JP2000143919A - フッ素系ブレンドポリマー組成物 - Google Patents

フッ素系ブレンドポリマー組成物

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JP2000143919A
JP2000143919A JP10324652A JP32465298A JP2000143919A JP 2000143919 A JP2000143919 A JP 2000143919A JP 10324652 A JP10324652 A JP 10324652A JP 32465298 A JP32465298 A JP 32465298A JP 2000143919 A JP2000143919 A JP 2000143919A
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fluorinated
peroxide
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English (en)
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Seiji Nakagome
誠治 中込
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Original Assignee
Nok Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリデン
系共重合ゴム等の汎用含フッ素エラストマー並みの耐熱
性や低温特性を維持しつつ、各種の潤滑油、特にエンジ
ン油に対する耐久性を向上せしめたフッ素系ゴム材料を
比較的廉価に提供する。 【解決手段】 過酸化物架橋性含フッ素エラストマー95
〜60重量%および過酸化物架橋性フッ素樹脂5〜40重量%
よりなるフッ素系ブレンドポリマーに、高級脂肪族カル
ボン酸あるいはフルオロ化された脂肪族カルボン酸また
は芳香族カルボン酸を添加したフッ素系ブレンドポリマ
ー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素系ブレンド
ポリマー組成物に関する。更に詳しくは、耐油性にすぐ
れたフッ素系ブレンドポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリ
デン共重合ゴムまたはヘキサフルオロプロペン-フッ化
ビニリデン-テトラフルオロエチレン3元共重合ゴムであ
るヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリデン系共重合
ゴムは、含フッ素エラストマーの中では比較的低コスト
であり、また耐熱性、耐候性、耐薬品性等にすぐれてい
ることから、他のゴム材料では適用困難な部位に適用す
ることができ、従って様々なニーズがある。しかしなが
ら、これらの汎用含フッ素エラストマーは、エンジン油
等の潤滑油に対する耐油性(潤滑油中に含まれる塩基性
物質に対する耐性)に劣るという欠点があり、これがそ
れの用途を制限する場合があり、その点での改善が望ま
れている。
【0003】勿論、耐油性の改善された含フッ素エラス
トマーも既に上市されている。例えば、テトラフルオロ
エチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合
ゴム、テトラフルオロエチレン-エチレン-パーフルオロ
(メチルビニルエーテル)3元共重合ゴム、テトラフルオ
ロエチレン-フッ化ビニリデン-パーフルオロ(メチルビ
ニルエーテル)3元共重合ゴム等がそれであるが、これら
の含フッ素エラストマーは高価なパーフルオロ(メチル
ビニルエーテル)を共重合させているため、コスト高を
避けることができない。
【0004】更に、テトラフルオロエチレン-プロピレ
ン共重合ゴムは、比較的低コストであり、良好な耐油性
を実現できるものの、プロピレン単位が多くなるため耐
熱性や低温特性の低下が避けられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヘキ
サフルオロプロペン-フッ化ビニリデン系共重合ゴム等
の汎用含フッ素エラストマー並みの耐熱性や低温特性を
維持しつつ、各種の潤滑油、特にエンジン油に対する耐
久性を向上せしめたフッ素系ゴム材料を比較的廉価に提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
過酸化物架橋性含フッ素エラストマー95〜60重量%およ
び過酸化物架橋性フッ素樹脂5〜40重量%よりなるフッ素
系ブレンドポリマーに、高級脂肪族カルボン酸あるいは
フルオロ化された脂肪族カルボン酸または芳香族カルボ
ン酸を添加したフッ素系ブレンドポリマー組成物によっ
て達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係るフッ素系ブレンドポ
リマー組成物は、フッ素系ブレンドポリマーに特定のカ
ルボン酸類を添加してなる。フッ素系ブレンドポリマー
は、それぞれ過酸化物架橋性基を有する含フッ素エラス
トマーとフッ素樹脂とを、前者が約95〜60重量%、好ま
しくは約90〜70重量%の割合で、また後者を約5〜40重量
%、好ましくは約10〜30重量%の割合でブレンドすること
により調製される。後者のブレンド割合がこれ以下で
は、本発明の目的とする耐油性の改善が達成されず、一
方これ以上の割合でブレンドされると、材料の柔軟性が
失われるようになる。
【0008】含フッ素エラストマー中の過酸化物架橋性
基は、一般にポリマー分子中にヨウ素基および/または
臭素基として導入され、分子中にヨウ素および/または
臭素を含有する含フッ素エラストマーとして用いられ
る。
【0009】分子中にヨウ素および/または臭素を含有
する含フッ素エラストマーの主要部分を構成する含フッ
素オレフィンとしては、炭素数2〜8のものが好んで用い
られ、例えばフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペ
ン、クロロトリフルオロエチレン、メチルパーフルオロ
ビニルエーテル、エチルパーフルオロビニルエーテル、
n-またはイソ-プロピルパーフルオロビニルエーテル、n
-、イソ-または第3-ブチルパーフルオロビニルエーテ
ル、n-またはイソ-アミルパーフルオロビニルエーテ
ル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオ
ロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(n-またはイ
ソ-プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(n-、イソ-
または第3-ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(n-ま
たはイソ-アミルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロ
ポキシプロピルビニルエーテル)などの少くとも一種が
主として用いられ、これ以外にもフッ化ビニル、トリフ
ルオロエチレン、パーフルオロシクロブテン、パーフル
オロ(メチルシクロプロペン)、ヘキサフルオロイソブテ
ン、1,2,2-トリフルオロスチレン、パーフルオロスチレ
ンなども用いられる。
【0010】これらの含フッ素オレフィンは、炭素数2
〜6のオレフィン性化合物および/または炭素数4〜8の含
フッ素ジエンと共重合させた形で用いることもできる。
【0011】オレフィン性化合物としては、例えばエチ
レン、プロピレン、ブテン、酢酸ビニルなどの不飽和ビ
ニルエステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテルなどのアルキルビニルエーテルなどの炭素数2〜6
のものが挙げられ、これらは一般に約0.1〜50モル%の割
合で共重合せしめる。
【0012】また、含フッ素ジエンとしては、例えばパ
ーフルオロ-1,3-ブタジエン、パーフルオロ-1,4-ぺンタ
ジエン、1,1,2-トリフルオロ-1,3-ブタジエン、1,1,2-
トリフルオロ-1,4-ペンタジエン、1,1,2,3,3-ペンタフ
ルオロ-1,4-ペンタジエン、パーフルオロ-1,7-オクタジ
エン、パーフルオロジビニルエーテル、パーフルオロビ
ニルパーフルオロアリルエーテル、ビニルパーフルオロ
アリルエーテル、パーフルオロビニルビニルエーテルな
どの炭素数4〜8のものが挙げられる。これらの含フッ素
ジエンは、含フッ素エラストマー中に約1モル%以下の
割合で存在するように共重合させることが好ましい。こ
れより多い割合で共重合させると、共重合体エラストマ
ーのゲル化が著しくなり、加工性(流動特性)および加硫
物の伸びが悪化するようになる。
【0013】具体的な含フッ素オレフィン共重合ゴムと
しては、例えばヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリ
デン共重合ゴム、ヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニ
リデン-テトラフルオロエチレン3元共重合ゴム、テトラ
フルオロエチレン-フッ化ビニリデン-パーフルオロ(メ
チルビニルエーテル)3元共重合ゴム、テトラフルオロエ
チレン-フッ化ビニリデン-パーフルオロ(プロピルビニ
ルエーテル)3元共重合ゴム、テトラフルオロエチレン-
パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)共重
合ゴム、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチル
ビニルエーテル)共重合ゴム、テトラフルオロエチレン
-プロピレン共重合ゴム、テトラフルオロエチレン-フッ
化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-ペンタフルオロ
プロペン4元共重合ゴム、テトラフルオロエチレン-ヘキ
サフルオロプロペン-フッ化ビニリデン-パーフルオロ
(メチルビニルエーテル)4元共重合ゴム、テトラフルオ
ロエチレン-ヘキサフルオロプロペン-ヘキサフルオロイ
ソブテン3元共重合ゴム、テトラフルオロエチレン-シク
ロヘキシルビニルエーテル共重合ゴム、ヘキサフルオロ
プロペン-フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレ
ン3元共重合ゴム、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエ
チレン-メチルパーフルオロビニルエーテル3元共重合ゴ
ム、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチル-n-ブチル
パーフルオロビニルエーテル3元共重合ゴム、フッ化ビ
ニリデン-メチルパーフルオロビニルエーテル-パーフル
オロ(メチルビニルエーテル)3元共重合ゴム、テトラフ
ルオロエチレン-メチルパーフルオロビニルエーテル-パ
ーフルオロ(メチルビニルエーテル)3元共重合ゴム、フ
ッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオ
ロエチレン-メチルパーフルオロビニルエーテル4元共重
合ゴム、テトラフルオロエチレン-n-ブチルパーフルオ
ロビニルエーテル-パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)3元共重合ゴム、フッ化ビニリデン-n-ブチルパーフ
ルオロビニルエーテル共重合ゴム、テトラフルオロエチ
レン-プロピレン-n-ブチルパーフルオロビニルエーテル
3元共重合ゴム、テトラフルオロエチレン-フッ化ビニリ
デン-プロピレン-n-ブチルパーフルオロビニルエーテル
4元共重合ゴムなどが挙げられる。これらの各種含フッ
素オレフィン共重合ゴムの中では、コスト面からみてヘ
キサフルオロプロペン-フッ化ビニリデン系共重合ゴム
が好んで用いられる。
【0014】重合反応は、含フッ素オレフィンまたはこ
れと上記共単量体とを、好ましくは乳化重合させること
により行われる。この重合反応の際、含ヨウ素臭素化合
物、含ヨウ素化合物または含臭素化合物を共存させる
と、含フッ素オレフィン共重合体中にヨウ素および/ま
たは臭素が導入され、有機過酸化物架橋の際の架橋点を
形成する。
【0015】含ヨウ素臭素化合物としては、一般式RBrn
Im(R:フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素
基、クロロ炭化水素基または炭化水素基、n,m:1または
2)で表わされる飽和または不飽和の、鎖状または芳香族
の化合物であって、好ましくはnおよびmがそれぞれ1の
ものが使用される。鎖状の含ヨウ素臭素化合物として
は、例えば1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1-
ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-4-ヨ
ードパーフルオロブタン、2-ブロモ-3-ヨードパーフル
オロブタン、3,4-ジブロモ-1-ヨード-1,1,2,2,4,4-ヘキ
サフルオロブタン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブ
テン-1、2-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1など
が用いられ、また芳香族の含ヨウ素臭素化合物として
は、例えばベンゼンの各種置換位置のモノヨードモノブ
ロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、モノヨードジ
ブロモ置換体、(2-ヨードエチル)および(2-ブロモエチ
ル)置換体などが用いられる。これらの含ヨウ素臭素化
合物は、一般に分子末端に結合して効率的に架橋を達成
させる含フッ素エラストマーを与えるが、そのためにそ
れぞれヨウ素および臭素として約0.01〜5重量%、好まし
くは約0.05〜3重量%となるように結合させる。
【0016】含ヨウ素化合物としては、ヨウ素原子また
はヨウ化エチル基によって代表されるヨウ化アルキル基
によってポリ置換された芳香族化合物またはパーフルオ
ロ芳香族化合物が、含フッ素エラストマー中ヨウ素とし
て約0.01〜5重量%、好ましくは約0.05〜3重量%の結合量
となるような割合で、あるいは飽和または不飽和の脂肪
族炭化水素、フルオロ脂肪族炭化水素またはクロロフル
オロ脂肪族炭化水素のヨード置換体が、含フッ素エラス
トマー中ヨウ素として約0.01〜10重量%の結合量となる
ような割合でそれぞれ用いられる。
【0017】含臭素化合物としては、臭素原子または臭
化エチル基によって代表される臭化アルキル基によって
ポリ置換された芳香族化合物またはパーフルオロ芳香族
化合物が、含フッ素エラストマー中臭素として約0.01〜
5重量%、好ましくは約0.05〜3重量%の結合量となるよう
な割合で、あるいは飽和脂肪族炭化水素の臭素置換体
が、含フッ素エラストマー中臭素として約0.01〜10重量
%の結合量となるような割合で、更には臭素含有オレフ
ィンが含フッ素エラストマー中臭素として約0.05重量%
以上、一般には約0.3〜1.5重量%の結合量となるような
割合でそれぞれ用いられ、この他3-または2-ブロモパー
フルオロプロピルパーフルオロビニルエーテルなども用
いることができる。
【0018】また、フッ素樹脂中の過酸化物架橋性基
も、一般にポリマー分子中にヨウ素基およびまたは臭素
基として導入され、分子中にヨウ素および/または臭素
を含有するフッ素樹脂として用いられる。
【0019】分子中にヨウ素および/または臭素を含有
するフッ素樹脂の主要部分を構成する含フッ素オレフィ
ンとしては、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペ
ン、テトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチ
レン等が好んで用いられる。これらのフッ素化オレフィ
ンの他に、他のフッ素化オレフィンや各種のオレフィン
化合物またはビニル化合物などを共重合させることもで
きる。他のフッ素化オレフィンとしては、例えばモノフ
ルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロ
プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオ
ロイソブチレン、ジクロロジフルオロエチレン等が用い
られ、またオレフィン化合物またはビニル化合物として
は、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチ
レン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、トリフルオロスチレン等が用いられる。
これら以外にも、パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフル
オロ(プロピルビニルエーテル)等のパーフルオロビニル
エーテル化合物も用いることができる。これらの各種単
量体は、樹脂の軟化温度等を考慮して組合せて用いられ
る。
【0020】具体的なフッ素樹脂としては、例えばフッ
化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、
フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-クロロトリ
フルオロエチレン3元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキ
サフルオロプロペン-クロロトリフルオロエチレン-テト
ラフルオロエチレン4元共重合体等のフッ化ビニリデン-
クロロトリフルオロエチレン系共重合体が好んで用いら
れ、それ以外にフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロ
ペン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロ
ペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体等のフッ化ビ
ニリデン-ヘキサフルオロプロペン系共重合体等も用い
られる。
【0021】これらのフッ素樹脂中への過酸化物架橋性
基としてのヨウ素基および/臭素基の導入は、共重合反
応時に前記した如き含ヨウ素臭素化合物、含ヨウ素化合
物または含臭素化合物を共存させることによって行われ
る。
【0022】共に過酸化物架橋性基を有する含フッ素エ
ラストマーとフッ素樹脂とのブレンドによるフッ素系ブ
レンドポリマーの形成は、いずれも水性ラテックスとし
て調製した上で混合し、これを凝析させることによって
行われることが好ましい。このため、含フッ素エラスト
マーおよびフッ素樹脂は、乳化重合法によって水性ラテ
ックスとして調製される。
【0023】重合度を高めかつ経済性の面からみても好
ましい乳化重合法は、過硫酸アンモニウム等の水溶性無
機過酸化物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒
として、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフ
ルオロヘプタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸
アンモニウム、パーフルオロオキシアルキルカルボン酸
アンモニウム等またはそれらの混合物、好ましくはパー
フルオロオクタン酸アンモニウムを乳化剤に用いて、一
般に圧力約10MPa以下、好ましくは約0〜5MPa、温度約0
〜100℃、好ましくは約20〜90℃の条件下で行われる。
その際、重合系内のpHを調節するために、Na2HPO4、NaH
2PO4、KH2PO4等の緩衝能を有する電解質物質またはNaOH
を添加して用いてもよい。
【0024】それぞれこのような方法で調製された含フ
ッ素エラストマーとフッ素樹脂の水性ラテックスは、そ
れらの固形分重量比が規定された範囲内になるようにラ
テックスブレンドされた後、塩化カルシウム水溶液等で
凝析され、フッ素系ブレンドポリマーを形成させる。勿
論これ以外に、ドライブレンド法を用いることもできる
が、フッ素樹脂成分の分散性の均一性や混合の容易性な
どの点からは、ラテックスブレンド法が推奨される。
【0025】含フッ素ブレンドポリマー中には、それの
100重量部当り約0.5〜5重量部、好ましくは約1〜5重量
部のカルボン酸類が配合される。これらのカルボン酸類
は、含フッ素エラストマー架橋物の表面および内部にお
いて、潤滑油、特にエンジン油中に含まれる塩基性化合
物と含フッ素エラストマーとの反応を阻害し、含フッ素
エラストマーの耐油性を改善させるものと考えられる。
また、可塑化効果をも与えるという特徴がみられる。
【0026】カルボン酸類としては、ラウリル酸、ステ
アリン酸等の炭素数8以上の飽和または不飽和の高級脂
肪族カルボン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオ
ロノナン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオク
タデカン酸、パーフルオログルタル酸、パーフルオロア
ジピン酸等のフルオロ化、好ましくはパーフルオロ化さ
れた1価または多価脂肪族カルボン酸、トリフルオロメ
チル基置換安息香酸、4-フルオロフェノキシ酢酸等のフ
ルオロ化された芳香族カルボン酸が用いられる。
【0027】共に含ヨウ素および/または臭素化合物を
分子中に結合させた含フッ素エラストマーおよびフッ素
樹脂よりなるフッ素系ブレンドポリマーは、有機過酸化
物によって架橋される。有機過酸化物としては、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ第
3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ
第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(第3ブチルパ
ーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス
(α,α-ジメチルブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,
1-ビス(α,α-ジメチルブチルパーオキシ)-3,3,5-トリ
メチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブ
チルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(第3ブチルパー
オキシジイソプロピル)ベンゼン、α,α-ビス(第3ブチ
ルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル
-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパ
ーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ビス(第3ブチルパー
オキシ)バレレート、第3ブチルパーオキシ-3,3,5-トリ
メチルヘキサノエートなどが、一般に含フッ素ブレンド
ポリマー100重量部当り約0.1〜15重量部、好ましくは約
0.5〜5重量部の割合で用いられる。
【0028】架橋に際しては、多官能性化合物が併用さ
れることが好ましい。かかる多官能性化合物としては、
トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリル
シアヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N´-m-フ
ェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス
(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリ
ル、(ジ)エチレングリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレートなどの機械的強度、圧縮
永久歪などを改善させる多官能性化合物が、含フッ素ブ
レンドポリマー100重量部当り約0.1〜20重量部、好まし
くは約0.5〜10重量部の割合で用いられる。
【0029】以上の各成分に加えて、充填剤、2価金属
の酸化物または水酸化物、ハイドロタルサイド等の受酸
剤、酸化防止剤等を適宜配合した組成物の調製は、通常
の混練手段により行われ、それの架橋は、一般に約100
〜250℃で約1〜120分間程度行われる一次架橋(プレス架
橋)および約150〜250℃で0〜30時間程度行われる二次架
橋(オーブン架橋)によって行われる。
【0030】
【発明の効果】フッ素含有量の少ない含フッ素エラスト
マーは、耐油性に劣ることが知られているが、フッ素含
有量を多くすると低温特性が低下し、またコストアップ
につながる。
【0031】本発明に係るフッ素系ブレンドポリマー組
成物においては、過酸化物架橋性フッ素樹脂がブレンド
されているが、それはあたかも充填剤の如くに挙動する
ので、含フッ素エラストマーの低温特性には殆んど影響
を与えることなく、それの耐油性を改善させる。更に、
高級脂肪族カルボン酸あるいはフルオロ化された脂肪族
カルボン酸または芳香族カルボン酸を添加することによ
っても、耐油老化を抑制している。耐油性改善の理由と
しては、フッ素樹脂自体は耐油性が良好であり、耐油性
に劣る含フッ素エラストマーの比率が低下すること、潤
滑油中の塩基性物質の架橋成形品中への拡散が抑制され
ること、更にカルボン酸系添加剤による塩基性物質の反
応が抑制されることなどが考えられる。
【0032】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0033】参考例1 容量10Lのオートクレーブ内に、 パーフルオロオクタン酸アンモニウム 10g 水酸化ナトリウム 2g 純水 5L を仕込み、窒素ガス置換した後、1,4-ジヨードパーフル
オロブタン15gを圧入した。その後、 フッ化ビニリデン [VdF] 22モル% ヘキサフルオロプロペン [HFP] 70モル% テトラフルオロエチレン [TFE] 8モル% よりなる混合ガスを、内圧が20Kg/cm2Gになる迄圧入
し、内温を70℃に昇温させた。
【0034】そこに、過硫酸アンモニウム5gを含む重合
開始剤水溶液150mlをオートクレーブ内に圧入し、重合
反応を開始させた。このときの内圧は、32Kg/cm2Gであ
った。内圧が29Kg/cm2Gに低下した時点から、内圧が30K
g/cm2Gに保たれるように、分添ガスとして VdF/HFP/TFE(モル比47:34:19)混合ガス を適時圧入し、生成水性ラテックス中の固形分濃度が25
重量%になった時点で、オートクレーブ内の未反応ガス
をパージして反応を停止させた。
【0035】参考例2 容量10Lのオートクレー部内に、 パーフルオロオクタン酸アンモニウム 10g 水酸化ナトリウム 2g 純水 5L を仕込み、窒素ガス置換した後、1,4-ジヨードパーフル
オロブタン15gを圧入した。その後、 フッ化ビニリデン [VdF] 95モル% クロロトリフルオロエチレン [CTFE] 5モル% よりなる混合ガスを、内圧が20Kg/cm2Gになる迄圧入
し、内温を70℃に昇温させた。
【0036】そこに、過硫酸アンモニウム5gを含む重合
開始剤水溶液150mlをオートクレーブ内に圧入し、重合
反応を開始させた。このときの内圧は、25Kg/cm2Gであ
った。内圧が20Kg/cm2Gに低下した時点から、内圧が21K
g/cm2Gに保たれるように、分添ガスとして VdF/CTFE(モル比95:5)混合ガス を適時圧入し、生成水性ラテックス中の固形分濃度が25
重量%になった時点で、オートクレーブ内の未反応ガス
をパージして反応を停止させた。
【0037】実施例1 参考例1で得られた含フッ素エラストマー水性ラテック
スと参考例2で得られたフッ素樹脂水性ラテックスと
を、固形分重量比で85:15になるようにラテックスブレ
ンドし、これを5重量%CaCl2水溶液中に添加してポリマ
ーを凝析し、水洗、乾燥した。
【0038】得られたフッ素系ブレンドポリマー1Kg
に、 MTカーボンブラック 200g 酸化亜鉛 60g パーフルオロオクタン酸 20g 2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン 5g トリアリルイソシアヌレート 40g を、ロールで順次配合して、フッ素系ポリマーブレンド
組成物を調製した。この組成物を、110トン型プレス成
形機を用いて180℃で5分間の一次架橋を行った後、空気
循環式オーブンを用いて200℃、4時間の二次架橋を行っ
た。
【0039】実施例2 実施例1において、パーフルオロオクタン酸20gの代り
に、ステアリン酸10gが用いられた。
【0040】比較例1 実施例1において、パーフルオロオクタン酸が用いられ
なかった。
【0041】比較例2 実施例1において、フッ素系ブレンドポリマーの代り
に、参考例1の水性ラテックスを凝析して得られた含フ
ッ素エラストマーが同量用いられた。
【0042】比較例3 比較例2において、パーフルオロオクタン酸が用いられ
なかった。
【0043】以上の各実施例および比較例で得られた架
橋物について、常態物性(ASTM D-412-83準拠)、耐熱性
(230℃、70時間後の常態物性の変化)、耐油性(175℃
のTOYOTAキャッスルクリーンSJ 10W-30中に70時間浸漬
した後の物性変化)および低温特性(TR10値)を測定
し、次の表に示されるような結果を得た。 表 測定項目 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 比較例3 常態物性 硬さ (JIS A) 79 80 81 69 72 引張強さ (MPa) 17.6 16.2 17.2 16.1 16.1 伸び (%) 300 310 280 290 280 100%モジュラス (MPa) 8.6 8.1 8.1 6.1 6.3 耐熱性 硬さ変化 (ポイント) 0 -1 -1 +2 +2 引張強さ変化率 (%) +7 +8 +8 +10 +11 伸び変化率 (%) -9 -8 -10 -15 -14 低温特性 TR10 (℃) -10 -8 -7 -10 -8 耐油性 引張強さ変化率 (%) -46 -48 -52 -60 -72 伸び変化率 (%) -40 -47 -50 -57 -66

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化物架橋性含フッ素エラストマー95
    〜60重量%および過酸化物架橋性フッ素樹脂5〜40重量%
    よりなるフッ素系ブレンドポリマーに、高級脂肪族カル
    ボン酸あるいはフルオロ化された脂肪族カルボン酸また
    は芳香族カルボン酸を添加してなるフッ素系ブレンドポ
    リマー組成物。
  2. 【請求項2】 過酸化物架橋性基がポリマー分子中に導
    入されたヨウ素基および/臭素基である請求項1記載の
    フッ素系ブレンドポリマー組成物。
  3. 【請求項3】 共に過酸化物架橋性基を有する含フッ素
    エラストマーとフッ素樹脂とをいずれも水性ラテックス
    として混合し、フッ素系ブレンドポリマーを形成させた
    請求項1記載のフッ素系ブレンドポリマー組成物。
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