JP2000128859A - ドパミンd4受容体に結合する放射性ヨウ素標識診断剤 - Google Patents

ドパミンd4受容体に結合する放射性ヨウ素標識診断剤

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JP2000128859A
JP2000128859A JP10304162A JP30416298A JP2000128859A JP 2000128859 A JP2000128859 A JP 2000128859A JP 10304162 A JP10304162 A JP 10304162A JP 30416298 A JP30416298 A JP 30416298A JP 2000128859 A JP2000128859 A JP 2000128859A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内でのドパミンD4受容体の変化の測定に
よる、精神分裂病などの核医学的診断に有効な診断剤を
提供することを目的とする。 【解決手段】 〔化1〕で示されるヨウ素-123標識ベン
ザミド誘導体を提供する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドパミンD4受容体
の変化の測定を目的とした核医学的用途に有効な、新し
い放射性ヨウ素標識診断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ドパミンD4受容体の変化の測定による精
神分裂病などの核医学的診断のために、従来ドパミンD4
受容体への親和性を有する、炭素-11 で標識されたクロ
ザピンなどが検討されてきた。しかしながら、炭素-11
は半減期が20分と非常に短く、その製造には使用場所で
ある病院内に設置されたサイクロトンが、またその測定
には特殊なポジトロン断層撮像装置(PET )が必要であ
るため、その利用は限られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヨウ素-123は半減期が
13時間と炭素-11 よりかなり長く、放射性医薬品製造業
者による標識化合物の送達が可能であり、またその測定
には多くの医療機関に設置されているシングルフォトン
断層撮像装置(SPECT )が利用できるため、一般臨床で
の利用に極めて適した特性を持ち、この核種で標識され
た各種の化合物が、放射性診断薬として汎用されてい
る。そこで、ヨウ素-123で標識された、ドパミンD4受容
体への高い親和性を有する放射性診断剤が望まれている
が、これまでに有効な化合物は得られていない。
【課題を解決しようとする手段】
【0004】本発明の目的は、ドパミンD4受容体の変化
の測定に適した、一般臨床への汎用性に優れる放射性核
医学診断剤を提供することにあり、より具体的には、ド
パミンD4受容体への高い親和性を有するヨウ素-123標識
ベンザミド誘導体を提供することにある。
【0005】本発明者らは、
【化2】 で示される、ヨウ素-123標識ベンザミド誘導体、(S)-N-
(1- ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピル
カルボニル) アミノ]-5- ヨード- 2-メソキシベンザミ
ドを用いたドパミンD4受容体の変化の測定による、精神
分裂病などの脳神経疾患の核医学的診断剤を提供した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の化合物であるヨウ素-123
標識ベンザミド誘導体、(S)-N-(1- ベンジル-3- ピロリ
ジニル)-4-[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]-5
- ヨード-2-メソキシベンザミドは、〔化3〕で表され
る化合物である。
【化3】
【0007】本発明の化合物は、
【化4】 で示される合成経路により得ることができる。
【0008】すなわち、製造にあたっては、4-アミノ-2
- メトキシ安息香酸メチル(1) に臭素を加え、生成物4-
アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安息香酸メチル(2) にシ
クロプロパンカルボン酸クロライドを作用させた後、エ
ステル基を加水分解し、得られた化合物5-ブロモ-4-
[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ
安息香酸(4) に(S)-N-ベンジル- ピロリジニルアミンを
縮合させる。得られた(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジ
ニル)-5- ブロモ-4- [( シクロプロピルカルボニル)
アミノ]- 2-メソキシベンザミド(5) に、ヨウ素-123標
識ヨウ化アンモニウムを反応させ、目的物(S)-N-(1- ベ
ンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピルカルボ
ニル) アミノ]- 5-[1 23- ヨード]- 2-メソキシベン
ザミド(6)を得る。この臭素−放射性ヨウ素交換反応に
よる標識反応には、触媒として硫酸アンモニウムを用い
る方法が採られる。反応終了後、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)により、分離精製される。
【0009】放射性診断剤製造にあたって、pHを調節す
るための酸、塩基または適当な緩衝液の添加、およびア
スコルビン酸などの安定化剤、塩化ナトリウムなどの等
張化剤、ベンジルアルコールなどの保存剤の添加は、本
放射性診断剤の目的とする用途をなんら妨げるものでは
ない。
【作用】
【0010】この発明の放射性診断剤は生体内でのドパ
ミンD4受容体の分布密度を測定する機能を有する。添加
されるヨウ素-123の放射能は任意であるが、被検者に投
与して核医学診断を行うに際して充分な情報が得られる
ような放射能であり、かつ被検者の放射線被曝を可能な
限り低くするような範囲であることが望ましい。投与方
法については、一般に静脈内投与が行われるが、診断に
有利な投与方法であればよく、他の投与方法も実施でき
る。
【実施例】
【0011】4-アミノ-2- メトキシ安息香酸メチル(1)
(630 mg,3.48 mmol) を25mlの氷酢酸に溶解した。この
溶液をI液とする。別に臭素(200μl,7.73 mmol)を溶解
した氷酢酸15mlを用意し、水浴中のI液に滴下した。20
時間室温で攪拌後、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(15m
l)で未反応の臭素を潰した。反応溶液に6N水酸化ナトリ
ウム水溶液を加え、水層のpHを8 に調整し、酢酸エチル
で抽出(60 ml×3)した。この酢酸エチル層を飽和塩化ナ
トリウム水溶液(60 ml×1)、蒸留水(40 ml×3)でを洗浄
した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾液を留去
し、クロロホルム:メタノール(30:1)を溶出溶媒とする
シリカゲルクロマトグラフィーに付した。ここで得た4-
アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安息香酸メチル(2) を含
む画分の溶媒を留去し、生成した粗結晶を酢酸エチルに
て再結晶することで4-アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安
息香酸メチル(2) を791.9 mg(87.6%) 得た。 融点 156 〜158 ℃ 元素分析 C H N 実測値 41.78% 3.84% 5.34% 計算値 41.56% 3.88% 5.39%
【0012】得られた化合物4-アミノ-5- ブロモ-2- メ
トキシ安息香酸メチル(2)(600 mg,2.31 mmol) とN,N-ジ
イソプロピルエチルアミン(1004.6 μl,5.77 mmol)を乾
燥アセトン15mlに溶解した。この溶液をII液とする。別
にシクロプロパンカルボン酸クロライド(519.7μl,5.77
mmol)を溶解したアセトン8ml を用意し、氷冷下でII液
に滴下した。室温にて20時間攪拌した後、N,N-ジイソプ
ロピルエチルアミン2ml を添加し、反応溶液を中性にし
た。反応溶液を酢酸エチルで抽出(20 ml×5)した後、飽
和塩化ナトリウム水溶液(30 ml×5)、蒸留水(30 ml×2)
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去
して生成した粗結晶をメタノールから再結晶し、5-ブロ
モ-4- [( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メ
トキシ安息香酸メチル(3) を470mg(62.1%)得た。 融点 142 〜144 ℃ 元素分析 C H N 実測値 47.55% 4.27% 4.18% 計算値 47.58% 4.30% 4.27%
【0013】得られた化合物5-ブロモ-4- [( シクロプ
ロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ安息香酸メチ
ル(3)(120 mg,0.366 mmol)を60℃に加温したジメチルス
ルホキシド500 μl に溶解した。室温になるまで放置し
た後、2Nの水酸化ナトリウム水溶液580 μl を加え、50
分間攪拌した。反応液に2Nの塩酸(1050 μl)を滴下し、
生成した結晶を吸引濾取、冷水で洗浄し、5-ブロモ-4-
[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ
安息香酸(4) を107.5 mg(93.6%) 得た。 融点 203 〜205 ℃ 元素分析 C H N 実測値 45.78% 3.82% 4.40% 計算値 45.88% 3.85% 4.46%
【0014】得られた化合物5-ブロモ-4- [( シクロプ
ロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ安息香酸(4)
(100 mg,0.318 mmol)をアセトニトリル10 ml に溶解
し、トリエチルアミン(66.5 μl,0.477 mmol) を加え
た。0 ℃以下の温度でエトキシカルボン酸クロライド(3
2.84μl,0.343 mmol) を滴下し、20分間攪拌した。この
溶液をIII液とする。別に(S)-3-アミノ-1- ベンジルピ
ロリジン(60.53 mg,0.343 mmol) を溶解したアセトニト
リル400 μl を用意し、温度を0 ℃以下に保ったIII液
に滴下し、2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残
査に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml) を加え、酢
酸エチルで抽出(10 ml×3)した。酢酸エチル層を飽和塩
化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸カルシウムで
乾燥した。濾液を留去し、クロロホルム:メタノール(1
0:1)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに
付し、(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジニル)-5- ブロ
モ-4- [(シクロプロピルカルボニル)アミノ]- 2-メ
ソキシベンザミド(5) を140.0 mg(93.1%) 得た。 融点 115 〜117 ℃ 元素分析 C H N 実測値 58.15% 5.77% 8.54% 計算値 58.48% 5.55% 8.89%
【0015】(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジニル)-5
- ブロモ-4- [( シクロプロピルカルボニル)アミノ]
- 2-メソキシベンザミド(5) を1 mg/ml になるようにエ
タノールに溶解した。この溶液をIV液とする。IV液(100
μl)に3%硫酸アンモニウム水溶液(200μl)を混和し、
[123- ヨード] ヨウ化アンモニウム(113.3μCi) を加
え、150 〜160 ℃で20分間反応させた。その後、溶出溶
媒に1.3(v/v)% トリエチルアミンを含むメタノール:5 m
M 3,3 ジメチルグルタール酸水溶液(3:2) を用い、反応
溶液をオクタドデシル系カラムにかけた。クロマトグラ
ムより(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シ
クロプロピルカルボニル) アミノ]- 5-[123-ヨード]
- 2-メソキシベンザミド(6) を分取し、80.7μCiの(S)-
N-(1- ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピ
ルカルボニル) アミノ]- 5-[123-ヨード]- 2-メソキ
シベンザミド(6) (放射化学的収率 71.2%)を得た。
【0016】本発明の化合物は、生体内でのドパミンD4
受容体の分布密度の測定のために必要なドパミンD4受容
体に高い親和性と選択性を示す。即ち、ヒトドパミンD
2,D3,D4受容体を個別に発現させたチャイニーズハムス
ター卵巣細胞またはヒト胎児性腎細胞を用いたラジオレ
セプターアッセイにより、各受容体への親和性を測定し
た結果、本発明の化合物は、従来のクロザピンと比較し
て、D4受容体に対して11倍以上高い親和性を有するこ
と、またD2、D3受容体に対するD4受容体への選択性がそ
れぞれ14倍、2倍以上に高いことが確認された。ラジ
オレセプターアッセイの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】化合物(6) :(S)-N-(1- ベンジル-3- ピロ
リジニル)-4-[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]
-5- ヨード- 2-メソキシベンザミド
【0019】また、本発明の化合物をddY 系雄性マウス
の尾静脈内に投与し、一定時間後に屠殺解剖して放射能
の体内分布を経時的に測定した結果、脳への高い移行性
と脳内でのD4受容体の分布に応じた放射能の分布(線条
体と小脳との放射能分布の比は1〜2時間後で4 〜6.5
)を確認した。マウス体内分布の経時変化の結果を表
2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上の結果より、この発明により、生体
内、特に脳内でのドパミンD4受容体の分布密度の測定を
目的とした核医学診断の用途に有効な薬剤が提供され
る。
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月18日(1999.10.
18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ドパミンD4受容体に結合する放射
性ヨウ素標識診断剤
【特許請求の範囲】
【化1】 で示される非放射性臭素置換ベンザミド誘導体を原料と
して、ハロゲン交換反応によりヨウ素-123を導入する事
により得られる、
【化2】 で示されるヨウ素-123標識ベンザミド誘導体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドパミンD4受容体
の変化の測定を目的とした核医学的用途に有効な、新し
い放射性ヨウ素標識診断剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ドパミンD4受容体の変化の測定による精
神分裂病などの核医学的診断のために、従来ドパミンD4
受容体への親和性を有する、炭素-11 で標識されたクロ
ザピンなどが検討されてきた。しかしながら、炭素-11
は半減期が20分と非常に短く、その製造には使用場所で
ある病院内に設置されたサイクロトンが、またその測定
には特殊なポジトロン断層撮像装置(PET )が必要であ
るため、その利用は限られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヨウ素-123は半減期が
13時間と炭素-11 よりかなり長く、放射性医薬品製造業
者による標識化合物の送達が可能であり、またその測定
には多くの医療機関に設置されているシングルフォトン
断層撮像装置(SPECT )が利用できるため、一般臨床で
の利用に極めて適した特性を持ち、この核種で標識され
た各種の化合物が、放射性診断薬として汎用されてい
る。そこで、ヨウ素-123で標識された、ドパミンD4受容
体への高い親和性を有する放射性診断剤が望まれている
が、これまでに有効な化合物は得られていない。
【課題を解決しようとする手段】
【0004】本発明の目的は、ドパミンD4受容体の変化
の測定に適した、一般臨床への汎用性に優れる放射性核
医学診断剤を提供することにあり、より具体的には、ド
パミンD4受容体への高い親和性を有するヨウ素-123標識
ベンザミド誘導体を提供することにある。
【0005】本発明者らは、
【化3】 で示される、ヨウ素-123標識ベンザミド誘導体、(S)-N-
(1- ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピル
カルボニル) アミノ]-5- ヨード- 2-メソキシベンザミ
ドを用いたドパミンD4受容体の変化の測定による、精神
分裂病などの脳神経疾患の核医学的診断剤を提供した。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の化合物であるヨウ素-123
標識ベンザミド誘導体、(S)-N-(1- ベンジル-3- ピロリ
ジニル)-4-[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]-5
- ヨード-2-メソキシベンザミドは、〔化4〕で表され
る化合物である。
【化4】
【0007】本発明の化合物は、
【化5】 で示される合成経路により得ることができる。
【0008】すなわち、製造にあたっては、4-アミノ-2
- メトキシ安息香酸メチル(1) に臭素を加え、生成物4-
アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安息香酸メチル(2) にシ
クロプロパンカルボン酸クロライドを作用させた後、エ
ステル基を加水分解し、得られた化合物5-ブロモ-4-
[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ
安息香酸(4) に(S)-N-ベンジル- ピロリジニルアミンを
縮合させる。得られた(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジ
ニル)-5- ブロモ-4- [( シクロプロピルカルボニル)
アミノ]- 2-メソキシベンザミド(5) に、ヨウ素-123標
識ヨウ化アンモニウムを反応させ、目的物(S)-N-(1- ベ
ンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピルカルボ
ニル) アミノ]- 5-[1 23- ヨード]- 2-メソキシベン
ザミド(6)を得る。この臭素−放射性ヨウ素交換反応に
よる標識反応には、触媒として硫酸アンモニウムを用い
る方法が採られる。反応終了後、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)により、分離精製される。
【0009】放射性診断剤製造にあたって、pHを調節す
るための酸、塩基または適当な緩衝液の添加、およびア
スコルビン酸などの安定化剤、塩化ナトリウムなどの等
張化剤、ベンジルアルコールなどの保存剤の添加は、本
放射性診断剤の目的とする用途をなんら妨げるものでは
ない。
【作用】
【0010】この発明の放射性診断剤は生体内でのドパ
ミンD4受容体の分布密度を測定する機能を有する。添加
されるヨウ素-123の放射能は任意であるが、被検者に投
与して核医学診断を行うに際して充分な情報が得られる
ような放射能であり、かつ被検者の放射線被曝を可能な
限り低くするような範囲であることが望ましい。投与方
法については、一般に静脈内投与が行われるが、診断に
有利な投与方法であればよく、他の投与方法も実施でき
る。
【実施例】
【0011】4-アミノ-2- メトキシ安息香酸メチル(1)
(630 mg,3.48 mmol) を25mlの氷酢酸に溶解した。この
溶液をI液とする。別に臭素(200μl,7.73 mmol)を溶解
した氷酢酸15mlを用意し、水浴中のI液に滴下した。20
時間室温で攪拌後、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(15m
l)で未反応の臭素を潰した。反応溶液に6N水酸化ナトリ
ウム水溶液を加え、水層のpHを8 に調整し、酢酸エチル
で抽出(60 ml×3)した。この酢酸エチル層を飽和塩化ナ
トリウム水溶液(60 ml×1)、蒸留水(40 ml×3)でを洗浄
した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾液を留去
し、クロロホルム:メタノール(30:1)を溶出溶媒とする
シリカゲルクロマトグラフィーに付した。ここで得た4-
アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安息香酸メチル(2) を含
む画分の溶媒を留去し、生成した粗結晶を酢酸エチルに
て再結晶することで4-アミノ-5- ブロモ-2- メトキシ安
息香酸メチル(2) を791.9 mg(87.6%) 得た。 融点 156 〜158 ℃ 元素分析 C H N 実測値 41.78% 3.84% 5.34% 計算値 41.56% 3.88% 5.39%
【0012】得られた化合物4-アミノ-5- ブロモ-2- メ
トキシ安息香酸メチル(2)(600 mg,2.31 mmol) とN,N-ジ
イソプロピルエチルアミン(1004.6 μl,5.77 mmol)を乾
燥アセトン15mlに溶解した。この溶液をII液とする。別
にシクロプロパンカルボン酸クロライド(519.7μl,5.77
mmol)を溶解したアセトン8ml を用意し、氷冷下でII液
に滴下した。室温にて20時間攪拌した後、N,N-ジイソプ
ロピルエチルアミン2ml を添加し、反応溶液を中性にし
た。反応溶液を酢酸エチルで抽出(20 ml×5)した後、飽
和塩化ナトリウム水溶液(30 ml×5)、蒸留水(30 ml×2)
で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去
して生成した粗結晶をメタノールから再結晶し、5-ブロ
モ-4- [( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メ
トキシ安息香酸メチル(3) を470mg(62.1%)得た。 融点 142 〜144 ℃ 元素分析 C H N 実測値 47.55% 4.27% 4.18% 計算値 47.58% 4.30% 4.27%
【0013】得られた化合物5-ブロモ-4- [( シクロプ
ロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ安息香酸メチ
ル(3)(120 mg,0.366 mmol)を60℃に加温したジメチルス
ルホキシド500 μl に溶解した。室温になるまで放置し
た後、2Nの水酸化ナトリウム水溶液580 μl を加え、50
分間攪拌した。反応液に2Nの塩酸(1050 μl)を滴下し、
生成した結晶を吸引濾取、冷水で洗浄し、5-ブロモ-4-
[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ
安息香酸(4) を107.5 mg(93.6%) 得た。 融点 203 〜205 ℃ 元素分析 C H N 実測値 45.78% 3.82% 4.40% 計算値 45.88% 3.85% 4.46%
【0014】得られた化合物5-ブロモ-4- [( シクロプ
ロピルカルボニル) アミノ]- 2-メトキシ安息香酸(4)
(100 mg,0.318 mmol)をアセトニトリル10 ml に溶解
し、トリエチルアミン(66.5 μl,0.477 mmol) を加え
た。0 ℃以下の温度でエトキシカルボン酸クロライド(3
2.84μl,0.343 mmol) を滴下し、20分間攪拌した。この
溶液をIII 液とする。別に(S)-3-アミノ-1- ベンジルピ
ロリジン(60.53 mg,0.343 mmol) を溶解したアセトニト
リル400 μl を用意し、温度を0 ℃以下に保ったIII液
に滴下し、2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残
査に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml) を加え、酢
酸エチルで抽出(10 ml×3)した。酢酸エチル層を飽和塩
化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸カルシウムで
乾燥した。濾液を留去し、クロロホルム:メタノール(1
0:1)を溶出溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーに
付し、(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジニル)-5- ブロ
モ-4- [( シクロプロピルカルボニル)アミノ]- 2-メ
ソキシベンザミド(5) を140.0 mg(93.1%) 得た。 融点 115 〜117 ℃ 元素分析 C H N 実測値 58.15% 5.77% 8.54% 計算値 58.48% 5.55% 8.89%
【0015】(S)-N-(1-ベンジル-3- ピロリジニル)-5
- ブロモ-4- [( シクロプロピルカルボニル)アミノ]
- 2-メソキシベンザミド(5) を1 mg/ml になるようにエ
タノールに溶解した。この溶液をIV液とする。IV液(100
μl)に3%硫酸アンモニウム水溶液(200μl)を混和し、
[123-ヨード]ヨウ化アンモニウム(113.3μCi) を加
え、150 〜160 ℃で20分間反応させた。その後、溶出溶
媒に1.3(v/v)% トリエチルアミンを含むメタノール:5 m
M 3,3 ジメチルグルタール酸水溶液(3:2) を用い、反応
溶液をオクタドデシル系カラムにかけた。クロマトグラ
ムより(S)-N-(1- ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シ
クロプロピルカルボニル) アミノ]- 5-[123-ヨード]
- 2-メソキシベンザミド(6) を分取し、80.7μCiの(S)-
N-(1- ベンジル-3- ピロリジニル)-4-[( シクロプロピ
ルカルボニル) アミノ]- 5-[123-ヨード]- 2-メソキ
シベンザミド(6) (放射化学的収率 71.2%)を得た。
【0016】本発明の化合物は、生体内でのドパミンD4
受容体の分布密度の測定のために必要なドパミンD4受容
体に高い親和性と選択性を示す。即ち、ヒトドパミンD
2,D3,D4受容体を個別に発現させたチャイニーズハムス
ター卵巣細胞またはヒト胎児性腎細胞を用いたラジオレ
セプターアッセイにより、各受容体への親和性を測定し
た結果、本発明の化合物は、従来のクロザピンと比較し
て、D4受容体に対して11倍以上高い親和性を有するこ
と、またD2、D3受容体に対するD4受容体への選択性がそ
れぞれ14倍、2倍以上に高いことが確認された。ラジ
オレセプターアッセイの結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】化合物(6) :(S)-N-(1- ベンジル-3- ピロ
リジニル)-4-[( シクロプロピルカルボニル) アミノ]
-5- ヨード- 2-メソキシベンザミド
【0019】また、本発明の化合物をddY 系雄性マウス
の尾静脈内に投与し、一定時間後に屠殺解剖して放射能
の体内分布を経時的に測定した結果、脳への高い移行性
と脳内でのD4受容体の分布に応じた放射能の分布(線条
体と小脳との放射能分布の比は1〜2時間後で4 〜6.5
)を確認した。マウス体内分布の経時変化の結果を表
2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上の結果より、この発明により、生体
内、特に脳内でのドパミンD4受容体の分布密度の測定を
目的とした核医学診断の用途に有効な薬剤が提供され
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 で示される、ヨウ素-123標識ベンザミド誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の化合物からなる、ドパミ
    ンD4受容体分布密度の測定剤。
  3. 【請求項3】 ドパミンD4受容体への親和性を有し、請
    求項1記載の化合物からなる、ヨウ素標識された脳神経
    疾患診断剤。
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