JP2000131849A - スタンパ製造方法 - Google Patents

スタンパ製造方法

Info

Publication number
JP2000131849A
JP2000131849A JP10305800A JP30580098A JP2000131849A JP 2000131849 A JP2000131849 A JP 2000131849A JP 10305800 A JP10305800 A JP 10305800A JP 30580098 A JP30580098 A JP 30580098A JP 2000131849 A JP2000131849 A JP 2000131849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
exposure
groove
groove pattern
exposure light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10305800A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiko Shimizu
明彦 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP10305800A priority Critical patent/JP2000131849A/ja
Publication of JP2000131849A publication Critical patent/JP2000131849A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】スタンパ製造方法において、コントラスト増強
膜を用い、所望の溝幅および溝ピッチを、容易に実現可
能とする。 【解決手段】フォトレジスト膜12上に、フォトクロミ
ック効果を利用するコントラスト増強膜14を形成し、
これを介して、露光用のレーザビームにより露光する方
式の、光情報記録媒体用のスタンパを製造する方法にお
いて、コントラスト増強膜の、有色状態での透過率をT
1、フォトクロミック反応により完全に無色化したとき
の透過率をT2、フォトレジスト膜に溝パターン潜像の
形成が開始される露光光量をP1、フォトクロミック反
応が開始する露光光量をP4、コントラスト増強膜を完
全に無色化するのに必要な最小露光光量をP5、コント
ラスト増強膜を介した露光でフォトレジスト膜に溝パタ
ーン潜像が形成され始めるときの露光光量をP2とする
とき、T1,P1,P4が、溝パターンの所望の溝幅の
外側で、条件:T1≦P1/P4を満足し、T2,P
2,P5が、上記所望の溝幅の内側で、条件:T2≧P
2/P5を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はスタンパ製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に、フォトレジスト膜を、スタン
パ表面に形成される溝深さと同じ厚さに形成し、露光用
のレーザビームにより露光して溝パターン潜像を形成
し、現像を行って、基板上のフォトレジスト膜に溝パタ
ーンを形成し、溝パターンを形成されたフォトレジスト
膜表面に導電皮膜を形成し、この導電皮膜をニッケル電
鋳して、フォトレジストの溝パターンと凹凸が反転した
反転溝パターンを持つニッケル板を作製し、このニッケ
ル板に仕上げ加工を施して、光情報記録媒体用のスタン
パを製造する方法が知られている。近来、光情報記録媒
体における記録の大容量化が求められ、それに伴い、ス
タンパとしても、溝パターンにおける溝幅が小さく、溝
のピッチの小さいものが求められている。フォトレジス
ト膜の露光に用いられるレーザビームを、フォトレジス
ト膜上に集光させた光スポットの光強度分布はガウス分
布型である。このため、フォトレジストの「レーザ光に
より露光される深さ」が、光スポットの周辺部で次第に
浅くなり、現像後にフォトレジストに形成される溝パタ
ーンの「溝断面形状」は台形形状になる。このような台
形形状の溝断面は、溝のピッチを小さくした場合に以下
のような問題を生じる。即ち、溝のピッチを小さくして
隣接溝間の間隔が狭くなる場合、溝断面が台形形状であ
ると、溝の上部(開口部)が隣接溝間で干渉しあい、隣
接溝間の平坦部分である「ランド部」の高さが減少し、
溝の深さをフォトレジストの膜厚で制御できなくなり、
ランド部は平坦でなくなる。このような状態のフォトレ
ジストをもとにスタンパを作成すると、スタンパのラン
ド部分も平坦ではなくなるため、スタンパにより作製さ
れる光情報記録媒体の記録特性が低下する。即ち、具体
的には、隣接トラック間のクロストーク信号が増大し、
特にジッタ特性が低下する。従って、大容量の光情報記
録媒体の作製に用いられるスタンパは、溝断面形状が可
及的に矩形に近いことが求められる。フォトレジスト膜
に、溝幅が光スポット径よりも有効に小さく、溝断面形
状が矩形に近い溝パターンを形成できる方法として、光
退色性樹脂膜をフォトレジスト膜上に形成し、光退色性
樹脂膜を介して、レーザビームによる露光を行う方法が
知られている。光退色性樹脂膜は有色状態にあるが、露
光光量がある程度大きくなるとフォトクロミック反応に
より退色が起こり、レーザ光に対する透過率が上昇す
る。フォトクロミック反応は、光退色性樹脂膜に照射さ
れる光量に比例して進行するので、光退色性樹脂膜上に
形成される光スポットの、周辺部の光強度の弱い部分
は、露光時間内に光退色性樹脂膜を退色させてフォトレ
ジスト膜に到達することができない。このため、フォト
レジストに到達するレーザ光は、その径が上記光スポッ
トの径よりも小さくなる。従って、光退色性樹脂膜上に
形成される光スポットの径よりも溝幅の小さい溝パター
ン潜像を形成することができる。光スポット周辺部の光
強度の弱い部分は光退色性樹脂膜を透過できず、フォト
レジスト膜を露光するレーザ光は、溝幅方向の光強度分
布が矩形形状に近くなるので、フォトレジスト膜に形成
される溝パターンの断面形状も矩形形状に近いものにな
る。光退色性樹脂膜は上記の如き機能に鑑み「コントラ
スト増強膜」と呼ばれている。上記のスタンパ製造方法
においてコントラスト増強膜の利用は、従来、試行錯誤
的に行われており、このため、所望のスタンパを製造す
るための条件、即ち、フォトレジストの感度、コントラ
スト増強膜の厚さ、レーザビームの光強度等を適正に設
定するのが面倒であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、スタンパ
製造方法において、コントラスト増強膜を用い、所望の
溝幅および溝ピッチを、容易かつ確実に実現可能とする
ことを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明のスタンパ製造
方法は「基板上に、フォトレジスト膜を、スタンパ表面
に形成される溝深さと同じ厚さに形成し、このフォトレ
ジスト膜上にフォトクロミック効果を利用するコントラ
スト増強膜を形成し、このコントラスト増強膜を介し
て、フォトレジスト膜を露光用のレーザビームにより露
光して溝パターン潜像を形成し、露光後、現像を行って
基板上のフォトレジスト膜に溝パターンを形成し、この
溝パターンを形成されたフォトレジスト膜表面に導電皮
膜を形成し、この導電皮膜をニッケル電鋳して、フォト
レジストの溝パターンと凹凸が反転した反転溝パターン
を持つニッケル板を作製し、このニッケル板を剥離・洗
浄・裏面研磨・内外径加工して、光情報記録媒体用のス
タンパを製造する方法」であって、以下のごとき特徴を
有する。即ち、透過率:T1、T2、露光光量:P1,
P2,P4,P5を以下ように定義する。 T1:コントラスト増強膜が有色状態であるときの、露
光用のレーザビームに対する透過率 T2:フォトクロミック反応により完全に無色化したコ
ントラスト増強膜のレーザビームに対する透過率 P1:フォトレジスト膜単独で、露光による溝パターン
潜像の形成が開始される露光光量 P2:コントラスト増強膜を介した露光でフォトレジス
ト膜に溝パターン潜像が形成され始めるときの露光光量 P4:有色状態から無色状態に移行するフォトクロミッ
ク反応を開始する露光光量 P5:コントラスト増強膜をフォトクロミック反応によ
り完全に無色化するのに必要な最小露光光量 このように定義されたT1,T2,P1,P2,P4,
P5のうちで、T1,P1,P4は、溝パターンの所望
の溝幅の外側で、条件:T1≦P1/P4を満足し、T
2,P2,P5は、上記所望の溝幅の内側で、条件:T
2≧P2/P5を満足する(請求項1)。上記請求項1
記載のスタンパ製造方法において、露光光量:P3を、 P3:フォトレジスト膜単独で、露光により形成される
溝パターンの溝の開口幅が、露光光量の増加に対して飽
和する最小露光光量 と定義すると、露光光量:P1,P3,P4,P5は、
条件:P1/P3>0.25およびP4/P5>0.5
を満足することが好ましい(請求項2)。
【0005】上記P3の定義を補足すると、フォトレジ
スト膜上に直接、レーザビームを光スポットとして溝パ
ターンの露光を行う場合、露光線速度(光スポットとフ
ォトレジスト膜の相対速度)を同じにして、光スポット
の光強度を増減させると、形成される溝の開口幅(開口
幅については後述する)が変化する。即ち、光スポット
の光強度が大きいほど開口幅は広くなる。これは、光ス
ポットの光強度が、ガウス分布型を保ちつつ増大するこ
とによる。上記光強度がある程度以上になると溝の開口
幅は、それ以上大きくならなくなる。このように、開口
幅が最大に達するときの露光光量が「P3」である。
【0006】
【発明の実施の形態】図1には、この発明の実施の形態
を工程図として示している。図1において、(a)は
「フォトレジスト膜形成工程」を示している。この工程
は、「基板」としてのガラス基板10上に、フォトレジ
ストをスピンコートで塗布し、熱処理(加熱乾燥と冷
却)してフォトレジスト膜12膜を形成する工程であ
る。フォトレジスト膜12は、熱処理後の膜厚が「スタ
ンパ表面に形成される溝深さと同じ厚さ」になるように
形成される。(b)に示す「CEL膜形成工程」に於け
るCEL膜は「フォトクロミック効果を利用するコント
ラスト増強膜」を意味する。この工程は、熱処理後のフ
ォトレジスト膜12上に、フォトクロミック反応を生じ
る光退色性樹脂(フォトクロミック材料を水溶性樹脂に
分散させたもの)をスピンコートで塗布し、熱処理(加
熱乾燥と冷却)して、フォトクロミック効果を利用する
コントラスト増強膜14を形成する工程である。(c)
に示す「露光工程」は、コントラスト増強膜14を介し
て、フォトレジスト膜12に、所定の溝パターンを露光
用のレーザビームLBにより露光する工程である。レー
ザビームLBは、対物レンズ20により光スポットとし
て集光され、コントラスト増強膜14を介してフォトレ
ジスト膜12を露光する。この露光工程により、フォト
レジスト膜12に溝パターン潜像IMPが形成される。
次いで(d)に示す「現像工程」は、コントラスト増強
膜14の除去とフォトレジスト膜12の現像を行う工程
であり、現像に続く「洗浄および乾燥」の工程が含まれ
る。この現像工程の結果、ガラス基板10上のフォトレ
ジスト膜に、溝パターンMPが形成される。コントラス
ト増強膜14の主成分は「水溶性樹脂」であるので、コ
ントラスト増強膜14は、純水による洗浄で容易に除去
される。現像は、露光されたフォトレジスト部分を除去
するように行われる。現像後、純水によりリンスし、そ
の後、回転乾燥する。(e)に示す「導電被膜処理工
程」は、溝パターンMPを形成されたフォトレジスト膜
表面に、導電皮膜16を形成する工程である。導電被膜
16はニッケル膜で、スパッタリングにより形成され
る。(f)に示す「ニッケル電鋳工程」は、ニッケル膜
16として形成された導電皮膜を電極とするニッケル電
鋳によりニッケル層を積層し、フォトレジスト12の溝
パターンMPと凹凸が反転した「反転溝パターン」を持
つニッケル板16Aを作製する工程である。(g)に示
す「仕上工程」は、ニッケル板16Aをガラス基板10
から剥離し、洗浄・裏面研磨・内外径加工等を行ってス
タンパとする工程である。即ち、ガラス基板10から剥
離されたニッケル板16Aは、反転溝パターンを形成さ
れていない裏面を研磨され、表面側を純水で洗浄され、
高速回転で乾燥され、内外径を所望の寸法にプレス化工
されてスタンパとして完成する。
【0007】図2は、上の「露光工程」を説明する図で
ある。フォトレジスト膜とコントラスト増強膜とを形成
されたガラス基板10は、キャリジ30に設けられたタ
ーンテーブル32上に固定され、ターンテーブル32に
より回転される。また、回転に伴い、キャリジ30によ
り半径方向へゆっくりと移動する。Arガスレーザ等で
あるレーザ光源50からのレーザビームは、対物レンズ
20により集束され、コントラスト増強膜を介してフォ
トレジスト膜を露光する。コントラスト増強膜上の光ス
ポットは、図3に示す如き強度分布を有し、スポット径
は1/e2強度で約0.4μmである。上記の如き露光に
より、フォトレジスト膜は露光され「渦巻き状の溝パタ
ーン潜像」が形成される。図4(a)は、光スポット
を、フォトレジスト膜上に直接形成したときの光強度分
布を、「光源における発光強度」をパラメータとして描
いている。発光強度が大なる程、露光光量も大きい。図
4(b)は、(a)の光スポットをコントラスト増強膜
上に形成したときの、フォトレジスト膜上の光強度分布
を(a)に倣って描いてある。なお、図4(a)、
(b)の縦軸の光強度は「相対強度」である。図4の
(a)と(b)を対比すると、コントラスト増強膜がフ
ォトレジスト膜に対し、光スポットの光強度分布におけ
る「裾野の光強度の低い部分」をカットする機能を持つ
ことがわかる。これにより、露光された溝パターン潜像
の溝幅が小さくなる。図5は、現像工程後、フォトレジ
スト膜に形成された溝パターンにおける「溝断面形状」
を説明図として示している。図のように、溝パターンに
おける溝幅を溝底部においてWbot(底幅という)、溝
上部においてWtop(開口幅という)とする。開口幅:
Wtopが底幅:Wbotに近いほど、溝断面形状は矩形形状
に近く、良好な溝パターンである。図6は、開口幅:W
top (縦軸;μm単位)と、露光光量:Pw(横軸;m
W単位)との関係を示している。フォトレジスト膜の厚
さは1000Å、露光線速度(フォトレジスト膜と光ス
ポットの相対速度)は毎秒7.2mである。図に示され
ているように、コントラスト増強膜がある場合(曲線6
−2)でもコントラスト増強膜が無い場合(曲線6−
1)でも、露光光量:Pwが増大すると、ある露光光量
から開口幅:Wtop が急激に増大し、露光光量:Pwが
さらに増大するに従い、開口幅の増大は次第に飽和する
傾向があることが認められる。そして、コントラスト増
強膜を設けることにより、開口幅:Wtop の増大が抑制
される(溝断面形状が矩形形状に近くなる)ことが分か
る。なお、図6の曲線6−2に関して、露光光量はコン
トラスト増強膜上の値である。
【0008】図6には、先に定義した露光光量:P1〜
P5のうちの露光光量:P1,P2およびP3が示され
ている。露光光量:P1は、図6の曲線6−1が「0か
ら立ち上がるときの露光光量」であり、フォトレジスト
膜単独で、露光による溝パターン潜像の形成が開始され
る露光光量である。露光光量:P2:は、曲線6−2が
「0から立ち上がるときの露光光量」であり、コントラ
スト増強膜を介した露光でフォトレジスト膜に溝パター
ン潜像が形成され始めるときの露光光量である。露光光
量:P3は、曲線6−1が飽和するときの露光光量であ
り、フォトレジスト膜単独で、露光により形成される溝
パターンの溝の開口幅:Wtop が、露光光量:Pwの増
加に対して飽和する最小露光光量である。
【0009】図7は、露光光量:Pwをパラメータとし
て、露光光量:Pwの変化により、フォトレジスト膜に
形成される溝パターンの溝の断面形状がどのように変化
するかを示している。図7(a)は、コントラスト増強
膜が無い場合であり、(b)はコントラスト増強膜を有
する場合である。フォトレジスト膜の厚さは1000Å
である。図7(a),(b)を比較すると明らかなよう
に、例えば、露光光量:Pw=4.8mW,6.0mW
の2つの場合において、コントラスト増強膜がある場合
の方が、溝断面形状は矩形形状に近く、平均的な溝幅も
狭い。図8は、コントラスト増強膜にレーザビームを光
スポットとして照射したときの、コントラスト増強膜の
「レーザビームに対する透過率」の変化の典型的1例を
示している。この図には、先に定義した2つの透過率:
T1,T2と、露光光量:P4,P5が示されている。
コントラスト増強膜の透過率は、当初の有色状態で20
%あり、照射するレーザビームの露光光量:Pwが小さ
い間は有色状態が変化しない。このように、コントラス
ト増強膜が当初の「有色状態」であるときの、露光用の
レーザビームに対する透過率が、透過率:T1である。
露光光量:Pwが増加してP4になると、フォトクロミ
ック反応が開始し、透過率が立上り始める。即ち、露光
光量:P4は、有色状態から無色状態に移行するフォト
クロミック反応が開始する露光光量である。さらに露光
光量:Pwが増大すると透過率は略直線的に増加し、露
光光量:P5でフォトクロミック反応が終了し、コント
ラスト増強膜の透過率は飽和する。このように、フォト
クロミック反応により完全に無色化したコントラスト増
強膜のレーザビームに対する透過率が、透過率:T2で
ある。従って、露光光量:P5は、コントラスト増強膜
をフォトクロミック反応により完全に無色化するのに必
要な最小露光光量である。
【0010】さて、透過率:T1と露光光量:P4との
積:T1・P4を考えてみると、これは、コントラスト
増強膜を介して露光光量:P4で露光を行ったときの、
フォトレジスト膜の表面における露光光量である。従っ
て、T1・P4<P1であればフォトレジスト膜は露光
されず、T1・P4>P1であればフォトレジスト膜は
露光される。溝パターンの露光に用いられるレーザビー
ムの光スポットは、ガウス分布型の光強度分布を有し、
先に説明したように、フォトレジスト膜が光強度分布の
裾野の部分で露光されると、開口幅:Wtop が大きくな
り好ましくない。そこで、フォトレジスト膜上における
露光光量分布(露光光量は、所定の露光時間と光強度の
積であるので、光強度分布と同様の形状をしている)に
おいて、溝パターンにおける「所望の溝幅の外側」で、
条件:T1・P4≦P1、即ち、T1≦P1/P4が成
り立つようにすれば、求めている溝幅の外側における
「上記裾野部分による露光」を有効に防止できる。ま
た、透過率:T2と露光光量:P5との積:T2・P5
を考えてみると、これは、コントラスト増強層をフォト
クロミック反応により完全に無色化できる最小露光光
量:P5で露光を行ったときの「フォトレジスト層上に
おける光量」である。従って、フォトレジスト膜が露光
され得るためには、T2・P5≧P2、即ち、T2≧P
2/P5である必要がある。従って「上記所望の溝幅の
内側」では、条件:T2≧P2/P5が満足されねばな
らない。即ち、形成すべき溝パターンの所望の溝幅(溝
パターン潜像の溝幅)の外側で、T1≦P1/P4、内
側でT2≧P2/P5が、それぞれ満足されるように露
光を行えば、所望の溝幅を持った溝パターンを有効に形
成できる。このような条件の充足は、コントラスト増強
膜におけるフォトクロミック材料の濃度や厚さ(T1,
T2等を決定する)、レーザビームの光強度やフォトレ
ジストの感度(P1,P2,P4,P5を決定する)を
適宜に選択・設定することにより、満足させることがで
きる。従って、求めるスタンパにおける溝パターンの所
望の溝幅に応じ、フォトクロミック材料の濃度や厚さ、
レーザビームの光強度やフォトレジストの感度を調整し
て露光を行うことにより、所望の溝幅を持ち、矩形形状
に近い断面形状の溝の溝パターンをもったスタンパを得
ることが可能になる。
【0011】上に説明したように、レーザビームによる
溝パターンの露光は、図2に示す如き方法で行われる。
露光光量の調整は一般に光変調器により行うが「溝パタ
ーン露光の動作を安定させるための最小光量」は2mW
程度である。また、レーザ光源として例示した「Arガ
スレーザ」に代表されるガスレーザのレーザ本体の寿命
を考慮すると、露光光量の最大値は8mW以下に抑える
ことが好ましい。換言すれば、溝幅の可変範囲を最大限
に活用して、溝幅を効果的に制御するには、P1>2m
W、且つ、P3<8mWであること、即ち、P1/P3
>0.28であること好ましい。また、露光光量の制御
で溝断面形状を調整する上で、コントラスト増強膜の透
過率が変化し始める露光光量:P4と、透過率の変化が
飽和する露光光量:P5についても、上に述べた露光光
量の制限から、P4>2mWであり、フォトクロミック
反応を十分に活用するには、露光光量:P5はレーザ光
源の最大出力:8mWの略半分の4mWより小さいこ
と、即ち、P5<4mWであることが好ましい。 即
ち、P4/P5>0.5であることが好ましいのである
(請求項2)。
【0012】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げる。溝パターン
の溝幅として底幅:Wbot=0.1μm、開口幅:Wtop
=0.2μm、溝ピッチ:0.7μm、溝深さ:100
0Åのスタンパを以下のようにして製造した。基板とし
て、研磨したガラス板(ガラス基板)を用い、光オゾン
アッシング装置で約3分間表面処理して「親水性」を高
めた表面に、ヘキサメチルジシラザンをスピンコート
し、完全に乾燥させて下地層とした。この下地層は「疎
水性」である。下地層上にフォトレジストをスピンコー
トし、80度Cのオーブンで30分間加熱したのち冷却
し、厚さ:1000Å(スタンパに形成されるべき溝の
深さと同じ厚さ)のフォトレジスト膜とした。なお、上
記下地層は、ガラス基板とフォトレジスト膜の密着性を
高め、現像の際、フォトレジスト膜の剥離を防止する作
用を持つ。フォトレジスト材料としては、東京応化製の
ポジ型フォトレジストを用いた。このフォトレジストの
感度特性を図9に示す。横軸は露光光量、縦軸は露光に
より形成される溝の開口幅:Wtop である。このフォト
レジストは、溝形成の開始される露光光量が略1.4m
W(レーザ出力)と小さい。フォトレジスト膜の上に、
コントラスト増強膜を以下のように形成した。即ち、水
溶性樹脂(東京応化製の樹脂:TRF(商品名 主成分
はポリビニルアルコールである)に、スピロピラン系の
フォトクロミック材料を分散させた光退色性樹脂をスピ
ンコートで塗布し、80〜100度Cのオーブンで30
分間乾燥したのち冷却した。このようにして、厚さ:1
000Åで、透過率:T1=20%,T2=80%のコ
ントラスト増強膜を得た。図2に即して説明した露光方
法で溝パターンの露光を行った。光源としては、発振波
長:413nmのKrレーザを用い、開口数:N.A=
0.90の対物レンズにより光スポットに絞ってコント
ラスト増強膜上に照射した。このとき、光スポット径は
1/e2強度で略0.4μmである。露光線速度:7.2
m/secで露光を行った。露光光量(レーザ出力):
Pwは、7.5mWに設定した。露光後、純水による洗
浄でコントラスト増強膜を除去し、アルカリ性の現像液
で現像を行い、純粋でリンスし、高速回転で振り切り乾
燥して、溝パターンを得た。現像後のフォトレジスト膜
に対し、ニッケルを厚さ:500Åにスパッタリング
し、形成されたニッケル膜を電極としてニッケル電鋳を
行って、さらにニッケルを積層して厚さ:300μmの
ニッケル板を得、このニッケル板をガラス基板から剥離
し、表面(反転溝パターンの凹凸が形成されている側)
に残留付着ている下地層(ヘキサメチルジシラザン)を
洗浄(温水を用いる下地層の溶解速度が早くなるので洗
浄時間を短縮できる)して除去し、乾燥させた。次い
で、反転溝パターンの形成されている側に、プラスチッ
クコートで保護膜を付け、裏面研磨を行った。この場
合、ニッケル板をガラス基板から剥離する前に裏面研磨
を行うようにしてもよい。その場合には上記「保護膜」
の形成は不要である。最後に、打ち抜きプレスにより内
径と外径を所望の大きさにカットし、所望のスタンパを
得ることができた。
【0013】このようにして作成されたスタンパは、こ
れをマスタとする電鋳複製により、副数枚のレプリカス
タンパを作成することも可能である。即ち、上記マスタ
の表面に、周知の、重クロム酸カリによる湿式方式や、
オゾン処理による乾式方式で剥離皮膜(酸化膜)を形成
し、反転溝パターンを有する面に電鋳・剥離を行い、マ
スタと凹凸の異なるマザースタンパを作成する。マザー
スタンパは、1つのマスタから副数枚を転写できる。上
記マザースタンパに剥離皮膜を形成し、電鋳・剥離を行
ってマスタと同じ反転溝パターンのサンスタンパを得
る。サンスタンパも1つのマザースタンパから副数枚を
得ることが可能である。このようにして、1つのマスタ
に基づき、複数のサンスタンパをレプリカとして複製で
きるので、1枚のマスタを作成すれば、上記方法でマス
タと同じスタンパを量産できる。
【0014】なお、フォトレジスト膜における潜像は、
露光による光架橋反応と、熱架橋反応とで形成されるの
で、露光後に形成される溝パターンの溝幅は、上に説明
した光スポットによる光の作用による溝幅よりも、熱架
橋反応の影響で10〜20%大きくなるので、実際のス
タンパ製造においては、このような熱架橋反応による溝
幅増大を考慮して、露光条件を設定する。
【0015】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれ
ば、フォトクロミック反応を利用するコントラスト増強
膜を使用したスタンパ製造方法において、試行錯誤によ
ることなく容易且つ確実に、所望のスタンパを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスタンパ製造方法の製造工程を示す
図である。
【図2】露光工程を説明するための図である。
【図3】溝パターンの露光に用いるレーザビームの光ス
ポットの光強度分布を示す図である。
【図4】レーザ光源の発光強度を変化させたときの光ス
ポットの光強度分布の変化を示す図で、(a)は光スポ
ットの光強度分布、(b)はコントラスト増強膜透過後
の光強度分布である。
【図5】露光により形成された溝パターンにおける溝断
面形状を説明するための図である。
【図6】露光光量による溝の開口幅の変化が、コントラ
スト増強膜の有無により、どのように異なるかを示した
図である。
【図7】露光によりフォトレジスト膜に形成される溝パ
ターンの溝の断面形状の、露光光量による変化を、コン
トラスト増強膜の無い場合(a)とある場合(b)に付
き示す図である。
【図8】コントラスト増強膜の、クロミック反応による
透過率の変化を説明するための図である。
【図9】実施例に用いたフォトレジストの感度特性を示
す図である。
【符号の説明】
10 基板としてのガラス基板 12 フォトレジスト膜 14 コントラスト増強膜 IMP 溝パターン潜像 MP 溝パターン 16 導電皮膜 16A ニッケル板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、フォトレジスト膜を、スタンパ
    表面に形成される溝深さと同じ厚さに形成し、このフォ
    トレジスト膜上に、フォトクロミック効果を利用するコ
    ントラスト増強膜を形成し、このコントラスト増強膜を
    介して、上記フォトレジスト膜を、露光用のレーザビー
    ムにより露光して溝パターン潜像を形成し、現像を行っ
    て基板上のフォトレジスト膜に溝パターンを形成し、溝
    パターンを形成されたフォトレジスト膜表面に導電皮膜
    を形成し、この導電皮膜をニッケル電鋳して、上記フォ
    トレジストの溝パターンと凹凸が反転した反転溝パター
    ンを持つニッケル板を作製し、このニッケル板を剥離・
    洗浄・裏面研磨・内外径加工して、光情報記録媒体用の
    スタンパを製造する方法において、 コントラスト増強膜が有色状態であるときの、露光用の
    レーザビームに対する透過率をT1、フォトレジスト膜
    単独で、露光による溝パターン潜像の形成が開始される
    露光光量をP1、コントラスト増強膜にフォトクロミッ
    ク反応を開始させる露光光量をP4とし、 コントラスト増強膜をフォトクロミック反応により完全
    に無色化するのに必要な最小露光光量をP5、完全に無
    色化したコントラスト増強膜の上記レーザビームに対す
    る透過率をT2、コントラスト増強膜を介した露光でフ
    ォトレジスト膜に溝パターン潜像が形成され始めるとき
    の露光光量をP2とするとき、 上記T1,P1,P4が、溝パターンの所望の溝幅の外
    側で、条件:T1≦P1/P4を満足し、 上記T2,P2,P5が、上記所望の溝幅の内側で、条
    件:T2≧P2/P5を満足することを特徴とするスタ
    ンパ製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のスタンパ製造方法におい
    て、 フォトレジスト膜単独で、露光により形成される溝パタ
    ーンの溝の開口幅が、露光光量の増加に対して飽和する
    最小露光光量をP3とするとき、 P1,P3,P4,P5が、条件:P1/P3>0.2
    5およびP4/P5>0.5を満足することを特徴とす
    るスタンパ製造方法。
JP10305800A 1998-10-27 1998-10-27 スタンパ製造方法 Pending JP2000131849A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10305800A JP2000131849A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 スタンパ製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10305800A JP2000131849A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 スタンパ製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000131849A true JP2000131849A (ja) 2000-05-12

Family

ID=17949523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10305800A Pending JP2000131849A (ja) 1998-10-27 1998-10-27 スタンパ製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000131849A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4329208B2 (ja) 記録媒体の製造方法、記録媒体製造用原盤の製造方法、記録媒体の製造装置、および記録媒体製造用原盤の製造装置
JP3636387B2 (ja) マスターによらずに光ディスクを生産するためのマトリックスの製造方法
EP1460625A1 (en) Information medium master manufacturing method, information medium stamper manufacturing method, information medium master manufacturing apparatus, and information medium stamper manufacturing apparatus
US6127100A (en) Method of manufacturing a stamper for use in optical information recording medium
JP2001250280A (ja) 記録媒体、記録媒体の製造方法、記録媒体製造用原盤の製造方法、記録媒体の製造装置、および記録媒体製造用原盤の製造装置
JP2000113526A (ja) 光情報記録媒体用スタンパの製造方法
JP3592678B2 (ja) ブランク盤の製造方法とダイレクトスタンパーの製作方法
JP2000131849A (ja) スタンパ製造方法
JP2000256889A (ja) スタンパー複製用盤の製造方法および光学記録媒体の製造方法
JPH11120626A (ja) 光ディスク作製用マスタディスクの製造方法
JP2000021033A (ja) 光ディスク原盤
JPH11102541A (ja) 光ディスク用原盤の製造方法
JPH10106047A (ja) 光学記録媒体の製造方法
JP2002245685A (ja) 微細パターンの形成方法
JP2003022583A (ja) 光ディスク原盤の製造方法及び光ディスク原盤
JP3596543B2 (ja) スタンパーとその製造方法及び光ディスク並びにブランクス
JP2000162782A (ja) 光ディスク原盤の製造方法
JP2713083B2 (ja) 微細パターン描画方法
JP3662305B2 (ja) 露光パターンの形成方法及びその装置
JP2001338444A (ja) 原盤、スタンパ及び情報記録媒体の製造方法
JP2000113520A (ja) 光ディスク原盤の製造方法
JP2000276759A (ja) 光ディスク原盤の製造方法
JP2002184009A (ja) 記録媒体原盤の製造方法
JP2003022582A (ja) 光ディスク用原盤の製造方法
JP2000021017A (ja) 光学記録媒体と光学記録媒体の製造方法、および光学記録媒体用基板と光学記録媒体用基板の製造方法