JP2000140622A - 耐食性部材及びその製造方法 - Google Patents

耐食性部材及びその製造方法

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JP2000140622A
JP2000140622A JP10315000A JP31500098A JP2000140622A JP 2000140622 A JP2000140622 A JP 2000140622A JP 10315000 A JP10315000 A JP 10315000A JP 31500098 A JP31500098 A JP 31500098A JP 2000140622 A JP2000140622 A JP 2000140622A
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Yasufumi Aihara
靖文 相原
Keiichiro Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い耐腐食性を示すフッ化物表面層を有する耐
食性部材、並びにその製造方法を提供する。 【解決手段】好ましくは、アルミニウム及び窒化アルミ
ニウムの少なくとも一方を含む基体を、フッ化アルミニ
ウム粉末と水とが入った容器中に入れ、その後、この容
器を加熱することによって、前記基体に100℃以上の
温度で熱処理し、前記基体の表面に、好ましくは、Al
23 (OH)3 などの水酸化フッ化アルミニウム主結
晶相を有するフッ化物層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性部材及びそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、熱CVD装置及び
エッチング装置などの半導体製造装置の部材として好適
に使用することのできる、耐食性部材及びその製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】超LSIのメモリ容量の拡大に伴って、
微細加工化が益々進み、ケミカルな反応を必要とするプ
ロセスが拡大してきている。特に、スーパークリーン状
態を必要とする半導体製造装置では、デポジション用ガ
ス、エッチング用ガス、及びクリーニング用ガスとし
て、塩素系ガス、及びフッ素系ガスなどのハロゲン系腐
食性ガスが使用されている。例えば、熱CVD装置など
の半導体製造装置においては、デポジション後にClF
3 、NF3 、CF4 、HF、及びHClなどのハロゲン
系腐食性ガスからなる半導体クリーニングガスを用いて
いる。また、デポジションの段階でも、WF 6 、SiH
2 Cl2 などのハロゲン系腐食性ガスを成膜用ガスとし
て使用している。
【0003】半導体製造装置を構成している部材は、例
えば、アノーダイズド処理したアルミニウムや窒化アル
ミニウムなどから構成されている。しかしながら、アノ
ーダイズド処理したアルミニウムは、表面酸化膜が30
0℃程度の温度で収縮し、クラックを生じることから、
高温で上記のようなハロゲン系腐食性ガスに晒されて接
触すると、そのクラック部分から下地のアルミニウムが
腐食され、その腐食された部分の表面酸化膜が前記部材
から剥離してパーティクルとなる。また、窒化アルミニ
ウムの場合でも、近年、エッチング速度などを増加させ
る目的で、上記NF3 などの特に腐食性の高いガスを使
用する傾向にあるため、前記同様に高温でこれらのガス
に晒されるとその表面が腐食され、パーティクルが発生
するという問題がある。このパーティクルが、上記のよ
うな半導体製造装置上に設置された基板上に堆積する
と、絶縁不良や導通不良の現象が生じて、半導体不良の
原因となる。
【0004】一方、これらハロゲン系腐食性ガスに対し
て、フッ化物が高い耐腐食性を有することが見いださ
れ、これらフッ化物で前記部材の表面を被覆する試みが
なされている。特公平2−39586号公報には、アル
ミニウム又はアルミニウム合金からなる部材を、ジクロ
ロジフルオロメタンなどの炭化水素の塩素及びフッ素置
換化合物雰囲気中で熱処理することにより、前記部材の
表面にAlF3 を主成分に含むフッ化物層を形成するこ
とが開示されている。また、日本化学会誌(1982
年、(8)、1305〜1313頁)には、アルミニウ
ムなどの部材を液体フッ化水素中に浸漬させ、陽分極フ
ッ素化法あるいはフッ素ガスによる直接フッ素化法によ
って、前記部材の表面にAlF3 を主成分に含むフッ化
物層を形成することが開示されている
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
2−39586号公報に記載された方法には、極めて腐
食性の高いHFあるいはF2 などのガスが発生すること
から、大掛かりな防害、除害設備が必要となり、コスト
高になるという問題がある。また、陽分極フッ素化法
は、皮膜の組成がフッ化水素溶液の濃度や印加電圧によ
って大きく変化することから、安定した膜質のものが得
られにくく、さらに大面積の部材においては、皮膜の膜
厚及び膜質が不均一になるという問題があった。さら
に、直接フッ素化法は、腐食性ガスであるフッ素ガスを
用いることから、上記同様に、大掛かりな防毒、除害設
備が必要となり、コスト高を生じるという問題がある。
【0006】本発明は、高い耐腐食性を示すフッ化物表
面層を有する耐食性部材、並びにその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体の表面
に、主結晶相が水酸化フッ化アルミニウムからなるフッ
化物層を有することを特徴とする、耐食性部材である。
【0008】また、本発明は、基体をフッ化アルミニウ
ム粉末と水とを入れた所定の容器中に設置し、この容器
を加熱することによって、前記基体に温度100℃以上
の熱処理を施し、前記基体の表面にフッ化物層を形成す
ることを特徴とする、耐食性部材の製造方法である。
【0009】本発明者らは、半導体製造装置などを構成
する部材のハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性を向
上させるために、新たな材料及びその製造方法を見いだ
すべく鋭意検討した。その結果、上記したように、水を
入れた容器中にフッ化アルミニウムを沈殿させ、さら
に、この容器中にアルミニウムあるいは窒化アルミニウ
ムを含有する基体を入れて所定の温度にまで加熱し、一
定時間熱処理を施すと、その表面に主結晶相がAl2
3 (OH)3 などの水酸化フッ化アルミニウムからなる
フッ化物層が形成され、さらにこのフッ化物層が前記ハ
ロゲン系腐食性ガスに対して高い耐腐食性を有すること
を見いだし、本発明をするに至ったものである。
【0010】したがって、主結晶相がAl23 (O
H)3 などの水酸化フッ化アルミニウムからなるフッ化
物層を表面に有する本発明の耐食性部材は、ハロゲン系
腐食性ガスに対して高い耐腐食性を示す。また、本発明
の耐食性部材は、上述したように極めて簡易に製造する
ことができるため、複雑な製造設備を必要とせず、コス
ト高の問題を生じることもない。さらには、このように
して得られるフッ化物層の組成や膜質などは、熱処理温
度や熱処理時間に対してさほど敏感ではないため、安定
した膜厚及び膜質のフッ化物層を得ることできる。
【0011】図1は、アルミニウム基体に、本発明の製
造方法を実施して得られた耐食性部材表面のX線回折パ
ターンを示す図である。図1に示すX線回折パターンか
らは、基体を構成するアルミニウム結晶からのピークの
他に、AlF3 結晶からのピーク、及びAl23 (O
H)3 結晶と推定される結晶ピークが観察される。すな
わち、本発明の製造方法によって前記基体の表面にフッ
化物層が形成されていることが分かる。また、AlF3
結晶からのピークとAl23 (OH)3 結晶と推定さ
れる結晶からのピークとを比較すると、後者のAl2
3 (OH)3 結晶からのピークが圧倒的に大きいことが
分かる。
【0012】したがって、本発明の製造方法によって得
られた耐食性部材の表面には、Al23 (OH)3
どの水酸化フッ化アルミニウムを主結晶相とするフッ化
物層が形成されていることが分かる。すなわち、本発明
の極めて簡易かつ安定な製造方法を採用することによ
り、ハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性に優れた部
材を製造できることが分かる。
【0013】上記のような製造方法によって、基体表面
に主結晶相がAl23(OH)3 などの水酸化フッ化
アルミニウムからなるフッ化物層が形成されるメカニズ
ムは以下のように推察される。フッ化アルミニウムを含
んだ水が加熱されると、このフッ化アルミニウムの前記
加熱された水(以下、熱水と略す場合がある)中への溶
解度が増す。したがって、上記のような熱処理によって
一定時間加熱されると、その温度における飽和溶解度近
くまで、熱水中のAl3+イオン、及びF- イオンが増加
する。一方、アルミニウムなどを含有した基体は、容器
中で加圧された熱水と反応して、表面からAl3+イオン
が溶出し、表面が非常に活性な状態となっている。
【0014】熱処理が終了して冷却過程に入ると、溶解
しきれなくなったAl3+イオン及びF- イオンが、水中
のOH- イオンと下式(1)に示すような反応式に基づ
いて反応し、前記基体の活性な表面にAl23 (O
H)3 の結晶核を形成する。その後、冷却が進行するに
つれて、前記溶解しきれなくなったAl3+イオン及びF
- イオンから生成したAl23 (OH)3 が、前記結
晶核を中心として次々と析出するため、最終的に、Al
23 (OH)3 主結晶相を有するフッ化物層が前記基
体の表面に形成されるものである。 2Al3++3OH- +3F- →Al23 (OH)3 ↓ (1) なお、本発明でいう水酸化フッ化アルミニウムは、上記
のAl23 (OH) 3 の他に、AlF1.65(OH)
1.35・xH2 O、Al23.24(OH)2.76・H 2 O、
及びAl(F,OH)3 ・0.375H2 Oなどの水和
物をも含んだ総称である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態に基づい
て、本発明を詳細に説明する。本発明の耐食性部材にお
ける基体表面のフッ化物層は、Al23 (OH)3
どの水酸化フッ化アルミニウムからなる主結晶相を有す
ることが必要である。前記フッ化物層がかかる結晶相を
有しないと、層自体が安定した膜質を有しなくなる。そ
の結果、フッ化物層の耐腐食性が劣化し、前記基体の表
面にハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性を付与する
ことができない。
【0016】また、前記基体は、アルミニウム又は窒化
アルミニウムの少なくとも一方を含有していることが好
ましい。これによって、前記のように推察される作用で
述べたように、熱処理中における基体表面の活性が向上
し、本発明のフッ化物層を比較的短時間で厚く形成する
ことができる。しかしながら、上記以外のアルミナやム
ライトなどからなる基体を用いた場合においても、本発
明の製造方法によって、基体表面にフッ化物層、さらに
は、主結晶相がAl23 (OH)3 などの水酸化フッ
化アルミニウムからなるフッ化物層を形成することがで
きる。
【0017】本発明の耐食性部材は、上述したように、
好ましくはアルミニウム又は窒化アルミニウムを含有し
た基体を、フッ化アルミニウム粉末と水とが入った容器
中において熱処理することが必要である。これによっ
て、上述したような作用により、基体の表面にフッ化物
層が形成される。フッ化アルミニウム粉末としては市販
のものを使用することができ、その平均粒径は一般に1
〜100μmである。
【0018】発明における熱処理温度は、その下限が1
00℃であることが必要であり、好ましくは150℃、
さらに好ましくは200℃である。熱処理温度の下限が
100℃未満であると、上述の作用における、熱水中へ
のAl3+イオン及びF- イオンの溶解量が不足すると推
察され、その結果、基体の表面にフッ化物層を形成する
ことができない。また、熱処理温度の上限は特に限定さ
れるものではないが、温度が高いほど高耐圧の容器が必
要となることから300℃以下であることが好ましく、
さらには200℃以下であることが好ましい。
【0019】さらに、本発明の熱処理時間は、水に対す
るフッ化アルミニウム粉末の量や熱処理温度、さらには
形成するフッ化物層の厚さに依存して変化するが、通常
は5〜40時間の間で行う。
【0020】水に対するフッ化アルミニウム粉末の量
は、本発明の製造方法にしたがってフッ化物層を形成す
ることができれば、特に限定されるものではないが、上
記のような熱処理温度において、基体表面に比較的短時
間でフッ化物層を形成するためには、水100ccに対
して、フッ化アルミニウム粉末が1〜5gであることが
好ましい。
【0021】前記容器としては、ステンレス容器やテフ
ロン製分解容器など市販のものを使用することができ、
熱処理に使用するヒータについても市販のものを使用す
ることができる。ただし、上記容器は、液温を100℃
以上にする必要があるために密閉型であることが必要で
ある。
【0022】本発明においては、上記のように、フッ化
アルミニウム粉末と水とを入れた容器中で基体に対して
熱処理を施した後、大気中において、さらに熱処理を施
すこともできる。このように大気中で再度の熱処理を施
すことにより、基体の表面に形成されたフッ化物層中の
水分を取り除くことができるとともに、結晶性の高いフ
ッ化物層を得ることができ、フッ化物自体の耐腐食性を
さらに向上させることができる。
【0023】例えば、上述したような熱処理によって、
表面に主結晶相がAl23 (OH)3 などの水酸化フ
ッ化アルミニウムからなるフッ化物層が形成された基体
に対して、大気中において熱処理を施した場合、下記式
(2)に示すような反応によってフッ化物層中の水分が
取り除かれる。さらに、この場合においては、Al2
(OH)33 主結晶相からAlF3 が生成している
が、このAlF3 は高い結晶性を示すとともに、密着性
が高いという性質を有するため、前記のようなハロゲン
系腐食性ガスに対し、極めて高い耐腐食性を示す。 2Al23 (OH)3 →2AlF3 +Al23 +3H2 O↑ (2)
【0024】大気中における熱処理の温度は、上記のよ
うな効果を発現させるべく、その下限が400℃である
ことが必要であり、好ましくは500℃、さらには、ア
ルミニウムの融点が660℃であることから、600℃
以下であることが好ましい。
【0025】大気中における熱処理時間は、上記熱処理
温度、並びに所望するフッ化物層の結晶度、さらには取
り除く水分量等によって変化するが、一般には1〜5時
間の間で行う。この大気中で行う熱処理も上記同様に市
販のヒータなどを用いて行うことができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の耐食性部材及びその製造方法
を具体的に説明する。 実施例1 80ccのテフロン製分解容器中に平均粒径5μmのフ
ッ化アルミニウム粉末0.2gと純水20ccを入れ、
フッ化アルミニウム粉末を前記テフロン容器の底に沈殿
させた。次いで、基体とフッ化アルミニウム粉末とが直
接接触しないように、前記フッ化アルミニウム粉末上に
テフロンメッシュを入れた後、このテフロンメッシュ上
に直径20mm、厚さ2mmアルミニウム板を載置し
た。次いで、このテフロン製分解容器を密閉した後、乾
燥機に入れて熱処理を実施した。熱処理は200℃で1
0時間行い、その後、室温放置によって内部温度が30
℃以下になるまで冷却した。
【0027】その後、前記アルミニウム板を取り出し
て、表面の状態をX線及びSEMによって調べた。図1
に示すX線回折パターンからは、アルミニウム結晶ピー
クと、Al23(OH)3 結晶と推定される結晶ピー
クと、AlF3 結晶ピークとが観測される。すなわち、
アルミニウム基体に起因したアルミニウム結晶ピークの
他に、Al 23 (OH)3 結晶ピークと、AlF3
晶ピークとが観測されることから、前記アルミニウム基
体の表面には、これらの結晶相を有するフッ化物層が形
成されていることが分かる。
【0028】さらに、Al23 (OH)3 結晶ピーク
とAlF3 結晶ピークとを比較した場合、前者の結晶ピ
ークの方が極めて高い状態にあることから、本実施例に
よって得れらた部材の表面に形成されたフッ化物層は、
Al23 (OH)3 と推定される水酸化フッ化アルミ
ニウム主結晶相を有することが分かる。また、図3に示
すSEM写真からは、アルミニウム基体の表面に、大き
さ10μm程度の矩形状の粒子が堆積していることが分
かる。図1に示すX線回折パターンと併せて考えると、
これらの粒子は、フッ化物層を構成するフッ化物粒子で
あることが分かる。
【0029】実施例2 アルミニウム板の代わりに窒化アルミニウム板を用い、
熱処理温度を180℃、熱処理時間を30時間とした以
外は実施例1と同様にして実施した。その後、前記窒化
アルミニウム板を取り出して、実施例1と同様にして、
表面の状態をX線及びSEMによって調べた。その結
果、図1及び3と同様の結果が得られた。
【0030】比較例1 熱処理温度を60℃にした以外は、実施例1と同様にし
て実施した。上記実施例同様に、熱処理後のアルミニウ
ム基体をX線及びSEMによって観察したところ、フッ
化物に起因したピークは観測されないとともに、アルミ
ニウム基体上において堆積物も観測されなかった。
【0031】比較例2 フッ化アルミニウム粉末の代わりにフッ化カルシウム粉
末を用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。熱
処理後のアルミニウム基体をX線及びSEMによって観
察したところ、フッ化物に起因したピークは観測されな
いとともに、アルミニウム基体上において堆積物も観測
されなかった。
【0032】実施例3 熱処理温度を180℃、熱処理時間を15時間として以
外は、実施例1と同様にして熱処理を実施し、その後、
アルミニウム基体を大気中に取り出すとともに、このア
ルミニウム基体をアルミナ板に載置した後に、電気炉に
設置し、大気中、500℃で2時間の熱処理を実施し
た。その後、自然放置して温度が30℃以下になったと
ころで、電気炉から取り出した。
【0033】このアルミニウム基体の表面にX線を照射
して、基体表面の状態を調べたところ、図2に示すよう
なX線回折ピークが得られた。図2に示すX線回折パタ
ーンからは、アルミニウム結晶からのピークと、AlF
3 結晶からのピークが観測される。アルミニウム基体に
基づくアルミニウム結晶の他に、AlF3 結晶ピークが
観測されることから、アルミニウム基体の表面にはAl
3 結晶相を有するフッ化物層が形成されていることが
分かる。また、図1に見られるAl23 (OH)3
晶ピークがほとんど存在しないことから、この結晶は上
述した(2)に示す反応にしたがって、ほとんど総てA
lF3 結晶に変化したことが分かる。
【0034】実施例4〜6及び比較例3、4 以上実施例1〜3、比較例1及び2によって得られた部
材に対して腐食性試験を実施した。なお、実施例4〜
6、及び比較例3、4は、それぞれ順に実施例1〜3及
び比較例1、2に対応している。腐食性ガスは、13.
56MHz、1kWのICPで、温度300℃、ガス流
量300sccm、圧力0.1TorrのCl2 ガスを
励起した励起ガスを用いた。この励起ガス中に前記部材
を5時間保持し、試験前後の重量変化によって耐腐食性
を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から分かるように、本発明の製造方法
にしたがって、基体表面にフッ化物層を形成してなる部
材は、腐食性試験前後の重量変化が小さく、Cl 2 ガス
などのハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性の高いこ
とが分かる。一方、本発明の製造方法と異なって製造し
た、基体表面にフッ化物層を有しない部材の場合は、腐
食性試験前後の重量変化が大きく、Cl2 ガスなどのハ
ロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性の低いことが分か
る。
【0037】以上、実施例において具体的な例を挙げる
とともに、発明の実施に形態に基づいて本発明を詳細に
説明したが、本発明は上記内容に限定されるものではな
く、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる
変形や変更が可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐食性部
材及びその製造方法によれば、極めて簡易かつ安定な方
法で、ハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性に優れた
フッ化物層、特に、Al23 (OH)3 などの水酸化
フッ化アルミニウム主結晶相を有する、極めて腐食性の
高いフッ化物層を表面に有する耐食性部材を形成するこ
とができる。また、本発明の製造方法の簡易かつ安定な
特質から、耐食性に優れた部材を低コストで、大規模に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐食性部材表面のX線回折パターンを
示す図である。
【図2】本発明の他の耐食性部材表面のX線回折パター
ンを示す図である。
【図3】本発明の耐食性部材表面のSEM写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体の表面に、主結晶相が水酸化フッ化ア
    ルミニウムからなるフッ化物層を有することを特徴とす
    る、耐食性部材。
  2. 【請求項2】前記基体は、アルミニウム及び窒化アルミ
    ニウムの少なくとも一方を含有することを特徴とする、
    請求項1に記載の耐食性部材。
  3. 【請求項3】基体をフッ化アルミニウム粉末と水とを入
    れた所定の容器中に設置し、この容器を加熱することに
    よって、前記基体に温度100℃以上の熱処理を施し、
    前記基体の表面にフッ化物層を形成することを特徴とす
    る、耐食性部材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記基体は、アルミニウム及び窒化アルミ
    ニウムの少なくとも一方を含有することを特徴とする、
    請求項3に記載の耐食性部材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記フッ化物層は、水酸化フッ化アルミニ
    ウムからなる主結晶相を有することを特徴とする、請求
    項3又は4に記載の耐食性部材の製造方法。
  6. 【請求項6】基体をフッ化アルミニウム粉末と水とを入
    れた所定の容器中に設置し、この容器を加熱することに
    よって、前記基体に温度100℃以上の熱処理を施した
    後、前記基体を大気中に取り出し、前記基体に大気中で
    温度400℃以上の熱処理を施して、前記基体の表面に
    フッ化物層を形成することを特徴とする、耐食性部材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】前記基体は、アルミニウム及び窒化アルミ
    ニウムの少なくとも一方を含有することを特徴とする、
    請求項6に記載の耐食性部材の製造方法。
  8. 【請求項8】前記フッ化物層は、AlF3 からなる主結
    晶相を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載
    の耐食性部材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002029801A (ja) * 2000-06-21 2002-01-29 Sika Ag 硫酸塩およびアルカリを含有しない凝結および硬化促進剤
JP2002080250A (ja) * 2000-06-21 2002-03-19 Sika Ag アルカリを含有しない凝結及び硬化促進剤

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