JP2000143516A - 制癌剤、新規なスルホキノボシルアシルグリセロ―ル、それを製造するための新規な中間体およびそれらの製造方法 - Google Patents

制癌剤、新規なスルホキノボシルアシルグリセロ―ル、それを製造するための新規な中間体およびそれらの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制癌活性を有するスルホキノボシルアシルグ
リセロール誘導体を見出し、それを用いた制癌剤を提供
すること。スルホピラノシルアシルグリセロール誘導体
を効率的に製造するための中間体を提供すること。 【解決手段】 下記の一般式(1)(式中、R101は飽
和高級脂肪酸のアシル残基を表し、R102は水素原子又
は飽和高級脂肪酸のアシル残基を表す。)により表され
る化合物を含有する制癌剤。一般式(1)により表され
る化合物のうち、β体は新規な化合物である。一般式
(1)の化合物は、下記一般式(A)および/又は一般
式(B)(式中、R1、R2およびR3はアルキル基又は
シリル基を表し、R4はアルキルスルホニル基又はアリ
ールスルホニル基を表し、R5は水素原子、アルキル基
又はアリール基を表す。)により表されるピラノシドを
中間体として用いることにより効率的に製造することが
できる。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制癌剤に関する。
より詳細には、本発明は、スルホキノボシルアシルグリ
セロール誘導体を有効成分として含有する制癌剤に関す
る。
【0002】上記制癌剤が含有する有効成分のうち、β
体のスルホキノボシルアシルグリセロールは、新規な化
合物である。本発明は、この新規なβ体のスルホキノボ
シルアシルグリセロール誘導体およびその製造方法にも
関する。
【0003】さらに、本発明は、上記スルホキノボシル
アシルグリセロール誘導体等を製造するための中間体と
して用い得る新規なピラノシドおよびその製造方法にも
関する。
【0004】
【従来の技術】スルホキノボシルアシルグリセロール誘
導体は、D-グルコースの6位の炭素(以下、糖のn位の
炭素をそれぞれ「Cn炭素」ともいう)の水酸基がスル
ホ基に、C1炭素の水酸基がグリセロールに置換した6
−デオキシ−6−スルホ−D-グリコピラノシルグリセロ
ールを基本骨格とし、そのグリセロール部位の水酸基が
脂肪酸とエステル結合した構造を有するものである。ス
ルホキノボシルアシルグリセロール誘導体には、グリセ
ロールとエステル結合する脂肪酸の種類等により、多く
の誘導体がある。これらのスルホキノボシルアシルグリ
セロール誘導体のなかには、医薬への適用が期待される
生理活性を有するものが知られている。
【0005】例えば、太田ら(Chemical & Pharmaceutic
al Bulletin, 46(4), (1998))には、紅藻スギノリから
得られる特定のスルホキノボシルアシルグリセロール誘
導体が、高等生物DNA合成酵素αおよびβの阻害活性並
びにHIV由来逆転写酵素阻害活性を示すことが記載され
ている。しかしながら、太田らの文献には、制癌作用に
ついての記載はない。
【0006】また、水品ら(Biochemical Pharmacology,
55, 537-541, (1998))には、シダ植物から得られる特
定のスルホキノボシルアシルグリセロール誘導体が、子
牛DNA合成酵素α型およびラットDNA合成酵素β型への阻
害活性を示すが、HIV由来逆転写酵素阻害活性には影響
を及ぼさないことが記載されている。しかしながら、水
品らの文献にも制癌作用についての記載はない。
【0007】一方、佐原ら(British Journal of Cance
r, 75(3), 324-332, (1997))には、ウニ体内成分から得
られるスルホキノボシルアシルグリセロール誘導体が、
イン・ビボおよびイン・ビトロで制癌作用を示すことが
記載されている。しかしながら、佐原らが制癌作用を見
出したスルホキノボシルアシルグリセロール誘導体は、
グリセロールとエステル結合する脂肪酸のアシル残基が
互いに異なる複数種のスルホキノボシルアシルグリセロ
ール誘導体の混合物であり、各誘導体の単独の作用は明
らかにされていない。
【0008】これらのスルホキノボシルアシルグリセロ
ール誘導体は、通常、藻類、高等植物等の天然物から抽
出されている。しかしながら、天然物から抽出されるス
ルホキノボシルアシルグリセロール誘導体は、グリセリ
ドを構成する脂肪酸のアシル残基が異なるものの混合物
として得られることが多い。従って、単一のスルホキノ
ボシルアシルグリセロール誘導体を得るためには、更な
る精製工程を必要とする。また、このような天然物から
の抽出方法は、原料を質的および量的に安定に入手する
ことが困難であるという欠点も有する。
【0009】また、特開平7−149786号公報に
は、特定のグリセロ糖脂質の合成方法が記載されてい
る。しかしながら、この方法により合成されるグリセロ
糖脂質は、グリセロ糖脂質の糖部分を構成するガラクト
ースにおいて、炭素に結合する全ての水酸基がベンジル
基のような保護基で保護されたものであるか又は未置換
のものであり、C6炭素にスルホ基が置換したスルホピ
ラノシルの合成方法ではない。しかも、この方法は、水
酸基の保護・脱保護操作のために多くの工程を必要と
し、極めて煩雑であるという欠点を有している。すなわ
ち、上記公報に記載されるグリセロ糖脂質の合成方法に
よれば、まず、ガラクトースのすべての炭素に結合する
水酸基をアセチル化する。次に、C1炭素をハロゲン化
した後、C1炭素にグリセロール誘導体を導入する。こ
の後、最初にアセチル化した基を脱アセチル化した後、
糖の水酸基を再度保護する。次いで、グリセロール誘導
体の保護基を除去し、グリセロールに脂肪酸を導入し、
最後に糖の保護基を除去することによりグリセロ糖脂質
を製造することができる。
【0010】さらに、Dona M, GordonおよびSamuel J,
Danishefskyは、グルカールとイソプロピリデングリセ
ロールを反応させることにより、スルホキノボシルアシ
ルグリセリドを合成する方法を報告している(J. Am. Ch
em. Soc., 1992, 114, 659-663)。しかしながら、この
合成方法は、出発物質とするグルカールが大変高価であ
るという欠点を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、スルホキ
ノボシルアシルグリセロール誘導体には医薬への適用が
期待される生理活性を有するものが知られているが、未
だ、単独で有意な制癌活性を示すものは見出されていな
い。
【0012】そこで、本発明は、スルホキノボシルアシ
ルグリセロール誘導体のなかから制癌活性を有する化合
物を見出し、制癌剤を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、スルホピラノシルアシル
グリセロール誘導体を、少ない工程で、高収率に、しか
も工業的に大量かつ安価に合成するための中間体として
利用し得る化合物を提供することも目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、次の一般式(1):
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R101は、飽和高級脂肪酸のアシ
ル残基を表し、R102は、水素原子又は飽和高級脂肪酸
のアシル残基を表す。)により表される化合物には制癌
活性があることを見い出した。さらに、本発明者らは、
ピラノースのC1炭素に2−プロペニルオキシ基が置換
し、C6位炭素にアルキルもしくはアリールスルホニル
オキシ基又はチオカルボキシル基が置換したものを中間
体として用いることにより、前述した特開平7−149
786号に記載のグリセロ糖脂質の合成方法において必
要とされていたような水酸基の保護・脱保護工程を経る
ことなく、スルホピラノシルアシルグリセロール誘導体
を、効率的に製造することができることを見出し、本発
明を完成した。
【0017】即ち、本発明は、上記一般式(1)により
表される化合物およびその薬学的に許容される塩からな
る群から選択される少なくとも1種を有効成分として含
有する制癌剤(以下、「本発明の制癌剤」ともいう。)を
提供する。
【0018】上記一般式(1)により表される化合物の
うち、グルコースのC1炭素における結合がβ結合であ
るものは、新規な化合物である。本発明は、この新規な
β体のスルホキノボシルアシルグリセロール誘導体(以
下、「本発明のβ誘導体」ともいう。)も提供する。
【0019】また、本発明は、スルホピラノシルアシル
グリセロール誘導体を製造するための中間体として有用
な、次の一般式(A):
【0020】
【化6】
【0021】(式中、R1、R2およびR3は、互いに独立
して、アルキル基又は置換シリル基を表し、R4は、ア
ルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基を表
す。)により表される1−O−(2−プロペニル)−6
−O−スルホニルピラノシド、並びに次の一般式
(B):
【0022】
【化7】
【0023】(式中、R1、R2およびR3は、互いに独
立して、アルキル基又は置換シリル基を表し、R5は、
水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)により
表される1−O−(2−プロペニル)−6−デオキシ−
6−チオカルボキシルピラノシドも提供する。
【0024】上記本発明の一般式(B)により表される
ピラノシドは、上記一般式(A)により表されるピラノ
シドのC6炭素に結合するアルキル又はアリールスルホ
ニルオキシ基(−OR4)を、チオカルボキシル基(−
SC(=O)R5)に置換することにより製造すること
ができる。すなわち、本発明は、次の工程:
【0025】
【化8】
【0026】(式中、R1〜R5は上で規定したとお
り。)を特徴とする一般式(B)により表されるピラノ
シドの製造方法も提供する。
【0027】
【発明の実施の形態】まず、本発明の制癌剤について詳
細に説明する。
【0028】本発明の制癌剤は、次の一般式(1):
【0029】
【化9】
【0030】(式中、R101は、飽和高級脂肪酸のアシ
ル残基を表し、R102は、水素原子又は飽和高級脂肪酸
のアシル残基を表す。)により表される化合物およびそ
の薬学的に許容される塩からなる群から選択される少な
くとも1種を有効成分として含有する。
【0031】上記一般式(1)において、R101は、飽
和高級脂肪酸のアシル残基を表す。R101により表され
る飽和高級脂肪酸のアシル残基を提供する脂肪酸には、
直鎖状又は分岐状の、飽和高級脂肪酸が含まれる。R
101は、特に大腸癌および胃癌に対する制癌活性の観点
から、好ましくは、直鎖状飽和高級脂肪酸のアシル残基
であり、さらに好ましくはCH3(CH2)nCO-(nは、12〜24
の整数(好ましくは、12〜24の偶数)である。)により
表される基である。
【0032】上記一般式(1)において、R102は、水
素原子又は飽和高級脂肪酸のアシル残基を表す。飽和高
級脂肪酸のアシル残基を提供する脂肪酸には直鎖状又は
分岐状の、飽和高級脂肪酸が含まれる。特に大腸癌およ
び胃癌に対する制癌活性の観点から、R102は水素原子
であることが好ましいが、特にR101がCH3(CH2)12CO-で
あるときには、R102はCH3(CH2)12CO-であっても例外的
に制癌活性を有する。
【0033】本発明の制癌剤において、上記一般式
(1)により表される化合物のスルホ置換のグルコース
とグリセリドとの結合は、α結合であってもβ結合であ
ってもよいが、特に大腸癌および胃癌に対する制癌活性
の観点から、α結合であることが好ましい。
【0034】本発明の制癌剤において用いる一般式
(1)により表される化合物のうち、特に大腸癌および
胃癌に対する制癌活性の観点から好ましいものを次の表
1にまとめた。
【0035】
【表1】
【0036】上記化合物SQAG1〜SQAG14のうち、胃癌又
は大腸癌に対する制癌活性の観点からSQAG1、SQAG2、
SQAG4、SQAG6、SQAG8、SQAG11、SQAG12、SQAG13およ
びSQAG14が好ましい。
【0037】本発明の制癌剤は、上述した一般式(1)
により表される化合物およびその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分と
して含有する。
【0038】本発明の制癌剤において用い得る薬学的に
許容される塩には、例えば、ナトリウムおよびカリウム
のような一価の陽イオンの塩が含まれるが、これらに限
定されるものではない。以下、本発明の一般式(1)の
化合物およびその薬学的に許容される塩からなる群の化
合物を「本発明の制癌活性物質」ともいう。
【0039】本発明の制癌活性物質は、例えば、経口投
与、非経口投与することができる。本発明の制癌活性物
質は、これらの投与経路に応じて、適切な薬学的に許容
される賦形剤又は希釈剤等と組み合わせることにより薬
学的製剤にすることができる。
【0040】経口投与に適した剤型としては、固体、半
固体、液体又は気体等の状態のものが含まれ、具体的に
は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁
剤、シロップ剤、エリキシル剤等を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0041】本発明の制癌活性物質を錠剤、カプセル
剤、粉末剤、顆粒剤、溶液剤、懸濁剤等に製剤化するた
めには、それ自体は既知の方法を用いて、本発明の制癌
活性物質をバインダー、錠剤崩壊剤、潤滑剤等と混合
し、さらに、必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、浸潤剤、
保存剤、フレーバー剤等と混合することにより行うこと
ができる。一例を挙げると、上記バインダーには、結晶
セルロース、セルロース誘導体、コーンスターチ、ゼラ
チン等が、錠剤崩壊剤には、コーンスターチ、馬鈴薯デ
ンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が、
潤滑剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が含
まれ、さらには、ラクトース、マンニトール等のような
従来用いられている添加剤等を用いることができる。
【0042】また、本発明の制癌活性物質は、液体、微
細粉末の形態のものを、気体又は液体の噴霧剤と共に、
又は必要に応じて浸潤性付与剤のような既知の助剤と共
に、エアロゾル容器、ネブライザーのような非加圧容器
に充填し、エアロゾル剤又は吸入剤の形態で投与するこ
ともできる。噴霧剤としては、ジクロロフルオロメタ
ン、プロパン、窒素等の加圧ガスを用いることができ
る。
【0043】本発明の制癌剤を非経口投与する場合、例
えば、直腸投与および注射等により投与することができ
る。
【0044】直腸投与には、例えば、坐薬として投与す
ることができる。坐薬は、それ自体は既知の方法によ
り、本発明の制癌活性物質を、体温で融解するが室温で
は固化しているカカオバター、カーボンワックス、ポリ
エチレングリコールのような賦形剤と混合し、成形する
ことにより製剤化することができる。
【0045】注射による投与としては、皮下、皮内、静
脈内、筋肉内等に投与することができる。これらの注射
用製剤は、それ自体は既知の方法により、本発明の制癌
活性物質を、植物性油、合成樹脂酸グリセリド、高級脂
肪酸のエステル、プロピレングリコールのような水性又
は非水性の溶媒中に溶解、懸濁又は乳化し、さらに、所
望により、可溶化剤、浸透圧調節剤、乳化剤、安定剤お
よび保存料のような従来用いられている添加剤と共に製
剤化することができる。
【0046】本発明の制癌活性物質を溶液、懸濁液、シ
ロップ、エリキシル等の形態にするためには、注射用滅
菌水や規定生理食塩水のような薬学的に許容される溶媒
を用いることができる。
【0047】本発明の制癌活性物質は、薬学的に許容さ
れる他の活性を有する化合物と併用して薬学的製剤とす
ることもできる。
【0048】本発明の制癌剤は、投与形態、投与経路、
対象とする疾病の程度や段階等に応じて適宜設定、調節
することができる。一例を挙げると、経口投与する場合
は、制癌活性物質として、1〜10mg/kg体重/日、注射剤
として投与する場合は、制癌活性物質として、1〜5mg/k
g体重/日、直腸投与する場合は、制癌活性物質として、
1〜5mg/kg体重/日に設定することができるが、これらに
限定されるものではない。
【0049】本発明の制癌剤が効果を奏することのでき
る癌には、悪性腫瘍としての性質を有するものが含ま
れ、例えば、ヒトを含むほ乳類の腺癌、上皮癌、肉腫、
神経膠腫、黒色腫、リンパ腫、白血病がある。
【0050】本発明の制癌剤において用いる一般式
(1)により表される化合物は、上記一般式(A)およ
び一般式(B)により表されるピラノシドをそれぞれ中
間体として用いることにより効率的に製造することがで
きる。これらの一般式(A)および一般式(B)により
表されるピラノシドは、新規な化合物である。
【0051】一般式(A)により表されるピラノシドに
ついて詳細に説明する。
【0052】本発明の一般式(A):
【0053】
【化10】
【0054】により表されるピラノシドを構成する糖骨
格であるピラノースには、α−D−グルコース、β−D
−グルコース、α−D−ガラクトース、β−D−ガラク
トース、α−D−マンノース、β−D−マンノース等が
含まれる。これらの糖骨格は、舟形、いす型のいずれの
配置をもとり得る。しかしながら、いす型のもののほう
が、安定性の観点から好ましい。
【0055】上記一般式(A)において、C1炭素に結
合する2−プロペニル基は、α結合であってもβ結合で
あってもよい。一般式(A)において、R1、R2および
3は、互いに独立して、アルキル基又は置換シリル基
を表す。R1、R2およびR3は、互いに同じであっても
異なっていてもよい。しかしながら、これら3つの置換
基は、互いに同じであることが製造上の容易性の観点か
ら好ましい。
【0056】R1、R2およびR3により表されるアルキ
ル基には、非置換又は置換のアルキル基であって、好ま
しくは低級アルキル基、より好ましくは炭素数1〜2の
アルキル基(メチル基、エチル基)が含まれる。アルキ
ル基が置換アルキル基である場合、その置換基として
は、低級アルコキシ基、好ましくは炭素数1〜2のアル
コキシ基(メトキシ基、エトキシ基)、非置換又は置換
のアリール基であって、好ましくは炭素数6のアリール
基(例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基)等
が含まれる。
【0057】本明細書において、置換基の「炭素数」と
は、当該置換基が非置換である場合の炭素原子の数をい
う。従って、例えば、R1により表される基が置換アル
キル基である場合、その炭素数とは、当該アルキル基に
置換する置換基の炭素原子を含まない、アルキル基の骨
格部分の炭素原子の数をいう。置換基がアルキル基以外
の場合についても同様である。
【0058】R1、R2およびR3により表されるアルキ
ル基としては、具体的には、ベンジル基、p−メトキシ
ベンジル基、メトキシメチル基等が含まれる。一般式
(A)において、R1、R2およびR3により表される置
換シリル基の置換基には、低級アルキル基、好ましくは
炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、イソプロピル基、t−ブチル基)、およびアリール
基、好ましくは炭素数6のアリール基(例えば、フェニ
ル基)等が含まれる。
【0059】R1、R2およびR3により表される置換シ
リル基としては、好ましくは3置換のシリル基であり、
より好ましくはt−ブチルジメチルシリル基、トリエチ
ルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が含まれる。
【0060】R1、R2およびR3により表される基は、
一般式(A)により表される化合物をスルホピラノシル
アシルグリセロール誘導体の中間体として用いることを
考慮すると、ベンジル基であるものが、保護基としての
安定性の観点から好ましい。また、R1、R2およびR3
がp−メトキシベンジル基又はt−ブチルジメチルシリ
ル基もしくはトリエチルシリル基であるものは、不飽和
脂肪酸が結合したスルホピラノシルアシルグリセロール
誘導体を合成するためのさらなる反応において脱保護す
る際の反応性の観点から好ましい。
【0061】一般式(A)において、R4は、アルキル
スルホニル基又はアリールスルホニル基を表す。アルキ
ルスルホニル基のアルキル部分としては、非置換又は置
換のアルキル基であって、好ましくは低級アルキル基、
より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、
エチル基)が含まれる。アルキルスルホニル基として
は、具体的には、メタンスルホニル基、エタンスルホニ
ル基等が含まれる。
【0062】アリールスルホニル基のアリール部分とし
ては、非置換又は置換のアリール基であって、好ましく
は炭素数6のアリール基(例えば、フェニル基)が含ま
れる。アリール基が置換アリール基である場合、その置
換基には、p−メチル基、p−メトキシ基等が含まれ
る。アリールスルホニル基には、具体的には、p−トル
エンスルホニル基(トシル基)、p−メトキシベンゼン
スルホニル基、ベンゼンスルホニル基等が含まれる。こ
れらのアリールスルホニル基のうち、トシル基が反応の
安定性の観点から好ましい。
【0063】一般式(B)により表されるピラノシドに
ついて詳細に説明する。
【0064】一般式(B):
【0065】
【化11】
【0066】により表されるピラノシドの糖骨格を構成
するピラノースは、上述した一般式(A)により表され
るピラノシドのそれと同義である。
【0067】上記一般式(B)において、C1炭素に結
合する2−プロペニル基も一般式(A)の場合と同様
に、α結合であってもβ結合であってもよい。一般式
(B)において、R1、R2およびR3も、上述した一般
式(A)のR1、R2およびR3とそれぞれ同義である。
【0068】一般式(B)において、R5は、水素原
子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0069】R5により表されるアルキル基には、非置
換又は置換のアルキル基であって、好ましくは低級アル
キル基、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基(メ
チル基、エチル基)が含まれる。
【0070】R5により表されるアリール基には、非置
換又は置換のアリール基であって、好ましくは炭素数6
のアリール基(例えば、フェニル基)が含まれる。一般
式(B)により表される化合物において、R5により表
される基としては、メチル基が、反応の安定性の観点か
ら好ましい。
【0071】これらの一般式(A)および一般式(B)
で表される化合物をそれぞれ中間体として用いることに
より、本発明の一般式(1)の化合物を効率的に製造す
ることができる。即ち、本発明の一般式(1)の化合物
は、次の(工程A)〜(工程J)を経て製造することが
できる。
【0072】(工程A)本発明の式(1)で表される化
合物の糖部分を提供するD-グルコースのC1炭素に結合
する水酸基を2-プロペニル化する。(工程B)グルコー
スのC6炭素の水酸基を保護する。(工程C)C2、C
3およびC4炭素に結合する水酸基を保護する。(工程
D)先に保護したC6炭素の保護基を脱保護する。(工
程E)C6炭素に結合する水酸基をチオカルボキシル基
に変換し得る基(例えば、アルキルスルホニルオキシ基
又はアリールスルホニルオキシ基)に置換する。(工程
F)C6炭素をチオカルボキシル化する。(工程G)C
1に結合する2-プロペニル基をジオール化する。(工程
H)得られたジオールの少なくとも一方を所望の直鎖高
級脂肪酸によりエステル化する。(工程I)C6炭素の
チオカルボキシル基をスルホン酸塩化する。(工程J)
得られたスルホン酸塩のC2、C3およびC4炭素の保
護基を脱保護することにより、塩の形態にある、一般式
式(1)の化合物を製造することができる。このように
して得られた塩は、塩酸等の酸による滴定に供すること
により、一般式(1)により表される化合物にすること
ができる。
【0073】まず、本発明の一般式(A)により表され
る化合物の製造方法(上記工程A〜E)、および本発明
の一般式(B)により表される化合物の製造方法(上記
工程F)を詳細に説明する。
【0074】本発明の一般式(A)により表されるピラ
ノシドは、対応するピラノースから、次の5工程(工程
A〜E)を経て製造することができる。
【0075】このようにして得られた一般式(A)のピ
ラノシドは、さらに工程Fを経ることにより本発明の一
般式(B)のピラノシドにすることができる。
【0076】
【化12】
【0077】上記工程A〜Eを経て一般式(A)のピラ
ノシドを製造する方法において、まず、工程Aにより、
対応する無置換のピラノース(化合物1)のC1炭素に
結合する水酸基を2−プロペニル化し、化合物2を得
る。
【0078】次いで、工程Bにより、化合物2のC6炭
素の水酸基を保護し、化合物3を得る。次いで、工程C
により、化合物3のC2、C3およびC4炭素に結合す
る水酸基を保護し、化合物4を得る。
【0079】次いで、工程Dにより、化合物4のC6炭
素に結合する保護基を脱保護し、化合物5を得る。最後
に、工程Eにより、化合物5のC6炭素に、酸素原子を
離脱させるための脱離基を結合させることにより、一般
式(A)の化合物(化合物6)が得られる。
【0080】このようにして得られた一般式(A)のピ
ラノシドは、さらに工程Fを経て、一般式(B)のピラ
ノシドにすることができる。
【0081】上記工程A〜Fをさらに詳細に説明する。
工程Aの2−プロペニル化は、対応するピラノースとア
リルアルコールをトリフルオロメタンスルホン酸等の強
酸の存在下に、通常、室温から100℃、好ましくは8
0℃〜90℃の温度で反応させることにより行うことが
できる。
【0082】工程Bにおいては、C6炭素に結合する水
酸基を保護し、C6炭素に−OR6を結合させる(ここ
で、R6は、アルキル基又は置換シリル基を表す。)。
【0083】R6により表されるアルキル基には、かさ
高い非置換又は置換のアルキル基であって、好ましくは
炭素数1〜4のアルキル基(例えば、t−ブチル基、ト
リチル基)が含まれる。R6により表されるアルキル基
は、トリチル基が反応の容易性の観点から好ましい。
【0084】R6により表される置換シリル基の置換基
には、低級アルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアル
キル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、t−ブチル基)、およびアリール基、好ましくは炭
素数6のアリール基(例えば、フェニル基)等が含まれ
る。R6により表される置換シリル基は、好ましくは3
置換のシリル基であり、より好ましくはt−ブチルジフ
ェニルシリル基等が含まれる。
【0085】工程Bにおける水酸基の保護は、乾燥ピリ
ジン等の有機溶媒に溶解した化合物2の溶液に、トリチ
ルクロリド等の水酸基を保護し得る化合物を添加し、ジ
メチルアミノピリジン(DMAP)等の触媒の存在下に
室温で反応させることにより行うことができる。
【0086】水酸基を保護し得る化合物としてトリチル
クロリドを用いると、R6がトリチル基である化合物3
が得られる。トリチルクロリドは、製造コストの観点か
ら好ましく用いることができる。また、水酸基を保護し
得る化合物としてt−ブチルジフェニルシリルクロリド
を用い、イミダゾール等の触媒の存在下に室温で反応さ
せることもできる。この場合、R6がt−ブチルジフェ
ニルシリル基である化合物3が得られる。
【0087】工程Cにおいては、C2、C3およびC4
炭素に結合する水酸基を保護し、それぞれ−OR1、−
OR2および−OR3(ここで、R1〜R3は、一般式
(A)について上述したものとそれぞれ同義である。)
にする。これらの水酸基の保護は、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)等の有機溶媒に溶解した化合物3の、C
2、C3およびC4炭素に結合する水酸基を水素化ナト
リウム等により活性化し、ベンジルブロミド等の水酸基
を保護し得る化合物を室温で反応させることにより行う
ことができる。
【0088】水酸基を保護し得る化合物としてベンジル
ブロミドを用いると、R1、R2およびR3がいずれもベ
ンジル基である化合物4が得られる。ベンジルブロミド
は、保護基の安定性の観点から好ましく用いることがで
きる。また、水酸基を保護し得る化合物としてp−メト
キシベンジルブロミド、t−ブチルジメチルシリルクロ
リド、トリエチルシリルクロリド等を用いることもで
き、R1、R2およびR3のすべてが、それぞれp−メト
キシベンジル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリエ
チルシリル基である化合物4が得られる。これらの水酸
基を保護し得る化合物を用いる場合の反応は、それぞれ
の保護基に適した反応条件により行うことができる。
【0089】工程DにおけるC6炭素に結合する保護基
の脱保護は、メタノール等の有機溶媒に溶解した化合物
4の溶液を、トルエンスルホン酸等の触媒の存在下に室
温で反応させることにより行うことができる。
【0090】工程Eにおいては、化合物5のC6炭素
に、酸素原子を離脱させるための脱離基(−OR4、(こ
こで、一般式(A)において規定したものと同義。))
を結合させる。脱離基(−OR4)は、有機溶媒に溶解
した化合物5の溶液に、酸素原子を離脱し得る化合物を
添加し、反応させることによりC6炭素に導入すること
ができる。
【0091】上記の反応において、有機溶媒としては、
ピリジン、ジクロロメタン等を用いることができる。上
記の反応は、必要に応じて、DMAP等の触媒の存在下
に室温で行うことができる。
【0092】酸素原子を離脱し得る化合物としては、ア
ルキルスルホニル基を有する化合物およびアリールスル
ホニル基を有する化合物等を用いることができる。アル
キルスルホニル基を有する化合物のアルキル基として
は、好ましくは非置換のアルキル基であって、より好ま
しくは低級アルキル基、さらにより好ましくは炭素数1
〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)が含まれる。
アルキルスルホニル基を有する化合物の具体例を挙げる
と、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロ
リド等が含まれる。メタンスルホニルクロリドおよびエ
タンスルホニルクロリドを用いると、R4により表され
る基が、それぞれメタンスルホニル基およびエタンスル
ホニル基である化合物6が得られる。
【0093】酸素原子を離脱し得る化合物として用いる
アリールスルホニル基を有する化合物のアリール基とし
ては、非置換又は置換のアリール基であって、好ましく
は炭素数6(例えば、フェニル基)が含まれる。アリー
ル基が置換したものである場合、その置換基としては、
p−メチル基、p−メトキシ基等が含まれる。アリール
スルホニル基を有する化合物の具体例を挙げると、p−
トルエンスルホニルクロリド、p−メトキシベンゼンス
ルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド等が含
まれる。p−トルエンスルホニルクロリドを用いると、
4により表される基がp−トルエンスルホニル基(ト
シル基)である化合物6が得られる。p−メトキシベン
ゼンスルホニルクロリドを用いると、R4により表され
る基がp−メトキシベンゼンスルホニル基である化合物
6が得られる。
【0094】これらのアルキルスルホニル基又はアリー
ルスルホニル基を有する化合物のうち、トシル基を有す
るものが反応の容易性の観点から好ましい。
【0095】このようにして得られた一般式(A)のピ
ラノシド(化合物6)から、工程Fで示されるように、
化合物6のスルホニルオキシ基(−OR4)をチオカル
ボキシル基(−SC(=O)R5)に置換することによ
り、本発明の一般式(B)のピラノシド(化合物7)を
製造することができる。
【0096】すなわち、工程Fにおいて、有機溶媒中の
一般式(A)のピラノシドに、アルキル又はアリールス
ルホニルオキシ基をチオカルボキシル基に置換すること
のできる化合物(以下、「O−置換基→S−置換基化合
物」ともいう。)を反応させることにより一般式(B)
のピラノシドを製造することができる。
【0097】O−置換基→S−置換基化合物には、チオ
カルボン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩
が含まれる。チオカルボン酸には、チオギ酸、並びに低
級チオカルボン酸、好ましくは炭素数1〜2の脂肪族が
置換したチオカルボン酸(例えば、チオ酢酸、チオプロ
ピオン酸)、および炭素数6の芳香族が置換したチオカ
ルボン酸(例えば、チオ安息香酸)等が含まれる。
【0098】これらのチオカルボン酸と塩を形成するア
ルカリ金属には、カリウム、ナトリウム等が含まれ、ア
ルカリ土類金属には、マグネシウム、カルシウム等が含
まれる。
【0099】上記O−置換基→S−置換基化合物のう
ち、チオ酢酸の塩は、反応の安定性の点で、および本発
明の一般式(B)の化合物をスルホピラノシルアシルグ
リセロール誘導体の中間体として用いることを考慮する
と、スルホピラノシルアシルグリセロール誘導体を製造
するための後の工程においてカルボニル基を離脱しやす
い点から好ましく用いることができる。
【0100】O−置換基→S−置換基化合物の添加量
は、用いる化合物により異なるが、通常、一般式(A)
の化合物に対して当量〜2倍量に設定することができ
る。反応に用いる有機溶媒には、アルコール、好ましく
は低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール)等が含まれる。
【0101】有機溶媒の使用量は、通常、溶解すべき一
般式(A)の化合物が溶解し得る量から、その2〜10
倍量程度に設定することができる。上記反応は、通常、
室温ないし用いる溶媒の沸点において、通常、1〜24
時間撹拌することにより行うことができる。
【0102】なお、出発物質である無置換のピラノース
がα−アノマーおよびβ−アノマーの混合物である場
合、化合物6および化合物7も、α−およびβ−アノマ
ーの混合物となる。これらの混合物は、必要に応じて工
程Aの後にベンジリデン誘導体等にし、それらを結晶化
させることにより、また工程A〜Fのいずれかの後にク
ロマトグラフィーに供すること等により分離することが
できる。
【0103】このようにして製造される本発明の一般式
(B)により表されるピラノシドを、さらに次の4工程
(工程G〜J)の反応に供する方法を用いることによ
り、塩の形態にある本発明の一般式(1)により表され
る化合物を製造することができる。
【0104】
【化13】
【0105】上記工程G〜Jにおいて、まず、工程Gに
より、化合物7(一般式(B)により表される化合物)
のアリル基をジオール化し、化合物8を得る。
【0106】次いで、工程Hにおいて、化合物8のジオ
ールの少なくとも一方をエステル化し、化合物9を得
る。化合物9において、R11は水素原子又はアシル基を
表す。R12は、アシル基を表す。
【0107】次いで、工程Iにおいて、化合物9のチオ
カルボキシル基をスルホン酸塩化し、化合物10を得
る。
【0108】最後に、工程Jにおいて、化合物10のC
2〜C4炭素に結合する保護基を脱保護し、目的とする
スルホピラノシルアシルグリセロール誘導体の塩(化合
物11)が得られる。
【0109】上記工程G〜Jを詳細に説明する。工程G
のジオール化は、t−ブタノールおよび水等の溶媒混液
に溶解した化合物7(本発明の一般式(B)により表さ
れる化合物)の溶液に、四酸化オスミウム等の酸化剤を
添加し、トリメチルアミンN−オキシド等の再酸化剤を
共存させ、室温で反応させることにより行うことができ
る。
【0110】工程Hのエステル化反応により、所望の脂
肪酸がグリセロールとエステル結合したスルホピラノシ
ルアシルグリセロール誘導体を得ることができる。この
反応は、ジクロロメタン等の適当な有機溶媒に溶解した
化合物8の溶液に、最終生成物に対応する脂肪酸を添加
し、必要に応じて、エチルジメチルアミノプロピルカル
ボジイミド(EDCI)−DMAP系等の適当な触媒の
存在下に反応させることにより行うことができる。
【0111】工程Hの反応により、化合物9において、
11が水素原子であり、R12が添加した脂肪酸のアシル
残基であるモノエステルと、R11およびR12が共に、添
加した脂肪酸のアシル残基であるジエステルの混合物が
得られる。
【0112】添加すべき脂肪酸としては、直鎖状又は分
岐状の、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができ
る。飽和脂肪酸としては、上述した一般式(1)のR
101により表されるアシル基を有する脂肪酸等を用いる
ことができる。脂肪酸は、1種添加することもそれ以上
添加することもできる。脂肪酸を2種以上添加した場
合、R11が水素原子であり、R12が添加した脂肪酸のい
ずれか1のアシル残基であるモノエステルと、R11およ
びR12が共に添加した脂肪酸のいずれか1のアシル残基
であるジエステルのとの混合物が得られる。
【0113】これらのモノエステルとジエステルの混合
物は、必要に応じてクロマトグラフィー等により各々の
エステルに単離し、次の工程Iの反応に供することがで
きる。
【0114】また、モノエステルについては、所望によ
り、上記工程Hで得られたR12のアシル残基以外のアシ
ル残基を有する脂肪酸を反応させることにより、R11
12が、異なるアシル残基であるジエステルを得ること
もできる。この更なるエステル化の反応条件は、脂肪酸
が異なること以外は、工程Hのものと同じ条件に設定す
ることができる。
【0115】工程Iのスルホン酸塩化は、氷酢酸および
酢酸カリウムを用いて緩衝した有機溶媒中の化合物9の
溶液に、OXONE(2KHSO5、KHSO4、K2
4)、等の酸化剤を添加し、室温で反応させることに
より行うことができる。
【0116】工程JのC2〜C4炭素に結合する保護基
の脱保護は、エタノール等の有機溶媒に溶解した化合物
10の溶液を、パラジウム−活性炭(Pd−C)等の触
媒の存在下に水素ガス雰囲気下に室温で反応させること
により行うことができる。
【0117】本発明の一般式(A)において、特に、R
1〜R3により表される基が置換シリル基であり、R4
より表される基がアルキルスルホニル基又はアリールス
ルホニル基である化合物は、次の3工程(工程K〜M)
を経て製造することもできる。
【0118】
【化14】
【0119】上記工程K〜Mを詳細に説明する。工程K
は、上述した工程Aと同じものである。工程Lにおい
て、化合物13のC6炭素に、酸素原子を離脱させるた
めの脱離基(R4)を結合させる。R4はアルキルスルホ
ニル基又はアリールスルホニル基を表す。R4は好まし
くはアリールスルホニル基である。
【0120】工程Lは、上述した工程Eと同じ条件下に
行うことができる。工程Mにおいて、化合物14のC2
〜C4炭素に、置換シリル基を導入する。置換シリル基
としては、好ましくは3置換シリル基であり、より好ま
しくはt−ブチルジメチルシリル、トリメチルシリル、
トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル等がある。
生成物(化合物15)の安定性の点から、t−ブチルジ
メチルシリルが好ましい。
【0121】この反応は、乾燥ジクロロメタン等の有機
溶媒に溶解した化合物14の溶液に、t−ブチルジメチ
ルシリルトリフルオロメタンスルホネート等の水酸基を
保護し得る化合物を添加し、2,6−ルチジン等の触媒
の存在下に室温で行うことができる。
【0122】このようにして工程Mにより得られた一般
式(A)により表される化合物から、上述した工程Fを
経て、対応の一般式(B)により表される化合物を製造
することができる。
【0123】また、このようにして工程Fにより得られ
た一般式(B)により表される化合物から、上述した工
程G〜Jを経て、対応のスルホピラノシルアシルグリセ
ロール誘導体の塩を製造することができる。
【0124】さらに、工程Jで得られたスルホン酸塩
を、塩酸等の酸による滴定に供することによりスルホピ
ラノシルアシルグリセロール誘導体を製造することがで
きる。
【0125】上述したスルホピラノシルアシルグリセロ
ール誘導体のうち、スルホキノボシルアシルグリセロー
ル誘導体のβ−アノマー(一般式(2)により表される
化合物)は、新規な化合物である。
【0126】このスルホキノボシルアシルグリセロール
β誘導体は、上記一般式(1)の化合物と同様にして製
造することができる。但し、上述した一般式(1)の化
合物の製造方法において、出発物質としてD-グルコース
のα−およびβ−アノマーの混合物を用い、生成するα
体とβ体の混合物からβ体を分離する工程を追加する。
分離工程は、一般式(1)の化合物の製造方法の適切な
時期に施すことができ、一例を挙げると、工程D又は工
程Fの後に行うことができる。分離方法は、それ自体は
既知の、例えば、適当な溶媒を用いるシリカゲルクロマ
トグラフィーにより行うことができる。
【0127】また、一般式(2)により表されるスルホ
キノボシルアシルグリセロールβ誘導体は次のような方
法によっても製造することができる。すなわち、糖の全
ての炭素に結合する水酸基をアセチル化し、引き続きC
1炭素をハロゲン化する。この糖ハロゲン化物とアリル
アルコールを反応させることにより、アリルアルコール
は選択的にβ結合する。得られたβ体生成物を脱アセチ
ル化することにより、1−O−(2−プロペニル)−β
−D−グルコースが得られる。これらの一連の反応は、
既知の反応である。本発明の一般式(2)により表され
るβ誘導体は、上記反応の生成物である1−O−(2−
プロペニル)−β−D−グルコースを、上述した工程B
〜工程Jに供することにより製造することもできる。
【0128】
【実施例】以下、本発明を例を挙げて説明する。しかし
ながら、本発明は、これらの例に限定されるものではな
い。
【0129】本発明の一般式(1)で表される化合物に
つての生理学的アッセイ <アッセイ1>DNA合成酵素α型に対する阻害効果検定
を次の方法により行った。
【0130】ウシ胸腺から抗体カラムによって単一に精
製されたDNA合成酵素α型0.05Uおよび被験化合物(DMSO
に溶解した、上記表1に示す化合物SQAG1、SQAG2、SQA
G4、SQAG6、SQAG8、SQAG11、SQAG12、SQAG13およびSQAG
14)をそれぞれ混合し、更に酵素反応に必要な無機塩類
緩衝液、[3H]ラベルされたdTTP、鋳型DNA鎖を含む反
応用コンパウンドを加え、37℃で60分間インキュベート
した。
【0131】酵素反応を止めた後、反応後生成物を専用
フィルターに定着させ、液体シンチレーションカウンタ
ーにより測定した。酵素合成されたdTTP量を、[3H]放
射線量(cpm)として結果を算出した。
【0132】得られた結果をIC50として次の表2に示
す。
【0133】
【表2】
【0134】上記表2から明らかなように、試験した化
合物はいずれもDNA合成酵素α型に対する有意な阻害活
性を有している。
【0135】次の2つのアッセイにおいて用いた大腸癌
および胃癌細胞は、本発明の制癌剤が効果を奏すること
のできる癌細胞の一例である。即ち、これらのアッセイ
は、本発明の制癌剤が効果を奏し得る癌細胞を限定する
ことを意図するものではない。
【0136】<アッセイ2>大腸癌培養細胞に対する制
癌テストを次の方法で行った。
【0137】大腸癌細胞DLD-1を、RPMI1640培地(10%子
ウシ血清含有)で維持、継代した。被験化合物(上記表
1に示す化合物SQAG1、SQAG2、SQAG4、SQAG6、SQAG
8、SQAG11、SQAG12、SQAG13およびSQAG14)をそれぞれ
培地に懸濁、希釈し、3×10個/ウエルの細胞と共
に、96穴シャーレで培養した。48時間培養後、MTTアッ
セイ(Mosmann, T: Journal of immunological method,
65, 55-63(1983))を行い、生存率を比較した。
【0138】得られた結果をIC50として次の表3に示
す。
【0139】
【表3】
【0140】上記表3から明らかなように、試験した化
合物は、何れも有意な大腸癌細胞に対する制癌活性を有
する。
【0141】試験した化合物は、各々単独で、従来の技
術の欄で述べた佐原ら(British Journal of Cancer, 7
5(3), 324-332(1997))が開示するスルホキノボシルアシ
ルグリセロール誘導体の混合物と同レベル又はそれ以上
の制癌活性を有するとみられる。
【0142】<アッセイ3>胃癌培養細胞に対する制癌
テストを、大腸癌細胞DLD-1の代わりに胃癌細胞NUGC-3
を用いた以外はアッセイ1と同じ方法で行った。
【0143】得られた結果をIC50として次の表4に示
す。
【0144】
【表4】
【0145】上記表4から明らかなように、試験した化
合物は、何れも有意な胃癌細胞に対する制癌活性を有す
る。
【0146】試験した化合物は、各々単独で、従来の技
術の欄で述べた佐原ら(British Journal of Cancer, 7
5(3), 324-332(1997))が開示するスルホキノボシルアシ
ルグリセロール誘導体混合物と同レベル又はそれ以上の
制癌活性を有するとみられる。
【0147】合成例 本発明の一般式(A)、一般式(B)、一般式(1)お
よび一般式(2)により表される化合物の製造例を次に
示す。
【0148】次の反応スキーム1は、一般式(A)、一
般式(B)および一般式(1)により表される化合物の
製造方法の例である。
【0149】
【化15】
【0150】上記スキーム1では、工程dの後にシリカ
ゲルフラッシュクロマトグラフィーにより分離したα−
アノマーのみについての合成経路を示しているが、β−
アノマーについても同様の反応によりスルホピラノシル
アシルグリセロール誘導体を合成することができる。ま
た、工程hの後に得られるモノエステルとジエステルの
混合物は、クロマトグラフィーにより分離し、各々のエ
ステルを工程iに供することができる。
【0151】次のスキーム2は、R1〜R3が置換シリル
基である一般式(A)および(B)の化合物並びに対応
のスルホピラノシルアシルグリセロール誘導体の合成に
好適な反応スキームである。このスキーム2の反応にお
いて、工程b’およびc’を経ることにより、上記反応
スキーム1の工程dの後に行った分離工程を経ることな
くα−アノマーのみを選択的に合成することができる。
【0152】
【化16】
【0153】<例1:一般式(A)により表される化合
物の合成(1)>D-グルコースから2,3,4-トリ-O-ベン
ジル-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)
-α-D-グルコース(VI)を合成した。
【0154】1−1)工程a;1-O-(2-プロペニル)-D-グ
ルコース(II)の合成
【0155】
【化17】
【0156】D-グルコース(I)100gをアリルアルコール
250mLに加え十分に溶解し、その溶液に氷冷下にてトリ
フルオロメタンスルホン酸0.8mLを徐々に添加した。そ
の後、油浴下80℃で撹拌しながら30時間反応させた。反
応が十分進行した段階でトリエチルアミン1mLで中和し
た後、減圧濃縮した。薄層クロマトグラフィーで約60〜
70%の生成率を確認した。
【0157】1−2)工程b;1-O-(2-プロペニル)-6-O-
トリフェニルメチル-D-グルコース(III)の合成
【0158】
【化18】
【0159】1-O-(2-プロペニル)-D-グルコース(II)100
g(455mmol)を乾燥ピリジン350mLに溶解し、その溶液に
トリチルクロリド170g(610mmol)、DMAP1.0g(8.20mmol)
を添加し、撹拌しながら室温で36時間反応した。その
後、冷蒸留水800mLを加えて反応を停止し、酢酸エチル
で抽出(500mL×3回)し、有機層を合わせて希塩酸でpH4
まで中和し、飽和食塩水で洗浄(500mL×2回)後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフ
ラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノ
ール=20:1)で精製した。薄層クロマトグラフィーで約
80%の生成率を確認した。
【0160】1−3)工程c;2,3,4-トリ-O-ベンジル-1
-O-(2-プロペニル)-6-O-トリフェニルメチル-D-グルコ
ース(IV)の合成
【0161】
【化19】
【0162】ミネラルオイル中に拡散されている80%水
素化ナトリウム2.0g(83.3mmol)を反応器に取り、乾燥ヘ
キサン50mLでよく洗浄した後ヘキサンを取り除き、乾燥
DMFに溶解した1-O-(2-プロペニル)-6-O-トリフェニルメ
チル-D-グルコース(III)10.0g(21.6mmol)を氷冷下にて
徐々に添加し、15分後室温に戻し、撹拌しながら1時間
反応した。
【0163】次に再び氷冷下にてベンジルブロミド12.0
g(70.2mmol)を徐々に添加し、15分後室温に戻し、撹拌
しながら3時間反応した。その後、メタノール20mL、冷
蒸留水30mLを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(5
0mL×3回)し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄(100
mL×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃
縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキ
サン:酢酸エチル=10:1)で精製した(収量9.6g(13.8mm
ol)、収率63.9%)。
【0164】1−4)工程d;2,3,4-トリ-O-ベンジル-1
-O-(2-プロペニル)-α-D-グルコース(V)の合成
【0165】
【化20】
【0166】2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニ
ル)-6-O-トリフェニルメチル-D-グルコース(IV)9.6g(1
3.8mmol)をメタノール100mLに溶解し、p-トルエンスル
ホン酸一水和物3.8g(20.0mmol)を添加し、撹拌しながら
16時間反応した。その後、冷蒸留水100mLを加えて反応
を停止し、酢酸エチルで抽出(200mL×3回)し、有機層
を合わせて飽和食塩水で洗浄(300mL×2回)後、無水硫酸
ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフラ
ッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1
1:2→4:1→2:1)でα体とβ体を分離精製した(α体の
収量2.70g(5.50mmol)、収率39.8%、β体の収量1.52g
(3.10mmol)、収率22.5%)。
【0167】1−5)工程e;2,3,4-トリ-O-ベンジル-1
-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
グルコース(VI)の合成
【0168】
【化21】
【0169】2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニ
ル)-α-D-グルコース(V)10.0g(20.4mmol)を乾燥ピリジ
ン200mLに溶解し、DMAP134mg(1.10mmol)、p-トルエンス
ルホニルクロリド9.2g(48.3mmol)を添加し、撹拌しなが
ら室温で16時間反応した。その後、冷蒸留水300mLを加
えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(200mL×3回)
し、有機層を合わせて希塩酸でpH4まで中和し、飽和食
塩水で洗浄(300mL×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾
燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマト
グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製した
(収量12.0g(18.6mmol)、収率91.2%)。融点77〜79
℃、[α]D=+51.8°(CHCl3)。
【0170】
【表5】
【0171】図1および図2にNMRチャートを示す。
図1は、1H NMR(300MHz、CDCl3)のチ
ャートである。内部標準物質として、テトラメチルシラ
ンを用いた。図2は、13C NMR(300MHz、C
DCl3)のチャートである。
【0172】<例2:一般式(A)により表される化合
物の合成(2)>D−グルコース(I')から、次の工程
a’〜e’により、2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチル
シリル)-1-O(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホ
ニル)-α-D-グルコース(VI')を合成した。
【0173】2−1)工程a';1-O-(2-プロペニル)-D-
グルコース(II')の合成
【0174】
【化22】
【0175】D-グルコース(I')100gをアリルアルコー
ル250mLに加え十分に溶解し、その溶液に氷冷下にてト
リフルオロメタンスルホン酸0.8mLを徐々に添加した。
その後、油浴下80℃で撹拌しながら30時間反応させた。
反応が十分進行した段階でトリエチルアミン1mLで中和
した後、減圧濃縮した。薄層クロマトグラフィーで約60
〜70%の生成率を確認した。
【0176】2−2)工程b';1-O-(2-プロペニル)-4,6
-O-ベンジリデン-α-D-グルコース(III')の合成
【0177】
【化23】
【0178】1-O-(2-プロペニル)-D-グルコース(II')3
7.5gをベンズアルデヒド210mLに加え十分に溶解し、そ
の溶液に塩化亜鉛98gを添加し、室温にて4時間反応させ
た。その後、反応液をヘキサン500mLに加え、さらに希
炭酸水素ナトリウム溶液100mLを添加し、0℃、30分間放
置し、結晶化させた。結晶を吸引濾過後、エタノール50
mLに溶解し、0℃、30分間放置し、再結晶化させた(収量
21g(68.1mmol)、収率40.0%)。
【0179】2−3)工程c';1-O-(2-プロペニル)-α
-D-グルコース(IV')の合成
【0180】
【化24】
【0181】1-O-(2-プロペニル)-4,6-O-ベンジリデン-
α-D-グルコース(III')10.7g(34.7mmol)を酢酸:水=
8:5の溶液260mLに溶解し、100℃、1時間反応後、減圧
濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジ
クロロメタン:メタノール=6:1)で精製した(収量6.3g
(28.6mmol)、収率82.4%)。
【0182】2−4)工程d';1-O-(2-プロペニル)-6-O
-(4-トリルスルホニル)-α-D-グルコース(V')の合成
【0183】
【化25】
【0184】1-O-(2-プロペニル)-α-D-グルコース(I
V')6.3g(28.6mmol)を乾燥ピリジン200mLに溶解し、DMAP
195mg、p-トルエンスルホニルクロリド7.0gを添加し、
撹拌しながら室温で16時間反応した。その後、冷蒸留水
20mLを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(200mL×
3回)し、有機層を合わせて1.0Nおよび0.1N塩酸でpH4
まで中和し、飽和食塩水で洗浄(200mL×2回)後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフ
ラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノ
ール=20:1)で精製した(収量8.6g(24.0mmol)、収率83.
8%)。
【0185】2−5)工程e';2,3,4-トリ-O-(t-ブチ
ルジメチルシリル)-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリル
スルホニル)-α-D-グルコース(VI')の合成
【0186】
【化26】
【0187】1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホ
ニル)-α-D-グルコース(V')11.2g(29.9mmol)を乾燥ジク
ロロメタン25mLに溶解し、t-ブチルジメチルシリルトリ
フルオロメタンスルホネート23.8g、2,6-ルチジン14.4g
を添加し、窒素気流下で撹拌しながら16時間反応した。
その後、ジクロロメタン150mLを加えて反応を停止し、
飽和食塩水で洗浄(100mL×2回)後、無水硫酸ナトリウム
で乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロ
マトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製
し、無色透明の油状物質を得た(収量19.6g(27.4mmol)、
収率91.6%)。[α]D=+39.0°(CHCl3)。
【0188】
【表6】
【0189】図3および図4にNMRチャートを示す。
図3は、1H NMR(300MHz、CDCl3)のチ
ャートである。内部標準物質としてテトラメチルシラン
を用いた。図4は、13C NMR(300MHz、CD
Cl3)のチャートである。
【0190】<例3:一般式(A)により表される化合
物の合成(3)>上記例1の反応において出発物質とし
て用いたD-グルコースの代わりに、D-マンノースを用い
たこと以外は例1と同様に工程a〜eの反応を行い、2,
3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-ト
リルスルホニル)-α-D-マンノース(VI")を無色透明の
油状物質として得た。[α]D=+34.1°(CHC
3)。
【0191】
【表7】
【0192】図5および図6にNMRチャートを示す。
図5は、1H NMR(300MHz、CDCl3)のチ
ャートである。内部標準物質としてテトラメチルシラン
を用いた。図6は、13C NMR(300MHz、CD
Cl3)のチャートである。
【0193】<例4:一般式(B)により表される化合
物の合成(1)>上記例1で得られた2,3,4-トリ-O-ベ
ンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニ
ル)-α-D-グルコース(VI)から、工程fにより2,3,4-ト
リ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-デオキシ-6-チオ
アセチル-α-D-グルコース(VII)を合成した。
【0194】
【化27】
【0195】2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニ
ル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-グルコース(VI)
11.4g(18.6mmol)を乾燥エタノール250mLに溶解し、チオ
酢酸カリウム5.6g(49.0mmol)を添加し、還流条件下で撹
拌しながら3時間反応した。その後、冷蒸留水300mLを加
えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(200mL×3回)
し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄(300mL×2回)
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シ
リカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢
酸エチル=10:1)で精製した(収量9.00g(16.4mmol)、収
率88.2%)。融点:61〜62.5℃、[α]D=+5
1.8°(CHCl3)。
【0196】
【表8】
【0197】図7および図8にNMRチャートを示す。
図7は、1H NMR(300MHz、CDCl3)のチ
ャートである。内部標準物質としてテトラメチルシラン
を用いた。図8は、13C NMR(300MHz、CD
Cl3)のチャートである。
【0198】<例5:一般式(B)により表される化合
物の合成(2)>上記例2で得られた2,3,4-トリ-O-(t
-ブチルジメチルシリル)-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-
トリルスルホニル)-α-D-グルコース(VI')から、工程f'
により、2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-1-O-
(2-プロペニル)-6-デオキシ-6-チオアセチル-α-D-グル
コース(VII')を合成した。
【0199】
【化28】
【0200】2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)
-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
グルコース(VI')7.9g(11.0mmol)を乾燥エタノール20mL
に溶解し、チオ酢酸カリウム1.8gを添加し、還流条件下
で撹拌しながら3時間反応した。その後、冷蒸留水100mL
を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(200mL×3
回)し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄(200mL×2
回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮
し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサ
ン:酢酸エチル=50:1)で精製し、無色透明の油状物質
として得た(収量5.6g(9.02mmol)、収率82.0%)、[α]
D=+60.9°(CHCl3)。
【0201】
【表9】
【0202】図9および図10にNMRのチャートを示
す。図9は、1H NMR(300MHz、CDCl3
のチャートである。内部標準物質としてテトラメチルシ
ランを用いた。図10は、13C NMR(300MH
z、CDCl3)のチャートである。
【0203】<例6:一般式(B)により表される化合
物の合成(3)>上記例3で得られた2,3,4-トリ-O-ベ
ンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニ
ル)-α-D-マンノース(VI'')から、例4の工程fと同様
にして、2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-1-O-(2-プ
ロペニル)-6-チオアセチル-α-D-マンノース(VII")を合
成し、淡黄色透明の油状物質として得た。[α]D=+
32.1°(CHCl3)。
【0204】
【表10】
【0205】図11および図12にNMRチャートを示
す。図11は、1H NMR(300MHz、CDC
3)のチャートである。内部標準物質としてテトラメ
チルシランを用いた。図12は、13C NMR(300
MHz、CDCl3)のチャートである。
【0206】<例7:スルホキノボシルアシルグリセロ
ール誘導体の合成(1)>上記例4で得られた2,3,4-ト
リ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-デオキシ-6-チオ
アセチル-α-D-グルコース(VII)から、工程g〜jによ
りスルホキノボシルアシルグリセロール誘導体を合成し
た。
【0207】7−1)工程g;3-O-(2,3,4-トリ-O-ベン
ジル-6-デオキシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシ
ル)-グリセロール(VIII)の合成
【0208】
【化29】
【0209】2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-1-O-
(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-D-グルコース(VII)
8.30g(15.1mmol)をt-ブタノール:H2O=4:1溶液に溶解
し、トリメチルアミンN−オキシド二水和物2.5g(22.5m
mol)、四酸化オスミウム-t-ブタノール溶液(0.04M)20mL
を添加し、撹拌しながら室温で30時間反応した。その
後、活性炭15gを加え、撹拌しながら室温で1.5時間放置
し、四酸化オスミウムを吸着させた後、吸引濾過した。
次に冷蒸留水250mLを加えて反応を停止し、酢酸エチル
で抽出(200mL×3回)し、有機層を合わせて飽和食塩水で
洗浄(300mL×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾
過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフ
ィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製した(収量5.0
0g(8.59mmol)、収率56.9%)。
【0210】7−2)工程h;3-O-(2,3,4-トリ-O-ベン
ジル-6-デオキシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシ
ル)-1,2-ジ-O-パルミトイルグリセロール(IX-1)および3
-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-チオアセチ
ル-α-D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグリセロ
ール(IX-2)の合成
【0211】
【化30】
【0212】(IX-1;R11=R12=パルミテート:IX-2;R11=H,
R12=パルミテート) 3-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-チオアセチ
ル-α-D-グルコピラノシル)-グリセロール(VIII)20.3mg
(34.3μmol)をジクロロメタン5mLに溶解し、EDCI 19.4
mg(101μmol)、DMAP5.70mg(46.7μmol)、パルミチン酸1
4.1mg(54.9μmol)を添加し、撹拌しながら室温にて16時
間反応した。その後、ジクロロメタン20mLを加え反応を
停止し、飽和食塩水で洗浄(20mL×2回)し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッ
シュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:1
→3:1)でジエステルおよびモノエステルを分離精製し
た(収量ジエステル14.7mg(13.9μmol);モノエステル9.
10mg(11.1μmol)、収率(双方合わせて)72.9%)。
【0213】7−3−1)工程i-1;3-O-(2,3,4-トリ-O
-ベンジル-6-デオキシ-6-スルホ-α-D-グルコピラノシ
ル)-1,2-ジ-O-パルミトイルグリセロール・ナトリウム
塩(X-1)の合成
【0214】
【化31】
【0215】(R11=R12=パルミテート) 3-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-チオアセチ
ル-α-D-グルコピラノシル)-1,2-ジ-O-パルミトイルグ
リセロール(IX-1)133mg(125μmol)を氷酢酸7mLに溶解
し、酢酸カリウム814mg、OXONE228mgを添加し、撹拌し
ながら室温にて16時間反応した。その後、冷蒸留水20mL
を加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出(20mL×5回)
し、有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中
和(70mL×5回)後、飽和食塩水で洗浄(60mL×2回)後、
無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカ
ゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:
メタノール=10:1)で精製した(収量57.9mg(13.9μmo
l)、収率43.4%)。
【0216】7−3−2)工程i-2;3-O-(2,3,4-トリ-O
-ベンジル-6-デオキシ-6-スルホ-α-D-グルコピラノシ
ル)-1-O-パルミトイルグリセロール・ナトリウム塩(X-
2)の合成
【0217】
【化32】
【0218】(R11=H,R12=パルミテート) 3-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-チオアセチ
ル-α-D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグリセロ
ール(IX-2)52.1mg(63.5μmol)を氷酢酸2mLに溶解し、酢
酸カリウム102mg、OXONE116mgを添加し、撹拌しながら
室温にて16時間反応した。その後、冷蒸留水15mLを加え
て反応を停止し、酢酸エチルで抽出(20mL×5回)し、有
機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム溶液で中和(70m
L×5回)後、飽和食塩水で洗浄(60mL×2回)後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフ
ラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノ
ール=10:1)で精製した(収量35.1mg(42.4μmol)、収率
66.8%)。
【0219】7−4−1)工程j-1;3-O-(6-デオキシ-
6-スルホ-α-D-グルコピラノシル)-1,2-ジ-O-パルミト
イルグリセロール・ナトリウム塩(XI-1)の合成
【0220】
【化33】
【0221】(R11=R12=パルミテート) 3-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-スルホ-α-
D-グルコピラノシル)-1,2-ジ-O-パルミトイルグリセロ
ール・ナトリウム塩(X-1)359mg(330μmol)をエタノール
50mLに溶解し、Pd-C 1.30gを添加し、フラスコ内をH2
置換し、撹拌しながら室温で16時間反応した。その後、
吸引濾過し、減圧濃縮後、シリカゲルフラッシュクロマ
トグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1→ジ
クロロメタン:メタノール:水=65:25:4)で精製した
(収量129mg(168μmol)、収率50.9%)。
【0222】7−4−2)工程j-2;3-O-(6-デオキシ-6
-スルホ-α-D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグ
リセロール・ナトリウム塩(XI-2)の合成
【0223】
【化34】
【0224】(R11=H,R12=パルミテート) 3-O-(2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デオキシ-6-スルホ-α-
D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグリセロール・
ナトリウム塩(X-2)202mg(238μmol)をエタノール25mLに
溶解し、Pd-C 1.00gを添加し、フラスコ内をH2で置換
し、撹拌しながら室温で16時間反応した。その後、吸引
濾過し、減圧濃縮後、シリカゲルフラッシュクロマトグ
ラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1→ジクロ
ロメタン:メタノール:水=65:25:4)で精製した(収
量57.2mg(168μmol)、収率43.3%)。
【0225】<例8:スルホキノボシルアシルグリセロ
ール誘導体の合成(2)>上記例5で得られた2,3,4-ト
リ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオキシ-1-O-(2-プ
ロペニル)-6-チオアセチル-α-D-グルコース(VII')か
ら、工程g'〜j'によりスルホキシノボシルアシルグリ
セロール誘導体を合成した。
【0226】8−1)工程g';3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-
ブチルジメチルシリル)-6-デオキシ-6-チオアセチル-α
-D-グルコピラノシル]-グリセロール(VIII')の合成
【0227】
【化35】
【0228】2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-
6-デオキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-D-
グルコース(VII')5.6g(9.02mmol)をt-ブタノール:水=
4:1溶液に溶解し、トリメチルアミンN−オキシド二水
和物1.5g、四酸化オスミウムt-ブタノール溶液(0.04M)1
5mLを添加し、撹拌しながら室温で22時間反応した。そ
の後活性炭15gを加え、撹拌しながら室温で1.5時間放置
し、四酸化オスミウムを吸着させた後、吸引濾過した。
次に冷蒸留水200mLを加えて反応を停止し、酢酸エチル
で抽出(200mL×3回)し、有機層を合わせて飽和食塩水で
洗浄(300mL×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾
過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフ
ィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1→2:1)で精製した
(収量5.2g(7.94mmol)、収率88.0%)。
【0229】8−2)工程h';3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-
ブチルジメチルシリル)-6-デオキシ-6-チオアセチル-α
-D-グルコピラノシル]-1,2-ジ-O-オレオイル-グリセロ
ール(IX'-1)および3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチ
ルシリル)-6-デオキシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピ
ラノシル]-1-O-オレオイル-グリセロール(IX'-2)の合成
【0230】
【化36】
【0231】(IX'-1;R11=R12=オレオエート:IX'-2;R11=
H,R12=オレオエート) 3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオ
キシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシル]-グリセ
ロール(VIII')1.37g(2.09mmol)を乾燥ジクロロメタン20
mLに溶解し、EDCI 1.46g、DMAP538mg、オレイン酸660mg
を添加し、撹拌しながら室温にて16時間反応した。その
後ジクロロメタン200mLを加え反応を停止し、飽和食塩
水で洗浄(100mL×2回)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、
濾過、減圧濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラ
フィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→10:1→7:1)
で精製した(収量ジエステル772mg(652μmol);モノエス
テル895mg(974μmol)、収率(双方合わせて)78.0%)。
【0232】8−3−1)工程i'-1;3-O-[2,3,4-トリ-
O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオキシ-6-スルホ-α-
D-グルコピラノシル]-1,2-ジ-O-オレオイル-グリセロー
ルナトリウム塩(X'-1)の合成
【0233】
【化37】
【0234】(R11=R12=オレオエート) 3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオ
キシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシル]-1,2-ジ-
O-オレオイル-グリセロール(IX'-1)566mg(478μmol)を
氷酢酸28mLに溶解し、酢酸カリウム3.2g、OXONE980mgを
添加し、撹拌しながら室温にて6時間反応した。その後
冷蒸留水15mLを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽出
(20mL×5回)し、有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリ
ウム溶液で中和(70mL×5回)後、飽和食塩水で洗浄(60mL
×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮
し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロ
ロメタン:メタノール=50:1→10:1)で精製した(収量
152mg(126μmol)、収率26.4%)。
【0235】8−3−2)工程i'-2;3-O-[2,3,4-トリ-
O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオキシ-6-スルホ-α-
D-グルコピラノシル]-1-O-オレオイル-グリセロール・
ナトリウム塩(X'-2)の合成
【0236】
【化38】
【0237】(R11=H,R12=オレオエート) 3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオ
キシ-6-チオアセチル-α-D-グルコピラノシル]-1-O-オ
レオイル-グリセロール(IX'-2)21.4mg(23.2μmol)を氷
酢酸3.5mLに溶解し、酢酸カリウム500mg、OXONE35.4mg
を添加し、撹拌しながら室温にて6時間反応した。その
後冷蒸留水15mLを加えて反応を停止し、酢酸エチルで抽
出(20mL×5回)し、有機層を合わせて飽和炭酸水素ナト
リウム溶液で中和(70mL×5回)後、飽和食塩水で洗浄(60
mL×2回)後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃
縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジク
ロロメタン:メタノール=50:1→20:1)で精製した
(収量7.70mg(8.13μmol)、収率34.9%)。
【0238】8−4−1)工程j'-1;3-O-(6-デオキシ-
6-スルホ-α-D-グルコピラノシル)-1,2-ジ-O-オレオイ
ル-グリセロール・ナトリウム塩(XI'-1)の合成
【0239】
【化39】
【0240】(R11=R12 =オレオエート) 3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオ
キシ-6-スルホ-α-D-グルコピラノシル]-1,2-ジ-O-オレ
オイル-グリセロールナトリウム塩(X'-1)214mg(176μmo
l)を酢酸:テトラヒドロフラン:トリフルオロ酢酸:水
=3:1:0.4:1の溶液5mLに溶解し、撹拌しながら室温
で16時間反応した。酢酸エチルで抽出(10mL×3回)し、
有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄(20mL×2回)、無水
硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮後、シリカゲル
フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタ
ノール=10:1→ジクロロメタン:メタノール:水=6
5:25:4)で精製した(収量84.1mg(99.1μmol)、収率56.
3%)。
【0241】8−4−2)工程j'-2;3-O-(6-デオキシ-
6-スルホ-α-D-グルコピラノシル)-1-O-オレオイル-グ
リセロール・ナトリウム塩(XI'-2)の合成
【0242】
【化40】
【0243】(R11=H,R12 =オレオエート) 3-O-[2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジメチルシリル)-6-デオ
キシ-6-スルホ-α-D-グルコピラノシル]-1-O-オレオイ
ル-グリセロール・ナトリウム塩(X'-2)358mg(378μmo
l)を酢酸:テトラヒドロフラン:トリフルオロ酢酸:
水=3:1:0.4:1の溶液7mLに溶解し、撹拌しながら室
温で16時間反応した。酢酸エチルで抽出(10mL×3回)
し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄(20mL×2回)、
無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮後、シリカ
ゲルフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン:
メタノール=10:1→ジクロロメタン:メタノール:水
=65:25:4)で精製した(収量138mg(237μmol)、収率6
2.7%)。
【0244】<例9:一般式(2)により表される化合
物の合成>3-O-(6-デオキシ-6-スルホ-β-D-グルコピラ
ノシル)-1-O-パルミトイルグリセロール・ナトリウム塩
を次のようにして合成した。
【0245】即ち、上記例1の工程dの後に分離した2,
3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリ
ルスルホニル)-β-D-グルコースを用いて、上記例4の
工程fおよび例7の工程g、h、i−2およびj−2と
同様の方法により、表題の化合物を白色結晶として得た
(収量1.52g(3.10mmol)、収率22.5%)。
【0246】融点80〜82℃、[α]D=+0.4°
(CHCl3)。
【0247】図13および図14にNMRチャートを示
す。
【0248】図13は、1H NMR(300MHz、
CDCl3)のチャートである。内部標準物質として、
テトラメチルシランを用いた。
【0249】図14は、13C NMR(300MHz、
CDCl3)のチャートである。
【0250】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一般式
(1)により表されるスルホキノボシルアシルグリセロ
ール誘導体は有意な制癌活性を有している。このような
スルホキノボシルアシルグリセロール誘導体およびその
薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なく
とも1種を有効成分として含有する本発明の制癌剤は、
医薬品としての利用が大いに期待されるものである。
【0251】また、本発明によれば、新規なスルホキノ
ボシルアシルグリセロールβ誘導体も提供される。
【0252】本発明の抗癌剤において有効成分として用
いる一般式(1)により表されるスルホキノボシルアシ
ルグリセロール誘導体は、DNA合成酵素α型に対する阻
害作用を有している(上記アッセイ1)。DNA合成酵素
には、このα型の他にβ型、γ型、δ型およびε型のも
のがあることが知られている。これらのDNA合成酵素の
うち、δ型およびε型は、α型のものと生化学的類型に
あると考えられている。ここで、生化学的類型とは、次
のような酵素機能としての共通性を有することを指す。
特定の化合物に対する感受性の有無…例えばこれら3
種のDNA合成酵素は共に、N-エチルマレイミドおよびブ
チルフェニル-dGTPに対する感受性を持つが、ジデオキ
シTTP(ddTTP)に対する感受性を持たない。忠実度(fid
elity)…鋳型DNAに対するDNA合成の高い正確さを持つ。
反応の場…これら3種のDNA合成酵素は共に細胞分裂
と連動するDNA複製に直接的に関与している。
【0253】DNA合成酵素α型(δ型およびε型も生化
学的類型として含む)は、一般に細胞周期に応じてDNA
合成を司ると考えられている。従って、DNA合成酵素α
型(δ型およびε型も生化学的類型として含む)に対す
る阻害活性を有する本発明の一般式(1)により表され
る化合物は、連続的かつ急激に細胞増殖を生じている癌
細胞に対する増殖抑制能を有し得るものと考えることが
できる。本発明者らは、本発明の一般式(1)により表
される化合物は、α型のDNA合成酵素の他に、δ型およ
びε型のDNA合成酵素に対する阻害活性も有すると考え
ている。
【0254】また、本発明の一般式(A)のピラノシド
およびこのピラノシドより製造することのできる本発明
の一般式(B)のピラノシドは、スルホピラノシルアシ
ルグリセロール誘導体を製造するための中間体として有
用な化合物である。すなわち、本発明の一般式(A)、
一般式(B)で表されるピラノシドを中間体として用い
ることにより、スルホピラノシルアシルグリセロール誘
導体を少ない工程で、高収率に、しかも工業的に大量か
つ安価に製造することができる。
【0255】これらの本発明の一般式(A)、一般式
(B)で表される化合物を、スルホピラノシルアシルグ
リセロール誘導体を製造するための中間体として用いる
ことにより、その製造工程を従来のものよりも減らすこ
とができるのは、次のようなの理由によるものである。
【0256】すなわち、従来、グリセロ糖脂質の合成方
法は、目的とするグリセロール誘導体を導入する前に、
糖のC1炭素に結合する水酸基の保護と脱保護が必要で
あったことは既に従来の技術の欄で述べたところであ
る。具体的には、従来の方法では、まず、糖のすべての
炭素に結合する水酸基をアセチル化し、次に、C1炭素
をハロゲン化した後、C1炭素にグリセロール誘導体を
導入し、この後、最初にアセチル化した基を脱アセチル
化した後、糖の水酸基を再度保護し、次いで、グリセロ
ール誘導体の保護基をはずし、グリセロールに脂肪酸を
導入し、最後に糖の保護基をはずしていた。これに対し
て、本発明の一般式(A)のピラノシドは、発明の詳細
な説明の欄で述べた工程Aの反応、すなわち、糖のC1
炭素に結合する水酸基を2−プロペニル化する反応によ
り、C1炭素を保護して得られるものである。このよう
にして得られる1−2−プロペニル化された糖をグリセ
ロ糖脂質の中間体として用いることにより、保護基とし
て導入した2−プロペニル基の炭素原子3個からなる骨
格をそのままグリセロール骨格として利用することがで
きるので、より少ない工程でグリセロ糖脂質を合成する
ことができるのである。
【0257】一般に、2−プロペニル化により水酸基を
保護することそれ自体は既知のものであるが、スルホリ
ピド、特にグリセロ糖脂質を合成する方法において糖の
C1炭素を2−プロペニル化し、その骨格をそのままグ
リセロール骨格として用いる反応は新規なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】例1で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-
O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
グルコースの1HNMRチャート図。
【図2】例1で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-
O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
グルコースの13CNMRチャート図。
【図3】例2で製造された2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジ
メチルシリル)-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリル
スルホニル)-α-D-グルコースの1HNMRチャート図。
【図4】例2で製造された2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジ
メチルシリル)-1-O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリル
スルホニル)-α-D-グルコースの13CNMRチャート
図。
【図5】例3で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-
O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
マンノースの1HNMRチャート図。
【図6】例3で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-
O-(2-プロペニル)-6-O-(4-トリルスルホニル)-α-D-
マンノースの13CNMRチャート図。
【図7】例4で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デ
オキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-D-グル
コースの1HNMRチャート図。
【図8】例4で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-6-デ
オキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-D-グル
コースの13CNMRチャート図。
【図9】例5で製造された2,3,4-トリ-O-(t-ブチルジ
メチルシリル)-6-デオキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-
(チオアセチル)-α-D-グルコースの1HNMRチャート
図。
【図10】例5で製造された2,3,4-トリ-O-(t-ブチル
ジメチルシリル)-6-デオキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-
(チオアセチル)-α-D-グルコースの13CNMRチャー
ト図。
【図11】例6で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-6
-デオキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-
D-マンノースの1HNMRチャート図。
【図12】例6で製造された2,3,4-トリ-O-ベンジル-6
-デオキシ-1-O-(2-プロペニル)-6-チオアセチル-α-
D-マンノースの13CNMRチャート図。
【図13】例9で製造された3-O-(6-デオキシ-6-スルホ
-β-D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグリセロー
ル・ナトリウム塩の1HNMRチャート図。
【図14】例9で製造された3-O-(6-デオキシ-6-スルホ
-β-D-グルコピラノシル)-1-O-パルミトイルグリセロー
ル・ナトリウム塩の13CNMRチャート図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 和好 東京都港区港南2丁目13番40号 東洋水産 株式会社内 (72)発明者 中山 小太郎 東京都港区港南2丁目13番40号 東洋水産 株式会社内 (72)発明者 坂口 謙吾 千葉県野田市山崎2641 東京理科大学内 Fターム(参考) 4C057 JJ05 JJ12 4C086 AA01 AA02 EA05 ZB26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1): 【化1】 (式中、R101は、飽和高級脂肪酸のアシル残基を表
    し、R102は、水素原子又は飽和高級脂肪酸のアシル残
    基を表す。)により表される化合物およびその薬学的に
    許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種
    を有効成分として含有する制癌剤。
  2. 【請求項2】 次の一般式(2): 【化2】 (式中、R101は、飽和高級脂肪酸のアシル残基を表
    し、R102は、水素原子又は飽和高級脂肪酸のアシル残
    基を表す。)により表される新規なスルホキノボシルア
    シルグリセロール。
  3. 【請求項3】 次の一般式(A): 【化3】 (式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、アル
    キル基又は置換シリル基を表し、R4は、アルキルスル
    ホニル基又はアリールスルホニル基を表す。)により表
    される1−O−(2−プロペニル)−6−O−スルホニ
    ルピラノシド。
  4. 【請求項4】 次の一般式(B): 【化4】 (式中、R1、R2およびR3は、互いに独立して、アル
    キル基又は置換シリル基を表し、R5は、水素原子、ア
    ルキル基又はアリール基を表す。)により表される1−
    O−(2−プロペニル)−6−デオキシ−6−チオカル
    ボキシルピラノシド。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の一般式(A)により表
    されるピラノシドの6位の炭素に結合するアルキル又は
    アリールスルホニルオキシ基(−OR4)を、チオカル
    ボキシル基(−SC(=O)R5)に置換することを特
    徴とする請求項4に記載の一般式(B)により表される
    ピラノシドの製造方法。
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