JP2000144394A - ターゲット材及びその製造方法 - Google Patents

ターゲット材及びその製造方法

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JP2000144394A
JP2000144394A JP10312050A JP31205098A JP2000144394A JP 2000144394 A JP2000144394 A JP 2000144394A JP 10312050 A JP10312050 A JP 10312050A JP 31205098 A JP31205098 A JP 31205098A JP 2000144394 A JP2000144394 A JP 2000144394A
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weight
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silicon nitride
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JP10312050A
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Takeyoshi Takenouchi
武義 竹之内
Masaharu Yamada
雅治 山田
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性及び快削性を有し、かつ破壊強度及び
耐熱衝撃性に優れたターゲット材を得る。また静電気を
除去できる程度の膜抵抗を有する窒化珪素膜又はサイア
ロン膜を安定に形成する。 【解決手段】 ターゲット材は窒化珪素マトリックス又
はサイアロンマトリックスの結晶粒内及び粒界のいずれ
か一方又は双方に、粒径が100nm以下の六方晶窒化
硼素(h−BN)を1〜20重量%と、チタンの窒化
物、炭化物及び炭窒化物のうち1種又は2種以上を17
〜40重量%とを均一に分散させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリングに
より窒化珪素膜又はサイアロン(SIALON)膜を形
成するためのターゲット材及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、所望の組成のサイアロン焼結体を
ターゲット材として用いて、スパッタリング成膜を行う
方法が開示されている(特開昭63−223169)。
しかしこのサイアロン焼結体は絶縁体であるため、高周
波スパッタリングでしか成膜できず、基板温度の上昇が
問題となるポリカーボネート基板には適用することがで
きなかった。この点を改良したサイアロンターゲット材
料として、光磁気記録媒体の保護膜などに優れ、かつ比
較的低温で成膜できる直流スパッタリングを可能とする
導電性を有するサイアロンターゲット材が提案されてい
る(特開平3−183765)。この導電性サイアロン
ターゲット材料は、Si6-ZAlZZ8-Z(但し、zは
0<z≦4.2)で表されるβ´−サイアロン相、Ti
NのようなIVa族の窒化物層及びY,Si,Al,N
が存在する非晶質粒界相の複合相とからなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平3−1
83765号公報に示されるサイアロンターゲット材は
導電性を有するばかりでなく、このサイアロンターゲッ
ト材を用いて、スパッタリングにより、プリンタヘッド
の保護膜を形成した場合、この保護膜も高い導電性を有
する。即ち、この保護膜はSi34に対してTiNの含
有量が多く、抵抗値が低くなり過ぎると、印字又は印画
のために感光ドラムに帯電した電荷がサイアロン膜を通
じて系外に逃げてしまい、これによりプリンタとしての
機能が損われる不具合があった。このため、スパッタリ
ングガスであるN2ガスとArガスの混合比を変えて抵
抗値を大きくすることが試みられているが、スパッタリ
ングガスの制御が困難になり、スパッタリングによる成
膜操作が煩わしくなる欠点があった。
【0004】一方、近年プリンタが高速化するに従い、
印刷時にプリンタヘッドに高圧の静電気が発生し易い。
このため、絶縁性の窒化珪素保護膜又はサイアロン保護
膜をプリンタヘッド表面に形成した場合でも、高圧の静
電気を生じてこれがスパークしたときに、保護膜が静電
破壊してしまい、保護膜としての機能が損われる不具合
があった。また、セラミックの機械的特性の面では、導
電性粒子の添加による複合化は微細組織を不均質化する
ことによる特性向上及び高靭化を図ることを主たる目的
としている。しかし、このような複合化では、相補的な
効果の付与が主流であり、線形的に予測できる範囲の複
合化しか期待できない。即ち、セラミックの結晶粒の粒
界等における材料欠陥は破壊強度などの特性のバラツキ
及びそれに伴う導電性のバラツキを生じる。従って、材
料の特性向上及び信頼性向上を図るためには、今までの
複合化とは異なる材料設計の考えが必要になってきてい
る。
【0005】本発明の目的は、導電性及び快削性を有
し、かつ破壊強度及び耐熱衝撃性に優れたターゲット材
及びその製造方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、静電気を除去できる程度の膜抵抗を有する窒化
珪素膜又はサイアロン膜を安定に形成できるターゲット
材及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
窒化珪素マトリックス又はサイアロンマトリックスの結
晶粒内及び粒界のいずれか一方又は双方に、粒径が10
0nm以下の六方晶窒化硼素(h−BN)を1〜20重
量%と、チタンの窒化物、炭化物及び炭窒化物のうち1
種又は2種以上を17〜40重量%とを均一に分散させ
たターゲット材である。この請求項1に記載されたター
ゲット材では、窒化珪素マトリックス又はサイアロンマ
トリックスの結晶粒内及び粒界のいずれか一方又は双方
に、所定の割合で六方晶窒化硼素粒子を分散させること
により、窒化珪素マトリックス又はサイアロンマトリッ
クスの破壊強度、耐熱衝撃性などの機械的特性を改善で
きるとともに、溶融金属に対する耐食性と機械加工時の
快削性を改善することができる。また窒化珪素マトリッ
クス等とチタンの窒化物等との複合化により導電性を付
与することができ、組織が均質なため導電率のバラツキ
も少ない。更に上記ターゲット材により静電気を除去で
きる程度の膜抵抗を有する窒化珪素膜又はサイアロン膜
を安定に形成できる。なお、上記窒化硼素の出発原料と
してが尿素と硼素とを用い、上記チタンの窒化物の出発
原料として酸化チタンを用いることが好ましい。
【0007】請求項4に係る発明は、窒化珪素粉末又は
サイアロン粉末に対して3〜38重量%の尿素粉末と
1.5〜20重量%の硼酸粉末とを加えた混合粉末をエ
タノールを分散媒として混合した後に乾燥する工程と、
この乾燥した混合粉末を水素ガス雰囲気中700〜11
00℃の温度で還元処理する工程と、この還元処理した
混合粉末を不活性ガス雰囲気中1500℃以上の温度で
高温熱処理する工程と、この高温熱処理した混合粉末に
17〜40重量%のチタンの窒化物粉末、炭化物粉末及
び炭窒化物粉末のうち1種又は2種以上と5〜10重量
%の焼結助剤とを添加して混合した後に乾燥して得られ
た混合粉末を成形する工程と、この成形体を不活性ガス
雰囲気中1600℃以上の温度で焼結する工程とを含む
ターゲット材の製造方法である。この請求項4に記載さ
れたターゲット材の製造方法では、窒化珪素、尿素、硼
酸の混合粉末は、水素ガス雰囲気中で還元処理し、更に
不活性ガス雰囲気中で高温熱処理することにより、尿素
と硼酸の還元により乱層構造の窒化硼素が生成する。こ
の混合粉末では、第2相(乱層構造の窒化硼素)が窒化
珪素(Si34)の周りを取り囲んでいる。この混合粉
末に焼結助剤を添加し、混合・乾燥した混合粉末を焼結
すると、窒化珪素(Si34)粒内に分散した窒化硼素
粒子は、α−Si34が焼結助剤に起因して生成する粒
界相に融解し、そこからβ−Si34として析出すると
きの成長核の役割を果たし、柱状のβ−Si34の成長
を促進する。この柱状のβ−Si34は、ナノサイズの
分散粒子を核にして成長するために、窒化珪素粒子の寸
法が良く制御される。そのために、柱状のβ−Si34
が成長しても破壊源は増大しないので、破壊強度が向上
する。
【0008】また窒化珪素粒内と同様に粒界に存在する
窒化硼素でもその界面に不純物の生成は認められず、界
面の整合性は良い。また、熱膨張差により冷却過程に生
じる劈開も窒化硼素と窒化珪素の粒界よりも窒化硼素の
結晶粒内であることから、強い界面を実現する。粒界に
も微細な粒子を分散することができ、温度が上昇して
も、粒界は安定な窒化硼素粒子により部分的に結合して
いるために、高温での強度低下が抑えられる。また窒化
硼素含有量が10重量%以上になると、融解金属に対す
る耐食性が改善される。特に、窒化硼素粒子がナノ分散
しているので、窒化硼素粒子間の間隔がかなり短くなる
ため、マトリックスの受けるダメージも小さくなる。ま
た、六方晶窒化硼素はグラファイトと同じ積層構造をと
り、その層間は弱いファンデルワールスカで結合してい
るため、機械加工時に劈開し、優れた快削性を示す。更
にチタンの窒化物等の分散により、所定の導電性を付与
することができる。
【0009】請求項5に係る発明は、窒化珪素粉末又は
サイアロン粉末に対して3〜38重量%の尿素粉末と
1.5〜20重量%の硼酸粉末とを加えた混合粉末に酸
化チタンを窒化チタン換算で17〜40重量%添加しエ
タノールを分散媒として混合した後に乾燥する工程と、
この乾燥した混合粉末を水素ガス雰囲気中700〜11
00℃の温度で還元処理する工程と、この還元処理した
混合粉末を不活性ガス雰囲気中1500℃以上の温度で
高温熱処理する工程と、この高温熱処理した混合粉末に
5〜10重量%の焼結助剤を添加して混合した後に乾燥
して得られた混合粉末を成形する工程と、この成形体を
不活性ガス雰囲気中1600℃以上の温度で焼結する工
程とを含むターゲット材の製造方法である。上記請求項
4に記載されたターゲット材の製造方法では、高温熱処
理した後にチタンの窒化物粉末等を添加して成形してい
たのに対して、この請求項5に記載されたターゲット材
の製造方法では、混合粉末を還元処理する前に酸化チタ
ン粉末を加えることにより、酸化チタン粉末の分散性が
更に良くなり、このターゲット材により形成された膜の
抵抗値のばらつきが更に少なくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。本発明のターゲット材は窒化珪素マトリックスの結
晶粒内及び粒界のいずれか一方又は双方に、粒径が10
0nm以下の六方晶窒化硼素(h−BN)を1〜20重
量%、好ましくは2〜10重量%と、チタンの窒化物、
炭化物及び炭窒化物のうち1種又は2種以上を17〜4
0重量%、好ましくは17〜30重量%とを均一に分散
させた窒化珪素基複合材(窒化珪素基ターゲット材)で
ある。
【0011】本実施の形態において、上記六方晶窒化硼
素の割合を1〜20重量%とする理由は、導電性を付与
する第3相(チタンの窒化物等)を添加しても上述した
バラツキの少ない導電率、室温及び高温での機械的特性
の向上、溶融金属に対する耐食性と機械加工時の優れた
快削性が同時に得られるためである。即ち、六方晶窒化
硼素の含有量が20重量%を超えると、耐食性と快削性
及び破壊強度などの機械的特性は良いが、第3相である
チタンの炭化物等の添加による組織構造の制御が困難に
なり、導電率のバラツキが生じてくるためである。また
六方晶窒化硼素の含有量が1重量%未満では上記効果を
得られなくなるためである。
【0012】上記チタンの窒化物等の含有量を17〜4
0重量%としたのは、40重量%を超えると組織構造の
制御が困難になり、導電率のバラツキが生じてくるため
であり、17重量%未満では所定の導電率が得られない
からである。なお、上記六方晶窒化硼素の重量含有割合
は、焼結後のターゲット材の重量に対する六方晶窒化硼
素の重量百分率(重量%)である。
【0013】上記ターゲット材は窒化硼素源として尿素
と硼酸を用いることにより製造することができる。即
ち、市販の窒化硼素粉末を用いた複合化では、微細かつ
均一に第2相(六方晶窒化硼素)を分散することは難し
く、窒化硼素の多量添加では更に難しい。そこで、本発
明では、第2相(六方晶窒化硼素)を溶液に溶かし、乾
燥工程で窒化珪素粒子の表面に析出させる手法に着目し
た。六方晶窒化硼素は、尿素と硼酸を還元雰囲気中で加
熱することにより得られ、両方(尿素及び硼酸)ともあ
らゆる溶媒に可溶なことから本手法の窒化硼素源として
有効である。
【0014】本発明のターゲット材を製造するには、先
ず窒化珪素粉末、尿素粉末、硼酸粉末をエタノールを分
散媒として混合する。この硼酸粉末に対する尿素粉末の
割合は、硼酸粉末1モルに対して尿素粉末1〜5モルと
なるようにするのが好適である。尿素粉末及び硼酸粉末
の量は、焼結後の窒化硼素含有量が1〜20重量%とな
るように選定される。即ち、尿素粉末は窒化珪素粉末に
対して3〜38重量%、好ましくは10〜15重量%混
合され、硼酸粉末は窒化珪素粉末に対して1.5〜20
重量%、好ましくは5〜10重量%混合される。次いで
上記混合粉末を乾燥した後、水素ガス雰囲気中700〜
1100℃の温度で還元処理した後に、窒素ガスや希ガ
ス等の不活性ガス雰囲気中1500℃以上、好ましくは
1700℃の温度で高温熱処理する。上記還元処理及び
高温熱処理により、尿素と硼酸の還元で乱層構造の窒化
硼素が窒化珪素粒子の周りを取り囲むように生成する。
上記還元処理は4〜10時間程度行うのが好ましく、上
記高温熱処理は1〜2時間程度行うのが好ましい。
【0015】次に上記高温熱処理した混合粉末に、17
〜40重量%、好ましくは17〜30重量%のチタンの
窒化物粉末、炭化物粉末及び炭窒化物粉末のうち1種又
は2種以上と、5〜10重量%の焼結助剤とを添加した
後に乾燥する。上記焼結助剤の量は、窒化珪素粉末及び
チタンの窒化物粉末等の合計の5〜10重量%、好まし
くは6〜8重量%が望ましい。なお、上記チタンの窒化
物粉末等の重量含有割合は、焼結後のターゲット材の重
量に対するチタンの窒化物等の重量百分率(重量%)で
ある。更に上記乾燥した混合粉末を所定の型に充填し、
窒素ガスや希ガス等の不活性ガス雰囲気中1600℃以
上、好ましくは1700℃〜1800℃の温度で焼結す
る。これにより混合粉末の成形及び焼結が同時に行われ
る。上記焼結は常圧焼結、常圧焼結とHIP処理との組
合せ、或いはホットプレス焼結で行うことができる。ホ
ットプレス焼結の場合、特に焼結温度1700〜175
0℃、プレス圧10〜40MPaで、0.5〜1時間程
度焼結を行うのが好ましい。この焼結により、窒化硼素
粒子が成長核となって柱状のβ−Si34の成長を促進
する。本発明では、六方晶窒化硼素の出発原料に尿素と
硼酸を用いているために、合成後の窒化硼素粒子の粒径
は微細(100nm以下)で窒化珪素粒内に取り込まれ
易く、材料欠陥となるマイクロクラックは発生しない。
チタンの炭化物等は窒化珪素粒内及び粒界に均一に分散
し、組織の微細化に寄与する。
【0016】なお、この実施の形態では、先ず窒化珪素
粉末、尿素粉末、硼酸粉末をエタノールを分散媒として
混合し乾燥し、次いで混合粉末を水素ガス雰囲気中で還
元処理した後に不活性ガス雰囲気中で高温熱処理し、次
に混合粉末にチタンの窒化物粉末等との焼結助剤とを添
加して乾燥し、更に混合粉末を成形し焼結したが、先ず
窒化珪素粉末、尿素粉末、硼酸粉末、酸化チタンをエタ
ノールを分散媒として混合し乾燥し、次いで混合粉末を
水素ガス雰囲気中で還元処理した後に不活性ガス雰囲気
中で高温熱処理し、次に混合粉末に焼結助剤を添加して
乾燥し、更に混合粉末を成形し焼結してもよい。即ち、
上記実施の形態のチタンの窒化物粉末等に代えて酸化チ
タンを用い、この酸化チタンを最初の工程で窒化珪素粉
末、尿素粉末、硼酸粉末に添加してもよい。上記酸化チ
タンは窒化チタン換算で17〜40重量%、好ましくは
17〜30重量%添加することが好ましい。また、窒化
珪素マトリックスに代えてサイアロン(SiAlON)
マトリックスを用いてもよい。
【0017】
【実施例】次に実施例を比較例とともに詳しく説明す
る。 <実施例1>窒化珪素(α−Si34)粉末は宇部化学
社製SN−E10(平均粒径0.2μm)を用い、硼酸
(H3BO3)粉末は高純度化学研究所製のものを用い、
尿素粉末は和光純薬工業社製のものを用いた。窒化珪素
粉末に、合成後所定の窒化硼素添加量になるように計算
した硼酸とその2倍のモル量の尿素を加えた。エタノー
ルを分散媒として湿式ボールミル混合し、更に水を加え
て乾燥した。ここでは硼酸粉末及び尿素粉末を窒化珪素
に対して2.38重量%及び4.62重量%加えた。上
記乾燥した混合粉末を水素ガス雰囲気中900℃の温度
で7時間還元処理し、更に窒素ガス雰囲気中1500℃
の温度で7時間高温熱処理した。次にこの混合粉末に2
3重量%の炭化チタン(古河機械金属社製、平均粒径
0.2μm)と焼結助剤(6mol%のY23及び2m
ol%のAl23)を加え、エタノールを分散媒として
湿式ボールミル混合した後、乾燥した。更にこの原料粉
末を黒鉛ダイスに充填して、ホットプレス装置(富士電
波工業社製)を用いて、アルゴン雰囲気にて、焼結温度
1700℃で1時間焼結した。この時のプレス圧は30
MPaであった。このターゲット材を実施例1とした。
【0018】<実施例2>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化
珪素に対して4.76重量%及び9.23重量%加え、
窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に20重量%の炭化
チタンを加えたことを除いて、実施例1と同様にしてタ
ーゲット材を作製した。このターゲット材を実施例2と
した。 <実施例3>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化珪素に対して
7.35重量%及び14.25重量%加え、窒素ガス雰
囲気中での高温熱処理後に17重量%の炭化チタンを加
えたことを除いて、実施例1と同様にしてターゲット材
を作製した。このターゲット材を実施例3とした。 <実施例4>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化珪素に対して
12.53重量%及び24.32重量%加え、窒素ガス
雰囲気中での高温熱処理後に17重量%の炭化チタンを
加えたことを除いて、実施例1と同様にしてターゲット
材を作製した。このターゲット材を実施例4とした。
【0019】<実施例5>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化
珪素に対して16.36重量%及び31.76重量%加
え、窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に22重量%の
炭化チタンを加えたことを除いて、実施例1と同様にし
てターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例
5とした。 <実施例6>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化珪素に対して
19.30重量%及び37.47重量%加え、窒素ガス
雰囲気中での高温熱処理後に30重量%の炭化チタンを
加えたことを除いて、実施例1と同様にしてターゲット
材を作製した。このターゲット材を実施例6とした。 <実施例7>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化珪素に対して
7.35重量%及び14.25重量%加え、窒素ガス雰
囲気中での高温熱処理後に30重量%の炭化チタンを加
えたことを除いて、実施例1と同様にしてターゲット材
を作製した。このターゲット材を実施例7とした。
【0020】<比較例1>硼酸粉末及び尿素粉末を窒化
珪素に対して28.92重量%及び56.12重量%加
え、窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に17重量%の
炭化チタンを加えたことを除いて、実施例1と同様にし
てターゲット材を作製した。このターゲット材を比較例
1とした。 <比較例2>実施例1の硼酸粉末及び尿素粉末に代え
て、市販の窒化硼素を窒化珪素に対して3.62重量%
加え、窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に12重量%
の炭化チタンを加えた。上記以外は実施例1と同様にし
てターゲット材を作製した。このターゲット材を比較例
2とした。 <比較例3>市販の窒化硼素を窒化珪素に対して7.3
8重量%加え、窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に1
7重量%の炭化チタンを加えたことを除いて、比較例2
と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット
材を比較例3とした。
【0021】<比較例4>市販の窒化硼素を窒化珪素に
対して3.62重量%加え、窒素ガス雰囲気中での高温
熱処理後に22重量%の炭化チタンを加えたことを除い
て、比較例2と同様にしてターゲット材を作製した。こ
のターゲット材を比較例4とした。 <比較例5>市販の窒化硼素を窒化珪素に対して3.6
2重量%加え、窒素ガス雰囲気中での高温熱処理後に3
0重量%の炭化チタンを加えたことを除いて、比較例2
と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット
材を比較例5とした。 <比較例6>窒化珪素の単相材料を比較例6とした。
【0022】<比較試験及び評価>実施例1〜7及び比
較例1〜5の窒化珪素に混合した硼酸粉末及び尿素粉末
又は市販の窒化硼素の混合割合と、上記ターゲット材中
の窒化硼素の含有量と、炭化チタンの添加量を表1に示
す。 曲げ強度及びヤング率の測定 実施例1〜7及び比較例1〜5のターゲット材を、研削
によりJIS(R1601)に準じた3×4×40mm
の3点曲げ試験片の大きさに加工した。曲げ強度は3点
曲げ試験法により、荷重速度0.5mm/分、スパン長
さ30mmで測定した。ヤング率は共振法により測定し
た。その結果を表2に示す。
【0023】比抵抗の測定 実施例1〜7及び比較例1〜5のターゲット材をスパッ
タリング装置のターゲットホルダに保持し、アルミナ基
板を基板ホルダに保持した状態で、下記のスパッタリン
グ条件でそれぞれスパッタリングを行い、アルミナ基板
上に厚さ約4μmの保護膜をそれぞれ成膜した。 ・スパッタリングガス: N2 10% 10-4Torr Ar90% 10-3Torr ・スパッタリング電力: 200W 上記保護膜の比抵抗を4端子法により測定した。その結
果を表2に示す。
【0024】静電気印加後の帯電の有無の測定 上記成膜した保護膜に5,000Vの直流電圧を印加
し、静電気が保護膜に帯電せずに除去されたか否かを調
べた。その結果を表2に示す。 ターゲット材の高温強度の測定 実施例3、比較例2及び比較例6のターゲット材(3点
曲げ試験片)を、室温、900℃、1200℃、130
0℃及び1400℃の各温度の窒素ガス雰囲気中で10
分間保持した後、上記と同様の3点曲げ試験を行って
測定した。その結果を表3に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表1及び表2から明らかなように、曲げ強
度に関しては、比較例では窒化硼素の添加量の増加とと
もに低下したが、実施例では窒化硼素含有量が増加して
も(20重量%まで)高強度を維持した。またヤング率
に関しては、実施例も比較例も窒化硼素含有量の増加と
ともに低下するが、実施例ではヤング率が低下しても曲
げ強度の低下の程度が小さいことから、比較例よりも耐
熱衝撃性が改善されていることが分かった。表2から明
らかなように、静電気印加後の帯電の有無に関しては、
実施例1〜7では静電気が保護膜に帯電せずに除去され
たのに対し、比較例1〜4では静電気が保護膜に帯電し
たままであった。なお、比較例5では静電気が保護膜に
帯電せずに除去されたのは、炭化チタンが30重量%と
多く、膜抵抗値が小さくなったためである。また比抵抗
のバラツキに関しては、実施例では比抵抗がバラツキな
く1×104〜1×107の範囲に入るのに対して、比較
例では1×105〜1×108と比抵抗のバラツキが大き
かった。これは比較例では前述した材料組織の制御がで
きなかったためと考えられる。表3から明らかなよう
に、高温強度に関しては、実施例3では室温から140
0℃までほぼ同じであるに対し、比較例2では温度の増
加とともに強度が低下する傾向にあった。特に、比較例
6の窒化珪素の単相材料では、粒界が軟化すると言われ
ている1300℃付近で急激に強度が低下するのに対し
て、実施例3では1300℃付近で僅かしか強度は低下
しなかった。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、窒
化珪素マトリックス又はサイアロンマトリックス中に、
六方晶窒化硼素とチタンの窒化物等とを均一に分散した
ので、ターゲット材がナノ複合化される。即ち、窒化珪
素マトリックス等の結晶粒内及び粒界のいずれか一方又
は双方に、所定の割合で六方晶窒化硼素粒子を分散させ
ることにより、窒化珪素マトリックス又はサイアロンマ
トリックスの破壊強度、耐熱衝撃性などの機械的特性を
改善できるとともに、溶融金属に対する耐食性と機械加
工時の快削性を改善することができる。また窒化珪素マ
トリックス等とチタンの窒化物等との複合化により導電
性を付与することができ、組織が均質なため導電率のバ
ラツキも少ない。また上記ターゲット材により静電気を
除去できる程度の膜抵抗を有する窒化珪素膜又はサイア
ロン膜を安定に形成できる。
【0030】また分散粒子である窒化硼素源に尿素粉末
と硼酸粉末を用い、水素ガス雰囲気で還元処理し、不活
性ガス雰囲気中で高温熱処理した後にチタンの窒化物等
を添加することにより、窒化珪素マトリックス又はサイ
アロンマトリックスの結晶粒内及び粒界に六方晶窒化硼
素とチタンの窒化物等が所定の割合(重量%)で均一に
分散しているため、組織構造が制御され、強度及び耐熱
衝撃性に優れたターゲット材を得ることができる。また
このターゲット材のスパッタリングにより形成された窒
化珪素膜又はサイアロン膜は静電気を除去できる程度の
膜抵抗を有する膜を得ることができる。この結果、上記
膜をプリンタヘッドの保護膜とすれば、プリンタが高速
化して高い静電気が発生しても、静電気のスパークによ
り膜が絶縁破壊することがない。また本発明のターゲッ
ト材は快削性を有するので、機械加工が容易である。
【0031】更に窒化硼素源に尿素粉末と硼酸粉末を用
いかつ酸化チタン粉末を添加し、水素ガス雰囲気中で還
元処理し、不活性ガス雰囲気中で高温熱処理しても、六
方晶窒化硼素を比較高い含有量で均一に窒化珪素マトリ
ックス又はサイアロンマトリックスの粒内及び粒界に分
散させることができる。この結果、酸化チタン粉末の分
散性が更に良くなり、このターゲット材により形成され
た膜の抵抗値のばらつきが更に少なくなるという効果が
得られる。なお、本発明は窒化珪素膜又はサイアロン膜
を形成するターゲット材としてだけではなく、高強度の
維持や耐熱衝撃性を要求される摺動部材や、使用環境が
厳しい高温部材などの構造材としての使用も可能であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素マトリックス又はサイアロンマ
    トリックスの結晶粒内及び粒界のいずれか一方又は双方
    に、粒径が100nm以下の六方晶窒化硼素(h−B
    N)を1〜20重量%と、チタンの窒化物、炭化物及び
    炭窒化物のうち1種又は2種以上を17〜40重量%と
    を均一に分散させたターゲット材。
  2. 【請求項2】 窒化硼素が尿素と硼素とを出発原料とす
    る請求項1記載のターゲット材。
  3. 【請求項3】 チタンの窒化物が酸化チタンを出発原料
    とする請求項1記載のターゲット材。
  4. 【請求項4】 窒化珪素粉末又はサイアロン粉末に対し
    て3〜38重量%の尿素粉末と1.5〜20重量%の硼
    酸粉末とを加えた混合粉末をエタノールを分散媒として
    混合した後に乾燥する工程と、 前記乾燥した混合粉末を水素ガス雰囲気中700〜11
    00℃の温度で還元処理する工程と、 前記還元処理した混合粉末を不活性ガス雰囲気中150
    0℃以上の温度で高温熱処理する工程と、 前記高温熱処理した混合粉末に17〜40重量%のチタ
    ンの窒化物粉末、炭化物粉末及び炭窒化物粉末のうち1
    種又は2種以上と5〜10重量%の焼結助剤とを添加し
    て混合した後に乾燥して得られた混合粉末を成形する工
    程と、 前記成形体を不活性ガス雰囲気中1600℃以上の温度
    で焼結する工程とを含むターゲット材の製造方法。
  5. 【請求項5】 窒化珪素粉末又はサイアロン粉末に対し
    て3〜38重量%の尿素粉末と1.5〜20重量%の硼
    酸粉末とを加えた混合粉末に酸化チタン粉末を窒化チタ
    ン換算で17〜40重量%添加しエタノールを分散媒と
    して混合した後に乾燥する工程と、 前記乾燥した混合粉末を水素ガス雰囲気中700〜11
    00℃の温度で還元処理する工程と、 前記還元処理した混合粉末を不活性ガス雰囲気中150
    0℃以上の温度で高温熱処理する工程と、 前記高温熱処理した混合粉末に5〜10重量%の焼結助
    剤を添加して混合した後に乾燥して得られた混合粉末を
    成形する工程と、 前記成形体を不活性ガス雰囲気中1600℃以上の温度
    で焼結する工程とを含むターゲット材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7008893B2 (en) * 2001-04-20 2006-03-07 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Silicon nitride-based composite sintered body and producing method thereof
CN109234689A (zh) * 2017-07-11 2019-01-18 三菱综合材料株式会社 陶瓷膜、溅射靶以及溅射靶的制造方法

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