JP2000136479A - 生分解性を有する成型用不織布、その製造方法、同不織布を用いてなる容器形状品 - Google Patents

生分解性を有する成型用不織布、その製造方法、同不織布を用いてなる容器形状品

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JP2000136479A
JP2000136479A JP30465198A JP30465198A JP2000136479A JP 2000136479 A JP2000136479 A JP 2000136479A JP 30465198 A JP30465198 A JP 30465198A JP 30465198 A JP30465198 A JP 30465198A JP 2000136479 A JP2000136479 A JP 2000136479A
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molding
polylactic acid
fibers
fiber
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Katsunori Suzuki
克昇 鈴木
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性があるとともに容易に成型加工が可
能な成型用不織布及びその成型加工品である容器形状品
を得る。 【解決手段】 ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とす
る熱可塑性重合体よりなる繊維が集積され、前記ポリ乳
酸とポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体とは、融点が
100℃以上であるとともに複屈折率が0.015以下
であり、前記繊維相互間が軟化又は溶融によって融着さ
れた部分熱融着領域が散点状に設けられ、乾熱90℃雰
囲気下で測定した縦方向破断伸度と横方向破断伸度との
和が160%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深絞り成型に有用
な生分解性を有する成型用不織布、その製造方法、同不
織布を用いてなる容器形状品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、農業、土木、漁業用途に用いられ
る産業資材用繊維や、生理用ナプキン、おむつ等の衛生
材料ならびにおしぼり、ワイピングクロス等の生活資材
に用いられている繊維には、ポリエステル、ポリオレフ
ィン、ポリアミド等の合成繊維が用いられている。これ
らの繊維は、使用後自然界に放置されると分解されにく
いため、いろいろな問題を生じている。したがって、使
用後これらの産業資材、衛生材料、生活資材等は、土中
に埋められたり焼却することが必要となるが、生分解性
が低いため、土中に埋められるとその土地の利用に制限
が生じる。
【0003】このような問題を解決するためには、自然
界で分解される素材すなわち生分解性重合体を用いるこ
とが考えられる。このような生分解性重合体としては、
セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の
多糖類、微生物により作られるポリ3−ヒドロキシブチ
レートや3−ヒドロキシブチレート及び3ヒドロキシバ
リレートの共重合体、ポリグリコリド、ポリラクチド、
ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ
エチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルが知られ
ている。
【0004】しかしながら、主に使用されるセルロース
系のコットンや再生セルロースは、安価であるが、熱可
塑性でないため加工成型ができない。またバインダー繊
維としてポリオレフィン、ポリエステル繊維等を用いる
と、これらの繊維は生分解されにくいため問題となる。
微生物により作られるポリ3−ヒドロキシブチレートや
3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシバリレー
トの共重合体は、高価であり用途が限定されるという問
題がある。ポリカプロラクトンは、比較的安価な生分解
性ポリマーであるが、融点が約60℃と低く、この温度
は流通段階で生じ得る温度であり、耐熱性の点で問題が
ある。
【0005】また、ポリブチレンサクシネート、ポリエ
チレンサクシネート等は、比較的安価な生分解性ポリマ
ーであり、融点も100℃を超える温度を有している
が、結晶化が遅く、したがって紡糸時に繊維糸条間で密
着が生じやすく、高伸度の繊維や不織布が得られにくい
といった問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、生分解性があるとともに容易に成型加工が可
能な成型用不織布及びその成型加工品である容器形状品
を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達したも
のである。すなわち、本発明は、(1)ポリ乳酸及び/
又はポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体よりなる繊維
が集積され、前記ポリ乳酸とポリ乳酸を主体とする熱可
塑性重合体とは、融点が100℃以上であるとともに複
屈折率が0.015以下であり、前記繊維相互間が軟化
又は溶融によって融着された部分熱融着領域が散点状に
設けられ、乾熱90℃雰囲気下で測定した縦方向破断伸
度と横方向破断伸度との和が160%以上であることを
特徴とする生分解性を有する成型用不織布と、(2)ポ
リ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体
であって融点が100℃以上であるものを用いて溶融紡
糸し、得られた糸条を冷却固化させ、次にこの糸条を3
500m/分以下で牽引・開繊して、複屈折率が0.0
15以下の重合体にて形成された繊維からなる繊維ウェ
ブとし、その後、構成繊維を軟化させて繊維ウェブの繊
維相互間を擬似接着させ、引き続いて繊維ウェブの繊維
を軟化又は溶融させて繊維相互間を部分熱融着させた融
着区域を散点状に形成することで、前記繊維ウェブを一
体化することを特徴とする生分解性を有する成型用不織
布の製造方法と、(3)上記成型用不織布のプレス成型
により容器状に形成されていることを特徴とする容器形
状品と、(4)上記成型用不織布を予熱して構成繊維を
軟化させ、その後に、加熱された金型によって前記成型
用不織布をプレス成型することを特徴とする容器形状品
の製造方法と、を要旨とするものである。
【0008】したがって本発明によれば、ポリ乳酸とポ
リ乳酸を主体とする熱可塑性重合体との融点が100℃
以上であり、この重合体の複屈折率が0.015以下で
あるという特定の繊維にて形成された不織布を成型用基
布として用いるので、低温での深絞り成型性が良好で、
かつ熱劣化も生じない。この成型用不織布は、成型加工
に伴う温度条件の幅が広く、成型品の品質が極めて安定
であり、成型加工における操業上も問題なく、また使用
後の廃棄についても生分解性を有しているため問題とな
らない。特に、生分解性を有する重合体として、ポリ乳
酸及び/又はポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体を用
いているため、他の生分解性樹脂に比べ紡糸性が良く、
熱安定性も優れているという利点がある。このため、食
品型容器、各種生活資材用通気通液成型容器、自動車内
装用各種成型材、育苗用成型容器、インテリア寝装材、
フィルターなど汎用に展開できるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
本発明の生分解性を有する成型用不織布の構成繊維に用
いられる重合体は、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体
とする熱可塑性重合体であって、融点が100℃以上の
ものである。このようなポリ乳酸としては、ポリ(D−
乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共
重合体などが挙げられる。このようなポリ乳酸は、乳酸
の脱水縮合、又は乳酸の環状エステルの開環重合により
得ることができる。ポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合
体としては、乳酸に、ε−カプロラクトン類、α−ヒド
ロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ
吉草酸等のα−オキシ酸類、エチレングリコール、1,
4−ブタンジオール等のグリコール類、コハク酸、セバ
チン酸等のジカルボン酸類、ラウリン酸、ステアリン酸
等の脂肪族カルボン酸類が一種又は二種以上共重合され
たものを用いることができる。共重合することにより融
点が低下するようにコントロールすることができる。
【0010】このように本発明は、生分解性を有する成
型用不織布の構成繊維に用いられる重合体として、ポリ
乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体を
用いているため、生分解性を有する重合体として上述の
ポリカプロラクトンやポリブチレンサクシネートやポリ
エチレンサクシネートなどを用いた場合に比べ、結晶化
が速く紡糸性が良いだけでなく、熱安定性も優れている
という利点を得ることができる。
【0011】これらポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体
とする熱可塑性重合体の数平均分子量は、10000以
上150000以下が好ましい。より好ましくは300
00以上120000以下である。10000以下で
は、繊維として十分な強力が得られない。また1500
00を超えると紡糸時に高粘度となり、製糸性が低下す
ることになる。
【0012】不織布を構成するための、生分解性を有す
る繊維は、上述のポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体と
する熱可塑性重合体であって、融点が100℃以上かつ
複屈折率が0.015以下のものよりなる長繊維であ
る。この繊維は、伸度が100%以上の高伸度繊維であ
る。
【0013】この繊維を用いて不織布を製造するために
熱接着を行い、また熱接着後にある程度の強度を維持す
るためには、上述のように、この繊維の融点が100℃
以上であることが必要である。また不織布によって容器
形状品を成型加工する際に、ある程度の耐熱性が要求さ
れる。例えば乾燥工程や成型工程等の加工工程を通過さ
せることや、製品の流通段階において夏期には80℃程
度のところに保管されることなどから、熱安定性を考慮
して、製品が軟化したり変形したりするおそれを生じな
いようにするためには、繊維の融点は少なくとも100
℃が必要となる。
【0014】繊維を形成する重合体の複屈折率について
は、できるだけ配向を抑える観点から、低いことが好ま
しい。複屈折率が0.015を超えると、構成繊維の軸
方向における分子配向の程度が過度となって、不織布化
したうえで成型加工するときの応力に応じきれなくな
り、そのため深絞り成型ができなくなるおそれが生じ
る。一方、複屈折率の下限は0.001程度にとどめる
ことが好ましく、全く配向していないと、紡糸時に密着
が生じたり製糸性が低下したりするのみならず、不織布
化したうえで成型加工するときにおける、後述の予熱段
階で収縮してしまって成型ができなくなるという問題点
が発生することがある。このため、重合体の複屈折率の
好ましい範囲は0.001〜0.012、より好ましい
範囲は、0.003〜0.010、最も好ましい範囲は
0.003〜0.008である。
【0015】この繊維は100%以上の高伸度であるこ
とが必要であり、100%未満では熱変形を行い難くな
って成型加工用に適さない。この繊維の伸度を100%
以上とするためには、上述のように繊維の複屈折率が
0.001〜0.015であることが必要である。この
ように繊維の伸度が100%以上であることで、この繊
維によって構成される成型用不織布の90℃雰囲気下の
縦伸度と横伸度との和を160%以上にすることがで
き、またこの不織布によって成型される容器形状品を成
型斑のない良好なものとすることができる。
【0016】本発明の繊維は、長繊維が最も好ましい
が、更にこの繊維を用いて機械的な捲縮を付与した後に
適当な長さにカッティングした短繊維、あるいはショー
トカット綿のいずれでも良く、使用目的によって適宜選
択できる。この場合の長繊維は、後述の成型用長繊維不
織布に適用したり、あるいは、長繊維を編織物とした
後、成型用基布としたりすることが可能である。また、
短繊維として形成した場合も、ニードルパンチ短繊維不
織布、流体交絡短繊維不織布、エンボス加工不織布等に
形成したものを成型加工用基布として展開することが可
能である。
【0017】長繊維の繊度は、30デニール以下、特に
15デニール以下であることが好ましい。繊度が30デ
ニールを超えると、長繊維の剛性が高くなって、粗硬感
が強くなり、汎用的な用途に使用しにくくなるので好ま
しくない。また溶融紡糸工程において、紡出糸条の冷却
固化に支障を来したりするので好ましくない。
【0018】なお、上記繊維中には、必要に応じて、艶
消し剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶
化促進剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない
範囲で添加しても良い。
【0019】本発明に係る生分解性を有した成型用不織
布は、上述の長繊維を構成繊維とするものであるが、こ
の長繊維不織布中には、繊維相互間が融着された融着区
域が、散点状に多数設けられていることが必要である。
この融着区域は、熱圧着によって、複合長繊維間が重合
体の軟化又は溶融によって融着したものである。その散
点状に多数設けられた融着区域の形態は、丸型、楕円
型、スリット型、十字型、十葉型、三角型、三葉型、四
角型、五角型、六角型、八角型、ひし形、T型、井型、
長方形型、四葉型、五葉型、六葉型、八葉型、卍型等の
任意の形態を採用できる。この散点状に多数設けられた
融着区域は、圧着面積率で示し測定されるものである。
【0020】この圧着面積率は、不織布の全体面積に対
する融着区域の面積によって表されるものであるが、3
〜50%であるのが好ましい。圧着面積率が3%未満で
あると、不織布の柔軟性は向上するが、不織布強力の低
下をきたしたり、不織布が擦れた場合に毛羽が発生し易
くなったりして、実用面から問題が生じる。また、圧着
面積率が50%を超えると、不織布自体が極めて硬くな
り、ハンドリング性が悪くなる。また成型時の応力が高
くなり、成型性の観点からも問題となることがある。し
たがって、圧着面積率は、4〜40%であることがより
好ましい。これらの点圧着部で融着されることによって
不織布が形態保持されるのであり、しかも、その他の部
分は熱圧着されないため、不織布の曲げ易さ、ハンドリ
ングのよさ、延展性などが付与されるのである。また一
つの融着区域の大きさは、0.1〜2.0mm2 程度で
あることが好ましい。
【0021】圧着点の密度は、6〜150個/cm2
好ましい。6個/cm2 未満であると、不織布の柔軟性
は向上するが、不織布強力が低下しやすくなったり、ま
た不織布が擦れた場合に毛羽が発生し易くなったりし
て、実用面から問題が生じる。また、圧着点の密度が1
50個/cm2 を超えると、不織布自体が極めて硬くな
り、ハンドリング性が悪くなる。したがって、圧着部の
密度が8〜120個/cm2 であるのがより好ましい。
さらに、圧着点の密度が10〜100個/cm2である
のが最も好ましい。
【0022】本発明の成型用不織布を90℃の乾熱雰囲
気下で引張った時の縦方向の破断伸度と横方向の破断伸
度との和は、160%以上であることが必要である。こ
れは、容器形状品の成型時の基布の延展は縦方向と横方
向との両方に寄与し、その結果これらの和が深絞り成型
性に良否を与えるためである。そして成型時において
は、深絞り比すなわち成型金型における成型品の深さ/
相当口径が0.3を超えるものでは、少なくともこの値
が160%必要となるからである。このように縦方向と
横方向との破断伸度の和を160%以上とするために
は、上述のように100%以上の破断伸度を有する繊維
で不織布を構成することが必要である。
【0023】本発明は、この深絞り比が0.4以上、好
ましくは、0.5以上、最も好ましくは、0.6以上と
なるような成型が可能な、成型用長繊維不織布やその製
造方法などを目指したものである。したがって、本発明
の不織布ではこの破断伸度を160%以上とするが、好
ましくは、180%以上、最も好ましくは、200%以
上である。
【0024】本発明の成型用不織布を90℃の乾熱雰囲
気下で1分間熱処理した際の面積収縮率は、5%以下で
あることが好適である。この面積収縮率が大き過ぎる
と、この不織布を用いて容器形状品を成型する直前の予
熱の際や、成型時の金型による加熱の際に、不織布が幅
入りして、成型金型に見合った目標の成型物が得られな
くなる問題や、成型物の品質管理上の問題が生じやすく
なる。
【0025】本発明の不織布の目付は、特に限定しな
い。比較的低目付の不織布は、通気性や排水性を重視し
た分野、例えば排水口フィルターや水切りネット用の成
型品の用途に適している。これに対し比較的高目付の不
織布は、植木用ポットやフィルターや肩パッドなどの、
広範囲の用途に展開できる。
【0026】本発明の容器形状品は、上述の生分解性を
有する成型用不織布のプレス成型により容器状に形成さ
れたものである。このプレス成型により形成された容器
形状品は、フランジ部と、このフランジ部から3次元方
向に突出した容器部とを有するようにするのが好適であ
る。
【0027】次に、本発明の生分解性を有する高伸度繊
維と、生分解性を有する成型用不織布と、この不織布を
用いた容器形状品との製造方法について説明する。な
お、本発明の成型用不織布は、他の方法によって製造さ
れたものであっても差し支えない。
【0028】本発明の生分解性を有する高伸度繊維は、
常法により溶融紡糸し、延伸することなく熱処理するこ
とで製造できる。溶融紡糸の温度は、重合体の分子量に
より異なるが、150〜230℃とすることが好まし
い。熱処理は、余りリラックスを取らず、かつ延伸され
ない条件下で、重合体のガラス転移温度以上かつ融点よ
りも40℃低い温度以下で行うのが好適である。そして
熱処理した後巻き取ることで、所望の繊維を製造でき
る。
【0029】次に、この生分解性を有する高伸度繊維の
詳細な製造方法とともに、本発明の成型用長繊維不織布
の製造方法について説明する。この不織布を製造するた
めには、一般に公知の溶融紡糸によるスパンボンド法を
適用することができる。すなわち、まずポリ乳酸及び/
又はポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体よりなる重合
体であって、融点が100℃以上のものを150〜23
0℃で溶融計量した後、紡糸を行う。この場合の紡糸口
金は、通常の紡糸口金装置のものを使用することができ
る。引き続いて、紡出された繊維を、吹付装置で冷却固
化し、さらにエアーサッカーなどの引き取り手段で35
00m/分以下の速度で牽引−開繊させる。
【0030】本発明においては、繊維糸条をエアーサッ
カーなどにより牽引する際には、糸切れが生じない範囲
内でできるだけ低紡速にすることが望ましい。なぜな
ら、このように低紡速とすることで、上述のように構成
繊維の複屈折率を0.015以下とし、好ましくは0.
002〜0.012の範囲として、繊維の配向つまり結
晶化を低め、成型加工の観点から熱変形しやすくさせる
ためである。
【0031】繊維を引き取るときの牽引速度は、上述の
ように3500m/分以下とするが、好ましくは300
0m/分以下、より好ましくは2800m/分以下、最
も好ましくは2500m/分以下である。なお、この牽
引速度は、1500m/分程度の低速であっても、繊維
及び不織布自体の熱劣化は生じない。
【0032】また本発明では、繊維糸条に十分な延伸を
施さずに3500m/分以下で引き取ることで、伸度1
00%以上の高伸度繊維を製造することができる。高伸
度繊維を最終製品とする場合は、上述の工程のみで処理
を終わる。これに対し成型用の長繊維不織布を製造する
場合には、得られた繊維糸条を移動するコンベヤネット
上に堆積させて繊維ウェブとする。
【0033】本発明では、成型用不織布を製造するに際
し、ウェブを形成した後の熱処理によって、長繊維を軟
化させて繊維ウェブ表層の繊維相互間を疑似接着させる
のが好適である。そして、引き続き熱圧着処理を施し
て、この長繊維の重合体の軟化又は溶融によって繊維相
互を融着させて、融着区域を散点状に設ける。これによ
り繊維ウェブを一体化させ、その後に捲取機で巻き取っ
て不織布を製造することができる。
【0034】本発明においては、繊維ウェブとした後
に、上述のように長繊維を軟化させることによって繊維
ウェブ表層の繊維相互間を疑似接着させるのが好適であ
るが、その理由は次の通りである。すなわち、上述のよ
うに重合体の複屈折率が0.015以下であり、したが
ってウェブを構成する長繊維自体の結晶化が余り進んで
いないことで、熱収縮率が高く、したがって直接に次の
熱圧着処理工程に導入すると、ウェブの収縮乱れや大幅
な幅入りが生じ、品位の悪い不織布しか得られない、と
いう問題の発生を防ぐためである。また、このようにウ
ェブ表層の繊維相互間を疑似接着させることで、コンベ
ヤネットから熱圧着処理工程へのウェブ移行がスムーズ
となり、操業性の向上を図ることが可能となる。
【0035】繊維ウェブ表層の繊維相互間を良好に疑似
接着させるためには、温度条件を、長繊維を構成する重
合体の融点よりも120℃低い温度からこの融点よりも
50℃低い温度までの範囲とし、かつ線圧として、0.
1〜5kg/cm程度の圧力を付与するのが好適であ
る。
【0036】次に、この繊維ウェブに対し、長繊維の重
合体の軟化又は溶融によって融着された融着区域を散点
状に形成する。その際には、乾式不織布用に一般に使用
されている公知の熱エンボス加工機や超音波溶着機など
の装置を適用することができる。
【0037】例えば、熱エンボス加工機を適用する場合
は、加工温度として、一般的には、熱接着成分すなわち
重合体の融点よりも100℃低い温度から、この重合体
の融点よりも5℃低い温度までの範囲を好適に適用でき
る。重合体の融点よりも5℃低い温度を超えた温度とす
ると、不織布の風合いが硬くなって、ハンドリングが悪
く、不織布化のための操業性が低下しやすくなる。ま
た、深絞り成型時の加工性も悪くなりやすくなる。一
方、重合体の融点よりも100℃低い温度未満の温度と
すると、ウェブが熱圧着されにくく不織布の形態保持性
が低下しやすくなる。また熱エンボス加工温度が低いと
ウェブが彫刻ロールに取られ、操業性良く不織布を製造
することができにくくなる。上述のように加工温度はい
ずれも融点以下の温度であるが、重合体の軟化点がその
加工温度の範囲内にあり、しかも彫刻ロールの圧着ポイ
ント部で圧力が付与されることにより、確実に融着され
た状態となる。
【0038】また、不織布を製造する上では、この不織
布における上述の点圧着の形態すなわち模様が、不織布
強力、柔軟性、風合いなどに影響するため重要であり、
彫刻ロールの彫刻面積やその形状が一つのポイントとな
る。彫刻面積の基準は、熱圧着させる時の圧着面積率で
示すことができ、この圧着面積率の好ましい範囲は上述
の通りである。
【0039】一方、超音波溶着機を用いて融着区域を散
点状に形成する際には、彫刻ロールと超音波溶着機構を
もった支持体との間に繊維ウェブを通布し、20kHz
程度の超音波を発振すればよい。溶着状態を変更する場
合には、用いる素材によって超音波の波長を適宜変更す
ればよい。この場合の線圧としては、熱エンボス加工機
の場合とは異なって0.5〜2kg/cm程度を用いれ
ばよい。また、圧着面積率は4〜50%が好ましい。こ
の超音波溶着により点圧着を施す方法は、点圧着部以外
の繊維が殆ど熱の影響を受けず、風合いが硬くならない
ため、より好ましい。
【0040】本発明においては、このようにして得られ
た不織布のプレス成型によって、容器形状品が得られ
る。この容器形状品は、フランジ部と、このフランジ部
から3次元方向に突出した容器部とを有するように構成
するのが好適である。
【0041】このような容器形状品を製造する際には、
上述の成型用不織布をまず予熱し、その後に金型を用い
てプレス成型する。この予熱によって、互いに接触する
繊維同士を融着させ、それによって最終成型品に耐摩耗
性や撥水性を付与することができる。また構成繊維の接
触部のみが融着し、接触部以外では融着は生じないた
め、最終成型品に通気性を付与することもできる。
【0042】この予熱の際には、不織布を構成する繊維
の軟化温度以上かつその融点よりも100℃高い温度以
下の範囲で処理を行うことで、繊維同士が良好に融着
し、その後の成型のための加工性を向上させることがで
きる。
【0043】金型を用いたプレス成型に際し、その金型
の温度は、重合体のガラス転移温度以上かつその融点よ
りも30℃低い温度以下とするのが好適である。金型の
温度が重合体のガラス転移温度よりも低いと、プレス成
型性が悪化しやすくなって、所要の深絞り加工を行いに
くくなる。反対に金型が構成繊維の融点よりも50℃低
い温度を越えた温度となると、成型物が金型に接着し、
この成型物を取り出す際の離型性が低下してしまって、
やはりプレス成型性が悪化しやすくなる。
【0044】上述のように、プレス成型を行う材料とし
ての不織布を構成する長繊維の重合体の複屈折率を0.
015以下として、繊維の配向すなわち結晶化を低める
ことで、プレス成型加工の際に熱変形しやすく、したが
って良好な成型性を確保することができる。また、上記
不織布における乾熱90℃雰囲気下で測定した縦方向破
断伸度と横方向破断伸度との和を160%以上としたこ
とで、上述のようにプレス成型時に良好に深絞り加工す
ることができる。
【0045】また、予熱の段階とプレス成型の段階とに
おいて材料としての不織布を加熱するため、構成繊維に
熱収縮応力が付与される。このため、得られた容器形状
品は、プレス加工されたにもかかわらず、良く目が詰ま
っており、極端な延伸点が存在しないものとすることが
できる。したがって、たとえば育苗用の容器に適用した
場合には、良好な根切り性を付与することができる。
【0046】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお、以下の実施例および比較例における各種
特性の測定及び評価は、次の方法により実施した。
【0047】(1)重合体の融点: パーキンエルマ社
製の示差走査型熱量計 DSC−2型を用い、昇温速度
20℃/分で測定した融解吸収曲線の極値を与える温度
を融点とした。
【0048】(2)重合体の複屈折率: カールツアイ
スイエナ社製の干渉顕微鏡 インタファコを用い、封入
剤として流動パラフィンとα−ブロムナフタリンとの混
合液を用いた。そして、繊維の太さを考慮して繊維を径
方向に多層に分割し、すべての層の複屈折率の平均値を
重合体の複屈折率とした。
【0049】(3)繊維の伸度: 東洋ボールドウイン
社のテンシロンUTM−4−1−100を用い、JIS
L 1069にしたがい測定した。
【0050】(4)不織布の強力、伸度: 東洋ボール
ドウイン社製の テンシロンUTM−4−1−100を
用い、JIS L−1096に記載のストリップ法にし
たがい測定した。すなわち、試料幅5cm、試料長15
cmの、不織布の縦方向(MD)の試料と横方向(C
D)の試料とを各々10個準備し、掴み間隔10cm、
引張速度10cm/分で測定した。 その場合の最大の個
々の引張強力を平均化した値をもって不織布の引張強力
とした。また、その破断時の伸度を平均化した値をもっ
て不織布の引張伸度とした。
【0051】(5)圧着面積率: 不織布の小片を走査
型電子顕微鏡で拡大撮影し、最小繰返単位の面積に対す
る点圧着されている部分の面積の総和の比率を個々に1
0回測定したときの平均値で、不織布の圧着面積率を測
定した。
【0052】(6)不織布の乾熱雰囲気下の面積収縮
率: 1m×1mの大きさの試料の中に、不織布の縦方
向が5cmかつ横方向が5cmとなる大きさの枠を4か
所記載した。その後、四フッ化エチレン樹脂製のシート
のうえに上記試料を置き、熱風循環型熱処理機を用い
て、加熱温度90℃、熱処理時間1分で処理した。その
後に放冷し、上記枠の個々の長さを測定し、最初に記載
した元の面積から熱水処理後の面積を減算して、その差
についての元の面積に対する割合を算出して、面積収縮
率(%)としてた。なお、それらを平均化して、HWS
で示した。
【0053】(7)加熱雰囲気下の破断伸度: インス
トロン社製の加熱雰囲気下引張試験機 MODEL11
22を用い、JIS L−1096に記載のストリップ
法にしたがい測定した。すなわち、試料幅5cm、試料
長15cmの、不織布の縦方向(MD)の試料と横方向
(CD)の試料とを各々10個準備し、掴み間隔10c
m、引張速度10cm/分、内部の雰囲気温度90℃、
温度保持時間1分で測定した。 その時の破断時の伸度を
平均化して、不織布の破断伸度とした。
【0054】(8)耐摩耗性: 縦20cm×横3cm
の試験片を作成し、摩擦試験機(学振型)を用いて測定
した。すなわち、JIS L−0803の綿布3号を摩
擦布として用いて、荷重500gで100往復摩擦させ
た。その後、試験片の外観変化を下記の判定基準に照ら
して判定し、耐摩耗性を評価した。
【0055】 3級:全く毛羽立ちがない 2級:少し毛羽立ちがあるが目立たない 1級:毛羽立ちが目立つ
【0056】(9)生分解性能: 試料片を土中に埋設
し、1年、2年及び3年経過後に取り出してその形態を
観察し、以下の3段階で評価した。 ○:試料片が埋設後2年経過するまでは不織布の形態を
保持し、3年経過時点では崩壊していた。
【0057】 △:試料片が埋設後2年経過するまでに不織布の形態を
崩壊させていた。 ×:試料片が埋設後3年を経過しても不織布の形態を保
持していた。
【0058】(10)成型性: クランプに保持した不
織布を重合体成分の融点よりも30℃高い温度の雰囲気
下で10秒予熱し、次に直ちに加熱金型上に移動させ
て、プレス成型を行った。金型は、上径50mmφ、下
径40mmφ、深さ40mm、底部の隅部の曲率半径3
mmであった。またプラグとのクリアランスは0.5m
mとし、金型及びプラグの温度は共に70℃に保持させ
た。成型後は冷却し、成型物を取り出して深さを測り、
金型との深さの比による熱セット率を求め、下記の基準
で判定を行った。また成型物の外観検査を行い、下記の
基準で成型性の判定を行った。
【0059】熱セット率 ○: 熱セット率が90%以上 △: 熱セット率が70%以上90%未満 ×: 熱セット率が70%未満 外観検査 ◎: 成型物に異常が全く認められない ○: 成型物はおおむね良好 △: 成型斑がややある ×: 成型斑が目立つまたは穴あきがある
【0060】(実施例1)融点が168℃、数平均分子
量が約7万、ASTM−D−1238Eの処方で測定し
たメルトインデックス値(190℃)が12g/10
分、D−乳酸/L−乳酸のモル比が1/99であるポリ
乳酸を210℃で溶融し計量した後、通常の丸孔を有す
る紡糸用口金装置(温度210℃)を用い、単孔吐出量
を0.83g/分として紡糸を行った。
【0061】引き続いて、冷却装置を介してエアーサッ
カーで紡出糸条を2500m/分で牽引し、開繊し、移
動するコンベヤネット上に堆積して、繊度が3デニール
の繊維ウェブを得た。この繊維の複屈折率は0.01
1、その伸度は115%であった。
【0062】この繊維ウェブを、加熱回転ロール(温度
が70℃、線圧が0.5kg/cm)に接触させ、ウェ
ブの表層を疑似接着させた。その後、圧着面積率が15
%、圧着部密度が22個/cm2 、圧着部面積が0.7
mm2 の彫刻ロールと、フラットロールとを備えた超音
波融着装置で、線圧を2kg/cmとして、上述の繊維
ウェブを点圧着した。これにより、目付が約100g/
2 の長繊維不織布を製造した。また、上述のようにし
て不織布の特性を測定した。
【0063】その不織布を成型加工用基布とし、上述の
(10)の条件で成型加工を行って、成型性を評価し
た。以上の結果を表1に示す。
【0064】表1から明らかなように、安定した操業状
態で長繊維不織布を得ることができた。得られた不織布
は、熱安定性を持ち、成型加工のために必要な基本性能
を有するものであって、成型性が良好で深絞り成型に好
適である。
【0065】
【表1】
【0066】(実施例2)紡糸時の単孔吐出量を1.1
0g/分、紡糸速度を3300m/分とした。そして、
それ以外は実施例1と同じ処方で、長繊維不織布を製造
し、その特性を測定した。得られた不織布を成型加工用
基布とし、成型加工を行って、成型性を評価した。その
結果を表1に示す。
【0067】表1から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、構成繊維の重合体の複屈折率が比較的高く、
加熱雰囲気下の破断伸度(MD+CD)がやや低い状態
にあるため、成型性がやや劣る傾向にあった。しかし、
操業性、熱安定性を持ち、成型加工のために必要な基本
性能は有するものであった。
【0068】(実施例3)紡糸時の単孔吐出量を0.3
3g/分、紡糸速度を1000m/分とした。そして、
それ以外は実施例1と同じ処方として、単繊維繊度が3
デニールの繊維ウェブを得た。この単繊維の複屈折率は
0.003であり、伸度は140%であった。これによ
り、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し
た。
【0069】また、その不織布を成型加工用基布とし、
成型加工を行って、成型性を評価した。その結果を表1
に示す。表1から明らかなように、得られた成型用不織
布は、常温下での引張伸度はやや低いものの加熱雰囲気
下の破断伸度(MD+CD)は高い状態にあるため、成
型性が良好であり、深絞り成型に好適であった。
【0070】(実施例4)単孔吐出量を1.55g/
分、紡糸速度を2000m/分、単糸繊度を7デニー
ル、熱エンボス加工時における加工温度を95℃とし
た。そして、それ以外は実施例1と同じ処方として、目
付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し、その特
性を測定した。また、その不織布を成型加工用基布と
し、成型加工を行って、成型性を評価した。その結果を
表1に示す。
【0071】表1から明らかなように、得られた成型用
不織布は、成型性が良好であり、深絞り成型に好適であ
った。
【0072】(実施例5)単孔吐出量を2.78g/
分、紡糸速度を2500m/分、単糸繊度を10デニー
ル、熱エンボス加工時における加工温度を90℃とし
た。そして、それ以外は実施例1と同じ処方として、目
付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造し、その特
性を測定した。また、その不織布を成型加工用基布と
し、成型加工を行って、成型性を評価した。その結果を
表1に示す。
【0073】表1から明らかなように、得られた成型用
不織布は、成型性が良好であり、深絞り成型に好適であ
った。
【0074】(実施例6)融点が130℃、数平均分子
量が約7万、ASTM−D−1238Eの処方で測定し
たメルトインデックス値(190℃)が15g/10
分、D−乳酸/L−乳酸のモル比が12/88であるポ
リ乳酸を210℃で溶融し計量した後、通常の丸孔を有
する紡糸用口金装置(温度210℃)を用い、単孔吐出
量を1.00g/分、紡糸速度を3000m/分として
紡糸を行った。
【0075】そして、それ以外は実施例1と同じ処方と
して、単繊維繊度が3デニールの繊維ウェブを得た。そ
の繊維の複屈折率は0.012であった。また、この不
織ウェブによって、目付が約100g/m2 の長繊維不
織布を製造した。
【0076】さらに、その不織布を成型加工用基布と
し、成型加工を行って、成型性を評価した。その結果を
表1に示す。表1から明らかなように、得られた成型用
不織布は、常温下での引張伸度はやや低いものの加熱雰
囲気下の破断伸度(MD+CD)は高い状態にあるた
め、成型性が良好であり、深絞り成型に好適であった。
【0077】(比較例1)単孔吐出量を1.33g/
分、紡糸速度を4000m/分とした。そして、それ以
外は実施例1と同じ処方で、目付が約100g/m2
長繊維不織布を製造し、その特性を測定した。また、そ
の不織布を成型加工用基布とし、成型加工を行って、成
型性を評価した。その結果を表2に示す。
【0078】表2から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、生分解性能を有し、通常の機械的特性は優れ
ているものの、複屈折率が高過ぎたために加熱雰囲気下
の引張伸度(MD+CD)が低く、成型用不織布として
は不適であり、成型性が劣っていた。
【0079】
【表2】
【0080】(比較例2)通常の溶融押し出し機を適用
し、融点が256℃、固有粘度が0.70(フェノー
ル:テトラクロルエタン=1:1の混合溶媒中、20℃
で測定)のポリエチレンテレフタレートを290℃で溶
融計量し、丸孔を有する単一型紡糸用口金装置(温度2
90℃)を用い、単孔吐出量を1.67g/分として紡
出した。その後、冷却装置を介してエアーサッカーで5
000m/分で牽引し、開繊し、移動するコンベヤネッ
ト上に堆積して、繊度が3デニールの繊維ウェブを得
た。この繊維ウェブを、圧着面積率が15%、圧着部密
度が22個/cm2 、圧着部面積が0.7mm2 の彫刻
ロールと、フラットロールとからなる熱エンボス加工機
で、加工温度が230℃、線圧が40kg/cmの条件
で点圧着し、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を
製造した。またその不織布の特性を測定した。さらに、
その不織布を成型加工用基布とし、成型加工を行って、
成型性を評価した。その結果を表2に示す。
【0081】表2から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、繊維を形成する重合体としてポリエチレンテ
レフタレートを用いているため、生分解性能を有してい
ない不織布であった。また、通常の機械的特性は優れて
いるものの、牽引速度が高過ぎたため、加熱雰囲気下の
引張伸度(MD+CD)が低く、成型用不織布としては
不適であり、成型性は著しく劣っていた。
【0082】(比較例3)単孔吐出量を0.83g/
分、紡糸速度を2500m/分、熱エンボス加工温度を
150℃とした。そして、それ以外は比較例2と同じ処
方で、目付が約100g/m2 の長繊維不織布を製造
し、その特性を測定した。また、その不織布を成型加工
用基布とし、成型加工を行って、成型性を評価した。そ
の結果を表2に示す。
【0083】表2から明らかなように、得られた長繊維
不織布は、繊維を形成する重合体としてポリエチレンテ
レフタレートを用いているため、生分解性能を有してい
ない不織布であった。また、加熱雰囲気下の引張伸度
(MD+CD)が高いものの、面積収縮率が高いために
耐摩耗性が悪く、成型用不織布としては不適であり、成
型性は劣っていた。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、ポリ乳酸とポリ乳酸を
主体とする熱可塑性重合体との融点が100℃以上であ
り、この重合体の複屈折率が0.015以下であるとい
う特定の繊維にて形成され、繊維相互間が軟化又は溶融
によって融着された部分熱融着領域が散点状に設けられ
た不織布を成型用基布として用い、しかもこの不織布は
乾熱90℃雰囲気下で測定した縦方向破断伸度と横方向
破断伸度との和が160%以上であるので、低温での深
絞り成型性が良好で、かつ熱劣化も生じない。この成型
用不織布は、成型加工に伴う温度条件の幅が広く、成型
品の品質が極めて安定であり、成型加工における操業上
も問題なく、また使用後の廃棄についても生分解性を有
しているため問題とならない。特に、生分解性を有する
重合体として、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とす
る熱可塑性重合体を用いているため、他の生分解性樹脂
に比べ紡糸性が良く、熱安定性も優れているという利点
がある。このため、食品型容器、各種生活資材用通気通
液成型容器、自動車内装用各種成型材、育苗用成型容
器、インテリア寝装材、フィルターなど汎用に展開でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB31 BB33 EE01 EE20 FF05 HH10 4L047 AA26 AB03 AB10 BA08 CA19 CB01 CB04 CB09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とす
    る熱可塑性重合体よりなる繊維が集積され、前記ポリ乳
    酸とポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体とは、融点が
    100℃以上であるとともに複屈折率が0.015以下
    であり、前記繊維相互間が軟化又は溶融によって融着さ
    れた部分熱融着領域が散点状に設けられ、乾熱90℃雰
    囲気下で測定した縦方向破断伸度と横方向破断伸度との
    和が160%以上であることを特徴とする生分解性を有
    する成型用不織布。
  2. 【請求項2】 90℃の乾熱雰囲気下で1分間熱処理し
    た時の面積収縮率が5%以下であることを特徴とする請
    求項1記載の生分解性を有する成型用不織布。
  3. 【請求項3】 ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とす
    る熱可塑性重合体であって融点が100℃以上であるも
    のを用いて溶融紡糸し、得られた糸条を冷却固化させ、
    次にこの糸条を3500m/分以下で牽引・開繊して、
    複屈折率が0.015以下の重合体にて形成された繊維
    からなる繊維ウェブとし、その後、構成繊維を軟化させ
    て繊維ウェブの繊維相互間を擬似接着させ、引き続いて
    繊維ウェブの繊維を軟化又は溶融させて繊維相互間を部
    分熱融着させた融着区域を散点状に形成することで、前
    記繊維ウェブを一体化することを特徴とする生分解性を
    有する成型用不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の成型用不織布の
    プレス成型により容器状に形成されていることを特徴と
    する容器形状品。
  5. 【請求項5】 フランジ部と、このフランジ部から3次
    元方向に突出した容器部とを有することを特徴とする請
    求項4記載の容器形状品。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の成型用不織布
    を予熱して構成繊維を軟化させ、その後に、加熱された
    金型によって前記成型用不織布をプレス成型することを
    特徴とする容器形状品の製造方法。
  7. 【請求項7】 構成繊維の軟化温度以上かつ構成繊維の
    融点よりも100℃高い温度以下で予熱することを特徴
    とする請求項6記載の容器形状品の製造方法。
  8. 【請求項8】 金型温度を、重合体のガラス転移点温度
    以上かつ融点よりも30℃低い温度以下で、かつ予熱温
    度よりも低い温度とすることを特徴とする請求項6また
    は7記載の容器形状品の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とす
    る熱可塑性重合体よりなる繊維であり、前記ポリ乳酸と
    ポリ乳酸を主体とする熱可塑性重合体とは、融点が10
    0℃以上であるとともに、複屈折率が0.015以下で
    あり、かつ前記繊維は伸度が100%以上であることを
    特徴とする生分解性を有する高伸度繊維。
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