JP2000144262A - 機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造方法

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JP2000144262A
JP2000144262A JP10312448A JP31244898A JP2000144262A JP 2000144262 A JP2000144262 A JP 2000144262A JP 10312448 A JP10312448 A JP 10312448A JP 31244898 A JP31244898 A JP 31244898A JP 2000144262 A JP2000144262 A JP 2000144262A
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Takehide Senuma
武秀 瀬沼
Masayoshi Suehiro
正芳 末廣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性の安定した加工用冷延鋼板を製造
する。 【解決手段】 重量比で、C≦0.006%、Si≦
1.2%、Mn≦2%、P≦0.1%、Al=0.00
5〜0.1%、N≦0.01%を含有し、さらに、C/
12+N/14−0.0001<Ti/48+Nb/9
3の条件式を満足するTi、Nbの一方又は双方を含
み、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を熱延、酸
洗、冷延した後の鋼板を連続焼鈍するに際し、600℃
以上750℃以下の温度域までは平均加熱速度を5℃/
sec以上30℃/sec以下の平均加熱速度で加熱
し、引き続き該温度域から60℃/sec以上500℃
/sec以下の昇温速度で急速加熱を開始し、熱延条件
の鋼板長手方向の実績変動に応じて鋼板長手方向位置毎
に予め決定した750℃以上910℃以下の焼鈍最高到
達温度まで昇温して焼鈍することにより要求材質を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性の安定
した加工用冷延鋼板の製造方法に関し、特に、連続焼鈍
中に熱延条件の鋼板長手方向の実績変動に応じて焼鈍パ
ターンを制御することにより安定した材質を作り込む冷
延鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加工用冷延鋼板の焼鈍方法としては、箱
焼鈍と連続焼鈍が実用化されている。連続焼鈍は、箱焼
鈍の焼鈍時間が数日掛かるのに対し10分程度で処理が
完了するため生産性が高く、現在主流になっている。現
状の連続焼鈍ラインは、通常、加熱炉、均熱炉、冷却
帯、過時効炉より成り立ち、加熱炉で板温を所定の温度
に加熱し、均熱炉ではその温度に保つように加熱され
る。これらの炉では、通常、放射熱を利用したラジアン
トチューブによる加熱が主体であり、急速に温度を変更
することができない。
【0003】一方、通常の加工用冷延鋼板の製造方法で
は、まず鋳造されたスラブを1150〜1250℃に再
加熱し、数パスの粗圧延を行なった後、5〜7スタンド
の連続熱間圧延機でAr3変態点以上の温度で仕上圧延
を行い、板厚2〜4mmの熱延板を製造する。仕上圧延
後の冷却では、熱延板を微細にすることが冷延鋼板の深
絞り性に有利になるため、仕上圧延後の冷却開始時間を
短縮したり、冷却速度を大きく取る努力がなされてい
る。巻取温度は、必要材質により一般に750℃から5
50℃程度に設定される。巻き取られた熱延鋼板は、放
冷後、酸洗され、冷間圧延により要求板厚に仕上げられ
る。冷延後の鋼板は、電解洗浄により表面に付着した油
などを取り除いてから焼鈍に供される。
【0004】製造の安定性の点で、これらの作業の中で
特に問題となるのが熱延工程である。なぜならば、熱延
作業では温度バラツキを起こす操業上の外乱が生じ易い
ためである。例えば、スラブの加熱時のスキッドの加熱
むら、仕上圧延時の通板速度のズーミング(圧延材先端
の噛み込みから巻取機への巻き付き開始までの通板速度
からの定常速度への加速や、圧延材後端の通過時の定常
速度からの減速など)による変更に伴う圧延、冷却条件
の変化、仕上温度、巻取温度のバラツキなどが挙げられ
る。これらの外乱は、熱延板の組織、析出物の状態を通
して最終製品の材質のバラツキの原因になる。
【0005】一方、加工用冷延鋼板は、冷延率、焼鈍パ
ターンによってその特性を変化させることができること
は周知のとおりである。但し、焼鈍パターンによる特性
の変化代は成分系によって大きく異なる。すなわち、制
御性の良い材料とそうでない材料が存在する。
【0006】100℃/sec以上の昇温速度を可能に
する急速加熱装置により加工用冷延鋼板の材質の均一性
を達成しようとする技術が既に特開平5−171258
号公報に開示されている。この技術は、冷延鋼板を連続
焼鈍する際、焼鈍中あるいは焼鈍後に設置した粒径測定
装置の測定結果あるいはr値測定装置の測定結果によ
り、焼鈍温度を100℃/sec以上の昇温速度で変化
させ、所定の粒径あるいはr値に制御することを特徴と
するものである。
【0007】また、急速加熱焼鈍の弱点は、加工性の一
つである深絞り性が焼鈍時の昇温速度が大きくなると劣
化することで、急速加熱焼鈍を行ないかつ材質の劣化を
最小に抑えるには工夫が必要であることを示唆してい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−17125
8号公報に開示されている従来技術は、熱延条件の鋼板
長手方向の実績変動に対応するものではなく、鋼板長手
方向の材質の均一性に問題があった。そこで、本発明
は、連続焼鈍前の工程の操業上の外乱により生じた材質
のバラツキ要因を事前に予測し、それに基づき連続焼鈍
の焼鈍パターンを速やかに変化させ均一でかつ優れた加
工性を有する冷延鋼板を製造する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、急速加熱に
より焼鈍パターンを変化させることにより、冷延鋼板の
加工性をどの程度変化させることができるかを様々な成
分系について検討した。その結果、焼鈍パターンの変化
によって材質が大きく変化する成分系とそうでない成分
系が存在することが明らかになった。また、熱延板の結
晶粒径と析出物の状態が分かっている冷延鋼板を焼鈍
し、焼鈍条件と粒成長の関係を検討した結果、焼鈍板の
結晶粒径の定式化が可能なことが明らかになった。一方
で、多量の製造実績データを採集し、冷延鋼板の結晶粒
径と機械的性質の関係を調査した結果、両者の間には非
常に良い相関があることを確認した。そして、加工性に
重要な降伏強さYP、引張強さTS、伸びEl、ランク
フォード値(r値)などを焼鈍板の結晶粒径、成分、析
出物の量と大きさの関数で定式化することに成功した。
【0010】また、焼鈍パターンについても研究を重
ね、急速加熱を始める温度を適正に選ぶことにより急速
加熱焼鈍を採用しても深絞り性が大きく劣化しないこと
を明らかにすることができた。
【0011】一方、本発明者は、熱延鋼板の結晶粒径及
び析出物の状態、並びに冷延後の焼鈍時の再結晶・粒成
長挙動及び析出物の変化を予測するモデルを作成するこ
とに成功した。本発明はこれらの結果に基づくものであ
り、その要旨は以下の(1)〜(3)の通りである。
【0012】(1) 重量比で、 C ≦0.006%、 Si≦1.2%、 Mn≦2%、 P ≦0.1%、 Al=0.005〜0.1%、 N ≦0.01% を含有し、さらに、 C/12+N/14−0.0001<Ti/48+Nb
/93 の条件式を満足するTi、Nbの一方又は双方を含み、
残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を熱延、酸洗、
冷延した後の鋼板を連続焼鈍するに際し、600℃以上
750℃以下の温度域までは平均加熱速度を5℃/se
c以上30℃/sec以下の平均加熱速度で加熱し、引
き続き該温度域から60℃/sec以上500℃/se
c以下の昇温速度で急速加熱を開始し、熱延条件の鋼板
長手方向の実績変動に応じて鋼板長手方向位置毎に予め
決定した750℃以上910℃以下の焼鈍最高到達温度
まで昇温して焼鈍することにより要求材質を得ることを
特徴とする機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造
方法。
【0013】(2) 前記鋼が、さらに、重量比で、 B=0.0002〜0.005% を含有することを特徴とする前記(1)の機械的特性の
安定した加工用冷延鋼板の製造方法。
【0014】(3) 前記焼鈍最高到達温度を、下記
(a)〜(d)の手順に従う材質予測モデルの計算結果
に基づいて予め決定することを特徴とする前記(1)又
(2)の機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造方
法。
【0015】(a)鋼成分実績及び熱延条件の鋼板長手
方向の実績に基づいて、熱延鋼板の結晶粒径並びに析出
物の量及び大きさの鋼板長手方向分布を熱延組織予測モ
デルにより推定する。
【0016】(b)目的とする機械的性質を得るために
必要な焼鈍板の結晶粒径を、最終的には収束計算により
決定されるべき仮の析出物の大きさに基づいて組織−材
質モデルにより算出する。
【0017】(c)前記熱延鋼板の鋼成分実績と前記手
順(a)による推定値(熱延鋼板の結晶粒径並びに析出
物の量及び大きさの鋼板長手方向分布)及び前記手順
(b)による算出値(焼鈍板の結晶粒径)と仮の析出物
の大きさに加えて冷延率の実績値及び急速加熱前後の焼
鈍条件に基づいて、再結晶・粒成長モデルにより、焼鈍
最高到達温度と焼鈍板の析出物の大きさを算出する。
【0018】(d)焼鈍板の結晶粒径と焼鈍板の析出物
の大きさの間で、目的とする機械的性質の公差内まで前
記手順(b)と前記手順(c)を用いて収束計算する。
【0019】以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】まず、成分の限定について述べる。
【0021】C量の上限を0.006%としたのは、こ
れを越える添加量では炭化物の生成量が多くなり、加工
性が劣化するためである。
【0022】Si量の上限を1.2%としたのは、これ
を越える添加量では固溶強化の効果より加工性の劣化が
問題となるためである。
【0023】Mn量の上限を2%としたのは、これを越
える添加量では固溶強化の効果より加工性の劣化が問題
となるためである。
【0024】P量の上限を0.1%としたのは、これを
越える添加量では固溶強化の効果より加工性の劣化が問
題となるためである。
【0025】Al量の下限を0.005%としたのは、
これ未満のAlの添加では脱酸が不十分になるためであ
る。一方、Al量の上限を0.1%としたのは、これを
越えて添加しても脱酸の効果は飽和し、むしろ非金属介
在物の増加を招き加工性の劣化が問題となるためであ
る。
【0026】Bは、2次加工性の改善を図りたい場合
に、効果が顕在化する0.0002%を下限とし、加工
性の観点より上限を0.005%として添加するのが好
ましい。
【0027】Ti、Nbの添加量の下限をC/12+N
/14−0.0001<Ti/48+Nb/93の条件
式で限定したのは、Ti、Nbの添加量がこの式を満た
さない量では、固溶C、Nが多く残り加工性が劣化する
ためである。なお、Ti量及びNb量の上限は強いて限
定する必要はないが、多量の添加は合金コストの上昇を
招くだけでなく、再結晶温度の上昇を招いて焼鈍コスト
を高めるので、両元素とも0.1%を越える添加は好ま
しくない。
【0028】Nは、あまりに多いと多量のAlやTi、
Nbの添加が必要になったり、加工性を劣化させたりす
るので、0.01%を上限とする。
【0029】強度の調節のために、Cu、Mo、Cr、
Niを添加することは本発明の趣旨を損なうものではな
いが、多量の合金元素の添加は加工性を劣化させるの
で、これらの元素の添加量の総量は1%以下が好まし
い。
【0030】次に、製造条件面での限定理由について述
べる。
【0031】急速加熱装置による平均昇温速度60℃/
sec以上の加熱を開始する温度を600℃以上750
℃以下と限定したのは、600℃未満の温度域から急速
加熱を行なうと深絞り性の劣化が顕著になり、また、7
50℃超の温度域から急速加熱により材質を作り分けよ
うとすると作り分け可能な範囲が狭くなるためである。
【0032】急速加熱を行なう前の平均加熱速度を5℃
/sec以上としたのは、5℃/sec未満では焼鈍時
間が掛かり過ぎるだけでなく、炉長も長くなり設備コス
トが著しく高くなるためである。また、平均加熱速度を
30℃/sec以下としたのは、30℃/sec超にな
ると深絞り性の劣化が見られるようになるためである。
【0033】急速加熱焼鈍の平均加熱速度を60℃/s
ec以上としたのは、60℃/sec未満の昇温速度で
は、所定の温度までの到達時間が長く、制御性が悪いた
め、材質の均一性が劣化するためである。また、500
℃/sec以下としたのは、500℃/secを越える
と集合組織のランダム化を招き、高いr値が得にくいた
めである。
【0034】最高到達温度を750℃以上910℃以下
としたのは、750℃未満では急速加熱により作り分け
ることのできる材質の範囲が狭く、910℃超になると
α→γ変態が起こって集合組織のランダム化が起こり優
れた深絞り性が得られないためである。
【0035】急速加熱の方法は、特に限定する必要はな
く、レーザー、プラズマなどの高エネルギー熱源の利用
も考えられるが、実用的には誘導加熱装置あるいは通電
加熱装置などが採用し易い。
【0036】次に、材質予測モデルについて説明する。
【0037】図1は、材質予測モデルの模式図である。
熱延組織予測モデルでは、鋼成分、熱延・冷却条件を与
えることにより、熱延鋼板の結晶粒径と析出物の量と大
きさを定量的に求める。再結晶・粒成長モデルは、成
分、熱延組織予測モデルの計算結果、冷延率、焼鈍条件
により焼鈍板の粒径と析出物の量と大きさを定量的に求
める。組織−材質モデルは、成分、再結晶・粒成長モデ
ルの計算結果よりYP、El、r値などの機械的特性を
予測する。
【0038】本発明の制御では、製鋼や熱延の操業条件
のバラツキにより生じた熱延板の結晶粒径と析出物の量
と大きさを熱延組織予測モデルで定量的に求める。一
方、組織−材質モデルで、目的とする機械的性質を得る
に必要な焼鈍板の結晶粒径を求める。その際、析出物の
大きさは仮の値を入れておく。
【0039】次に、再結晶・粒成長モデルに、成分、熱
延鋼板の結晶粒径と析出物の量と大きさ、焼鈍後の結晶
粒径、急速加熱開始温度、急速加熱前の昇温パターン、
急速加熱パターン、急速加熱後の冷却パターンをインプ
ットして最高到達温度と析出物の大きさを求める。
【0040】この析出物の大きさを組織−材質モデルに
入れて機械的性質を求め、目標とする特性との差が許容
値以下であれば計算を終わる。もし、許容値を越えてい
れば、この析出物の大きさを組織−材質モデルに入れて
目標とする機械的性質を得るのに必要な焼鈍板の結晶粒
径を求める。そして、機械的性質の要求値と計算値の差
が許容値に入るまで上記の操作を繰り返す。
【0041】熱延組織予測モデルの概要を数1に、再結
晶・粒成長モデルの概要を数2に、組織−材質モデルの
概要を数3に示す。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】dr=f6(dα,dr,lr,εc) dα:熱延板の結晶粒径 dr :熱延板の析出物の粒径 lr :析出物の平均間隔 εc :冷却ひずみ d:再結晶直後の粒径 drr=f7(dr,Tr,tr) Trとtr:粒成長に供する温度と時間 dpp=f(dp,Tg,tg) Tg,tg:析出物の粒成長に供する温度と時間
【0044】
【数3】YS=fg (成分,drr,dpp) YS=f10(成分,drr,dpp) El=f11(成分,drr,dpp) r =f12(成分,drr,dpp
【0045】この中で繰り返し計算でdppを求めるのに
使用する式は、一番安定計算がしやすいr値の式であ
る。
【0046】上記の材質予測モデルについて、例えば、
ISIJ International、vol.32
(1992)、p423〜432や、日本金属学会会
報、第31巻、第5号(1992)、p452〜454
の解説を参照できるが、本発明はこれに限定されるもの
でもない。
【0047】また、本発明を実施するための連続焼鈍設
備は、一般に通板速度が100m/min以上の設備で
あり、焼鈍後、溶融めっき、さらにまた合金化処理など
を施すことのできる設備であってもよい。
【0048】
【実施例】図2は、本発明の材質制御を行なった本発明
例(実線)と、行なわなかった比較例(点線)のコイル
全長のr値を共振型電磁超音波を利用したr値測定セン
サーで測定した結果を示す。破線は設定値である。図2
から明らかなように、材質予測モデルを用いた本発明の
製造方法によりr値はほぼ設定値と一致し、コイル全長
において大きなバラツキは見られなかった。一方、比較
例では設定値からの乖離が大きく、特にコイルの両端部
で著しいr値の低下が見られた。このように材質の大き
なバラツキが生じると、実測の最低値を基準に鋼板のグ
レードを決定し商品化するため、製造コストの無駄を生
じる。なお、ここで用いた鋼板は表1のAの鋼で、熱延
をAr3変態点以上で行ない、730℃前後で巻き取
り、酸洗後、80%の冷延をして板厚0.8mmにし
た。材質制御を行なった時の焼鈍条件は、720℃まで
の平均加熱速度が約10℃/secであり、720℃か
らの加熱速度は約100℃/secから170℃/se
cであり、焼鈍最高到達温度は約800℃から850℃
あった。その後、炉温720℃の炉を40秒間通板し
た。一方、比較例の焼鈍条件は820℃まで約10℃/
secで昇温し、その後40秒間同温度で保持した。
【0049】
【表1】
【0050】表2に、表1の鋼を用いてr値に及ぼす焼
鈍条件の影響をラボ実験で求めた結果を示す。この例で
は、材質予測モデルを利用するに当たって、どのような
操業条件下で良加工性を得ることができるかを示す。
【0051】
【表2】
【0052】本発明の成分、焼鈍条件を満足する実験番
号2、3、4、5、7、8、10、11、14、15、
16、18、20、22、24により製造した鋼板は比
較例に比べて高いr値を示す。ここでのr値は、圧延方
向のr値rL、圧延方向と直角のr値rC、圧延方向と
45°のr値rDとr=(rL+2rD+rC)/4の
関係にある値である。
【0053】600〜750℃の急速加熱を開始する温
度までの昇温の平均速度が40℃/secと大きい実験
番号6では、高いr値が得られなかった。また、急速加
熱を開始する温度が本発明の範囲外であった実験番号
1、13、17、19、21、23も、高いr値が得ら
れなかった。急速加熱時の昇温速度が大きすぎた実験番
号9、25でも、高いr値が得られなかった。最高到達
温度が本発明の範囲より高くなった実験番号12では、
顕著なr値の低下が見られた。これは材料が変態点以上
に加熱され、変態によって集合組織がランダム化され、
r値に好ましい集合組織が形成されなかったためと考え
られる。材料の成分が本発明の範囲外の実験番号26、
27も高いr値が得られなかった。
【0054】表3は、表1の鋼を用いて本発明により材
質制御を適正に行なったときと、そうしなかったときの
圧延方向の試験片より測定したYP、TS、El、r値
の平均値からのずれの最大絶対値を示す。測定点は板幅
の中心部で、ほぼ等間隔に20点取った。熱延はAr3
変態点以上で行ない、巻取温度は630℃前後であっ
た。また、冷延率は80%で、板厚は0.8mmであ
る。連続焼鈍中の通板速度は300m/minであっ
た。表3中で急速加熱の昇温速度及び焼鈍最高到達温度
が空欄のものは、急速加熱をせずに急速加熱開始温度欄
に記載した温度で40秒間保持し、材質予測モデルを適
用しなかったものである。なお、急速加熱の加熱速度及
び焼鈍最高到達温度がある範囲を持つのは材質予測モデ
ルの稼働により制御されるためである。
【0055】
【表3】
【0056】本発明の条件を満たした実験番号1、4、
5、7、9、11、13、15は、比較例に比べて材質
の狹レンジ化が達成された。また、実験番号3は急速加
熱の昇温速度が低いため温度制御範囲が狭く、材質の均
一性はあまり改良されなかった。この場合、通板速度を
落とせば温度制御範囲は広がるが、生産性が低下する。
【0057】
【発明の効果】本発明により、加工用冷延鋼板の材質の
バラツキを軽減できるだけでなく、高品質の鋼板を安定
して、エネルギー効率よく製造することができ、その工
業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】材質予測モデルを示す模式図である。
【図2】本発明例と比較例のコイル内のr値の変動を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K037 EA01 EA02 EA04 EA15 EA18 EA19 EA23 EA27 EA28 EA31 EB01 EB09 FH01 FJ01 FJ05 FJ06 JA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、 C ≦0.006%、 Si≦1.2%、 Mn≦2%、 P ≦0.1%、 Al=0.005〜0.1%、 N ≦0.01% を含有し、さらに、 C/12+N/14−0.0001<Ti/48+Nb
    /93 の条件式を満足するTi、Nbの一方又は双方を含み、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を熱延、酸洗、
    冷延した後の鋼板を連続焼鈍するに際し、600℃以上
    750℃以下の温度域までは平均加熱速度を5℃/se
    c以上30℃/sec以下の平均加熱速度で加熱し、引
    き続き該温度域から60℃/sec以上500℃/se
    c以下の昇温速度で急速加熱を開始し、熱延条件の鋼板
    長手方向の実績変動に応じて鋼板長手方向位置毎に予め
    決定した750℃以上910℃以下の焼鈍最高到達温度
    まで昇温して焼鈍することにより要求材質を得ることを
    特徴とする機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼が、さらに、重量比で、 B=0.0002〜0.005% を含有することを特徴とする請求項1記載の機械的特性
    の安定した加工用冷延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記焼鈍最高到達温度を、下記(a)〜
    (d)の手順に従う材質予測モデルの計算結果に基づい
    て予め決定することを特徴とする請求項1又は2記載の
    機械的特性の安定した加工用冷延鋼板の製造方法。 (a)鋼成分実績及び熱延条件の鋼板長手方向の実績に
    基づいて、熱延鋼板の結晶粒径並びに析出物の量及び大
    きさの鋼板長手方向分布を熱延組織予測モデルにより推
    定する。 (b)目的とする機械的性質を得るために必要な焼鈍板
    の結晶粒径を、最終的には収束計算により決定されるべ
    き仮の析出物の大きさに基づいて組織−材質モデルによ
    り算出する。 (c)前記熱延鋼板の鋼成分実績と前記手順(a)によ
    る推定値(熱延鋼板の結晶粒径並びに析出物の量及び大
    きさの鋼板長手方向分布)及び前記手順(b)による算
    出値(焼鈍板の結晶粒径)と仮の析出物の大きさに加え
    て冷延率の実績値及び急速加熱前後の焼鈍条件に基づい
    て、再結晶・粒成長モデルにより、焼鈍最高到達温度と
    焼鈍板の析出物の大きさを算出する。 (d)焼鈍板の結晶粒径と焼鈍板の析出物の大きさの間
    で、目的とする機械的性質の公差内まで前記手順(b)
    と前記手順(c)を用いて収束計算する。
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