JP2000128799A - アルドースリダクターゼ阻害作用剤 - Google Patents

アルドースリダクターゼ阻害作用剤

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JP2000128799A
JP2000128799A JP10302894A JP30289498A JP2000128799A JP 2000128799 A JP2000128799 A JP 2000128799A JP 10302894 A JP10302894 A JP 10302894A JP 30289498 A JP30289498 A JP 30289498A JP 2000128799 A JP2000128799 A JP 2000128799A
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aldose reductase
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reductase inhibitor
plant
extract
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JP10302894A
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Junko Taki
純 子 滝
Hiroyuki Mitsunami
並 博 行 三
Yoshiyasu Fukuyama
山 愛 保 福
Toyokichi Yoshizawa
澤 豊 吉 吉
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SEIWA YAKUHIN KK
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SEIWA YAKUHIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の化学的手段により合成された薬剤の場
合にみられたタキフィラキシーや種々の副作用等の問題
のない、アルドースリダクターゼ阻害作用剤を提供する
ことにある。 【解決手段】 ハマゴウ属植物由来成分を有効成分とす
る、アルドースリダクターゼ阻害作用剤、を得ることに
よる。本発明によるこのアルドースリダクターゼ阻害作
用剤は、アルドースリダクターゼ阻害作用に対してすぐ
れた効果を有しており、糖尿病性白内障、腎不全、神経
障害、動脈硬化などの糖尿病性合併症の予防および治療
に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】[発明の背景]本発明は、ア
ルドースリダクターゼ阻害作用剤に関する。さらに詳し
くは、植物からの抽出物を有効成分とするアルドースリ
ダクターゼ阻害作用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内におけるアルドースリダクターゼ
の働きは、未だ不明な点が多いが、現在のところ細胞内
浸透圧の調整のために働くと考えられている。このアル
ドースリダクターゼは、ポリオール代謝系中においてグ
ルコースからソルビトールを生成するのに関与する酵素
である。ポリオール代謝の重要性が明らかにされたの
は、精子のエネルギー源であるフルクトース産生経路と
して見出されたことに始まる。それと前後して、糖尿病
合併症が多発する毛細血管、末梢神経、レンズ、網膜な
どの種々の組織中に、この代謝経路の律速酵素であるア
ルドースリダクターゼが存在することが次々と明らかに
されるに従い、この酵素が糖尿病との関係において重要
であることが認識された。
【0003】通常、細胞内に取り込まれたグルコースの
大部分は、アルドースリダクターゼよりも強いグルコー
ス親和性を示すヘキソキナーゼによって、解糖系へと代
謝される。しかしながら、糖尿病のような高血糖状態で
は、インシュリン非依存性組織においては、アルドース
リダクターゼの活性亢進によって、ポリオール代謝が容
易に促進されるようになり、その結果、グルコースか
ら、糖アルコール(ポリオール)が産生されることとな
る。ところが、ここでの生成物は比較的安定なため、い
ったん産生されると細胞内に蓄積されることとなり、こ
れにより、浸透圧上昇、水分貯留を招いて細胞障害を生
じ、結果として、白内障、網膜症等の種々の糖尿病合併
症が引き起こされることとなる。
【0004】また、実際に、ラットやイヌの糖尿病動物
モデルにアルドースリダクターゼ阻害作用剤を投与する
と、組織内ポリオール生成の抑制と共に、白内障の進行
や網膜の血管病変が阻止され、末梢神経伝導速度の低下
の点も改善されることが報告されている。したがって、
上記のような症状を引き起こす原因となるアルドースリ
ダクターゼ活性を阻害することによって、各種の糖尿病
合併症を予防治療することが期待されている。
【0005】今日までのところ、アルドースリダクター
ゼ阻害作用を示す数多くの化合物が報告されているが、
それらの多くは化学的手法により合成されたものであ
り、その性質上連続的に使用することによるタキフィラ
キシーや様々な副作用を避けることができないのが現状
である。そのため、このような副作用の殆ど心配のな
い、アルドースリダクターゼ阻害作用を示す薬剤が強く
望まれている。一方、ハマゴウ属植物、特にミツバハマ
ゴウは、その果実を中国名で「蔓荊子」といい、乾燥さ
せたものが漢方薬として用いられている。しかしなが
ら、このハマゴウ属植物からの由来成分が、アルドース
リダクターゼ阻害作用を有していることはこれまで全く
知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に、従来の化学的手法により合成された薬剤でみられた
ような各種副作用の心配が殆どないアルドースリダクタ
ーゼ阻害作用剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】[発明の概要] <要旨>本発明は、従来から果実を漢方薬として用いて
きたハマゴウ属植物、特にミツバハマゴウ、に含まれる
成分が、アルドースリダクターゼ阻害作用を有している
と同時に、その成分には従来の同様な薬剤でみられたよ
うな副作用が殆どない、との発見に基づくものである。
【0008】すなわち、本発明によるアルドースリダク
ターゼ阻害作用剤は、ハマゴウ属植物由来成分を有効成
分としてなること、を特徴とするものである。この場
合、ハマゴウ属植物由来成分の代表的なものは、ハマゴ
ウ属植物の有機溶媒抽出物または水抽出物である。ま
た、本発明によるアルドースリダクターゼ阻害作用剤に
用いるハマゴウ属植物の代表例はミツバハマゴウであ
る。
【0009】ここで、ハマゴウ属植物由来成分とは、ハ
マゴウ属植物の植物体そのものの他、その裁断物、乾燥
粉末、およびその抽出物のことをいう。そして、この
「抽出物」は、抽剤を含んだ状態および抽剤を除去した
状態のいずれをも包含するものであり、また、抽剤除去
後にさらに精製処理に付したものをも包含するものであ
る。
【0010】<効果>本発明により提供されるアルドー
スリダクターゼ阻害作用剤は、顕著なアルドースリダク
ターゼ阻害作用を示し、このため、糖尿病性白内障、網
膜症、腎不全、神経障害、動脈硬化などの糖尿病性合併
症を有効に予防および治療することができる。本発明の
アルドースリダクターゼ阻害作用剤は、従来の薬剤の場
合にみられたタキフィラキシーや種々の副作用等の問題
を起こすことはない。
【0011】
【発明の実施の形態】[発明の具体的説明] <ハマゴウ属植物>ハマゴウ属植物は、クマツヅラ科に
属し、日本および中国からオーストラリアの海岸砂丘に
繁茂している。ハマゴウ属植物としては、例えば、ハマ
ゴウ(Vite x rotundifolia)、ミツバハマゴウ(Vitex
trifolia L)、ニンジンボク(Vite x cannabifolia)、
タイワンニンジンボク(Vitex negundo L.)、セイヨウ
ニンジンボク(Vitex agnus-castus)、およびクサニン
ジンボク(Vitex chinensis Mill)などが挙げられる。
このハマゴウ属植物の中で、特に、ミツバハマゴウ(Vi
tex trifolia L)は、高さ約3mの落葉低木で、本州か
ら南西諸島、朝鮮半島、中国大陸、東南アジア、太平洋
諸島、オーストラリアの海岸に広く分布している。この
ミツバハマゴウの果実は、中国名を「蔓荊子」といい、
乾燥させたものは漢方薬として用いられている。本発明
で使用するハマゴウ属植物としては、ミツバハマゴウを
用いるのが典型的である。本発明は、このハマゴウ属植
物由来成分がアルドースリダクターゼ阻害作用を有する
との発見に基づき、その発見した作用を利用するもので
ある。
【0012】本発明では、上記アルドースリダクターゼ
阻害作用を有する成分が得られる限り、ハマゴウ属植物
の植物体全体あるいはその一部のいずれをも用いること
ができる。ただし、本発明では、ハマゴウ属植物の枝葉
部を用いるのが典型的である。本発明で使用する場合、
ハマゴウ属植物の植物体は、そのまま或いは加工した状
態、で使用する。好ましくは、該枝葉部を乾燥させた
後、粉砕して、粉砕物として使用する。更に好ましく
は、次項に述べるように、ハマゴウ属植物からの抽出物
を使用する。
【0013】<ハマゴウ属植物の抽出>ハマゴウ属植物
の植物体、典型的にはその枝葉部、からの抽出は、この
ハマゴウ属植物の植物体を、生のままあるいは乾燥して
粉砕し、その後、抽出溶媒(抽剤)として、水、好まし
くは熱水、または有機溶媒、を用いて抽出を行うことに
より得られる。抽出は、必要に応じて、有機溶媒抽出と
水抽出を組み合わせて行うこともできる。また、有機溶
媒が水溶性のものである場合は、水との混合物、すなわ
ち水溶液、を抽剤として使用することができる。熱水抽
出する場合は、典型的には、ハマゴウ属植物の植物体粉
砕物を加熱還流下で抽出が行われる。有機溶媒抽出する
場合に使用する有機溶媒としては、メタノール、n−ブ
タノール、塩化メチレン、酢酸エチルなどが挙げられ
る。好ましくはメタノールが用いられる。例えば、メタ
ノール抽出する場合は、ハマゴウ属植物の植物体粉砕物
を加熱還流下で、抽出を行うのが典型的である。
【0014】<ハマゴウ属植物抽出物>上記のようにし
て得られるハマゴウ属植物抽出物は、抽剤を減圧下で留
去すれば、タール状で黒茶色の抽出物を与えることが普
通である。使用抽剤が、無毒のもの、例えば水、である
場合は、抽剤を含んだまま調剤に使用することもできる
が、抽剤を分離したエキス分を調剤に付すことが普通で
ある。抽剤分離後のエキス分を適当な溶剤、例えば水、
に再溶解させて、調剤に使用することもできる。また、
このようにして得たエキス分を合目的的な精製手段、例
えば分別抽出、二溶媒間の分配、適当な吸着剤による分
別吸着/溶離ないしクロマトグラフィー、等によって、
精製ないし力価の向上を行うこともできる。
【0015】上記のようにして得られたハマゴウ属植物
抽出物を、そのまま、あるいはカラムクロマトグラフィ
ーに付すことよって得られた各画分には、アルドースリ
ダクターゼ阻害作用があることが見出されている。例え
ば、後記の[実施例]の項で記載したように、ミツバハ
マゴウ抽出物から得られた画分のうち、特に後記試料5
において、かなり強い阻害作用が見出されている。
【0016】<アルドースリダクターゼ阻害作用剤>本
発明によるアルドースリダクターゼ阻害作用剤は、上記
のようなハマゴウ属植物由来成分を有効成分として含有
するものである。ここでいう「ハマゴウ属植物由来成
分」は、その「由来成分」という表現において、最も広
い意味を持つものであって、その典型例である「抽出
物」も、抽剤含有不含有のいずれであっても良いだけで
なく、抽剤除去後に精製に付したものをも包含するもの
であることは、前記したところである。また、「有効成
分とする」ということは、剤型に応じた担体を含む場合
を包含することは当然として、併用可能な他の薬剤を含
有してもよいことも意味する。このような併用可能な薬
剤としては、例えば、賦形剤、防腐剤、結合剤、安定化
剤、香味料、等のものが挙げられる。
【0017】本発明によるアルドースリダクターゼ阻害
作用剤は、医薬品または食品の形態で提供される。医薬
品として用いられる場合には、乾燥粉末、散剤、顆粒、
錠剤、糖衣錠、カプセル、液剤などの形で提供される。
また食品として用いられる場合には、ガム、キャンデ
ィ、ゼリー、錠菓、飲料などの形で提供される。医薬品
として用いて投与する場合には、経口投与、非経口投
与、吸入、経直腸投与、局所投与などの各種投与形態を
採用することができる。このうち、非経口投与には、皮
下注射、静脈内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与または注
入などが含まれる。用量は、一般に1回当たり約0.1
〜200mg/kg体重の範囲内であり、通常1日に1
〜5回投与される。ただし、正確な用量は、患者の年
齢、体重、症状、投与経路などを考慮して、前記範囲内
から決められる。
【0018】
【実施例】下記諸例は、本発明を具体的に説明するもの
である。ただし、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0019】[例1]ミツバハマゴウ(石垣島で採取)
の乾燥した枝葉部4.5kgを粉砕した後、室温下で1
ヶ月間18Lのメタノール中に浸漬させて抽出を行っ
た。抽出液を減圧下で濃縮し、90gの抽出物(試料
1)を得た。この抽出物をメタノール1Lに溶解させた
後、セライト100gを加えて撹拌し、メタノールを減
圧下で完全に留去した。得られたセライト吸着体を細粉
末化し、ガラスカラム(6cm)に充填した後、充填物
を以下に示した溶媒で順次溶出させた。それぞれの溶媒
を減圧下で完全に留去し、試料2〜5を得た。 (試料2) n−ヘキサン 1.0Lで溶出させたもの、 2g (試料3) 塩化メチレン 1.0Lで溶出させたもの、 5g (試料4) 酢酸エチル 2.0Lで溶出させたもの、 35g (試料5) メタノール 3.0Lで溶出させたもの、 40g
【0020】<アルドースリダクターゼ阻害作用試験
これらの各試料1〜5を用いて、アルドースリダクター
ゼ阻害作用試験を行った。 《酵素溶液の調製》ラットの眼より抽出した水晶体を5
mMリン酸緩衝液(pH7.4)中でホモジネートし、
遠沈操作後の上澄液を40〜75%硫酸アンモニウム水
溶液で塩析した。得られた酸素溶液は、0.015〜
0.020U/mlの濃度に調製した。このときの1U
は、1分間に1μMのNADPHが酸化される活性を示
している。
【0021】《活性試験》0.2Mリン酸緩衝液(pH
6.2)500μlに、2M硫酸アンモニウム水溶液2
00μl、16mM NADPH10μl、上記酸素溶
液20μl、水250μlおよび被験物質(終濃度10
μg/ml)または水(ブランク)10μlを加え、こ
こに1.0M DL−グリセルアルデヒド10μlを添
加した後、30℃で酵素反応を行い、10分後のNAD
PH減少量を波長340nmにおける吸光度の減少量か
ら求め、阻害率(単位:%)を算出した。なお、本実験
条件下において、比較対照薬として用いたONO−22
35は、5×10-8Mで49.3%の阻害活性を示し
た。なお、この阻害率が高いほど、アルドースリダクタ
ーゼ阻害作用の活性が強いことを示す。以上の試験結果
を表1に示す。
【0022】 表1 試 料 No. アルドースリダクターゼ阻害作用 (阻害率(%)) 試料濃度 試料濃度 10(μg/ml) 1(μg/ml) 1 80.2 8.1 2 77.8 18.7 3 57.8 3.3 4 70.3 29.1 5 86.8 73.5
【0023】得られた結果(上記表1)から明らかなよ
うに、アルドースリダクターゼ阻害作用は、試料5で、
かなり強い活性が見出された。この結果から、ハマゴウ
属植物から抽出されたこのアルドースリダクターゼ阻害
作用剤は、アルドースリダクターゼ阻害作用に優れた効
果を示しており、糖尿病性白内障、網膜症、腎不全、神
経障害、動脈硬化などの糖尿病性合併症の予防および治
療に対して有効であることがわかる。
【0024】
【発明の効果】本発明によりハマゴウ属植物由来成分を
有効成分としてなるアルドースリダクターゼ阻害作用剤
が提供される。このアルドースリダクターゼ阻害作用剤
が、アルドースリダクターゼ阻害作用に対して極めて優
れた効果を有しており、糖尿病性白内障、網膜症、腎不
全、神経障害、動脈硬化などの糖尿病性合併症の予防お
よび治療に対して有効であること、ならびにこれら効果
を発揮すると同時に、従来の薬剤の場合にみられたタキ
フィラキシーや種々の副作用等の問題を回避できること
は、[発明の概要]の項において前記したところであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 A61K 31/00 643D (72)発明者 吉 澤 豊 吉 茨城県北茨城市大津町北町1−1−8 Fターム(参考) 4C088 AB12 AC01 AC05 AC06 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 MA17 NA14 ZA01 ZA33 ZA45 ZA81 ZC20 ZC35

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハマゴウ属植物由来成分を有効成分として
    なる、アルドースリダクターゼ阻害作用剤。
  2. 【請求項2】ハマゴウ属植物由来成分が有機溶媒抽出物
    または水抽出物である、請求項1に記載のアルドースリ
    ダクターゼ阻害作用剤。
  3. 【請求項3】ハマゴウ属植物がミツバハマゴウである、
    請求項1または2に記載のアルドースリダクターゼ阻害
    作用剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100443268B1 (ko) * 2001-08-09 2004-08-04 한국생명공학연구원 Acat의 활성을 저해하는 순비기나무 열매로부터추출한 퓨란성 랍단 디테르펜 화합물 및 이의 조성물
JP2012067069A (ja) * 2010-03-31 2012-04-05 Fancl Corp アディポネクチン産生促進剤

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