JP2000212769A - 耐食性部材及びその製造方法 - Google Patents

耐食性部材及びその製造方法

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JP2000212769A
JP2000212769A JP11016448A JP1644899A JP2000212769A JP 2000212769 A JP2000212769 A JP 2000212769A JP 11016448 A JP11016448 A JP 11016448A JP 1644899 A JP1644899 A JP 1644899A JP 2000212769 A JP2000212769 A JP 2000212769A
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Yasufumi Aihara
靖文 相原
Keiichiro Watanabe
敬一郎 渡邊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハロゲン系腐食性ガスに対して高い耐腐食性を
示す耐食性部材、並びにその製造方法を提供する。 【解決手段】少なくともアルミニウムと、好ましくはS
iCを含んでなる複合体を、フッ化アルミニウム粉末と
水とが入った容器中に入れ、その後、この容器を加熱す
ることによって、前記複合体に100℃以上の温度で熱
処理を施し、前記複合体の表面に露出したアルミニウム
を、好ましくは、水酸化フッ化アルミニウム主結晶相を
含んだフッ化物で覆う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性部材及びそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは、熱CVD装置及び
エッチング装置などの半導体製造装置の部材として好適
に使用することのできる、耐食性部材及びその製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】超LSIのメモリ容量の拡大に伴って、
微細加工化が益々進み、ケミカルな反応を必要とするプ
ロセスが拡大してきている。特に、スーパークリーン状
態を必要とする半導体製造装置では、デポジション用ガ
ス、エッチング用ガス、及びクリーニング用ガスとし
て、塩素系ガス、及びフッ素系ガスなどのハロゲン系腐
食性ガスが使用されている。例えば、熱CVD装置など
の半導体製造装置においては、デポジション後にClF
3 、NF3 、CF4 、HF、及びHClなどのハロゲン
系腐食性ガスからなる半導体クリーニングガスを用いて
いる。また、デポジションの段階でも、WF 6 、SiH
2 Cl2 などのハロゲン系腐食性ガスを成膜用ガスとし
て使用している。
【0003】半導体製造装置を構成している部材は、例
えば、アノーダイズド処理したアルミニウムや窒化アル
ミニウムなどから構成されている。また、近年、このよ
うなハロゲン系腐食性ガスに対して、炭化珪素(Si
C)が高温において比較的高い耐腐食性を示すことが見
いだされ、上記半導体製造装置の部材として使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アノー
ダイズド処理したアルミニウムは、表面酸化膜が300
℃程度の温度で収縮し、クラックを生じることから、高
温で上記のようなハロゲン系腐食性ガスに晒されて接触
すると、そのクラック部分から下地のアルミニウムが腐
食され、その腐食された部分の表面酸化膜が前記部材か
ら剥離してパーティクルとなる。また、窒化アルミニウ
ムの場合でも、近年、エッチング速度などを増加させる
目的で、上記NF3 などの特に腐食性の高いガスを使用
する傾向にあるため、前記同様に高温でこれらのガスに
晒されるとその表面が腐食され、パーティクルが発生す
るという問題がある。
【0005】このパーティクルが、上記のような半導体
製造装置上に設置された基板上に堆積すると、絶縁不良
や導通不良の現象が生じて、半導体不良の原因となる。
さらに、上述したように、炭化珪素はハロゲン系腐食性
ガスに対して比較的高い耐腐食性を示すが、難焼結性で
あるため大型化が困難であるという問題がある。
【0006】そこで、炭化珪素からなる多孔質部材を形
成した後、この孔の部分にアルミニウムなどを含浸させ
て大型の部材を製造する試みがなされているが、含浸さ
せたアルミニウムなどの耐腐食性が劣るために、得られ
る部材のハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性が劣化
し、適用範囲が限られてしまうという問題があった。
【0007】本発明は、高い耐腐食性を示す新たな耐食
性部材、並びにその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともア
ルミニウムを含有してなる複合体において、前記複合体
における前記アルミニウムの表面露出部分がフッ化物で
覆われていることを特徴とする、耐食性部材である。
【0009】また、本発明は、少なくともアルミニウム
を含有してなる複合体を、フッ化アルミニウム粉末と水
とを入れた所定の容器中に設置し、この容器を加熱する
ことによって、前記複合体に温度100℃以上の熱処理
を施し、前記複合体における前記アルミニウムの表面露
出部分をフッ化物で覆うことを特徴とする、耐食性部材
の製造方法である。
【0010】本発明者らは、半導体製造装置などを構成
する部材のハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性を向
上させるために、新たな材料及びその製造方法を見いだ
すべく鋭意検討した。その結果、水を入れた容器中にフ
ッ化アルミニウム粉末を沈殿させ、さらに、この容器中
にアルミニウムと炭化珪素とからなる複合体を入れて所
定の温度にまで加熱し、一定時間熱処理を施すと、その
表面に露出したアルミニウム部分が、Al2 3 (O
H)3 結晶と推定される水酸化フッ化アルミニウムから
なる主結晶相を有するフッ化物で覆われ、その結果、前
記複合体が前記ハロゲン系腐食性ガスに対して高い耐腐
食性を有することを見いだし、本発明をするに至ったも
のである。
【0011】本発明の耐食性部材は、ハロゲン系腐食性
ガスに対して耐腐食性に劣るアルミニウムの表面露出部
分が、これらのガスに対して高い耐腐食性を示すフッ化
物で覆われているため、前記ガスに対して極めて高い耐
腐食性を示す。また、複合体をアルミニウムから構成す
ることができるため、大型部材の製造が容易となる。し
たがって、かかる耐食性部材の半導体製造装置などへの
適用範囲を広げることができる。
【0012】また、本発明の耐食性部材の製造方法によ
れば、本発明の耐食性部材を簡易に製造することができ
る。したがって、複雑な製造設備を必要とせず、コスト
高の問題を生じることもない。さらには、このようにし
て得られるフッ化物の組成などは、熱処理温度や熱処理
時間に対してさほど敏感ではないため、前記複合体の表
面に露出したアルミニウムを、安定なフッ化物で覆うこ
とができる。
【0013】図1は、アルミニウムとSiCとからなる
複合体に、本発明の製造方法を実施して得られた耐食性
部材表面のX線回折パターンを示す図である。また、図
2は、上記部材表面のSEM写真であり、図3はその説
明図である。図1に示すX線回折パターンからは、複合
体を構成するアルミニウム及びSiCからのピークの他
に、Al2 3 (OH)3 結晶と推定される結晶からの
ピークが観察される。すなわち、本発明の製造方法によ
って前記複合体の表面に、Al2 3 (OH)3 結晶を
含むフッ化物が形成されていることが分かる。
【0014】また、図2に示すSEM写真及び図3に示
す説明図から、複合体を構成するSiCの周囲にAl2
3 (OH)3 結晶などを有する水酸化フッ化アルミニ
ウムから成る粒子状のフッ化物が存在していることが分
かる。したがって、図1及び2より、複合体を構成する
アルミニウムの表面に露出した部分が、水酸化フッ化ア
ルミニウム主結晶相を有するフッ化物で覆われているこ
とが分かる。
【0015】上記のような製造方法によって、複合体の
表面に露出したアルミニウムがフッ化物で覆われるメカ
ニズムは以下のように推察される。フッ化アルミニウム
を含んだ水が加熱されると、このフッ化アルミニウムの
前記加熱された水(以下、熱水と略す場合がある)中へ
の溶解度が増す。したがって、上記のような熱処理によ
って一定時間加熱されると、その温度における飽和溶解
度近くまで、熱水中のAl3+イオン、及びF- イオンが
増加する。一方、アルミニウムを含有した複合体、例え
ば、アルミニウムとSiCとからなる複合体は、容器中
で加圧された熱水と反応することによって、複合体の表
面に露出したアルミニウムがAl3+イオンとなって前記
熱水中に溶け出し、かかる部分が非常に活性な状態とな
る。
【0016】熱処理が終了して冷却過程に入ると、溶解
しきれなくなったAl3+イオン及びF- イオンが、水中
のOH- イオンと下式(1)に示すような反応式に基づ
いて反応し、前記複合体の活性な部分にAl2 3 (O
H)3 の結晶核を形成する。その後、冷却が進行するに
つれて、前記溶解しきれなくなったAl3+イオン及びF
- イオンから生成したAl2 3 (OH)3 が、前記結
晶核を中心として次々と析出するため、最終的に、Al
2 3 (OH)3 主結晶相を含んだフッ化物が前記複合
体の表面に露出したアルミニウム部分に形成されるもの
である。 2Al3++3OH- +3F- →Al2 3 (OH)3 ↓ (1)
【0017】なお、本発明のフッ化物は、前記複合体の
表面に露出したアルミニウムを、必ずしも層状に覆って
いる必要はなく、粒子状のフッ化物が密に並んで覆って
いる場合など、前記複合体の表面に露出したアルミニウ
ムに耐腐食性を付与することができれば、その形態につ
いては特に限定されるものではない。
【0018】また、本発明でいう水酸化フッ化アルミニ
ウムは、前記Al2 3(OH)3 の他に、AlF1.65
(OH)1.35・xH2 O、Al2 3.24(OH) 2.76
2 O、及びAl(OH,F)3 ・0.375H2 Oな
どの水和物を含んだ総称である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態に基づい
て、本発明を詳細に説明する。本発明の耐食性部材を構
成する複合体は、少なくともアルミニウムを含有してい
ることが必要である。これによって、例えば、SiCな
どからなる多孔質基材にアルミニウムを含浸させるなど
することにより、部材の大型化を容易にすることができ
る。なお、本発明でいう部材の大型化とは、1片が50
cm〜2m程度の大きさの部材をいう。
【0020】また、前記複合体を構成しているアルミニ
ウムの表面露出部分が、フッ化物で覆われていることが
必要である。これによって、前記複合体のハロゲン系腐
食性ガスに対して耐腐食性の低いアルミニウム部分に、
これらガスに対する耐腐食性を付与することができる。
【0021】上記フッ化物は、水酸化フッ化アルミニウ
ムからなる主結晶相及びAlF3 からなる主結晶相の少
なくとも一方を含むことが好ましい。これらの結晶相は
極めて安定なフッ化物相であるため、このようなフッ化
物を含んだ部材を比較的高い温度で使用した場合におい
ても、フッ化物が熱分解などすることなく、前記部材は
ハロゲン系腐食性ガスに対して極めて高い耐腐食性を示
す。
【0022】さらに、前記複合体はSiCを含有してい
ることが好ましい。これによって、上記アルミニウムの
含浸などによる部材の大型化と共に、フッ化物で覆われ
ているアルミニウム部分以外の複合体部分に対し、前記
ハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性を付与すること
ができる。しかしながら、本発明の複合体は上記SiC
の他に、AlNなどを含有させることもできる。
【0023】本発明の耐食性部材は、好ましくは、少な
くともアルミニウムを含有した複合体を、フッ化アルミ
ニウム粉末と水とが入った容器中において熱処理して製
造する。これによって、上述したような作用により、複
合体の表面に露出したアルミニウム部分をフッ化物で覆
うことができ、その結果、前記部材に対してハロゲン系
腐食性ガスに対する耐腐食性を付与することができる。
フッ化アルミニウム粉末としては市販のものを使用する
ことができ、その平均粒径は一般に1〜5μmである。
【0024】発明における熱処理温度は、その下限が1
00℃であることが必要であり、好ましくは150℃、
さらに好ましくは200℃である。熱処理温度の下限が
100℃未満であると、上述の作用における、熱水中へ
のAl3+イオン及びF- イオンの溶解量が不足すると推
察され、その結果、複合体の表面に露出したアルミニウ
ム部分をフッ化物で覆うことができない。また、熱処理
温度の上限は特に限定されるものではないが、反応に使
用する容器の耐圧を考慮すると、300℃以下であるこ
とが好ましく、さらには200℃以下であることが好ま
しい。
【0025】本発明の熱処理時間は、水に対するフッ化
アルミニウム粉末の量や熱処理温度、さらには複合体の
表面に露出したアルミニウムを覆うフッ化物の割合に依
存して変化するが、通常は5〜40時間の間で行う。
【0026】水に対するフッ化アルミニウム粉末の量
は、本発明の製造方法にしたがって複合体の表面に露出
したアルミニウムをフッ化物で覆うことができれば、特
に限定されるものではないが、上記のような熱処理温度
において、前記アルミニウムの被覆を比較的短時間で行
うためには、水100ccに対して、フッ化アルミニウ
ム粉末が1〜5gであることが好ましい。
【0027】前記容器としては、ステンレス容器やテフ
ロン製分解容器など市販のものを使用することができ、
熱処理に使用するヒータについても市販のものを使用す
ることができる。ただし、液温を100℃以上に昇温す
る必要があることから、上記容器は密閉型であることが
必要である。
【0028】本発明においては、上記のように、フッ化
アルミニウム粉末と水とを入れた容器中で前記複合体に
対して熱処理を施した後、この複合体に対して、大気中
での熱処理を施すこともできる。このように大気中で再
度の熱処理を施すことにより、複合体の表面に露出した
アルミニウムを覆うように形成されたフッ化物中の水分
を取り除くことができるとともに、結晶性の高いフッ化
物を得ることができ、このような複合体から構成される
部材の耐腐食性をさらに向上させることができる。
【0029】例えば、上述したような熱処理によって、
複合体のアルミニウム部分が、Al2 (OH)3 3
どの水酸化フッ化アルミニウム主結晶相を含んだフッ化
物で覆われている場合において、前記複合体に、さらに
大気中における熱処理を施すと、下記式(2)に示すよ
うな反応によって前記フッ化物中の水分が取り除かれ
る。さらに、この場合においては、Al2 (OH)3
3 主結晶相からAlF3 が生成する。このAlF3 は高
い結晶性を示すとともに、高温においても極めて安定で
あるため、前記のようなハロゲン系腐食性ガスに対し、
極めて高い耐腐食性を示す。 2Al2 (OH)3 3 →2AlF3 +Al2 3 +3H2 O↑ (2)
【0030】大気中における熱処理の温度は、上記のよ
うな効果を発現させるべく、その下限が400℃である
ことが必要であり、好ましくは500℃である。また、
大気中における熱処理温度の上限は、特に限定されるも
のではないが、アルミニウムの融点が660℃であるこ
とから600℃以下であることが好ましい。
【0031】大気中における熱処理時間は、上記熱処理
温度、並びに所望するフッ化物の結晶度、さらには取り
除く水分量等によって変化するが、一般には1〜5時間
の間で行う。この大気中で行う熱処理も上記同様に市販
のヒータなどを用いて行うことができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の耐食性部材及びその製造方法
を具体的に説明する。 実施例1 80ccのテフロン容器中に平均粒径5μmのフッ化ア
ルミニウム粉末0.2gと純水20ccを入れ、フッ化
アルミニウム粉末を前記テフロン容器の底に沈殿させ
た。次いで、複合体とフッ化アルミニウム粉末とが直接
接触しないように、前記フッ化アルミニウム粉末上にテ
フロンメッシュを入れた後、このテフロンメッシュ上に
直径20mm、厚さ2mmのアルミニウムとSiCとか
らなるセラミックス複合体を載置した。次いで、このテ
フロン容器をステンレス容器に入れ、さらにこのステン
レス容器を密閉した後、乾燥機に入れて熱処理を実施し
た。熱処理は180℃で20時間行い、その後、室温放
置によって内部温度が30℃以下になるまで冷却した。
【0033】その後、複合体を取り出して、表面の状態
をX線及びSEMによって調べた。図1に示すX線回折
パターンからは、アルミニウム結晶ピークと、SiC結
晶ピークと、Al2 3 (OH)3 結晶と推定される結
晶ピークとが観測される。すなわち、セラミックス複合
体に起因したアルミニウム結晶ピーク、SiCピークの
他に、Al2 (OH)3 3 結晶ピークが観測されるこ
とから、前記セラミックス複合体の表面にはフッ化物が
形成されていることが分かる。
【0034】また、図2に示すSEM写真及び図3に示
す説明図からは、複合体を構成するSiCを囲むように
して、大きさ10〜20μm程度の粒子状のAl 2 3
(OH)3 の水酸化フッ化アルミニウム主結晶相からな
るフッ化物が形成されていることが分かる。以上、図1
及び2に示すX線回折パターンとSEM写真とから、複
合体を構成するアルミニウムの表面に露出した部分がフ
ッ化物で覆われていることが分かる。
【0035】実施例2 実施例1と同様の複合体を用いると共に、実施例1と同
様にして複合体に熱処理を施した後、この複合体を大気
中に取り出し、アルミナ板に載置した後に、電気炉に設
置し、大気中、500℃で2時間の熱処理を実施した。
その後、自然放置して温度が30℃以下になったところ
で、電気炉から取り出した。
【0036】この複合体の表面にX線を照射して、表面
の状態を調べたところ、複合体を構成するアルミニウム
結晶からのピーク及びSiC結晶からのピークの他に、
AlF3 結晶からのピークが観測された。すなわち、複
合体の表面にはAlF3 主結晶相を有するフッ化物が形
成されていることが分かる。また、この複合体の表面を
SEM分析したところ、図2と同様に、SiCの周囲に
AlF3 結晶からなる粒子状のフッ化物が形成されてい
た。したがって、複合体を構成するアルミニウムの表面
がAlF3 主結晶相を含んでなるフッ化物で覆われてい
ることが分かる。
【0037】比較例1 熱処理温度を60℃にした以外は、実施例1と同様にし
て実施した。上記実施例同様に、熱処理後の複合体をX
線及びSEMによって観察したところ、フッ化物に起因
したピークは観測されないとともに、何らの堆積物も観
察されなかった。
【0038】比較例2 フッ化アルミニウム粉末の代わりにフッ化カルシウム粉
末を用いた以外は、実施例1と同様にして実施した。熱
処理後の複合体をX線及びSEMによって観察したとこ
ろ、フッ化物に起因したピークは観測されないととも
に、何らの堆積物も観察されなかった。
【0039】実施例3、4及び比較例3 以上実施例1、2、及び比較例1において得られた部材
に対して腐食性試験を実施した。なお、実施例3、4、
及び比較例3は、それぞれ順に実施例1、2、及び比較
例1に対応したものである。腐食性ガスは、13.56
MHz、1kWのICPで、温度300℃、ガス流量3
00sccm、圧力0.1TorrのCl2 ガスを励起
した励起ガスを用いた。この励起ガス中に前記部材を5
時間保持し、試験前後の重量変化によって耐腐食性を評
価した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1から分かるように、本発明の製造方法
にしたがって、複合体の表面に露出したアルミニウムが
フッ化物で覆われている場合は、腐食性試験前後の重量
変化が小さく、Cl2 ガスなどのハロゲン系腐食性ガス
に対する耐腐食性の高いことが分かる。一方、本発明の
製造方法と異なって製造した、複合体の表面に露出した
アルミニウムがフッ化物で覆われていない部材の場合
は、腐食性試験前後の重量変化が大きく、Cl2 ガスな
どのハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性の低いこと
が分かる。
【0042】さらに、フッ化物がAlF3 主結晶相から
なる場合は、フッ化物がAl2 3 (OH)3 と推定さ
れる主結晶からなる場合に比べて部材の重量減が小さ
く、AlF3 フッ化物がハロゲン系腐食性ガスに対して
高い耐腐食性を示すことが分かる。
【0043】以上、実施例において具体的な例を挙げる
とともに、発明の実施に形態に基づいて本発明を詳細に
説明したが、本発明は上記内容に限定されるものではな
く、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる
変形や変更が可能である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐食性部
材及びその製造方法によれば、極めて簡易かつ安定な方
法で、ハロゲン系腐食性ガスに対する耐腐食性に優れた
フッ化物、特に、Al2 3 (OH)3 などの水酸化フ
ッ化アルミニウム主結晶相及びAlF3 主結晶相の少な
くとも一方を含むフッ化物で、複合体を構成するアルミ
ニウムの表面露出部分を覆うことができるため、ハロゲ
ン系腐食性ガスに対して高い耐腐食性を有する耐食性部
材を得ることができる。また、本発明の製造方法の簡易
かつ安定な特質から、前記耐食性に優れた部材を低コス
トで、大規模に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐食性部材表面のX線回折パターンを
示す図である。
【図2】本発明の耐食性部材表面のSEM写真である。
【図3】図2に示すSEM写真の説明図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともアルミニウムを含有してなる複
    合体において、前記複合体における前記アルミニウムの
    表面露出部分がフッ化物で覆われていることを特徴とす
    る、耐食性部材。
  2. 【請求項2】前記複合体は、炭化珪素を含むことを特徴
    とする、請求項1に記載の耐食性部材。
  3. 【請求項3】前記フッ化物は、水酸化フッ化アルミニウ
    ムからなる主結晶相及びAlF3 からなる主結晶相の少
    なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2
    に記載の耐食性部材。
  4. 【請求項4】少なくともアルミニウムを含有してなる複
    合体を、フッ化アルミニウム粉末と水とを入れた所定の
    容器中に設置し、この容器を加熱することによって、前
    記複合体に温度100℃以上の熱処理を施し、前記複合
    体における前記アルミニウムの表面露出部分をフッ化物
    で覆うことを特徴とする、耐食性部材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記複合体は、炭化珪素を含むことを特徴
    とする、請求項4に記載の耐食性部材の製造方法。
  6. 【請求項6】前記フッ化物は、水酸化フッ化アルミニウ
    ムからなる主結晶相を含むことを特徴とする、請求項4
    又は5に記載の耐食性部材の製造方法。
  7. 【請求項7】少なくともアルミニウムを含有してなる複
    合体を、フッ化アルミニウム粉末と水とを入れた所定の
    容器中に設置し、この容器を加熱することによって、前
    記複合体に温度100℃以上の熱処理を施した後、前記
    複合体を大気中に取り出し、前記複合体に大気中で温度
    400℃以上の熱処理を施して、前記複合体における前
    記アルミニウムの表面露出部分をフッ化物で覆うことを
    特徴とする、耐食性部材の製造方法。
  8. 【請求項8】前記複合体は、炭化珪素を含むことを特徴
    とする、請求項7に記載の耐食性部材の製造方法。
  9. 【請求項9】前記フッ化物は、AlF3 からなる主結晶
    相を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の耐
    食性部材の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022038886A1 (ja) * 2020-08-20 2022-02-24 昭和電工株式会社 耐食性部材

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