JP2000144602A - 軌道分岐部の異物除去装置 - Google Patents

軌道分岐部の異物除去装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】既存の軌道分岐部1に特別な加工を施すことな
く設置することができる軌道分岐部の異物除去装置Aを
提供する。 【解決手段】基本レール11のトングレール12に対向
する側面に、ノズル部4を有する配管ユニット2を設け
た。この配管ユニット2を、圧縮空気の供給通路Lを介
して配管ユニット2に接続した。配管ユニット2と圧縮
空気の供給通路Lとを接続する配管ジョイント部5を、
レールストッパ14よりもトングレール12の後端側に
おいて、基本レール11の下方を通して配設した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、軌道分岐部の異
物除去装置に関し、特に降雪地方における鉄道の軌道分
岐部の基本レールとトングレールとの間に落下した異物
を、空気噴射によって除去するものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、降雪地方の鉄道の軌道分岐部に
は、電熱式、熱風式、温水式等の各種融雪装置が設置さ
れている。これら融雪装置は、降雪により列車が持ち込
むいわゆる持ち込み雪については、これを融かして軌道
分岐部から除去することができる。しかし、車両が軌道
分岐部を通過する際の振動によって当該車両から基本レ
ールとトングレールとの間に落下した雪氷については、
これを短時間で融かすことが困難であるので、ポイント
を短時間で切換える必要がある場合等に、トングレール
の不転換が生じることがある。また、雪氷がバラスト上
に落下した際の衝撃によって、バラストが飛び跳ねて軌
道分岐部の基本レールとトングレールとの間に挟まった
場合には、前記融雪装置では対処することができない。
【0003】そこで、基本レールとトングレールとの間
に挟まった雪氷や飛び石等の異物を、空気噴射により吹
き飛ばすことにより、当該異物を除去する異物除去装置
が実用化されている(例えば特開平7−54317号公
報参照)。この異物除去装置は、軌道分岐部の近傍に圧
縮空気を発生させる圧縮空気源装置を設置し、基本レー
ルのウェブのトングレールに対向する側面に、前記圧縮
空気源装置から圧縮空気の供給通路を介して圧縮空気を
供給する配管ユニットを取付け、この配管ユニットの長
手方向に沿った複数箇所に、配管ユニットに供給された
圧縮空気を前記トングレールの先端側へ向けて噴射する
ノズル部を設けたものであり、前記圧縮空気の供給通路
は、基本レールのウェブを水平方向に貫通した状態で設
けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記軌道分岐部の異物
除去装置は、これを既存の軌道分岐部に設置する際に、
基本レールのウェブに前記圧縮空気の供給通路を貫通さ
せるための穴明け加工を施す必要があるので、設置作業
に手間がかかるという問題があった。この発明は前記問
題点に鑑みてなされたものであり、既存の軌道分岐部に
特別な加工を施すことなく設置することができる軌道分
岐部の異物除去装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
のこの発明の軌道分岐部の異物除去装置は、基本レール
に対して接離可能なトングレールを備え、前記基本レー
ルの前記トングレールに対向する側面に、両レール間の
間隔を規制するレールストッパを固定している軌道分岐
部の前記基本レールとトングレールとの間に落下した異
物を除去する装置であって、前記基本レールの前記トン
グレールに対向する側面に設けられた配管ユニットと、
前記軌道分岐部の近くに設置され、圧縮空気の供給通路
を介して前記配管ユニットに接続された圧縮空気源装置
と、前記配管ユニットに長手方向に並べて設けられ、前
記圧縮空気源装置からの圧縮空気を前記トングレールの
先端側へ向けて噴射する複数のノズル部と、前記レール
ストッパよりも前記トングレールの後端側で前記基本レ
ールの下方を通して配設され、前記配管ユニットと前記
圧縮空気の供給通路とを接続する配管ジョイント部とを
備えることを特徴とする。この軌道分岐部の異物除去装
置によれば、圧縮空気源装置から圧縮空気の供給通路を
通して供給される圧縮空気を、前記基本レールの下方を
通して配設された配管ジョイント部を介して配管ユニッ
トに供給することができる。したがって、基本レールの
ウェブに前記圧縮空気の供給通路を貫通させるための穴
明け加工を施す必要がない。
【0006】前記レールストッパは、前記基本レールを
水平方向に貫通する取付けボルトによって前記基本レー
ルにねじ止めされ、前記配管ユニットは、前記取付けボ
ルトによって前記レールストッパとともに前記基本レー
ルにねじ止めされてもよい(請求項2)。この場合に
は、既存のレールストッパを固定するための取付けボル
トを利用して、配管ユニットを基本レールに固定するこ
とができる。
【0007】請求項2記載の異物除去装置において、前
記配管ユニットの前記トングレール先端側の端部に、前
記トングレールの先端よりもさらに突出した位置まで延
びる固定板を設け、この固定板の先端を前記基本レール
の底部フランジを挟持する挟持金具を介して基本レール
に固定してもよい(請求項3)。この異物除去装置によ
れば、前記配管ユニットを、前記取付けボルトと挟持金
具とによって基本レールに強固に固定することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の軌道分岐部の異
物除去装置の実施の形態について詳述する。図1は、こ
の発明の軌道分岐部の異物除去装置Aが設置された軌道
分岐部1を示す一部欠截平面図である。この軌道分岐部
1は、所定間隔離して設置された一対の基本レール11
の相互間に、一対のトングレール12が設けられてい
る。各トングレール12は、床板13上を移動可能であ
り、それぞれの先端12aどうしは、転轍棒15によっ
て一定間隔に連結されている。各トングレール12は、
図示しないポイント切換装置によって切換えることによ
り、基本レール11に対して交互に接離(開閉)させる
ことができる。
【0009】前記基本レール11のウェブ11a(図2
参照)のトングレール12に対向する側面には、両レー
ル11,12間の間隔を規制するためのレールストッパ
14が固定されている。このレールストッパ14は、基
本レール11の長手方向に沿って所定間隔毎に複数個設
けられている。各レールストッパ14は、図3に示すよ
うに、山形の突部14aの両側に、基本レール11のウ
ェブ11aに対してボルト止め(ねじ止め)するフラン
ジ部14bを一体形成したものであり、前記突部14a
のウェブ11aからの突出高さは、トングレール12の
後端側(図1において右側)から先端部12aに向かっ
て漸次低くなっており、これにより、基本レール11に
トングレール12の先端12a側が接触した状態で、各
レールストッパ14の突部14aがトングレール12の
側面に当接することができる。
【0010】前記異物除去装置Aは、基本レール11の
トングレール12に対向する側面に設けられた配管ユニ
ット2と、前記軌道分岐部1の近くに設置され、圧縮空
気の供給通路Lを介して前記配管ユニット2に接続され
た圧縮空気源装置3と、前記配管ユニット2の先端側に
設けられた複数のノズル部4と、前記配管ユニット2と
前記圧縮空気の供給通路Lとを接続する配管ジョイント
部5とを備えている。
【0011】前記配管ユニット2は、定位置側と反位側
のそれぞれのトングレール12に対向させて設けられて
いる。この配管ユニット2は、図3〜図5に示すよう
に、上下一対のやや偏平な角パイプ21を備えており、
各角パイプ21の途中部21aから先端21bに至る範
囲に前記ノズル部4が設けられている。この角パイプ2
1のノズル部4が設けられた部分は、互いに接触させた
状態で一体化されており、前記途中部21aから後端2
1cに至る範囲は、上下方向に互いに離反した状態で基
本レール11に沿って延びている。各角パイプ21のノ
ズル部4を設けた部分の長さは、基本レール11にトン
グレール12が密着する部分の長さに略対応している。
また、前記角パイプ21の先端21bの開口部は閉塞さ
れており、後端21cは配管ジョイント部5に個別に連
通されている。
【0012】前記各角パイプ21の先端21bには、当
該先端21bを基本レール11に取付けるための固定板
23が溶接されている。この固定板23は、基本レール
11のウェブ11aの側面に沿い得る帯状のものであ
り、その先端23aはトングレール12の先端12aよ
りもさらに突出する位置まで延びており、当該先端23
aは、基本レール11の底部フランジ11bを挟持する
挟持金具6を介して基本レール11に固定されている
(図6参照)。この挟持金具6は、基本レール11の底
面に沿わせる基部61aに、前記固定板23をボルト止
めする起立部61bを立設した止め金具61と、この止
め金具61との間で基本レール11の底部フランジ11
bの一方を挟み込む押さえ金具62とからなり、前記固
定板23を基本レール11のウェブ11aの側面と挟持
金具6の起立部61bとの間に介在した状態で、当該固
定板23を基本レール11に固定することができる。な
お、前記固定板23の先端23aは、トングレール12
の先端12aよりもさらに突出する位置まで延びている
ので、ポイントの切換え動作に支障をきたすおそれがな
い。
【0013】また、各角パイプ21の途中部21aから
後端21cに至る部分の相互間には、当該部分を基本レ
ール11に取付けるための板状のブラケット24が溶接
されている(図4参照)。このブラケット24は、レー
ルストッパ14を基本レール11に固定するための取付
けボルトBに対応して設けられており、当該取付けボル
トBを挿通させた状態で、レールストッパ14とともに
基本レール11に固定されている(図3及び図7参
照)。したがって、配管ユニット2を、基本レール11
に特別な加工を施すことなく、既存の取付けボルトBを
利用して基本レール11に容易に固定することができ
る。
【0014】前記ノズル部4は、角パイプ21の内部に
連通された状態で、当該角パイプ21の長手方向に沿っ
て所定間隔毎に設けられている。また、上部の角パイプ
21のノズル部4と下部の角パイプ21のノズル部4と
は、当該角パイプ21の長手方向に位置をずらした状態
で設けられている(図4参照)。各ノズル部4には、ト
ングレール12の先端側に向けて圧縮空気を噴射する2
個の空気噴射口41,42が形成されており、その方向
は、基本レール11の長手方向に対して下向き角αと横
向き角θとを有している(図3及び図8参照)。
【0015】圧縮空気源装置3は、空気圧縮機31、圧
縮空気溜32、及びこれらの付属機器を有しており(図
9参照)、前記圧縮空気溜32は、電磁切換弁33を介
して各配管ユニット2に接続されている。前記電磁切換
弁33は、圧縮空気溜32を、所定の電気信号に基づい
て定位置側及び反位側の配管ユニット2に対して選択的
に接続する。
【0016】配管ジョイント部5は、前記レールストッ
パ14よりもトングレール12の後端側において、基本
レール11の下方を通して配設されている(図1及び図
2参照)。このため、基本レール11のウェブ11aに
圧縮空気の供給通路Lを貫通させるための穴明け加工を
施す必要がない。なお、前記配管ジョイント部5は、基
本レール11との間でヒータHを挟み込んだ状態で、固
定金具51により基本レール11に固定されている。前
記配管ジョイント部5と圧縮空気源装置3とを結ぶ圧縮
空気の供給通路Lは、配管ジョイント部5に対して2つ
に分岐した状態で接続されており、各分岐路L1,L2
は、配管ユニット2の各角パイプ21に個別に接続され
ている。
【0017】以上の構成の異物除去装置Aは、例えば異
物の落下検知スイッチからの信号、ポイントの切換信
号、降雪センサからの信号等に基づいて電磁切換弁33
を切換え操作することにより、圧縮空気溜32から配管
ユニット2に圧縮空気を供給して、ノズル部4から圧縮
空気を所定時間噴射することにより、落下雪氷や飛び石
等の異物を吹き飛ばして除去することができる。
【0018】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の軌道分岐
部の異物除去装置によれば、圧縮空気源装置から圧縮空
気の供給通路を通して供給される圧縮空気を、前記基本
レールの下方を通して配設された配管ジョイント部を介
して配管ユニットに供給することができるので、当該異
物除去装置を基本レールに特別な加工を施すことなく容
易に設置することができる。
【0019】請求項2記載の軌道分岐部の異物除去装置
によれば、既存のレールストッパを固定するための取付
けボルトを利用して、配管ユニットを基本レールに固定
することができるので、配管ユニットの固定が容易とな
る。
【0020】請求項3記載の異物除去装置によれば、配
管ユニットの先端に延設した固定板を基本レールの底部
フランジを挟持する挟持金具を介して基本レールに固定
するので、配管ユニットを、前記レールストッパを固定
するための取付けボルトと挟持金具とによって強固に固
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の軌道分岐部の異物除去装置を適用し
た軌道分岐部を示す一部欠截平面図である。
【図2】基本レールの図1におけるII−II線断面図であ
る。
【図3】配管ユニットを示す平面図である。
【図4】配管ユニットを示す側面図である。
【図5】基本レールの図1におけるV−V線断面図であ
る。
【図6】図1のVI− VI 線断面図である。
【図7】図1のVII 矢視図である。
【図8】ノズル部を示す側面図である。
【図9】圧縮空気源装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 軌道分岐部 11 基本レール 11a ウェブ 11b 底部フランジ 12 トングレール 14 レールストッパ 2 配管ユニット 23 固定板 3 圧縮空気源装置 4 ノズル部 5 配管ジョイント部 6 挟持金具 A 異物除去装置 L 圧縮空気の供給通路 B 取付けボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 学 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 成田 尚重 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 進藤 英樹 東京都渋谷区代々木二丁目2番2号 東日 本旅客鉄道株式会社内 Fターム(参考) 2D056 AB00 AB03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基本レールに対して接離可能なトングレー
    ルを備え、前記基本レールの前記トングレールに対向す
    る側面に、両レール間の間隔を規制するレールストッパ
    を固定している軌道分岐部の前記基本レールとトングレ
    ールとの間に落下した異物を除去する装置であって、 前記基本レールの前記トングレールに対向する側面に設
    けられた配管ユニットと、 前記軌道分岐部の近くに設置され、圧縮空気の供給通路
    を介して前記配管ユニットに接続された圧縮空気源装置
    と、 前記配管ユニットに長手方向に並べて設けられ、前記圧
    縮空気源装置からの圧縮空気を前記トングレールの先端
    側へ向けて噴射する複数のノズル部と、 前記レールストッパよりも前記トングレールの後端側で
    前記基本レールの下方を通して配設され、前記配管ユニ
    ットと前記圧縮空気の供給通路とを接続する配管ジョイ
    ント部とを備えることを特徴とする軌道分岐部の異物除
    去装置。
  2. 【請求項2】前記レールストッパは、前記基本レールを
    水平方向に貫通する取付けボルトによって前記基本レー
    ルにねじ止めされ、前記配管ユニットは、前記取付けボ
    ルトによって前記レールストッパとともに前記基本レー
    ルにねじ止めされる請求項1記載の軌道分岐部の異物除
    去装置。
  3. 【請求項3】前記配管ユニットの前記トングレール先端
    側の端部に、前記トングレールの先端よりもさらに突出
    した位置まで延びる固定板を設け、この固定板の先端を
    前記基本レールの底部フランジを挟持する挟持金具を介
    して基本レールに固定する請求項2記載の軌道分岐部の
    異物除去装置。
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