JP2000127600A - 孔版印刷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 版胴内部の温度に影響を与えず版胴内部を見
やすくでき、また、保守点検時等の必要箇所を見やすく
して、照明体の寿命を延ばせること。 【解決手段】 版胴１内部のインク供給手段５５は、イ
ンクボトル５１のインクを版胴１周面に供給する。イン
ク供給手段５５のインク渦Ａ部分には、インクンサ６
３、温度センサ１５が設けられる。これらセンサ６３，
１５が設けられた回路基板１０には、照明体１８が設け
られ、インク渦Ａ部分を照明する。照明体１８は、前面
扉２２が開かれ、インクボトル５１が取り外された期間
中のみ点灯制御される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、版胴に孔版原紙を
巻き付けて印刷を行う孔版印刷装置に係り、特に、版胴
に対し着脱自在なインク容器部分を照明して点検を容易
に行える孔版印刷装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７は、孔版印刷装置に着脱自在な版胴
を示す斜視図である。版胴５０は、孔版印刷機の前面パ
ネルを開けて内部に装着される。この版胴５０の略中央
位置には、インク容器５１が着脱自在に設けられてお
り、内部には印刷用のインクが充填されている。

【０００３】図８はインク供給手段５５の構成を示す斜
視図である。この図は、図７と反対方向（装置奥方）か
ら見た図である。このインク供給手段５５は、版胴５０
内部でインク容器５１の装着位置の奥部に設けられてい
る。インクモータ５６は、インク容器５１内部のインク
を吸引し、筒状の分配器５７の複数の穴からスキージロ
ーラ５８上にインクを落下供給する。スキージローラ５
８には、僅かな隙間（ギャップ）を有してドクターロー
ラ５９が接している。

【０００４】図９の正面図に示すように、インクは、ス
キージローラ５８とドクターローラ５９との間で所定量
溜まり、この部分に設けられた駆動棒６０の回転によ
り、均一な太さのインク渦Ａが形成される。スキージロ
ーラ５８の表面を回ったインクは、このスキージローラ
５８に接する版胴５０の内面に供給され、版胴５０の表
面側に通過する。版胴５０表面には画像に対応して穿孔
された孔版原紙が装着されており、印刷部にてインクは
孔版原紙の穿孔部を通過して印刷用紙に転移され、所定
の画像を形成する。

【０００５】そして、インク供給手段５５には、インク
容器５１からのインクの供給量を安定化させるためのイ
ンクセンサ６３が設けられている。インクセンサ６３
は、版胴５０内部でインク渦Ａの発生箇所上部位置に設
けられた基板６５に設けられる。このインクセンサ６３
は、基板６５から下方に向けてインク渦Ａ部分のインク
の量を検出する長短２本のアンテナ６３ａ，６３ｂを有
する。そして、印刷動作に伴いインクをスキージローラ
５８から版胴５０側に供給した際に、インク渦Ａのイン
クの量が常時これら長短の間に位置し一定量となるよう
インクモータ５６の吸引動作を制御する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、インク
供給手段５５は、版胴５０の内部奥方に位置している。
したがって、製造時にこのインク供給手段５５の動作検
査、及び稼働後の保守のためにインク渦Ａの位置を見る
際には、インク容器５１を取り出さないと見ることがで
きないようになっている。同時にインク容器５１の直径
程度の狭い開口部を介して奥部を見なければならない。
従来は、保守担当者が装置外部から懐中電灯などで照明
して保守点検するようになっていたが、奥部まで照らし
にくく、また、片手を使うので保守点検を作業しにくい
問題があった。また、版胴５０内部の温度をできるだけ
変化させないことが望ましい。即ち、版胴５０内部温度
の変化は、インクの粘性を変えることとなり、結果的に
印刷物の品質に影響を与える。

【０００７】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、版胴内部の温度に影響を与えず版胴内
部を見やすくでき、また、保守点検時等の必要箇所を見
やすくして、照明体の寿命を延ばせる孔版印刷装置を提
供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の孔版印刷装置は、請求項１記載のように、
製版された孔版原紙を版胴に装着し版胴内部から供給さ
れるインクを該孔版原紙の穿孔部を介して印刷用紙に転
移させ画像形成する孔版印刷装置において、前記版胴に
対し着脱自在であり孔版印刷用のインクが充填されたイ
ンク容器と、前記版胴内部であって前記インク容器を該
版胴から離脱したときに生じる開口部を介して視認可能
な位置に設けられ、前記インク容器内のインクを版胴面
に供給するためのインク供給手段と、前記インク容器を
前記版胴から離脱した際に、前記インク供給手段を照明
する照明体と、を備えたことを特徴とする。

【０００９】また、請求項２記載のように、前記インク
供給手段は、インクの温度を検出する温度センサを回路
基板上に有し、前記照明体は、該基板上に配置されてい
る構成としてもよい。

【００１０】また、請求項３記載のように、前記インク
容器の着脱を検出するインク容器検出器と、前記インク
容器検出器によるインク容器の着脱検出に応じて前記照
明体を点灯・消灯制御する制御手段を備えた構成として
もよい。

【００１１】また、請求項４記載のように、装置に対す
る前記インク容器の着脱位置に開閉自在に設けられた前
面扉の開閉を検出する扉開閉検出器と、前記扉開閉検出
器が前面扉の開放を検出し、かつ、前記インク容器検出
器がインク容器の離脱を検出したときは前記照明体を点
灯制御する一方、前記インク容器検出器がインク容器の
装着を検出するか、あるいは、前記扉開閉検出器が前記
前面扉の閉鎖を検出したときは前記照明体を消灯制御す
る制御手段を備えた構成とすることもできる。

【００１２】上記構成によれば、版胴内部に設けられる
インク供給手段は、インク容器を取り外して視認するこ
とができる。このインク供給手段部分に、照明体１８を
設けた構成により、保守点検作業を容易に行えるように
なる。照明体１８は、前面扉２２が開放され、かつイン
ク容器５１が取り外された状態の期間中のみ照明体１８
を点灯させることにより、必要時のみ点灯され、寿命を
向上でき、また、内部温度の上昇を招かない。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の孔版印刷装置の実
施形態を説明する。図１は、孔版印刷装置を示す正面図
である。

【００１４】版胴１の外周面には、画像に対応した製版
が施された孔版原紙が装着される。版胴１の回転により
給紙部２から給紙された印刷用紙は、版胴１に接するプ
レスローラ３との間に搬送される。プレスローラ３は印
刷用紙を版胴１に押圧し、版胴内部から供給されるイン
クが孔版原紙の穿孔部を通過し印刷用紙に転移して画像
が形成される。印刷後の印刷用紙は排紙部４に排紙され
る。

【００１５】図２は版胴１内部を示す正面図、図３は孔
版印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。版胴
１の内部には、上述したインク供給手段５５が設けられ
る。インク供給手段５５の分配器５７から落下されたイ
ンクは、スキージローラ５８とドクターローラ５９との
間で所定量溜まり、この部分に設けられた駆動棒（不図
示）の回転により、均一な太さのインク渦Ａが形成され
る。

【００１６】インクセンサ６３は、版胴１内部でインク
渦Ａの発生箇所上部位置に設けられた回路基板１０に設
けられる。回路基板１０は、版胴１内の所要箇所に固定
配置される。この回路基板１０には、上述したインクセ
ンサ６３と、温度センサ１５及び、照明体１８が設けら
れる。回路基板１０は、スペース制約上、小さな外形で
形成されるものであり、これら各インクセンサ６３、温
度センサ１５及び、照明体１８は近接して配置される。

【００１７】インクセンサ６３は、回路基板１０から下
方に向けてインク渦Ａ部分のインクの量を検出する長短
２本のアンテナを有し、検出信号を版胴１外部の装置側
に設けられた制御手段３０に出力する。制御手段３０
は、印刷動作に伴いインク供給手段５５によりインクを
版胴１側に供給する際に、インク渦Ａのインクの量が常
時これら長短の間に位置し一定量となるよう上記インク
モータの吸引動作を制御する。

【００１８】温度センサ１５は、サーミスタ等で構成さ
れ版胴１内部の温度を検知して制御手段３０に温度信号
を出力する。即ち、インクは、温度により粘性が変わり
結果として印刷物の品質に影響を与える。その為、擬似
的に版胴１内部の雰囲気温度をインクの温度と見做して
制御手段３０に出力する。制御手段３０は、インクの温
度に応じてプレスローラ３の押圧力を制御する。これに
より、温度変化があっても均質な印刷物が得られるよう
している。

【００１９】照明体１８は、白熱ランプ等で構成され、
インク渦Ａの方向に白色の光を照射する。照明体１８の
照明により、インク渦Ａの状態を見て装置の動作を容易
に保守点検できるようになる。この照明体１８の点灯・
消灯は、制御手段３０によって制御される。この照明体
１８は、インク色を確認しやすくするため白色が好まし
く、内部が視認できるものであればランプ以外の構成で
あってもよい。以下、汎用の白熱ランプを用いた構成例
で説明する。

【００２０】版胴１には、インク容器５１が前面から着
脱自在であり、版胴１には、このインク容器５１の装着
を検出するインク容器検出器２０（図７参照）が設けら
れ、制御手段３０に装着の有無を出力する。このインク
容器検出器２０は、図２に記載されているようにインク
容器５１の装着に伴い接点が開閉するマイクロスイッチ
等で構成される。

【００２１】図４は、装置の斜視図である。装置の前面
パネルには、版胴１部分に前面扉２２が設けられる。前
面扉２２の開放により、版胴１、及びインク容器５１の
着脱、及び前記インク渦Ａ部分の点検など、装置の各種
点検保守作業が行える。装置には、この前面扉２２の開
閉を検出する扉開閉検出器２５が設けられ、制御手段３
０に装着の有無を出力する。この扉開閉検出器２５も、
マイクロスイッチ等で構成されている。

【００２２】制御手段３０は、製版動作、及び印刷動作
を制御し、また、前記照明体１８の点灯・消灯を制御す
る。この照明体１８の点灯制御は、前記インク容器検出
器２０及び扉開閉検出器２５の検出信号の入力に基づき
行う。

【００２３】図５は、照明体１８点灯時における温度セ
ンサで検出された温度と、インク渦Ａ部分のインク温度
との間の温度差の時間変化を示すグラフである。照明体
１８は、白熱ランプであり照明時に発熱する。この発熱
によって、照明体１８と同一回路基板１０に近接配置さ
れている温度センサ１５がこの発熱の影響を受ける。一
方、インク渦Ａ部分のインクは比熱が高い。実験の結
果、温度センサ１５から出力されたインクの温度に対
し、実際のインクの温度との温度差は時間経過とともに
大きくなり、２℃以上の差が生じることが判った。

【００２４】このように、照明体１８の点灯時間が長く
なると、温度センサ１５は実際のインクの温度と相違す
る温度をインクの温度として検出し、制御手段３０に出
力することになる。これにより、制御手段３０は前記プ
レスローラの押圧力の制御を実際のインクの温度と異な
る状態時の温度で制御することとなり、印刷品質を低下
させることがある。したがって、照明体１８は、保守点
検等の必要時のみ点灯させることが望ましい。

【００２５】図６は、照明体１８の点灯制御内容を示す
フローチャートである。照明体１８は、前面扉２２の開
閉状態と、インク容器５１の装着の有無に応じて点灯、
あるいは消灯される。ここで、前面扉２２の開閉状態
は、扉開閉検出器２５により、インクボトル５１の装着
の有無はインクボトル検出器２０により検出される。図
示の如く、前面扉２２が開放状態であり（Ｓ１−ＯＰＥ
Ｎ）、インク容器５１が取り外された状態（Ｓ２−未セ
ット）時には、照明体１８が点灯制御される（Ｓ３）。

【００２６】一方、前面扉２２が閉じられた状態のとき
（Ｓ１−ＣＬＯＳＥ）には、照明体１８は消灯制御され
る（Ｓ４）。また、前面扉２２が開放状態であっても
（Ｓ１−ＯＰＥＮ）、インク容器５１が取り付けられた
状態（Ｓ２−セット）時には、照明体１８は消灯制御さ
れる（Ｓ４）。

【００２７】上記のように、前面扉２２が開いていてイ
ンク容器５１が取り外され、インク渦Ａ部分を見ること
ができる状態にある期間中のみ、照明体１８を点灯させ
る。

【００２８】なお、保守点検時における照明体１８の点
灯による発熱は、インク容器５１を取り外した開口部を
介して逃がすことができる。これにより、上記温度セン
サで検出した温度とインクの温度差を小さくできる。こ
のような保守点検時、装置は印刷実行が不可能な状態に
ある。この期間中、制御手段３０は温度センサ１５の検
出信号を取り込まず、例え照明体１８でインク温度が誤
検知されたとしても、印刷を行わず印刷品質が低下する
ことはない。

【００２９】上記構成により、製版時や印刷動作時など
装置が動作している大部分の期間中、制御手段は照明体
１８を消灯制御させる。この装置動作の期間中、継続的
に照明体１８が消灯されることにより、温度センサ１５
は照明体１８の発熱の影響を受けない。これにより温度
センサ１５は、版胴１内部のインクの温度を正確に検出
できるようになり、印刷品質を低下させることなく一定
品質を維持できる。また、上記構成によれば、インク容
器５１の未装着時においても前面扉２２が閉じられると
いう頻度の低いケースにも対応できるが、インク容器５
１の脱着のみに基づき照明体１８の点灯・消灯制御を行
うのも簡略化された実施の形態として有用である。

【００３０】また、装置の稼働時間に対し、照明体１８
の点灯時間を短くできるため、白熱ランプが有する点灯
寿命を延命化でき、装置寿命に近づけることができるよ
うになる。前述したように、照明体１８は、版胴１内部
の極小さなスペースに取付けられるものであるため、交
換しようとすると版胴１の分解など手間がかかる。しか
し、本発明によれば、照明体１８は必要時のみ点灯する
ため寿命を延ばすことができ、このような手間も省け
る。

【００３１】上記実施形態で説明した照明体１８は、温
度センサ１５が搭載されている同一の回路基板１０に設
けられる構成であったが、これら照明体１８と温度セン
サ１５が別の回路基板に設けることもできる。しかしな
がら、いずれもインク渦Ａを照明し、温度を検出する構
成であり、設置スペースの制約上近接配置されることと
なる。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、版胴内部に照明体が設
けられた構成であり、照明体の点灯により必要な箇所を
照明して見やすくし保守点検作業を容易に行えるように
なる。この照明体は、狭い版胴内部において温度センサ
が搭載された同一の回路基板に搭載することにより、イ
ンク渦等の保守点検時に適切な箇所を照明できるように
なり、基板枚数を増加させずとも所望箇所を適切に照明
できる。また、インク容器の取り出しが検出された期間
中のみ照明体を点灯制御する構成によれば、近接配置さ
れた温度センサが照明体の発熱の影響を受けてインク温
度を誤検出することがなくなり、印刷品質の低下を防止
できる。また、照明体の寿命を延ばすことができる。さ
らに、前面扉の開放及びインク容器の取り出しが検出さ
れた期間中のみ照明体を点灯制御させる構成として、照
明体の点灯期間をより必要時ににのみ限らせ、上記効果
を高めてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の孔版印刷装置の全体を示す正面図。

【図２】同装置の版胴を示す正面図。

【図３】同装置の電気的構成を示すブロック図。

【図４】装置の斜視図。

【図５】照明体点灯時における温度センサが検出した温
度とインク温度との間の温度差を示す図。

【図６】照明体の点灯制御内容を示すフローチャート。

【図７】版胴を示す斜視図。

【図８】インク供給手段を示す斜視図。

【図９】インク供給手段を示す部分拡大正面図。

【符号の説明】

１…版胴、２…給紙部、３…プレスローラ、４…排紙
部、１０…回路基板、１５…温度センサ、１８…照明
体、２０…インク容器検出器、２２…前面扉、２５…扉
開閉検出器、３０…制御手段、５１…インク容器、５５
…インク供給手段、５７…分配器、５８…スキージロー
ラ、５９…ドクターローラ、６３…インクセンサ、Ａ…
インク渦。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 製版された孔版原紙を版胴に装着し版胴
   内部から供給されるインクを該孔版原紙の穿孔部を介し
   て印刷用紙に転移させ画像形成する孔版印刷装置におい
   て、 前記版胴に対し着脱自在であり孔版印刷用のインクが充
   填されたインク容器と、 前記版胴内部であって前記インク容器を該版胴から離脱
   したときに生じる開口部を介して視認可能な位置に設け
   られ、前記インク容器内のインクを版胴面に供給するた
   めのインク供給手段と、 前記インク容器を前記版胴から離脱した際に、前記イン
   ク供給手段を照明する照明体と、を備えたことを特徴と
   する孔版印刷装置。
2. 【請求項２】 前記インク供給手段は、インクの温度を
   検出する温度センサを回路基板上に有し、前記照明体
   は、該基板上に配置されている請求項１記載の孔版印刷
   装置。
3. 【請求項３】 前記インク容器の着脱を検出するインク
   容器検出器と、 前記インク容器検出器によるインク容器の着脱検出に応
   じて前記照明体を点灯・消灯制御する制御手段と、を備
   えた請求項１記載の孔版印刷装置。
4. 【請求項４】 装置に対する前記インク容器の着脱位置
   に開閉自在に設けられた前面扉の開閉を検出する扉開閉
   検出器と、 前記扉開閉検出器が前面扉の開放を検出し、かつ、前記
   インク容器検出器がインク容器の離脱を検出したときは
   前記照明体を点灯制御する一方、前記インク容器検出器
   がインク容器の装着を検出するか、あるいは、前記扉開
   閉検出器が前記前面扉の閉鎖を検出したときは前記照明
   体を消灯制御する制御手段と、を備えた請求項３記載の
   孔版印刷装置。