JP2000143806A - ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法 - Google Patents

ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法

Info

Publication number
JP2000143806A
JP2000143806A JP33646898A JP33646898A JP2000143806A JP 2000143806 A JP2000143806 A JP 2000143806A JP 33646898 A JP33646898 A JP 33646898A JP 33646898 A JP33646898 A JP 33646898A JP 2000143806 A JP2000143806 A JP 2000143806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aminophenol
polybenzoxazole precursor
pha
benzoic acid
acid derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP33646898A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kiyono
博史 清野
Kazuyuki Iguchi
一幸 井口
Osamu Haba
修 羽場
Mitsuru Ueda
充 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Chemical Innovation Institute
Original Assignee
Japan Chemical Innovation Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Chemical Innovation Institute filed Critical Japan Chemical Innovation Institute
Priority to JP33646898A priority Critical patent/JP2000143806A/ja
Publication of JP2000143806A publication Critical patent/JP2000143806A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 o−アミノフェノール類と安息香酸誘導体と
からポリベンズオキサゾール前駆体を化学選択的に合成
すること。 【解決手段】 o−アミノフェノール類と安息香酸誘導
体とを、塩化リチウムおよび/または塩化カルシウムの
存在下で反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学選択的にN−
アシル化が進行したポリベンズオキサゾール前駆体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、感光性ポリイミド(PSPI)
は、工程を簡略化し、耐熱性のポリイミドにパターニン
グする際あらためて微細印刷加工に用いられる感光性樹
脂の塗布加工やヒドラジンのような毒性のある腐蝕剤
(現像液)を必要としないため、超大規模集積回路(V
LSI)の保護絶縁膜、コンピュータ用のマルチチップ
モデュール、通信、サーマルヘッドに広く用いられてい
る。これまで報告されているほとんどのPSPIは、ネ
ガ型であり、現像液として有機溶剤を必要とするため、
この現像中に膨潤する傾向があり、画像分解能が限定さ
れる。この問題を解決するために、水をベースとした溶
液中で現像可能なポジ型PSPIが注目されるようにな
ってきている。幾つかの研究グループは、ポリアミック
酸(PAA)とo−ジアゾナフトキノン(DNQ)とか
らなる樹脂について報告している。しかしながら、2.
38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド
(TMAH)水溶液に対するPAAの溶解速度は、あま
りにも高いため充分な溶解度差が得られない。したがっ
て、PAAの溶解速度を、プレベーキングあるいはポス
トエクスポジャベーキング〔post exposur
ebaking(PEB)〕によって制御させねばなら
ないという欠点があった。
【0003】DNQの感光性を利用するその他の研究と
しては、DNQおよびフェノール成分を、それぞれ、ス
ルホン酸エステルおよびエステル結合を通して、PAA
中に導入することが試みられた。この方法では、上記D
NQおよびフェノール成分量を調節することにより高い
溶解度差を得ることができ、これらPSPI前駆体も、
また、卓越したポジ型画像を与えることが分かった。
【0004】カーナ(Khanna)らは、ポジ型DN
Q感光性ポリマーシステムとして、ヒドロキシ基を含む
ポリアミドを報告している〔D.N.Khanna a
ndW H,Muller in Regional
Tech.Conf.onPhotopolymer
s,Principle−Process andMa
terials.Ellenvile,New Yor
k,NY.30,429(1988)〕。ポリ(o−ヒ
ドロキシ−アミド)は、ポリベンズオキサゾール前駆体
であって、アルカリ現像可能なポジ型感光性ポリマーと
して注目を集めている。というのは、このポリマーは、
2.38%TMAH水溶液に対しフェノール成分が存在
するため適度な溶解速度を有し、ベンズオキサゾール環
形成にはフェノール成分が存在しなくなるからである。
ポリ(o−ヒドロキシアミド)は、一般に、塩基存在下
で、ビス(o−アミノフェノール)と二塩基酸ジクロラ
イドを重縮合することによって得られる。一般に、o−
アミノフェノールのアシル化では、N−またはO−アシ
ル化物の両者が得られる。感光性ポリマーの微細加工能
は、O−アシル結合の存在が悪く影響する。しかしなが
ら、ビス(o−アミノフェノール)の化学選択的ポリア
ミド化は、これまであまり注目されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、o−アミノ
フェノール類と安息香酸誘導体とからポリベンズオキサ
ゾール前駆体を化学選択的に合成すること、具体的に
は、イソフタル酸ジクロライドと3,3′−ジヒドロキ
シベンジジンとからポリ(o−ヒドロキシアミド)(P
HA)を化学選択的に合成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、o−アミノフ
ェノール類と安息香酸誘導体とを、塩化リチウムおよび
/または塩化カルシウムの存在下で反応させることを特
徴とするポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法を提
供するものである。ここで、o−アミノフェノール類と
しては、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジヒドロキシ
ビフェニルが好ましい。また、安息香酸誘導体として
は、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のポリベンズオキサゾール
前駆体の製造方法に用いられるo−アミノフェノール類
としては、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジヒドロキ
シビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジヒド
ロキシビフェニルエーテル、4,4′−ジアミノ−3,
3′−ジヒドロキシビフェニルメタン、4,4′−ジア
ミノ−3,3′−ジヒドロキシ−ビフェニルスルホン、
4−アミノ−3−ヒドロキシベンゼンジスルフィド、ビ
ス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビ
ス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
2,2′−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2′−ビス(4−アミノ−3−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−
アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)−4,4′−ビフ
ェニル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキ
シ)−1,4−ベンゼン、ビス(4−アミノ−3−ヒド
ロキシフェノキシ)−1,3−ベンゼンなどのほか、こ
れらのアルキル、ハロゲン、アリール、アルコキシ、ア
リールオキシ置換誘導体などが挙げられ、好ましくは、
4,4′−ジアミノ−3,3′−ジヒドロキシビフェニ
ルである。
【0008】また、上記安息香酸誘導体としては、イソ
フタル酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、ジ
フェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸クロライ
ド、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸クロ
ライド、ジフェニルエーテル−3,4′−ジカルボン酸
クロライド、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸クロラ
イド、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸クロライド、
ナフタレン−1,4−ジカルボン酸クロライド、ナフタ
レン−2,7−ジカルボン酸クロライド、フェニルイン
ダンジカルボン酸クロライド、ベンゾフェノンジカルボ
ン酸クロライド、ジフェニルスルホンジカルボン酸クロ
ライド、ビフェニルジカルボン酸クロライドなどが挙げ
られ、好ましくは、イソフタル酸ジクロライドである。
【0009】上記o−アミノフェノール類と安息香酸誘
導体との使用割合は、モル比(o−アミノフェノール類
/安息香酸誘導体)で、0.75〜1.25、好ましく
は、0.85〜1.15である。このモル比が、0.7
5未満、あるいは、1.25を超えると、高分子量体が
得られず好ましくない。
【0010】本発明では、上記o−アミノフェノール類
と安息香酸誘導体とからポリベンズオキサゾール前駆体
を製造するに際し、これらの単量体を、塩化リチウムお
よび/または塩化カルシウムの存在下で反応させる。塩
化リチウムおよび/または塩化カルシウムの存在下に、
o−アミノフェノール類と安息香酸誘導体とを反応させ
ると、o−アミノフェノール類のN−アシル化が化学選
択的に進行し、ポリベンズオキサゾール前駆体が得られ
る。すなわち、o−アミノフェノール類の分子内水素結
合を抑える塩化リチウムや塩化カルシウムを添加剤とし
て加えると、化学選択的に、N−アシル化が進行し、目
的とするポリベンズオキサゾール前駆体が得られるので
ある。ここで、塩化リチウムおよび/または塩化カルシ
ウムの使用量は、単量体(o−アミノフェノール類およ
び安息香酸誘導体)の合計に対し、モル比で、好ましく
は、0.1〜5、さらに好ましくは、0.2〜3であ
る。モル比が0.1未満では、選択性向上の効果がな
く、一方、5を超えると、効果が飽和してしまう。
【0011】また、本発明のポリベンズオキサゾール前
駆体の製造方法においては、通常、反応溶媒が用いられ
る。この反応溶媒としては、N−メチル−2−ピロリジ
ノン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DM
Ac)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素など
の非プロトン性双極子溶媒などが挙げられ、好ましく
は、NMP、DMAcである。反応溶媒の使用量は、単
量体全量に対し、好ましくは、3〜30重量%、さらに
好ましくは、5〜25重量%となる濃度である。また、
反応温度は、好ましくは、−20〜+100℃、さらに
好ましくは、−10〜+50℃、反応時間は、好ましく
は、1〜100時間、さらに好ましくは、1〜50時間
である。
【0012】本発明により得られるポリベンズオキサゾ
ール前駆体は、後記する実施例から明らかなように、I
R、あるいは、 1H−NMR、もしくは、13C−NMR
分析により、N−アシル化が化学選択的に進行した目的
とするポリベンズオキサゾール前駆体であることが実証
される。なお、得られるポリベンズオキサゾール前駆体
の極限粘度(30℃、濃度0.5g/dLのNMP中で
測定)は、好ましくは、0.1〜10dL/g、さらに
好ましくは、0.3〜5dL/gである。
【0013】本発明により得られるポリベンズオキサゾ
ール前駆体は、通常、10〜300℃、好ましくは、5
0〜250℃で、0.1〜100時間、好ましくは、
0.3〜50時間、加熱することにより、脱水・閉環さ
れ、ポリベンズオキサゾールが得られる。
【0014】本発明により得られるポリベンズオキサゾ
ール前駆体は、フェノール性水酸基を有するので、半導
体プロセスで使用されているノボラック/ジアゾナフト
キノン系レジストと同様の感光機構が期待でき、アルカ
リ現像可能な感光性ポリマーに利用することが可能であ
る。また、このポリベンズオキサゾール前駆体を用いて
パターンを形成したのち、熱処理により、高強度、高弾
性率、高耐熱性のポリベンズオキサゾールに容易に変換
されるため、半導体分野の配線部分の層間絶縁膜や保護
膜に使用される感光性耐熱ポリマーとして有用である。
現在使用されている感光性ポリイミドの誘電率は3.5
以上であるが、本発明のポリベンズオキサゾール前駆体
から得られるポリベンズオキサゾールは、3.0以下と
小さく、この点でも優れているため、超LSIの絶縁膜
としても有用である。
【0015】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。なお、実施例に際して、得られる化合物
の分析、キャラクタリゼーションは、以下の方法によっ
た。
【0016】フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析(F
T−IR) FT−IRスペクトルは、下記条件下で、堀場製作所
製、ホリバFT−210FT−IRスペクトロホトメー
ターで測定した。 スペクトル幅=4,000〜400cm-1 積算=10回 分解能=4cm-1 H−G アポダイゼーション(apodizatio
n)処理を行った。また、KBrペレット試料にして測
定した。
【0017】NMR分析 NMRスペクトルは、室温下、DMSO−d6 溶液中
で、JEOL EX270(270MHz)スペクトロ
メーターで測定した。熱重量分析(TG) TG測定は、昇温速度10℃/分で、セイコーSSS
5000−TG/DTA 200を用いて実施した。粘度測定 粘度測定は、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定
した。
【0018】(1)モデル化合物による選択合成 モデル化合物として、安息香酸クロライドとo−アミノ
フェノールとを用いた反応から、次の3つの化合物、す
なわちN−アシル化物1、O−アシル化物2、N−,O
−アシル化物3の生成が考えられる。
【0019】
【化1】
【0020】安息香酸クロライドとo−アミノフェノー
ルのモデル反応;安息香酸クロライド(1.0mmo
l)を、室温下、NMP(2.0ml)に溶解したo−
アミノフェノール(1.0mmol)および塩基もしく
は無機塩(1.0mmol)の溶液に加えた。溶液を2
時間攪拌し、水(40ml)に注いだ。混合物のpH
は、塩酸1モルを加えて7.0に調整した。沈殿物をろ
過し、水で洗浄して乾燥した(表1、実験No. 1〜
3)。
【0021】上記の反応は、次の三つの生成物、すなわ
ち、2′−ヒドロキシベンズアニリド(化合物1)、
2′−アミノフェニルベンゾエート(化合物2)、およ
び2′−(N−ベンゾイルアミノ)フェニルベンゾエー
ト(化合物3)を与えることが予測された。化合物2
は、分子内転位により、より熱力学的安定な異性体であ
る化合物1となるので、通常は得られない。事実、すべ
てのモデル反応の系において、化合物2の生成は認めら
れなかった。用いる授酸剤としての塩基の塩基性は、生
成物1および3の比率に強く影響を与えた。化合物1
は、塩基の存在しない、あるいは、ピリジン(pKa=
5.4)の存在下で優先的に得られた。一方、トリエチ
ルアミン(pKa=9.8)の存在下の反応では、化合
物3が優先的に得られた。結果を表1に示す。
【0022】これまでの本発明者らの報告において、官
能基を有するジカルボン酸とジアミンとの化学選択的ポ
リアミド合成の種々の検討〔M.Ueda,T.Mor
osumi,M.Kakuta and R.Sat
o,Polymer J.,22,733(199
0)〕から、N,N′−イソフタロイルジベンゾオキサ
ゾリン−2−チオンが活性アミドとして用いられ、4,
4′−ジアミノ−3,3′−ジヒドロキシビフェニル
(=3,3′−ジヒドロキシベンジジン)のN−アシル
化による化学選択的アミド化反応が期待された。o−ア
ミノフェノールと活性アミドであるN−ベンゾイルベン
ゾオキサゾリン−2−チオンとの反応を、室温下、NM
P中で実施した結果(表1、実験No. 4)に示すよう
に、化合物1(97%)と化合物3(3%)を与えた。
完全な化学選択的アミド化は、達成できなかった。
【0023】
【化2】
【0024】塩化リチウムや塩化カルシウムなどの無機
塩は、アミド構成単位の分子間あるいは分子内水素結合
を弱め、あるいは完全に無くすので、ポリアミドの溶解
性を改善することが知られている。本発明の無機塩を用
いたモデル反応は、塩基を存在せずに行った場合であ
り、その結果を表1、実験No. 5〜6に示す。化学選択
的に、化合物1が得られた。
【0025】
【化3】
【0026】
【表1】
【0027】a)ベンゾイルクロライド(1mmol)
とo−アミノフェノール(1mmol)との反応を、1
mmolの添加剤の存在下、2mlのNMP中で2時
間、室温下で実施した。 b)アシル誘導体のアミドまたはエステルへの転化率 c) 1H−NMRによって測定 d)ベンゾイルクロライドの代わりに、N−ベンゾイル
ベンズオキサゾリン−2−チオンを使用
【0028】(2)ポリマー合成 上記モデル化合物による選択合成に基づいて、化学選択
的ポリアミド化を実施した。極限粘度0.35dL/g
のPHA−1(比較例)をピリジンの存在下、−5〜+
20℃の反応温度で、また、極限粘度0.70dL/g
のPHA−2(実施例)を塩化リチウムの存在下で、室
温下、それぞれ、モノマーであるイソフタル酸ジクロラ
イドと3,3′−ジヒドロキシベンジジンを攪拌するこ
とによって調製した(表2参照)。
【0029】
【化4】
【0030】PHA−1(比較例)の調製;PHA−1
(比較例)は、既に報告されている処方に従い、DMA
c/シクロヘキサノン(容量比=2:1、2.5ml)
に溶解したピリジン(0.3ml)の存在下に、イソフ
タル酸ジクロライドと3,3′−ジヒドロキシベンジジ
ンとから調製した〔T.Kubota and R.N
akanishi,J.Polym.Sci.,Pol
ym.Lett.,655(1965)〕。得られた
ポリ(o−ヒドロキシ−アミド)(PHA−1)は、極
限粘度0.35dL/gであった。このポリ(o−ヒド
ロキシ−アミド)の構造を、 1H−NMRおよび13C−
NMR分析により明らかにした。 1H−NMRスペクト
ルは、9.81,10.05,10.5ppmに、それ
ぞれ、アミド、ヒドロキシ基、アミド−エステル単位の
アミド基の特徴的なシグナルを示した(図1)。また、
13C−NMRスペクトルは、165.0、164.9、
166.1ppmに、アミド基およびアミドエステルカ
ルボニル基中の炭素原子の3つのシグナルを示した(図
3)。これらの知見は、3,3′−ジヒドロキシベンジ
ジンの化学選択的ポリアミド化が達成されなかったこと
を示していた。
【0031】PHA−2(実施例)の調製;PHA−2
(実施例)は、NMP(1.6ml)に溶解した3,
3′−ジヒドロキシベンジジン(0.216g、1.0
mmol)および塩化リチウム(0.093g、2.2
mmol)の冷却溶液に対し、0℃以下で、イソフタル
酸ジクロライド(0.203g、1.0mmol)を加
えた。この溶液を、室温下で24時間攪拌した。得られ
たポリマー溶液は、NMP(2.0ml)で希釈し、次
いで、メタノール(100ml)中にこの溶液を注ぐこ
とによって沈殿させた。メタノールで洗浄し、乾燥した
後のポリマーは0.326g(収率94%)であった。
ポリマーのの極限粘度は、0.70dL/g(NMP
中、0.5g/dL濃度、30℃)であった。IR(K
Br法)は、ν=3,320cm-1,1,520cm-1
(N−H)、1,650cm-1(C=O,アミド)であ
った。また、(C20142 4 ・0.9H2 O)n
元素分析の理論値は、C;66.27%、H;4.14
%、N;7.73%であり、測定値は、C;66.27
%、H;4.38%、N;7.48%であった。
【0032】PHA−2の13C−NMRスペクトルを、
図2〜3に示す。すべてのピークを、モデル化合物のケ
ミカルシフトを標準として帰属させた。PHA−2に関
するアミドカルボニル基中の炭素原子のシグナルは、1
65.0ppmに現れた。一方、PHA−1のスペクト
ルでは、N,O−アシル化(3〜4%)に起因するアミ
ドおよびエステルカルボニル基中の炭素原子の二つの小
さな特別のシグナルは、164.9ppmおよび16
6.1ppmに、それぞれ、現れた(図3)。そのう
え、ポリマーのカルボキシ末端基に起因する、170p
pm周囲のピークは観察されなかった。これらの知見
は、塩化リチウムの存在下、イソフタル酸ジクロライド
および3,3′−ジヒドロキシ−ベンジジンの重縮合が
目的とするPHAを生じることを明確に示唆していた。
【0033】また、PHA−1およびPHA−2のIR
スペクトルは、モデル化合物および既知の類似物のもの
と一致した。PHA−1は、3,410〜3,320、
1,650〜1,640、1,520〜1,510、お
よび1,745〜1,735cm-1(肩部)に、それぞ
れ、特有のN−H、アミドI、アミドII、およびエス
テルカルボニル吸収帯を示した。一方、エステルカルボ
ニル吸収は、PHA−2では観察されなかった。
【0034】ポリマーは、明るい茶色の固体であった。
ポリマー(PHA−1)(点線)およびPHA−2(実
線)のポリマーの熱安定性は、熱重量分析(TG)によ
り測定した(図4)。両ポリマーの急激な重量減少は、
TG測定中、200〜400℃で観察した。この温度範
囲で、PHA−1およびPHA−2の重量減少は、それ
ぞれ、13.4%および11.0%であった。PHA−
2の重量減少の値は、オキサゾール環形成に起因する脱
水反応から計算された重量減少(10.4%)の値に良
く一致した。PHA−1も同様に脱水反応前に徐々に重
量減少を示した。PHA−2の重量減少に較べてPHA
−1の重量減少が大きいのは、脱エステル反応に起因し
ていた。
【0035】
【表2】
【0036】a)単量体1mmolずつを、添加剤
(2.2mmol)の存在下に重縮を行った。 b)30℃、0.5g/dL濃度のNMP中で測定 c)DMAcとシクロヘキサノン(容量比=2:1)の
混合溶剤
【0037】このように、本発明によれば、ポリベンズ
オキサゾール前駆体、すなわち、ポリ(o−ヒドロキシ
アミド)(PHA)が、例えば、塩化リチウムの存在下
で、イソフタル酸ジクロライドと3,3′−ジヒドロキ
シベンジジンとの化学選択的にN−アシル化が進行した
重縮合により得られることが分かる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、o−アミノフェノール
類と安息香酸誘導体とからポリベンズオキサゾール前駆
体を化学選択的に合成することができる。得られるポリ
ベンズオキサゾール前駆体は、フェノール性水酸基を有
するので、半導体プロセスで使用されているノボラック
/ジアゾナフトキノン系レジストと同様の感光機構が期
待でき、アルカリ現像可能な感光性ポリマーに利用する
ことが可能である。また、このポリベンズオキサゾール
前駆体を用いてパターンを形成したのち、熱処理によ
り、高強度、高弾性率、高耐熱性のポリベンズオキサゾ
ールに容易に変換されるため、半導体分野の配線部分の
層間絶縁膜や保護膜に使用される感光性耐熱ポリマーと
して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】PHA−1およびPHA−2の 1H−NMRス
ペクトルである。
【図2】PHA−2の13C−NMRスペクトルである。
【図3】PHA−1およびPHA−2(カルボニル領
域)の13C−NMRスペクトルである。
【図4】窒素雰囲気下、PHA−1およびPHA−2の
熱重量分析結果である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA10 AA13 AB16 AB17 AC01 AC03 AD03 BE01 BJ10 CB26 CB52 FA03 FA17 FA29 4J043 PA01 PA19 QB15 QB23 RA52 SA05 SA06 SA71 TA26 UA121 UA122 UA131 UA141 UA151 UA242 UA262 UB011 UB021 UB061 UB121 UB122 UB151 UB152 UB281 UB301 UB302 VA012 VA021 VA022 VA041 VA042 VA052 VA061 VA062 VA081 VA082 XA16 XA19 XB15 XB39 YA06 YA10 ZA12 ZA22 ZA32 ZB02 ZB22 ZB50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 o−アミノフェノール類と安息香酸誘導
    体とを、塩化リチウムおよび/または塩化カルシウムの
    存在下で反応させることを特徴とするポリベンズオキサ
    ゾール前駆体の製造方法。
  2. 【請求項2】 o−アミノフェノール類が4,4′−ジ
    アミノ−3,3′−ジヒドロキシビフェニルである請求
    項1記載のポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法。
  3. 【請求項3】 安息香酸誘導体がイソフタル酸ジクロラ
    イドである請求項1記載のポリベンズオキサゾール前駆
    体の製造方法。
JP33646898A 1998-11-12 1998-11-12 ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法 Withdrawn JP2000143806A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33646898A JP2000143806A (ja) 1998-11-12 1998-11-12 ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33646898A JP2000143806A (ja) 1998-11-12 1998-11-12 ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000143806A true JP2000143806A (ja) 2000-05-26

Family

ID=18299463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33646898A Withdrawn JP2000143806A (ja) 1998-11-12 1998-11-12 ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000143806A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043434A (ja) * 2012-08-03 2014-03-13 Toray Fine Chemicals Co Ltd ジニトロ化合物の製造方法
WO2017038423A1 (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 富士フイルム株式会社 感光性樹脂組成物、平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043434A (ja) * 2012-08-03 2014-03-13 Toray Fine Chemicals Co Ltd ジニトロ化合物の製造方法
WO2017038423A1 (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 富士フイルム株式会社 感光性樹脂組成物、平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法
JPWO2017038423A1 (ja) * 2015-08-31 2018-04-05 富士フイルム株式会社 感光性樹脂組成物、平版印刷版原版及び平版印刷版の製版方法
US10495971B2 (en) 2015-08-31 2019-12-03 Fujifilm Corporation Photosensitive resin composition, planographic printing plate precursor, and plate-making method for planographic printing plate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3311600B2 (ja) ポリ−o−ヒドロキシアミド及びポリ−o−メルカプトアミドの製造方法
JP4757741B2 (ja) 感光性樹脂組成物及びそれを用いた回路基板
KR101523798B1 (ko) 폴리아미드의 제조 방법 및 수지 조성물
Hsu et al. A novel positive photosensitive polybenzoxazole precursor for microelectronic applications
TW200527134A (en) Novel photosensitive resin compositions
US5922825A (en) Preparation of poly-o-hydroxyamides and poly o-mercaptoamides
JP2000143806A (ja) ポリベンズオキサゾール前駆体の製造方法
JP3346995B2 (ja) ジカルボン酸誘導体及びその製造方法
JP3167628B2 (ja) ポリ−o−ヒドロキシアミド及びポリ−o−メルカプトアミドの製造方法
US5783654A (en) Preparation of poly-O-hydroxyamides and poly O-mercaptoamides
Sugawara et al. Photosensitive polyesterimides based on reaction development patterning
JP3093055B2 (ja) 耐熱性ネガ型フォトレジスト組成物および感光性基材、ならびにネガ型パターン形成方法
JP3143070B2 (ja) ポリ−o−ヒドロキシアミド及びポリ−o−メルカプトアミドの製造方法
JP2003238683A (ja) ポジ型感光性樹脂組成物
TW202214714A (zh) 感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、圖案樹脂膜、固化物、圖案固化物、電子裝置的製造方法及電子裝置
JP4408984B2 (ja) 芳香族ポリヒドロキシアミド
JPH11140186A (ja) 光反応性溶媒可溶型ポリイミド
Seino et al. Chemoselective Polyamidation of 3, 3′-Dihydroxybenzidine
JP3310553B2 (ja) ポリ−o−ヒドロキシアミド及びポリ−o−メルカプトアミドの製造方法
JP2003176355A (ja) ポリイミド前駆体及びそれを用いた新規感光性樹脂組成物
Haba et al. Synthesis of ordered polymer by direct polycondensation. VIII. Ordered polymer from two nonsymmetric monomers
KR20160027189A (ko) 감광성 수지 조성물, 그의 릴리프 패턴막, 릴리프 패턴막의 제조 방법, 릴리프 패턴막을 포함하는 전자 부품 또는 광학 제품, 및 감광성 수지 조성물을 포함하는 접착제
JP2002069182A (ja) 新規ジアミン及びそれからなるポリイミド、ポリイソイミドならびにその製造方法
CN117285710A (zh) 自感光型光敏性聚苯并噁唑前驱体树脂及其制备方法
JP2002371133A (ja) ポリベンゾオキサゾール前駆体の製法およびそれにより得られたポリベンゾオキサゾール前駆体ならびに感光性ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060207