JP2000119916A - 高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法 - Google Patents
高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法Info
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Abstract
ラメントの高速紡出糸を捲き姿良く捲き取る捲取方法の
提供。 【解決手段】 粒子状の繊維伸度向上剤をポリエステル
重量を基準として0.5〜4.0重量%分散せしめたポ
リエステルを溶融紡糸し、2500m/min〜800
0m/minの引き取り速度で得た、以下に定義する残
留伸度増加率(I)が50%以上であるフィラメント紡
出糸において、該紡出糸を直接巻き取ることなく、引続
き延伸熱固定し、残留伸度が60%以下のフィラメント
糸として捲き取る。ただし、上記(I)は以下の式に従
う。 ここでEIb(%)は、本発明のポリエステルフィラメ
ント糸の残留伸度、EL0(%)は該伸度向上剤を含ま
ない以外は本発明と同一の紡糸条件下で得られたポリエ
ステルフィラメント糸の残留伸度である。
Description
メント糸の捲取方法、更に詳しくは、粒子状の繊維伸度
向上剤の添加分散により、生産性の向上したポリエステ
ルフィラメント糸を良好な捲姿で捲き取る方法に関す
る。
口金からのポリマー吐出量を多くすることは、生産性を
向上させる上で、極めて有効な方法であり、昨今の繊維
業界においては、製糸コストを低減させる観点から極め
て望ましいこととされている。
てきた典型的な手段として、紡糸引取速度を上げて、口
金からの吐出量を増加させる方法が知られている。しか
しながら、この方法では、引取速度が早いために、個々
のフィラメントの分子配向が大きくなる結果、得られる
フィラメント紡出糸の残留伸度は逆に低下してしまう。
従って、当然のことながら後に続く延伸または延伸仮撚
時の延伸倍率が低下するので、引取速度上昇による吐出
量増加効果が、延伸工程で相殺されてしまう。
て、不飽和モノマーからなる附加重合体を繊維伸度向上
剤としてポリエステルに添加し、紡出糸の残留伸度を高
める方法が特公昭63−32885号公報(対欧州特許
第47464(A1)号)で提案されている。
はじめ、残留伸度の高い紡出糸が得られるが、本発明者
らは、この特公昭63−32885号公報に開示されて
いる残留伸度の高い紡出糸を商業ベースのワインダーに
捲取る際に、新たな問題に遭遇した。
は不可、つまりコマーシャルベースでの捲取は不可能で
ある、との問題点が本発明者らにより明らかにされた。
この問題点に係る現象として、フィラメント単独あるい
は数本のフィラメントがトラバースプリンティング不良
のため、捲端面に正常な円周捲き形態から外れた“綾は
ずれ”や端面がいびつになる“捲崩れ”、端面の中央部
が膨らむ“バルジ悪化”、更に捲取中に糸浮きが発生
し、バーストにまで及ぶ等の致命的な不良が発生したの
である。
維伸度向上剤の添加分散により紡出糸が高い伸度すなわ
ち分子配向の低い状態で、相対的により速い速度で捲取
られるという従来有り得なかった厳しい捲取領域に曝さ
れたために、紡出糸が受ける空気抗力や遠心力が飛躍的
に増大したことに起因していることを見出した。つま
り、飛躍的に増大した該応力によって、紡出糸が部分的
に伸ばされて、トラバースプリンティング不良などが発
生し、さらには紡出糸が受けた構造変化(歪み)が捲き
取られた後、緩和することによってバルジが悪化するな
どの致命的な捲取不良が発生していることを見出したの
である。
用いないで同一伸度の紡出糸を、低速(例えば1000
〜2000m/min)で捲取る従来方法においては、
何等生じ得なかった問題である。
課題は、繊維伸度向上剤を添加したポリエステルフィラ
メントの高速紡出糸を良好な捲き姿で捲き取ることにあ
る。更に本発明の他の課題は、従来にない超高速での合
理化されたポリエステルフィラメント糸の製造方法を提
供することにある。
た結果、上述の飛躍的に増大した空気抗力や遠心力によ
る捲き姿の悪化を抑制する手段として、繊維伸度向上剤
を添加分散した高速紡出糸を、一旦捲取ることなく引き
続いてより高速で回転するローラーとの間で延伸し、更
に熱固定して繊維内部の歪みを緩和してから捲取れば良
いことが究明された。この延伸熱固定自体は、繊維構造
の安定化手段として知られているが、繊維伸度向上剤を
含有した繊維に、捲き姿の向上のために適用するのは、
本発明者らによって初めて創出されたものである。
度向上剤をポリエステル重量を基準として0.5〜4.
0重量%分散せしめたポリエステルを溶融紡糸し、25
00m/min〜8000m/minの引き取り速度
で、以下に定義する残留伸度増加率(I)が50%以上
であるフィラメント紡出糸を得、該紡出糸を直接巻き取
ることなく、引続き延伸熱固定して、残留伸度が60%
以下のフィラメント糸として捲き取ることを特徴とする
高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法が提供さ
れる。ただし、上記(I)は以下の式に従う。
テルフィラメント糸の残留伸度、EL0(%)は該伸度
向上剤を含まない以外は本発明と同一の紡糸条件下で得
られたポリエステルフィラメント糸の残留伸度である。
ント中でポリマーの分子配合に対して“コロ”として機
能する粒子状の繊維伸度向上剤をポリエステル重量を基
準として0.5〜4.0重量%分散せしめたポリエステ
ルを溶融紡糸し、2500m/min〜8000m/m
inの引取速度で得た、残留伸度増加率(I)が50%
以上であるフィラメント紡出糸(以下、単に紡出糸と称
する)を得る、という概念自体、前掲のEP47464
A、明細書に開示されている。
では未解決のまま放置されていた捲取(姿)不良の問題
が、低い降伏応力の糸を極めて高速で捲取るために、従
来は影響がないと考えられていた捲取り直前の空気抗力
および遠心力によって生起されていることを見出した。
そこで、高速で引き取られる紡出糸を一旦捲取ることな
く、引続き延伸熱固定して、捲き取り前の糸の降伏応力
を強化すると共に該糸の内部に存在する歪みを緩和する
ことで、上述の問題を克服したものである。
伸度を60%以下、好ましくは40%以下になるよう延
伸することで、上記EP明細書では一旦捲き取った紡出
糸をさらに延伸するという別延伸工程が不要であり、生
産性においてもより合理化したものである。
本発明の高伸度ポリエステルフィラメント糸の紡糸方法
については、特に限定されることはなく、任意の紡糸方
法を採用できるが、粒子状の繊維伸度向上剤の添加量が
ポリエステルを基準として0.5から4.0wt%で、
且つ引取速度が2500m/minから8000m/m
inの範囲に属する必要がある。
0.5重量%未満では、得られる紡出糸の伸度増加率
(I)が50%に到達し難く、他方4.0重量%を越え
て添加しても、伸度向上効果は飛躍的に向上せず、むし
ろ紡糸性や捲取性が低下する。
未満では、元々残留伸度の高い紡出糸が得られるので、
該向上剤を用いる意味が然程認められない。他方、紡糸
引取速度が大きくなるほど、残留伸度向上効果は発揮さ
れるが、8000m/minを越えると、前記重合体の
添加が、逆に欠点として作用し、紡出未延伸糸の強伸度
が低下する、いわゆる弱糸化という現象が現れてくる。
で、前述の残留伸度増加率(I)が50%以上であるフ
ィラメント紡出糸が得られる。
そのまま捲き取らず、引き続いて、延伸熱固定して、残
留伸度が60%以下、好ましくは40%以下の延伸糸と
した後、捲き取ることである。
の残留伸度(60%以下)との関係から、延伸倍率を設
定し、それに応じた延伸速度を採用すれば良い。生産性
の面から好ましい延伸速度としては、6500〜120
00m/minである。
方法は、従来の直接紡糸延伸方法(SDY)に比べて、
同一引取速度での延伸倍率が、非常に高いこと以外は、
基本的に同じであり、任意の直接延伸方法を採用するこ
とができる。具体的には、紡出された糸条を油剤付与後
集束し、引取速度2500〜8000m/minで回転
している引取ローラーによって引き取る。この引取ロー
ラー前後において、インターレースによって空気交絡さ
せることは、糸条の集束性が向上するので望ましい態様
である。
は、該引取ローラーを、ポリエステルのガラス転移点以
上に加熱して、繊維内部の非晶部の分子鎖の運動を自由
にした後、残留伸度が60%以下になる延伸倍率に該引
取ローラーとその下流に配した延伸ローラーとの速度比
を調整し、該ローラー間にて延伸する。
第1ゴデットローラー(GR1)と称されるものを、ま
た延伸ローラーとしては、此れ迄第2ゴデットローラー
(GR2)として慣用されているものを流用できるが、
必ずしもこの態様に限定されるものではない。例えば、
この際の延伸は上述の1段延伸でも良いが、該ローラー
間(GR1、GR2)に、さらに少なくとも一つ以上の
ガラス転移点以上に加熱されたローラーを配置して、多
段延伸しても良い。
倍率の場合は、引取ローラー(GR1)を加熱せずに、
室温で延伸(所謂、冷延伸)することも可能である。こ
れは、エネルギーコストが削減される点から好ましい態
様である。
から融点−40℃以下、好ましくは130℃以上融点−
50℃以下で、熱固定する時間は0.01〜0.1秒で
行えば良い。この際の加熱手段は最終延伸ローラーでな
くとも、最終延伸ローラー前に、接触または非接触のヒ
ーターや、加熱媒体として蒸気を用いるノズルタイプな
ど任意の熱固定装置を配置したものでも良い。
最終延伸ローラーとして、加熱ローラー等を用いて延伸
糸を熱固定することである。これは、熱固定を伴わない
延伸では、糸の降伏応力を高めて、空気抗力や遠心力に
よる繊維内部の構造変化(歪み)は抑制できるが、延伸
によって新たに該構造変化が生起され、バルジなどの捲
き姿悪化が解消されないためである。この熱固定自体、
延伸糸の結晶化促進、さらには延伸時に付与された繊維
内部の歪みの解消手段として知られている。しかしなが
ら、本発明では、この延伸熱固定を、繊維伸度向上剤を
添加した紡出糸に適用することによって、捲取直前の構
造の変化によるトラバースプリンティング不良、繊維中
に内在する歪みによるバルジ悪化、更には糸浮きによる
バーストなどの発生を抑制するために利用するものであ
る。
姿改善のために利用するという考え方は、本発明者らに
よって、初めて創出されたものである。
部の分子配向が高いため、高い降伏応力を有し、捲取直
前の空気抗力および遠心力によって引き伸ばされず、繊
維内部の歪みも緩和されている。そのため、本発明の紡
出糸は、最終延伸ローラーから直接または、一旦別のロ
ーラーを介した後、コマーシャルベースのワインダーに
よって捲き取ることが可能であり、更に得られた捲き姿
は非常に良好なものである。
ジカルボン酸を主たる酸成分とする繊維形成能を有する
ポリエステルを指称し、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレート等を挙げることができる。また、こ
れらポリエステルは第3成分として、ブタンジオールの
ようなアルコール成分又はイソフタル酸等のジカルボン
酸を共重合させた共重合体でも良く、更にこれら各種ポ
リエステルの混合体でも良い。これらのうちポリエチレ
ンテレフタレート系重合体が最適である。
消し剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、末端停
止剤、蛍光増白剤等が含まれていても良い。また、これ
らのポリエステルは紡糸性および糸物性の観点から固有
粘度が0.4〜1.1であることが望ましい。
しては、特に限定されるものではないが、不飽和モノマ
ーからなり、実質的にポリエステルと非相溶性の附加重
合体が好ましく、具体的な組成としては、アクリロニト
リル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、
高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ
メチルペンテン、ポリアクリレート、ポリメチルメタク
リレート、およびこれら重合体を主成分とする誘導体が
挙げられる。
EP47464の実施例に上げられた「Delpet8
0N」のような98℃のものに対して、105〜130
℃の範囲にあるものは特異な配向抑制機能を呈する。
リエステルと実質的に非相溶な海/島状態、つまり、ポ
リエステルを海、粒子状の繊維伸度向上剤を海成分とし
て口金孔から吐出され、紡糸ライン上で、冷却細化過程
を経る際に、ポリエステルよりも先に溶融状態からガラ
ス状態へと転移し、紡糸応力(張力)に対して伸長変形
低抗体の役割を果たす。そのため、口金近傍のポリマー
温度が高い状態でのブレンド系の伸長粘度に関して、従
来の伸長粘度式に従わない、非線形性増加をもたらし、
その結果細化を促進し、紡出糸の糸速度を最終捲取速度
に到達せしめる働きをもつと考えられる。
としてポリエステルとは独立に、高分子量体として構造
粘弾性の発現を必要とすることから少なくとも2000
以上の分子量(重量平均)を有していることが好まし
く、特に2000以上20万以下が好ましい。分子量が
2000よりも小さいと、高分子量体としての構造粘弾
性を発現しないために、応力担持体として作用し難い。
一方、20万を超えると、重合体の凝集エネルギーが極
めて高く、ポリエステルへの分散が極めて困難になる。
更に好ましい分子量の範囲は8000以上15万以下で
あり、このような高分子量重合体の場合、耐熱性も向上
するので、一層好ましい。
0万以下であって、ASTM−D1238で規定される
条件(230℃、荷重3.8kgf)において、メルト
インデックス(M.I.)が0.5〜15.0g/mi
nであるポリメチルメタクリレート系共重合体やスチレ
ンを主成分とするアイソタクチック系重合体、また、同
様の分子量範囲で、M.I.(ASTM−D1238に
準拠;260℃、5.0kgf)が5.0〜40.0g
/10分の範囲にあるポリメチレルペンテンないしその
誘導体、さらに、同様の分子量範囲で、M.I.(AS
TM−D1238に準拠;300℃、2.16kgf)
が6.0〜25.0g/10分のシンジオタクチック
(結晶性)ポリスチレンないしその誘導体である。これ
らの特定の物性を有する重合体は、ポリエステルの紡糸
温度において、熱安定性と分散状態の安定性に優れてい
る。
当たっては、任意の方法を採用することができる。例え
ばポリエステルの重合末期段階で該剤混合してもよく、
また、ポリエステルと前記剤とを溶融混合して、押出し
冷却後、切断してチップ化してもよい。更には、サイド
ストリームから該剤を溶融状態でポリエステルの溶融紡
糸装置に、動的および/または静的ミクスチャーを介し
て導入してもよい。また、両者をチップ状で混合した
後、そのまま溶融紡糸してもよい。その中でも、連重直
紡ラインのポリエステル配管から一部のポリマーを引き
出し、それをマトリックスとして該剤を混練り分散させ
たものを元のニートポリマーラインへ、任意の動的およ
び/または静的ミクスチャーを介して戻し、各配管に分
配するという手法が最も好ましい。
状の繊維伸度向上剤の分散状態を制御することが好まし
い。これは、該残留伸度向上剤が繊維表面に多量に存在
すると、繊維表面に該剤による凹凸が形成され、該凹凸
によってF/FおよびF/M摩擦が低下し、捲き姿が悪
化するためである。
うに、フィラメントを円形断面に見立てたときの半径方
向の1/3から2/3の領域を占める円環状部(B)
に、その分散濃度が極大化していることである。図2
は、図1の粒子の分布状態を重量%でグラフに示したも
のである。以上はフィラメントの断面が中実断面の場合
であるが、もし、フィラメントの断面が異形、あるいは
中空断面の場合は、蒸気のBの領域は図3〜4に記した
ようになる。
ル断面であるが、この場合、各ローブの長手方向方向に
沿って、中心点Oとローブ先端Tを結ぶ2等分線(一点
鎖線で示した)の中観点Mを通る直交線(細線で示し
た)を引く。そして両線の交差点をO’点、細線がロー
ブの外周点に出向う点をそれぞれM1,M2、M1〜M
2間の直線距離を2Lとする。そして、該細線Lを3等
分するような直交点線を引いてO’点からM1(または
M2)に向って3つの領域を仮想したとき、ローブの中
心側から順次、領域A’、B’、C’とする。
にあっては、図3−bに示すように、繊維伸度向上剤の
分散濃度の極大点が2山存在することになる。このこと
は、中空断面の場合についても言え、図4において、中
空断面の内厚を2L,内厚の中間点O’とするとき、図
3−aおよびbと全く同様になる。
(T)が前述の105〜130℃の繊維伸度向上剤を用
い、40μ以下のポアサイズをもつフィルターを紡糸パ
ック内に設置して、粗大粒子の吐出ポリマー流中への混
入を抑制し、更に150〜1500の範囲のみかけの紡
糸ドラフト(率)のもとに、紡出すれば良い。
吐出孔を通過するポリマー流は高い剪断力を受け、粒子
状の繊維伸度向上剤はフィラメントの長手方向に引きち
ぎられ、粗大粒子の混入は抑制されるが、応力担持体と
しての機能が低下し、1500を越えると、吐出孔内で
の剪断力による引きちぎり効果が小さくなり、応力担持
体としての機能は向上するが、粗大粒子が発生する。
は紡糸温度(口金温度)および紡糸口金下の冷却であ
る。
た溶融ポリエステルを吐出する際の口金温度を通常より
も低くすることで、口金吐出後の伸度向上剤の伸長粘度
がより紡糸ライン上流で大きくなり応力担持体としての
機能が発現する結果、紡糸張力を大幅に低下させながら
フィラメント断面内に粒子濃度の極大点を固定する傾向
を示すからである。最適な口金温度は270〜290℃
である。270未満では、ポリエステルの種類にもよる
が、曵糸性の問題が生じ、他方290℃を越えると、伸
度向上剤である附加重合体の耐熱安定性が低下する。
合、その風速を0.15〜0.6m/secの範囲に維
持することにより、残留伸度の向上と捲取性の向上との
両立に寄与する。風速が0.15m/sec未満では、
フィラメントの長手方向の斑が大きく、事後に高品位の
延伸糸および加工糸を得ることができない。また、0.
60m/secを超えると、ポリエステル側の伸長粘度
が上昇するので、残留伸度の増加幅が小さくなる。
固定と組み合わせれば、更に良好な捲き姿のものが得ら
れる。
説明する。 (1)熱変形温度(T) ASTM D−648に従う。
トの長手方向に沿って直角に切断し、電子顕微鏡(日本
電子製 JSM−840)撮影用セクションを作成し、
スライドガラスの上に複数個のセクション群をのせ、ト
ルエン中に室温下で2日間放置する。この処置により、
繊維伸度向上剤として機能した粒子状の附加重合体は溶
け出す。溶出後の白金を10mA×2分間スパッタ蒸着
し、電子顕微鏡写真を15000倍で撮影する。撮影し
た溶出痕を、計測器:エリアカーブメーター(牛方商会
製)を用いて200個の重合体粒溶出痕の断面積を測定
し、平均粒子径Dを算出する。
(L/D) 紡出糸をパラフィンに包埋し、フィラメントの長手方向
に沿って切断し、電子顕微鏡撮影用セクションを作成
し、スライドガラス上に複数個のフィラメント割り断面
をのせて、トルエン中に室温下で2日間放置する。上記
(2)と同様の処理を行い、粒子の溶出痕を15000
倍で撮影し、フィラメントの長手方向の長さ(L)を2
00個測定し、平均長さ(L)から、上記Dとの比L/
Dを算出する。
箇所に分けて撮影し、20個のフィラメント断面につい
てフィラメントの中心からフィラメント表面に向かって
半径を3等分し、同心円状に3つの領域(図1のA、B
およびCの領域)、それぞれの領域に含まれる粒子の数
をその溶出痕から算出し、平均濃度との比を百分率で表
す。
スライドガラス上にマルチフィラメント群を複数個の
せ、トルエン中に室温下2日間放置する。上記(2)と
同様の処置を行い、溶出痕を15000倍で撮影し、2
000μm2当たりの溶出痕数をカウントし、100μ
m2当たりの数を算出する。
鏡にて波長530nmの単色光を用いて、緩衝縞を測定
し、下記式Δnを算出する。 Δn=530(n+θ/180)/X n:縞数、θ:コンペンセーター回転角度、X:繊維直
径
部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ100mmを島
津製作所製張試験機テンシロンにセットし、200mm
/minの速度、即ちひづみ速度2min−1にて引張
り破断伸度を測定する。
の溶融状態の密度1.2g/cm3で除して吐出体積c
c/minを算出し、これを吐出孔断面積で除して吐出
線速度V0 を算出する。これを捲き取り速度Vwとの
比(下記式)からDfを算出する。 Df=Vw/V0
2mmの温度検出端差込孔に検出端を差込み、口金温度
を測定する。
30cmの箇所においてハニカム面に密着させた状態で
風速をn=5(5回測定)で測定し平均値を算出する。
以下、実施例により本発明を説明する。
して酸化チタンをポリエステル重量を基準として0.3
wt%を含むポリエチレンテレフタレートチップを16
0℃で5時間乾燥した後、直径25mの1軸フルフライ
ト型溶融押出し機にて300℃で溶融し、熱変形温度
(T)が121℃、M.Iが1.0g/10min(2
30℃×3.8kgf)で分子量150,000のポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、および熱変形温度
(T)が98℃、M.I.が2.5g/10min(2
30℃×3.8kgf)で分子量60,000のPMM
A、さらに熱変形温度(T)が140℃、M.I.が
0.6g/10min(230℃×3.8kgf)で分
子量70,000のPMMA系共重合体をサイドストリ
ームから溶融状態で、押出し機中の溶融ポリエステルへ
導入し、次いで20段のスタティックミキサーを通して
混合分散させた後、口金直上に設けた25μmのポアサ
イズをもつ金属繊維フィルターおよび直径0.4mmφ
―ランド長0.8mm(L)の吐出孔を36個有する紡
糸口金から、口金温度285℃にて溶融ポリマーを表1
のNo.1〜14に示すような各紡速にあわせてその吐
出量を変化させつつ吐出した。さらに口金下下方9cm
〜100cmに設けた横吹き紡糸冷却筒から25℃の空
気を0.23m/secの速度で吹きつけて吐出ポリマ
ー流を冷却固化せしめ、OPU0.25〜0.30wt
%範囲内で油剤付着処理を施した後、120de/36
fの紡出糸として未延伸状態で巻取った。なお、各実験
におけるドラフトは407である。
剤分散状態、および捲取張力をde×0.15〜0.2
5の範囲内で調節し、巻き取った7kg巻きパツケージ
の巻き姿の結果を表1に示す。尚、巻き姿については、
◎:綾外れおよびバルジ共になし、○:綾はずれはな
く、バルジはややあり、△:綾はずれおよびバルジ共に
あり、×:巻き崩れ、バーストとして各記号を記した。
No.1のような低速紡出糸においては、紡糸時のひず
み速度が遅いために、繊維伸度向上剤の伸長変形はポリ
エステルに追従し、伸長変形抵抗体として実質的に作用
しないために、伸度向上効果がわずかである。一方、N
o.2、3、6、7、12、13については、2500
〜8000m/minの引取速度において、PMMAの
好ましい分散状態である断面内局在化が成されており、
繊維表面の粒子数が比較的少ないため、ややバルジはあ
るものの綾はずれはほぼ解消されている。特に3500
〜5500m/minの範囲内において、伸度向上効果
は極大を示す。No.14については、紡糸ひずみ速度
が著しく速いために、推定ではあるが、ポリマーとPM
MAとの界面剥離により、曵糸性が損なわれる。
o.4は添加量が少ないために、残留伸度向上効果が十
分でなく、またNo.9については、添加量が多いため
に、残留伸度向上率は293%と著しく大きいが、フィ
ラメント表面への析出粒子も当然多くなり、正常な巻き
姿を形成することができない。一方、No.5、8につ
いては、添加量が本発明の範囲内にあり、粒子の分散状
態も適正である。
温度が98℃と低いために、No.8と対比したとき残
留伸度向上を効果的に発現する粒子径の形成が進行しに
くく、繊維表面に析出する粒子数が増加している。その
ため、得られた捲き姿は綾はずれおよびバルジが共に発
生する粗悪なものである。一方、No.11はMMA、
アクリル酸イミド付加物およびスチレンをモル比で2
5:45:30の割合で共重合し、高熱変形温度となし
たPMMA共重合体を含有している。この場合、ポリマ
ーとの熱変形温度差が非常に大きくて伸長変形抵抗体と
しての作用が大きいために、該PMMA共重合の粒子は
ポリエチレンテレフタレートの変形に追従し難く、粒子
径が非常に大きい。そのため、捲取時にバーストによる
断糸が多発し、捲き姿を評価することは不可能であっ
た。
なく、引続き延伸熱固定を行い延伸糸を得た。延伸条件
は、GR1の温度を80℃に、GR2の温度は140℃
に、そしてGR2と糸との接触部の長さは2mに設定
し、表2のNo.15〜29に示すような各延伸倍率に
あわせてその延伸速度を変化させつつ捲き取った。
をde×0.15〜0.25の範囲内で調節し、巻き取
った7kg巻きパツケージの巻き姿の結果を表2に示
す。尚、巻き姿については、表1の各記号と同様に記し
た。
上剤の分散状態が断面局在化した未延伸糸を本発明の範
囲である残留伸度60%以下に延伸した実験No.15
〜18、20〜22、28、29については、綾はずれ
及びバルジ共にない、良好な捲姿であった。
0%と延伸が不十分であり、視認されるほどの捲き姿の
向上は認められなかった。実験No.23については、
伸度向上剤の添加量が多く、綾はずれを解消するまでに
は至らなかった。熱変形温度が98℃の伸度向上剤を用
いた実験No.24,25、26については、実験N
o.24が残留伸度83%と延伸が不十分で綾はずれが
依然としてあるが、残留伸度60%以下に延伸した実験
No.25、26では、ややバルジはあるものの、綾は
ずれが解消されるまでに捲き姿は延伸により向上してい
る。熱変形温度が140℃の伸度向上剤を用いた実験N
o.27については、延伸なしでは捲取不可能であった
ものが、ややバルジはあるものの、綾はずれが解消され
るまでに捲き姿は延伸により向上している。
に満たなかった表1のNo.1と4、さらに単糸切れが
発生した表1のNo.14については、延伸を行わなか
った。
として酸化チタンを0.08wt%含むポリエチレンテ
レフタレートの直重ポリマーを160℃×5時間乾燥
し、チップ配管より計量フィードするとともに、20%
PMMAの同ポリエステルマスターを同様に乾燥し、こ
ちらも計量フィード混合することによって、ポリエステ
ル中のPMMA添加濃度を1.0wt%とし、紡糸パッ
ク内にブレンドポリマーを導入し、表2に示す口金径
(ドラフト)、フィルターを用いて5000m/min
の引取速度にて120de/36dの紡出糸を、残留伸
度30%となるように延伸熱固定して巻き取った。
グ、延伸および巻き取りに関しては、実施例1と同様に
行った。PMMA銘柄は実施例1で用いた熱変形温度1
21℃のPMMAを使用した。結果を表3に示す。
0、31、および32ともに、延伸により捲取性は向上
している。特に伸度向上率の高いものほど紡糸での捲取
性は悪化しているが、延伸によりパッケージの綾はずれ
を解消できるまでに捲取性は改善されている。
を得る場合の捲取速度が向上、すなわち生産性の向上し
たポリエステルフィラメント紡出糸を、従来為し得なか
った良好な捲姿で捲き取れる方法が提供される。
では丸断面の例)の断面方向における、繊維伸度向上剤
の好ましい分散状態を示す断面図。
上剤の分散濃度のレベルを示すグラフ。
が異型中実の場合に、図1の領域に担当する領域
(A′、B′、C)を説明する断面図(図3−a)、お
よび各領域(A′、B′、C′)での、本発明において
好ましい繊維伸度向上剤の分散濃度(分布状態)のレベ
ルを説明するグラフ(図3−b)。
が中空の場合に、図1の領域Bに相当する領域(B′)
を示す断面図。
る領域の円状部分 B フィラメントの断面中心0から外表面に向う、半径
方向1/3から2/3の領域を占める円環状部 C フィラメントの断面中心0から外表面に向う、2/
3から外周に至る領域を占める円環状部
Claims (9)
- 【請求項1】 粒子状の繊維伸度向上剤をポリエステル
重量を基準として0.5〜4.0重量%分散せしめたポ
リエステルを溶融紡糸し、2500m/min〜800
0m/minの引き取り速度で、以下に定義する残留伸
度増加率(I)が50%以上であるフィラメント紡出糸
を得、 該紡出糸を直接巻き取ることなく、引続き延伸熱固定し
て、残留伸度が60%以下のフィラメント糸として捲き
取ることを特徴とする高伸度ポリエステルフィラメント
糸の捲取方法。ただし、上記(I)は以下の式に従う。 【数1】 ここでEIb(%)は、本発明のポリエステルフィラメ
ント糸の残留伸度、EL0(%)は該伸度向上剤を含ま
ない以外は本発明と同一の紡糸条件下で得られたポリエ
ステルフィラメント糸の残留伸度である。 - 【請求項2】 該伸度向上剤が、ポリエステルと実質的
に非相溶性で且つ分子量が少なくとも2000以上の、
不飽和モノマーからなる附加重合体である請求項1記載
の高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項3】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
ックス(230℃、荷重3.8kg)が0.5〜8.0
g/10分のメチルメタクリレートを主成分とするポリ
メチルメタクリレート系重合体である請求項2記載の高
伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項4】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
ックス(230℃、荷重3.8kg)が0.5〜8.0
g/10分のスチレンを主成分とするアイソタクチック
ポリスチレン系重合体である請求項2記載の高伸度ポリ
エステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項5】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
ックス(300℃、荷重2.16kg)が6〜25g/
10分のシンジオタクチック(結晶性)ポリスチレン系
重合体である請求項2記載の高伸度ポリエステルフィラ
メント糸の捲取方法。 - 【請求項6】 不飽和モノマーからなる附加重合体が、
分子量8000以上20万以下であって、メルトインデ
ックス(260℃、荷重5.0kg)が5.0〜40.
0g/10分の4−メチルペンテン−1を主成分とする
ポリメチルペンテン系重合体である請求項2記載の高伸
度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項7】 延伸速度が6500〜12000m/m
inである請求項1〜6いずれか1項記載の高伸度ポリ
エステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項8】 口金直上にポアサイズが40μm以下の
フィルターを設置し、見掛けの紡糸ドラフト率を150
〜1500の範囲に調整する請求項1〜7いずれか1項
記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方法。 - 【請求項9】 口金下の冷却風の速度を0.15〜0.
6m/sec.の範囲に調整する請求項1〜8いずれか
一項記載の高伸度ポリエステルフィラメント糸の捲取方
法。
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