JP2000152539A - 永久磁石形電動機 - Google Patents

永久磁石形電動機

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JP2000152539A
JP2000152539A JP10326381A JP32638198A JP2000152539A JP 2000152539 A JP2000152539 A JP 2000152539A JP 10326381 A JP10326381 A JP 10326381A JP 32638198 A JP32638198 A JP 32638198A JP 2000152539 A JP2000152539 A JP 2000152539A
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rotor
magnetic
electric motor
type electric
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JP10326381A
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Masayuki Nakamura
雅之 中村
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低速回転時と高速回転時で制御方法を変更す
ることなく、基底回転数以上の高速回転運転を効率よく
行うことのできる永久磁石形電動機を提供する。 【解決手段】 ロータ18は、磁石用スロット22の両
端近傍に、軸18aに沿った直線部26aと当該直線部
26aに連絡しロータ18の外周側から中心側に延びる
螺旋部26bとから成る中空路26と、前記中空路26
内部を移動可能な磁性鋼球24とを有する。前記磁性鋼
球24は、ロータ18の回転速度の増加に応じて発生す
る遠心力によって、螺旋部26bから直線部26aに移
動し、永久磁石20の近傍に磁路を形成し、磁束が広が
ることを抑制し、コイル14への影響を低下させ、コイ
ル14に発生する逆起電圧を低減する。そして、インバ
ータ駆動回路の出力電圧制限によるステータ側コイルの
電流制限がかかるタイミングを遅らせ、コイル14に電
流を流し続けて、ロータ18の回転数をさらに上昇させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石形電動
機、特に高速運転を効率よく行うことのできる永久磁石
形電動機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の永久磁石形電動機は、ステータの
円周に沿って複数配置されたコイルに供給する電流を制
御することにより発生する回転磁界と、ロータの円周に
沿って配置された永久磁石が発生する磁界(磁束)との
相互作用により所望の回転数(速度)でロータを回転さ
せている。ところで、ロータ側の磁界形成に永久磁石を
用いた場合、前記永久磁石によって形成される磁界によ
る磁束が一定であるためロータの回転数に比例して、ス
テータ側コイルに発生する誘起電圧(逆起電圧)が増加
する。この逆起電圧とステータ側のコイルに回転磁界を
発生させるインバータ駆動回路の出力電圧との関係に基
づいて、永久磁石形電動機における定トルク領域(低速
運転時)の最高回転数(基底回転数)が決定される。
【0003】永久磁石形電動機を基底回転数以上(高速
運転)で定出力駆動する場合、インバータ駆動回路の出
力電圧制限によりステータ側コイルに供給される電流が
減少するためトルクが低下し、真の最高回転数も低く抑
えられてしまう。
【0004】一般の産業機械等に用いる永久磁石形回転
電機は、極端な高速回転を要求されることは少ないが、
電気自動車や電気鉄道等のように電気推進を行うものに
永久磁石形電動機を使用する場合、基底回転数以上の最
高回転数が要求される。
【0005】従来、このような基底回転数以上の高速回
転を得るために、定出力範囲で、d軸電流により界磁に
逆向きの磁界を印加し界磁の磁束量を低減させる、いわ
ゆる弱め界磁制御が行われている。この弱め界磁を行う
ことにより永久磁石から受ける逆起磁束の交差数を減ら
すことができるので、ステータ側コイルで発生する逆起
電圧を低減することが可能になり、当該コイルに回転磁
界を発生するための電流を流し続けることが可能にな
る。その結果、高速域までロータを回転させことができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記弱め界磁
を行うためには、相当量のd軸電流を界磁に同期して流
す必要があるため、効率が低下してしまうという問題が
ある。また、ロータの低速回転時と高速回転時とで制御
方法を変更する必要があり制御回路が複雑になるという
問題がある。なお、特開平9−93846号公報には、
永久磁石のS極、N極をロータの回転速度に応じて短絡
片により短絡させて、永久磁石による磁束の形成を調整
して、逆起電圧の発生を調節する構成が開示されている
が、短絡片が永久磁石に接触した時点で、ロータを回転
させるための主磁束が消失するので、高速域でのロータ
速度制御が不安定になるという問題がある。
【0007】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、低速回転時と高速回転時で制御方法を変更するこ
となく、基底回転数以上の高速回転運転を効率よく安定
して行うことのできる容易な構成の永久磁石形電動機を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、第1の発明は、回転磁界を発生するための
複数のコイルを備えたステータと、所定の磁界を発生す
る複数の永久磁石を有し前記磁界と前記回転磁界との相
互作用により回転するロータと、を含む永久磁石形電動
機において、前記ロータは、当該ロータの外周面内側に
沿って前記永久磁石を収納する磁石用スロットと、前記
ロータの外周に沿った前記磁石用スロットの両端近傍で
少なくともロータの軸の沿って延設される中空路と、前
記中空路の中で前記ロータの回転速度に応じて前記永久
磁石の端部に接離自在な磁性体と、を含むことを特徴と
する。
【0009】この構成によれば、ロータの高速回転時
は、磁性体が中空路内を移動して永久磁石に接近し当該
永久磁石に関してロータ内の磁路を形成し、永久磁石が
発生する磁束の一部を永久磁石近傍で形成される磁路で
完結させて磁束の広がりを抑制し、当該永久磁石の発生
する磁束と前記回転磁界を発生するコイルとの交差量を
減らす。その結果、ステータ側のコイルに発生する逆起
電圧を低減することが可能になり、インバータ駆動回路
の出力電圧制限によるステータ側コイルの電流制限がか
かるタイミングが遅れ、回転磁界を発生させるための電
流を流し続ける。そして、ロータの回転数をさらに上昇
することができる。また、ロータの回転数上昇のため
に、d軸電流等を流す必要が無いので効率的に永久磁石
形電動機を駆動することができる。
【0010】また、上記目的を達成するために、第2の
発明は、第1の発明において、前記磁性体は、ロータの
回転により発生する遠心力によりロータの中心部側から
移動してくる磁性鋼球であることを特徴とする。
【0011】この構成によれば、磁性体の移動を滑らか
に行うことができるので、スムーズに逆起電圧低減を行
うことができる。
【0012】また、上記目的を達成するために、第3の
発明は、第2の発明において、前記中空路は、前記永久
磁石用スロットに沿った直線部と、当該直線部に連絡し
前記ロータの中心軸周りで外周側から中心側に向かって
延びる螺旋部と、から形成されることを特徴とする。
【0013】ここで、前記各螺旋部はそれぞれが干渉し
ないように配置されている。また、中空路内を移動する
磁性鋼球の数は、直線部に移動した時に当該直線部を完
全に満たす数でもよいし、それ以下でもよい。この構成
によれば、ロータの回転によって発生する遠心力によっ
て、容易に磁性鋼球を永久磁石の端部に沿った中空路の
直線部に移動させることができる。また、ロータの回転
数に応じて、前記直線部に移動する磁性鋼球の数が決ま
るため、ロータの回転数に応じて永久磁石の磁界の調整
を行うことができる。
【0014】また、上記目的を達成するために、第4の
発明は、第2または第3の発明において、各永久磁石の
端部近傍の直線部に移動した磁性鋼球は、ロータの回転
速度が所定値以下になった場合に、前記直線部に供給さ
れる流体によって、前記螺旋部に押し戻されることを特
徴とする。
【0015】ここで、前記流体とは、エアや絶縁オイル
である。この構成によれば、所望のタイミングで磁性鋼
球を容易に永久磁石から遠ざけ、ステータ側のコイルに
影響する永久磁石の磁束を回復させ、ロータの低速回転
制御を再開することができる。
【0016】また、上記目的を達成するために、第5の
発明は、第1の発明において、前記中空路は、一端に前
記磁性体を有し、他端に前記磁性体より重い非磁性体を
有するアームであって、前記中空路の中で磁性体を前記
永久磁石に対して接離自在に揺動支持する揺動アーム
と、前記磁性体を前記ロータが所定回転速度以下で駆動
している時に前記永久磁石から離反する位置に付勢する
付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0017】ここで、前記付勢手段は、スプリング等の
ようにロータの回転による遠心力によって容易に付勢状
態を変化させることのできる部材である。この構成によ
れば、磁性体の移動を容易に行うことができるので、ス
ムーズに逆起電圧低減を行うことができる。
【0018】また、上記目的を達成するために、第6の
発明は、第5の発明において、前記磁性体は、中空路の
中心軸に沿って延びるローラ形状を呈することを特徴と
する。
【0019】この構成によれば、前記永久磁石の全長に
対する磁束制御を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0021】図1には、本発明の実施形態の永久磁石形
電動機10の概略的な斜視図が示されている。薄板状の
積層鋼板を複数枚積層して形成されるステータコア12
は中空の円筒形状を呈し、中空の内周側に当該内周に沿
って一定ピッチで形成されたティース12a(図1の例
では、12個のティース12aが形成されている)を有
し、そのティース12aに回転磁界を形成するための複
数のコイル14を装着して、ステータ16を形成してい
る。また、前記ステータ16の中空部には、当該ステー
タ16の内周面と非接触で回転可能なロータ18が図示
しないベアリング等の支持手段によって支持されてい
る。
【0022】前記ロータ18は、前記ステータコア12
と同様に、薄板状の電磁鋼板をポンチプレス等で打ち抜
き加工したものを複数枚積層して形成され、所定の位置
で溶接され略円筒形状に形成されている。このロータ1
8には、前述したステータ16のコイル14で発生する
回転磁界との相互作用により当該ロータ18を所定方向
に回転させるための磁界(磁束)を発生する永久磁石2
0(本実施形態では、6個の永久磁石を有する場合を例
に取る)を収納するための磁石用スロット22が外周に
沿って等ピッチで形成されている。前記磁石用スロット
22に挿入固定されている永久磁石20は隣接するもの
同士が逆向きの磁界を発生するように配置されている。
例えば、任意の永久磁石20のロータ外周側がS極、中
心側がN極の場合、それに隣接する永久磁石20のロー
タ外周側がN極、中心側がS極になる。同様にその隣の
永久磁石20のロータ外周側がS極、中心側がN極にな
るように配置される。前記永久磁石20によって形成さ
れる磁界が前記ステータ16のティース12aに装着さ
れたコイル14によって形成される回転磁界に引きずら
れる状態になり静止したステータ16に対して、ロータ
18が回転することになる。
【0023】本実施形態の特徴的事項は、前記ロータ1
8の磁石用スロット22の両端近傍に、当該ロータ18
の軸18aに沿って磁性体を収納可能な中空路が延設さ
れ、ロータ18の回転速度に応じて前記中空路内で磁性
体を移動させる。そして、前記永久磁石20の近傍で磁
路を選択的に形成することにより永久磁石20の発生す
る磁界による磁束の広がりを抑制し、前記回転磁界を発
生するためのコイルに影響する磁束量を少なくして、前
記回転磁界を形成するコイル側に発生する逆起電圧を低
減するところである。
【0024】図1、図2に示すように、ロータ18の磁
石用スロット22の両側(ロータ18の円周に沿った両
側)には、磁性体である磁性鋼球24を移動可能に収納
する中空路26が形成されている。この中空路26は、
前記永久磁石20の両端位置でロータ18の軸18aに
沿って形成される直線部26aと、ロータ18の外周側
から中心側に向かってロータ18の軸18aを中心に螺
旋を描くように形成された螺旋部26bとから構成され
ている。図1に示すように前記直線部26aと螺旋部2
6bとは、ロータ18の一端面でチューブ等により接続
されている。なお、図1の場合、図面を簡略化するため
に、中空路26は1本のみ図示し、直線部26aと螺旋
部26bとを接続するチューブも4本のみ図示している
が、各永久磁石20の両端には、中空路26の直線部2
6aが1本ずつ形成され、それに連なる螺旋部26bは
それぞれが干渉しないようにロータ18の内部に配置さ
れている(チューブが図示されていない部分は、直線部
26a及び螺旋部26bの端部が露出した状態で示して
いる)。なお、前記中空路26の両端部は、内部に収納
する磁性鋼球24の移動をスムーズに行うために、当該
磁性鋼球24が飛び出さない程度の大きさの空気抜き穴
が形成されている。
【0025】前記中空路26に収納される磁性鋼球24
は、ロータ18の回転によって生じる遠心力によって螺
旋部26b側から直線部26a側に移動させることがで
きる。この時、磁性鋼球24の移動開始タイミングは、
前記螺旋部26bの螺旋角度や螺旋部26bの内壁と磁
性鋼球24とのクリアランス等を適宜選択することによ
り設定することができる。また、遠心力によって直線部
26aに移動した磁性鋼球24は、ロータ18の回転速
度が低下した時に、前記直線部26aの開放端側の空気
抜き穴側からエアや絶縁オイル等の流体を噴射すること
により螺旋部26bに容易に押し戻すことができる。
【0026】このように構成される永久磁石形電動機1
0のロータ18の動作を図1、図2に加えて、図3及び
図4を参照しながら説明する。図3は、ロータ18が低
速回転(例えば、5000rpm以下)で回転している
場合に、永久磁石20が形成する磁界による磁束の状態
を概念的に示したものである。一方、図4は、ロータ1
8が高速回転(例えば、10000rpm)で回転して
いる場合に、永久磁石20が形成する磁界による磁束の
状態を概念的に示したものである。なお、ステータ16
のステータコア12に装着されるコイル14は、図の簡
略化のため一部のみ図示している。
【0027】前記ロータ18が低速(例えば、5000
rpm以下)で回転している場合、すなわち、前記磁性
鋼球24が螺旋部26b内に存在する場合、図3に示す
ように、ロータ18の永久磁石20の軸18aに沿った
両端近傍には、中空路26の直線部26aによる空気層
が形成される。その結果、永久磁石20の両端近傍の磁
気抵抗が増加し、永久磁石20の形成する磁束は、当該
永久磁石20を中心に広範囲に形成される。その結果、
ステータ16のコイル14が形成する回転磁界と永久磁
石20の形成する磁束との交差量が増加する。そして、
ロータ18は、所定のトルクを出力しつつ回転し、その
回転速度(回転数)がコイル14に流れる電流に応じて
増加する。この時、前述したように、前記永久磁石20
によって形成される磁界による磁束が一定であるためロ
ータ18の回転数に比例して、ステータ16側のコイル
14に発生する誘起電圧(逆起電圧)が増加する。その
結果、徐々にステータ16側のコイル14に供給される
電流が減少するようになり、トルクが低下し始める。
【0028】そこで、中空路26の螺旋部26bに位置
している磁性鋼球24が、ロータ18の高速回転(例え
ば、10000rpm)により発生する遠心力によっ
て、直線部26aに移動するようにする。その結果、中
空路26による空気層が磁性体によって埋められるた
め、そこに磁路が形成される。永久磁石20で発生した
磁束が形成された磁路を通過可能になると、磁束(磁
界)の一部を永久磁石近傍で完結することが可能にな
り、磁束の広がりを狭範囲に抑えることができる。つま
り、図4に示すように、ステータ16側に向かう磁束を
中空路26による空気層が存在する場合に比べて少なく
することができる。その結果、ステータ16に装着され
た回転磁界を発生させるコイル14に発生する逆起電圧
を減少させ、コイル14の電流制限がかかるタイミング
を遅らせることが可能になり、回転磁界を発生するため
の電流をコイル14に流し続けることができる。その結
果、ロータ18の回転数をさらに上昇することができ
る。
【0029】図5には、本実施形態の磁性鋼球24と中
空路26を適用した場合と適用しない場合の永久磁石形
電動機のトルクと回転数とステータ側コイルに現れる逆
起電圧との関係が示されている。前記磁性鋼球24と中
空路26が無い場合、永久磁石形電動機のステータ側コ
イルに発生する逆起電圧は、ロータ18の回転数の増加
に比例して増加する。その場合、永久磁石形電動機は、
トルク曲線で示すように、ロータ18が基底回転数に到
達するまで、定トルクを発生し、基底回転数を越えた付
近から永久磁石による逆起電圧がインバータ駆動回路の
出力制限に影響を及ぼすようになりトルクが低下し始め
る。その後、逆起電圧がインバータ駆動回路の出力制限
電圧と一致した時点で、トルクが無くなりロータ回転数
の増加も停止し、最終的にはロータの回転が停止する。
【0030】一方、磁性鋼球24と中空路26を備えた
ロータ18の場合、ロータ18の回転数が上昇し、例え
ば基底回転数を超えると、磁性鋼球24が移動し始めて
永久磁石20の両端近傍の中空路26の直線部26aの
空気層を埋めて、永久磁石20の発生する磁束の広がり
を狭範囲に抑える。その結果、永久磁石20の磁束と回
転磁界を発生するコイル14との交差量が減少し、コイ
ル14に現れる逆起電圧はロータ18の回転数に比例し
なくなり、逆起電圧の増加は緩やかになる。そして、逆
起電圧がインバータ駆動回路の出力制限と一致するタイ
ミングが遅れ、回転磁界を発生するための電流を流し続
けることが可能になる。そして、最終的にロータ18を
より高速回転することができるようになる。
【0031】一方、前記ロータ18の回転数を意図的に
高速回転から低速回転に変化させる場合は、ロータ18
の回転制御信号等に基づいて、直線部26aの開放側の
空気抜き穴26c(図2参照)から流体(例えば、エ
ア)を噴射すれば、容易に磁性鋼球24を螺旋部26b
に押し戻すことができる。その結果、永久磁石20の磁
束の状態を図3で示す状態に戻し、ロータ18の回転制
御を所定トルクによる低速回転制御に戻すことができ
る。なお、前記流体の噴射は、直線部26aの空気抜き
穴26cに対面して配置される噴射ノズル等により行う
ことが好ましい。この場合、ロータ18は回転している
ので噴射ノズルを1本配置すれば、各直線部26aに位
置する磁性鋼球24を順次押し戻すことができるが、前
記噴射ノズルはロータ18の端面の外周に沿って複数配
置してもよい。
【0032】ところで、永久磁石形電動機10は駆動す
ることによって、コイル14部分等が発熱する。この発
熱により永久磁石20が減磁してしまう場合がある。そ
のため、永久磁石形電動機10のコイル14や永久磁石
20はエアや絶縁オイル等を用いて冷却することが好ま
しい。そこで、この冷却に用いるエアや絶縁オイルによ
って磁性鋼球24の押し戻し動作を行ってもよい。
【0033】このように、ロータ18に磁性鋼球24が
移動可能な中空路26を設けるのみで、ロータ18の回
転数に応じて、永久磁石20の発生する磁束(磁界)調
整を行うことが可能になり、ステータ側コイルに現れる
逆起電圧を低減することができる。その結果、永久磁石
形電動機の運転中に制御の切り換え等を行う必要が無
く、シンプルな制御回路でロータ18を高速回転させる
ことができる。また、従来のように弱め界磁制御を行う
ために、d軸電流等を流す必要が無いので効率的に永久
磁石形電動機を駆動することができる。
【0034】なお、前記磁性鋼球24が直線部26aに
移動した時に、磁性鋼球24は直線部26aの全てを埋
め尽くすことが好ましいが、ロータ18の極端な高速回
転が必要ない場合は、磁性鋼球24が部分的に直線部2
6aを埋めるようにして、永久磁石20の磁束調整を当
該永久磁石20の一部分で行うようにしてもよい。な
お、電気自動車等において、ロータ18が高速回転する
のは、前進時のみであるため遠心力で磁性鋼球24が移
動するロータ18の回転方向は、一方向のみでよい。ま
た、磁性鋼球24の移動数は、ロータ18の回転数で決
まるため、ロータ18の回転数に反して、回転磁界に影
響する永久磁石20の磁束が急激に減少することはな
く、トルクの急激な減少も防止できる。
【0035】図6、図7(a),(b)には、永久磁石
20のロータ18が高速回転した時の逆起電圧を低減す
ることのできる他の構成を説明する部分概念図が示され
ている。図6に示すように、ロータ18の永久磁石20
を収納する磁石用スロット22の両端には、前記ロータ
18の軸18a(図1参照)に沿った方向にほぼ直線状
の中空路28が形成されている。この中空路28内部に
は、円筒状の磁性体ローラ30(例えば、鉄製)と円筒
状の非磁性体ローラ32(例えば、鉛製や銅製)とが非
磁性材料の揺動アーム34によって接続された揺動磁性
体36が収納されている。この揺動磁性体36は、揺動
アーム34の略中央を支点として、揺動自在であり磁性
体ローラ30が各永久磁石20の端部側にくるように配
置されている。従って、揺動磁性体36が支点を中心に
揺動することにより磁性体ローラ30が永久磁石20に
対して接離することができる。
【0036】前記揺動磁性体36は、磁性体ローラ30
の重量に比べ非磁性体ローラ32の重量の方が重くなる
ように形成されている。また、非磁性体ローラ32が中
空路28内部で常にロータ18の中心側に付勢されるよ
うに付勢手段としてのスプリング38によって引っぱら
れている。従って、磁性体ローラ30は通常、図6及び
図7(a)に示すように、永久磁石20から離れた位置
に存在している。なお、図7(a)に示すように、前記
中空路28において、磁性体ローラ30及び非磁性体ロ
ーラ32が揺動する時に対向する壁面28a,28b
は、前記磁性体ローラ30及び非磁性体ローラ32の揺
動がスムーズに行えるように、磁性体ローラ30及び非
磁性体ローラ32の曲率に対応した曲面を呈している。
【0037】このように構成される中空路28及び揺動
磁性体36を有するロータ18を含む永久磁石形電動機
の動作を説明する。前述したように、非磁性体ローラ3
2はスプリング38によって、図7(a)に示すよう
に、ロータ18の中心側に引き寄せられているため、中
空路28は、ロータ18が低速回転(例えば、5000
rpm以下)している場合、永久磁石20の端部近傍に
空気層が形成される。そのため、永久磁石20の端部近
傍で磁気抵抗が増加し、永久磁石20の形成する磁束
は、当該永久磁石20を中心に広範囲に形成される。そ
の結果、ステータ16のコイル14が形成する回転磁界
と永久磁石20の形成する磁束との交差量が増加し、ロ
ータ18は、所定のトルクを出力しつつ回転し、その回
転速度(回転数)をコイル14に流れる電流に応じて増
加する。
【0038】一方、前記非磁性体ローラ32は磁性体ロ
ーラ30に比べて重いため、ロータ18が所定回転数
(例えば、基底回転数)を越えると、当該ロータ18の
回転により発生する遠心力により、非磁性体ローラ32
はスプリング38の付勢力に逆らってロータ18の外周
方向に移動する。そして、図7(b)のように、磁性体
ローラ30が永久磁石20に接近し、永久磁石20の端
部近傍に形成されていた空気層を排除する。その結果、
永久磁石20の端部近傍に磁路が形成され、そこを永久
磁石20で発生した磁束が通過可能になり、磁束(磁
界)の一部を永久磁石20近傍で完結させて、磁束の広
がりを狭範囲に抑える。つまり、図7(b)に示すよう
に、ステータ16側に向かう磁束を中空路28による空
気層が存在する場合に比べて弱めることができる。その
結果、ステータ16に装着された回転磁界を発生させる
コイル14に発生する逆起電圧を減少させ、コイル14
の電流制限がかかるタイミングを遅らせることができ
る。そして、回転磁界を発生するための電流をコイル1
4に流し続けることが可能になりロータ18の回転数を
さらに上昇することができる。
【0039】また、ロータ18の回転数が意図的に下げ
られ、例えば、基底回転数以下になった場合、スプリン
グ38の付勢力により、非磁性ローラ32がロータ18
の中心側に引き寄せられ、磁性ローラ30が永久磁石2
0から遠ざけられて、磁束の状態は図7(a)の状態に
戻る。その結果、ロータ18の回転制御を所定トルクに
よる低速回転制御に戻すことができる。なお、中空路2
8及び揺動磁性体36を使用した場合と使用しない場合
の永久磁石形電動機のトルクと回転数とステータ側コイ
ルに現れる逆起電圧との関係は、図5に示すものとほぼ
同じである。
【0040】本実施形態においては、磁性体ローラ30
及び非磁性体ローラ32を揺動アーム34で接続した例
を示したが、球状の磁性体と非磁性体を個々の揺動アー
ムで接続したものを複数セット中空路28内に配置して
もよい。前記セットで中空路28を満たせば、磁性体ロ
ーラ30及び非磁性体ローラ32を用いた場合と同じ状
態になる。また、前記セットをまばらに配置した場合
は、前述した磁性鋼球24を中空路26にまばらに移動
させた状態と同じになる。
【0041】なお、磁性体ローラ30により永久磁石2
0の磁束を制限するタイミングは、スプリング38のバ
ネ定数を適宜選択することにより容易に行うことができ
る。
【0042】また、各本実施形態を用いて得られるロー
タの最高回転数より、さらにロータの回転数を上昇させ
たい場合には、中空路及び磁性体による改善以降に従来
の弱め界磁制御を適用することによって、行うことも可
能である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、ロータの回転数の増加
に応じて、永久磁石の磁束の形成範囲を小さくし、ステ
ータ側のコイルに対する永久磁石が発生する磁束の影響
力を小さくすることができるので、前記コイルに発生す
る逆起電圧を低減することが可能になる。その結果、イ
ンバータ駆動回路の出力電圧制限によるステータ側コイ
ルの電流制限のかかるタイミングを遅らせることができ
るため、ロータの回転数をさらに上昇することができ
る。また、通常の弱め界磁のようにd軸電流等を流す必
要が無いので効率的に永久磁石形電動機を駆動すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の永久磁石形電動機の外観
斜視図である。
【図2】 図1に示す実施形態の永久磁石形電動機のロ
ータ内に形成する中空路の形状を説明する説明図であ
る。
【図3】 図1に示す実施形態において、ロータの低速
回転時に永久磁石の発生する磁束を説明する説明図であ
る。
【図4】 図1に示す実施形態において、ロータの高速
回転時に永久磁石の発生する磁束を説明する説明図であ
る。
【図5】 図1に示す実施形態において、ロータに中空
路と磁性鋼球を適用した場合としない場合の永久磁石形
電動機のトルクと回転数とステータ側コイルに現れる逆
起電圧との関係を説明する説明図である。
【図6】 本発明の他の実施形態の永久磁石形電動機の
ロータの構造を説明する部分図である。
【図7】 図6に示す実施形態において、ロータの低速
回転時と高速回転時の磁束の分布状態を説明する説明図
である。
【符号の説明】
10 永久磁石形電動機、12 ステータコア、12a
ティース、14 コイル、16 ステータ、18 ロ
ータ、18a 軸、20 永久磁石、22 磁石用スロ
ット、24 磁性鋼球、26 中空路、26a 直線
部、26b 螺旋部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転磁界を発生するための複数のコイル
    を備えたステータと、所定の磁界を発生する複数の永久
    磁石を有し前記磁界と前記回転磁界との相互作用により
    回転するロータと、を含む永久磁石形電動機において、 前記ロータは、 当該ロータの外周面内側に沿って前記永久磁石を収納す
    る磁石用スロットと、 前記ロータの外周に沿った前記磁石用スロットの両端近
    傍で少なくともロータの軸の沿って延設される中空路
    と、 前記中空路の中で前記ロータの回転速度に応じて前記永
    久磁石の端部に接離自在な磁性体と、 を含むことを特徴とする永久磁石形電動機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の永久磁石形電動機におい
    て、 前記磁性体は、ロータの回転により発生する遠心力によ
    りロータの中心部側から移動してくる磁性鋼球であるこ
    とを特徴とする永久磁石形電動機。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の永久磁石形電動機におい
    て、 前記中空路は、 前記永久磁石用スロットに沿った直線部と、当該直線部
    に連絡し前記ロータの中心軸周りで外周側から中心側に
    向かって延びる螺旋部と、 から形成されることを特徴とする永久磁石形電動機。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3記載の永久磁石
    形電動機において、 各永久磁石の端部近傍の直線部に移動した磁性鋼球は、
    ロータの回転速度が所定値以下になった場合に、前記直
    線部に供給される流体によって、前記螺旋部に押し戻さ
    れることを特徴とする永久磁石形電動機。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の永久磁石形電動機におい
    て、 前記中空路は、 一端に前記磁性体を有し、他端に前記磁性体より重い非
    磁性体を有するアームであって、前記中空路の中で磁性
    体を前記永久磁石に対して接離自在に揺動支持する揺動
    アームと、 前記磁性体を前記ロータが所定回転速度以下で回転して
    いる時に前記永久磁石から離反する位置に付勢する付勢
    手段と、 を有することを特徴とする永久磁石形電動機。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の永久磁石形電動機におい
    て、 前記磁性体は、中空路の中心軸に沿って延びるローラ形
    状を呈することを特徴とする永久磁石形電動機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012157056A1 (ja) * 2011-05-16 2012-11-22 三菱電機株式会社 永久磁石型回転電機
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