JP2000131858A - 電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いた電子写真装置

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JP2000131858A
JP2000131858A JP10305250A JP30525098A JP2000131858A JP 2000131858 A JP2000131858 A JP 2000131858A JP 10305250 A JP10305250 A JP 10305250A JP 30525098 A JP30525098 A JP 30525098A JP 2000131858 A JP2000131858 A JP 2000131858A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐摩耗性を有し、接触帯電装置に使用し
ても良好な耐久性を保持するとともに、感光体表面の塗
膜が高い折り曲げ強度を有し、ベルト状感光体として繰
り返し使用しても機械的劣化のない耐久性に優れた電子
写真感光体を提供する。 【解決手段】 導電性支持体上に感光層を設ける電子写
真感光体において、感光層の結着樹脂として、下記構造
式(I)で示される繰り返し構造単位を有する重合体又
はその共重合体を用いる。 【化1】 (式中、R1 〜R16は、互いに独立して、それぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されていて
もよい環状炭化水素基であり、Xは置換されていてもよ
い芳香族縮合炭化水素基である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造を有す
る重合体を感光層の結着樹脂として含有する電子写真感
光体及びその感光体を用いた電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式は、高速で高品質の
画像が得られるようになったことに伴って、複写機及び
レーザービームプリンター等の分野において数多く利用
されている。これらの電子写真方式に用いられる電子写
真感光体は、従来からのセレン、セレン−テルル合金、
セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム等の無機光導電材料
を用いたものに比べて、安価であり製造性及び廃棄性等
の点でも良好な特性を有する有機光導電材料を用いた電
子写真感光体が主流を占めるようになり、なかでも、露
光より電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷
輸送層を積層する機能分離積層型有機感光体は、感度、
帯電性及び繰り返し安定性等の電子写真特性に優れてい
ることから種々の提案が成されており、既に実用化され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機感
光体は、無機感光体に比べて一般に機械的強度が劣って
おり、クリーニングブレード、現像ブラシ及び用紙等の
機械的外力を受けて、摺擦傷や摩耗が発生し、感光体の
寿命が短いという問題があった。さらに、エコロジーの
観点から近年使用されている接触帯電方式を用いたシス
テムでは、コロトロンによる帯電方式に比べて感光体の
摩耗が大幅に増加することから、感光体の感度が低減し
てコピーにかぶりが発生したり、帯電電位が低下してコ
ピー濃度が低下するという問題があった。
【0004】そこで、十分な耐久性を有する感光層が形
成される電子写真感光体の表面層形成材料の開発が望ま
れており、たとえば、表面層の結着樹脂として各種の樹
脂を用いた感光体が数多く提案されている(特開昭60
−172044号公報、特開昭62−247374号公
報、特開昭63−148263号公報、特開平8−11
0646号公報、特開平9−22126号公報等)。ま
た、蒸着等の方法により導電層を設けたポリエチレンテ
レフタレート等のフィルム上に感光層の塗膜を形成した
フレキシブルな電子写真感光体は、ベルト状に加工して
電子写真装置に繰り返し使用できるため、その装置の形
状の自由度を高めることができるという利点があるが、
この場合には、感光体はフレキシブルな動きに十分に追
従できることが必要である。
【0005】ところが、従来提案された結着樹脂を用い
て塗布工程により感光層の塗膜を形成した場合、比較的
良好な耐久性を有するベルト状電子写真感光体が得られ
るものの、その機械的強度は必ずしも十分なレベルには
到達しておらず、複写機中のベルト駆動装置において長
期間繰り返し回転させた場合、感光層中に亀裂が生じ、
それがコピー画像上に、ひび割れ模様となって現れると
いう問題があった。
【0006】本発明は、従来の技術における上記のよう
な実状に鑑みてなされたものであって、それらの問題を
解消することを目的とするものである。すなわち、本発
明の目的は、高い耐摩耗性を有し、接触帯電装置のよう
なプロセスに用いても高い耐久性を有する電子写真感光
体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、
感光体表面の塗膜が高い折り曲げ強度を保持し、ベルト
状感光体として繰り返し使用しても、塗膜中に亀裂等の
欠陥の発生がなく、かつ高い耐摩耗性を有し、耐久性に
優れた電子写真感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題の解決について鋭意検討した結果、感光層の結着樹
脂として、特定の化学構造を有する重合体が機械的強度
に係わる耐久性に関して極めて優れた特性を有し、それ
を用いて形成された感光体は、ドラム状感光体のみなら
ず、ベルト状感光体として電子写真装置中で長期間繰り
返し回転させた場合でも感光層の機械的劣化を大きく削
減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の電子写真感光体は、導
電性支持体上に設けられる感光層に、結着樹脂として下
記構造式(I)で示される繰り返し構造単位からなる重
合体を含有することを特徴とする。
【化7】 (式中、R1 〜R16は、互いに独立して、それぞれ水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されていて
もよい環状炭化水素基を表し、Xは置換されていてもよ
い芳香族縮合炭化水素基を表す。)
【0009】また、本発明の他の電子写真感光体は、導
電性支持体上に設けられる感光層に、結着樹脂として上
記構造式(I)で示される繰り返し構造単位を有する共
重合体を含有することを特徴とする。本発明の電子写真
感光体の感光層に用いる共重合体としては、上記構造式
(I)で示される繰り返し構造単位及び下記構造式(II
I) で示される繰り返し構造単位を有するものが好まし
い。
【化8】 (式中、R17及びR18は、互いに独立して、それぞれ水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されてい
てもよい環状炭化水素基を表し、Xは置換されていても
よい芳香族縮合炭化水素基を表す。)
【0010】また、感光層に用いる他の共重合体として
は、前記構造式(I)で示される繰り返し構造単位及び
下記構造式(V)で示される繰り返し構造単位を有する
ものが好ましい。
【化9】 (式中、R19及びR20は、互いに独立して、それぞれ水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されてい
てもよい環状炭化水素基を表す。また、R21〜R24は、
互いに独立して、それぞれハロゲン原子、アルキル基、
置換されていてもよい環状炭化水素基を表し、Xは置換
されていてもよい芳香族縮合炭化水素基を表す。) 本発明の電子写真装置は、上記した電子写真感光体を用
いて接触帯電方式により帯電されるものであることを特
徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の電子写真感光体について図面を用
いて説明する。図1〜図7は、本発明の電子写真用感光
体の層構成を示す模式的断面図である。図1〜図4は、
感光層が積層構造のものであって、図1においては、導
電性支持体3の上に電荷発生層1が設けられ、その上に
電荷輸送層2が設けられている。図2においては、さら
に導電性支持体3と電荷発生層1の間に下引き層4が介
在されている。また、図3においては、図1の層構成の
ものに、さらに表面に保護層5が設けられている。さら
に、図4においては、図1の層構成のものに、さらに下
引き層4と保護層5の両者が設けられている。
【0012】図5〜図7は、感光層が単層構造のもので
あって、図5においては、導電性支持体の上に感光層6
が設けられ、また、図6においては、導電性支持体と感
光層の間に下引き層4が設けられている。さらに、図7
においては、図5の層構成のものに下引き層4と保護層
5の両者が設けられている。本発明における上記構造式
(I)で示される繰り返し構造単位を有する重合体また
はその共重合体は、図1〜図7に示されたいずれの層構
成からなる感光体にも感光層の結着樹脂として使用する
ことができる。
【0013】以下、本発明における電子写真感光体の各
層について詳細に説明する。本発明の電子写真感光体に
おいて、導電性支持体としては、アルミニウム、銅、
鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製ドラムもしくはシート、
紙、プラスチック又はガラス上に、アルミニウム、銅、
金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロ
ム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着する
か、酸化インジウム、酸化錫等の導電性金属化合物を蒸
着するか、金属箔をラミネートするか或いはカーボンブ
ラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、
金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することに
より導電処理したドラム状物、シート状物又はプレート
状物等の公知材料が用いられる。
【0014】金属製パイプを導電性支持体として用いる
場合、表面は素管のままであっても、事前に鏡面切削、
エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サン
ドブラスト、ウエットホーニング等の処理が施されてい
てもよく、特に、表面処理により支持体表面を粗面化処
理したものは、レーザービームのような可干渉光源を用
いた際に発生する感光体内の干渉光による木目状の濃度
斑を防止することができるから好ましい。
【0015】下引き層としては、ポリビニルブチラール
等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼ
イン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポ
リウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、
アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテ
ート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹
脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高
分子化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アル
ミニウム、マンガン、シリコン原子等を含有する有機金
属化合物等を用いて形成される。これらの化合物は、単
独で又は複数の化合物の混合物或いは重縮合物として用
いることができる。なかでも、ジルコニウム又はシリコ
ンを含有する有機金属化合物を含むものは、残留電位が
低くなり環境による電位変化が少なく、また、繰り返し
使用による電位の変化が少ないこと等の性能に優れてい
る。
【0016】下引き層に用いるシリコン化合物として
は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラ
ン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルト
リメトキシシラン等が挙げられる。また、より好ましく
用いられるシリコン化合物としては、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラ
ン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキ
シシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0017】有機ジルコニウム化合物としては、例え
ば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸
エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチル
アセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチ
ルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、
ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、
ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、
ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ス
テアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウ
ム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレ
ートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコ
ニウムブトキシド等が用いられる。有機チタン化合物と
しては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テト
ラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマ
ー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタン
アセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネー
ト、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート
アンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテート
エチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポ
リヒドロキシチタンステアレート等が用いられる。有機
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイ
ソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロ
ピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトア
セテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウ
ムトリス(エチルアセトアセテート)等が用いられる。
【0018】また、下引き層中には、電気特性の向上や
光散乱性の向上等を目的として、各種の有機もしくは無
機微粉末を混合することができる。具体的には、電子輸
送性を有する多環キノン系顔料、ペリレン顔料、アゾ顔
料等の有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化
亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料
やテフロン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチ
レン樹脂粒子等が有効である。その添加微粉末の粒径は
0.01〜2μmのものが用いられ、これらの微粉末は
必要に応じて添加されるが、その添加量は、下引き層の
固形分に対して重量比で10〜80重量%の範囲、好ま
しくは30〜70重量%である。
【0019】下引き層塗布液の調整に微粉末を用いる
際、樹脂成分を溶解させた溶液中に微粉末を添加して分
散処理する。その微粉末を樹脂中に分散させるには、ロ
ールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタ
ー、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等
の方法を用いる。下引き層の厚さは、0.1〜10μm
の範囲が望ましい。
【0020】本発明において、下引き層の上に形成され
る感光層は、基本的には単層構造のもの(単層感光体)
でも、電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離された積層
構造のもの(積層感光体)でもよい。また、積層構造の
場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、いずれが
上層に形成されていてもよい。
【0021】本発明における電子写真感光体には、感光
層の結着樹脂として下記構造式(I)で示される繰り返
し構造単位を有する重合体又はその共重合体が使用され
る。特に、積層構造の感光体では、それらの重合体また
はその共重合体を電荷輸送層の結着樹脂として用いるこ
とが好ましい。
【化10】 上記構造式(I)のR1 〜R16は、互いに独立して、そ
れぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換
されていてもよい環状炭化水素基である。
【0022】本発明における各化学構造式において、ハ
ロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子
等が挙げられるが、特にフッ素原子が好ましい。また、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プルピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチ
ル基、n−オクチル基等が挙げられるが、なかでもメチ
ル基、エチル基、i−プルピル基、tert−ブチル基
等が好ましい。
【0023】また、置換されていてもよい環状炭化水素
基における環状炭化水素基としては、シクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル(c−
hexyl)、シクロヘプチル等の脂肪族環式基及びフ
ェニル、ナフチル等の芳香族基等が挙げられ、また、そ
の環状炭化水素基の置換基としては、上記したハロゲン
原子、アルキル基等が挙げられる。これらの中で、置換
されていてもよい環状炭化水素基としては、特にシクロ
ヘキシル(c−hexyl)基、フェニル(pheny
l)基、トルイル(tolyl)基等が好ましい。さら
に、Xは、置換されていてもよい芳香族縮合炭化水素基
であるが、特にナフチル基またはそのアルキル置換体が
好ましい。
【0024】本発明における感光層の結着樹脂には、上
記構造式(I)で示される繰り返し構造単位の単独重合
体、それらの2種以上の構造単位からなる共重合体又は
構造式(I)で示される繰り返し構造単位と他の単量体
との共重合体を含むものである。
【0025】上記構造式(I)で示される繰り返し構造
単位を有する重合体の中で、下記構造式(II)で示され
る繰り返し構造単位を有する重合体が好ましい。
【化11】 式中のXは、前記したと同意義を有する。
【0026】本発明において、感光層の結着樹脂として
使用する重合体又はその共重合体を構成する構造式
(I)で示される繰り返し構造単位の具体例を、表1な
いし表8に示す。なお、表1〜表8に示す化合物(繰り
返し構造単位)中の、R1 、R45 、R8 〜R10及び
13〜R14は、いずれも水素原子である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】
【表8】
【0035】なお、表1ないし表8中に示す記号は、表
9に示す構造式のものである。
【表9】
【0036】また、本発明においては、上記構造式
(I)で示される繰り返し構造単位は、下記構造式(II
I) で示される繰り返し構造単位、または下記構造式
(V)で示される繰り返し構造単位を構成する他の単量
体との共重合体を用いることにより、その有効性がより
一層向上する。
【化12】 上記構造式(III) 中のR17及びR18は、互いに独立し
て、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
は置換されていてもよい環状炭化水素基であり、Xは置
換されていてもよい芳香族縮合炭化水素基である。
【0037】
【化13】 上記構造式(V)中のR19及びR20は、互いに独立し
て、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基また
は置換されていてもよい環状炭化水素基であり、また、
21〜R24は、互いに独立して、それぞれハロゲン原
子、アルキル基または置換されていてもよい環状炭化水
素基であり、Xは前記したと同意義を有する。
【0038】さらに、構造式(III) で示される繰り返し
構造単位の中では、下記構造式(IV)で示される繰り返
し構造単位が好ましく、また構造式(V)で示される繰
り返し構造単位の中では、下記構造式(VI)で示される
繰り返し構造単位が好ましい。
【0039】
【化14】 式中のXは、前記したと同意義を有するが、ナフタレン
環であることが特に好ましい。
【0040】上記構造式(III) で示される繰り返し構造
単位の具体例を、表10に示す。なお、表中のXは、表
9に示すものである。
【表10】
【0041】また、上記構造式(V)で示される繰り返
し構造単位の具体例を、表11及び表12に示す。な
お、表中のXは、表9に示すものである。
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】次に、本発明に用いる前記構造式(I)で
示される繰り返し構造単位を有する重合体の合成例につ
いて、化合物例(1−1)で示される繰り返し構造単位
からなる重合体を例として説明する。原料としては、下
記構造式(A)で示されるビスフェノール化合物と下記
構造式(B)で示される酸ジクロライドとを用いる。す
なわち、構造式(A)で示されるビスフェノール化合物
0.01モル、水酸化ナトリウム0.8g及び塩化テト
ラメチルアンモニウム1gを、水100mlに溶解させ
て1リットルのミキサー中に投入し、これに構造式
(B)で示される酸ジクロライド0.01モルを溶解さ
せた1,2−ジクロロエタン30mlを攪拌しながら加
えて、10分間高速で攪拌させ、これを2時間放置した
後、酢酸を添加して反応を停止させる。次に、その反応
生成物から1,2−ジクロロエタンを除去し、これに多
量のヘキサンを投入することにより重合体が生成する。
次に、その生成した重合体を水で洗浄し、これをクロロ
ホルムに溶解させてメタノールの滴下による精製処理を
行うことにより、化合物例(1−1)で示される繰り返
し構造単位からなる重合体が得られる。
【0044】
【化15】
【0045】また、上記構造式(I)で示される繰り返
し構造単位と、下記構造式(III) または下記構造式
(V)で示される繰り返し構造単位とからなる2種以上
の構造単位を有する重合体は、それぞれ所望のビスフェ
ノール化合物を原料とすることにより得ることができ
る。例えば、化合物例(1−1)と(5−11)で示さ
れる繰り返し構造単位からなる共重合体の製造例により
説明する。
【0046】原料としては、上記構造式(A)で示され
るビスフェノール化合物、下記構造式(C)で示される
ビスフェノール化合物及び上記構造式(B)で示される
酸ジクロライドとを用いる。すなわち、構造式(A)で
示されるビスフェノール0.005モル、下記構造式
(C)で示されるビスフェノール化合物0.005モ
ル、水酸化ナトリウム0.8g、塩化テトラメチルアン
モニウム1gを、水100mlに溶解させて1リットル
のミキサー中に投入し、これに構造式(B)で示される
酸ジクロライド0.01モルを溶解させた1,2−ジク
ロロエタン30mlを攪拌しながら加えて、10分間高
速で攪拌させ、これを2時間放置した後、酢酸を添加し
て反応を停止させる。
【0047】次に、その反応生成物から1,2−ジクロ
ロエタンを除去し、これに多量のヘキサンを投入するこ
とにより重合体が生成する。次に、生成した重合体を水
で洗浄し、これをクロロホルムに溶解させてメタノール
の滴下による精製処理を行うことにより、目的とする化
合物例(1−1)と(5−11)で示される繰り返し構
造単位からなる共重合体が得られる。
【0048】
【化16】
【0049】本発明において、結着樹脂として用いられ
る重合体の分子量は、感光層の膜厚や溶剤等の成膜条件
または耐摩耗性等の機械的特性によって適宜選択される
が、通常、粘度平均分子量が3000〜40万の範囲の
もの、好ましくは3万〜30万の範囲のものである。
【0050】本発明の電子写真感光体は、結着樹脂とし
て上記構造式(I)で示される繰り返し構造単位を有す
る重合体又はその共重合体を用いることにより、感光
層、特に電荷輸送層を表面層とする円筒状感光体におい
て、感光体の耐摩耗性の向上及び表面傷の低減を実現す
ることができる。また、ベルト型感光体においては、上
記重合体またはその共重合体からなる結着樹脂が感光層
中の上下のいずれの位置に存在していても、可撓性に関
する機械的寿命を向上させることができる。さらに、こ
れらの感光体は、優れた電気特性を有するとともに、こ
れを用いて高画質の画像を形成できる。
【0051】感光体の電荷発生層は、電荷発生物質を真
空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂ととも
に分散させて塗布することにより形成される。その電荷
発生物質としては、非晶質セレン・結晶性セレン、セレ
ン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化
合物及びセレン合金、酸化亜鉛・酸化チタン等の無機系
光導電体、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシア
ニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウム
フタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、スクエア
リウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、
アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリ
リウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。ま
た、これらの有機顔料は、一般に数種の結晶型を有して
おり、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型等をはじ
めとして各種の結晶型が知られているが、目的に適合し
た感度が得られる顔料であるならば、いずれの結晶型も
用いることができる。なかでも、本発明には、フタロシ
アニン系顔料を用いることが好ましい。
【0052】本発明においては、感光層、特に、電荷輸
送層に用いる重合体またはその共重合体との関連におい
て特に優れた性能が得られる電荷発生材料として、下記
のフタロシアニンを用いることが好ましい。Cukα線
を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±
0.2°)において、少なくとも7.4°、16.6
°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有す
るクロルガリウムフタロシアニン、Cukα線を用いた
X線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)
において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5
°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°
の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロ
シアニン、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブ
ラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも
9.5°、11.7°、15.0°、24.1°、2
7.3°の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシ
アニン。
【0053】電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以
下のものが例示できる。すなわち、ビスフェノールAタ
イプ、ビスフェノールZタイプ又は構造式(I)で示さ
れる繰り返し構造等を有するポリカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテ
ート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリ
デン−アクリルニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリ
コン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹
脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカル
バゾール等である。
【0054】これらの結着樹脂は、単独で又は2種以上
を混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結
着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の
範囲が望ましい。これらの電荷発生材料を樹脂中に分散
させるには、ロールミル、ボールミル、振動ボールミ
ル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイ
ドミル等の方法が用いられる。また、電荷発生層の厚さ
は、通常0.01〜5μmの範囲、好ましくは0.05
〜2.0μmの範囲に設定される。
【0055】電荷輸送層に用いる電荷輸送物質として
は、下記に示すものが例示できる。2,5−ビス(p−
ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ
ール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフ
ェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−
(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチル
アミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、ト
リフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミ
ン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフ
ェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジ
メチル−N,N′−ジ(p−トリル)フルオレノン−2
−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−
[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香
族第3級ジアミノ化合物、3−(4′ジメチルアミノフ
ェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−
1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘
導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−
ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズア
ルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジ
エチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒ
ドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−ス
チリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロ
キシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフ
ラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニ
ルビニル)−N,N′−ジフェニルアニリン等のα−ス
チルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾ
ール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾール又はその誘導体等の正孔輸送物質。また、クロラ
ニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合
物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−
トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニト
ロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−
(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−
ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−
ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサ
ジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン
系化合物、チオフェン化合物、3,3′,5,5′テト
ラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合
物等の電子輸送物質。さらには、上記した化合物からな
る基を、主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種で又は2種以上を組み合
せて使用できる。
【0056】積層型感光体においては、使用する電荷輸
送材料の電荷輸送極性により感光体の帯電極性が異なる
ものとなる。すなわち、正孔輸送物質を用いた場合には
感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合
には正帯電で用いられる。両者を混合した場合には両帯
電極性の感光体が可能である。
【0057】本発明において、電荷輸送層に用いる上記
結着樹脂との関連において、特に優れた性能が得られる
電荷輸送材料としては、下記構造式 (VII)で示されるベ
ンジジン系化合物及び下記構造式 (VIII) で示されるト
リアリールアミン系化合物が挙げられる。
【0058】構造式 (VII)で示されるベンジジン系化合
物。
【化17】 (式中、R71及びR72は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子を表し、R73〜R76は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子または置換アミノ基を表す。また、k〜nは、それぞ
れ1又は2である。)
【0059】構造式 (VII)で示されるベンジジン系化合
物の具体的な化合物例を、表13〜表15に示す。
【表13】
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】また、構造式 (VIII) で示されるトリアリ
ールアミン系化合物。
【化18】 (式中、R81及びR82は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子を表し、p及びqは、それぞれ1又は2である。ま
た、R83は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または
炭素数6〜12のアリール基を表す。)
【0063】構造式 (VIII) で示されるトリアリールア
ミン系化合物の具体的な化合物例を、表16及び表17
に示す。
【表16】
【0064】
【表17】
【0065】また、上記構造式 (VII)及び構造式 (VII
I) で示される化合物の他にも、本発明の重合体と併用
することにより、良好な特性が得られる電荷輸送材料と
して、下記の一般式(IX)〜(XIII)で示される化合物が
挙げられる。
【化19】 (式中、X3 は、置換されていてもよい2価の炭化水素
基を表す。R91〜R96は、それぞれ水素原子、ハロゲン
原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基
または置換アミノ基を表し、これらは互いに同一でも異
なっていてもよい。また、R97〜R912 は、それぞれ水
素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されて
いてもよいアリール基または置換されていてもよい複素
環基を表し、これらは互いに同一でも異なっていてもよ
く、もしくはR98とR99、R911 とR912 は、それらが
結合して炭素環基または複素環基を形成してもよい。)
【化20】 (式中、X4 は−CH2 CH2 −または−CH=CH−
を表し、R101 〜R103は、それぞれアルキル基、アラ
ルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換
されていてもよい複素環基を表し、R104 及びR
105 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基
またはハロゲン原子を表す。)
【化21】 (式中、R111 及びR112 は、それぞれアルキル基を表
し、R113 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基また
はハロゲン原子を表し、R114 及びR115 は、それぞれ
水素原子、アルキル基、アラルキル基または置換されて
いてもよいアリール基を表す。)
【化22】 (式中、R121 〜R127 は、それぞれ水素原子、アルキ
ル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、これら
は互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化23】 (式中、R131 〜R134 は、それぞれ水素原子、アルキ
ル基、置換されていてもよいアリール基または置換され
ていてもよい複素環基を表す。)
【0066】本発明の電子写真感光体には、電子写真装
置中で発生するオゾンや酸化性ガス或いは光や熱による
感光体の劣化防止を目的として、感光層中に酸化防止
剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することがで
きる。その酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフ
ェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミ
ン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマ
ン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化
合物、有機燐化合物等が用いられる。そのフェノール系
酸化防止剤としては、具体的には2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n
−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−
4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′
−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、2−t−ブチル−6−(3′−t−ブチル−
5′−メチル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチ
ルフェニルアクリレート、4,4′−ブチリデン−ビス
−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4′−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒ
ドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレー
ト、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−
t−ブチル−4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネ
ート]−メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等
が挙げられる。
【0067】ヒンダードアミン系化合物としては、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−
ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチ
ル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン
−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−
1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ
[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}
{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)、N,N′−ビス(3−アミノプロ
ピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−
N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリ
ジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン
縮合物等が挙げられる。
【0068】また、有機イオウ系酸化防止剤としては、
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリ
スチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリ
ル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネ
ート)、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネー
ト、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられ、
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホ
スフィート、トリフェニルホスフィート、トリス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)−ホスフィート等が挙げ
られる。上記した酸化防止剤の中で、有機硫黄系及び有
機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼称されている
ものであり、フェノール系又はアミン系化合物等の1次
酸化防止剤と併用することにより相乗効果が得られるも
のである。
【0069】光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノ
ン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、
テトラメチルピペリジン系等の誘導体が用いられる。そ
のベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジ−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾ
トリアゾール系光安定剤としては、2−(2′−ヒドロ
キシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,
6″−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5′−メ
チルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒド
ロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキ
シ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ
3′,5′−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール等が挙げられる。その他に、2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒド
ロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバ
メート等が挙げられる。
【0070】また、本発明の電子写真感光体には、感度
の向上、残留電位の低減化、繰り返し使用時の疲労の低
減等を目的として、必要に応じて1種以上の電子受容性
物質を含有させることができる。使用可能な電子受容性
物質としては、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、
ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム
無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキ
ノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベン
ゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニト
ロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p
−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの
中で、フルオレノン系化合物、キノン系化合物又はC
l、CN、NO2 等の電子吸引性置換基を有するベンゼ
ン誘導体が特に好ましい。
【0071】電荷輸送材料と上記重合体との配合比は1
0:1〜1:5が好ましい。また、電荷輸送層の膜厚
は、通常5〜50μmの範囲、好ましくは10〜30μ
mの範囲に設定される。また、塗布液の塗工は、感光体
の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプ
レー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー
塗布法等の塗布法を用いて行う。また、その乾燥は、室
温において指触乾燥させた後、加熱乾燥させることが好
ましく、その加熱乾燥条件としては30〜200℃で5
分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
【0072】感光層の上には、必要に応じて表面保護層
が形成される。その表面保護層としては、絶縁性樹脂保
護層または絶縁性樹脂の中に抵抗調整剤を添加した低抵
抗保護層がある。低抵抗保護層には、例えば、絶縁性樹
脂の中に導電性微粒子を分散させた層が挙げられる。そ
の導電性微粒子としては、電気抵抗が109 Ω・cm以
下であり、白色、灰色もしくは青白色を呈する平均粒径
が0.3μm以下の微粒子、好ましくは0.1μm以下
の微粒子が適当であり、例えば、酸化モリブデン、酸化
タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、
酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アン
チモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるい
は単一粒子中にこれらの金属酸化物を混合したもの、あ
るいは被覆したものが挙げられる。なかでも、酸化錫、
酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体
は電気抵抗を適切に調節することが可能であり、かつ保
護層を実質的に透明にすることが可能であることから好
ましく用いられる(特開昭57−30847号、特開昭
57−128344号参照)。また、絶縁性樹脂として
は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキ
シ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂
や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルア
ミドのようなビニル重合体等が用いられる。
【0073】前記の各層、すなわち、下引き層、電荷発
生層、電荷輸送層及び表面保護層の形成用塗布液の作成
に用いる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル
等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルメタン、ジク
ロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪
族ハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、
或いはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベン
ゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。また、これらの
溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることがで
きる。また、塗布液には平滑性向上のためのレベリング
剤としてシリコーンオイルを微量添加することもでき
る。
【0074】本発明により得られた電子写真感光体は、
ライトレンズ系複写機、近赤外光もしくは可視光に発光
するレーザービームプリンター、ディジタル複写機、L
EDプリンター、レーザーファクシミリ等の電子写真装
置に用いることができる。また、この感光体は、一成分
系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わ
せて用いることができる。また、本発明により製造され
た電子写真感光体は、帯電ロールや帯電ブラシを用いた
接触帯電方式に使用しても、電流リークの発生が少ない
等の良好な電子写真特性を発揮するものである。
【0075】次に、本発明の電子写真装置について説明
する。図8は、本発明の電子写真感光体を用いる電子写
真装置の概略構成図である。7は感光体であって、帯電
にはコロナ放電方式の帯電用部材8が設けられる。帯電
用部材8には、電源9から電圧が供給される。感光体の
周囲には、画像入力装置10、現像装置11、転写装置
12、クリーニング装置13及び除電器14が設けられ
ている。なお、15は定着装置である。また、図9は、
本発明の電子写真感光体を用いた接触帯電型電子写真装
置の概略構成図である。感光体7には、それと接触して
帯電用部材8が設けられている。この接触型電子写真装
置では除電器14が設けられていないものもある。
【0076】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明がこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 実施例1 導電性支持体には、ED管アルミニウム(30mmφ)
の表面を、アルミナ球状微粉末(D50=30μm)を用
いて液体ホーニング法により中心線平均粗さRa=0.
18μmに粗面化処理したものを用いた。そのアルミニ
ウム支持体の上に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレ
ックBM−S、積水化学社製)4重量部を溶解させたn
−ブチルアルコール170重量部に、有機ジルコニウム
化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)3
0重量部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン)3重量部を混合攪拌し、得
られた下引き層形成用塗布液を用いて浸漬塗布法により
導電性支持体上に塗布し、150℃において1時間の硬
化処理を行い、膜厚1.2μmの下引き層を形成した。
次に、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッ
グ角度(2θ±0.2°)において、7.4°、16.
6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有
するクロルガリウムフタロシアニン3重量部、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社
製)2重量部及び酢酸ブチル180重量部からなる混合
物をサンドミルにより4時間分散処理し、得られた分散
液を用いて、上記下引き層の上に浸漬塗布法により塗布
し、これを乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形
成した。
【0077】次に、化合物番号(7−1)に示すN,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニ
ル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン
4重量部と、化合物番号(1−1)に示す繰り返し構造
単位からなる重合体(粘度平均分子量約4万)6重量部
とを、テトラヒドロフラン60重量部及び2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部に加え
て溶解させた。得られた塗布溶液を用いて、上記電荷発
生層の上に塗布し、これを120℃において40分間乾
燥させて膜厚25μmの電荷輸送層を形成させることに
より、3層からなる電子写真感光体を作製した。得られ
た電子写真感光体を、接触帯電方式を有するプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着し
て5万枚のプリントテストを行い、1万枚プリント後の
画質を評価し、また、5万枚プリント後の感光体の残留
電位、帯電電位及び摩耗量について測定し、評価を行っ
た。
【0078】実施例2〜4 実施例1において、電荷輸送層の結着樹脂として用いた
化合物番号(1−1)に示す繰り返し構造単位からなる
重合体(粘度平均分子量約4万)を、表18に示すそれ
ぞれの化合物番号[(1−10)、(1−81)、(1
−82)]の繰り返し構造単位からなる重合体(粘度平
均分子量約4万)に代えたこと以外は、実施例1と全く
同様にしてそれぞれ電子写真感光体を作製した。また、
得られた各電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に
プリントテストを行って測定し、評価を行った。
【0079】実施例5〜8 実施例1において、電荷輸送層の結着樹脂として用いた
化合物番号(1−1)に示す繰り返し構造単位からなる
重合体(粘度平均分子量約4万)を、表18に示すそれ
ぞれの化合物番号[(1−1)と(3−2)、(1−
1)と(5−11)、(1−81)と(3−28)、
(1−81)と(5−40)の各々の原料モル比は、
1:1である。]の繰り返し構造単位からなる共重合体
(粘度平均分子量約4万)に代えたこと以外は、実施例
1と全く同様にしてそれぞれ電子写真感光体を作製し
た。また、得られた各電子写真感光体を用いて、実施例
1と同様にプリントテストを行って測定し、評価を行っ
た。
【0080】比較例1〜4 実施例1において、電荷輸送層の結着樹脂として用いた
化合物番号(1−1)に示す繰り返し構造単位からなる
重合体(粘度平均分子量約4万)を、表18に示すそれ
ぞれのビスフェノール型ポリカーボネート樹脂またはポ
リアリレート樹脂に代えたこと以外は、実施例1と全く
同様にしてそれぞれ電子写真感光体を作製した。また、
得られた各電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に
プリントテストを行って測定し、評価を行った。
【0081】上記実施例1〜8及び比較例1〜4で得ら
れた結果を表18に示す。
【表18】
【0082】実施例1〜8で得られた感光体は、接触帯
電装置により帯電させる方式のプリンターを用いてプリ
ントテストを行っても、いずれも感光体のリーク放電等
に起因する画質以上は見られなかった。また、これらの
感光体は、磨耗が少なく、また帯電性の低下や残留電位
の上昇がなく安定した電気特性を有していた。これに対
して、比較例1〜4で得られた感光体では、いずれも磨
耗が大きく、暗減衰が上昇し帯電性が低下して低濃度部
分にかぶりの発生が見られた。また、これらの感光体
は、磨耗により膜厚の低下した部位で接触帯電装置から
の電流リークがあり、そのため、リーク部分を絶縁性物
質で修復して走行せざるを得なかった。この部分は画質
欠陥となった。
【0083】実施例9 導電性支持体には、アルミニウム基体(84mmφ)の
表面に、液体ホーニング法により中心線平均粗さRa=
0.18μmに粗面化処理したものを用いた。そのアル
ミニウム基体のうえに、ポリビニルブチラール樹脂(エ
スレックBM−S、積水化学社製)16重量部とシクロ
ヘキサノン550重量部を混合攪拌し、次いで、この混
合液にレゾール型フェノール樹脂(フェノライトJ−3
25、大日本インキ化学社製)8重量部を加えて攪拌
し、さらに、この混合液に酸化チタン顔料60重量部を
加えてサンドグラインドミルにより5時間分散処理して
得られた塗布液を用いて塗布し、170℃において1時
間の硬化処理を行い、膜厚4μmの下引き層を形成し
た。次に、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブ
ラッグ角度(2θ±0.2°)において、9.5°、1
1.7°、15.0°、24.1°、27.3°の位置
に回折ピークを有するチタニルフタロシアニン15重量
部、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、
積水化学社製)10重量部及びn−ブチルアルコール3
00重量部からなる混合物をサンドグラインドミルによ
り4時間分散処理して得られた塗布液を、上記下引き層
の上に塗布し、これを乾燥させて膜厚0.2μmの電荷
発生層を形成した。
【0084】次に、化合物例(8−33)に示すN,N
−ビス(3、4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−
アミン4重量部と、化合物例(1−1)の繰り返し構造
単位からなる重合体(粘度平均分子量約4万)6重量部
とをクロルベンゼン60重量部に加えて溶解させ、得ら
れた塗布溶液を用いて上記電荷発生層の上に塗布し、こ
れを乾燥させて膜厚27μmの電荷輸送層を形成するこ
とにより、3層からなる電子写真感光体を作製した。得
られた各電子写真感光体を、中間転写ドラム方式を有す
るカラー複写機(Acolor635、富士ゼロックス
社製)に装着し、光量を調整してプリントテストを行
い、5000枚プリント後の画質について評価を行っ
た。
【0085】実施例10 実施例9において、電荷輸送層の結着樹脂として用いた
化合物例(1−1)に示す繰り返し構造単位からなる重
合体(粘度平均分子量約4万)を、化合物例(1−8
1)の繰り返し構造単位からなる重合体(粘度平均分子
量約4万)に代えたこと以外は、実施例1と全く同様に
してそれぞれ電子写真感光体を作製した。また、得られ
た各電子写真感光体を用いて、実施例9と同様にプリン
トテストを行って画質を評価した。
【0086】実施例11〜12 実施例9において、電荷輸送層の結着樹脂として用いた
化合物例(1−1)に示す繰り返し構造単位からなる重
合体(粘度平均分子量約4万)を、表19に示すそれぞ
れの化合物例[(1−1)と(3−2)、(1−81)
と(5−40)の各々の原料モル比は1:1である。]
の繰り返し構造単位からなる共重合体(粘度平均分子量
約4万)に代えたこと以外は、実施例1と全く同様にし
てそれぞれ電子写真感光体を作製した。また、得られた
各電子写真感光体を用いて、実施例9と同様にプリント
テストを行って画質を評価した。
【0087】比較例5〜8 実施例9において、電荷輸送層に用いた結着樹脂を、そ
れぞれ表19に示すビスフェノール型ポリカーボネート
樹脂またはポリアリレート樹脂に代えたこと以外は、実
施例9と全く同様にして、それぞれ電子写真感光体を作
製した。また、得られた各電子写真感光体を用いて、実
施例9と同様にプリントテストを行って画質を評価し
た。
【0088】上記実施例9〜12及び比較例5〜8で得
られた結果を表19に示す。
【表19】
【0089】実施例9〜12で得られた感光体を用いた
場合には、かぶりが発生せず、また黒点の発生も少な
く、良好な画質が得られた。これに対して、比較例5〜
8で得られ感光体は、かぶりが発生し、さらに、黒点の
発生が多く画質異常が認められた。
【0090】実施例13 ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上にアルミ
ニウムの蒸着膜を設けた導電性支持体上(メタルミー、
東レ製)に、ポリアミド樹脂10重量部、メチルアルコ
ール150重量部、及び水40重量部からなる塗布液を
塗布し、乾燥して、膜厚1μmの下引き層を形成した。
次に、Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッ
グ角度(2θ±0.2°)において、7.5°、9.9
°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1
°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシ
ガリウムフタロシアニン9重量部、ポリビニルブチラー
ル樹脂(エスレックBM−1,積水化学社製)2重量部
およびn−ブチルアルコール30重量部からなる混合物
をボールミルポットに入れ、ミル部材としてSUSステ
ンレス鋼ボール(1/8インチφ)を用いて60時間ミ
リングした後、さらにn−ブチルアルコール30重量部
を加えて希釈し、これを攪拌して得られた塗布液を、上
記下引き層の上に塗布し、乾燥させて膜厚0.3μmの
電荷発生層を形成した。
【0091】次に、化合物番号(7−1)に示すN,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニ
ル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン
4重量部と、化合物番号[(1−1)と(5−11)の
原料モル比は、1:1である。]に示す繰り返し構成単
位からなる共重合体(粘度平均分子量約4万)6重量部
とを塩化メチレン60重量部に加えて溶解させた塗布液
を、上記電荷発生層の上に塗布し、これを乾燥させて膜
厚25μmの電荷輸送層が形成された3層からなる電子
写真感光体を作製した。
【0092】得られた電子写真感光体の感光層塗膜を導
電性基体上から剥離し、折り曲げ強度試験機を用いて5
000回までの折り曲げ繰り返し試験を実施した。ま
た、上記電子写真感光体をベルト状に加工し、ベルト回
転駆動装置を有する複写機(Vivace800、富士
ゼロックス社製)に装着して10万サイクルまでのコピ
ー走行試験を実施した。
【0093】実施例14 実施例13において、電荷輸送層の結着樹脂として用い
た化合物番号[(1−1)と(5−11)の原料モル比
は、1:1である。]に示す繰り返し構成単位からなる
共重合体(粘度平均分子量約4万)を、化合物例[(1
−81)と(3−28)の原料モル比は、1:1であ
る。]に示す繰り返し構成単位からなる共重合体(粘度
平均分子量約4万)に代えたこと以外は、実施例13と
全く同様にして電子写真感光体を作製し、同様の評価を
行った。
【0094】比較例9〜11 実施例13において、電荷輸送層の結着樹脂として、表
20に示すそれぞれのビスフェノール型ポリカーボネー
ト樹脂またはポリアリレート樹脂を用いたこと以外は、
実施例13と全く同様にして電子写真感光体を作製し、
同様の評価を行った。
【0095】上記実施例13〜14及び比較例9〜11
で得られた結果を表20に示す。
【表20】
【0096】実施例13〜14の感光体を用いたもの
は、折り曲げ試験後でも破断せず、また、コピー走行試
験後も良好な画質が得られた。これに対して、比較例9
〜11の感光体を用いたものは、折り曲げ試験中に破断
し、また、コピー走行試験後に、亀裂に起因する白点等
の故障が多数発生した。
【0097】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、感光層の結
着樹脂として前記構造式(I)で示される繰り返し構造
単位を有する重合体またはその共重合体を用いることに
より、得られる塗膜は極めて高い耐摩耗性と折り曲げ強
度を有しており、長期に亘り繰り返し使用しても電気特
性に優れており、それを用いて形成される画像の画質も
優れている。
【0098】また、本発明の電子写真感光体は、高速複
写機の中で使用しても良好な電子写真特性を有し、さら
にベルト状の形態で使用しても感光層中に亀裂の発生が
なく、高い耐久性を有している。また、本発明の電子写
真感光体を用いる画像形成により、長期に亘って高速で
安定した高品質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における積層型電子写真感光体の一例
の層構成を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明における積層型電子写真感光体の他の
一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図3】 本発明における積層型電子写真感光体の他の
一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図4】 本発明における積層型電子写真感光体の他の
一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図5】 本発明における単層型電子写真感光体の一例
の層構成を示す模式的断面図である。
【図6】 本発明における単層型電子写真感光体の他の
一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図7】 本発明における単層型電子写真感光体の他の
一例の層構成を示す模式的断面図である。
【図8】 本発明に用いられる電子写真装置の一例の概
略構成図である。
【図9】 本発明に用いられる接触帯電型の電子写真装
置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体、
4…下引き層、5…保護層、6…感光層、7…感光体、
8…帯電用部材、9…電源、10…画像入力装置、11
…現像装置、12…転写装置、13…クリーニング装
置、14…除電器、15…定着装置、16…接触帯電用
部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八百 健二 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA03 AA13 AA21 AA55 BB20 BB27 FA03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を設けてなる電
    子写真感光体において、該感光層が、結着樹脂として下
    記構造式(I)で示される繰り返し構造単位からなる重
    合体を含有することを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 (式中、R1 〜R16は、互いに独立して、それぞれ水素
    原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されていて
    もよい環状炭化水素基を表し、Xは置換されていてもよ
    い芳香族縮合炭化水素基を表す。)
  2. 【請求項2】 導電性支持体上に感光層を設けてなる電
    子写真感光体において、該感光層が、結着樹脂として前
    記構造式(I)で示される繰り返し構造単位を有する共
    重合体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記構造式(I)で示される繰り返し構
    造単位が、下記構造式(II)で示されるものであること
    を特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光
    体。 【化2】 (式中、Xは置換されていてもよい芳香族縮合炭化水素
    基を表す。)
  4. 【請求項4】 前記共重合体が、前記構造式(I)で示
    される繰り返し構造単位及び下記構造式(III) で示され
    る繰り返し構造単位を有するものであることを特徴とす
    る請求項2または3に記載の電子写真感光体。 【化3】 (式中、R17及びR18は、互いに独立して、それぞれ水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されてい
    てもよい環状炭化水素基を表し、Xは置換されていても
    よい芳香族縮合炭化水素基を表す。)
  5. 【請求項5】 前記構造式(III) で示される繰り返し構
    造単位が、下記構造式(IV)で示される構造単位である
    ことを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。 【化4】 (式中、Xは置換されていてもよい芳香族縮合炭化水素
    基を表す。)
  6. 【請求項6】 前記共重合体が、前記構造式(I)で示
    される繰り返し構造単位及び下記構造式(V)で示され
    る繰り返し構造単位を有するものであることを特徴とす
    る請求項2または3に記載の電子写真感光体。 【化5】 (式中、R19及びR20は、互いに独立して、それぞれ水
    素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換されてい
    てもよい環状炭化水素基を表す。また、R21〜R24は、
    互いに独立して、それぞれハロゲン原子、アルキル基ま
    たは置換されていてもよい環状炭化水素基を表し、Xは
    置換されていてもよい芳香族縮合炭化水素基を表す。)
  7. 【請求項7】 前記構造式(V)で示される繰り返し構
    造単位が、下記構造式(VI)で示される構造単位である
    ことを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。 【化6】 (式中、Xは置換されていてもよい芳香族縮合炭化水素
    基を表す。)
  8. 【請求項8】 前記感光層が、単層構造または2層以上
    の積層構造であることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 前記積層構造の最表面層中に、前記構造
    式(I)で示される繰り返し構造単位からなる重合体ま
    たは該構造単位を有する共重合体を含有することを特徴
    とする請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記積層構造が、少なくとも電荷発生
    層と電荷輸送層とを設けてなり、該電荷輸送層中に前記
    構造式(I)で示される繰り返し構造単位からなる重合
    体または該構造単位を有する共重合体を含有することを
    特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 感光層に含有する電荷発生材料が、フ
    タロシアニン系顔料であることを特徴とする請求項1〜
    10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 接触帯電方式により帯電される電子写
    真装置において、請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の電子写真感光体を用いたことを特徴とする電子写真装
    置。
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