JP2000145117A - 床暖房用床仕上げ材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 床暖房パネル１１上に施工される床仕上げ材
Ａが、断熱性を持つ緩衝材７が基板１裏面に貼着されて
いるものである場合でも、床暖房パネル１１の熱を床仕
上げ材Ａの表面へスムーズに伝達して床仕上げ面の設定
温度への昇温時間を短縮する。 【解決手段】 床仕上げ材Ａにおける基板１の裏面に貼
着される緩衝材７を、多数の孔９，９，…が穿設された
合成樹脂発泡材８からなるものとして、これら多数の孔
９，９，…により合成樹脂発泡材８自体の断熱性を減じ
る。併せて、多数の孔９，９，…により軽量衝撃音に対
する防音性をも向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、床暖房パネル上に
施工される床暖房用床仕上げ材に関し、特に、防音性及
び熱伝導性の双方に優れたものにするための技術分野に
属する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、合板、木質繊維板、ＯＳＢ等
の木質基板の裏面に、ウレタン樹脂発泡材等の合成樹脂
発泡材からなる板状やマット状の緩衝材を貼着して、軽
量衝撃音に対する防音性を高めたり、適度なクッション
性を付与して歩行感を良くしたり、床下地との馴染み性
を良好にして取付性を高めたりするようにした木質系床
仕上げ材は知られている。

【０００３】他方、近年、温水式や電気式の床暖房シス
テムが普及してきており、このような床暖房システムの
１つとして、発熱源の床暖房パネルの上に木質系床仕上
げ材を施工するものがある。そして、この床暖房システ
ムに防音性や歩行感の良さを付与するために、上記合成
樹脂発泡材製の緩衝材を基板の裏面に貼着した木質系床
仕上げ材が使われることがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、床暖房パネルの上に、緩衝材が貼着された木質系床
仕上げ材を施工した床暖房システムの場合、防音性や歩
行感を向上させることはできる。

【０００５】しかし、その反面、使用する合成樹脂発泡
材製の緩衝材は非常に軽くて断熱性が良いため、床暖房
パネルの熱が緩衝材の断熱性に遮断されて床仕上げ面に
伝わり難くなり、その分、床仕上げ材表面が設定温度に
昇温するまでに長い時間（例えば２時間近く）がかかる
という不具合があった。

【０００６】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、床暖房パネルの上に施工される床仕上
げ材の構造を改良することで、その床仕上げ材の裏面に
緩衝材が貼着されていても、床暖房パネルの熱を床仕上
げ面へスムーズに伝達して床仕上げ材表面の設定温度へ
の昇温時間を短縮し得るようにすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、床仕上げ材の裏面に貼着される緩
衝材に多数の孔を貫通形成するようにした。

【０００８】具体的には、請求項１の発明の床暖房用床
仕上げ材は、多数の孔が穿設された合成樹脂発泡材から
なる緩衝材を基板の裏面に貼着してなることを特徴とし
ている。

【０００９】この構成により、多数の孔が穿設された合
成樹脂発泡材を床材用緩衝材として用いているので、上
記多数の孔により緩衝材自体の断熱性が減じられること
となり、床仕上げ面が設定温度に達するまでの昇温時間
を短縮することができる。しかも、上記多数の孔によ
り、特に軽量衝撃音に対する防音性を向上させることも
できる。

【００１０】請求項２の発明では、上記緩衝材は、合成
樹脂発泡材の表裏面の少なくとも一方に不織布が貼着さ
れているものとする。すなわち、合成樹脂発泡材に多数
の孔を穿った場合、緩衝材として硬さが柔らかくなり過
ぎて歩行感を悪化させることがあるが、その合成樹脂発
泡材の表裏面の少なくとも一方に不織布が貼着されてい
るので、この不織布の貼着により緩衝材の熱伝導性を確
保しつつ、良好な歩行感を保つことができる。

【００１１】また、床暖房パネルに床仕上げ材を接着剤
等により取り付ける場合に、緩衝材に多数の孔が開いて
いると、取付性が悪くなることがあるが、その裏面に不
織布を貼着することによって、良好な取付性を確保する
ことができる。

【００１２】請求項３の発明では、緩衝材は、合成樹脂
発泡材に熱伝導性材料が複合されている構成とする。こ
のように、合成樹脂発泡材に熱伝導性材料を複合するこ
とで、合成樹脂発泡材自体の熱伝導性の向上効果がさら
に加わることとなり、床暖房パネルの熱を床仕上げ材表
面へより一層良好に伝えることができる。

【００１３】請求項４の発明では、上記不織布に熱伝導
性材料が複合されている構成とする。このことで、複合
された熱伝導性材料により、不織布自体の熱伝導性の向
上効果がさらに加わって、床暖房パネルの熱を床仕上げ
材表面へさらに良好に伝えることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】（実施形態１）図１は本発明の実
施形態１に係る床暖房用の床仕上げ材Ａを示し、１は例
えば合板、木質繊維板、ＯＳＢ等からなる木質基板で、
その例えば幅方向の一側面に雌実２が、また他側面に雄
実３がそれぞれ形成されており、床仕上げ材Ａの施工時
にはその基板１の雌実２に、隣接する他の床仕上げ材Ａ
の基板１の雄実３を嵌合することで、両床仕上げ材Ａ，
Ａが実結合される。

【００１５】上記基板１の表面には化粧層４が突き板や
化粧紙等の貼着により形成され、この化粧層４の表面に
透明ないし半透明の塗装が施されている。

【００１６】一方、基板１の裏面にはそれと同じ大きさ
の緩衝材７が貼着されて一体化されている。この緩衝材
７は、第２図に示すように、例えば軟質ウレタン樹脂発
泡材等からなる合成樹脂発泡材８に、その表裏面間を貫
通する多数の孔９，９，…が規則的又は不規則的に分散
して穿設されたものである。

【００１７】図３は上記床仕上げ材Ａを使用して形成さ
れた床暖房システムを示し、１１は温水パイプ１２が内
蔵された発熱源としての床暖房パネル（尚、電気ヒータ
式のものでもよい）、１３はその床暖房パネル１１上に
配置されたアルミニウムシート等からなる均熱板で、こ
の均熱板１３上に複数の床仕上げ材Ａ，Ａ，…が施工さ
れる。

【００１８】したがって、この実施形態の床仕上げ材Ａ
を用いて上記のように施工された床暖房システムでは、
各床仕上げ材Ａの基板１裏面に合成樹脂発泡材８からな
る緩衝材７が貼着されているので、床暖房システムにお
ける防音性が向上し、かつ良好な歩行感が得られる。

【００１９】そして、床暖房パネル１１の温水パイプ１
２から供給された温水熱は、その温水パイプ１２上側の
均熱板１３から、各床仕上げ材Ａ裏面の緩衝材７に伝達
される。そのとき、上記緩衝材７は、合成樹脂発泡材８
の表裏面に亘り多数の孔９，９，…が穿設されたもので
あるので、上記緩衝材７に均熱板１３から伝達された熱
は、緩衝材７自体及び該緩衝材７における多数の孔９，
９，…を通して基板１に伝わることとなる。このため、
たとえ合成樹脂発泡材８自体が断熱性を持っていても、
その断熱性を上記多数の孔９，９，…により減じること
ができる。つまり、床暖房パネル１１の熱が緩衝材７に
より断熱されることはなく、その熱は床仕上げ材Ａの表
面に良好に伝わるようになり、よって床暖房システムに
おける床仕上げ面が設定温度に昇温するまでの昇温時間
を大幅に短縮することができる。しかも、上記合成樹脂
発泡材８における多数の孔９，９，…により、特に軽量
衝撃音に対する防音性をも向上させることができる。

【００２０】尚、上記各床仕上げ材Ａの基板１裏面に貼
着される合成樹脂発泡材８自体に熱伝導性材料を複合さ
せておくことができる。この熱伝導性材料としては、ア
ルミニウム、銅、鉄、或いはこれらの酸化物等の金属系
材料や炭素の粉末、繊維状物を用いることができる。こ
の熱伝導性材料が粉末である場合には、その粉末材料を
合成樹脂発泡材８の原料に練り込んだ（混合した）後に
発泡させて複合させることができる。また、繊維状物で
ある場合は、合成樹脂発泡材８を成形してからその内部
に繊維状物を機械的に打ち込む等により複合できる。こ
うして合成樹脂発泡材８に熱伝導性材料を複合すると、
合成樹脂発泡材８自体の熱伝導性が向上するので、孔
９，９，…の断熱抑制効果と併せて緩衝材７の熱伝導性
がさらに良くなる。

【００２１】上記緩衝材７としては、合成樹脂発泡材８
の表裏面のうちの片面、又は図４に示すように表裏面の
両面にそれぞれ不織布１５が貼着されているものを用い
ることもできる。このように合成樹脂発泡材８に不織布
１５を貼着しておくと、緩衝材７が孔９，９，…を設け
たことによって柔らかくなり過ぎた場合に、その歩行感
を改善することができる。しかも、合成樹脂発泡材８の
裏面に不織布１５を設けると、緩衝材７の接着剤による
取付性がよくなるという利点が加わる。

【００２２】そして、このような不織布１５についても
上記した熱伝導性材料が複合されているのが好ましい。
この場合も、熱伝導性材料として上記粉末や繊維を用い
ることができる。粉末の場合は、不織布１５を構成する
合成繊維に塗材化した粉末をコーティングして複合でき
る。一方、繊維の場合は、不織布１５を構成する合成繊
維と混合して得た混合繊維を不織布状に形成して複合さ
せることができる。このように不織布１５に熱伝導性材
料を複合すると、合成樹脂発泡材８の片面又は両面に不
織布１５を貼着した緩衝材７に対し、その熱伝導性を向
上させることができる。

【００２３】（実施形態２）図５は本発明の実施形態２
を示し（尚、以下の実施形態では図１〜図４と同じ部分
については同じ符号を付してその詳細な説明は省略す
る）、基板１を変えたものである。

【００２４】すなわち、この実施形態では、床仕上げ材
Ａの基板１は複数枚（図示例では４枚）の細長板材１
８，１８，…を短辺方向に連結して一体化したものであ
り、基板１の雌実２が形成される一端側の細長板材１８
を除いた各細長板材１８の一側面には雌実凹溝１８ａ
が、また基板１の雄実３が形成される他端側の細長板材
１８を除いた各細長板材１８の他側面には雄実凸条１８
ｂがそれぞれ形成され、隣接する細長板材１８，１８の
一方の雌実凹溝１８ａに他方の雄実凸条１８ｂが嵌合さ
れている。また、基板１裏面の細長板材１８，１８，…
同士の連結部に凹条溝１９，１９，…が形成され、この
各凹条溝１９にホットメルト系樹脂接着剤２０が充填さ
れて細長板材１８，１８，…同士が連結されている。

【００２５】基板１の裏面に緩衝材７が貼着され、この
緩衝材７は、多数の孔９，９，…が設けられたウレタン
樹脂発泡材からなる合成樹脂発泡材８の裏面に、カーボ
ンコーティングした繊維からなる不織布１５が貼着され
たものである。

【００２６】このように、合成樹脂発泡材８裏面の不織
布１５にカーボンコーティング（炭素粉末をコーティン
グ）した繊維を用いることで、上記実施形態１で記載し
た如く、合成樹脂発泡材８に形成した多数の孔９，９，
…による伝熱効果と相乗して、緩衝材７の熱の伝わりを
向上させることができる。

【００２７】また、この実施形態の場合、細長板材１
８，１８，…同士の連結部の凹条溝１９，１９，…に充
填されるホットメルト系樹脂接着剤２０，２０，…につ
いても金属粉末を混入しておけば、床仕上げ面への熱の
伝達効率がさらによくなる。

【００２８】（実施形態３）図６は実施形態３を示し、
この実施形態では、床仕上げ材Ａの基板１として裏溝加
工合板を使用したものである。この裏溝加工合板は、複
数枚の単板２２，２２，…を積層一体化しかつ裏面側か
ら複数の裏溝２３，２３，…を形成したものであり、こ
れら裏溝２３，２３，…により床仕上げ材Ａに柔軟性を
付与することができ、さらに、床仕上げ材Ａ表面への熱
の伝わりを裏溝２３，２３，…によって良くすることも
できる。尚、緩衝材７は、孔９，９，…が穿設された合
成樹脂発泡材８の両面に不織布１５を貼着したものであ
る。

【００２９】さらに、基板１（合板）の表裏面、及び最
上位置（表面側）の単板２２と上から２枚目の単板２２
との間にそれぞれアルミニウム等の金属薄シート層２
４，２４，…が介在されている。

【００３０】この実施形態の床暖房用床仕上げ材Ａの構
造では、裏溝２３及び金属薄シート層２４により基板１
自体の熱伝導性が向上するので、その床仕上げ材Ａ表面
への伝熱性をさらに高めることができる。

【００３１】尚、上記基板１（合板）の単板２２，２
２，…間に金属薄シート層２４を形成するに当たり、図
示例では、上から１枚目及び２枚目の単板２２，２２間
に金属薄シート層２４，２４を設けているが、これに限
らず、基板１を構成する単板２２，２２，…間のいずれ
か一層又は複数層に設けておくことができる。また、裏
溝２３と金属薄シート層２４との双方を同時に設ける必
要はなく、裏溝２３だけ或いは金属薄シート層２４だけ
を設けてもよいのは勿論である。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
よると、床暖房用床仕上げ材として、基板の裏面に、多
数の孔が穿設された合成樹脂発泡材からなる緩衝材を貼
着したことにより、緩衝材自体の断熱性を多数の孔によ
り減じることができ、床仕上げ面の設定温度への昇温時
間の短縮化、及び軽量衝撃音に対する防音性の向上を図
ることができる。

【００３３】請求項２の発明によれば、合成樹脂発泡材
の表裏面の少なくとも一方に不織布を貼着したことによ
り、合成樹脂発泡材に多数の孔を穿っているにも拘わら
ず、緩衝材としての硬さを保って良好な歩行感を確保で
きるとともに、接着剤等により取り付ける場合の良好な
取付性を確保することができる。

【００３４】請求項３の発明によると、合成樹脂発泡材
に熱伝導性材料を複合させたことにより、合成樹脂発泡
材自体の熱伝導性を向上させて、床仕上げ面に達するま
での昇温時間のより一層の短縮化を図ることができる。

【００３５】請求項４の発明によれば、不織布に熱伝導
性材料を複合させたことにより、不織布自体の熱伝導性
を向上させて、床仕上げ面に達するまでの昇温時間のよ
り一層の短縮化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態１に係る床暖房用床仕上げ材
の側面図である。

【図２】緩衝材の斜視図である。

【図３】床暖房用床仕上げ材を用いた床暖房システムを
示す断面図である。

【図４】緩衝材の他の例を示す図２相当図である。

【図５】本発明の実施形態２を示す図１相当図である。

【図６】本発明の実施形態３を示す図１相当図である。

【符号の説明】

Ａ 床暖房用床仕上げ材 １ 基板 ７ 緩衝材 ８ 合成樹脂発泡材 ９ 孔 １１ 床暖房パネル １５ 不織布

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4F100 AA17H AA19H AA23H AA37H AK01A AR00A AR00H AT00B BA02 BA04 BA07 BA10B BA10D BA13 CA30 CA30A DC11A DG15C DG15D DJ01A GB08 JH01 JJ01 JJ01A JJ01C JJ01D JJ01H JJ02 JK11A

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の孔が穿設された合成樹脂発泡材か
   らなる緩衝材を基板の裏面に貼着してなることを特徴と
   する床暖房用床仕上げ材。
2. 【請求項２】 請求項１の床暖房用床仕上げ材におい
   て、 緩衝材は、合成樹脂発泡材の表裏面の少なくとも一方に
   不織布が貼着されているものであることを特徴とする床
   暖房用床仕上げ材。
3. 【請求項３】 請求項１又は２の床暖房用床仕上げ材に
   おいて、 緩衝材は、合成樹脂発泡材に熱伝導性材料が複合されて
   いるものであることを特徴とする床暖房用床仕上げ材。
4. 【請求項４】 請求項２又は３の床暖房用床仕上げ材に
   おいて、 不織布に熱伝導性材料が複合されていることを特徴とす
   る床暖房用床仕上げ材。