JP2000143959A - 制振性に優れた樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

制振性に優れた樹脂組成物およびその成形品

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JP2000143959A
JP2000143959A JP11238513A JP23851399A JP2000143959A JP 2000143959 A JP2000143959 A JP 2000143959A JP 11238513 A JP11238513 A JP 11238513A JP 23851399 A JP23851399 A JP 23851399A JP 2000143959 A JP2000143959 A JP 2000143959A
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polyester resin
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glass transition
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Masahiro Hakotani
昌宏 箱谷
Koichi Akiyama
浩一 秋山
Koji Shibata
孝司 柴田
Kaneo Hamashima
兼男 浜島
Osamu Kito
修 鬼頭
Hiroyuki Takahashi
裕之 高橋
Kazuhiro Uchida
和広 内田
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Toyota Motor Corp
Uchihama Kasei Co Ltd
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Toyota Motor Corp
Uchihama Kasei Co Ltd
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とくに制振性に優れた不飽和ポリエステ
ル樹脂を提供すること。 【解決手段】 ガラス転移温度(Tg)が0℃以上60
℃未満である不飽和ポリエステル樹脂(A)を含有する
ことを特徴とする制振性に優れた不飽和ポリエステル樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制振性樹脂組成物
およびこれを成形してなる制振性構造部品などの成形品
に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂を用いた繊維強
化プラスチック(FRP)は、優れた機械的強度、耐熱
性、耐水性、耐薬品性を有するうえに生産性が高く、例
えば浴槽、洗面ボウルなどの住宅機器をはじめ、自動車
分野においても外板および外装部品用素材として使用さ
れている。近年、不飽和ポリエステル系シートモールデ
ィングコンパウンド(以下SMCと略称する)あるいは
バルクモールディングコンパウンド(以下BMCと略称
する)が、自動車エンジン周り部品用プラスチック素材
として脚光を浴び、例えばシリンダーヘッドカバー、オ
イルパン等の高度な耐熱、耐薬品性を要求される構造部
品にも使用されるに至っている。
【0003】自動車エンジン周り部品に用いられるSM
CあるいはBMC等には、従来から特に耐熱性、耐薬品
性が要求されているが、最近防音を目的とした制振性が
強く求められるようになってきた。制振性を付与する手
段としては、成形材料に含まれる充填材あるいはガラス
繊維の含有量を減少させる方法の他に、特開平2−10
2212に記載されるような制振性を付与するブロック
共重合体を添加する方法、また特開平8−301998
に記載されるようなガラス転移温度が60℃〜120℃
の樹脂を使用する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、充填
剤、ガラス繊維含有量を減少させる方法は、特に構造物
の機械的特性への影響が大きく限界があり、また、ブロ
ック共重合体等の制振性付与剤を添加する方法では制振
性付与剤の割合を大きくすることにより制振性の向上は
可能であるものの、機械的特性や成形性の低下をまね
き、十分な制振性と成形性を得ることは困難である。さ
らに特開平8−301998においても、特に60℃以
下といった低温域で十分な制振性を得ることはできな
い。
【0005】本発明は、こうした実状の下に自動車エン
ジンおよび周辺部品の使用温度域(例えば0〜100
℃)において優れた制振性を示す樹脂組成物およびその
成形品を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エンジン
周り構造部品に要求される耐熱性、耐薬品性、成形性を
有し、0℃〜100℃あるいはそれ以上の広い温度範囲
で優れた制振性を持つ成形用材料を鋭意検討した結果、
以下の知見を得た。
【0007】ガラス転移温度が0℃以上60℃未満の
不飽和ポリエステル樹脂(以下不飽和ポリエステル樹脂
(A)という)が室温域から高温域にかけて優れた制振
性を有すること、しかし不飽和ポリエステル樹脂Aは成
形性に少し問題があること。
【0008】しかし、不飽和ポリエステル樹脂Aを他
の成形性の良い不飽和ポリエステル樹脂に配合すること
により同様に制振性に優れ成形性も向上できること。
【0009】とくに不飽和ポリエステル樹脂(A)を
エステル基準で全不飽和ポリエステルの10重量%以上
90重量%未満、好ましくは30重量%以上80重量%
未満、より好ましくは40重量%以上60重量%未満と
ガラス転移温度が150℃以上200℃未満の不飽和ポ
リエステル樹脂(以下不飽和ポリエステル樹脂(B)と
いう)をエステル基準で全不飽和ポリエステルの10重
量%以上90重量%未満、好ましくは20重量%以上7
0重量%未満、より好ましくは40重量%以上60重量
%未満配合した不飽和ポリエステル樹脂が室温域から高
温域の制振性と成形性がともに優れること。
【0010】また、不飽和ポリエステル樹脂(A)を
エステル基準で全不飽和ポリエステルの10重量%以上
95重量%未満、好ましくは40重量%以上80重量%
未満、より好ましくは50重量%以上80重量%未満と
ガラス転移温度が200℃以上である不飽和ポリエステ
ル樹脂(以下不飽和ポリエステル樹脂(C)という)を
エステル基準で全不飽和ポリエステルの5重量%以上9
0重量%未満、好ましくは20重量%以上60重量%未
満、より好ましくは20重量%以上50重量%未満配合
した不飽和ポリエステル樹脂も室温域から高温域の制振
性と成形性がともに優れること。
【0011】さらに不飽和ポリエステル樹脂(A)と
不飽和ポリエステル樹脂(B)または不飽和ポリエステ
ル樹脂(C)に対してガラス転移温度が−50℃以上1
00℃未満のエラストマー(以下エラストマー(D)と
いう)を固形分で不飽和ポリエステル樹脂とエラストマ
ーおよびビニル単量体からなる混合物の3〜30重量
%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは5〜1
5重量%配合した不飽和ポリエステル樹脂が0℃付近の
低温域から特に優れた制振性と成形性を発現すること。
【0012】さらに上記のエラストマー(D)のガラ
ス転移温度が好ましくは−20℃以上80℃未満である
もの、さらに好ましくは0℃以上50℃未満であるこ
と。
【0013】これらをもとに、鋭意実験を重ね不飽和ポ
リエステル樹脂のガラス転移温度および割合を調整する
ことにより、耐熱性、耐薬品性、成形性と広い温度範囲
での優れた制振性を併せ持つ構造用樹脂組成物を発明す
るに至った。
【0014】すなわち、本発明は、(1)ガラス転移温
度(Tg)が0℃以上60℃未満である不飽和ポリエス
テル樹脂(A)を含有することを特徴とする制振性に優
れた不飽和ポリエステル樹脂組成物、(2)上記(1)
に示される不飽和ポリエステル樹脂(A)をエステル基
準で全不飽和ポリエステルの10重量%以上90重量%
未満とガラス転移温度(Tg)が150℃以上200℃
未満である不飽和ポリエステル樹脂(B)をエステル基
準で全不飽和ポリエステルの10重量%以上90重量%
未満含有することを特徴とする制振性と成形性に優れた
不飽和ポリエステル樹脂組成物、(3)上記(1)に示
される不飽和ポリエステル樹脂(A)をエステル基準で
全不飽和ポリエステルの10〜95重量%とガラス転移
温度(Tg)が200℃以上である不飽和ポリエステル
樹脂(C)をエステル基準で全不飽和ポリエステルの5
〜90重量%含有することを特徴とする制振性と成形性
に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物、(4)上記
(2)の樹脂組成物中に、ガラス転移温度(Tg)が−
50℃以上100℃未満であるエラストマー(D)を固
形分で不飽和ポリエステル樹脂とエラストマーおよびビ
ニル単量体からなる混合物の3〜30重量%含有するこ
とを特徴とする制振性と成形性に優れた不飽和ポリエス
テル樹脂組成物、(5)上記(3)の樹脂組成物中に、
ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上100℃未満で
あるエラストマー(D)を固形分で不飽和ポリエステル
樹脂とエラストマーおよびビニル単量体からなる混合物
の3〜30重量%含有することを特徴とする制振性と成
形性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物、(6)上
記(4)に示される不飽和ポリエステル樹脂(A)の割
合がエステル基準で全不飽和ポリエステルの10重量%
以上90重量%未満、好ましくは30重量%以上80重
量%未満、さらに好ましくは40重量%以上60重量%
未満であることを特徴とする制振性と成形性に優れた不
飽和ポリエステル樹脂組成物、(7)上記(5)に示さ
れる不飽和ポリエステル樹脂(A)の割合がエステル基
準で全不飽和ポリエステルの10重量%以上95重量%
未満、好ましくは40重量%以上80重量%未満、さら
に好ましくは50重量%以上80重量%未満であること
を特徴とする制振性と成形性に優れた不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物、(8)上記(1)〜(7)に記載される
不飽和ポリエステル樹脂およびエラストマーからなる樹
脂組成物30〜95重量%と無機充填材0〜80重量%
と強化繊維5〜70重量%からなることを特徴とする制
振性と成形性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物、
(9)上記(1)〜(8)に記載される不飽和ポリエス
テル樹脂組成物を成形してなる成形品、に関する。
【0015】なお、上記エステル基準とは不飽和ポリエ
ステル樹脂中のビニル単量体を含まないエステルのみを
あらわす。また、ガラス転移温度(Tg)は動的粘弾性
測定における損失正接(tanδ)が最大をしめす温度
により求めた。
【0016】本発明の樹脂組成物は耐熱性、耐薬品性に
優れるとともに例えば0℃〜100℃の広い温度域で十
分な制振性を有することにより冬場のエンジン始動直後
から走行中のエンジン周りにおいて高い防音性を示すた
め自動車エンジン周り部品に特に有効である。
【0017】本発明で用いる不飽和ポリエステルは、
α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と2価のグリ
コールとの縮合で合成されるものである。該ポリエステ
ルの合成には、これら2成分のほかに飽和ジカルボン酸
や芳香族ジカルボン酸あるいはジカルボン酸と反応する
ジシクロペンタジエンなども併用することができる。
α,β−オレフィン系不飽和カルボン酸の例としては、
例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、およびこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。
これらα,β−オレフィン系ジカルボン酸と併用される
ジカルボン酸の例としては、例えばアジピン酸、セバシ
ル酸、コハク酸、グルコン酸、フタル酸無水物、o−フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフ
タル酸、テトラクロロフタル酸などが挙げられる。2価
のグリコールとしては、例えばアルカンジオール、オキ
サアルカンジオール、ビスフェノールAにエチレンオキ
シドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキサイド
を付加したジオール等が用いられる。これに加えてモノ
オールや3価のトリオールを用いてもよい。アルカンジ
オールの例としては、例えばエチレングリコール、1,
2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール、1,3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオー
ル等が挙げられる。オキサアルカンジオールとしては、
例えばジオキシエチレングリコール、トリエチレングリ
コール等が挙げられる。これらグリコールと併用される
1価あるいは3価のアルコールとしては、例えばオクチ
ルアルコール、オレイルアルコール、トリメチロールプ
ロパン等が挙げられる。不飽和ポリエステルの合成は一
般に加熱下で実施され、副生する水を除去しながら反応
を進める。一般に、不飽和ポリエステルにおいてガラス
転移温度は、使用する原料により架橋密度および反応性
を低くすることおよび、使用原料に飽和酸では例えばア
ジピン酸、セバシン酸、グリコールでは例えばジエチレ
ングリコールやプロピレングリコールなどの長鎖の分子
構造を持つ原料を使用することによりガラス転移温度を
低く調整することができる。また反対に架橋密度および
反応性を高くすることおよび使用原料にグリコールでは
例えば水素化ビスフェノールAなどの剛直な構造をもつ
原料を用いることによりガラス転移温度を高くすること
ができる。
【0018】本発明で用いるビニル単量体としては、従
来から不飽和ポリエステルの希釈剤ないし架橋剤として
慣用されているモノビニル単量体、例えばスチレン、p
−クロルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系モノ
ビニル単量体、アクリル酸、アクリル酸メチルエステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルエステル、アク
リロニトリルなどアクリル系モノビニル単量体を挙げる
ことができるが、特にスチレンが好ましい。このビニル
単量体は通常不飽和ポリエステルおよび熱可塑性樹脂の
希釈剤として不飽和ポリエステルおよび熱可塑性樹脂に
配合され、本発明においてはエラストマーの希釈液とし
ても用いられる。
【0019】本発明で用いるエラストマーはガラス転移
温度が重要であって樹脂構造に特に制限はなく、動的粘
弾性測定による損失正接(tanδ)が最大となる温度
として求められるガラス転移温度(Tg)が所要の温度
範囲となる樹脂構造であれば良い。エラストマーのガラ
ス転移温度(Tg)は、−50℃以上100℃未満、好
ましくは−20℃以上80℃未満、より好ましくは0℃
以上50℃未満である。所要の温度範囲にガラス転移温
度をもつ樹脂構造としては、ゴム系重合体、酢酸ビニル
系重合体、アクリル系重合体、飽和ポリエステルなどが
挙げられる。
【0020】ゴム系重合体としては、ホモポリマーのガ
ラス転移温度(Tg)が50℃以上のビニル単量体(例
えばスチレン)とホモポリマーのガラス転移温度(T
g)が0℃以下のジエン骨格を持つ化合物(例えばブタ
ジエンやイソプレン)とのブロック共重合体、ランダム
共重合体およびその水添物が挙げられる。好ましくは、
ポリスチレンとビニル−ポリイソプレンが結合したトリ
ブロック共重合体やスチレンとブタジエンの共重合体な
どがある。これに加え他のビニル化合物を併用すること
もできる。
【0021】ポリ酢酸ビニル系重合体としては、酢酸ビ
ニルのホモポリマー或いは(メタ)アクリル酸等で変性
させたものに加え、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等に
代表されるアクリル系化合物或いはビニル単量体(例え
ばスチレン)とのランダム或いはブロックコポリマーが
挙げられる。
【0022】アクリル系重合体としては、ガラス転移温
度が所要の温度範囲となる樹脂構造であれば良く、例え
ば比較的ガラス転移温度が低い(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの重合体やこれらと
ガラス転移温度の高いメタメチルアクリレートなどの共
重合による重合体を用いることができる。
【0023】飽和ポリエステルとしては、ガラス転移温
度が所要の温度範囲となる樹脂構造であれば良く、例え
ば飽和酸ではガラス転移温度の低い成分としてアジピン
酸、セバシ酸、ガラス転移温度の高い成分としてはオル
ソフタル酸、イソフタル酸、パラフタル酸、グリコール
ではエチレングリコール、プロピレングリコールやジエ
チレングリコールなどを原料として用いるものが挙げら
れる。
【0024】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
は、上記不飽和ポリエステル樹脂(A)〜(C)あるい
はエラストマー(D)を組み合わせてを配合することに
より優れた耐熱性、耐薬品性、成形性を示すとともに優
れた制振性を有する組成物を与える。
【0025】その組合せの中でも、不飽和ポリエステル
樹脂(A)と不飽和ポリエステル樹脂(B)または不飽
和ポリエステル樹脂(C)を配合した樹脂組成物が好ま
しく、さらにこれにエラストマー(D)およびビニル単
量体を配合した樹脂組成物がより好ましい。
【0026】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
は、必要に応じて上記以外の充填材、硬化剤、硬化調整
剤、顔料、増粘剤などの一般的添加剤を配合することが
できる。充填材としては炭酸カルシウム、水酸化アルミ
ニウム等が挙げられる。硬化剤としては、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオクトエートに
代表されるパーオキシエステル類、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サンに代表されるパーオキシケタール類、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネートに代表されるパーオ
キシカーボネート類等が挙げられ、少なくとも1種を、
(A)〜(D)およびビニル単量体の混合物100重量
部に対し0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部使
用する。硬化調整剤としてはパラベンゾキノン、t−ブ
チルカテコール等が挙げられる。顔料としては、例えば
カーボンブラック、酸化チタン、弁柄、フタロシアニン
ブルー等が挙げられる。増粘剤としては、マグネシウ
ム、カルシウム等の酸化物または水酸化物が挙げられ
る。さらに本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物に
は、成形品の低収縮化を目的として、一般的な不飽和ポ
リエステルの低収縮化剤を配合してもよい。これらの低
収縮化剤としては例えば、ポリスチレン、飽和ポリエス
テル(分子量3000〜100000)、ポリメチルメ
タクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルなどが挙
げられる。
【0027】このような各種配合剤が配合された樹脂組
成物は、慣用の手段、装置を用いてガラス繊維(例えば
直径約8〜20μmで長さ1/2〜4インチのもの)に
含浸させることによりSMCまたはBMCとすることが
できる。ガラス繊維は、通常組成物全量に対してほぼ5
〜60重量%程度配合される。本発明のSMC、BMC
は金型中で加熱圧縮(圧力5〜12MPa、温度70〜
180℃)して硬化させることにより成形物を製造する
事ができる。
【0028】以下に具体例を挙げて、本発明をさらに具
体的に説明する。
【0029】合成例 以下に実施例に使用した不飽和ポリエステル樹脂の合成
例を示す。
【0030】(1)不飽和ポリエステル樹脂(A)の合
成 ジエチレングリコール2910g、フマール酸500
g、アジピン酸1050g、イソフタル酸2429gを
常法により反応温度200℃で酸価15まで反応させる
ことにより不飽和ポリエステルを調製し、エステル10
0重量部に対してスチレン70重量部を混合し、不飽和
ポリエステル樹脂Aを得た。
【0031】(2)不飽和ポリエステル樹脂(B)の合
成 プロピレングリコール5010g、イソフタル酸625
0gを常法により反応温度200℃で酸価15まで一次
反応させた後、プロピレングリコール2320g、無水
マレイン酸5530gを加え常法により反応温度200
℃で酸価20まで二次反応させることにより不飽和ポリ
エステルを調製し、エステル100重量部に対してスチ
レン70重量部を混合し、不飽和ポリエステル樹脂Bを
得た。
【0032】(3)不飽和ポリエステル樹脂(C)の合
成 プロピレングリコール1480g、水添ビスフェノール
A2000g、無水マレイン酸2590gを常法により
反応温度200℃で酸価25まで反応させることにより
不飽和ポリエステルを調製し、エステル100重量部に
対してスチレン70重量部を混合し、不飽和ポリエステ
ル樹脂Cを得た。
【0033】(4)不飽和ポリエステル樹脂(E)の合
成 ジエチレングリコール9366g、イソフタル酸850
0gを常法により反応温度200℃で酸価15まで一次
反応させた後、無水マレイン酸3345gを加え常法に
より反応温度200℃で酸価20まで二次反応させるこ
とにより不飽和ポリエステルを調製し、エステル100
重量部に対してスチレン70重量部を混合し、不飽和ポ
リエステル樹脂(E)を得た。
【0034】(5)不飽和ポリエステル樹脂(F)の合
成 プロピレングリコール950g、ジエチレングリコール
2350g、イソフタル酸2625gを常法により反応
温度200℃で酸価20まで一次反応させた後、フマー
ル酸1825gを加え酸価20まで二次反応させること
により不飽和ポリエステルを調製し、エステル100重
量部に対してスチレン70重量部を混合し、不飽和ポリ
エステル樹脂(F)を得た。
【0035】
【実施例1〜20、比較例1〜9】表1〜3に示す組成
でSMCを常法により調整した。また表中に各不飽和ポ
リエステル樹脂のみにより制作した注型板のガラス転移
温度を示した。ここに示すガラス転移温度はJIS K
7198「プラスチックの非共振強制振動法による動
的粘弾性の温度依存性に関する試験方法」により求めら
れる損失正接(tanδ)が最大を示す温度として求め
た。各SMCを加圧流動時間9秒、圧力10MPaで所
定の条件下に加圧し300×300×3mmの成形物を
製作した。
【0036】成形物の制振性は上記測定法による損失正
接(tanδ)により評価することができる。各温度で
の損失正接(tanδ)の測定結果を表1〜3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】表1〜3中、配合処方の単位は重量部を表
し、不飽和ポリエステル樹脂には合成例に示した各重量
部のスチレンを含む。また、VS−1は株式会社クラレ
製ポリスチレン−ビニル−ポリイソプレントリブロック
共重合体(VS−1/ガラス転移温度25℃)、PSは
武田薬品工業(株)製ポリスチレン樹脂(ポリマール9
965/ガラス転移温度100℃)、PVAcは武田薬
品工業(株)製ポリ酢酸ビニル樹脂(ポリマール 99
66/ガラス転移温度45℃)、SPは竹本油脂(株)
製飽和ポリエステル樹脂(TTK310/ガラス転移温
度−25℃)を表す。これらポリスチレン、ポリ酢酸ビ
ニル、飽和ポリエステルについては、スチレンを溶媒と
した樹脂として供給されるが固形分量を明確にするため
表中では固形分とスチレンを別に記載した。また、充填
剤は水酸化アルミニウム粉末を用いた。
【0041】表1〜3よりガラス転移温度の低い不飽和
ポリエステル樹脂(A)を配合した樹脂組成物に関わる
実施例1(Tg=50℃の樹脂を配合)は不飽和ポリエ
ステル樹脂(A)を配合しない比較例1、比較例2(T
g=80℃の樹脂を配合)、比較例3(Tg=100℃
の樹脂を配合)と比較すると、図1に示すように、比較
例1〜3では、特に25〜75℃での損失正接(tan
δ)が低くつまりこの環境温度においてこれらは低い制
振性を示すことがわかる。これに対して、実施例1は2
5℃以上の広い温度域で優れた制振性を示すことが明ら
かである。また、実施例1、実施例7および実施例18
と比較例1〜6を比較すると(図2)、実施例1にさら
にガラス転移温度が−50℃以上100℃未満であるエ
ラストマーを配合する実施例7では、0〜150℃の広
い温度域で実施例1を大きく上回る制振性を有している
のに対して、比較例1〜3とこれら各々にガラス転移温
度が25℃であるエラストマー(D)を配合する比較例
4〜6では全体的に実施例7と比べ制振性が低く、比較
例4〜6においてもガラス転移温度25℃のエラストマ
ー(D)を配合することによる制振性の改善がみられる
ものの、この配合割合での効果は小さい。これより、実
施例1と7の比較に見られるように本発明による不飽和
ポリエステル樹脂Aとガラス転移温度が−50℃以上1
00℃未満であるエラストマー(D)の併用は、制振性
の向上に効果的であることがわかる。
【0042】同様にガラス転移温度が各々45℃(ポリ
酢酸ビニル)、−25℃(飽和ポリエステル)のエラス
トマーを配合する実施例19、20においても広範囲の
温度域で実施例1と比較し非常に優れた制振性を示すの
に対して、実施例1にガラス転移温度が100℃のポリ
スチレンをさらに配合する実施例18では高温域では実
施例7と同程度の制振性の向上がみられるものの低温域
では実施例1と同程度であり(図3)、不飽和ポリエス
テル樹脂Aとともに配合されるエラストマーを本発明の
エラストマー(D)とすることによる広範囲の温度域で
の制振性向上の効果は明らかである。
【0043】実施例3〜10(図4)、および実施例1
1〜17(図5)より、不飽和ポリエステル樹脂Aを多
く配合するほど100℃以下での制振性は向上するもの
の配合割合の増加に伴い制振性の向上が鈍化するととも
に成形性が劣ることとなる。これより、本発明において
は前記の配合割合を選択することが、より優れた制振性
と成形性を兼ね備えた樹脂組成物を得る上で好ましい。
また、Tgが200℃以上の不飽和ポリエステル樹脂C
を使用することにより不飽和ポリエステル樹脂Aの割合
を比較的多くした場合においても成形性が低下せずより
制振性に優れた樹脂組成物を得ることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
および該樹脂組成物をガラス繊維に含浸させた成形材料
を成形してなる成形品は、耐熱性、耐薬品性に優れ、か
つ優れた制振性と成形性を有するため、例えば自動車の
エンジン周り部品等として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス転移温度の低い不飽和ポリエステル樹脂
(A)の配合による制振性の効果を説明する図。
【図2】ガラス転移温度の低い不飽和ポリエステル樹脂
Aに対するエラストマー(D)の配合効果を説明する
図。
【図3】同上他のエラストマー(D)の配合効果を説明
する図。
【図4】ガラス転移温度の低い不飽和ポリエステル樹脂
(A)の配合割合の影響を説明する図。
【図5】ガラス転移温度の低い不飽和ポリエステル樹脂
(A)の配合割合の影響を説明する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 箱谷 昌宏 神奈川県藤沢市村岡東2丁目26番1号 武 田薬品工業株式会社化学品カンパニー内 (72)発明者 秋山 浩一 神奈川県藤沢市村岡東2丁目26番1号 武 田薬品工業株式会社化学品カンパニー内 (72)発明者 柴田 孝司 神奈川県藤沢市村岡東2丁目26番1号 武 田薬品工業株式会社化学品カンパニー内 (72)発明者 浜島 兼男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 鬼頭 修 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 高橋 裕之 愛知県豊田市四郷町宮下河原一番地 内浜 化成株式会社内 (72)発明者 内田 和広 愛知県豊田市四郷町宮下河原一番地 内浜 化成株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度(Tg)が0℃以上60
    ℃未満である不飽和ポリエステル樹脂(A)を含有する
    ことを特徴とする制振性に優れた不飽和ポリエステル樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に示される不飽和ポリエステル
    樹脂(A)をエステル基準で全不飽和ポリエステルの1
    0重量%以上〜90重量%未満とガラス転移温度(T
    g)が150℃以上200℃未満である不飽和ポリエス
    テル樹脂(B)をエステル基準で全不飽和ポリエステル
    の10重量%以上90重量%未満含有することを特徴と
    する制振性と成形性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に示される不飽和ポリエステル
    樹脂(A)をエステル基準で全不飽和ポリエステルの1
    0重量%以上95重量%未満とガラス転移温度(Tg)
    が200℃以上である不飽和ポリエステル樹脂(C)を
    エステル基準で全不飽和ポリエステルの5重量%以上〜
    90重量%未満含有することを特徴とする制振性と成形
    性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2または3の不飽和ポリエステル
    樹脂組成物中に、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以
    上100℃未満であるエラストマー(D)を固形分で不
    飽和ポリエステル樹脂、エラストマーおよびビニル単量
    体からなる混合物の3〜30重量%含有することを特徴
    とする制振性と成形性に優れた不飽和ポリエステル樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載される不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物10〜95重量%と無機充填材0〜8
    0重量%と強化繊維5〜70重量%からなることを特徴
    とする制振性に優れた不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載される不飽和ポリエ
    ステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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EP2858133A1 (en) 2012-06-04 2015-04-08 Japan U-PICA Company, Ltd Crystalline unsaturated polyester resin composition for led reflector, granular material comprising said composition, led reflector produced by molding said granular material, surface-mount-type light-emitting device, and lighting device and image display device each equipped with said light-emitting device

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