JP2000147203A - 光学部品の表面処理方法及び光学部品及び光学装置 - Google Patents

光学部品の表面処理方法及び光学部品及び光学装置

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JP2000147203A
JP2000147203A JP10315136A JP31513698A JP2000147203A JP 2000147203 A JP2000147203 A JP 2000147203A JP 10315136 A JP10315136 A JP 10315136A JP 31513698 A JP31513698 A JP 31513698A JP 2000147203 A JP2000147203 A JP 2000147203A
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Motoi Ueda
基 上田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学装置、特に紫外域用の半導体露光装
置、レーザ加工装置、等で用いる光学部品は、光学部品
の表面に雰囲気中のガス、有機物、ホコリ、リント(糸
くず)、等が、光学部品の表面に付着、吸着することに
より、光学部品の光学特性が損ねられ、光学装置の光学
特性が劣化することがあった。 【解決手段】光学部品の表面にパーフルオロアルコール
を接触させる段階、接触部分に紫外光を照射し、パーフ
ルオロアルコールのパーフルオロアルキル基を光学部品
の表面に定着させることにより、光学部品表面を不活性
化する段階を経て光学部品を製造することによって課題
を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面汚染を低減さ
せる光学部品、及びそのための光学部品表面不活性化処
理方法、及びこの光学部品を具えた光学装置、特に半導
体装置製造のための光リソグラフィー工程に於ける半導
体露光装置で用いられるそれを用いた光学装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】様々な光応用技術の進展に伴い、光学部
品の性能への要求は益々高度化している。即ち、近年の
傾向としては、例えば半導体装置製造工程で微細なパタ
ーンを焼き付けるためのリソグラフィーのための半導体
露光装置や、微細な加工のためのレーザ加工装置、等の
光学装置は、一層の微細化を求められ、これらの光学装
置で使用される光は、可視光よりも短波長の光、即ち、
水銀ランプのg線(約436nm)、i線( 約365n
m) を経て現在ではKrFエキシマレーザー光(248
nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、等
の各種エキシマレーザ光、等へと、ますます短波長に移
行している。
【0003】これら光学装置、特に半導体露光装置、等
に於いては、僅かな光吸収による光量損失が装置性能の
大きな劣化につながるため、各使用波長で、光学部品に
は極めて僅かな光吸収の存在も許容されない。僅かな光
吸収でも半導体露光装置に於けるように数十個という多
数の光学部品を用いる光学系では、光吸収が積算され、
総透過率が大きく低減するため、露光光量が低減し、そ
の結果スループットが低下する。また、僅かな光吸収で
も、これによって光学部品の温度上昇を生じ、この温度
上昇による光学部品の熱膨張が形状の歪みを引き起こす
ばかりでなく素材の特性を悪化させるのである。
【0004】以上の事実を念頭に入れて、これら紫外域
で用いる半導体露光装置の光学系には、極めて僅かな光
吸収率の光学部品を用いねばならない。そのため、これ
ら光学部品は基材のみならず、その表面上に形成される
光学薄膜も紫外域での光吸収率を極めて低く作製されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、これら
紫外域で用いる半導体露光装置の光学系の光学部品は、
光吸収値を極めて低く抑えてあるはずである。ところ
が、実際にはこれら光学装置に於いて設計通りの光学特
性が得られない場合が多々ある。即ち、光学装置の光学
系の透過光量と結像性能が設計値に及ばないのである。
【0006】本発明の目的は、以上の問題を解決した、
光学部品の処理方法、光学装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者等は上記問題の原
因を探究したところその主原因の一つは、光学部品表面
の汚染であることに気付いた。光学部品製造直後から、
その光学部品の保管、運搬、組み立て調整、稼働、等の
期間中に光学部品が置かれている雰囲気中のガス、有機
物、ホコリ、リント(糸くず)、等が、光学部品上の薄
膜表面に付着、吸着することにより、前記光学部品の光
学特性が損ねられているのである。殊に多くの有機物は
紫外域に於いて光吸収するので、光学部品に僅かでも付
着、吸着すると、光吸収により透過光量が低減するので
ある。のみならず、一般の光学部品には反射防止膜が施
してあるので、反射防止膜の表面に付着、吸着した有機
物の膜は反射防止膜の反射防止条件を充たさなくするた
め、一般に反射損失増大の原因になる。この反射損失に
よっても透過光量が低減するのである。
【0008】有機物、等の付着、吸着を防ぐための本発
明とは異なる方法として、光学部品の保管環境、運搬環
境、組み立て調整環境、及び半導体露光装置、等の光学
装置内で組み込まれている環境を改善して、これら光学
部品に光学部品が置かれている雰囲気中のガス、有機
物、ホコリ、リント(糸くず)、等が付着、吸着しない
ようにする方法も考えられるが、これは技術的にもコス
ト的にも非常に困難である。
【0009】 また、半導体露光装置、等の光学装置を長
期に渡って使用する場合には、光学装置から光学部品を
定期的に取り外して洗浄または交換する方法が考えられ
るが、これは光学装置の稼働率を低下させる。 更にま
た、光学部品の表面を雰囲気の有機物、等により汚染さ
れにくいように設計する事も考えられる。例えば特開昭
63−5301に、TiO2 、等の光触媒性のある物質
の層を光学部品の最表層に設け、それに紫外光が照射さ
れることによって、光学部品の表面に付着、吸着する汚
染物を、酸化、分解し、清浄な表面を保つ技術が開示さ
れている。この技術も、近年の紫外域の光を用いた半導
体露光装置の光学系においては、透過光量の低下という
問題を有する。即ち、光触媒であるTiO2 のバンドギ
ャップ光は約400nmであるので、400nm以下、
例えば193nmあるいは248nm等の紫外光を吸収
する。したがって、TiO2 を最表層に持った光学薄
膜、従ってこれを具えた光学部品は無視できない光吸収
を持つので、半導体露光装置は所望の光学特性を保てな
くなってしまう。
【0010】更にまた、特開平6−220428、等に
光学部品表面の不活性化処理が開示されている。しか
し、これらの不活性処理に用いる物質は紫外域に強い光
吸収を持つため、紫外線用途に用いることはできない。
それどころかこれらは紫外線を吸収することにより容易
に分解されるため、その表面状態を維持することが出来
ない。
【0011】これらの状況において本発明者は、本発明
の課題を解決する手段として、光学部品に対して「表面
を不活性化する」と同時に「紫外域においても高精度に
光学的特性を維持する」事を図った。そのため発明者は
表面処理方法について研究を続け、以下の一つの結論を
見いだした。
【0012】つまり、光学部品表面にパーフルオロアル
コールを接触させ、さらにその接触部分に紫外光を照射
することにより、パーフルオロアルキル基を表面に定着
させ、表面を不活性化する光学部品の表面処理により目
的を達成できる事である。多くの光学部品表面は、基板
の材料表面そのもの、あるいは基板表面に形成された光
学薄膜表面から成り、物質としては多種の金属あるいは
半導体の酸化物あるいはフッ化物、等の化合物で形成さ
れている。これらの清浄な表面は、金属原子や半導体原
子の多くのダングリングボンドを有し、表面エネルギー
は高く、光学部品が置かれている雰囲気中の様々な物質
を吸着しやすい状況になっている。それに対して本発明
による処理後は、パーフルオロアルキル基が、図1の様
に光学部品表面に定着していると考えられる。フッ素系
化合物はフッ素の電気陰性度の高さから表面エネルギー
を低減できる事が知られているが、本発明ではまさにフ
ッ素系化合物の表面をパーフルオロアルキル基で覆うこ
とにより、表面エネルギーを低減していることになる。
また、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基で
は、分子内のすべての結合はC−F結合からなってお
り、紫外域においても大きな光吸収を呈する基は存在し
ないため、本発明の処理により光学部品が大きな光吸収
を生じることはない。
【0013】一方、本発明者はパーフルオロアルキル基
を表面に定着させるプロセスの出発原料として、パーフ
ルオロアルコールを選定している。パーフルオロアルコ
ールは完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基の
末端に水酸基が付いた化合物である。パーフルオロアル
コールは極性を持ち、光学部品表面に接したとき、水酸
基が選択的に光学部品表面に吸着し易い。また、逆の末
端は不活性であるため、光学部品表面に吸着するのは1
分子層のみであると考えられる。更に、紫外光をパーフ
ルオロアルコールに照射した場合に、C−Fよりも結合
エネルギーの低い水酸基部分は紫外光を吸収し、選択的
に励起され、水酸基が遊離する過程を経て、パーフルオ
ロアルキル基は直接表面の半導体あるいは金属と化学結
合を形成すると考えられる(図2参照)。この光化学反
応の過程を踏まない場合、パーフルオロアルコールは、
その水酸基が弱い水素結合のみで表面に吸着した状態で
あるため、比較的容易に表面から脱離してしまい、不活
性な状況を保つことは難しい。
【0014】この様に、パーフルオロアルコールを出発
原料とした光化学反応は、パーフルオロアルキル基を光
学部品表面に1層だけ定着させるために非常に都合の良
いプロセスであり、得られるパーフルオロアルキル基の
表面は、不活性であり、且つ光学的にも可視域から紫外
域に至るまで、広範囲にわたり光損失が無い優れた表面
である。
【0015】尚、用いるパーフルオロアルコールの直鎖
の長さ(分子量)は特に制限はないが、適応する光学部
品の表面の表面荒さによって使い分ける事が好ましい。
つまり、表面の凹凸に入り込める程度の分子サイズ、即
ち分子量であれば、パーフルオロアルキル基による被覆
率が高くなり、大きな効果を期待できる。以上のよう
に、本発明は第一に「光学部品の表面にパーフルオロア
ルコールを接触させる段階、前記接触部分に紫外光を照
射し、前記パーフルオロアルコールのパーフルオロアル
キル基を前記光学部品の表面に定着させることにより、
前記光学部品表面を不活性化する段階を有することを特
徴とする光学部品の表面処理方法(請求項1)」を提供
する。
【0016】第二に「光学部品の表面にパーフルオロア
ルコールを接触させ、前記接触部分に紫外光を照射し、
前記パーフルオロアルコールのパーフルオロアルキル基
を前記光学部品の表面に定着させることにより前記光学
部品表面を不活性化して成ることを特徴とする光学部品
(請求項2)」を提供する。第三に「請求項2記載の光
学部品をその光学系にそなえることを特徴とする光学装
置(請求項3)」を提供する。
【0017】第四に「前記光学装置が、半導体装置製造
のリソグラフィー工程で用いられる半導体露光装置であ
ることを特徴とする請求項3記載の光学装置(請求項
4)」を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表面処理の工程に
ついて、その実施の形態を説明する。図3に、本実施の
形態による表面処理の工程の一例を示す。本工程は、
(a)前処理として、一旦清浄な表面を得るためのUV
洗浄工程、(b)パーフルオロアルコールの滴下、塗布
工程(c)紫外光照射工程を有する。(a)では、低圧
水銀ランプなどの紫外光を発する光源の直近に被処理物
を設置し5〜20分間程度の照射を行い、表面に吸着し
た有機物およびガスの脱離を一旦行う。照射の時間は、
処理前の表面汚染の程度などにより任意に調整する。必
要に応じてこの洗浄法の替わりに、他の湿式洗浄法、等
の方法を行ったり、他の湿式洗浄法、等の方法を付け加
えることも可能である。(b)では、パーフルオロアル
コールを光学部材の表面に接触させるための工程であ
る。この他の方法として、一旦光学部品をパーフルオロ
アルコールに浸漬するか、光学部品をパーフルオロアル
コール飽和蒸気雰囲気に保持する処理を行うなどしても
よい。また、パーフルオロアルコールは、パーフルオロ
エタノールからパーフルオロデカノール(直鎖の長さで
カーボン数が2〜10)が室温で液体であるため扱いが
容易であるため、好ましいが、それ以上に大きな分子を
用いることも可能である。次に(c)では、処理を施す
表面にパーフルオロアルコールを接したまま、紫外線を
照射し、パーフルオロアルキル基を表面に定着させる行
程である。定着にはパーフルオロアルコール中の水酸基
を活性化させるに充分な光子エネルギーを持った光が必
要である。ここでは、(a)と同様に低圧水銀ランプを
用いているが、その他の水銀ランプ、キセノンランプ、
メタルハライドランプ、エキシマレーザーなどを用いて
もよい。
【0019】次に、本実施の形態による表面処理の効果
を示すため、以下の実験を行った。先ず、直径30m
m、厚さ3mmの石英ガラス基板の上下2面に研磨加工
を施し、この上下2面の研磨面に本実施の形態による表
面処理を施し、その直後から大気中(実験用のクラス1
000のクリーンルーム)に放置して波長200nmに
おける光吸収率の経時変化を測定した。結果を図4に示
す。図4には、無処理のサンプル、および本発明の実施
形態による処理のうち(a)のUV洗浄のみを施した同
様のサンプルの結果も比較のために合わせて示した。各
サンプルの表面処理後(各1日後から7日後まで)の各
透過率から表面処理直後の各透過率を減算した値が、透
過率変化の経緯として示されている。但し、無処理サン
プルだけはUV洗浄を、本実施の形態の表面処理を施し
たサンプルとUV洗浄のみを施したサンプルの処理日の
5日前に行っているので、この時点の透過率を基準とな
る表面処理直後の透過率とした。従って図4に於いて、
無処理サンプルは、0時間(0日)時点で既に同じ大気
中(実験用のクラス1000のクリーンルーム)に5日
間放置されていることになる。別の調査により、光学部
品表面への付着、吸着による汚染の程度は、光学部品の
透過率変化(即ち光散乱が大きく増えていないので光吸
収率の変化)の絶対値の大きさに比例することが確かめ
られている。「無処理」のサンプルは、初期から透過率
変化の絶対値が0.3%以上と高く、放置された5日間
で表面の汚染が既に進行していることが判る。また、
「UV洗浄のみ」を行ったサンプルは、処理直後に於い
て透過率変化の絶対値が0.0%と一旦清浄な表面にな
っているものの、前記したように活性な表面になってい
るため、速い速度で汚染が蓄積し、7日後には0.9%
へと急速に増大していることが判る。尚、これらの変化
が生じたサンプルを再び(a)の工程で記したUV洗浄
にかけると、透過率変化の絶対値は始めにUV洗浄を施
した0.0%まで回復するため、透過率変化の絶対値増
大の原因は表面汚染と判断される。
【0020】さて、これらに比べて、「本実施の形態の
表面処理」を施したサンプルは、透過率変化の絶対値が
処理直後の0.0%近くの清浄な表面を示す値を7日間
維持し、変化が極めて小さい。つまり、目的である表面
の不活性化が達成されており、表面汚染が殆ど進行して
いない事が明白である。本実施の形態の表面処理をした
光学部品が、本実験で用いられた実験用のクラス100
0のクリーンルームよりもクリーンな環境、即ち半導体
露光装置、レーザ加工装置、等の光学装置に組み込んで
用いられる時には、更に桁違いに長期間にわたって光吸
収率の増大が低レベルに抑えられ、長期間に渡って良好
な光学性能を示す光学装置、特に半導体露光装置、レー
ザ加工装置、等が得られる。
【0021】
【発明の効果】本発明による光学部品の表面処理方法に
より、光学部品の表面が不活性化されるため、光学部品
の保管、運搬、組み立て調整、稼働、等の期間中に於け
る光学部品表面の表面汚染を極めて低く抑えることがで
き、この間の光吸収率の増大を抑えることができるの
で、長期に渡って高性能を保つ光学部品を得ることが出
来、更にこの光学部品を用いることにより、光学装置、
特に紫外光を用いる光学装置の光学系の光学性能を、光
学装置の製造直後から使用の長期間に渡り損なうことな
く維持することが可能な高性能な光学装置、特に半導体
露光装置、レーザ加工装置、等を安価に得ることができ
るのみならず、汚染された光学部品の定期的な交換のよ
うな作業による光学装置の運転停止が不要となる為、光
学装置のスループットを上げる事ができる。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態の表面処理により得られ
る、光学部品の表面状態を示す
【0024】
【図2】本発明の実施の形態の光学部品の表面処理に於
ける光化学反応を示す
【0025】
【図3】本発明の実施の形態の光学部品の表面処理工程
を示す
【0026】
【図4】本発明の実施の形態による表面処理後の光学部
品(3mm厚石英ガラス)の波長200nmに於ける光
吸収率変化を示す(比較例を一緒に示す)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学部品の表面にパーフルオロアルコール
    を接触させる段階、前記接触部分に紫外光を照射し、前
    記パーフルオロアルコールのパーフルオロアルキル基を
    前記光学部品の表面に定着させることにより、前記光学
    部品表面を不活性化する段階を有することを特徴とする
    光学部品の表面処理方法。
  2. 【請求項2】光学部品の表面にパーフルオロアルコール
    を接触させ、前記接触部分に紫外光を照射し、前記パー
    フルオロアルコールのパーフルオロアルキル基を前記光
    学部品の表面に定着させることにより前記光学部品表面
    を不活性化して成ることを特徴とする光学部品。
  3. 【請求項3】請求項2記載の光学部品をその光学系にそ
    なえることを特徴とする光学装置。
  4. 【請求項4】前記光学装置が、半導体装置製造のリソグ
    ラフィー工程で用いられる半導体露光装置であることを
    特徴とする請求項3記載の光学装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021124690A (ja) * 2020-02-07 2021-08-30 キヤノン株式会社 光学装置、物品製造方法および光学部材製造方法

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