JP2000124541A - 半導体レーザおよび半導体レーザモジュール - Google Patents

半導体レーザおよび半導体レーザモジュール

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JP2000124541A
JP2000124541A JP10299313A JP29931398A JP2000124541A JP 2000124541 A JP2000124541 A JP 2000124541A JP 10299313 A JP10299313 A JP 10299313A JP 29931398 A JP29931398 A JP 29931398A JP 2000124541 A JP2000124541 A JP 2000124541A
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optical
electric field
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light
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Minoru Fujita
実 藤田
Masahiro Aoki
雅博 青木
英之 ▲桑▼野
Hideyuki Kuwano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体レーザの駆動電流を制御する従来の光出
力制御方法では安定した光出力を維持するとともに、そ
の発振波長を安定に維持、動作させることが極めて困難
な課題であった。 【解決手段】半導体レーザ1は一定電流駆動(ACC駆動)
で動作させ、光出力変動を電界吸収部4における光減衰
量若しくは半導体増幅器20における増幅率(ゲイン)を
制御することで、半導体レーザの駆動電流を変化させる
ことなく安定な光出力を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光通信システム用発
光素子モジュールとして使用するに好適な半導体レーザ
モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信の高速化、大容量化の必要
性に対して波長分割多重(WavelengthDivision Multiple
xing:以下WDM)による光通信方式が実用化されている。
WDM通信では一本の光ファイバに複数の波長の光信号
を多重化して伝送することで従来の単一波長での伝送に
比べ、多重化する波長の数に応じた伝送容量の拡大が図
れる。この波長多重伝送を長期間安定して実現するため
には多重化する各光信号の送信レベル(光信号強度)を
揃えるとともに、各信号間の波長間隔を維持する必要が
ある。
【0003】しかし、半導体レーザモジュールに用いる
発光素子である半導体レーザは、通常状態で長期間動作
させた場合、レーザ素子活性領域の結晶欠陥(例えば、
点欠陥や転位)が増殖され、これに伴い発光特性(光出
力や、レーザ発振しきい電流値など)が経時変化を起こ
し、ついには寿命に至る。すなわち半導体レーザモジュ
ールは、通常状態での動作においてもレーザ素子の経時
変化に伴い、その光出力が変動することが知られてい
る。
【0004】このため、従来の光通信用半導体レーザモ
ジュールでは、例えば特開平4-50903号公報などに知ら
れる如く、半導体レーザ後面から発光するレーザ光をモ
ニタ用フォトダイオードで検出し、このモニタ光が一定
となるように半導体レーザ駆動電流を制御し、光ファイ
バ出力を常に安定化させる自動光出力制御を行ってい
る。また、信号の高速化のために外部変調器を集積した
半導体レーザを使用した外部変調方式も実用化されてい
る。外部変調方式における光出力方式においては、例え
ば特開平4-162481号公報などに知られる如く、電界吸収
型外部変調器を集積した半導体レーザの光出力の変動を
電界吸収型変調器に流れる光電流の変動として検出し、
この光電流が一定となるように半導体レーザ駆動電流を
制御し、光ファイバ出力を常に安定化させる自動光出力
制御を行う方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において、
光ファイバ出力を安定化させる自動光出力制御方法は、
半導体レーザ後面からの光出力をモニタし、半導体レー
ザ前方から光出力、すなわち光ファイバ出力を一定に保
持するよう半導体レーザの駆動電流を制御している。ま
た、電界吸収型外部変調器を集積した半導体レーザを用
いたレーザモジュールの場合でも同様に、半導体レーザ
後端面からの光出力をフォトダイオードによって検出
し、このモニタ光が一定となるよう半導体レーザの駆動
電流を制御している。
【0006】これに対し、例えば特開平4-162481号公報
などに知られる如く電界吸収型外部変調器を集積した半
導体レーザの光出力の変動を電界吸収型変調器に流れる
光電流の変動として検出し、この光電流が一定となるよ
うに半導体レーザ駆動電流を制御し、光ファイバ出力を
常に安定化させる自動光出力制御を行う方法は温度補償
を行うことが可能になるという利点を持つが、いずれの
方法においてもレーザの駆動電流を制御することで光出
力を一定に保持する点に大きな差異はみられない。
【0007】前述の通りWDM通信を長期間安定に実現
するためには多重化させる各信号の光出力レベルの安定
化と同時に、各信号の波長間隔を高精度に維持する必要
があるが、従来の光出力制御方式では波長安定性に関し
て考慮されていない。
【0008】半導体レーザは半導体レーザ自体を極めて
精度よく温度制御した状態においても半導体レーザの駆
動電流(注入電流)の変動に伴うレーザ活性層部の温度
変動が生じ、発振波長がレーザの駆動電流に応じて変動
する特性を有している。一例としては、常に半導体レー
ザを25℃に温度制御した状態で駆動電流を10mA変化さ
せた場合、約0.05nmから0.1nm程度変動することが確認
されている。従って、従来の光出力を一定に保持するた
めの手段は光出力値を一定に保つことは可能であるが、
レーザ駆動電流の変動に伴う発振波長変動を許容する条
件で成立していたものである。即ち、従来のレーザの駆
動電流を制御する方法では、WDM光通信システム用途
の光源用発光素子モジュールに要求される安定した光出
力を維持するとともにその発振波長を安定に維持、動作
させることが極めて困難な課題であった。
【0009】本発明の目的は、上記課題を解決するため
になされたもので、電界吸収型外部変調器を集積した半
導体レーザ素子を光源とした光通信用半導体レーザモジ
ュールの光ファイバ出力を長期間、常に安定に保持する
ことができるとともに、その発振波長の経時変動を極め
て小さくできる半導体レーザおよびその半導体レーザの
駆動方法並びに半導体レーザモジュールとしての実装方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明による電界吸収型外部変調器集積半導体レーザ
素子では、電界吸収型外部変調器及び半導体レーザと電
気的に絶縁された外部変調器と同一構造の電界吸収部を
集積した。本光素子はいわば半導体レーザ前方に電界吸
収部を二重に集積したものである。本素子において、一
方の電界吸収部には高周波電気信号を印可することで半
導体レーザから発光される光を強度変調するとともに、
もう一方の電界吸収部には定電圧を印可しておくととも
に電界吸収部に流れる光電流をモニタしておく。電界吸
収部はその入射光の光強度に応じた光電流が流れる特性
を有しており、この光電流の変動をモニタすることで、
電界吸収部への入射光の光強度変動、即ち半導体レーザ
の出力変動をモニタできることになる。電界吸収部は印
可した電圧に応じて入射した光を光電流に変換するもの
であるから、電界吸収部に流れる光電流を一定に保持す
るよう印可する電圧を制御することで出射光の光強度、
即ち半導体レーザ素子の出力光を一定に保持することが
可能となる。
【0011】電界吸収部は印可した電圧に応じて光強度
を減少させることは可能であるが、電界吸収部への入射
光の光強度を増幅することはできないため、半導体レー
ザ部の経時劣化に伴う光出力減少分を考慮して、動作初
期状態では光出力制御用電界吸収部に印可電圧を与えて
おく。このことによって見かけ上、半導体レーザ部の出
射光を動作初期段階から減衰させた状態で動作させるこ
とになるが、本方式では半導体レーザ部の前方光出力モ
ニタであるためレーザ後端面からの光出力は不要とな
り、レーザ後端面の反射率を極めて高くすることでレー
ザ前方光出力を高出力化することができ、上記減衰分を
補償している。
【0012】また、もう一つの本発明による電界吸収型
外部変調器集積半導体レーザ素子では、半導体レーザと
電界吸収型外部変調器と各々に電気的に絶縁された半導
体増幅器とを集積した。本光素子では半導体レーザから
発光した光を外部変調器部に与えた高周波電気信号に応
じた光強度変調をなすとともに、レーザ後端面からの後
方光出力をモニタするモニタ用フォトダイオードに流れ
るモニタ電流を検出することで、半導体レーザの光出力
変動を検出し、モニタ電流に応じて半導体増幅器に与え
る注入電流を制御することで、光出力を制御する。
【0013】即ち、半導体増幅器の増幅率(ゲイン)を
制御することで半導体増幅器に入力する光出力変動(半
導体レーザの光出力変動)を補償する。本方式では、半
導体レーザの光出力を増幅する方向での光出力制御方式
であることから、動作初期状態での半導体レーザ出力を
比較的低く設定できる。これは、動作初期状態での半導
体レーザの駆動電流を低くできることから、半導体レー
ザ部の寿命に対しても有利になる。
【0014】以上に示したいずれかの方法によって光出
力制御を行うことで、従来のように半導体レーザへの注
入電流を制御(変化)させる必要が無くなるため、注入
電流の変動に伴う半導体レーザの発振波長変動を抑制で
きることになる。
【0015】現状の電界吸収型外部変調器集積半導体レ
ーザ素子では、おおむね動作初期電流100mA、印可電圧
1.8V程度で光出力が12mW程度が得られる。これを動作初
期とした場合、半導体レーザの寿命は一定の光出力を得
る動作電流が動作初期状態の1.5倍の値になった時点と
定義されるので、レーザ寿命での動作電流は150mAとな
る。この動作電流変動量と波長変動量の関係は前述の通
り動作電流を10mA変化させた場合、発振波長は約0.05か
ら0.1nm程度変動することが確認されている。従って、
レーザ寿命に至るまでに約0.25から0.5nm変動すること
になる。
【0016】一方、本発明による光出力制御方式では半
導体レーザの動作電流を制御する必要が無いため、半導
体レーザは一定電流駆動(ACC駆動)で動作させることが
できる。この場合、動作電流は一定であるため、長期間
駆動させた場合半導体レーザの劣化に伴い光出力が低下
する。この光出力劣化量が50%で寿命と仮定した場合、
上記半導体レーザ素子の例では、動作初期光出力が12mW
であるから一定動作電流で動作させ光出力が6mWになっ
た時点を寿命と考えるから、光出力の劣化量は6mWとな
る。この光出力の劣化分は半導体レーザから光として外
部に放出されずに活性層部に熱として吸収されるもので
ある。
【0017】一般にレーザの活性層部からレーザの実装
されるサブマウント下面までの熱抵抗が70〜90℃/W程度
であるから仮に80℃/Wとすれば6mWの熱量で、0.006W×8
0℃/W=0.48℃の活性層部温度上昇が見込まれる。一般的
に1℃の活性層部温度変動に対しおおむね0.07〜0.1nm程
度の波長変動が生じることが確認されているから、0.48
℃の活性層部温度上昇に伴い波長は約0.048nmと見込ま
れる。このことから本発明によれば前述のレーザの動作
電流制御による光出力制御方法に比べおおむね1/5〜1/1
0程度に抑制できることになる。
【0018】以上に示したとおり本発明によれば、半導
体レーザの動作電流を変化させる必要が無いことから、
その発振波長の変動を抑制できるとともに光出力を制御
することが可能となる。これによって特にWDM光通信
システムに必要不可欠な光源を得ることができる。さら
に本発明による光出力制御方法では、光出力を長期間一
定に保持するのみならず、その発振波長の変動させるこ
となく光出力を任意の値に変化させることも可能であ
る。
【0019】また本発明による半導体レーザは一定電流
駆動(ACC駆動)で動作させることで発振波長の変動を抑
制するものであるが、半導体レーザの劣化に伴う光出力
の劣化および活性層部の温度上昇が若干存在する。この
値は前述の通り従来の光出力制御方法と比較して極めて
小さい値であり、実用上WDM光通信システムに用いる
光源としては十分な値であるが、さらに波長変動を抑制
するためには予め一定電流駆動(ACC駆動)状態での半導
体レーザの光出力劣化量および波長変動量並びに半導体
レーザの温度とその波長変動量を定量的に把握しておく
ことで半導体レーザの動作温度補償することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面に
基づいて説明する。図1は本発明による半導体レーザの
第1および第2の実施例を示す図である。本発明による
電界吸収型外部変調器集積半導体レーザ素子14は半導
体レーザ部1と電界吸収型外部変調器部2と各々電気的
絶縁層3によって電気的に絶縁された外部変調器と同一
構造の電界吸収部4を一体に集積した。さらに素子はメ
タライズパターンをパタニングしたチップキャリヤ5上
にはんだ付けによって実装される。チップキャリヤ5上
にはAuメタライズにて電界吸収型外部変調器部2へ高周
波信号を伝達するマイクロストリップラインパターン
6、半導体レーザ素子のグランドパターン7、光出力制
御用電界吸収部4へ電圧を印可する光出力制御用信号伝
導パターン8が形成されている。また、外部変調器2の
特性インピーダンス整合用薄膜抵抗9およびレーザ部1
へのサージ(高周波、高電圧外乱)の進入を防止し、遮
断するための保護コンデンサ(パイパスコンデンサ)1
0を実装している。素子各部はAuワイヤ11によって上
記チップキャリヤ5上の各パターンに接続されている。
【0021】本構成によって半導体レーザ1の光出力は
光出力制御用電界吸収部4を通過して外部変調器部2に
与えられた高周波電気信号に応じて光強度変調された前
方光出力12を得る。電界吸収部4は入射する光強度に
応じた光電流が流れる特性を有しているとともに、定電
圧を印可するとその電圧に応じてその入射光の光強度を
減衰させる作用を有している。この特性を利用して、電
界吸収部4に流れる光電流をモニタし、この光電流値を
一定に保持するよう電界吸収部4に印可する電圧を制御
することで一定光強度レベルの前方光出力12を得るこ
とができる。
【0022】本方式による光制御方法によれば、電界吸
収部4は印可した電圧に応じて光強度を減少させること
は可能であるが、電界吸収部4への入射光の光強度を増
幅することはできないため、半導体レーザ部1の経時劣
化に伴う光出力減少分を考慮して、動作初期状態では光
出力制御用電界吸収部4に印可電圧を与えておく。この
ことによって見かけ上、半導体レーザ部1の出射光を動
作初期段階から減衰させた状態で動作させることになる
が、本方式では半導体レーザ部1の前方光出力12のモ
ニタであるためレーザ後端面からの光出力13は不要と
なり、レーザ後端面の反射率を極めて高くすることでレ
ーザ前方光出力12を高出力化することができ、上記減
衰分を補償している。
【0023】本発明による第2の実施例における電界吸
収型外部変調器集積半導体レーザ素子でも、構成は第1
図で示される。第2の実施例では第1の実施例における
光出力制御用電界吸収部4の代わりに半導体レーザ1と
電界吸収型外部変調器2と各々に電気的絶縁層3によっ
て電気的に絶縁された半導体増幅器20とを集積した。
その他の構成は第1の実施例と同一である。本光素子で
は半導体レーザ1から発光した光を外部変調器部2に与
えた高周波電気信号に応じた光強度変調をなすととも
に、半導体増幅器20に与える注入電流を制御すること
で、光出力を制御する。即ち、半導体増幅器20の増幅
率(ゲイン)を制御することで半導体増幅器20に入力
する光出力変動(半導体レーザの光出力変動)を補償
し、一定光強度レベルのレーザ前方光出力12を得る。
本方式では、半導体レーザの光出力を増幅する方向での
光出力制御方式であることから、動作初期状態での半導
体レーザ1出力を比較的低く設定できる。これは、動作
初期状態での半導体レーザ1の駆動電流を低くできるこ
とから、半導体レーザ部の寿命に対しても有利になる。
【0024】図2は本発明による半導体レーザの第1の
実施例における駆動方法を示した電気回路図の例であ
る。
【0025】半導体レーザ1、電界吸収型外部変調器部
2、光出力制御用電界吸収部4は各々電気的に絶縁さ
れ、一体に集積された半導体レーザ素子14を成してい
る。半導体レーザ素子14は自己発熱、動作雰囲気温度
の変動等の熱的内乱、外乱に伴う特性変動を抑制するた
め温度制御回路(以下ATC回路)15によって一定に温度
制御されている。半導体レーザ1は一定電流駆動(ACC駆
動)で動作され、その前方光出力は光出力制御用電界吸
収部4を透過してチップキャリヤ5上に形成された薄膜
抵抗9によって、インピーダンス整合された電界吸収型
外部変調器部2によって高周波電気信号16に応じた光
強度変調を与えられ、前方光出力12を得る。光出力制
御用電界吸収部4は入射する光強度に応じて流れる光電
流をモニタする光電流モニタ部17に接続され、この光
電流を一定に保持するよう光出力制御回路(Automatic P
ower Control:以下APC回路)18によって光出力制御用
電界吸収部4に印可する可変電源19の電圧を制御す
る。
【0026】以上の構成により半導体レーザ1の駆動電
流を変化させること無く、発振波長変動の極めて少ない
安定した光出力を得ることができる。更に、半導体レー
ザ1は前述の通り、一定電流駆動(ACC駆動)といえども
経時劣化に伴う光出力低下に起因した若干の波長変動が
生じることが知られているから、この波長変動量を補正
するため、APC回路18制御値、光電流変動量をATC回路
15へフィードバックし、光出力低下に伴う半導体レー
ザ1の活性層部温度上昇分を温度補償する。この温度補
償する分は上記の半導体レーザ素子の例で光出力劣化量
が50%で寿命と仮定した場合の寿命に至るまでの温度補
償量は約0.48℃と極めて小さく、この温度補償が電界吸
収型外部変調器部2、光出力制御用電界吸収部4の特性
に与える影響は無視し得る程度である。
【0027】電界吸収部4は印可した電圧に応じて光強
度を減少させることは可能であるが、電界吸収部4への
入射光の光強度を増幅することはできないため、半導体
レーザ部1の経時劣化に伴う光出力減少分を考慮して、
動作初期状態では光出力制御用電界吸収部4に印可電圧
を与えておく。例えば、光出力劣化量が50%で寿命と仮
定した場合、寿命に至るまでの光出力劣化分を見込んで
動作初期状態では光出力を50%減衰させる(3dB減衰させ
る)電圧を電界吸収部4に印可しておくことで寿命に至
るまで安定した光出力を得ることができる。また、光出
力制御用電界吸収部4に印可する電圧を積極的に制御す
ることで光出力を長期間一定に保持するのみならず、そ
の発振波長の変動させることなく光出力を任意の値に変
化させることも可能である。
【0028】図3は本発明による半導体レーザの第2実
施例における駆動方法を示した電気回路図の例である。
【0029】半導体レーザ1、電界吸収型外部変調器部
2、半導体増幅器20は各々電気的に絶縁され、一体に
集積された半導体レーザ素子14を成している。本実施
例においては半導体レーザ1は第1の実施例と同様に一
定電流駆動(ACC駆動)で動作され、その後方光出力13
をフォトダイオード21でモニタすることで、半導体レ
ーザ1の光出力変動を検出する。このモニタ電流変動量
に応じてAPC回路18によって半導体増幅器20に与え
る注入電流を制御することで、光出力を制御する。即
ち、半導体増幅器20の増幅率(ゲイン)を制御するこ
とで半導体増幅器20に入力する光出力変動(半導体レ
ーザの光出力変動)を補償し、一定光強度レベルのレー
ザ前方光出力12を得る。
【0030】本方式では、第1の実施例と反対に半導体
レーザ1の光出力を増幅する方向での光出力制御方式で
あることから、動作初期状態での半導体レーザ1出力を
比較的低く設定でき、動作初期状態での半導体レーザ1
の駆動電流を低くできることから、半導体レーザ部の寿
命に対しても有利になる。また、本実施例においても半
導体レーザ1の経時劣化に伴う光出力低下に起因した若
干の波長変動を抑制するために、APC回路18の制御
値、モニタ電流変動量をATC回路15へフィードバック
し、光出力低下に伴う半導体レーザ1の活性層部温度上
昇分を温度補償する。
【0031】図4は本発明による半導体レーザをモジュ
ールに実装した状態を示す構成図である。
【0032】本図において半導体レーザ素子14とその
光軸上に配置された第1レンズ(球レンズ又は非球面レ
ンズ)22を搭載したステム23に半導体レーザ素子1
4および第1レンズ22の周囲温度を検出する温度検出
素子24が配置されている。半導体レーザ素子14、第
1レンズ22、温度検出素子24を搭載したステム23
は電子冷却素子25の低温部側にはんだ固定してある。
【0033】一方、電子冷却素子25の高温部側は、デ
ュアルインライン気密封止端子を有するパッケージ26
内壁面に固定されてあり、半導体レーザ素子14および
第1レンズ22の周囲温度が上昇した場合、半導体レー
ザ素子14および第1レンズ22近傍を電子冷却素子2
5によって冷却すると共に、電子冷却素子25の高温部
側からパッケージ26に伝導された熱はパッケージ26
を介して大気側へ放熱される構成となっている。
【0034】半導体レーザ素子14は、第1の実施例で
ある半導体レーザ1および電界吸収型外部変調器2並び
に光出力制御用電界吸収部4が電気的に絶縁された状態
で一体化(集積)された構造となっている半導体レーザ
素子14でも、第2の実施例である半導体レーザ1およ
び電界吸収型外部変調器2並びに半導体増幅器20が電
気的に絶縁された状態で集積された構造となっている半
導体レーザ素子14でもモジュールの構成は同じであ
る。
【0035】半導体レーザ14の前方出力光12は、第
1レンズ22によって平行光に集光し、伝送路接続点及
び伝送路間に設定された光機能部品、例えば光ファイバ
増幅器、光カプラ、光合分波器等や、光受光器等からの
半導体レーザへの反射戻り光を遮断する光アイソレータ
27に導入される。光アイソレータ27を通過したレー
ザ光は、同一の光軸上に配置された集束型屈折率分布円
柱レンズ28(以下第2レンズと称す。)によって集束
し、その焦点位置に固定されてある光ファイバ29に導
入される。以上説明した構成となっている光学系は各々
光ファイバホルダ30に半田付けや、レーザ溶接などの
半永久または永久固定方法によって光軸を合わせた上
で、パッケージ26に気密封止固定されている。
【0036】第1の実施例による半導体レーザ素子14
を搭載したモジュールでは、光出力の変動をモニタする
手段として、光出力制御用電界吸収部4に流れる光電流
を検出し、光出力制御用電界吸収部4に流れる光電流平
均値を一定に保持するよう光出力制御用電界吸収部4に
電圧を印可するための光出力制御信号導入端子31が高
周波電気信号(変調信号)導入端子32、グランド電位端
子33と独立して設けてある。
【0037】また、第2の実施例による半導体レーザ素
子14を搭載したモジュールでは、半導体レーザ1の後
方光出力13をモニタするフォトダイオード21が半導
体レーザ1などが搭載されているステム23上に実装さ
れていることや、光出力制御信号導入端子31が光出力
制御用電界吸収部4に変わって半導体増幅器20へ接続
されていることを除けば上記構成に差異は無い。(図4
ではモニタ用フォトダイオード21が記載されている
が、第1の実施例による半導体レーザ素子14を用いる
場合では、モニタ用フォトダイオード21は不要であ
る。)
【0038】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて説明したように
本発明によれば、半導体レーザの動作電流を変化させる
必要が無いことから、その発振波長の変動を抑制できる
とともに光出力を制御することが可能となる。これによ
って特にWDM光通信システムに必要不可欠な発振波長
並びに光出力の変動の極めて少ない光源を得ることがで
きる。さらに本発明による光出力制御方法では、光出力
を長期間一定に保持するのみならず、その発振波長の変
動させることなく光出力を任意の値に変化させることも
可能である。
【0039】また本発明による半導体レーザは一定電流
駆動(ACC駆動)で動作させることで発振波長の変動を抑
制するものであるが、半導体レーザの劣化に伴う光出力
の劣化および活性層部の温度上昇が若干存在する。この
値は前述の通り従来の光出力制御方法と比較して極めて
小さい値であり、実用上WDM光通信システムに用いる
光源としては十分な値であるが、予め一定電流駆動(ACC
駆動)状態での半導体レーザの光出力劣化量および波長
変動量並びに半導体レーザの温度とその波長変動量を定
量的に把握しておくことで、半導体レーザの動作温度補
償を付加することによって、更に安定的に波長変動を抑
制することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体レーザの第1および第2の
実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明による半導体レーザの第1の実施例にお
ける駆動方法を示した電気回路図である。
【図3】本発明による半導体レーザの第2実施例におけ
る駆動方法を示した電気回路図である。
【図4】本発明による半導体レーザをモジュールに実装
した状態を示す構成図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ部、 2…電界吸収型外部変調器部、
3…電気的絶縁層、4…光出力制御用電界吸収部、
5…チップキャリヤ、6…マイクロストリップライ
ンパターン、 7…グランドパターン、8…光出
力制御用信号伝導パターン、9…薄膜抵抗、10…保護
コンデンサ(パイパスコンデンサ)、 11…Auワイ
ヤ、12…前方光出力、 13…後方光出力、14…
電界吸収型外部変調器集積半導体レーザ素子、15…AT
C回路、 16…高周波電気信号、 17…光電流
モニタ部、18…APC回路、 19…可変電源、
20…半導体増幅器、21…フォトダイオード、
22…第1レンズ、23…ステム、24…温
度検出素子、 25…電子冷却素子、 26…パッケ
ージ、27…光アイソレータ、28…第2レンズ、
29…光ファイバ、30…光ファイバホルダ、
31…光出力制御信号導入端子、32…高周波電気
信号(変調信号)導入端子、 33…グランド電位端
子。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/06 (72)発明者 ▲桑▼野 英之 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所情報通信事業部内 Fターム(参考) 5F073 AA61 AB21 AB27 AB30 BA01 EA03 EA15 FA18 FA25 GA03 GA12 GA22 GA34 5K002 AA01 BA02 BA07 BA13 BA31 CA09 CA10 CA11 CA16 FA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体レーザ素子と電界吸収型外部変調器
    と各々に電気的に絶縁された外部変調器と同一構造の電
    界吸収部を集積し、該半導体レーザから発光した光を該
    外部変調器部に与えた高周波電気信号に応じた光強度変
    調をなすとともに、該電界吸収部に定電圧信号に応じて
    光出力を制御する機能を有することを特徴とする半導体
    レーザ。
  2. 【請求項2】半導体レーザ素子と電界吸収型外部変調器
    と各々に電気的に絶縁された半導体増幅器とを集積し、
    該半導体レーザから発光した光を該外部変調器部に与え
    た高周波電気信号に応じた光強度変調をなすとともに、
    該半導体増幅器に与える注入電流に応じて光出力を制御
    する機能を有することを特徴とする半導体レーザ。
  3. 【請求項3】請求項1記載の電界吸収型外部変調器並び
    に光出力制御用電界吸収部を集積した半導体レーザ素子
    を搭載し、光ファイバと、該半導体レーザと該光ファイ
    バとを光結合する光学系と、該光ファイバ結合光学系
    や、伝送路接続部、伝送路間に設置された光機能部品及
    び光受光器等からの該半導体レーザへの反射戻り光を遮
    断する光アイソレータと、該半導体レーザと該光学系の
    温度を検出する温度検出手段と、該光学系の温度を一定
    に制御する電子冷却素子とを有し、該半導体レーザと、
    該光学系と、該光ファイバを光結合状態を保つよう固定
    し得るデュアルインライン気密封止端子を有するパッケ
    ージに収納した半導体レーザモジュール。
  4. 【請求項4】請求項2記載の電界吸収型外部変調器並び
    に光出力制御用半導体増幅器を集積した半導体レーザ素
    子を搭載し、光ファイバと、該半導体レーザと該光ファ
    イバとを光結合する光学系と、該光ファイバ結合光学系
    と、該半導体レーザの後端面からの光出力をモニタする
    フォトダイオードと、伝送路接続部、伝送路間に設置さ
    れた光機能部品及び光受光器等からの該半導体レーザへ
    の反射戻り光を遮断する光アイソレータと、該半導体レ
    ーザと該光学系の温度を検出する温度検出手段と、該光
    学系の温度を一定に制御する電子冷却素子とを有し、該
    半導体レーザと、該光学系と、該光ファイバを光結合状
    態を保つよう固定し得るデュアルインライン気密封止端
    子を有するパッケージに収納した半導体レーザモジュー
    ル。
  5. 【請求項5】請求項3記載の半導体レーザモジュールに
    おいて、該半導体レーザの前方から発光し、光出力制御
    用電界吸収部を通過した光出力に応じて該電界吸収部に
    流れる光電流を検出する手段を有し、該光電流を一定に
    保持するよう該電界吸収部に印可する電圧を制御するこ
    とで光出力を一定に保持する機能を有することを特徴と
    する半導体レーザモジュール。
  6. 【請求項6】請求項4記載の半導体レーザモジュールに
    おいて、該半導体レーザの後方光出力をモニタするモニ
    タ用フォトダイオードに流れるモニタ電流を検出するこ
    とで、該半導体レーザの光出力変動を検出し、該モニタ
    電流に応じて半導体増幅器に与える注入電流を制御する
    ことで光出力を一定に保持する機能を有することを特徴
    とする半導体レーザモジュール。
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