JP2000136844A - 変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装置 - Google Patents

変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装置

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JP2000136844A
JP2000136844A JP10324458A JP32445898A JP2000136844A JP 2000136844 A JP2000136844 A JP 2000136844A JP 10324458 A JP10324458 A JP 10324458A JP 32445898 A JP32445898 A JP 32445898A JP 2000136844 A JP2000136844 A JP 2000136844A
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actuator
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displacement
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電素子等をアクチュエータとして使用する
除振装置の能力を十分に引き出す。 【解決手段】 弾性体を介して中間プレートに結合する
除振対象を、中間プレートおよび変位発生形アクチュエ
ータを介して設置位置に設置し、変移発生形アクチュエ
ータで中間プレートを駆動する振動絶縁装置において、
除振対象から設置位置までの系内における各構成部材の
振動を検出し、その検出信号に対して特定の変換を行
い、変換した信号により変位発生形アクチュエータを駆
動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レチクルの回路パ
ターンを半導体ウエハに焼き付ける半導体露光装置また
は液晶基板製造装置あるいは電子顕微鏡等に用いられる
アクティブ除振装置に関する。より詳しくは、代表的に
は圧電素子等を用いた除振装置であって、従来技術を包
含する汎用的なフィードバックを備える変位発生形アク
チュエータ能動振動絶縁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビームを使う電子顕微鏡またはステ
ッパ、スキャナー等に代表される半導体製造装置では、
除振装置上にXYステージが搭載されている。この除振
装置は、空気ばね、コイルばね、防振ゴム等の振動吸収
手段により振動を減衰させる機能を持つ。しかし、上述
の如き振動吸収手段を備えた受動的除振装置において
は、床から伝播する振動についてはある程度減衰できて
も、同装置上に搭載されているXYステージ自身が発生
する振動は有効に減衰できない、という問題がある。つ
まり、XYステージ自身の高速移動によって生じる反力
は除振装置を揺らせることになり、この振動はXYステ
ージの位置決め整定性を著しく阻害するものであった。
さらに、受動的除振装置においては、床から伝播する振
動の絶縁(除振)とXYステージ自身の高速移動で発生
する振動の抑制(制振)性能の間にトレードオフの問題
がある。これらの問題を解消するため、近年は能動的除
振装置(以下、アクティブ除振装置と呼ぶ)を使用する
傾向にある。アクティブ除振装置は可調整機構の範囲内
で除振と制振のトレードオフが解消できるし、なにより
もフィードフォワード制御を積極的に適用することによ
って受動的除振装置では達成できない性能を取得するこ
とができる。
【0003】しかし、半導体製造装置を代表とする嫌振
装置への振動伝播をさらに抑制するために、低周波数域
まで除振を行う必要がでてきた。そのために、微小変位
を精度よく制御可能な圧電素子を使った能動振動絶縁装
置を半導体製造装置の除振に使用する試みがなされてい
る。しかしながら、空気ばね、あるいは電磁モータを使
った除振装置は、開発の進展が著しく実用レベルに達し
ているが、圧電素子をアクチュエータとして用いた能動
振動絶縁装置は、研究レベルでの検討に留まっている。
その制御装置の構成については、検討行為が不十分であ
って、圧電素子本来の能力を十二分に活かした使い方が
なされていない、という課題が残されていた。
【0004】図2は圧電素子がアクチュエータとして組
み込まれる除振ユニットの一構造である。同図におい
て、1は圧電素子、2は板ばね、3は積層ゴム、4は除
振対象となる例えばステッパ、5は中間プレート、であ
る。この構造の力学モデルは図3となり、図示の記号を
用いて運動方程式を次式で示す。
【0005】
【数1】 ここで、 Mp :除振対象の質量 Κi :除振対象と中間プレート間の主に積層ゴムのばね
定数 Ci :除振対象と中間プレート間の主に積層ゴムの粘性
摩擦係数 Ms :中間プレートの質量 Ks :圧電素子のばね定数 x:除振対象の変位 v:中間プレートの変位 u:床振動の変位 z:圧電素子の変位 fp :除振対象への外乱 である。
【0006】まず、特開平8−54039(剛性アクチ
ュエータ能動振動絶縁装置)に開示されている技術内容
を踏まえた解析を行う。(1)と(2)式に示した圧電
素子をアクチュエータとする能動振動絶縁装置のフィー
ドバック構成を説明するブロック図は図4のようにな
る。図示のようにフィードバックループは2系統存在し
ている。図示の記号を使って、フィードバックを次式で
示す。
【0007】
【数2】 ここで、Cd :絶対変位のフィードバックゲイン、C
v :絶対速度のフィードバックゲインである。(1)か
ら(3)式より除振対象の変位x、床振動の変位uおよ
び外乱fp の間の関係を求めると次式を得る。
【0008】
【数3】 上式より、床振動の変位uから質量Mp の除振対象の変
位xまでの除振率は、(4)式右辺第一項である。s→
0とおいて直流域での除振率は次式のようになる。
【0009】
【数4】 つまり、ゲインCd の調整によって直流での除振率を0
[dB]以下にすることができる。これが、空気ばねあ
るいは電磁アクチュエータを用いた除振装置との決定的
な差異となる。通常、空気ばねをアクチュエータとする
能動的除振装置では、加速度(絶対加速度)の検出に基
づく振動制御ループによってダンピングを付与し、床と
除振台との間の相対変位に基づく位置制御ループとによ
って指定した姿勢の保全を行っている。相対変位のフィ
ードバックのため、低周波域の除振率は0[dB]であ
りこの値を下回ることはない。
【0010】(6)式の実現は、ゲインCd の絶対変位
のフィードバックを施しているからに他ならない。つま
り、絶対変位のフィードバックによってスカイフックス
プリングを実現しているのである。スカイフックスプリ
ングの実現は、例えば空気ばねをアクチュエータとする
除振装置でも、原理的には実現できる。すなわち、空気
ばねを駆動するサーボバルブへの入力から空気ばねが発
生する圧力までの特性は概ね積分特性と見做すことがで
きるが、この特性を踏まえて空気ばねで支持する除振台
の加速度を検出して、これを積分補償を通してサーボバ
ルブの入力に負帰還する。このようにすると、原理的に
は空気ばねをアクチュエータとする除振台でもスカイフ
ックスプリングが実現できる。しかしながら、実際に
は、空気ばねやリニアモータに代表される電磁モータ等
の力発生形アクチュエータを使用する除振装置において
スカイフックスプリングが実現され、それが実稼働して
いる例はない。変位発生形アクチュエータの代表である
圧電素子等を使うことによってはじめて変位が精密にコ
ントロールでき、以って剛性も精密にコントロールでき
るのであり、力発生形アクチュエータを使ったスカイフ
ックスプリングの実現は実用的には困難であると考えら
れる。
【0011】次に、外乱fp からxまでの応答は(4)
式右辺第二項であり、s→0とおいて直流域の応答は次
式である。
【0012】
【数5】 上式は、直列ばね系のコンプライアンスを表現してい
る。第1項は中間プレートと除振対象の間に挿入した固
いゴムのコンプライアンスを、第2項は圧電素子と中間
プレー卜間のスプリングおよびフィードバックによって
作りだされたスプリングのコンプライアンスをそれぞれ
示す。第2項は、圧電素子と中間プレート間のスプリン
グKs と絶対変位フィードバックによって作りだされた
スプリングKsd が並列接続となっていることが分か
る。ゲインCd を大きくすると(7)式のコンプライア
ンスは低下して制振特性は向上するが、コンプライアン
スの大きさは第1項より小さくすることはできない。
【0013】以上、(6)式と(7)式の何れも静的な
関係式に基づいて、絶対変位のフィードバックゲインC
d の効果を陽に示すことができた。
【0014】次に、絶対速度のフィードバックゲインC
v の効果を説明する。(5)式の特性方程式のs2 項と
s項に係る各係数を吟味することによって、あるいは図
4のブロック線図を参照することによってその機能は明
らかである。ゲインCv のフィードバックによって大き
さKsv の粘性摩擦係数が作りだされている。すなわ
ち機構にダンピングを付与して機構の安定化を図ってい
るのである。
【0015】上記解析によって、特開平8−54039
(剛性アクチュエータ能動振動絶縁装置)が開示する従
来の制御技術は理解された。すなわちゲインCv の絶対
速度のフィードバックによって機構にダンピングを与え
て安定化を図るとともに、ゲインCd の絶対変位のフィ
ードバックによって、電気的に剛性を増大せしめ、もっ
て低周波域の除振率を0[dB]以下にしているのであ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】変位発生形の代表的な
アクチュエータである圧電素子等を組み込む能動振動絶
縁装置は、既に半導体製造装置へと適用するための実用
化研究が進展している。しかし、空気ばねや電磁アクチ
ュエータを用いたアクティブ除振装置に比べれば、圧電
素子の特徴を十分引き出すコントロール技術が確立され
ているわけではない。
【0017】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものである。その目的は、圧電素子等をアクチュエー
タとして使用する除振装置の能力を十二分に引き出すた
めの制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、弾性体を介して中間プレートに結合する
除振対象を、中間プレートおよび変位発生形アクチュエ
ータを介して設置位置に設置し、変移発生形アクチュエ
ータで中間プレートを駆動する振動絶縁装置において、
除振対象から設置位置までの系内における各構成部材の
振動を検出し、その検出信号に対して特定の変換を行
い、変換した信号により変位発生形アクチュエータを駆
動することを特徴とする。
【0019】具体的に、本発明の変位発生形アクチュエ
ータ能動振動絶縁装置は、第1の実施態様として、中間
プレートの絶対速度と、除振対象の絶対速度とを検出
し、各絶対速度の検出信号をそれぞれのPID補償器に
入力し、各PID補償器の出力の加算信号に基づいて変
位発生形アクチュエータを駆動する。
【0020】また、第2の実施態様として、中間プレー
トの絶対加速度と、除振対象の絶対加速度とを検出し、
各絶対加速度の検出信号をそれぞれのPII2 補償器に
入力し、各PII2 補償器の出力の加算信号に基づいて
変位発生形アクチュエータを駆動する。
【0021】第3の実施態様として、除振対象と弾性体
の間と、中間プレートと変位発生形アクチュエータの間
とに荷重センサを設け、各荷重センサの出力に基づいて
変位発生形アクチュエータを駆動する。各荷重センサの
出力は、例えば第2の実施態様と同様に、それぞれのP
II2 補償器に導き、各PII2 補償器の出力の加算信
号に基づいて変位発生形アクチュエータを駆動すること
ができる。
【0022】第4の実施態様として、設置位置における
床振動の絶対加速度を検出して、この絶対加速度の検出
信号を二重積分器、もしくは二重疑似積分器に入力し、
その出力に基づいて変位発生形アクチュエータを駆動す
る。
【0023】第5の実施態様として、設置位置における
床振動の絶対速度を検出し、この絶対速度の検出信号を
積分器、もしくは疑似積分器に入力し、その出力に基づ
いて変位発生形アクチュエータを駆動する。
【0024】第6の実施態様として、除振対象が設置さ
れるクリーンルーム床下の機構部材であるポストとブレ
ースに変位発生形アクチュエータを用いたスマートユニ
ットを装着する。スマートユニットとは、圧電素子等を
アクチュエータとしてポストあるいはブレースに力を与
えて、これを伸縮あるいはべンディングさせる機能を有
するものを指す。
【0025】ここで、上述の除振対象はステッパやスキ
ャナーに代表される半導体製造装置である。また、変位
発生形アクチュエータとしては圧電素子または電歪素子
が好適に使用できる。
【0026】
【実施例1】従来の実施例では、中間プレートの絶対変
位と、除振対象の絶対速度とをフィードバックして、そ
れぞれスカイフックスプリングとスカイフックダンパを
実現していた。本発明の変位発生形アクチュエータ能動
振動絶縁装置では、より汎用的に、中間プレートの絶対
変位、絶対速度、絶対加速度、および除振対象の絶対変
位、絶対速度、絶対加速度とをフィードバックする。本
発明の一実施例である図1を参照して、運動方程式は
(1)、(2)式と同様である。再掲して次式に示す。
【0027】
【数6】 本実施例では、圧電素子に発生させる変位の生成則、す
なわち図1の記号を使ってフィードバックを次式とす
る。
【0028】
【数7】 ここでは、除振対象の絶対速度sxと中間プレートの絶
対速度svの検出を基本にして、それに対してPID補
償を施している。そして、Pは比例動作を、Iは積分動
作を、Dは微分動作をそれぞれ意味している。
【0029】絶対速度の検出には例えばジオフォンセン
サが使用できる。ジオフォンセンサ以外の振動検出手段
としては、一般に、加速度センサも使用できる。例え
ば、サーボ形加速度センサである。このセンサは文字通
り加速度信号の検出を基本にしているが、絶対速度の出
力も可能であり、したがって絶対速度sxとsvを検出
して、その検出信号に対して(10)式の補償を施すこ
とは現実的なフィードバック処理である。
【0030】なお、(10)式を(3)式と比較して明
らかであるが、Cxp→Cv ,Cvp→0,Cip→0,Cxs
→0,Cvs→0,Cis→Cd の置き換えを行った場合
が、(3)式に示した従来のフィードバックであり、し
たがって、本発明の(10)式は(3)式を包含する汎
用性の高いフィードバックになっている。
【0031】さて、(8)式から(10)式に基づい
て、(4)式と同様に、除振対象の変移x、床振動の変
移uおよび外乱fp の関係は次式のように求められる。
【0032】
【数8】 とおいている。このとき、直流域の除振率は、
【0033】
【数9】 となる。(13)式において、Cip→0とCis→Cd
置き換えをした特別な場合が(6)式に相当している。
ipが有限の値の場合、(6)式を得たフィードバック
の場合と比べて直流域の除振領域をより拡大することが
できることは明らかである。
【0034】一方、fpからxまでの直流域の特性、すな
わちコンプライアンスは次式となる。
【0035】
【数10】 この式でCip→0とおいてCis→Cd の置き換えをした
とき、(7)式と一致することは容易に確認できる。ま
た、Cipの増加によって、すなわちゲインの増加によっ
て(14)式のコンプライアンスを低下させ得ることは
明らかである。また、d(x/fp )/dCis<0であ
り、Cisの増加によっても(14)式のコンプライアン
スを低下させることができる。
【0036】(13)式と(14)式より、Cipおよび
isの役割が剛性付与にあることは即座に了解できる。
その他のパラメータの役割は、(12)式の特性方程式
d(s)あるいは図1のブロック線図の力学的解釈によ
って明らかであり、以下の通りである。
【0037】 Cxp:粘性項への寄与 Cvp:質量項への寄与 Cxs:粘性項への寄与 Cvs:質量項への寄与
【0038】以上では、鉛直1軸の力学モデルに基づい
てそれに施すフィードバック装置について説明した。水
平方向のフィードバック装置も同様であることは言うま
でもない。また、除振対象の6軸の運動姿勢を制御する
ためには、図2に示す鉛直方向の能動マウントと、不図
示ではあるがほぼ同等の構造を有する水平方向の能動マ
ウントをユニット化した能動マウントを複数台使用する
ことになる。ユニット化した能動マウントのステッパや
スキャナーを代表とする半導体製造装置への組み込み例
は、図5と図6に示す。図5は、半導体製造装置Sがク
リーンルームのグレーティング8上に設置された様子を
示す。図示のように、グレーティング8下の梁9の下に
複数台のユニット化した能動マウントMを配置してい
る。図6は、制振鋼板15の上に半導体製造装置Sを積
載し、グレーティング8と制振鋼板15の間にユニット
化した能動マウントMを複数台配置するものである。
【0039】
【実施例2】実施例1では、振動検出手段として速度セ
ンサ、例えばジオフォンセンサの使用を前提としてい
た。つまり、図7を参照して、BとDの速度信号を検出
し、これをフィードバック信号としていた。しかし、振
動検出手段としては、より一般的に、サーボ形加速度セ
ンサが使用できる。この場合、実施例1で述べたように
サーボ形加速度センサからは速度信号も出力可能なもの
があり、得られる速度信号を(10)式にしたがってフ
ィードバックすればよい。サーボ形加速度センサから文
字通り加速度信号が検出される場合には、この信号を次
式にしたがってフィードバックすればよいことになる。
すなわち、PII2 補償器とする。
【0040】
【数11】 すなわち、図7においてB’とD’の加速度信号を検出
し、これをフィードバック信号としても構わないのであ
る。B’とD’の信号がフィードバック信号として使用
できるのであれば、AとCの信号は加速度信号B’と
D’と同じ性質を持つので、これをフィードバックの信
号として使用することができる。AとCの信号とは、除
振対象と中間プレートに加わる荷重であり、これらは荷
重センサを装着することによって容易に信号を取り出す
ことができる。力学モデルは図8に示す。図示のよう
に、質量Ms の中間プレートと質量Mp の除振対象に加
わる荷重は、各荷重センサ16によって検出でき、その
出力は(15)式にしたがってフィードバックされる。
【0041】
【実施例3】図1および図4のフィードバックはとも
に、床振動uの伝播を除振対象の変位xのところで抑制
するという出力抑制の考えに基づく。一方、床振動uの
伝播を入力端で相殺することもできる。この場合には、
図7を参照してE’の信号、すなわち床振動の加速度d
2u/dt2を検出してフィードフォワード処理する。従
来、圧電素子をアクチュエータとして用いる能動振動絶
縁装置においては、設置床に振動検出用のセンサを設置
してこの出力を利用したフィードフォワード構成は明確
にされていなかった。
【0042】さて、床の振動変位uの質量Mp の除振対
象への伝播を抑制するために、図9を参照して、床振動
の加速度d2u/dt2を検出して、Gff(s)を介して
圧電素子の変位を発生させるようにする。つまり、除振
システムへの入力端で、床振動の影響をキャンセルする
のである。具体的に、
【0043】
【数12】 のように二重積分器とすることによって床振動の侵入を
メカニカルシステムへの入力端で抑制することができ
る。実用的には、次式のように1次遅れフィルタを2段
カスケード接続した伝達関数とする(図10参照)。
【0044】
【数13】 ここで、a0 は床振動の加速度を検出する加速度センサ
の感度、その検出出力に対するフィードフォワードのゲ
イン、および圧電素子を駆動するドライバのゲインを含
める。
【0045】床振動の振動検出手段によって、絶対速度
が検出できる場合、すなわち図7を参照してEの信号が
検出できるとき、(16)式と(17)式の次数は1次
下がってそれぞれ次式のようになる。
【0046】
【数14】 もちろん、実施例1から実施例2のフィードバックと
(16)から(19)式のフィードフォワードの何れか
とを併用することは妨げられない。
【0047】
【実施例4】実施例1と実施例2は何れも変位発生形ア
クチュエータの圧電素子を除振対象物を数個のマウント
で支持することによって、対象とする半導体製造装置へ
の振動伝播を抑制していた。すなわち、圧電素子を組み
込んだ能動マウントを複数個用意して、これを例えば、
半導体製造装置ごとに防振支持するように配置してい
た。
【0048】しかし、着目する装置だけではなく、半導
体製造装置を設置するクリーンルーム内全体の床振動を
抑制することができればより望ましいことになる。周知
のように、LSI製造施設等のクリーンルームでは通
常、二重床構造が採用されている。床下は、リターンダ
クト、設備配管スペースとして利用するためである。し
たがって、床下は半導体製造装置群を設置する床全体を
除振するための能動振動絶縁装置の設置スペースとして
も利用できると考えられる。半導体製造装置を設置する
クリーンルームの床そのものを能動振動絶縁装置化して
しまうことは、大掛かりな改修工事をすることなく、既
設の構造をほどんどそのまま使って実現することができ
る。本実施例では実施例1から実施例3の中で開示した
変位発生形アクチュエータに対するフィードバックの考
え方をそのまま使って、クリーンルームの床を構成する
機構部材を圧電素子を付加することによってインテリジ
ェント化する。このようにすると、クリーンルーム床下
の機構部材は、能動振動絶縁装置として生まれ代わる。
この考え方は、構造部材にアクチュエータやセンサを組
み込んだスマート構造の実用化研究に思想の片鱗をみる
ことができる。ここで、スマート構造とは、元々、軽量
で柔軟な宇宙構造物の制振のために研究開発されたもの
である。
【0049】さて、従来の二重床の構造は図11のよう
である。床下のレイアウトを容易に変更できるように、
脱着可能なジャッキ式のポスト6やブレース7を使って
グレーティング8を敷いたフリーアクセスフロアの振動
環境を制御するとともに、床下空間を拡大し、レイアウ
ト変更にも柔軟に対応できる構造としていた。ここで、
ポスト6とブレース7は、梁9や固定柱10と剛に結合
した取付金具11等を使ってボルト固定され、引張りや
圧縮のプレストレスを交互に加えて微振動を拘束するよ
うに使用される。
【0050】本発明では、ポストやブレースをそれら本
来の機能は保存したまま、アクティブ機能を新たに付加
する。より、具体的に、図12を参照する。同図におい
て、ポスト6とブレース7にはそれぞれスマートユニッ
ト12が新規に取付けられている。ここで、スマートユ
ニット12は、圧電素子13とそれに対して圧縮力を印
加するためのボルト14と、ポスト6あるいはブレース
7と剛の結合をさせるためのフレーム17とから構成す
るものを指す。以下、スマートユニット12を取付けた
ポストとブレースをそれぞれアクティブポスト6’、ア
クティブブレース7’と呼ぶことにしよう。
【0051】圧電素子の発生変位は微小であるが、発生
推力は大きいことが特徴である。ポストやブレースを圧
電素子13の駆動によって伸縮またはベンディングさせ
ることが可能であり、そのような作用を持たせることに
よって、梁9で構成するクリーンルームの床全体の振動
レベルを下げることができる。
【0052】なお、アクティブポスト6’とアクティブ
ブレース7’のコントロールは以下の通りである。
【0053】(1)図12を参照して、梁9にわたって
数箇所に分布して設けた不図示の振動検出手段の出力に
基づいて制御する。 (2)あるいは、グレーティング8の上に設置する半導
体製造装置の中に元々内蔵する振動検出手段、あるいは
アクティブポスト6’とアクティブブレース7’の制御
のために特に半導体製造装置内に設置した振動検出手段
の出力に基づいてコントロールする。
【0054】なお、変位発生形のアクチュエータの代表
である圧電素子を用いて本発明の具体的な説明を行っ
た。しかし、本発明の変位発生形アクチュエータ能動振
動絶縁装置は、圧電素子の使用に限定されるものではな
く、変位発生形アクチュエータである磁歪素子あるいは
超磁歪素子を用いてもよいことは言うまでもない。
【0055】
【発明の効果】本発明の効果は以下のとおりである。 (1)制御性の良好な変位発生形のアクチュエータであ
る圧電素子を除振・制振に用いているので、容易にスカ
イフックスプリングを実現することができる。スカイフ
ックスプリングとは、空間内の絶対静止点から除振対象
に作用するスプリングである。低周波の除振率を0[d
B]以下にすることができ、かつ外乱に対する応答の振
幅を小さくする作用がある。 (2)本発明のフィードバックは、従来技術が開示する
フィードバックを包含する汎用性の高い構成である。従
来、(3)式のフィードバックであったものを本発明で
は(10)式あるいは(15)式となすので、明らかに
調整せねばならないパラメータは増えて煩雑である。し
かし、搭載する振動検出手段の出力信号を最大限に活か
し切っているのであり、例えば(13)式にみられるよ
うに除振率の一層の低減を図ることができるという効果
がある。 (3)本発明の変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁
装置を備えることによって、半導体製造装置を設置する
床振動を低減することができるので、精度の高いICの
焼き付けが可能となるとともに、歩留まりが向上して生
産性に寄与するところが大という効果がある。 (4)二重床構造のクリーンルーム床下を能動振動絶縁
装置を設置するエリアと考え、既設のポストとブレース
をそれぞれアクティブ化している。したがって、半導体
製造装置群を配置するクリーンルーム全体の床振動を低
減することができるという効果がある。 (5)アクティブポストとアクティブブレースはクリー
ンルームの床下に分布して配置される。したがって、半
導体製造装置を設置するエリアごとに床振動が異なる状
況に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す変位発生形アクチュ
エータ能動振動絶縁装置のフィードバック構成を示すブ
ロック図である。
【図2】 圧電素子を組み込む能動マウントの一構造を
示す図である。
【図3】 圧電素子をアクチュエータとする除振ユニッ
トの力学モデルを示す図である。
【図4】 従来技術に係り圧電素子をアクチュエータと
する能動振動絶縁装置のフィードバック構成を説明する
ブロック図である。
【図5】 ユニット化した能動マウントの半導体製造装
置への組み込み例(その1)を示す図である。
【図6】 ユニット化した能動マウントの半導体製造装
置への組み込み例(その2)を示す図である。
【図7】 本発明に利用可能なセンサ出力を説明するブ
ロック図である。
【図8】 圧電素子をアクチュエータとする能動振動絶
縁装置において荷重センサを備えたときの力学モデルを
示す図である。
【図9】 二重積分器を用いたフィードフォワードの構
成を説明するブロック図である。
【図10】 二重疑似積分器を用いたフィードフォワー
ドの構成説明するブロック図である。
【図11】 フリーアクセスフロアの床下構造を示す図
である。
【図12】 ポストとブレースのアクティブ化構造を示
す図である。
【符号の説明】
1,13:圧電素子、2:板ばね、3:積層ゴム、4:
除振対象、5:中間プレート、6:ポスト、6’:アク
ティブポスト、7:ブレース、7’:アクティブブレー
ス、8:グレーティング、9:梁、10:固定柱、1
1:取付金具、12:スマートユニット、14:ボル
ト、15:制振鋼板、16:荷重センサ、17:フレー
ム、S:半導体製造装置、M:ユニット化した能動マウ
ント。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体を介して中間プレートに結合する
    除振対象を、前記中間プレートおよび変位発生形アクチ
    ュエータを介して設置位置に設置し、前記変移発生形ア
    クチュエータで前記中間プレートを駆動する振動絶縁装
    置において、 前記中間プレートの絶対速度と、前記除振対象の絶対速
    度とを検出し、 前記各絶対速度の検出信号をそれぞれのPID補償器に
    入力し、 前記各PID補償器の出力の加算信号に基づいて変位発
    生形アクチュエータを駆動することを特徴とする変位発
    生形アクチュエータ能動振動絶縁装置。
  2. 【請求項2】 弾性体を介して中間プレートに結合する
    除振対象を、前記中間プレートおよび変位発生形アクチ
    ュエータを介して設置位置に設置し、前記変移発生形ア
    クチュエータで前記中間プレートを駆動する振動絶縁装
    置において、 前記中間プレートの絶対加速度と、前記除振対象の絶対
    加速度とを検出し、 前記各絶対加速度の検出信号をそれぞれのPII2 補償
    器に入力し、前記各PII2 補償器の出力の加算信号に
    基づいて前記変位発生形アクチュエータを駆動すること
    を特徴とする変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装
    置。
  3. 【請求項3】 前記除振対象と前記弾性体の間と、前記
    中間プレートと前記変位発生形アクチュエータの間とに
    荷重センサを設け、前記各荷重センサの出力に基づいて
    前記変位発生形アクチュエータを駆動することを特徴と
    する変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装置。
  4. 【請求項4】 前記設置位置における床振動の絶対加速
    度を検出し、この絶対加速度の検出信号を二重積分器、
    もしくは二重疑似積分器に入力し、その出力に基づいて
    前記変位発生形アクチュエータを駆動することを特徴と
    する変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装置。
  5. 【請求項5】 前記設置位置における床振動の絶対速度
    を検出し、この絶対速度の検出信号を積分器、もしくは
    疑似積分器に入力し、その出力に基づいて前記変位発生
    形アクチュエータを駆動することを特徴とする変位発生
    形アクチュエータ能動振動絶縁装置。
  6. 【請求項6】 前記除振対象が設置される床の床下の機
    構部材であるポストとブレースに前記変位発生形アクチ
    ュエータを用いたスマートユニットを装着したことを特
    徴とする能動振動絶縁装置。
  7. 【請求項7】 前記除振対象が半導体製造装置であるこ
    とを特徴とする請求項1〜6記載の変位発生形アクチュ
    エータ能動振動絶縁装置。
  8. 【請求項8】 前記変位発生形アクチュエータが圧電素
    子または電歪素子であることを特徴とする請求項1〜7
    記載の変位発生形アクチュエータ能動振動絶縁装置。
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