物膜が得られる。あらかじめ組成を調整したゲルマニ
ウムと遷移金属の合金ターゲットを用いることも可能で
ある。ガス圧、窒素分圧、成膜速度等のスパッタ条件を
調整することにより、窒化膜中の窒素量が変化するが、
十分窒化させたほうが膜の安定性が良い。
【0029】窒化物の抵抗値は窒化膜中の窒素濃度や欠
陥によっても変化するものであるが、欠陥に起因する導
電性は熱工程で欠陥が緩和されると変化してしまう。し
たがって、十分窒化されており、欠陥の少ない窒化膜の
ほうが抵抗値の安定性に優れたものとなりやすい。本発
明でスペーサに用いられる帯電緩和膜はゲルマニウムは
窒化物を形成し、導電性は遷移金属元素により付与され
るために安定性がよいのである。抵抗値が安定な窒素化
合物膜を得ることができるという点でゲルマニウム原子
の50at.%以上が窒化物であることが好ましく、特
に、60%以上が好ましい。
【0030】スペーサ表面の窒素化合物膜が酸化されな
い雰囲気で画像形成装置を製造するのが望ましいが、封
着工程のように画像表示装置の作製工程で高温酸化雰囲
気にさらされることもある。化学量論比より少ない窒素
含有量の窒化物は酸化されやすく、また本発明で用いら
れる窒素化合物膜は多結晶であるが、結晶配向が良いほ
うが酸化されにくい傾向がある。帯電に影響する二次電
子放出率は表面の数十nmの材質により支配されるた
め、画像表示装置工程中で表面が酸化され二次電子放出
率が大きくなると除電効果が小さくなる。したがって、
スペーサに用いる窒化物としては酸化層が形成されにく
い性質、すなわち十分窒化されている、あるいは結晶配
向性がよい窒化膜が好ましい。
【0031】高いエネルギーの窒素イオンを薄膜の堆積
表面に入射させる作製条件、たとえば基体に負のバイア
スを印加しながらスパッタ蒸着する条件において、窒化
物中の窒素含有量(窒化率)を高くすることができる。
この作製条件は結晶配向性がよくなる傾向があり、窒化
率の向上は帯電緩和膜の性能向上をもたらすものであ
る。本発明において、窒化率とはゲルマニウム元素に対
し、窒化物となっているそれらの原子濃度比であり、X
PS(X線光電子分光装置)により測定した値である。
【0032】ただし、窒化膜の表面が酸化され、酸化層
が形成されても表面酸化層の二次電子放出率が低い場
合、あるいは低二次電子放出率材料で被覆されていても
帯電防止効果が発揮される。
【0033】以上、帯電緩和膜をディスプレイ用スペー
サに用いた場合を説明したが、上述の窒素化合物は高融
点材料でかつ硬度が高い性質を有するので、ディスプレ
イのスペーサ用途のみならず前述したように、容器内に
電子放出素子を内包する装置の、容器内面あるいは容器
内に配置された部材表面に被覆し、他は以上のスペーサ
の仕様と同様に用いるならば有用性が高い材料である。
【0034】ここで本発明において用いられる電子放出
素子としては、熱電子型と冷陰極型の2種類が知られて
いる。 冷陰極型電子放出素子には既に説明した電界放
出型(以下FE型と略す)、表面伝導型電子放出素子
や、金属/絶縁層/金属型(以下MIM型と略す)等が
ある。本発明における電子放出素子の方式は特に限定さ
れないが、特に冷陰極型が好適に用いられる。
【0035】表面伝導型電子放出素子の例としては、M.
I.Elinson、Radio Eng. Electron Pys.、10、(1965)等があ
る。表面伝導型電子放出素子は基板上に形成された小面
積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子
放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導
型電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittme
r:"Thin Solid Films"、9、317(1972)] 、In23/S
nO2薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:"I
EEE Trans. ED Conf."、519(1975)]、カーボン薄膜によ
るもの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、22頁
(1983)]等が報告されている。また、後述する実
施形態で説明するような電子放出部等に微粒子膜を用い
たものもある。FE型の例としてはW.P.Dyke&W.W.Dola
n、"Field emission"、Advance in Electron Physics、8、8
9(1956) あるいはC.A.Spindt,"PHYSICAL Properties of
thin-film field emission cathodes with molybdeniu
m cones",J.Appl.Phys.,47,5248(1976)等が知られてい
る。MIM型の例としてはC.A.Mead、"The tunnel-emiss
ion amplifier、J.Appl.Phys.、32、646(1961)等が知られ
ている。
【0036】本発明の画像形成装置は、以下のような形
態を有するものであってもよい。
【0037】(1) 画像形成装置は、入力信号に応じ
て電子放出素子から放出された電子を画像形成部材に照
射して画像を形成するものである。特に、前記画像形成
部材が蛍光体である画像表示装置を構成することができ
る。
【0038】(2) 前記電子放出素子は、複数の行方
向配線と複数の列方向配線とでマトリクス配線された複
数の冷陰極素子を有する単純マトリクス状配置をとるこ
とができる。
【0039】(3) 前記電子放出素子は、並列に配置
した複数の冷陰極素子の個々を両端で接続した冷陰極素
子の行を複数配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交す
る方向(列方向と呼ぶ)に沿って、冷陰極素子の上方に
配した制御電極(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素
子からの電子を制御するはしご状配置をとることができ
る。
【0040】(4) また、本発明の思想によれば、画
像表示装置に限るものでなく、感光性ドラムと発光ダイ
オード等で構成された光プリンタの発光ダイオード等の
代替の発光源として用いることもできる。またこの際、
上述のm本の行方向配線とn本の列方向配線を、適宜選
択することで、ライン状発光源だけでなく、2次元状の
発光源としても応用できる。この場合、画像形成部材と
しては、以下の実施例で用いる蛍光体のような直接発光
する物質に限るものではなく、電子の帯電による潜像画
像が形成されるような部材を用いることもできる。
【0041】また、本発明の思想によれば、例えば電子
顕微鏡のように、電子源からの放出電子の被照射部材
が、蛍光体等の画像形成部材以外のものである場合につ
いても、本発明は適用できる。従って、本発明は被照射
部材を特定しない一般的電子線装置としての形態もとり
うる。
【0042】以下、本発明の帯電緩和膜およびその帯電
緩和膜を用いたスペーサを備えた画像形成装置について
図面を用いて具体的に述べる。
【0043】図1はスペーサ10を中心とした画像形成
装置の断面模式図である。同図において、1は電子源、
2はリアプレート、3は側壁、7はフェースプレートで
あり、リアプレート2,側壁3,フェースプレート7に
より表示パネルの内部を真空に維持するための気密容器
(外囲器8)を形成している。
【0044】スペーサ10は絶縁性基材10aの表面に
本発明に係わる帯電緩和膜10cが形成されている。ス
ペーサ10は外囲器8内を真空にすることにより大気圧
を受けて、真空外囲器8が破損あるいは変形するのを避
けるために設けられる。スペーサ10の材質、形状、配
置、配置本数は外囲器8の形状ならびに熱膨張係数等、
外囲器の受ける大気圧、熱等を考慮して決定される。ス
ペーサの形状には、平板型、十字型、L字型等があり、
また図15(a),(b)のように基板に各電子源又は
複数の電子源に対応して穴を開けた形状でもよく、適宜
設定される。スペーサ10の利用は、画像形成装置が大
型化するにしたがって効果が顕著になる。
【0045】絶縁性基材10aはフェースプレート7お
よびリアプレート2にかかる大気圧を支持する必要から
ガラス、セラミクス等の機械的強度が高く耐熱性の高い
材料が適する。フェースプレート、リアプレートの材質
としてガラスを用いた場合、画像形成装置作製工程中の
熱応力を抑えるために、スペーサ絶縁性基材10aはで
きるだけこれらの材質と同じものか、同様の熱膨張係数
の材料であることが望ましい。
【0046】絶縁性基材10aにソーダガラス等アルカ
リイオンを含むガラスを使用した場合、例えばNaイオン
により帯電緩和膜の導電性等を変化させるおそれがある
が、窒化Si、酸化Al等の Naブロック層10bを絶縁性基
材10aと帯電緩和膜10cの中間に形成することでNa等
アルカリイオンの帯電緩和膜10cへの侵入を抑制する
ことができる。
【0047】帯電緩和膜10cはゲルマニウムと遷移金
属との窒化化合物膜であり、例えば遷移金属として、T
i,Cr,Taを用いた。
【0048】スペーサ10はメタルバック6および電子
源を駆動するためのX方向配線9(詳しくは後述する)
と電気的に接続することにより、スペーサ10の両端に
はほぼ加速電圧Vaが印加される。本例ではスペーサは配
線上と接続されているが別途形成した電極に接続させて
もよい。さらに、フェースプレート7とリアプレート2
との間に電子ビームの整形あるいは基板絶縁部の帯電防
止を目的とした中間電極板(グリッド電極等)を設置し
た構成においては、スペーサが中間電極板等を貫通して
もよいし、中間電極板等を介して別々に接続してもよ
い。
【0049】Al,Au等良導電性である電極11をスペー
サの両端に形成すると、帯電緩和膜とフェースプレート
上の電極およびリアプレート上の電極との電気的接続の
向上に効果がある。
【0050】次に、上記スペーサ10を用いた画像形成
装置の基本構成について説明する。
【0051】図2は、上記スペーサを用いた表示パネル
の斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を
切り欠いて示している。
【0052】図2において、図1と同様に、2はリアプ
レート、3は側壁、7はフェースプレートであり、リア
プレート2、側壁3、フェースプレート7により表示パ
ネルの内部を真空に維持するための気密容器(外囲器
8)を形成している。気密容器を組み立てるにあたって
は、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持させる
ため封着する必要があるが、たとえばフリットガラスを
接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、摂氏
400〜500度で10分以上焼成することにより封着
するが、窒素等非酸化雰囲気中で行った方がスペーサ表
面に形成した窒素化合物膜が酸化しないために好まし
い。気密容器内部を真空に排気する方法については後述
する。
【0053】リアプレート2には、基板13が固定され
ているが、該基板上には冷陰極型電子放出素子1がN×
M個形成されている(N,Mは2以上の正の整数であ
り、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。た
とえば、高品位テレビジョンの表示を目的とした画像形
成装置においては、N=3000,M=1000以上の
数を設定することが望ましい。)。前記N×M個の冷陰
極型電子放出素子は、M本のX方向配線9とN本のY方向
配線12により単純マトリクス配線されている。前記、
冷陰極型電子放出素子1、X方向配線9、Y方向配線1
2、基板13によって構成される部分をマルチ電子ビー
ム源と呼ぶ。なお、マルチ電子ビーム源の製造方法や構
造については、後で詳しく述べる。
【0054】本実施形態例においては、気密容器のリア
プレート2にマルチ電子ビーム源の基板13を固定する
構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板13が十分な
強度を有するものである場合には、気密容器のリアプレ
ートとしてマルチ電子ビーム源の基板13自体を用いて
もよい。
【0055】また、フェースプレート7の下面には、蛍
光膜5が形成されている。本実施形態例はカラー画像形
成装置であるため、蛍光膜5の部分にはCRTの分野で
用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分けら
れている。各色の蛍光体は、たとえば図4(a)に示す
ようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のストライ
プの間には黒色体5bが設けてある。黒色体5bを設ける
目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあっても
表示色にずれが生じないようにすることや、外光の反射
を防止して表示コントラストの低下を防ぐことなどであ
る。黒色体5bには、黒鉛を主成分として用いたが、上
記の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いて
も良い。又は黒色体5bを導電性としても良い。
【0056】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は前記
図4(a)に示したストライプ状の配列に限られるもの
ではなく、たとえば図4(b)に示すようなデルタ状配
列や、それ以外の配列であってもよい。
【0057】なお、モノクロームの表示パネルを作成す
る場合には、単色の蛍光体材料を蛍光膜5に用いればよ
く、また黒色導電材料は必ずしも用いなくともよい。
【0058】また、蛍光膜5のリアプレート側の面に
は、CRTの分野では公知のメタルバック6を設けてあ
る。メタルバック6を設けた目的は、蛍光膜5が発する
光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させることや、
負イオンの衝突から蛍光膜5を保護することや、電子ビ
ーム加速電圧を印加するための電極として作用させるこ
とや、蛍光膜5を励起した電子の導電路として作用させ
ることなどである。メタルバック6は、蛍光膜5をフェ
ースプレート基板4上に形成した後、蛍光膜表面を平滑
化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により形成
した。なお、蛍光膜5に低加速電圧用の蛍光体材料を用
いた場合には、メタルバック6は用いない場合がある。
【0059】また、本実施形態例では用いなかったが、
加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上等を目的とし
て、フェースプレート基板4と蛍光膜5との間に、たと
えばITOを材料とする透明電極を設けてもよい。
【0060】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよび
Hvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気的
に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子であ
る。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源のX方向配線と、
Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源のY方向配線と、Hv
はフェースプレートのメタルバック6と電気的に接続し
ている。
【0061】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10-5[Pa]程度の圧力ま
で排気する。その後、排気管を封止するが、気密容器内
の圧力を維持するために、封止の直前あるいは封止後に
気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不図示)を形成
する。ゲッター膜とは、たとえばBaを主成分とするゲ
ッター材料をヒーターもしくは高周波加熱により加熱し
蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜の吸着作用に
より気密容器内は10-3ないしは10-5[Pa]の圧力に維持
される。
【0062】次に、前記実施形態例の表示パネルに用い
たマルチ電子ビーム源の製造方法について説明する。本
発明の画像形成装置に用いるマルチ電子ビーム源は、冷
陰極型電子放出素子を単純マトリクス配線した電子源で
あれば、冷陰極型電子放出素子の材料や形状あるいは製
法に制限はない。したがって、たとえば表面伝導型電子
放出素子やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極型電
子放出素子を用いることができる。
【0063】ただし、表示画面が大きくてしかも安価な
画像形成装置が求められる状況のもとでは、これらの冷
陰極型電子放出素子の中でも、表面伝導型電子放出素子
が特に好ましい。すなわち、FE型ではエミッタコーン
とゲート電極の相対位置や形状が電子放出特性を大きく
左右するため、極めて高精度の製造技術を必要とする
が、これは大面積化や製造コストの低減を達成するには
不利な要因となる。また、MIM型では、絶縁層と上電
極の膜厚を薄くてしかも均一にする必要があるが、これ
も大面積化や製造コストの低減を達成するには不利な要
因となる。その点、表面伝導型電子放出素子は、比較的
製造方法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が
容易である。また、本発明者らは、表面伝導型電子放出
素子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子
膜から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、し
かも製造が容易に行えることを見いだしている。したが
って、高輝度で大画面の画像形成装置のマルチ電子ビー
ム源に用いるには、最も好適であると言える。そこで、
上記実施形態例の表示パネルにおいては、電子放出部も
しくはその周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型電
子放出素子を用いた。そこで、まず好適な表面伝導型電
子放出素子について基本的な構成と製法および特性を説
明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配線したマ
ルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0064】〔表面伝導型電子放出素子の好適な素子構
成と製法〕電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜か
ら形成する表面伝導型電子放出素子の代表的な構成に
は、平面型と垂直型の2種類があげられる。
【0065】(平面型の表面伝導型電子放出素子)まず
最初に、平面型の表面伝導型電子放出素子の素子構成と
製法について説明する。
【0066】図5(a)は、平面型の表面伝導型電子放
出素子の構成を説明するための平面図、図5(b)は図
5(a)の断面図である。図中、13は基板、14と1
5は素子電極、16は導電性薄膜、17は通電フォーミ
ング処理により形成した電子放出部、18は通電活性化
処理により形成した薄膜である。
【0067】基板13としては、たとえば、石英ガラス
や青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アルミ
ナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述の
各種基板上にたとえばSiO2を材料とする絶縁層を積
層した基板、などを用いることができる。
【0068】また、基板13上に基板面と平行に対向し
て設けられた素子電極14と15は、導電性を有する材
料によって形成されている。たとえば、Ni,Cr,A
u,Mo,W,Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじ
めとする金属、あるいはこれらの金属の合金、あるいは
In23−SnO2をはじめとする金属酸化物、ポリシ
リコンなどの半導体、などの中から適宜材料を選択して
用いればよい。電極を形成するには、たとえば真空蒸着
などの製膜技術とフォトリソグラフィー、エッチングな
どのパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形
成できるが、それ以外の方法(たとえば印刷技術)を用
いて形成してもさしつかえない。
【0069】素子電極14と15の形状は、当該電子放
出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。一般的に
は、電極間隔Lは通常は数十nmから数十μmの範囲から
適当な数値を選んで設計されるが、なかでも画像形成装
置に応用するために好ましいのは数μmより数十μmの範
囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は
数十nmから数μmの範囲から適当な数値が選ばれる。
【0070】また、導電性薄膜16の部分には、微粒子
膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素とし
て多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)のこ
とをさす。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、個々
の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微粒子
が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに重な
り合った構造が観測される。
【0071】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数nmの
1/10から数百nmの範囲に含まれるものであるが、なかで
も好ましいのは1nmから20nmの範囲のものである。ま
た、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条件を考
慮して適宜設定される。すなわち、素子電極14あるい
は15と電気的に良好に接続するのに必要な条件、後述
する通電フォーミングを良好に行うのに必要な条件、微
粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の値にするために
必要な条件、などである。具体的には、数nmの1/10から
数百nmの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいの
は1nmから50nmの間である。
【0072】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、たとえば、Pd,Pt,Ru,Ag,
Au,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a, W,Pb,などをはじめとする金属や、PdO,
SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 ,などをは
じめとする酸化物や、HfB2 ,ZrB2 ,LaB 6
CeB6 ,YB4 ,GdB4 ,などをはじめとする硼
化物や、TiC,ZrC, HfC,TaC,SiC,
WC,などをはじめとする炭化物や、TiN,ZrN,
HfN,などをはじめとする窒化物や、Si,Ge,な
どをはじめとする半導体や、カーボン、などがあげら
れ、これらの中から適宜選択される。
【0073】以上述べたように、導電性薄膜16を微粒
子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、10
3から107[オーム/sq]の範囲に含まれるよう設定
した。
【0074】なお、導電性薄膜16と素子電極14およ
び15とは、電気的に良好に接続されるのが望ましいた
め、互いの一部が重なりあうような構造をとっている。
その重なり方は、図5の例においては、下から、基板、
素子電極、導電性薄膜の順序で積層したが、場合によっ
ては下から基板、導電性薄膜、素子電極、の順序で積層
してもさしつかえない。
【0075】また、電子放出部17は、導電性薄膜16
の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的には周
囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。亀裂
は、導電性薄膜16に対して、後述する通電フォーミン
グの処理を行うことにより形成する。亀裂内には、数nm
の1/10から数十nmの粒径の微粒子を配置する場合があ
る。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正
確に図示するのは困難なため、図5においては模式的に
示した。
【0076】また、薄膜18は、炭素もしくは炭素化合
物よりなる薄膜で、電子放出部17およびその近傍を被
覆している。薄膜18は、通電フォーミング処理後に、
後述する通電活性化の処理を行うことにより形成する。
【0077】薄膜18は、単結晶グラファイト、多結晶
グラファイト、非晶質カーボン、のいずれかか、もしく
はその混合物であり、膜厚は50nm以下とするが、30
nm以下とするのがさらに好ましい。
【0078】なお、実際の薄膜18の位置や形状を精密
に図示するのは困難なため、図5においては模式的に示
した。
【0079】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施形態例においては以下のような素子を用いた。
【0080】すなわち、基板13には青板ガラスを用
い、素子電極14と15にはNi薄膜を用いた。素子電
極の厚さdは100nm、電極間隔Lは2μmとした。
【0081】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約10nm、幅Wは10nm
とした。
【0082】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図6(a)〜(d)
は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明するため
の断面図で、各構成部材において図5の構成部材と同一
なものは同一符号を付する。 1) まず、図6(a)に示すように、基板13上に素
子電極14および15を形成する。形成するにあたって
は、あらかじめ基板13を洗剤、純水、有機溶剤を用い
て十分に洗浄後、素子電極の材料を堆積させる(堆積す
る方法としては、たとえば、蒸着法やスパッタ法などの
真空成膜技術を用ればよい。)。その後、堆積した電極
材料を、フォトリソグラフィー・エッチング技術を用い
てパターニングし、一対の素子電極14,15を形成す
る。 2) 次に、図6(b)に示すように、導電性薄膜16
を形成する。形成するにあたっては、まず素子電極1
4,15が形成された基板13に有機金属溶液を塗布し
て乾燥し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フ
ォトリソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパ
ターニングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄
膜に用いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合
物の溶液である。具体的には、本実施形態例では主要元
素としてPdを用いた。また、実施形態例では塗布方法
として、ディッピング法を用いたが、それ以外のたとえ
ばスピンナー法やスプレー法を用いてもよい。
【0083】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施形態例で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、たとえば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。 3) 次に、図6(c)に示すように、フォーミング用
電源19から素子電極14と素子電極15との間に適宜
の電圧を印加し、通電フォーミング処理を行って、電子
放出部17を形成する。
【0084】通電フォーミング処理とは、微粒子膜で作
られた導電性薄膜16に通電を行って、その一部を適宜
に破壊、変形、もしくは変質せしめ、電子放出を行うの
に好適な構造に変化させる処理のことである。微粒子膜
で作られた導電性薄膜のうち電子放出を行うのに好適な
構造に変化した部分(すなわち電子放出部17)におい
ては、薄膜に適当な亀裂が形成されている。なお、電子
放出部17が形成される前と比較すると、形成された後
は素子電極14と素子電極15の間で計測される電気抵
抗は大幅に増加する。
【0085】通電方法をより詳しく説明するために、図
7に、フォーミング用電源19から印加する適宜の電圧
波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄膜をフ
ォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、
本実施形態例の場合には同図に示したようにパルス幅T
1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。
その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧し
た。また、電子放出部17の形成状況をモニターするた
めのモニターパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの
間に挿入し、その際に流れる電流を電流計20で計測し
た。
【0086】実施形態例においては、たとえば10-3Pa程
度の真空雰囲気下において、たとえばパルス幅T1を1
ミリ秒、パルス間隔T2を10ミリ秒とし、波高値Vpf
を1パルスごとに0.1Vずつ昇圧した。そして、三角
波を5パルス印加するたびに1回の割りで、モニターパ
ルスPmを挿入した。フォーミング処理に悪影響を及ぼ
すことがないように、モニターパルスの電圧Vpmは0.
1Vに設定した。そして、素子電極14と素子電極15
の間の電気抵抗が1×106オームになった段階、すな
わちモニターパルス印加時に電流計20で計測される電
流が1×10-7A以下になった段階で、フォーミング処
理にかかわる通電を終了した。
【0087】なお、上記の方法は、本実施形態例の表面
伝導型電子放出素子に関する好ましい方法であり、たと
えば微粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lな
ど表面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、
それに応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
4) 次に、図6(d)に示すように、活性化用電源2
1から素子電極14と素子電極15の間に適宜の電圧を
印加し、通電活性化処理を行って、電子放出特性の改善
を行う。
【0088】通電活性化処理とは、前記通電フォーミン
グ処理により形成された電子放出部17に適宜の条件で
通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積せしめる処理のことである。図6(d)においては、
炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材18とし
て模式的に示した。なお、通電活性化処理を行うことに
より、行う前と比較して、同じ印加電圧における放出電
流を典型的には100倍以上に増加させることができ
る。
【0089】具体的には、10-1ないし10-4Paの範囲内の
真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に印加することに
より、真空雰囲気中に存在する有機化合物を起源とする
炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。堆積物18は、
単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カー
ボン、のいずれかか、もしくはその混合物であり、膜厚
は50nm以下、より好ましくは30nm以下である。
【0090】通電方法をより詳しく説明するために、図
8(a)に、活性化用電源21から印加する適宜の電圧
波形の一例を示す。本実施形態例においては、一定電圧
の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行った
が、具体的には,矩形波の電圧Vacは14V,パルス幅
T3は1ミリ秒,パルス間隔T4は10ミリ秒とした。な
お、上述の通電条件は、本実施形態例の表面伝導型電子
放出素子に関する好ましい条件であり、表面伝導型電子
放出素子の設計を変更した場合には、それに応じて条件
を適宜変更するのが望ましい。
【0091】図6(d)に示す22は該表面伝導型電子
放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉するための
アノード電極で、直流高電圧電源23および電流計24
が接続されている。なお、基板13を、表示パネルの中
に組み込んでから活性化処理を行う場合には、表示パネ
ルの蛍光面をアノード電極22として用いる。
【0092】活性化用電源21から電圧を印加する間、
電流計24で放出電流Ieを計測して通電活性化処理の
進行状況をモニターし、活性化用電源21の動作を制御
する。電流計24で計測された放出電流Ieの一例を図
8(b)に示すが、活性化電源21からパルス電圧を印
加しはじめると、時間の経過とともに放出電流Ieは増
加するが、やがて飽和してほとんど増加しなくなる。こ
のように、放出電流Ieがほぼ飽和した時点で活性化用
電源21からの電圧印加を停止し、通電活性化処理を終
了する。
【0093】なお、上述の通電条件は、本実施形態例の
表面伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、
表面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、そ
れに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0094】以上のようにして、図6(e)に示す平面
型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0095】(垂直型の表面伝導型電子放出素子)図9
は電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した
表面伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構成、
すなわち垂直型の表面伝導型電子放出素子である。図9
は、垂直型の基本構成を説明するための模式的な断面図
であり、図中の25は基板、26と27は素子電極、2
8は段差形成部材、29は微粒子膜を用いた導電性薄
膜、30は通電フォーミング処理により形成した電子放
出部、31は通電活性化処理により形成した薄膜であ
る。
【0096】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、片方の素子電極26が段差形成部材28上に設けら
れており、導電性薄膜29が段差形成部材28の側面を
被覆している点にある。したがって、前記図5の平面型
における素子電極間隔Lは、垂直型においては段差形成
部材28の段差高Lsとして設定される。なお、基板2
5、素子電極26および27、微粒子膜を用いた導電性
薄膜29、については、前記平面型の説明中に列挙した
材料を同様に用いることが可能である。また、段差形成
部材28には、たとえばSiO2のような電気的に絶縁
性の材料を用いる。
【0097】〔画像形成装置に用いた表面伝導型電子放
出素子の特性〕以上、平面型と垂直型の表面伝導型電子
放出素子について素子構成と製法を説明したが、次に画
像形成装置に用いた素子の特性について述べる。
【0098】図10に、画像形成装置に用いた素子の
(放出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および
(素子電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的
な例を示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べ
て著しく小さく、同一尺度で図示するのが困難であるう
え、これらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメ
ータを変更することにより変化するものであるため、2
本のグラフは各々任意単位で図示した。
【0099】画像形成装置に用いた素子は、放出電流I
eに関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0100】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。すなわ
ち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持っ
た非線形素子である。
【0101】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0102】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0103】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を画像形成装置に好適に用いることがで
きた。たとえば多数の素子を表示画面の画素に対応して
設けた画像形成装置において、第一の特性を利用すれ
ば、表示画面を順次走査して表示を行うことが可能であ
る。すなわち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じ
て閾値電圧Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の
素子には閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する
素子を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次
走査して表示を行うことが可能である。
【0104】また、第二の特性または第三の特性を利用
することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0105】〔多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造〕次に、上述の表面伝導型電子放
出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造について述べる。
【0106】図11に示すのは、前記図5の表示パネル
に用いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板上に
は、前記図5で示したものと同様な表面伝導型電子放出
素子が配列され、これらの素子はX方向配線電極9とY方
向配線電極12により単純マトリクス状に配線されてい
る。X方向配線電極9とY方向配線電極12の交差する部
分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されており、
電気的な絶縁が保たれている。図11のA−A’に沿っ
た断面図を図12に示す。
【0107】なお、このような構造のマルチ電子源は、
あらかじめ基板上にX方向配線電極9、Y方向配線電極1
2、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導型電子放
出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、X方向配
線電極9およびY方向配線電極12を介して各素子に給
電通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことに
より製造した。
【0108】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について図面
を用いて説明する。
【0109】(実施例1)以下、図1を用いて説明す
る。本実施例では、まず、未フォーミングの複数の表面
伝導型電子源1をリアプレート2に形成した。リアプレ
ート2として清浄化した青板ガラスを用い、これに図1
2に示した表面伝導型電子放出素子を160個×720個マト
リクス状に形成した。素子電極14、15はNiスパッタ
膜であり、X方向配線9、Y方向配線12はスクリーン
印刷法により形成したAg配線である。導電性薄膜16は
Pdアミン錯体溶液を焼成したPdO微粒子膜である。
【0110】画像形成部材であるところの蛍光膜5は図
4(a)に示すように、各色蛍光体5aがY方向にのびる
ストライプ形状を採用し、黒色体5bとしては各色蛍光
体5a間だけでなく、X方向にも設けることでY方向の画
素間を分離しかつスペーサー10を設置するための部分
を加えた形状を用いた。先に黒色体(導電体)5bを形
成し、その間隙部に各色蛍光体5aを塗布して蛍光膜5
を作成した。ブラックストライプ(黒色体5b)の材料
として通常よく用いられている黒鉛を主成分とする材料
を用いた。ガラス基板4に蛍光体5aを塗布する方法は
スラリー法を用いた。
【0111】また、蛍光膜5より内面側(電子源側)に
設けられるメタルバック6は、蛍光膜5の作成後、蛍光
膜5の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼
ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作成
した。フェースプレート7には、更に蛍光膜5の導電性
を高めるため、蛍光膜5より外面側(ガラス基板と蛍光
膜の間)に透明電極が設けられる場合もあるが、本実施
例ではメタルバックのみで十分な導電性が得られたので
省略した。
【0112】スペーサー10は清浄化したソーダライム
ガラスからなる絶縁性基材10a(高さ3.8mm,板厚200μ
m,長さ20mm)上に、Naブロック層10bとして窒化シリ
コン膜を0.5μm成膜し、その上にCrとGeの窒化膜1
0cを真空成膜法により形成し成膜した。
【0113】本実施例で用いたCrとGe窒化膜はスパ
ッタリング装置を用いてアルゴンと窒素混合雰囲気中で
CrとGeのターゲットを同時スパッタすることにより
成膜した。
【0114】スパッタ装置については図13のようにな
っている。図13において、41はスパッタチャンバ
ー、42はスペーサ部材、43,44はそれぞれCr,
Geのターゲット、45,47はターゲット43,44
にそれぞれ高周波電圧を印加するための高周波電源、4
6,48はマッチングボックス、49,50にアルゴ
ン,窒素を導入するための導入管である。
【0115】スパッタチャンバーの背圧は、2×10-5
Paであった。スパッタ時には窒素分圧が30%になる
ように、アルゴンと窒素の混合ガスを流した。スパッタ
ガス全圧は0.45Paであった。Crターゲットに1
3W、Geターゲットに150Wの高周波電圧を投入
し、スパッタ時間を調整することにより、CrとGeの
窒化膜を作製した。
【0116】作製したCrとGeの窒化膜は、膜厚が4
5nm、成膜後(as depo)の比抵抗が2.5Ωmのも
の、膜厚が200nm、成膜後(as depo)の比抵抗は
3.5×103Ωmのもの、膜厚が80nm、成膜後(a
s depo)の比抵抗は5.2×106Ωmのものの3種類
である。
【0117】また、スペーサー10は、X方向配線9及
びメタルバック6との電気的接続を確実にするためにそ
の接続部にAlによる電極11を設けた。この電極11は
X方向配線からフェースプレートに向かって50μm,メタ
ルバックからリアプレートに向かって300μmの範囲で外
囲器8内に露出するスペーサー10の4面を完全に被覆
した。ただし、電極11が無くても十分な電気的接続が
とれる場合には電極11を配さなくても良い。CrとG
e窒化膜10cによる帯電緩和膜10cを成膜したスペ
ーサー10を、等間隔でフェースプレート7のX方向配
線9上に固定した。
【0118】その後、電子源1の3.8mm上方にフェース
プレート7を支持枠3を介し配置し、リアプレート2、
フェースプレート7、支持枠3及びスペーサー10の接
合部を固定した。
【0119】リアプレート2と支持枠3の接合部及びフ
ェースプレート7と支持枠3の接合部はフリットガラス
を塗布し(スペーサとフェースプレートとの接合部には
導電性フリットを用いた)、スペーサ表面のゲルマニウ
ムと遷移金属との窒化膜が酸化されないように窒素中で
430℃で10分以上焼成することで封着した。
【0120】スペーサ10はフェースプレート7側では
黒色体5b(線幅300μm)上に、Auを被覆したシリカ球
を含有した導電性フリットガラスを用いることにより、
帯電緩和膜とフェースプレートとの導通を確保した。
尚、メタルバックとスペーサとが当接する領域において
はメタルバックの一部を除去した。
【0121】以上のようにして完成した外囲器8内の雰
囲気を排気管を通じ真空ポンプにて排気し、十分低い圧
力に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ電
子放出素子1の素子電極14、15間に電圧を印加し、
導電性薄膜16を通電処理(フォーミング処理)するこ
とにより電子放出部17を形成した。フォーミング処理
は、図7に示した波形の電圧を印加することにより行っ
た。
【0122】次に排気管を通してアセトンを0.133Paと
なるように真空容器に導入し、容器外端子Dx〜DxmとDy1
〜Dynに電圧パルスを定期的に印加することにより、炭
素、あるいは炭素化合物を堆積する通電活性化処理を行
った。通電活性化は図8に示すような波形を印加するこ
とにより行った。
【0123】次に、容器全体を200℃に加熱しつつ10時
間真空排気した後、10-4Pa程度の圧力で、排気管をガス
バーナーで熱することで溶着し外囲器8の封止を行っ
た。
【0124】最後に、封止後の圧力を維持するために、
ゲッター処理を行った。
【0125】以上のように完成した画像形成装置におい
て、各電子放出素子1には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1
〜Dynを通じ走査信号及び変調信号を不図示の信号発生
手段よりそれぞれ印加することにより電子を放出させ、
メタルバック6には、高圧端子Hvを通じて高圧を印加す
ることにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜5に電子
を衝突させ、蛍光体を励起・発光させることで画像を表
示した。なお、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1kV〜5kV、
素子電極14、15間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0126】スペーサ10について帯電緩和膜10cの
抵抗値を、組み込み前、フェースプレートへの封着後、
リアプレート、真空排気後、素子電極通電処理後等各工
程で計測したところ全行程を通じてほとんど抵抗値の変
動が見られなかった。このことはCrとGe窒化膜が非
常に安定であり、帯電緩和膜として適していることを示
している。
【0127】比抵抗3.5×103Ωmのスペーサにつ
いてはスペーサに近い位置にある電子放出素子1からの
放出電子による発光スポットも含め、二次元状に等間隔
の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性の良いカ
ラー画像表示ができた。このことはスペーサ10を設置
しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れは発生
せず、スペーサ10の帯電もおこっていないことを示し
ている。また、本材料の抵抗温度係数は−0.8%であ
り、Va=5kVにおいても熱暴走はみられなかった。
【0128】比抵抗2.5ΩmのスペーサについてはVa
=2kVでの消費電力がほぼ1Wに達するため2kVを越えて印
加することができなかった。また、比抵抗が5.2×1
6Ωmと大きいスペーサについては、熱暴走はないも
のの、帯電防止の効果が弱く、電子ビームがスペーサに
引き寄せられたためにスペーサ近傍の画像に乱れを生じ
た。
【0129】本実施例に用いたスペーサの窒化率(窒化
ゲルマニウムを構成するゲルマニウムの原子濃度/ゲル
マニウムの原子濃度)をXPS(X線光電子分光分析機
構)により測定した結果、70,65,58%であっ
た。
【0130】(比較例)比較例として前記と同様な方法
で導電性膜にCrとGe窒化膜の代わりにSnO2を用いた
(as depo 抵抗値 6.7×108Ω、膜厚5nm)。スパッタ装
置としては図13に示した装置を用い、金属ターゲット
の代わりにSnO2ターゲットを用いてスパッタを行っ
た。スパッタガスはアルゴンで全圧は0.5Pa、投入
電圧は500Wで5分成膜を行った。
【0131】各組立て工程において導電性膜10cの抵
抗値が大きく変動した。全組立工程通過後には比抵抗は
9.2×10-2Ωm、抵抗値で1.8×106Ωになり、Vaを1kVま
で印加することができなかった。すなわち、ディスプレ
イ作製工程で抵抗が大きく変化し、かつその変化量が一
定でないため、工程終了後の抵抗のバラツキが大きくな
り制御性に乏しい。また、このSnO2の比抵抗値では膜厚
を1nm以下と極めて薄くしなければならず、さらに抵抗
の制御性は難しい。
【0132】(実施例2)実施例1と異なるのはスペー
サー10のCrとGe窒化膜10cの代わりとしてTa
とGeの窒化化合物膜を用いた。本実施例で用いたTa
とGe窒化膜はスパッタリング装置を用いてアルゴンと
窒素混合雰囲気中でTaとGeのターゲットを同時スパ
ッタすることにより成膜した。スパッタ装置は図13の
装置を用いた。スパッタチャンバーの背圧は、2×10
-5Paであった。スパッタ時には窒素分圧が30%にな
るように、アルゴンと窒素の混合ガスを流した。スパッ
タガス全圧は0.45Paであった。Taターゲットに
150W、Geターゲットに150Wの高周波電圧を投
入し、スパッタ時間を調整することにより、TaとGe
の窒化膜を作製した。
【0133】作製したTaとGeの窒化膜10cの膜厚
はおよそ200nm、比抵抗は8.4×103Ωmであ
る。また、抵抗温度係数は−0.6%であった。
【0134】上記スペーサー10を用いた画像形成装置
を作製し、実施例1と同様の評価を行った。なお、高圧
端子Hvへの印加電圧Vaは1kV〜5kV、素子電極14,15
間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0135】スペーサの抵抗値を、組み込み前(as dep
o)、フェースプレートへの封着後、リアプレートへの
封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等各工程で計
測したところ全行程を通じてほとんど抵抗値の変動が見
られなかった。
【0136】また、スペーサ10のリアプレート近傍か
らフェースプレート近傍まで各微少部分の抵抗値を測定
したところ全組立工程を通過した後も場所による抵抗値
の違いは生じず、膜全体が均一な抵抗値を持っていた。
このときスペーサ10に近い位置にある電子放出素子1
からの放出電子による発光スポットも含め、二次元状に
等間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再現性の
良いカラー画像表示ができた。このことはスペーサ10
を設置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界の乱れ
は発生せず、スペーサ10の帯電もおこっていないこと
を示している。
【0137】(実施例3)実施例1のCrとGe窒化膜
に代わり、TiとGe窒化膜を用いた。本実施例で用い
たTiとGe窒化膜はスパッタリング装置を用いてアル
ゴンと窒素混合雰囲気中でTiとGeのターゲットを同
時スパッタすることにより成膜した。スパッタ装置は図
13の装置を用いた。スパッタチャンバーの背圧は、2
×10-5Paであった。スパッタ時には窒素分圧が30
%になるように、アルゴンと窒素の混合ガスを流した。
スパッタガス全圧は0.45Paであった。Tiターゲ
ットに120W、Geターゲットに150Wの高周波電
圧を投入し、スパッタ時間を調整することにより、Ti
とGeの窒化膜を作製した。
【0138】作製したTiとGeの窒化膜10cは、膜
厚がおよそ60nm、比抵抗が7.4×103Ωmのも
のと、膜厚がおよそ80nm、比抵抗が2.2×105
Ωmのものの二種である。また、抵抗温度係数は−0.8
%であった。
【0139】上記スペーサー10を用いた画像形成装置
において、各電子放出素子1には、容器外端子Dx1〜Dx
m,Dy1〜Dynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信
号発生手段よりそれぞれ印加することにより電子を放出
させ、メタルバック6には、高圧端子Hvを通じて高圧を
印加することにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜5
に電子を衝突させ、蛍光体を励起・発光させることで画
像を表示した。
【0140】なお、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1kV〜5
kV,素子電極14,15間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0141】スペーサの抵抗値を、組み込み前(as dep
o)、フェースプレートへの封着後、リアプレートへの
封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等各工程で計
測したところ全行程を通じて増加したものの極端な抵抗
値の変動が見られなかった。
【0142】スペーサ10についてリアプレート近傍か
らフェースプレート近傍まで各微少部分の抵抗値を測定
したところ全組立工程を通過した後も場所による抵抗値
の違いは生じず、膜全体が均一な抵抗値を持っていた。
比抵抗が7.4×103Ωmのスペーサに対してはスペー
サに近い位置にある電子放出素子1からの放出電子によ
る発光スポットも含め、二次元状に等間隔の発光スポッ
ト列が形成され、鮮明で色再現性の良いカラー画像表示
ができた。このことはスペーサ10を設置しても電子軌
道に影響を及ぼすような電界の乱れは発生せず、スペー
サ10の帯電もおこっていないことを示している。一
方、比抵抗が大きいスペーサ(比抵抗が2.2×105
Ωm)ではスペーサ近傍の電子ビームが曲げられわずか
に画像の乱れが観察された。
【0143】(実施例4)実施例1と異なるのはスペー
サ10のCrとGe窒化膜10cの代わりとしてMoと
Geの化合物膜を用いた。本実施例で用いたMoとGe
窒化膜はスパッタリング装置を用いてアルゴンと窒素混
合雰囲気中でMoとGeのターゲットを同時スパッタす
ることにより成膜した。スパッタ装置は図13の装置を
用いた。スパッタチャンバーの背圧は、2×10-5Pa
であった。スパッタ時には窒素分圧が30%になるよう
に、アルゴンと窒素の混合ガスを流した。スパッタガス
全圧は0.45Paであった。Moターゲットに15
W、Geターゲットに150Wの高周波電圧を投入し、
スパッタ時間を調整することにより、MoとGeの窒化
膜を作製した。
【0144】作製したMoとGeの窒化膜10cは、膜
厚がおよそ200nm、比抵抗が6.4×103Ωmで
ある。また、抵抗温度係数は−0.6%であった。
【0145】以上のスペーサ10を使用した画像形成装
置を実施例1と同様に作製し、実施例1と同様に画像の
評価を行った。
【0146】なお、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1kV〜5
kV,素子電極14,15間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0147】スペーサの抵抗値を、組み込み前(as dep
o)、フェースプレートへの封着後、リアプレートへの
封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等各工程で計
測したところ全行程を通じてほとんど抵抗値の変動が見
られなかった。
【0148】また、スペーサ10についてリアプレート
近傍からフェースプレート近傍まで各微少部分の抵抗値
を測定したところ全組立工程を通過した後も場所による
抵抗値の違いは生じず、膜全体が均一な抵抗値を持って
いた。このときスペーサ10に近い位置にある電子放出
素子1からの放出電子による発光スポットも含め、二次
元状に等間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再
現性の良いカラー画像表示ができた。このことはスペー
サ10を設置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界
の乱れは発生せず、スペーサ10の帯電もおこっていな
いことを示している。
【0149】(実施例5)実施例1と異なるのはスペー
サ10のCrとGe窒化膜10cの代わりとしてWとG
eの化合物膜を用いた。本実施例で用いたWとGe窒化
膜はスパッタリング装置を用いてアルゴンと窒素混合雰
囲気中でWとGeのターゲットを同時スパッタすること
により成膜した。スパッタ装置は図13の装置を用い
た。スパッタチャンバーの背圧は、2×10-5Paであ
った。スパッタ時には窒素分圧が30%になるように、
アルゴンと窒素の混合ガスを流した。スパッタガス全圧
は0.45Paであった。Wターゲットに12W、Ge
ターゲットに150Wの高周波電圧を投入し、スパッタ
時間を調整することにより、WとGeの窒化膜を作製し
た。
【0150】作製したWとGeの窒化膜10cは、膜厚
がおよそ200nm、比抵抗が5.0×103Ωmであ
る。また、抵抗温度係数は−0.4%であった。
【0151】以上のスペーサ10を使用した画像形成装
置を実施例1と同様に作製し、実施例1と同様に画像の
評価を行った。
【0152】なお、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1kV〜5
kV,素子電極14,15間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0153】スペーサの抵抗値を、組み込み前(as dep
o)、フェースプレートへの封着後、リアプレートへの
封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等各工程で計
測したところ全行程を通じてほとんど抵抗値の変動が見
られなかった。
【0154】また、スペーサ10についてリアプレート
近傍からフェースプレート近傍まで各微少部分の抵抗値
を測定したところ全組立工程を通過した後も場所による
抵抗値の違いは生じず、膜全体が均一な抵抗値を持って
いた。このときスペーサ10に近い位置にある電子放出
素子1からの放出電子による発光スポットも含め、二次
元状に等間隔の発光スポット列が形成され、鮮明で色再
現性の良いカラー画像表示ができた。このことはスペー
サ10を設置しても電子軌道に影響を及ぼすような電界
の乱れは発生せず、スペーサ10の帯電もおこっていな
いことを示している。
【0155】(実施例6)本実施例では電子放出素子と
して冷陰極電子放出素子の一種である電界放出素子を用
いた。
【0156】図16は本実施例の画像形成装置のスペー
サと電子源部分を中心とした断面模式図である。図16
において、62はリアプレート、63はフェイスプレー
ト、61は陰極、66はゲート電極、67はゲート/陰
極間の絶縁層、68は収束電極、64は蛍光体、69は
収束電極/ゲート電極間の絶縁層、70は陰極配線であ
る。65はスペーサであり、絶縁性基体にタングステン
とゲルマニウム(Ge)窒素化合物膜がスパッタ法で被
覆されている。
【0157】電子放出素子は、陰極61の先端とゲート
電極66間に大きな電界を印加し、陰極61の先端より
電子を放出するものである。ゲート電極66は、複数の
陰極からの放出電子が通過できるように、電子通過口が
設けられている。更に、ゲート電極口を通過した電子
は、収束電極68によって収束され、フェイスプレート
63に設けられた陽極の電界で加速され、陰極に対応す
る蛍光体の絵素に衝突し、発光表示するものである。
尚、複数のゲート電極68と複数の陰極配線70は、単
純マトリクス状に配置され、入力された入力信号によっ
て、該当する陰極が選択され、選択された陰極より電子
が放出される。
【0158】陰極、ゲート電極、収束電極、陰極配線等
は公知の方法により作製され、陰極材料はMoである。
スペーサ基体は長さ20mm、はば3.8mm、厚み
0.2mmの青板ガラスであり、その表面に実施例5と
同様の方法によりタングステンとゲルマニウムの窒素化
合物膜を200nmの厚み形成した。スペーサ65は収
束電極68に導電性フリットにより接着した。スペーサ
65の収束電極あるいは蛍光体との接触部には接触抵抗
を低くするためにアルミニウムの蒸着膜がそれぞれ10
0μmの領域に形成されている。
【0159】本実施例におけるタングステンとゲルマニ
ウムの窒素化合物膜の成膜後の比抵抗は7.9×103
Ωmであり、スペーサの抵抗値は3.7×109Ωであ
った。
【0160】このスペーサを接着したリアプレート62
と蛍光体64を形成したフェースプレート63を位置合
わせをし不図示の支持枠を介してフリットガラスにより
窒素雰囲気中で封着し、気密容器を作製した。この気密
容器内を排気管より真空排気しつつ、250℃、10時
間のベーキング処理をした。その後、10-5Paまで排
気し、排気管をガスバーナーで溶着することにより気密
容器を封止した。最後に封止後の真空度を維持するた
め、高周波加熱法でゲッタ処理を行った。
【0161】以上のように作製した画像形成装置におい
て、陰極61に容器外端子を通じ、不図示の信号発生手
段により信号を印加することにより電子放出させ、フェ
ースプレートに形成されている透明電極に印加された高
電圧により蛍光体64に電子を照射することで、画像を
表示した。
【0162】スペーサの抵抗値は画像形成装置の作製工
程後で4.2×109 Ωと安定であり、スペーサ近傍の
電子ビームのずれも認められなかった。
【0163】(実施例7、図17)本実施例では、まず未
フォーミングの複数の表面伝導型電子源14を基板13に形
成した。基板13として表面を清浄化した青板ガラスを用
い、これに、図6に示した表面伝導型電子放出素子を16
0個×720個マトリクス状に形成した。
【0164】素子電極24、25はPtスパッタ膜であり、X
方向配線15、Y方向配線16はスクリーン印刷法により形
成したAg配線である。導電性薄膜26はPdアミン錯体溶液
を焼成したPdO微粒子膜である。
【0165】画像形成部材であるところの蛍光膜20は図
5(a)に示すように、各色蛍光体がY方向に伸びるストラ
イプ形状を採用し、黒色体20aとしては各色蛍光体間だ
けでなく、X方向にも設けることでY方向の画素間を分離
しかつスペーサー22を設置するための部分を加えた形状
を用いた。先に黒色体(導電体) 20aを形成し、その間隙
部に各色蛍光体を塗布して蛍光膜20を作成した。ブラッ
クストライプ(黒色体20a)の材料として通常良く用いら
れている黒鉛を主成分とする材料を用いた。フェースプ
レート19に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用い
た。
【0166】また、蛍光膜20より内面側(電子源側)に設
けられるメタルバック21は、蛍光膜20の作成後、蛍光膜
20の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ば
れる)を行い、その後、Alを真空蒸着することで作成し
た。フェースプレート19には、更に蛍光膜20の導電性を
高めるため、蛍光膜20より外面側(ガラス基板と蛍光膜
の間)に透明電極が設けられる場合もあるが、本実施例
ではメタルバックのみで十分な導電性が得られたので省
略した。
【0167】図17においてスペーサー22はソーダライ
ムガラスからなる絶縁性基材24(高さ3.8mm、板厚1.8
mm、長さ20mm)に例えば一般的に知られた砥粒加工によ
り、微細な表面凹凸構造23aを形成する。
【0168】具体的には、例えば、#4000の粒度に
最終仕上げを行う場合、上記絶縁性基材を例えば8〜9
本、平面板に貼り付ける。その後、例えば、炭化珪素の
研磨材から、はじめに粒度#300の研磨材をかけなが
ら、平面ザラで板厚1.8mmを約0.4mm削って
1.4mmとする。次に粒度#400の研磨材をかけな
がら板厚1.4mmを0.3mm削って1.1mmとす
る。更に、粒度#2000の研磨材をかけながら、板厚
を1.1mmから0.1mm削って1.0mmとする。
【0169】次に仕上げの工程(精密研磨)であるが絶
縁性基材24の板厚1.0mmを粒度#3000の研磨
材を用いて給水しながら時間にして約1〜2分研磨を行
う。更に最終仕上げとして、所望の粒度#4000の研
磨材を用いて給水しながら時間にして約1〜2分最終仕
上げの研磨を行う。
【0170】加えて、上述した同じ方法で研磨した面と
反対の面も同様の研磨を行う。こうして絶縁性基材24
は板厚が0.2mmとなり、その表面には微細な表面凹
凸構造23aを形成することができる。
【0171】本発明の研磨方法によれば、最終仕上げに
所望の粒度の研磨材を用いればよく、その研磨材粒度の
順番及び削り量等は必要に応じて定めれば良い。また記
述していないが、絶縁性基材等を貼り付けた平面板や研
磨材を挟んで擦る平面ザラ等は必要に応じて回転させな
がら研磨を行う。
【0172】また、研磨材等の種類も本発明では炭化珪
素を用いたが所望の寸法の凹凸構造が得られれば良く種
類、材料等は必要に応じて定めれば良い。
【0173】次に得られた微細な表面凹凸構造23aの
評価を行った。使用した分析装置はD3000(Tap
ping−AFM)、カンチレバー:Si単結晶であ
る。スキャン領域は80ミクロン□で測定をおこなっ
た。得られた測定結果は最終仕上げを粒度#4000で
おこなった本実施例では、中心線平均粗さ:Ra=22
8.12ナノメートル、表面積はスキャン領域80ミク
ロン□を平滑と想定して6400平方ミクロンとする
と、本実施例の凹凸構造は6934.3平方ミクロンで
あった。
【0174】得られた微細な表面凹凸構造23aの表面
積の値は平滑基板の表面積に対して約8.3%増加し
た。
【0175】こうして得られた微細な表面凹凸構造23
aを形成したスペーサ22を有機洗浄等により清浄化し
てリヤ基板との接続及びフロント基板との接続をとるた
め及び、表面伝導型電子源14より放出される電子の電子
軌道を補正するためのスペーサ電極25をスペーサ22
のリヤ基板側及びフロント基板側にそれぞれリヤ側スペ
ーサ電極25(a)、フロント側スペーサ電極25
(b)として低抵抗な金属膜を真空成膜法より形成し
た。
【0176】本実施例では絶縁性基材24の表面には粒
度#4000の微細な表面凹凸が形成されているため、
予備検討で算出していたリヤ側スペーサ電極25(a)
の幅を30ミクロン、フロント側スペーサ電極25
(b)の幅を600ミクロンに設定して、それぞれに対
応した寸法のマスクを用いてスパッタリング装置を用い
て、マスク蒸着を行った。この時のそれぞれのスペーサ
電極25の材料は低抵抗な金属膜であり、下引き層にチ
タンを50Å、その上に白金を500Åと2層構成とし
た。
【0177】更にその上に帯電防止膜23bであるクロ
ムとゲルマニウムの合金窒化膜を真空成膜法により形成
し成膜した。
【0178】本実施例で用いたクロムとゲルマニウムの
合金窒化膜はスパッタリング装置を用いてアルゴンと窒
素混合雰囲気中でクロムとゲルマニウムのターゲットを
同時スパッタする事により成膜した。それぞれのターゲ
ットにかける電力を変化することにより組成の調節を行
い、最適の抵抗値を得た。
【0179】詳述すると、スパッタチャンバの背圧は、
2×10のマイナス5乗Paであった。スパッタ時に
は、窒素分圧が30%になるように、アルゴンと窒素の
混合ガスを流した。スパッタガス全圧は0.45Paで
あった。クロムターゲットに20Wの高周波電力を投入
し、ゲルマニウムターゲットに150Wの高周波電力を
投入し、スパッタ時間を調整することにより、クロムと
ゲルマニウムの合金窒化膜を作製した。作製したクロム
とゲルマニウムの合金窒化膜は膜厚が200nm、比抵抗が
2.4×103Ωcmであった。
【0180】また、スペーサー22は、X方向配線および
メタルバックとの電気的接続を確実にするためにその接
続部にAlによる電極25を設けた。この電極25はX方向配
線からフェースプレートに向かって150μm、メタルバッ
クからリアプレートに向かって100μmの範囲でスペーサ
ー22の4面を完全に被覆した。
【0181】その後、電子源14の3.8mm上方にフェース
プレート19を支持枠18を介して配置し、リアプレート1
3、フェースプレート19、支持枠18およびスペーサー22
の接合部を固定した。スペーサー22はX方向配線15上
に等間隔に固定した。スペーサー22はフェースプレート
19側では黒色体20a(線幅300μm)上に、Auを被覆シリカ
球を含有した導電性フリットガラス26を用いることによ
り、帯電防止膜23bとフェースプレート19との導通を確
保した。なお、メタルバック21とスペーサー22とが当接
する領域においてはメタルバック21の一部を除去した。
リアプレート17と支持枠18の接合部はフリットガラス
(不図示)を塗布し、大気中で420℃で10分以上焼成する
ことで 封着した。
【0182】以上のようにして完成したあと、排気管を
通じ真空ポンプにて排気し、十分低い圧力に達した後、
容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ電子放出素子14の
素子電極27、28間に電圧を印加し、導電性薄膜29を通電
処理(フォーミング処理)することにより電子放出部30を
形成した。フォーミング処理は、図8に示した波形の電
圧を印加することにより行った。
【0183】次に排気管を通してアセトンを0.133Paの
圧力となるように真空容器に導入し、容器外端子Dx1〜D
xmと、Dy1〜Dynに電圧パルスを定期的に印加することに
より、炭素あるいは炭素化合物を堆積する通電活性化処
理を行った。通電活性化は図9に示すような波形を印加
することにより行った。
【0184】次に容器全体を200℃に加熱しつつ10時間
真空排気した後、10-4Pa程度の圧力で、排気管をガスバ
ーナーで熱することで溶着し封止を行った。
【0185】最後に、封止後の圧力を維持するために、
ゲッター処理を行った。
【0186】以上のように完成した画像形成装置におい
て、各電子放出素子14には、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1
〜Dynを通じ走査信号及び変調信号を不図示の信号発生
手段よりそれぞれ印加することにより電子を放出させ、
メタルバック21には、高圧端子Hvを通じて高圧を印加す
ることにより放出電子ビームを加速し、蛍光膜20に電子
を衝突させ、蛍光体20bを励起・発光させることで画像
を表示した。なお高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1〜5kV、
素子電極27、28間への印加電圧Vfは14Vとした。
【0187】粒度#4000の微細な表面凹凸構造23
aを形成し、更に電子軌道を補正するためのリヤ側スペ
ーサ電極25(a)及びフロント側スペーサ電極25
(b)を設け、更にその上に帯電防止膜23bを成膜し
たスペーサ22にの抵抗値を、組み込み前、フェースプ
レートへの封着後、リヤプレートへの封着後、真空排気
後、素子電極通電処理後等の各工程で計測したところ、
全工程を通じて殆ど、抵抗値の変動が見られなかった。
このことは、微細な表面凹凸構造23a、リヤ側スペー
サ電極25(a)及びフロント側スペーサ電極25
(b)を有する基板を含む帯電防止膜23bが非常に安
定であり、スペーサとして適していることを示してい
る。
【0188】本実施例のスペーサ22については、スペ
ーサ22に近い位置にある電子放出素子1からの放出電
子による発光スポットも含め、二次元上に等間隔の発光
スポット列が形成され、鮮明で色再現性の良いカラー画
像表示ができた。このことは本実施例のスペーサ22を
設置して電子軌道をスペーサ電極により補正することに
よって制御されたことを示している。また本実施例のス
ペーサの構成でも電子軌道に影響を及ぼすような電界の
乱れは発生せず、スペーサ22の帯電も起ってないこと
を示している。
【0189】(実施例8、図18)本実施例で実施例7
と異なるのは、スペーサー22の絶縁性基材24に設け
る微細な表面凹凸構造23aの最終仕上げを粒度#25
00で行った点である。及びリヤ側スペーサ電極25
(a)の幅が45ミクロン、フロント側スペーサ電極2
5(b)の幅が600ミクロンに設定した。
【0190】研磨方法は実施例7と同様な方法で研磨を
行ったが実施例7と異なるのは、粒度#3000は行わ
ず、粒度#2000の次に粒度#2500の最終仕上げ
を行った。こうして粒度#2500の微細な表面凹凸構
造23aを得た。
【0191】次に微細な表面凹凸構造を形成したスペー
サ22を有機洗浄等により清浄化してリヤ基板との接続
及びフロント基板との接続をとるため及び、表面伝導型
電子源14より放出される電子の電子軌道を補正するため
のスペーサ電極25をスペーサ22のリヤ基板側及びフ
ロント基板側にそれぞれリヤ側スペーサ電極25
(a)、フロント側スペーサ電極25(b)として低抵
抗な金属膜を真空成膜法より形成した。形成方法は第7
実施例と同様な方法で行った。
【0192】本第8実施例では絶縁性基材24の表面に
は粒度#2500の微細な表面凹凸が形成されているた
め、予備検討で算出していたリヤ側スペーサ電極25
(a)の幅を45ミクロン、フロント側スペーサ電極2
5(b)の幅を600ミクロンに設定した。
【0193】この上に帯電防止膜23bであるクロムと
ゲルマニウムの合金窒化膜を実施例1と同様な真空成膜
法により成膜した。
【0194】この時、クロムとゲルマニウムの合金窒化
膜は膜厚がおよそ200nmであり、比抵抗が4.2×
103Ωcmであった。
【0195】上記スペーサー22を用いた表示装置を作
成し、実施例7と同様の評価を行った。
【0196】尚、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1k
V〜5kV、素子電極27、28間への印加電圧Vfは
14Vとした。
【0197】本実施例で得られた粒度#2500の微細
な表面凹凸構造23aを形成し、更に電子軌道を補正す
るためのリヤ側スペーサ電極25(a)及びフロント側
スペーサ電極25(b)を設け、更にその上に帯電防止
膜23bを成膜したスペーサ22にの抵抗値を、組み込
み前、フェースプレートへの封着後、リヤプレートへの
封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等の各工程で
計測したところ、全工程を通じて殆ど、抵抗値の変動が
見られなかった。このことは、微細な表面凹凸構造23
a、リヤ側スペーサ電極25(a)及びフロント側スペ
ーサ電極25(b)を有する基板を含む帯電防止膜23
bが非常に安定であり、スペーサとして適していること
を示している。
【0198】本実施例のスペーサ22については、スペ
ーサ22に近い位置にある電子放出素子1からの放出電
子による発光スポットも含め、二次元上に等間隔の発光
スポット列が形成され、鮮明で色再現性の良いカラー画
像表示ができた。このことは本実施例のスペーサ22を
設置して電子軌道をスペーサ電極により補正することに
よって制御されたことを示している。また本第8実施例
のスペーサの構成でも電子軌道に影響を及ぼすような電
界の乱れは発生せず、スペーサ22の帯電も起ってない
ことを示している。
【0199】(実施例9、図19)本実施例で実施例7
と異なるのは、スペーサー22の絶縁性基材24に設け
る微細な表面凹凸構造23aの最終仕上げを粒度#20
000で行った点、及びリヤ側スペーサ電極25(a)
の幅が10ミクロン、フロント側スペーサ電極25
(b)の幅が400ミクロンに設定した点である。
【0200】研磨方法は実施例7と同様な方法で研磨を
行ったが実施例7と異なるのは、粒度#30000の次
に粒度#20000での最終仕上げを行った。こうして
粒度#20000の微細な表面凹凸構造23aを得た。
【0201】次に微細な表面凹凸構造を形成したスペー
サ22を有機洗浄等により清浄化してリヤ基板との接続
及びフロント基板との接続をとるため及び、表面伝導型
電子源14より放出される電子の電子軌道を補正するため
のスペーサ電極25をスペーサ22のリヤ基板側及びフ
ロント基板側にそれぞれリヤ側スペーサ電極25
(a)、フロント側スペーサ電極25(b)として低抵
抗な金属膜を真空成膜法より形成した。形成方法は実施
例7と同様な方法で行った。
【0202】本実施例では絶縁性基材24の表面には粒
度#20000の微細な表面凹凸が形成されているた
め、予備検討で算出していたリヤ側スペーサ電極25
(a)の幅を10ミクロン、フロント側スペーサ電極2
5(b)の幅を400ミクロンに設定した。
【0203】この上に帯電防止膜23bであるクロムと
ゲルマニウムの合金窒化膜を実施例1と同様な真空成膜
法により成膜した。
【0204】この時、クロムとゲルマニウムの合金窒化
膜は膜厚がおよそ200nmであり、比抵抗が6.3×
103Ωcmであった。上記スペーサー22を用いた表
示装置を作成し、実施例7と同様の評価を行った。
【0205】尚、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは1k
V〜5kV、素子電極27、28間への印加電圧Vfは
14Vとした。
【0206】本実施例で得られた粒度#20000の微
細な表面凹凸構造23aを形成し、更に電子軌道を補正
するためのリヤ側スペーサ電極25(a)及びフロント
側スペーサ電極25(b)を設け、更にその上に帯電防
止膜23bを成膜したスペーサ22にの抵抗値を、組み
込み前、フェースプレートへの封着後、リヤプレートへ
の封着後、真空排気後、素子電極通電処理後等の各工程
で計測したところ、全工程を通じて殆ど、抵抗値の変動
が見られなかった。このことは、粒度#20000の微
細な表面凹凸構造23a、リヤ側スペーサ電極25
(a)及びフロント側スペーサ電極25(b)を有する
基板を含む帯電防止膜23bが非常に安定であり、スペ
ーサとして適していることを示している。
【0207】本実施例のスペーサ22については、スペ
ーサ22に近い位置にある電子放出素子1からの放出電
子による発光スポットも含め、二次元上に等間隔の発光
スポット列が形成され、鮮明で色再現性の良いカラー画
像表示ができた。このことは本実施例のスペーサ22を
設置して電子軌道をスペーサ電極により補正することに
よって制御されたことを示している。また本実施例のス
ペーサの構成でも電子軌道に影響を及ぼすような電界の
乱れは発生せず、スペーサ22の帯電も起ってないこと
を示している。
【0208】実施例7〜9に示したように、本発明にお
いては、電子源と該電子源と対向する第一の部材と第一
の部材と該電子源との間に設けられる第二の部材を有す
る電子線装置であって、該第二の部材の表面に0.05
ミクロン≦Ra<0.25ミクロンである表面粗さを有
することが好ましく、さらに、複数の冷陰極型電子放出
素子を形成した基板と発光材料を形成した透明基板とを
スペーサーを介して対向させた構造を有する画像形成装
置において、該スペーサー表面に微細な表面凹凸構造を
有しており、前記凹凸は0.05ミクロン≦Ra<0.
25ミクロンである表面粗さであり、前記凹凸の表面積
S′は平滑であることを想定した表面積Sに対して
S′≧1.04の関係で前記凹凸を有したスペーサ表面
に帯電防止膜が被覆されており、且つ前記冷陰極型電子
放出素子から放出された電子の軌道補正をするための長
さ:d=0〜10000ミクロンのスペーサ電極をリヤ
基板とスペーサー、フロント基板とスペーサーのそれぞ
れの接続部及び側面に有することが好ましく、また、前
記スペーサー表面の凹凸が砥粒の粒子径≦20ミクロン
である砥粒を用いて最終研磨された部分を有することが
好ましく、特に、前記スペーサー表面の凹凸が砥粒の最
大粒子径≦20ミクロン、粒度分布は累積高さ3%点の
粒子径≦17ミクロン、50%点の粒子径は6.7±
0.6ミクロン、94%点の粒子径は4ミクロン以上の
砥粒を用いて最終研磨された部分を有することが好まし
い。
【0209】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の帯電緩和
膜によれば、酸素等の雰囲気でも抵抗値の変動が小さ
く、高抵抗化する場合でも島状としたり極めて薄膜化す
る必要がないので、安定性、再現性の優れた帯電緩和膜
を形成することができる。また、高融点で、硬度が高い
ので安定性に優れる長所も有している。さらに、窒化ゲ
ルマニウムは絶縁体で、遷移金属窒化物は良導電体なの
で、組成を調整することで任意の比抵抗値を得ることが
できる。本発明の帯電緩和膜は本願の実施形態等で述べ
た装置の他、CRT,あるいは放電管等の電子管等に用
いることができ、その他にも電荷の帯電が問題となる用
途に広く用いることができる。
【0210】また本発明の画像形成装置によれば、素子
基板とフェースプレート間に配置された絶縁性部材表面
に、遷移金属と、ゲルマニウムとの窒化化合物膜を帯電
緩和膜として用いることで、組立工程中に抵抗値の変化
がほとんど起こらず、安定した抵抗値を得ることができ
る。これによりスペーサ近傍でのビームの電位の乱れは
抑止され、ビームが蛍光体に衝突する位置と、本来発光
するべき蛍光体との位置ずれの発生が防止され、輝度損
失を防ぐことができ鮮明な画像表示が可能となった。
【0211】また本発明によれば、スペーサの帯電を防
止また、電子の軌道を制御する方法として帯電電荷を抑
制、除去するために、絶縁性基材の表面に凹凸構造を形
成し、その表面構造は微細な構造の凹凸が極めて有効で
あり、且つリヤ側、フロント側のそれぞれに電子軌道を
制御するためのスペーサ電極を設け、更にその上に帯電
防止膜を形成することにより、帯電防止機能の大幅な向
上及び電子軌道の制御性を向上させる大幅な効果を得
た。
【0212】更に、絶縁性基材上に設ける微細な表面凹
凸構造の形成方法としては極一般的な方法として砥粒加
工等で幅広く用いられる砥粒子による研磨やサンドペー
パーによる表面処理及び、サンドブラスト法と呼ばれる
エアー、ショット、ウエット等のブラスト法等による物
理的な加工を施した形成方法で簡単、容易に微細な凹凸
構造が得られる。
【0213】更に、リヤ側、フロント側のスペーサ電極
はスペーサの絶縁性基材に設けた、種々の微細な表面凹
凸の粒度に対応するよう、寸法をかえられるので自由度
が向上した。
【0214】加えてこれを使用した画像形成装置はスペ
ーサ近傍でのビーム電位の乱れは抑止され、ビームが蛍
光体に衝突する位置と、本来発光するべき蛍光体との位
置ずれがなく、輝度損失を防ぐことができ、鮮明な画像
表示が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置のスペーサ近傍の概略断
面図である。
【図2】本発明の実施形態例である画像形成装置の、表
示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図3】本発明で用いたスペーサの断面模式図である。
【図4】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図5】マルチ電子ビーム源の基板の平面図及び断面図
である。
【図6】平面型表面伝導型電子放出素子の形成工程図で
ある。
【図7】電子ビーム源のフォーミング形成印加パルス波
形図である。
【図8】通電活性化工程の印加パルス波形図である。
【図9】垂直型表面伝導型電子放出素子の断面図であ
る。
【図10】表面伝導型電子放出素子の電流電圧特性の模
式図である。
【図11】単純マトリクス配線図である。
【図12】平面型表面伝導型電子放出素子の断面図であ
る。
【図13】スパッタ装置の概略的構成図である。
【図14】多数の微小な電子源を使用したディスプレイ
の断面模式図である。
【図15】本発明で用いるスペーサの他の形態を示す斜
視図である。
【図16】実施例6の画像形成装置のスペーサと電子源
部分を中心とした断面模式図である。
【図17】実施例7のスペーサの断面模式図である。
【図18】実施例8のスペーサの断面模式図である。
【図19】実施例9のスペーサの断面模式図である。
【符号の説明】
1 電子源(電子放出素子) 2 リアプレート 3 側壁(支持枠) 4 ガラス基板 5 蛍光膜 6 メタルバック 7 フェースプレート 8 外囲器 9 X方向配線 10 スペーサ 10a 絶縁性基材 10b Naブロック層 10c 帯電緩和膜 11 良導電性の電極 12 Y方向配線 13 基板 25(a) リヤ側スペーサ電極 25(b) フロント側スペーサ電極

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲルマニウムと遷移金属とを含む窒素化
    合物を有することを特徴とする帯電緩和膜。
  2. 【請求項2】 前記遷移金属が、クロム、チタン、タン
    タル、モリブデン、タングステンの中から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1に記載の帯電緩和膜。
  3. 【請求項3】 10nm〜1μmの範囲内の膜厚を有す
    る請求項1に記載の帯電緩和膜。
  4. 【請求項4】 絶対値が1%以下の負の抵抗温度係数を
    有する請求項1に記載の帯電緩和膜。
  5. 【請求項5】 ゲルマニウムと遷移金属とを含む窒素化
    合物を有し、前記ゲルマニウムの窒化率が50%以上で
    あることを特徴とする帯電緩和膜。
  6. 【請求項6】 前記遷移金属が、クロム、チタン、タン
    タル、モリブデン、タングステンの中から選ばれる少な
    くとも1種である請求項5に記載の帯電緩和膜。
  7. 【請求項7】 10nm〜1μmの範囲内の膜厚を有す
    る請求項5に記載の帯電緩和膜。
  8. 【請求項8】 絶対値が1%以下の負の抵抗温度係数を
    有する請求項5に記載の帯電緩和膜。
  9. 【請求項9】 外囲器内に、電子放出素子、画像形成部
    材、及び、スペーサとを備える画像形成装置において、
    前記スペーサは基材表面に、請求項1〜8のいずれかに
    記載の帯電緩和膜を有するスペーサであることを特徴と
    する画像形成装置。
  10. 【請求項10】 前記帯電緩和膜は、膜厚が10nm〜
    1μmの範囲内で、放出電子の加速電圧をVaとしたと
    きの比抵抗が10-7×Va2〜105Ωmの範囲内にあ
    り、絶対値が1%以下の負の抵抗温度係数を有する請求
    項9に記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記基材は、Naを含有する基材であ
    り、前記基材と前記窒素化合物の被膜との間にNaブロ
    ック層を有する請求項9に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 前記スペーサは、前記外囲器内に配置
    された電極部材に接続されている請求項9に記載の画像
    形成装置。
  13. 【請求項13】 前記電極部材は、前記電子放出素子に
    駆動電圧を印加するための電極である請求項12に記載
    の画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記電極部材は、前記画像形成部材に
    設けられた放出電子の加速電極である請求項12に記載
    の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 前記スペーサは、その両端部間で電位
    差が生じるように該両端部に電圧が印加されている請求
    項9に記載の画像形成装置。
  16. 【請求項16】 前記スペーサは、前記電子放出素子に
    駆動電圧を印加するための電極と前記画像形成部材に設
    けられた放出電子の加速電極とに接続されている請求項
    9に記載の画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記電子放出素子が、冷陰極型の電子
    放出素子である請求項9〜16のいずれかに記載の画像
    形成装置。
  18. 【請求項18】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子
    放出素子である請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 【請求項19】 外囲器内に、電子放出素子、画像形成
    部材、及び、スペーサとを備える画像形成装置の製造方
    法において、基材表面に請求項1〜8のいずれかに記載
    の帯電緩和膜を被覆しスペーサを形成する工程と、該ス
    ペーサ、電子放出素子、及び、画像形成部材を外囲器内
    に配置後、該外囲器を非酸化雰囲気として、該外囲器の
    封着を行う工程を有することを特徴とする画像形成装置
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記非酸化雰囲気は、窒素雰囲気であ
    る請求項19に記載の画像形成装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 電子源と該電子源と対向する第一の部
    材と第一の部材と該電子源との間に設けられる第二の部
    材を有する電子線装置であって、該第二の部材の表面に
    0.05ミクロン≦Ra<0.25ミクロンである表面
    粗さを有する請求項9〜18のいずれかに記載の画像形
    成装置。
  22. 【請求項22】 複数の冷陰極型電子放出素子を形成し
    た基板と発光材料を形成した透明基板とをスペーサーを
    介して対向させた構造を有する画像形成装置において、
    該スペーサー表面に微細な表面凹凸構造を有しており、
    前記凹凸は0.05ミクロン≦Ra<0.25ミクロン
    である表面粗さであり、前記凹凸の表面積S′は平滑で
    あることを想定した表面積Sに対して S′≧1.04
    の関係で前記凹凸を有したスペーサ表面に帯電防止膜が
    被覆されており、且つ前記冷陰極型電子放出素子から放
    出された電子の軌道補正をするための長さ:d=0〜1
    0000ミクロンのスペーサ電極をリヤ基板とスペーサ
    ー、フロント基板とスペーサーのそれぞれの接続部及び
    側面に有した請求項21記載の画像形成装置。
  23. 【請求項23】 前記スペーサー表面の凹凸が砥粒の粒
    子径≦20ミクロンである砥粒を用いて最終研磨された
    部分を有する請求項22記載の画像形成装置。
  24. 【請求項24】 前記スペーサー表面の凹凸が砥粒の最
    大粒子径≦20ミクロン、粒度分布は累積高さ3%点の
    粒子径≦17ミクロン、50%点の粒子径は6.7±
    0.6ミクロン、94%点の粒子径は4ミクロン以上の
    砥粒を用いて最終研磨された部分を有する請求項23記
    載の画像形成装置。
  25. 【請求項25】 最大粒子径≦20ミクロン砥粒を用い
    たスペーサー表面処理工程を有する請求項19または2
    0記載の画像形成装置の製造方法。
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