JP2000143504A - 医療用貼付材基布 - Google Patents

医療用貼付材基布

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JP2000143504A
JP2000143504A JP10314760A JP31476098A JP2000143504A JP 2000143504 A JP2000143504 A JP 2000143504A JP 10314760 A JP10314760 A JP 10314760A JP 31476098 A JP31476098 A JP 31476098A JP 2000143504 A JP2000143504 A JP 2000143504A
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JP
Japan
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nonwoven fabric
elastic
elastic nonwoven
pressure
fiber
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JP10314760A
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English (en)
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Kazuhiro Morishima
一博 森島
Makoto Yoshida
吉田  誠
Takanori Miyoshi
孝則 三好
Yukikage Matsui
亨景 松井
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多くの薬剤に対し不活性で、且つ粘着剤の裏
面への滲み出し、毛羽立ちおよび皮膚へ貼り付けた際の
違和感がない医療用貼付材基布の提供。 【解決手段】 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体
ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロックBとを含むブロック共重合体から構成された弾性
繊維がランダムに配列された弾性不織布において、該不
織布に下記(1)〜(6)の要件を満足させる。 (1)該弾性繊維の単繊維の平均直径が0.1〜20μmであ
ること; (2)該弾性繊維の各単繊維は少なくとも1ヶ所以上で
互いに融着していること; (3)該弾性不織布の厚みが0.02〜1mmであること; (4)該弾性不織布の50%応力が30〜500g/cmであるこ
と; (5)該弾性不織布の通気度が高々10cc/cm2/sec であ
ること; (6)該弾性不織布の透湿度500g/m2・24hr以上であるこ

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定の弾性ブロック
共重合体からなる医療用貼付材に関し、更に詳しくは、
薬剤の皮膚への移行、皮膚追随性、皮膚密着性および剥
離容易性に優れた適度な透湿性を有しながらも粘着剤の
表面への滲み出しがない、例えば経皮吸収製剤、粘着性
包帯および絆創膏などに好適に使用される医療用貼付材
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、経皮吸収製剤や絆創膏などと
して、伸縮性を有する基布に薬剤を含ませた粘着剤やあ
るいは粘着剤と薬剤との積層体を塗布した医療用貼付材
が知られている。これらの貼付材は、皮膚に貼り付けた
際に違和感なく身体の動きに追従する様、できる限り薄
くかつ十分な伸縮性を有している必要がある。粘着剤の
裏打ち材としての基布としては、フィルムや不織布など
が提案されてきた。
【0003】例えば特開平4-1126号公報においては基材
(不織布)を構成する弾性繊維の直径を細くして、風合
いを柔らかくするだけでなく粘着剤の滲み出しも改善し
たものが提案されている。しかしながら、繊維を極細化
するとそれに伴って繊維強度も低下する為、貼り付けて
使用している間に粘着剤層塗布面の裏面が摩擦により毛
羽立ち、外観上好ましくないという問題が生じる。ま
た、上記公報では不織布を接着面積が40%以下で部分接
着する方法も開示されているが、非接着部分の残存によ
り、粘着剤の滲み出しと摩耗性の問題を両立することは
困難である。
【0004】そこで、本発明者らは、上記問題点を解決
したものとして、弾性繊維の平均直径、厚み、通気度お
よび透湿度を特定した不織布を、加熱ローラーでウェッ
ブ状物の表面の全面を熱圧着させた貼付材基布を既に提
案した(特願平9-154804号公報)。しかしながら、繊維
を構成する弾性ポリマーが極性基を有するものの場合、
薬剤の種類によっては、粘着剤を通して基布へ吸着さ
れ、十分な経皮吸収性が得られない場合があることが判
明した。
【0005】この問題を解決する手段としては、特開平
2-259151号公報および特開平3-244456号公報に薬剤と不
活性なブロック共重合体、すなわち芳香族ビニル化合物
と共役ジエンからなるブロック共重合体を採用すること
が提案された。しかしながら、上記ポリマーはポリエス
テル系エラストマーとは異なり、極細繊維不織布とした
場合の挙動が異なる。すなわち強度が極端に低いため長
期間の使用により、基布が繰り返し伸縮に伴って伸び切
ってしまい、依然として粘着剤の滲み出しが生ずる場合
がある。そのため、未だ芳香族ビニル化合物と共役ジエ
ンからなるポリマーを採用した貼付材基布においては、
十分な耐摩耗性と粘着材の滲み出し防止とを兼備したも
のが得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多くの薬剤
に対し不活性で、且つ粘着剤の裏面への滲み出し、毛羽
立ちおよび皮膚へ貼り付けた際の違和感がない医療用貼
付材基布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記医療
用貼付材基布のもつ欠点を改善するために、上記芳香族
ビニル化合物と共役ジエンからなるブロック共重合体か
らなる繊維の平均直径と該弾性単繊維からなる不織布の
物性を特定することにより、上記目的が達成されること
を見い出した。
【0008】かくして本発明によれば、芳香族ビニル化
合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBとを含むブロック共重
合体から構成された弾性繊維がランダムに配列された弾
性不織布において、該不織布は下記(1)〜(6)の要
件を満足することを特徴とする医療用貼付材基布が提供
される。
【0009】(1)該弾性繊維の単繊維の平均直径が0.
1〜20μmであること; (2)該弾性繊維の各単繊維は少なくとも1ヶ所以上で
互いに融着していること; (3)該弾性不織布の厚みが0.02〜1mmであること; (4)該弾性不織布の50%伸長時の応力が30〜500g/cmで
あること; (5)該弾性不織布の通気度が高々10cc/cm2/sec であ
ること; (6)該弾性不織布の透湿度500g/m2・24hr以上であるこ
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明の医療用貼付剤基布
の各要件(1)〜(6)について説明する。
【0011】(1)弾性不織布を構成する弾性単繊維の
平均直径は、0.1〜20μmであることが必要である。0.1
μmより小さい繊維径のものは得られ難く、繊維形成時
の工程安定性も低い。20μmを越えると繊維間の空隙が
広くなり過ぎ、後述する本発明のウェッブ状物の熱融着
処理を施しても粘着剤の滲み出しが起こる。なお、ここ
で言う直径とは、弾性単繊維の断面が異形(例えば、楕
円、多葉形、多角形等)の場合は、それらを相当する太
さ(デニール)の丸断面に見なした場合の直径を意味す
る。
【0012】(2)該弾性繊維の各単繊維は少なくとも
1ヶ所以上で互いに融着していることが必要である。弾
性繊維が、非融着状態のままでは耐摩耗性が低いほか、
粘着剤塗布後、繰り返し伸長に伴って基布が過度に伸び
切ってしまい粘着剤が裏面へ滲み出す。
【0013】(3)該弾性不織布の厚みは0.02〜1mmで
あることが必要である。0.02mmよりも薄いと、粘着剤の
滲み出しを十分防止することが困難となるほか、貼付材
としての取り扱い性も低下する。一方厚みが1mmよりも
厚いと、粘着剤の滲み出し防止は容易だが、伸長時の強
度が大きくなり皮膚へ貼り付けたときの違和感が増え
る。また、装着中にも貼付材の端が引っ掛かるなどして
剥がれやすくなる。特に好ましい厚みの範囲は0.05〜0.
5mmである。
【0014】(4)弾性不織布の50%伸長時の応力は30
〜500 g/cmの範囲であることが必要である。 該応力が3
0g/cm未満の場合、貼付材として皮膚へ貼り付けた際の
違和感は小さいが、本発明で使用するブロック共重合体
は繰り返し伸長に伴って基布が伸び切り、さらに粘着剤
の滲み出しも生じる。一方500g/cmを越える場合は逆に
違和感が大きくなる。好ましい範囲は、40〜200g/cmで
ある。
【0015】(5)通気度は、粘着剤の滲み出しの点か
ら高々10cc/cm2であることが必要がある。従来のポリエ
ステルエラストマーからなる弾性不織布では、10cc/cm2
より高くても、滲み出しは防止できるが、本発明で使用
するブロック共重合体の場合は、この値を越えると粘着
剤の滲み出しが発生する。好ましいのは、0.05〜4 cc/c
m2の範囲である。
【0016】(6)透湿度は装着時の蒸れを防止するた
め、500g/m2・24hr以上であることが必要であるが、200
00g/m2・24hrを越えると、粘着剤の滲み出しが発生す
る。好ましくは、1000〜10000g/m2・24hrの範囲であ
る。
【0017】上記要件を全てを具備しなければ、貼付剤
を皮膚へ装着した際に、粘着剤の滲み出し、蒸れ、違和
感あるいは貼付剤の毛羽立ちなどの不具合が生じる。
【0018】さらに、このような弾性不織布の他の特性
については、嵩密度は0.30〜0.60g/cm3の範囲にあるこ
とが好ましい。0.30g/cm3未満の場合、粘着剤の滲み出
し生じ易く、一方嵩密度が0.60g/cm3を越えると伸長時
の抵抗が大きく、違和感を感じ易い。また、50%伸長時
の弾性回復率については、皮膚への装着時の追随性を確
保するため、80%以上が好ましく、90%以上がさらに好
ましい。
【0019】次に、本発明における貼付材の原料となる
ブロック共重合体について説明する。重合体ブロックA
を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α
-メチルスチレンなどがあり、コストの面からスチレン
が好ましい。
【0020】重合体ブロックBを構成する共役ジエン化
合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペン
タジエン、ヘキサジエンなどがあり、イソプレン、ブタ
ジエンが好ましい。また、これらの共役ジエン化合物は
水素添加されていることが成形時の熱安定性、耐候性の
面から特に好ましい。
【0021】これらのブロック共重合体AおよびBは、
それぞれ構成する化合物が単独でも、2種以上を組み合
わせたものでも良く、さらには、該共重合体の特性を損
なわない範囲において、第3のブロック重合体を含有さ
せても良い。勿論、該共重合体には、難燃剤、および所
望に応じて鎖延長剤、充填剤、酸化防止剤、滑剤などの
添加剤が含まれていてもよい。
【0022】これらの重合体ブロックを有機アルキルな
どの触媒を用いてブロック共重合体とするが、その際、
重合体ブロックAの含有量がブロック共重合体の重量を
基準として、10〜50重量%の範囲であることが好まし
い。重合体ブロックAの含有量が10重量%未満では成形性
や耐熱性に劣り、50重量%を越えると硬くなり、不織布
とした場合に伸長性が劣る。特に好ましい範囲は、20〜
40重量%である。
【0023】上記条件を満足するブロック共重合体は、
上記(1)〜(6)の要件を満足する不織布を得ること
が可能であれば、既に市販されているものを使用しても
差し支えない。それらの例としては、旭化成(株)社のタ
フテック(品番H1031)、クラレ(株)社のセプトン(品番20
02)、シェルジャパン(株)社のKraton(品番G1657)などが
挙げられる。
【0024】次に、本発明の医療用貼付剤基布の製造方
法について述べる。不織布の製造については、メルトブ
ロー法が細径の単繊維を容易に得ることができ、しかも
溶融ポリマーを直接的にしかも均一にシート化できるの
で好ましい。
【0025】メルトブロー法は、溶融ポリマーを通常、
T-ダイのような口金の幅方向に多数並設した紡糸孔から
吐出すると同時に、口金の両側面に隣接して設けられた
スリットから高温高速の気体流を噴射して吐出されたポ
リマーを細化することによって形成される極細単繊維群
を、移動している空気透過性の補集面上に堆積してシー
ト(ウェッブ)状物を得る方法である。
【0026】さらに製糸条件について詳述すると、ポリ
マーの溶融粘度としては、100ポイズ以上3000ポイズ以
下であり、より好ましくは500ポイズ以上2000ポイズ以
下である。溶融粘度が低すぎると、糸切れやポリマー玉
が発生しやすく、また単繊維の径の均一性も悪くなる。
一方溶融粘度が高すぎると該径を細くしにくい。
【0027】該ブロック共重合体の紡糸温度は200〜350
℃、好ましくは240〜320℃である。温度が高すぎると、
該ブロック共重合体が熱分解しやすくなるので、該ブロ
ック共重合体が熱分解しない範囲で、且つできるだけ高
い温度で粘度を下げるのが工程調子が安定になるので好
ましい。
【0028】吐出されたポリマーを牽引細化する高温高
圧気体は、空気または水蒸気が好適である。牽引気体の
温度が、ポリマーの紡糸温度とあまり離れていると吐出
ポリマーの温度に影響を及ぼすため、220〜400℃より好
ましくは240〜350℃である。また、気体流量は目的とす
る単繊維径や吐出量、接着状態によって適宜決定すれば
よい。このとき、気体流の噴出スリット幅にもよるが、
好ましい流量は口金幅1cm当たり0.01〜0.2Nm3/分であ
る。0.01Nm3/分より小さいと細化が十分進まず、得られ
る不織布の斑も大きくなる。一方0.2Nm3/分を越えると
スリットの幅および吐出量によっては単繊維切れが過大
に起こる。
【0029】吐出後、高温高圧気体により牽引細化され
た単繊維群は、サクションを有するネットなどの補集面
上に堆積され、ウェッブ状物すなわち不織布として得ら
れる。この場合、口金下面〜補集面間の距離は単繊維が
固化する位置より下方にすることによって繊維同士が必
要以上に接着せず、不織布風合いが粗硬にならないとい
う点で好ましい。補集面があまり下方に位置すると、噴
出気体流や随伴流により単繊維群が乱されることとな
り、単繊維同士が束状に絡まって不織布の目付け斑の原
因となる。好ましい距離は10〜80cmである。
【0030】このようにして得られたウェッブ状物は、
次に熱圧着処理が行われる。本発明において、その一大
特徴とするところは、この熱圧着処理である。すなわ
ち、ウェッブ状物をその全面に亘って融着させること
で、耐摩耗性に優れ、粘着剤の裏側への滲み出しがな
く、かつ薄いという性能を兼備した弾性不織布が得られ
る。
【0031】具体的には、メルトブロー法などで得られ
たウェッブ状物をその全面に亘って融着させるために、
圧着ローラーの片方を加熱されたフラットもしくはエン
ボスパターンを有する金属ローラーと、それと対をなす
ローラーにペーパーやゴムなど弾性を有する材質からな
るローラーとの組み合わせ、あるいは、加熱された金属
エンボスローラーとそのエンボスパターンの凸部に対応
した凹部を有する金属または弾性を有するローラーとの
組み合わせを用いる。好ましくは、ウェッブ状物に凹凸
がつき、装着時の摩擦抵抗が低減されるエンボスパター
ンを有する加熱された金属ローラーと弾性ローラーとの
組み合わせにより熱圧着させる方法である。エンボスの
パターンは、ドット、筋状および短矩形などいずれでも
良いが、ドット状のものが摩擦抵抗が低減しやすい。共
に金属ローラーを用いる場合は、共に加熱されていても
片方のみが加熱されていても良い。
【0032】ここで重要なことは、得られた弾性不織布
の表面の全面を圧着させながらも、その厚み方向の内部
までは完全にフィルム化させずに、繊維形態ないし性能
をある程度残しておくこと、すなわち非融着状態のまま
にしておくことである。該不織布の厚み方向の内部まで
完全にフィルム化させてしまうと、耐摩耗性は良くなる
が、布帛目付によっては強度が増加して追従性が劣り、
しかも透湿性までも失われる。ここでいう表面の全面と
は、少なくとも面積率で90%以上で、好ましくは95
%以上である。
【0033】加熱ローラーの温度はローラー間の線圧に
もよるが、該弾性繊維を構成するブロック共重合体の融
点以下、好ましくは(融点-120)℃〜(融点-30℃)であ
る。加熱ローラーの温度が低すぎると十分に単繊維同士
が融着せず、温度が高すぎると該ウェッブ状物のローラ
ーへの融着や収縮が起こり工程が不安定になるほか、変
色などの不具合も生じる。また、線圧は200〜1500N/cm
が好ましい。特に熱圧着処理は、該単繊維同士が融着す
る範囲で温度をできるだけ低くし、線圧をできるだけ高
くすることがウェッブ状物の熱安定性から好ましい。
【0034】以上のようにして得られた本発明の医療用
貼付材基布は、少なくとも片面上に粘着剤層を塗布する
ことにより、医療用貼付材として使用される。該粘着剤
層は、気体透過性に優れた塗工層が好ましい。該粘着剤
層を構成する好ましい粘着剤としては、アクリル系粘着
剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびゲル状
粘着剤などがあり、使用目的によって適時選択される。
すなわち、この貼付材を経皮吸収製剤として用いる場合
には、薬物が最も効果的に皮膚より吸収され、なおかつ
皮膚への刺激性が低くなるように粘着剤を選択すればよ
い。また、粘着剤層には、用途に応じて経皮吸収性の薬
剤を含有させてもよい。
【0035】該貼付材基布上に上記粘着剤層を設ける方
法としては、基材に直接粘着剤を塗布する方法、あるい
は離型紙上に粘着剤層を形成させ、該離型紙を基材に重
ね合わせて該粘着材層を転写する方法など常法手段を適
宜選択出来る。
【0036】具体的には、塗布する方法では、粘着剤層
を貼付材基布の片側の全面に又は部分的に、例えばスジ
状、網目状、点在状などのパターンで塗工される。かか
る基材への粘着剤の塗工は通常はナイフオーバーロール
コーターが使用されるが、他の方法を採用してもよい。
粘着剤層の厚さは0.01〜2mm、好ましくは0.015〜1mmで
ある。
【0037】粘着剤を塗布した基布を医療用貼付材とし
て使用する場合、使用時までその粘着剤層表面を保護す
るために通常はその貼付面にセパレータを有している。
セパレータとしてはポリエチレンテレフタレートのフィ
ルムをシリコン処理してなるものがよく用いられるが、
他のセパレータを用いても良い。セパレータの厚みは取
り扱い性の面などから0.1mm以下、好ましくは0.005〜0.
05mmである。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例を掲げて更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」は重量部を示し、また各物性値
は以下の方法を用いて測定を行った。
【0039】(a)平均単繊維径:不織布の断面につい
て、×500倍の電子顕微鏡写真から、100本の単繊維径を
求め、平均することにより算出した。
【0040】(b)厚み:ピーコック型厚み計を用い、
荷重0.012N/cm2で測定した。
【0041】(c)50%伸長時の応力:不織布の縦方向
(補集ネットの流れ方向)並びに横方向(補集ネットの幅
方向)の50%伸長応力については、不織布から長さ8cm、
幅2.5cmの長方形状の試料片を作成し、向かい合う二辺
のうちの短片をチャックでそれぞれチャック間の距離を
5cmとして把持させた後、伸長速度200%/分にて元のチャ
ック間隔を基準として50%伸長させた時の応力(g/cm)を
求めた。
【0042】(d)50%伸長後の弾性回復率:上述の50%
伸長応力の測定と同様にして、50%伸長(該伸長時の試
料長Lは7.5cm)した後、その状態を保持することなく伸
長速度と同じ速さでもとのチャックつかみ間隔まで戻し
た。その直後に再度不織布を伸長させていき、応力が0
より大きくなりはじめるときの試料長をL'cmとして、次
式により算出した。 50%伸長後の弾性回復率(%)=(L-L')/(L-5)×100
【0043】(e)嵩密度:不織布の目付と厚みから、
次式により算出した。 嵩密度(g/cm3)=(目付(g/m2)/10000)/(厚み(mm)/10)
【0044】(f)通気度:JIS L1096による方法を用
いて124Paで測定した。
【0045】(g)透湿度:JIS Z0208に準じて、40℃
の相対湿度90%で測定した。
【0046】(h)粘着剤の滲み出し:2-エチルヘキシ
ルアクリレート、ブチルメタクリレート、及びアクリル
酸からなる共重合体(重量比90/7.5/2.5)が10wt%含有さ
れた酢酸エチル溶液を、剥離紙上に乾燥後の粘着剤層の
厚みが50μmとなるように塗工した後、該粘着剤層を乾
燥させた。該粘着剤層を不織布へ転写した。この不織布
を10×40mmの大きさに切り取って、人差し指第二関節に
貼付け、20時間後の粘着剤の滲み出し具合いを、触感お
よび目視にて判定し、下記のとおり評価した。 ○は滲み出しなし △は滲み出し僅かにあり ×は滲み出しあり
【0047】(i)耐摩耗性:不織布を手首に貼り付け
た状態で2日経過した後、毛羽立ちの様子を目視にて下
記のとおり評価した。 ○は毛羽立ちなし △は毛羽立ち僅かにあり ×は毛羽立ちあり
【0048】[実施例1]メルトブロー法により、スチ
レン(S)- 水添ポリブタジエン(B)のブロック共重合体エ
ラストマー(S/B=30/70,旭化成(株)社製タフテックH103
1)を、250℃で溶融させてから、丸断面の吐出孔が口金
幅方向に1mm間隔で単列で設置された口金を用い、該口
金から吐出された吐出糸条を引き続き260℃に加熱され
た圧空により口金幅1cm当たり0.06Nm3/分の流量で延伸
細化後、口金より15cm下方に設けられた補集ネット上に
補集した。
【0049】このウェッブ状物を、40meshで深さ120μm
の角型ドット模様のついた150mmφの金属ローラーと硬
度A75度のNBR製ローラーにより、金属ローラー85℃、線
圧500N/cmにて、厚み方向の内部は非融着状態で且つ表
面は面積率にして97%圧着した。得られた弾性不織布
の物性を表1に示す。
【0050】[実施例2]口金からの吐出量を1.8倍と
した以外は、実施例1と同様に処理し、厚み方向の内部
は非融着状態で且つ表面は面積率にして96%圧着し
た。得られた弾性不織布の物性を表1に示す。
【0051】[実施例3]スチレン-(ポリエチレン-ブ
チレン)のブロック共重合体エラストマー(シェルジャパ
ン(株)社製Kraton G1657)を用いて、溶融温度を280℃、
加熱圧空を310℃の0.06Nm3/分、および金属ローラーの
温度を100℃に変えた以外は、実施例1と同様に処理
し、厚み方向の内部は非融着状態で且つ表面は面積率に
して98%圧着した。得られた弾性不織布の物性を表1
に示す。
【0052】[実施例4]スチレン-(ポリエチレン-プ
ロピレン)系のブロック共重合体エラストマー(クラレ
(株)社製セプトン2002)を用い、加熱圧空温度を300℃、
金属ローラーの温度を90℃とした以外は実施例1と同様
に処理し、厚み方向の内部は非融着状態で且つ表面は面
積率にして95%圧着した。得られた弾性不織布の物性
を表1に示す。得られた不織布の物性を表1に示す。
【0053】[比較例1]溶融温度を260℃、加熱圧空
温度を280℃とし、ネット速度を変更した以外は実施例3
と同様に処理し、厚み方向の内部は非融着状態で且つ表
面は面積率にして92%圧着した。得られた弾性不織布
の物性を表1に示す。
【0054】[比較例2]ネット速度と線圧を1000N/cm
に変えた以外は実施例3と同様に処理し、厚み方向の内
部は非融着状態で且つ表面は面積率にして99%圧着し
た。得られた弾性不織布の物性を表1に示す。
【0055】[比較例3]ネット速度を変えた以外は実
施例1と同様に処理し、厚み方向の内部は非融着状態で
且つ表面は面積率にして89%圧着した。得られた弾性
不織布の物性を表1に示す。
【0056】[比較例4]金属ローラーの温度を120℃
に、線圧を800N/cmに変えた以外は実施例1と同様に処理
し、厚み方向の内部までも完全異フィルム化した。得ら
れた弾性不織布の物性を表1に示す。
【0057】[比較例5]金属ローラーの温度を90℃に
変えた以外は実施例3と同様に処理し、厚み方向の内部
は非融着状態で且つ表面は面積率にして85%圧着し
た。得られた弾性不織布の物性を表1に示す。
【0058】[比較例6]テレフタル酸ジメチル167重
量部、テトラメチレングリコール105重量部、数平均分
子量2000のポリテトラメチレングリコール325重量部を
反応器でエステル交換反応させた後、内温を245℃に昇
温し、20mmaqの弱真空下で60分間反応させ、引き続き
0.4mmaqの高真空下で200分間反応させた。得られた、
ポリエステルとポリエーテルエステルとのブロック共重
合体の融点は190℃、固有粘度は1.52であった。
【0059】該共重合体を1mmHgの減圧下115℃で16時間
乾燥し、メルトブロー法により平均単繊維径は7μmの不
織布を得た。さらにこの不織布を、金属ローラーの温度
を115℃とした以外は、実施例1と同様に処理し、厚み
方向の内部は非融着状態で且つ表面は面積率にして97
%圧着した。得られた弾性不織布の物性を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】以下、表1について考察する。本発明の要
件を具備する実施例1〜4は、いずれも皮膚に貼り付け
た際の蒸れ感がなく、皮膚の動きに対する追随性も良好
であり、しかも毛羽立ちおよび粘着剤の滲み出しもない
極めて優れたものであった。
【0062】これに対して、繊維径が本発明の範囲を超
えた比較例1および厚みが本発明の範囲を下回った比較
例2は、通気度が高く粘着剤の滲み出しが確認された。
厚みが本発明の範囲を超えた比較例3は、粘着剤の滲み
出しは見られないものの圧着が不十分で毛羽立ちが若干
見られ、また貼付剤としては厚すぎるため非常に違和感
があった。比較例5は、弾性不織布の圧着の際、厚み方
向の内部までも完全にフィルム化したため、滲み出しと
毛羽立ちはないものの、透湿度が低くムレを感じるもの
であった。比較例6は、弾性不織布の圧着が不十分だっ
たため、滲み出しと毛羽立ちとがともに若干確認され
た。
【0063】上記の実施例および比較例の弾性不織布
は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを含むブ
ロック共重合体からなるため、粘着剤に薬剤としてケト
プロフェンを混入して使用した際、基材不織布への薬剤
の移行もなく、薬剤の皮膚への十分な吸収が確認され
た。これに対して、ポリエステルとポリエーテルエステ
ルとのブロック共重合体からなる比較例7の弾性不織布
は、滲み出しおよび毛羽立ちともにないものの、粘着剤
に薬剤としてケトプロフェンを混入して使用した際、基
材不織布への薬剤の移行が若干確認され、皮膚への吸収
が若干劣るものであった。
【0064】
【発明の効果】本発明の医療用貼付材基布は、該基布を
構成する弾性繊維の細径および該基布の薄さにより発現
される柔らかさと、該基布の表面を全面に亘って融着す
ることで、透湿性を確保しながらも粘着剤の滲み出しと
毛羽立ちが防止され、しかも芳香族ビニル化合物と共役
ジエン化合物とを含むブロック共重合体からなるため薬
剤に対する吸収性が少ない。そのため、医療用貼付材と
して皮膚に貼り付けた際、違和感、貼付材の脱落、毛羽
立ちおよび蒸れが生じにくく、しかもスムーズに薬剤の
皮膚への移行が進行するという優れた特性も有するた
め、経皮吸収製剤、粘着性包帯および絆創膏、特に薬剤
と基布との反応が起こり易い消炎鎮痛剤の用途に好適に
使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 孝則 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 松井 亨景 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 4C076 AA77 BB31 CC05 EE03 EE04 EE49 FF36 FF56 4C081 AA03 BB01 BB02 BB04 BB07 BC02 CA031 CA121 CB051 CC02 DA05 DB01 DB03 DB07 EA03 EA12 4L047 AA18 AA25 AB02 AB07 BA08 CB01 CB08 CB10 CC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体
    ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
    ロックBとを含むブロック共重合体から構成された弾性
    繊維がランダムに配列された弾性不織布において、該不
    織布は下記(1)〜(6)の要件を満足することを特徴
    とする医療用貼付材基布。 (1)該弾性繊維の単繊維の平均直径が0.1〜20μmであ
    ること; (2)該弾性繊維の各単繊維は少なくとも1ヶ所以上で
    互いに融着していること; (3)該弾性不織布の厚みが0.02〜1mmであること; (4)該弾性不織布の50%伸長時の応力が30〜500g/cmで
    あること; (5)該弾性不織布の通気度が高々10cc/cm2/sec であ
    ること; (6)該弾性不織布の透湿度500g/m2・24hr以上であるこ
  2. 【請求項2】 該重合体ブロックBが、水素添加重合体
    ブロックである請求項1記載の医療用貼付材基布。
  3. 【請求項3】 該弾性不織布が、その表面において90
    %以上の面積率で融着されている請求項1または2いず
    れか1項記載の医療用貼付材基布。
  4. 【請求項4】 該弾性不織布が、その厚み方向の内部は
    非融着状態である請求項3項記載の医療用貼付材基布。
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