JP2000131183A - ガス導管漏洩検知方法及び検知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス導管３のガス漏洩の有無を、消費者への
ガス供給を停止することなく、無人で自動的に検査す
る。 【解決手段】 ガス本管１に各消費者への分岐導管３を
逆止弁機能付きガバナ２を介して接続し、そのガバナ２
以降の分岐導管３に、ガス本管１より高い圧力の検査用
ガスａを注入可能とするとともに、その分岐導管３等に
そのガス圧検出器１６を付設する。深夜から早朝までの
ガス消費の少ない時間帯に、コントローラ１７により、
弁１４を開放して、検査用ガスａを分岐導管３に送り込
み、供給ガスｂより高くし、所定圧になれば、弁１４を
閉じる。この圧力が、例えば、通常５分間維持されれ
ば、漏洩がないものと判断する。このとき、分岐導管３
が圧力上昇しなかったり、圧力低下したときには、通常
のガス消費が行われており、１５分程度経過後、再度、
弁１４を開放して検査する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ガス本管に導管
を接続し、この導管から各消費者にガスを供給するシス
テムにおける前記導管などのガス導管漏洩検知方法及び
検知装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、都市ガスは、この発明の一実施
例を示す図１を参照して説明すると、幹線道路に埋設さ
れたガス本管１から消費者群に供給用ガバナ２を介して
導管３を分岐し、この分岐導管３から各家庭Ｈなどに引
込管４、開閉弁５、消費メータ６などを介して供給され
る。

【０００３】このガス供給システムにおいて、ガス本管
１は勿論のこと、分岐導管３及び引込み管４において、
ガス洩れが生じていると、ガス爆発などの大事故を招く
恐れがある。このため、従来から、そのガス洩れを検出
するために種々の手段が採られている。

【０００４】その１つは、ボーリング調査と呼ばれ、道
路下に埋設された導管３真上に深さ５０ｃｍ程度の穴を
穿き、その穴に管を挿入して、その部分の空気を吸引
し、ガス検知器又は臭気で漏洩の有無を検査する方法で
あり、また、他の手段として、水素炎イオン化式ガス検
知器等を用いて、路線上の地表近くの空気を吸引して漏
洩の有無を検査する方法を採用したり、さらに、被検査
部分へのガスの流入を遮断した後、所定の時間の圧力を
測定して、その圧力変化により漏洩の有無を検査する方
法を採用している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ボーリングは、約５ｍ
おきに穴を穿く為、道路に傷が付くと共に大変な労力と
経費が必要であり、場所によっては穴を穿けることがで
きないところも多々ある。水素炎イオン化式ガス検知器
等の使用の方法は、天然ガス等の比重の小さいガス（空
気より軽いガス）にのみ適用できる方法で、ＬＰガス等
の重いガスには使用できない。また、人間が入れない場
所、例えば床下、パイプシャフト等の建家内の配管にお
いては、使用できない。圧力保持式は、ガス消費を停止
した後、実施する必要があり、消費者には検査する間の
時間、ガスが使用できないと言った不便をかける。ま
た、大規模な集団供給設備ではガスの停止と再開栓に膨
大な手数がかかるばかりか、特に開栓時においてガス事
故防止のための安全確認に細心の注意が必要となる。

【０００６】この発明は、都市ガス等のガス導管等の漏
洩の有無を、深夜等のガスを消費しない時間帯を利用し
て、また、消費者にガス供給を停止する事なく無人で自
動的に検査し得るようにすることを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は、ガス本管に接続された検査対象導管及
び引込管を、前記ガス本管からガスを導入自在な状態
で、例えば一定圧以下になれば、本管からガスが導入さ
れる状態で、ガス本管から供給される設定圧力より幾分
高い圧力に維持し、一定時間、前記高い圧力が一定値以
上低下しない場合、前記検査対象導管等に漏洩が生じて
いないと判断することとしたのである。

【０００８】一方、圧力低下が一定値以下になれば、再
度、高い圧力に維持するようにし、一定期間、例えば１
ヶ月間一度も前記の漏洩が生じていないと判断すること
が出来ない場合は、検査対象導管等に漏洩が生じている
可能性があると判断する。

【０００９】このとき、本管からガス導入自在な状態と
していることにより、高い圧力に維持しているときに、
ガス消費が開始されて検査対象導管の圧力が低下して
も、本管から自動的にガスが供給され、ガス消費に支障
を来すことはない。

【００１０】

【発明の実施の形態】この発明の一実施形態としては、
ガス本管に各消費者への分岐導管を逆止弁を介して接続
し、その逆止弁以降の前記分岐導管に、前記ガス本管よ
り高い圧力のガスを注入可能とするとともに、その分岐
導管の圧力検出のためのガス圧検出器を設けた構成を採
用でき、そのガス圧検出器の検出信号に基づき、高い圧
力のガスを注入及び停止して、分岐導管をガス本管より
高い圧力に維持しようとしているにもかかわらず、一定
時間内に、その圧力が一定値以上低下すれば、その導管
にはガス漏洩が生じていると判断して、適宜な措置を行
う。

【００１１】分岐導管への高い圧力のガスの導入は、高
圧のガスボンベなどからの検査用ガスを使用すればよ
く、その検査用ガスの導入開閉は、開閉弁で行うことが
でき、この開閉弁の開閉は、上記ガス圧検出器の検出信
号によりコントローラでもって制御する。

【００１２】このとき、上記検査対象導管（分岐導管）
を高い圧力に維持しようとしても、高い圧力にならない
場合、その維持作用を停止し、一定時間の経過後、再
度、その維持作用をして、漏洩検査を行うようにすると
よい。高い圧力を維持できないのは、通常、大きな消費
がある場合であり、この場合は、ガス消費が停止するま
で、被検査対象導管のガス圧力は上昇することがなく、
検査用ガスを浪費してしまうことになる。このため、開
弁後、一定時間（通常、消費がなければ被検査対象導管
の圧力が上昇する時間であって、５分間程度）が経過し
ても被検査対象導管のガス圧力が上昇しないときは、一
旦、自動開閉弁を閉じた後、一定時間（通常、給湯等に
よる一回当たりのガス消費時間であって１５分程度）経
過後、再度開弁するようにする。

【００１３】

【実施例】一実施例を図１に示し、この実施例は、前述
のように、幹線道路に埋設されたガス本管１から消費者
群に供給用ガバナ２を介して導管３を分岐し、この分岐
導管３から各家庭Ｈなどに引込み管４、開閉弁５、消費
メータ６などを介してガスｂが供給される。前記供給用
ガバナ２は、逆止弁機能（閉塞機能）を有して分岐導管
３からガス本管１へのガス逆流を阻止しながら、ガス本
管１からのガスｂを一定値に減圧、例えば０．１ＭＰａ
から２．０ＫＰａに減圧して分岐導管３に送り込むもの
であり、少なくとも漏洩検査時にはガス消費に支障をき
たさない範囲内で、分岐導管３内のガスが所要の圧力、
例えば１．５〜２．０ＫＰａとなるように設定する。

【００１４】上記分岐導管３に、検査用ガスボンベ１１
が減圧調整弁１２、検査用ガバナ１３、自動開閉弁（電
磁弁）１４を介設した検査用ガス管１０が接続されてお
り、ボンベ１１には、ガス本管１からの供給ガスｂと同
一若しくは燃焼に支障のない類似ガスａが充填されてい
る。このため、自動開閉弁１４が開放すると、ボンベ１
１内の検査用ガスａが、減圧調整弁１２により一定値、
例えば１０ＫＰａに減圧され、さらにガバナ１３により
減圧、例えば２．５ＫＰａに減圧されて分岐導管３に送
り込まれ、このとき、その導入ガス圧はガス本管１から
のガバナ２を介しての供給ガスｂより高く設定されてい
るため、分岐導管３は供給ガスｂより高い圧力となる。

【００１５】また、分岐導管３には圧力記録装置１５が
付設され、この圧力記録装置は、分岐導管３の圧力測定
を行ってその変化を記録する。さらに、分岐導管３に
は、圧力スイッチなどの外部出力付き圧力測定装置１６
が付設されており、自動開閉弁１４が開き、検査用ガス
ａが導入され、分岐導管３の圧力が上昇して所定の圧力
Ｐ₁ （例えば２．４ＫＰａ）になると、その旨の信号
を、また、自動開閉弁が閉じられ分岐導管３に洩れのあ
る場合及びガス消費のある場合に圧力が低下し、所定の
圧力Ｐ₂ （例えば２．１ＫＰａ）まで低下すると、その
旨の信号をコントローラ１７にそれぞれ発信する。

【００１６】コントローラ１７は、入力として外部出力
付き圧力測定装置１６からの信号を、出力として自動開
閉弁１４に開閉命令を出すものであり、外部出力付き圧
力測定装置１６から設定圧力Ｐ₁ まで上昇した信号を受
けると、自動開閉弁１４に閉じる命令を、逆に設定圧力
Ｐ₂ まで低下した信号を受けると開く信号を発する。な
お、自動開閉弁１４を検査用ガバナ１３の出口側に設置
しているが、検査用ガバナ１３の直近であればその上流
にても差し支えはない。

【００１７】この実施例は以上の構成であり、図の鎖線
枠で示す被検査対象導管範囲Ａ毎にそれぞれ構成され、
それぞれにおいて、コントローラ１７より自動開閉弁１
４に開弁信号を発し、検査用ガスａを分岐導管３に導入
する。所定の上限圧力（供給用ガバナの閉塞圧力より高
い圧力であって、ガス消費に支障のない高い圧力）Ｐ₁
まで上昇すると、外部出力付き圧力測定装置１６がコン
トローラ１７にその旨を発信して、自動開閉弁１４が閉
じられる。自動開閉弁１４が閉じられて分岐導管３に漏
れのある場合及びガス消費のある場合には圧力が低下す
るが、所定の圧力Ｐ₂ まで低下すると、外部出力付き圧
力測定装置１６がコントローラ１７にその旨を発信し
て、自動開閉弁１４が再度開かれ、検査用ガスａが分岐
導管２に導入される。以下、その繰り返しが行われる。

【００１８】この漏洩検査時に、検査用ガス側からのガ
ス供給を越えるガス消費が発生した場合、供給用ガバナ
２から自動的にガスが供給されてガス消費に支障は来さ
ない。

【００１９】その間の圧力記録装置１５によって記録さ
れた圧力変動を読み、一定時間（分岐導管３の容積が１
０ｍ³ 以下であれば、通常５分間）上限圧力が低下する
ことがない場合、漏洩がないものと判断する。

【００２０】この検査時、コントローラ１７に時計を内
蔵し、タイマーにより、漏洩検査時間をガス消費の少な
い時間帯（通常、深夜から未明にかけての時間帯）に限
定して、検査用ガスａの浪費を減らす。また、開弁後、
５分間程度が経過しても分岐導管３のガス圧力が上昇し
ないときは、一旦、自動開閉弁１４を閉じた後、１５分
程度経過後、再度開弁する。さらに、圧力上昇後、ガス
消費により圧力が低下した場合、即座に自動開閉弁１４
を開かず、１５分経過後、開弁するようにして、検査用
ガスａの浪費を減らす。

【００２１】以上の分岐導管３の圧力変化が圧力記録装
置１５に記録され、その記録により、その変化を読み取
って漏洩なしの判断を行う。このとき、封入圧力及び経
過時間を自動的に読み取り、所定の一定時間、例えば分
岐導管３の容積が１０ｍ³ 以下であれば、通常５分間、
封入圧力に変化のない場合、その旨をランプ等で表示す
ることができる。

【００２２】上記本管１のガス圧力が上記分岐導管３と
等しい場合、分岐導管３の供給用ガバナ２に代えて、図
２に示すように、逆止弁１８を採用することができ、さ
らに、その逆止弁１８に代えて圧力損失の小さい逆止機
能を有する大口径のガバナを使用し得る。また、供給用
ガバナ２の上流側の圧力（ガス本管１のガス圧）が所定
の圧力Ｐ₁ 以上有れば、図３に示すように、その上流側
の供給ガスｂを検査用ガスａとして使用できる。さら
に、図４に示すように、供給ガスｂの圧力が所定圧力Ｐ
₁ 以下の場合でも、ブースタ１９を介し昇圧して設定圧
Ｐ₁ とし、検査用ガスａとして使用し得る。また、図１
において、検査用ガスボンベ１１に代えて移動式ガス発
生設備も使用し得る。

【００２３】なお、分岐導管３の容積が小さい場合な
ど、自動開閉弁１４の追従遅れにより、分岐導管３の圧
力が所定の圧力を越えることが考えられる。このため、
検査用ガバナ１３と分岐導管３の途中に定流量弁又は絞
りを設けて、検査用ガバナ１３から分岐導管３に導入さ
れるガス量の制限を行って、その追従遅れを補償すると
よい。また、外部出力付き圧力測定装置１６が設定圧力
に達したとき、その旨をコントローラ１７に発したが、
圧力センサを検査対象導管３等に取りつけ、コントロー
ラ１７がその圧力を読み取って設定圧力の判断を自動的
に行うようにすることができる。圧力検出器（圧力測定
装置）１６は検出用ガス管１０の自動開閉弁１４から導
管３までの間に付設することもできる。

【００２４】

【発明の効果】この発明は、以上のように、本来のガス
供給をしながら、検査対象導管の圧力変化によって、漏
洩を検出するようにしたので、消費者のガス消費を停
止させる必要がない、装置をセットしておけば、無人
で検査がされる、人の入れないところも確実に検査が
できる、軽いガスでも重いガスでも使用できる、など
の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例のガス検査回路図

【図２】他の実施例のガス検査回路図

【図３】他の実施例のガス検査回路図

【図４】他の実施例のガス検査回路図

【符号の説明】

１ ガス本管 ２ 供給用ガバナ ３ 検査対象導管（分岐導管） ４ 引込み管 ５ 開閉弁 ６ 消費メータ １０ 検査用ガス管 １１ 検査用ガスボンベ １２ 減圧調整弁 １３ 検査用ガバナ １４ 自動開閉弁 １５ 圧力記録装置 １６ 圧力測定装置 １７ コントローラ １８ 逆止弁 １９ ブースタ ａ 検査用ガス ｂ 供給ガス Ｈ 家庭

フロントページの続き (72)発明者 西野 博夫 東大阪市箱殿町10番４号 伊藤工機株式会 社内 (72)発明者 小林 久之 神奈川県小田原市扇町１丁目30番13号 小 田原瓦斯株式会社内 (72)発明者 福井 正樹 三重県名張市桔梗が丘１番町１街区５番地 の１ 名張近鉄ガス株式会社内 Ｆターム(参考） 2F030 CB02 CC13 CE12 CE22 CF05 2G067 AA14 BB02 CC04 DD02

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガス本管１に接続された検査対象導管３
   及び引込管４を、前記ガス本管１からガスｂを導入自在
   な状態でガス本管１から供給される設定圧力より幾分高
   い圧力に維持し、一定時間、前記高い圧力が一定値以上
   低下しない場合、前記検査対象導管３及び引込管４に漏
   洩が生じていないとするガス導管漏洩検知方法。
2. 【請求項２】 上記漏洩検査時間をガス消費の少ない時
   間帯に限定して行うことを特徴とする請求項１に記載の
   ガス導管漏洩検知方法。
3. 【請求項３】 上記検査対象導管３を高い圧力に維持し
   ようとしても、高い圧力にならない場合、その維持作用
   を停止し、一定時間の経過後、再度、前記高い圧力維持
   作用をして漏洩検査を行うことを特徴とする請求項１又
   は２に記載のガス導管漏洩検知方法。
4. 【請求項４】 請求項１乃至３のいずれか一つに記載の
   ガス導管漏洩検知方法をなす検知装置であって、ガス本
   管１に各消費者への分岐導管３を逆止弁２、１８を介し
   て接続し、その逆止弁以降の前記分岐導管３に、前記ガ
   ス本管１より高い圧力のガスａを注入可能とするととも
   に、その分岐導管３の圧力検出のためのガス圧検出器１
   ６を設けたことを特徴とするガス導管漏洩検知装置。
5. 【請求項５】 上記分岐導管３にガス本管１より高い圧
   力のガスａを注入する検査用ガス管１０を開閉弁１４を
   介して接続し、この開閉弁１４の開閉を上記検出器１６
   の検出信号によりコントローラ１７でもって制御するよ
   うにしたことを特徴とする請求項４に記載のガス導管漏
   洩検出装置。