JP2000128723A - 歯科用組成物 - Google Patents
歯科用組成物Info
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Abstract
させる時の重合阻害を低減するための表面被覆材として
好適に使用できる、重合阻害低減効果が高く、塗布時の
操作性に優れ、しかも水洗により容易に除去できる歯科
用組成物を提供する。 【解決手段】 ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶
性セルロース、及びエチレングリコール等の水溶性有機
溶媒を、例えば、それぞれ3〜20重量%及び80〜9
7重量%の割合で含んでなる、歯科用表面被覆材として
好適な歯科用組成物。
Description
使用される組成物に関する。更に詳しくは、歯科用接着
剤等に使用されているラジカル硬化性組成物の重合阻害
を防止するための歯科用表面被覆材として好適に使用さ
れ得る組成物に関する。
に際し、コンポジットレジンと呼ばれる重合性単量体と
無機粒子からなる充填修復材料が広く用いられている。
また、セラミックス製或いは金属製の歯冠修復物を歯牙
に接着する修復に際しては、接着用にレジンセメントと
呼ばれる酸性基含有重合性単量体及び重合性単量体と無
機粒子からなる接着剤が用いられている。
体として、一般に(メタ)アクリレート系の単量体が用
いられており、その重合硬化は、触媒として過酸化物と
還元剤からなるレドックス系の開始剤、或いは光照射に
よりラジカルを発生する開始剤を用いることにより行わ
れている。
素により重合阻害を受けるため、空気と接触した表面で
は重合率が低下する問題があった。例えば、接着用レジ
ンセメントと歯冠修復物を用いた歯牙の修復では、修復
物と歯牙との隙間におよそ50〜100ミクロン程度の
幅のレジンセメント層が存在しているのであるが、該レ
ジンセメント層の外表面(外気に接触するように露出し
た面)部分の重合率が低い場合には、レジンセメントの
磨耗が早期に進行して二次齲蝕に罹患したり、レジンセ
メントの着色や変色が生じる等の問題があった。
ぐ目的で、ラジカル重合性単量体が重合硬化する間、レ
ジンセメントの上記外表面を酸素遮断性の材料(以下表
面被覆材)で被覆する方法が採用されている。
材としては、ポリビニルアルコールの水溶液(特開昭5
8−20164号公報)、ポリビニルアルコール水溶液
に有機過酸化物を配合した組成物(特開昭58−336
04号公報)、低分子量のエチレングリコールと高分子
量のエチレングリコールからなる組成物、(特開昭59
−134705号公報)、水溶性酸素遮断性ポリマーと
水溶性還元剤と界面活性剤との水溶液からなる組成物
(特開平9−241304号公報)が開示されている。
成物は流動性が大きく、レジンが重合硬化する間に流れ
てしまい十分な性能が得られないことがあった。流動性
を小さくするために、ポリマー配合量の増大や分子量の
高いポリマーを用いると、今度は水洗による除去性が低
下したり組成物が糸を引くようになり、操作性と酸素遮
断性の双方を満足するものはなかった。
組成物以外に、高分散性の二酸化珪素と分散媒からなる
組成物(特開昭62−5号公報)、あるいは疎水化処理
した無機粒子と親水性分散媒(特開平8−268827
号公報)からなる組成物も開示されている。しかしなが
ら、これら組成物は賦形性に優れるものの、その反面流
動性が小さく、歯牙と歯牙の隙間に填入する必要がある
症例には用いにくいなどの問題があった。
ンセメントのようなラジカル重合性組成物の硬化時にお
ける重合阻害を低減するのに好適な歯科用表面被覆材を
提供することを目的とする。
て補綴物を歯牙に接着する時に、操作性良くレジンセメ
ントの露出部に塗布でき、レジンセメントの重合硬化の
阻害を防止する効果(以下、重合阻害低減効果ともい
う。)が高く、しかもレジンセメント硬化後には水洗等
により簡単に除去できる歯科用表面被覆材を提供するこ
とを目的とする。
を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、水溶性セル
ロース及び水溶性有機溶媒からなる組成物は重合阻害低
減効果に優れ、しかも歯科の医療で用いるに望まれる賦
形性と適度な流動性を示し、さらに水洗による除去性に
優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
水溶性有機溶媒を含んでなることを特徴とする歯科用組
成物である。
覆材として好適に使用できる。上記歯科用組成物からな
る本発明の歯科用表面被覆材は、水溶性有機溶媒を溶媒
とする均一溶液の形態をとることが出来、透明性にも優
れているため光硬化性のレジンの表面被覆材としても好
適に用いられる。また、上記歯科用組成物の中でも組成
物中の水溶性セルロースの含有割合が、水溶性セルロー
スと水溶性有機溶媒の総重量を基準として、3〜20重
量%であるときには、歯科用表面被覆材として使用した
ときに、重合阻害低減効果も高く、水洗除去性等の操作
性も良好である。
合触媒、重合助触媒、及び還元剤からなる群より選ばれ
る少なくとも1種を水溶性セルロースと水溶性有機溶媒
との混合物100重量部に対して0.05〜10重量部
含有する場合には、歯科用表面被覆材として使用したと
きの重合阻害低減効果が特に高い。
被覆材は、それ自体の酸素遮断性が高いばかりでなく、
適度な粘弾性を有しているため塗布時の操作性が良好
で、しかもレジンセメントが硬化する間中レジンセメン
トを被覆することができるため重合阻害低減効果が高く
なっているものと思われる。また、本発明の歯科用表面
被覆材は、その主成分が水溶性であるため水洗による除
去性も高い。
セルロース、及び水溶性有機溶媒を必須成分として含
む。
溶性セルロースとは、25℃、1気圧下において、水に
対して1重量%以上の濃度で溶解するセルロースを意味
する。
てほとんど不溶であるが、セルロースを構成する1つの
グリコース単位中に存在する3個の遊離水酸基をエステ
ル化、あるいはエーテル化することにより水への溶解性
が向上する。本発明では、水溶性セルロースとしては、
セルロースに各種置換基を導入することにより上記のよ
うな性質(水溶性)を付与された公知のセルロース誘導
体が何ら制限なく使用することが可能である。
示すれば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチ
ルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び該
セルロースのナトリウム、カリウムなどの金属塩、カル
ボキシエチルセルロース及び該セルロースのナトリム、
カリウムなどの金属塩、カルボキシメチルエチルセルロ
ース及び該セルロースのナトリウム、カリウムなどの金
属塩等が挙げられる。
機溶媒への溶解性が良好であり、水洗時の除去性が優れ
ている等の理由から、次に定義される置換度が1.5〜
2.0のヒドロキシプロピルセルロースが好適に用いら
れる。ここで、置換度とは、1グリコース単位中にある
3個の水酸基が平均でどの程度エステル化、あるいはエ
ーテル化されているかを指標したものである。例えば平
均で3個の水酸基のうち2個が置換されていれば置換度
2と表す。また、上記水溶性セルロースの平均分子量は
特に限定されないが、歯科用表面被覆材として使用した
ときの賦形性、及び水洗時の除去性の観点から重量平均
分子量(Mw)で10,000〜1,500,000、
特に50,000〜1,000,000の範囲であるの
が好適である。なお、本明細書で歯科用表面被覆材につ
いていう賦形性とは、使用時においてレジンセメントに
塗布したときに、レ流れ出さずにジンセメントを被覆す
る状態を長く保持する性質を意味する。
り小さいと賦形性が低下する傾向があり、また1,50
0,000より大きいと水洗による除去性が悪化する傾
向がある。これら水溶性セルロースは単独で、また必要
に応じて2種以上混合して使用することも可能である。
阻害低減効果、賦形性、流動性、水洗除去性等を考慮し
て適宜決定すればよいが、後述する水溶性有機溶媒と水
溶性セルロースとの総重量を基準として、3〜20重量
%の範囲で用いるのが好ましい。
は、25℃、1気圧下において、水に10重量%以上溶
解するものであれば何ら制限なく使用可能である。
ル、エチルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブ
チルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピ
ルアルコール等のアルコール類、グリセリン、ジグリセ
リン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオー
ル、2−メチル−2,3−ブタンジオール等の多価アル
コール類やアセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ピリジ
ン等のアミン類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホ
ルムアミド等が挙げられる。
て、毒性の低いエチルアルコール、2−プロピルアルコ
ール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、アセトン、エチレングリコール、トリエチレング
リコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン
等が好適に用いられ、特に、沸点の高い1,2−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパン
ジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンが好適
に用いられる。
に応じて2種以上混合して使用することも可能である。
表面被覆材として使用したときの重合阻害低減効果、賦
形性、流動性、水洗除去性等を考慮して適宜決定すれば
よいが、水溶性有機溶媒と水溶性セルロースとの総重量
を基準として、80〜97重量%の範囲で用いるのが好
ましい。
表面被覆材として使用したときに、塗布される重合性レ
ジンの表面重合率を向上させる目的で、重合性レジンに
配合されている重合触媒やその助触媒、また酸素を捕獲
する働きを有する還元剤を配合するのが好ましい。
(開始剤)、及び重合触媒と重合助触媒の組み合わせを
具体的に例示するならば、常温で重合を開始する開始剤
系として、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベン
ゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパ
ーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパー
オキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエー
ト等のような有機過酸化物に、N,N−ジメチル−p−
トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエ
タノール−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレ
ドックス開始剤系;該有機過酸化物と該アミンからなる
開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエ
ンスルフィン酸及びその塩等のスルフィン酸を加えた
系;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フ
ェニルバルビツール酸等のバルビツール酸系開始剤;有
機・無機酸とテトラフェニルホウ素、トリフェニルモノ
アルキルホウ素のナトリウム塩等のアリールボレート化
合物の組み合わせた系等が挙げられる。
ては、カンファーキノン、p,p−ジメトキシベンジ
ル、α−ナフチル、アセトナフテン、1,2−フェナン
トレンキノン等のα−ジケトン類、2−クロロチオキサ
ントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサ
ントン類;さらには該α−ジケトン類やチオキサントン
類に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,
N−ジメチル−アミノアセトフェノン等の3級アミンと
の組み合わせた開始剤系;2,4,6−トリメチルベン
ゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−
ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペン
チルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサ
イド類;2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モ
ルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−
ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−
ブタノン−1等のα−アミノアセトフェノン類;対イオ
ンがメロシアニン、クマリン、インジゴ、芳香族アミン
等の有機染料であるアリールボレート化合物;光により
酸を発生する酸発生剤とアリールボレート化合物との組
み合わせ等が挙げられる。
としては、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N
−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トル
イジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステ
ル、N,N−ジメチル−アミノアセトフェノン等の3級
アミンや、p−トルエンスルフィン酸ナトリム、p−ト
ルエンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸ナ
トリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム等のスルフィ
ン酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の
亜硫酸塩が好適に用いられる。
元剤の配合量は、表面被覆材の操作性や保存安定性等に
影響を与えない範囲で適宜決定すればよく、通常、水溶
性セルロースと水溶性有機溶媒との混合物100重量部
に対して、0.05〜10重量部の範囲で用いるのが好
適である。
の効果を損なわない範囲で他の添加材を配合することも
可能である。このような添加材としては、重合性レジン
との濡れ性を高めるための界面活性剤や粘度を調整する
ための無機微粒子や架橋ポリマー、また色素や香料等が
挙げられる。
限定されず、各成分を所定量はかりとり適宜混合すれば
よい。このとき、水溶性セルロ−スが水溶性有機溶媒に
溶けにくい時には、水溶性有機溶媒を加熱することによ
り水溶性セルロ−スの溶解を促進することができる。
材として好適に使用できる。本発明の歯科用組成物から
なる歯科用表面被覆材は、上記したように接着用レジン
セメントを用いた歯冠修復物の接着に於いて、レジンセ
メントの表面未重合量を低減するための表面被覆材とし
て特に好適に用いられるが、それ以外のラジカル重合性
組成物の表面被覆材としても好適に使用できる。
は、金属やセラミックス製の歯冠修復材料を歯牙に接着
するために用いられる接着材であり、その組成は、一般
に(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性基
を有する重合性単量体と重合開始剤、無機あるいは有
機、無機と有機のハイブリッドフィラーを充填し、さら
には歯質への接着性を高める目的でその構造中に酸性基
を含有するラジカル重合性単量体から構成されている。
により重合するものであれば何ら制限なく使用可能であ
るが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、n−プロピル(メタ)アクリレート、
イソプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系単
量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコージ(メタ)アクリレート、トリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−(メタ)
アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロ
イルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパ
ン、等の2官能(メタ)アクリレート系単量体、トリメ
チロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能(メ
タ)アクリレート系単量体、ペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレー
ト系単量体等が挙げられる。
ージルコニア、シリカーチタニア等の無機フィラー、ポ
リメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、
メチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合
物等の有機ポリマーが挙げられる。
しては、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少なくと
も1つのラジカル重合性基を有するものであれは特に限
定されず、公知の化合物を用いることができる。該酸性
基としてはホスホノ基、ホスフィニコ基、カルボキシル
基、−C(=O)−O−C(=O)−基、スルホ基、ス
ルフィノ基等が挙げられる。
性単量体を具体的に例示するならば、11−(メタ)ア
クリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸
及びその無水物、2−メタクリロイルオキシエチルジハ
イドロジェンホスフェート、ビス(2−メタクリロイル
オキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、10−メ
タクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェー
ト等が挙げられる。
の重合開始剤としては、前記した公知の開始剤が何ら制
限なく使用可能である。
に限定されないが、予め所定量の各成分を混合して調製
した本発明の歯科用表面被覆材を、歯冠修復と歯牙の隙
間のレジンセメント層に沿って、その表面にシリンジか
ら直接塗布する、あるいはスポンジ片あるいは小筆等を
用いて一回あるいは数回塗布すればよい。
間、レジンセメントの露出部が本発明の歯科用面被覆材
で覆われているので、レジンセメント表面を十分に重合
硬化することが出来る。また、レジンセメントが硬化し
た後は水銃等を用いて数秒〜10秒間程度洗浄すること
により、本発明の歯科用表面被覆材はレジン表面から簡
単に除去することができる。
に、実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。なお、歯科用
組成物についての表面被覆材としての性能は、次のよう
にして測定される硬化性組成物の表面未重合量、歯科用
組成物の垂れ、及び歯科用組成物の除去性から評価し
た。尚、以下の作業は全て23℃に設定された恒温室内
で行った。
mm×2mmの孔を有するポリアセタール製の型に、レ
ジンセメントとしてビスタイトレジンセメント((株)ト
クヤマ製)のA,Bペーストを均一に練り合わせたもの
を填入した。填入したレジンセメントを秤量し(以下、
この時の重量を初期重量という。)、直ちに予め別途調
製した歯科用組成物を上記レジンセメントの外表面に塗
布し(或いは塗布しないで)、3分間静置してレジンセ
メントを重合硬化させた。
除去し、次いでメタノール溶液に侵漬し、超音波洗浄機
にて5分間処理することにより、未重合成分を除去し
た。試料を乾燥後、重量を測定した(以下、この時のセ
メント重量を抽出後重量という。)。
量から、未重合層の厚さ(単に、未重合量ともいう。)
に換算して評価した。未重合量は、セメント硬化体の比
重が2.11g/cm3であることから以下の式に従って算出
した。未重合量が少ないほど重合阻害低減効果が高いと
言える。
0.05gを平滑なスライドグラス上に採った後、37
℃湿潤条件下恒温槽中に垂直に立て、3分間後に流動し
た距離を垂れとして測定した。垂れが少ないほど賦形性
が高いと言える。
リーペーパーで唇面に平行に研磨して平らなエナメル質
面を作製し、その表面に調製した歯科用組成物を塗布し
た。その後、37℃恒温層に3分間放置した後、歯科用
チェアーユニット付属の水銃により塗布した歯科用組成
物を水洗除去性し、下記評価基準に基づいて水洗除去性
を評価した。
ボキシメチルセルロース(CMC−25)7重量部を加え、
80℃の温度に加熱しながら撹拌し、均一に溶解させた
後、室温まで冷却し歯科用組成物を調製した。
測定したところ表面未重合層の厚さは27μmであり、
歯科用組成物を用いないで同様の操作を行ったときの表
面未重合層の厚さ52μmと比較して表面未重合量は大
幅に減少した。また、該歯科用組成物の垂れは3mmで
あり臨床上問題とならない適度な垂れ性を有し、また水
銃により2〜3秒程度で完全に除去可能であり、除去性
にも優れていた。これらの結果から、該歯科用組成物は
歯科用表面被覆材として優れたものであることが確認さ
れた。
施例1と同様にしてその表面被覆材としての性能を調べ
た。その結果を表1に示す。何れの歯科用組成物も良好
な重合阻害低減効果、賦形性、及び水洗除去性を示して
いる。
欄、及び後述する表2中の「水溶性セルロース又は他の
水溶性ポリマー」の欄の各略号の意味は、それぞれ次の
通りである。
0) HPC-37 :ヒト゛ロキシフ゜ロヒ゜ルセルロース(置換度 1.7 Mw 37000
0) HPC-100:ヒト゛ロキシフ゜ロヒ゜ルセルロース(置換度 1.7 Mw 10000
00) PVA1000:ホ゜リヒ゛ニルアルコール(鹸化度 86〜90mol% 重合度 9
00〜1100) PVA3500:ホ゜リヒ゛ニルアルコール(鹸化度 86〜90mol% 重合度 3
100〜3900) また、表1中の「触媒又は助触媒」の欄の略号の意味
は、それぞれ次の通りである。
る。
してその歯科用表面被覆材としての性能を調べた。その
結果を表2に示す。
った場合であるが何れも表面未重合量が多い。
の配合量を2重量%とした組成であるが、表面未重合量
が増大し、また垂れが大きくなり操作性が低下した。
の配合量を30重量%とした組成であるが、水洗除去性
が低下した。
水溶性ポリマーとして、ポリビニルアルコールを用い、
水に溶解した組成物について評価した。何れも垂れが大
きく操作性に問題があった。尚、PVA1000及びPVA3500
は、水に対しそれぞれ15%、PVA3500は7%より多くす
ると一部溶解しなかった。
からなる歯科用表面被覆材を塗布することにより、該レ
ジンセメントの硬化時の重合阻害が低減され、得られた
硬化体表面の機械的強度や耐久性や耐着色が向上する。
しかも、この歯科用表面被覆材組成物は、適度な粘度を
有しているために操作性よく被膜を形成することがで
き、水洗により容易に除去できるという特徴を有する。
Claims (4)
- 【請求項1】 水溶性セルロース、及び水溶性有機溶媒
を含有してなることを特徴とする歯科用組成物。 - 【請求項2】 水溶性セルロース、及び水溶性有機溶媒
の含有割合が、水溶性セルロースと水溶性有機溶媒との
総重量を基準として、それぞれ3〜20重量%、及び9
7 〜 80重量%である請求項1記載の歯科用組成物。 - 【請求項3】 重合触媒、重合助触媒、及び還元剤から
なる群より選ばれる少なくとも1種を水溶性セルロース
と水溶性有機溶媒との混合物100重量部に対して0.
05〜10重量部含有してなることを特徴とする請求項
1又は請求項2記載の歯科用組成物。 - 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れか一に記載
の歯科用組成物からなることを特徴とする歯科用表面被
覆材。
Priority Applications (1)
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JP2019218297A (ja) * | 2018-06-20 | 2019-12-26 | 株式会社トクヤマデンタル | 歯科用分離材 |
CN115813772A (zh) * | 2022-12-27 | 2023-03-21 | 尚仁生物科技(佛山)有限公司 | 一种牙科阻氧隔离封闭剂、其制备方法和使用方法 |
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1998
- 1998-10-22 JP JP30047598A patent/JP3664425B2/ja not_active Expired - Fee Related
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