JP2000128838A - 結晶(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸及び(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸の製造方法 - Google Patents

結晶(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸及び(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸の製造方法

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JP2000128838A
JP2000128838A JP30238398A JP30238398A JP2000128838A JP 2000128838 A JP2000128838 A JP 2000128838A JP 30238398 A JP30238398 A JP 30238398A JP 30238398 A JP30238398 A JP 30238398A JP 2000128838 A JP2000128838 A JP 2000128838A
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acid
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disuccinic acid
crystal
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Mitsuko Yabe
晃子 矢部
Katsufumi Kujira
勝文 鯨
Masako Yoshitake
政子 吉竹
Hiroshi Iwane
寛 岩根
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平均サイズの大きい結晶(S,S)−EDD
S及びその製造方法の提供。 【解決手段】 1.平均サイズが10〜200μmであ
る結晶(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコ
ハク酸。 2.(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハ
ク酸金属塩の水溶液に無機酸を添加して晶析を行い、
(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸
を製造する方法において、(S,S)−エチレンジアミ
ン−N,N′−ジコハク酸の結晶が析出したpHと析出
により上昇したpHとの差(ΔpH)が0.5以下にな
るように無機酸を添加し、且つ晶析温度が10〜80℃
であることを特徴とする(S,S)−エチレンジアミン
−N,N′−ジコハク酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記構造式(I)
で示される結晶(S,S)−エチレンジアミン−N,
N′−ジコハク酸(以下、エチレンジアミン−N,N′
−ジコハク酸をEDDSと略記することがある)及び
(S,S)−EDDSの製造方法に関する。
【0002】
【化1】
【0003】詳しくは、(S,S)−EDDS金属塩の
水溶液に無機酸を添加、晶析して(S,S)−EDDS
を製造する方法の改良に関する。(S,S)−EDDS
は、実用的なキレート力と生分解性とを併せ持ち、毒性
もなく、例えば洗剤用ビルダー、写真等に用いられる。
【0004】
【従来の技術】従来からよく知られているキレート化合
物の中、トリポリリン酸ソーダについては、優れたキレ
ート力を有するため長らく洗剤ビルダーとして用いられ
て来たが、リンを含有するため河川又は湖沼の富栄養化
を招く一因となり、現在は使用中止となっている。しか
しながら、この代替品として用いられているゼオライト
については、キレート力が弱く、又、無機物であるため
生分解性がなく、水にも不溶のため排水管への固着とい
う問題点もある。
【0005】一方、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、ニトリロ三酢酸(NTA)等のキレート化合物に
ついては、極めて安定したキレート力を有するが、例え
ばEDTAは生分解性に乏しく環境中に放出されたと
き、生体に有害な重金属を可溶化してしまうので、環境
中に蓄積されてしまうことが懸念される。またNTAは
生分解性は有してはいるが、そのものの毒性が懸念され
使用には注意を要する。これらのキレート化合物に比べ
EDDSは、実用的なキレート力、生分解性を持ち毒性
もなく、今後の需要増大が期待される。EDDSには二
個の不斉炭素が存在し、三種の光学異性体が存在する。
これらの異性体のうちS,S体は優れた生分解性を有し
ているが、R,R体は生分解性に乏しくEDTAと同様
環境問題の懸念があり、またR,S体はS,S体に比べ
生分解の速度が遅く容易に生分解する化合物とは言い難
い。
【0006】EDDSを製造する方法については、従来
からいろいろな提案がなされている。例えばラセミ体の
EDDS製造方法としては、エチレンジアミンにマレイ
ン酸を付加する方法(Zhurnal Obshche
i Khinii.,49,659(1978))が知
られている。またS,S−EDDSを製造する方法とし
てはジブロモエタンにL−アスパラギン酸を付加する方
法(Inorg.Chem.,7,2405(196
8))、ジクロロエタンにL−アスパラギン酸を付加す
る方法(Chem.Zvesti.,20,414(1
966))又はジカルボニル化合物(グリオキザール)
とアミノカルボン酸(L−アスパラギン酸)からシッフ
塩基を生成させた後、還元反応により製造する方法(W
O96/32371号公報)等が知られている。
【0007】これらの方法で得られたEDDS金属塩の
精製は、反応液に塩酸等の無機酸を添加し、pH5以下
の酸性条件下、室温以下の温度でEDDSの結晶を析出
させる方法(Inorg.Chem.,7,2405
(1968)が一般的である。しかしながら、上記の条
件下で晶析を行うと、殆んどの場合が過飽和状態を取り
やすく、結晶析出速度が非常に早くなるために、EDD
Sの選択的な晶析が困難となり、例えば原料であるアミ
ノカルボン酸等が混入しやすくなる。通常は、このよう
な混入物を含まないEDDSを単離するために、晶析を
数度繰り返し実施している。この晶析に関しては、ED
DS金属塩濃度を低く設定したり、EDDS金属塩及び
L−アスパラギン酸金属塩を含有する反応液と無機酸と
を水中に同時に供給してEDDSを単離する方法(WO
96/01803号公報)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の改良方法においても、通常得られるEDDS結晶は微
細なものとなり、分離、精製の際の取扱いが困難で、ま
た殆んどの場合、原料アミノカルボン酸以外の副生物や
無機塩等が混入しやすく、それらを除去し、更に高純度
な結晶を得るために、多量の水で洗浄を繰り返す必要が
あり、工業的製法としては問題がある。本発明の目的
は、簡便なプロセスにより、EDDS金属塩を含有する
溶液中から、高純度且つ取扱いに有利な結晶(S,S)
−EDDSを効率的に得る工業的製法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、得られた(S,S)−ED
DSの結晶サイズが大きいほど不純物含有量が少なく、
洗浄等の精製が容易であること、更に酸晶析を行う温度
と酸添加速度を制御することによって、結晶サイズを大
きくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明の要旨は、 1.平均サイズが10〜200μmである結晶(S,
S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸 2.(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハ
ク酸金属塩の水溶液に無機酸を添加して晶析を行い、
(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸
を製造する方法において、(S,S)−エチレンジアミ
ン−N,N′−ジコハク酸の結晶が析出したpHと析出
により上昇したpHとの差(ΔpH)が0.5以下にな
るように無機酸を添加し、且つ晶析温度が10〜80℃
であることを特徴とする(S,S)−エチレンジアミン
−N,N′−ジコハク酸の製造方法、にある。
【0011】
【発明の実施の形態】[EDDS合成反応]EDDS合
成反応はジハロエタン、L−アスパラギン酸及び金属化
合物を原料とし、水性溶媒中で行う。ジハロエタンとし
ては1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン
が好ましく使用できるが、価格、毒性等の点から1,2
−ジクロロエタンが好ましい。ジハロエタンは、L−ア
スパラギン酸1モルに対し通常0.3〜1.0、好まし
くは0.5〜0.7モル、より好ましくは0.5〜0.
6モル用いる。若干過剰に用いることが、より好まし
い。上記範囲よりも少ないと、L−アスパラギン酸が反
応液中に大量に残存し、晶析での精製効率を著しく低下
させ、またコスト的にも不利であり、上記範囲よりも多
くても特に効果はなく、副生成物の増加や、コストアッ
プに繋がり好ましくない。
【0012】水性溶媒としては、水が好ましく、有機溶
媒を併用することができる。例えばメタノールの添加は
反応速度を若干促進するが、また一方で反応液量の増大
や、反応圧力上昇を招くため通常は水単独溶媒で行うこ
とが、好ましい。その他グリコール類(例えばエチレン
グリコール等)を用いるとやはり反応速度は向上する
が、回収が困難であり、添加しない方が好ましい。水性
溶媒の量は原料であるL−アスパラギン酸ジアルカリ塩
濃度が好ましくは5〜50%、より好ましくは15〜3
0%になるように使用する。金属化合物としては、塩基
性の金属化合物であれば、特に限定されないが、アルカ
リ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物が好まし
く、より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム又はこれら
の混合物が挙げられる。この際アルカリ金属水酸化物と
アルカリ土類金属水酸化物を併用することが特に好まし
い。金属化合物の使用量は、アルカリ金属水酸化物であ
れば、L−アスパラギン酸1モルに対し好ましくは2.
0〜4.0モル、より好ましくは2.2〜2.6モルの
範囲である。
【0013】尚、金属化合物の添加時期は、反応前であ
れば特に限定されるものではないが、L−アスパラギン
酸と金属化合物を最初に反応器に導入し、L−アスパラ
ギン酸の金属塩としてから、ジハロエタンを導入する方
法を採用するのが、L−アスパラギン酸の溶解性向上、
発熱の防止の観点から好ましい。反応温度は50〜14
0℃、好ましくは80〜120℃の範囲で行う。50℃
よりも低温では反応速度が著しく低下し、140℃より
も高温では選択性が低下し、L−アスパラギン酸のラセ
ミ化が懸念される。反応は、L−アスパラギン酸の転化
率が50%以上、好ましくは70%以上となる迄行われ
る。また、圧力については、常圧ないし加圧下で行われ
る。なお、反応時間については、温度、圧力等にもよる
が、通常は0.5〜50時間の範囲内である。
【0014】[晶析]反応終了後、晶析前に反応液中の
未反応ジハロエタンを留去する。使用する無機酸として
は、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、好ましくは硫酸が
用いられる。硫酸の濃度は工業的に入手可能な濃度で差
し支えないが、pH調整が容易である濃度3〜50重量
%程度に希釈したものを使用することが好ましい。晶析
に用いられる反応溶液に含有されるEDDS金属塩の濃
度は、フリーのカルボン酸型EDDSに換算して、1〜
50重量%が好ましく、5〜20重量%がより好まし
い。晶析工程においてはpHを確認しながら酸を加えて
いくが、EDDS結晶が析出することによって再びpH
は上昇する。酸添加速度は、EDDS結晶が析出したp
Hと析出によって上昇したpHの差(ΔpH)が0.5
以下になるように添加するのが好ましく、より好ましく
はΔpHが0.3以下になる速度で添加するのがよい。
ΔpHが小さい方が結晶の平均サイズが大きくなり、Δ
pHを0.5以下とした場合、結晶サイズが10μm以
上の取り扱い易いサイズの結晶を得ることができる。酸
添加速度を特に制限せずに行うと、通常、酸添加速度が
速すぎ、溶液中のEDDSが過飽和状態になり、析出し
たときのΔpHが0.5より大きくなり、平均サイズ1
0μm未満の細かい結晶が得られる。晶析工程において
は最終的には液のpHを2.0〜5.0、好ましくは
2.5〜4.0に調整する。
【0015】晶析温度は10〜80℃、好ましくは20
〜60℃である。晶析温度とはEDDS結晶が析出する
温度であり、液のpHが析出pHより高い領域での酸添
加温度は特に限定されない。晶析温度が高いほど結晶の
析出速度が遅くなり、結晶成長が促され、結晶の平均サ
イズは大きくなる。10℃より低い温度で晶析を行った
場合、急激な析出の結果、得られる結晶は微細なものと
なりその平均サイズは10μm未満である。酸添加によ
り最終的にpHを調整した後、0〜50℃、好ましくは
20〜40℃の範囲で0〜10時間、好ましくは1〜5
時間熟成する。熟成温度があまり高いとEDDSの溶解
度によるロスが大きく、回収率が低下するので好ましく
ない。析出した結晶は、必要に応じて、加圧濾過、減圧
濾過、遠心分離等、通常の濾過方法で濾過を行う。得ら
れた粗結晶は通常水で洗浄される。
【0016】平均サイズが10μm未満の細かい結晶に
おいては、不純物含有量が増大し、多量の水での洗浄が
必要となるのに加え、濾過の際の水切れも悪く、水と共
に持ち込む不純物を除くために繰り返し洗浄しなければ
ならない。乾燥時間も長くなり、作業の効率は著しく悪
い。一方、上記の方法で生成したEDDS結晶はその平
均サイズが10μm以上となり、不純物や無機塩等の混
入がもともと少ないことに加え、濾過の際の水切れがよ
く、水と共に持ち込まれる不純物も少なくなるので、洗
浄水の量や洗浄回数を削減でき、濾過の操作性を大幅に
向上できる。また、その後の乾燥時間も短縮され作業効
率が向上する。こうして、極めて簡便なプロセスによ
り、殆んどの場合は、下記式(II)で示されるアミド化
合物及び/又はその塩を5.0重量%以下、好ましくは
1.0重量%以下随伴する(S,S)−EDDSの結晶
を得ることができる。アミド化合物は酸晶析工程におい
て増大する副生物であり、水洗により、アミド化合物及
び/又はその塩は減少させることができ、分析方法によ
っては検出限界以下となる可能性もある。なお、本発明
の結晶(S,S)−EDDSは、式(II)の不純物を含
有するものを含む。
【0017】
【化2】
【0018】(式中m及びnは0又は1を表す。但し、
m+n=1である)
【0019】得られた(S,S)−EDDSの結晶の平
均サイズは晶析温度や酸添加速度を調整することにより
所望の平均サイズにすることができるが、特に取り扱い
やすい結晶の平均サイズとして、10〜200μm、よ
り好ましくは30〜150μmの範囲で結晶を得ること
も可能である。なお、結晶形は針状ないし柱状である。
【0020】
【実施例】次に実施例及び比較例により本発明を更に具
体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限
り、この実施例に限定されるものではない。なお、結晶
の平均サイズについては、(株)堀場製作所製パーティ
クルサイズアナライザーHORIBA LA−700を
用いて下記条件にて測定した場合に得られる粒子数積算
値と粒子径とのチャートにおいて、粒子数積算値50%
における粒子径を結晶の平均サイズとした。 屈折率設定 なし 懸濁溶媒 水 透過率 75〜85% 超音波1分照射後に測定
【0021】〔比較例1〕L−アスパラギン酸(和光純
薬製)26.6g(200ミリモル)と水酸化ナトリウ
ム(和光純薬製)16.1g(402ミリモル)を水6
0mlに溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を発熱に注
意しながら混合し、L−アスパラギン酸ジナトリウム塩
を合成する。この水溶液を100mlオートクレーブに
仕込み、次に水酸化マグネシウム(和光純薬製)5.8
g(100ミリモル)、1,2−ジクロロエタン(和光
純薬製)11.8g(120ミリモル)を加え、攪拌し
ながら110℃で8時間反応した。その時の圧力は約2
kg/cm2 Gであった。反応終了後、反応液を抜き出
し10mlの水で容器を洗浄した。反応液を一部取り、
高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、L−ア
スパラギン酸転化率は78%であり、(S,S)−ED
DS収率は72%(L−アスパラギン酸基準)であっ
た。その後、極微量の未反応1,2−ジクロロエタンを
減圧下留去した。回収反応液は136gであり、(S,
S)−EDDS21.0g(15.4重量%)、L−ア
スパラギン酸5.8g(3.7重量%)を含有した白濁
溶液であった。
【0022】100mlの冷却管付き四つ口フラスコに
前記反応で得られた反応液20g(EDDS3.09
g、L−アスパラギン酸0.85g含有)を取り、水2
0gを加えた。攪拌しながらpHメーターによりpHを
測定したところ、9.91であった。40重量%硫酸水
溶液を、フラスコをアイスバスで冷却しながら加えてい
ったところ、pH5.0で白濁が溶解し、均一透明な淡
黄色の溶液となった。その後、アイスバスにて冷却しな
がら、40重量%硫酸水溶液を加えていき、30分かけ
て液のpHを4.0としたところ白色結晶が析出した。
この時のΔpHは0.6、液温は8℃であった。pHの
上昇が無くなった後、更に40%硫酸水溶液を添加して
液のpHを最終的に3.0に調整し、そのまま5〜8℃
にて2時間攪拌した。析出した結晶を吸引濾過により分
離し、20分間吸引した後の粗結晶の含水率は61%で
あり、無機塩の含有量は29000ppmであった。1
0mlの水で粗結晶を一回洗浄した後の無機塩の含有量
は2200ppmであり、更に10mlの水で洗浄する
と160ppmとなった。得られたケーキを、約70
℃、10mmHgの条件で3時間乾燥したところ、3.
60gの白色結晶を得た。 得られた結晶を液体クロマ
トグラフィーで分析したところ、(S,S)−EDDS
が3.04g(晶析回収率98.5%)含有されてお
り、不純物としては3.9重量%のL−アスパラギン
酸、11.1重量%の水分、0.4重量%のアミド系副
生物が含有されていた。この結晶の平均サイズは5.6
μmであった。
【0023】〔比較例2〕40%硫酸水溶液の添加温度
を20〜30℃にした以外は比較例1と同様に酸晶析を
行い、20分かけて液のpHを5.0から3.1とした
ところ白色結晶が析出した。この時のΔpHは0.8で
あり、液温は27℃であった。pHの上昇が無くなった
後、更に40%硫酸水溶液を少量づつ添加して液のpH
を最終的に3.0に調整し、そのまま室温にて2時間攪
拌した。析出した結晶を吸引濾過により分離し、20分
間吸引した後の粗結晶の含水率は46%であり、無機塩
の含有量は、4800ppmであった。10mlの水で
粗結晶を一回洗浄した後の無機塩の含有量は460pp
mであり、更に10mlの水で洗浄すると100ppm
に減少した。その後、実施例1と同様に乾燥を行い、
3.35gの白色結晶を得た。得られた結晶を液体クロ
マトグラフィーで分析したところ、(S,S)−EDD
Sが2.97g(晶析回収率96.1%)含有されてお
り、不純物としては1.1重量%のL−アスパラギン
酸、9.5重量%の水分、0.3重量%のアミド系副生
物が含有されていた。この結晶の平均サイズは9.2μ
mであった。
【0024】〔実施例1〕100mlの冷却管付き四つ
口フラスコに比較例1で得られた反応液20g(EDD
S3.09g、L−アスパラギン酸0.85g含有)を
取り、水20gを加え、60℃に加熱した。攪拌しなが
らpHメーターによりpHを測定したところ、9.89
であった。40重量%硫酸水溶液を、液温が58〜60
℃を保持できる速度で加えていったところ、pH5.0
で白濁が溶解し、均一透明な淡黄色の溶液となった。そ
の後、40重量%硫酸を少量ずつ添加しながら、2時間
かけてpHを3.2としたところ白色結晶が析出した。
この時のΔpHは0.1であり、液温は60℃であっ
た。pHの上昇が無くなった後、更に40重量%硫酸を
少量づつ添加し、1時間かけて最終的にpHを3.0に
調整した。その後、室温まで放冷し、更に室温にて2時
間攪拌した後、吸引濾過により析出した結晶を濾過、分
離した。20分間吸引した後、粗結晶の含水率を測定し
たところ23重量%であり、無機物の含有率は、水分を
除いた結晶の重量に対して1500ppmであった。1
0mlの水で粗結晶を一回洗浄し、同様の濾過操作後に
無機塩の含有量を測定したところ、100ppm以下に
減少した。得られたケーキを、約70℃、10mmHg
の条件で3時間乾燥したところ、2.93gの白色結晶
を得た。得られた結晶を液体クロマトグラフィーで分析
したところ、(S,S)−EDDSが2.85g(晶析
回収率92.2%)含有されており、不純物として、
0.2重量%のL−アスパラギン酸、2.5重量%の水
分、0.04重量%のアミド系副生物が含有されてい
た。この結晶の平均サイズは102μmであった。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、簡便なプロセス
で、生分解性を持つキレート化合物(S,S)−EDD
Sの製品を高純度で且つ効率的に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉竹 政子 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 岩根 寛 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4H003 EB13 FA03 FA04 FA07 4H006 AA01 AA02 AB82 AC52 AD15 BA69 BB14 BB31 BC50 BC51 BC53 BS10 BU32 NB10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均サイズが10〜200μmである結
    晶(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハク
    酸。
  2. 【請求項2】 (S,S)−エチレンジアミン−N,
    N′−ジコハク酸金属塩の水溶液に無機酸を添加して晶
    析を行い、(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−
    ジコハク酸を製造する方法において、(S,S)−エチ
    レンジアミン−N,N′−ジコハク酸の結晶が析出した
    pHと析出により上昇したpHとの差(ΔpH)が0.
    5以下になるように無機酸を添加し、且つ晶析温度が1
    0〜80℃であることを特徴とする(S,S)−エチレ
    ンジアミン−N,N′−ジコハク酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 晶析工程における反応液の最終pHが
    2.0〜5.0であることを特徴とする請求項2に記載
    の(S,S)−エチレンジアミン−N,N′−ジコハク
    酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応液を最終pHの調整後、更に0〜5
    0℃で10時間を越えない時間熟成することを特徴とす
    る請求項2又は3に記載の(S,S)−エチレンジアミ
    ン−N,N′−ジコハク酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 (S,S)−エチレンジアミン−N,
    N′−ジコハク酸金属塩が、水性溶媒中、塩基性金属化
    合物の存在下、L−アスパラギン酸をジハロエタンと反
    応させて得られたものであることを特徴とする請求項2
    ないし4のいずれかに記載の(S,S)−エチレンジア
    ミン−N,N′−ジコハク酸の製造方法。
JP30238398A 1998-10-23 1998-10-23 結晶(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸及び(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸の製造方法 Pending JP2000128838A (ja)

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JP30238398A Pending JP2000128838A (ja) 1998-10-23 1998-10-23 結晶(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸及び(s,s)−エチレンジアミン−n,n′−ジコハク酸の製造方法

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