JP2000119192A - 骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質 - Google Patents

骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質

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JP2000119192A JP10288103A JP28810398A JP2000119192A JP 2000119192 A JP2000119192 A JP 2000119192A JP 10288103 A JP10288103 A JP 10288103A JP 28810398 A JP28810398 A JP 28810398A JP 2000119192 A JP2000119192 A JP 2000119192A
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道夫 木村
Mieko Katsuura
美枝子 勝浦
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 骨誘導因子に対して拮抗作用を有する成熟型
蛋白質を提供する。 【解決手段】 骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する
成熟型蛋白質は、成熟型ヒトMP52のアミノ酸配列中
に存在するメチオニン残基もしくはトリプトファン残基
のうちの少なくとも1個の残基を化学修飾により親水性
残基に変換するか、あるいは該残基を親水性アミノ酸残
基もしくは極性アミノ酸残基で置換することにより得ら
れる。前記メチオニン残基の化学修飾は酸化またはアル
キル化により行われる。前記トリプトファン残基の化学
修飾はアリールスルフェニル化により行われる。得られ
た成熟型蛋白質は異所性骨化石灰沈着を伴う代謝性疾患
の治療または予防剤として有用である。さらに骨誘導因
子とその受容体の結合に競合する薬物のスクリーニング
や評価系における試薬としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、骨誘導活性を有する成
熟型蛋白質を構成する疎水性アミノ酸の一部残基を化学
修飾した成熟型蛋白質あるいは親水性又は極性アミノ酸
に置き換えた成熟型蛋白質に関する。本発明の成熟型蛋
白質は、骨誘導因子アンタゴニスト様活性を示し、異所
性骨形成および異所性石灰沈着又は石灰沈着を伴う骨代
謝性疾患、例えば、神経性骨化症、手術侵襲による異所
性骨化、外傷性骨化性筋炎、酸素供給不足による骨化、
骨原性腫瘤、後縦靭帯骨化症、動脈硬化の症状を抑える
医薬品として有用である。
【0002】
【従来の技術】骨誘導因子 (Bone morphogenetic prote
in:以降BMPと呼ぶ) は、脱灰骨組織に含有される骨誘
導活性を有する蛋白質である。1970年代から精力的にB
MPの精製が試みられてきたが、単一の蛋白質としての
分離はきわめて困難であった。1989年にウォズニー(Woz
ney)らは骨誘導活性のある画分を酵素処理して未知のペ
プチドを分離してそのアミノ酸配列を手がかりに分子生
物学的手法により、BMPと考えられる遺伝子のクロー
ニングに成功した。この遺伝子は直ちに動物培養細胞に
導入され、発現した蛋白質の活性がインビボ(in viv
o)において確認され、この蛋白質に骨誘導活性が確か
にあることが証明された(Wang, E.A. et al., (1990)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.87, p.2220-222
4)。引き続きホモロジーを利用した骨誘導活性を有す
る蛋白質のクローニングが行われ、現在まで骨誘導活性
を有する構造の似た複数の蛋白質が発見されている。こ
れらはいずれもTGF(トランスフォーミング成長因
子)−βスーパーファミリーに属し、基本的に in vivo
において異所性骨形成を引き起こす活性を有することが
確認されている。BMPによる骨形成は内軟骨性といわ
れており、胎生期の長骨の形成を再現するものと考えら
れている。したがって、BMPそのものが骨欠損部を補
う形での治療薬として利用し得るものである。
【0003】一方、BMP遺伝子が明らかにされ、その
特異的抗体が作成されるようになってから、今まで治療
法がなかった異所性石灰化部位にもBMPが発現してお
り、これらの発症にBMPが関与する可能性が示される
ようになってきた。例えば、神経性骨化症、手術侵襲よ
る異所性骨化、外傷性骨化性筋炎、酸素供給不足による
骨化、骨原性腫瘤、特定疾患(難病)に指定されている
後縦靭帯骨化症 (ossification of the posterior long
itudinal ligament:以降 OPLLと呼ぶ) (Spine, 17-3S,
S33, 1992) や、動脈硬化石灰化部位 (J Clin Invest,
vol.91, p.1800, 1993) に、BMPが発現したり含有され
たりしていることが近年明らかにされている。また、偽
悪性転位骨化症(pseudomalignant heterotopic ossifi
cation:以降 PHOと呼ぶ)、偽悪性骨性腫瘍(pseudomal
ignant osseous tumor)および限局性骨化性筋炎(myos
istis ossificans circumscripta)は痛みをともなう筋
肉内の硬組織の塊の出現が主な症状である。原因は不明
であるが、BMPが患者の筋肉内の硬組織の出現に関与
するものと考えられている。これらは、本来は発現しな
いはずの組織でBMPが発現し、オートクライン(auto
crine)に作用して骨が形成されていることを示してい
る。OPLLについては現在のところ有効な治療法もな
く、圧迫性の神経症状が重度であれば外科的に切除を試
みるが、予後は必ずしも良いものではない。また、動脈
の石灰化にしても治療法はない。
【0004】BMPの発現を抑制することが、これらの
病変の治療の主要な手段の一つと推察されるが、それ以
外に、例えば、BMPアンタゴニストの投与も有効と考
えられる。BMPアンタゴニスト様活性をもつものとし
てはBMP受容体やBMPに対する中和抗体、BMPの
結合部位に対応するペプチド、BMPの特定のアミノ酸
残基に化学修飾等をほどこしたものなどが考えられる。
【0005】いままで、BMPの構造活性相関について
種々の検討がなされ、成熟型BMPの受容体との結合に
関与する部位が推測され、それを基にした合成ペプチド
はBMPのアンタゴニストとしてはたらく事が知られて
いる(特願平7−200175号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】合成ペプチドの他にも
種々の骨・軟骨過形成症等の治療の選択として種類を多
くすることが望ましく、本発明の目的は上記の骨関連疾
患に有効な治療剤として、新規な化学修飾したまたは遺
伝子工学的手法により特定のアミノ酸を置換したBMP
アンタゴニスト蛋白質を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、成熟型ヒトM
P52のアミノ酸配列中に存在するメチオニン残基もし
くはトリプトファン残基の少なくとも1個の残基を、化
学修飾により親水性残基に変換するか、あるいは該残基
を親水性アミノ酸残基もしくは極性アミノ酸残基で置換
することにより得られる骨誘導因子アンタゴニスト活性
を有する成熟型蛋白質に関する。
【0008】さらに本発明は、成熟型ヒトBMP−2、
成熟型ヒトBMP−4または成熟型ヒトBMP−7のア
ミノ酸配列中に存在するトリプトファン残基の少なくと
も1個の残基を、化学修飾により親水性残基に変換する
か、あるいは該残基を親水性アミノ酸残基もしくは極性
アミノ酸残基で置換することにより得られる骨誘導因子
アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質に関する。
【0009】本発明はさらに、成熟型ヒトBMP−2、
成熟型ヒトBMP−4または成熟型ヒトBMP−7のア
ミノ酸配列において、その受容体結合部位を構成する疎
水性アミノ酸残基のうち、成熟型ヒトMP52のアミノ
酸配列の30番目、71番目および74番目に位置する
メチオニン残基に相当する位置の3個の疎水性アミノ酸
残基のうち少なくとも1個のアミノ酸残基を親水性アミ
ノ酸残基もしくは極性アミノ酸残基で置換することによ
り得られる骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟
型蛋白質に関する。
【0010】本発明は、さらに上記骨誘導因子アンタゴ
ニスト活性を有する成熟型蛋白質を有効成分とする異所
性骨化の治療または予防剤に関する。そして本発明は、
さらに骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋
白質を有効成分とする石灰沈着を伴う代謝性疾患の治療
または予防剤に関する。
【0011】TGF−βスーパーファミリーに属する蛋
白質は、その遺伝子構造から生体内では、いずれも前駆
体として合成された後、種々のプロセッシングを受け、
成熟型のペプチド二量体を形成すると考えられている。
ヒトTGF−β1の活性型はC末端側112残基のペプ
チドの二量体であることが知られている(Nature 316,
701-705, 1985)。本発明において成熟型とは、この活
性型ヒトTGF−β1のC末端側112残基と相同性の
あるアミノ酸配列のペプチドの二量体を意味する。本発
明におけるTGF−βスーパーファミリーに属する蛋白
質の例としてはBMP−2、BMP−4、BMP−7、
ヒトMP52等があげられる。
【0012】本発明者らは、受容体の結合部位に結合し
てBMPアンタゴニストとして強く働く化学修飾蛋白質
を作る目的でTGF−βスーパーファミリーに属し、そ
の中でもBMPファミリーの一員であるヒトMP52に
化学修飾およびアミノ酸の置換を試みた。
【0013】ヒトMP52の活性型は二量体であるこ
と、および受容体結合部位は蛋白質分子の外側に露出し
た部分であると考えられることから、ヒトMP52が二
量体を形成したときに隣接する2つのペプチド領域(配
列表配列番号1に記載のアミノ酸配列において20番目の
Arg から38番目の Ala 及び60番目の Glu から77番目
の Glu まで)が受容体結合部位を形成していると推定
した。
【0014】蛋白質のアミノ酸組成において一般的にト
リプトファンとメチオニンは含有率が最も低く選択的な
化学修飾に適していること、および推定されたヒトMP
52の立体構造モデルから、成熟型ヒトMP52単量体
に存在する4つのメチオニン残基のうち3つ(30番目、
71番目、74番目)が推定された受容体結合部位に存在す
ることおよび成熟型ヒトMP52単量体に2つ存在する
トリプトファン残基の両方(33番目、35番目)が推定さ
れた受容体結合部位に存在することから、これら2つの
アミノ酸残基に化学修飾を施した蛋白質を作成した。
【0015】本発明における化学修飾とは、受容体への
結合能力をそのままに保ちつつ蛋白質の活性を無効にす
るに充分な程度にメチオニンまたはトリプトファンの側
鎖を変化させることを意味する。この化学修飾には蛋白
質化学の研究のために一般的に行われるものが適用され
る。この方法は、「タンパク質の化学IV」p.6−118,197
7, (社)日本生化学会等に記載されている。メチオニン
は疎水性アミノ酸であるが化学修飾によって親水性に変
化させることができる。親水性を高めるための化学修飾
には、酸化剤を用いたメチオニンのメチオニンスルホキ
シドあるいはメチオニンスルホンへの酸化と、アルファ
−ハロゲノ酢酸を用いたS−カルボキシメチルメチオニ
ン等へのアルキル化がある。メチオニンの酸化剤として
は過酸化水素、過ギ酸、過ヨウ素酸、N−クロロスクシ
ンイミド、N−ブロモスクシンイミド等が挙げられる。
またアルファ−ハロゲノ酢酸としては、モノヨード酢
酸、モノヨード酢酸アミド等が用いられる。
【0016】トリプトファンについては、そのインドー
ル環に化学修飾を施すことにより、近傍の環境や構造に
微妙な変化を与えることができる。好適な例としてp−
あるいはo−ニトロフェニルスルフェニルクロライド、
2−ニトロ−4−カルボキシフェニルスルフェニルクロ
ライド、2,4−ジニトロフェニルスルフェニルクロラ
イド等によるインドール核2位のアリ−ルスルフェニル
化あるいは2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルブロミ
ド、ジメチル(2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジル)
スルホニウムブロミド等によるインドール核3位への2
−ヒドロキシ−5−ニトロベンジル基の付加等が挙げら
れる。
【0017】本発明は特に配列表配列番号1に示す成熟
型ヒトMP52アミノ酸配列におけるメチオニン残基の
うち1ないし4個のメチオニン残基あるいはトリプトフ
ァン残基の1ないし2個に化学修飾を施した成熟型蛋白
質に関する。
【0018】配列表配列番号1に示す蛋白質は特開平8
−531621号に記載の方法で製造することが出来
る。この方法によって製造された成熟型ヒトMP52の
受容体結合部位において構成アミノ酸のメチオニン残基
の4個のうち3個が存在していること、および構成アミ
ノ酸のトリプトファン残基のうち2個ともが存在し、か
つこれらアミノ酸が疎水性であることから、これらの疎
水性アミノ酸が骨誘導活性に重要な役割していることが
考えられる。
【0019】本発明の成熟型ヒトMP52には、配列表
配列番号1に示すアミノ酸配列の成熟型蛋白質の他に、
そのN末端にAlaもしくはArg−Alaが結合した
アミノ酸配列の成熟型蛋白質を含む。
【0020】他の骨誘導因子例えばヒトBMP-2、ヒ
トBMP-4、ヒトBMP−7等の成熟型蛋白質とヒト
MP52成熟型蛋白質のアミノ酸配列を比較するとメチ
オニン残基に位置するアミノ酸はすべてメチオニン残基
か疎水性アミノ酸である。
【0021】具体的には成熟型ヒトBMP−2の受容体
結合部位は配列表配列番号2に記載のアミノ酸配列(Sc
ience 242 (4885), 1528−1534, 1988)において16番
目のArgから34番目のAla及び56番目のAsn
から73番目のLysまでのペプチドと予測され、成熟
型ヒトMP52のメチオニン(30番目、71番目、74番
目)に相当するアミノ酸の位置は26番目のバリン、6
7番目のバリン、70番目のバリンに置換されている。
【0022】成熟型ヒトBMP−4の受容体結合部位は
配列表配列番号3に記載のアミノ酸配列(DNA Seq. 5
(5), 272−275, 1995)において19番目のArgから
37番目のAla及び59番目のAsnから76番目の
Serまでのペプチドと予測され、成熟型ヒトMP52
のメチオニン(30番目、71番目、74番目)に相当するア
ミノ酸の位置は29番目のバリン、70番目のバリン、
73番目のバリンに置換されている。
【0023】成熟型ヒトBMP−7の受容体結合部位は
配列表配列番号4に記載のアミノ酸配列(Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. 93(2), 878−883, 1996)で40
番目のLysから58番目のAla及び80番目のAs
nから97番目のGluまでのペプチドと予測され、成
熟型ヒトMP52のメチオニン(30番目、71番目、74番
目)に相当するアミノ酸の位置は50番目のロイシン、
91番目のバリン、94番目のイソロイシンに置換され
ている。
【0024】これらの成熟型ヒトMP52のメチオニン
に相当するアミノ酸に位置する疎水性アミノ酸の化学修
飾は選択的な修飾は困難であるが、遺伝子工学的手法を
用い疎水性から親水性又は極性アミノ酸に変換すること
は可能である。
【0025】またトリプトファン残基は上述の骨誘導因
子すべてで保存されていることから、化学修飾法でも遺
伝子工学的手法でも疎水性アミノ酸から親水性又は極性
アミノ酸に置換することが可能である。トリプトファン
残基は化学修飾および遺伝子工学においてその立体構造
に変化を起こさせる点でも重要な役割をもつ。
【0026】従って、本発明は成熟型ヒトMP52、特
に配列表配列番号1に示すアミノ酸配列のメチオニン残
基のうち1ないし4個のメチオニン残基あるいはトリプ
トファン残基の1ないし2個をを遺伝子工学的手法を用
いることにより親水性アミノ酸又は極性アミノ酸に変換
した成熟型蛋白質に関する。本発明において、親水性の
アミノ酸や極性アミノ酸とはアスパラギン酸、グルタミ
ン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、スレ
オニン残基等をいう。本発明においてメチオニン残基あ
るいはトリプトファン残基を他の親水性又は極性アミノ
酸に組み換える場合、メチオニン残基においては配列表
配列番号1に記載する30番目、71番目、74番目お
よび111番目のメチオニンに相当するコドンをアスパ
ラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチ
ジン、セリン、スレオニンなどのコドンに換え換えた組
み換えDNAあるいはトリプトファン残基においては3
2番目、35番目のトリプトファンに上記アミノ酸に相
当するコドンに組み換えた組換えDNAを導入し大腸菌
に発現させ本発明の蛋白質を得ることができる。
【0027】また、本発明は、配列表配列番号2から4
に示されるアミノ酸配列の成熟型蛋白質のうちいずれか
において、トリプトファン残基の1ないし2個に化学修
飾を施した成熟型蛋白質に関する。
【0028】本発明はさらに配列表配列番号2から4に
示されるアミノ酸配列の成熟型蛋白質のうちいずれかに
おいて、その受容体結合部位を構成する疎水性アミノ酸
のうち、配列表配列番号1の30番目、71番目および
74番目に位置するメチオニン残基に相当する位置の疎
水性アミノ酸のうち1ないし3個のアミノ酸残基あるい
はトリプトファン残基の1ないし2個を親水性アミノ酸
又は極性アミノ酸に置換した成熟型蛋白質に関する。本
発明における疎水性アミノ酸とはメチオニン、バリン、
ロイシン、イソロイシンあるいはトリプトファンをい
う。
【0029】本発明は配列表配列番号1に記載のアミノ
酸配列を有する成熟型蛋白質において、それを構成する
メチオニン残基の1ないし4個のメチオニン残基を酸化
した成熟型蛋白質に関する。詳細にはメチオニン残基を
酸化する場合、2mg/mlの濃度の成熟型蛋白質に、終濃
度が0.014%となるように過酸化水素を添加し、室
温にて15時間以上反応させるメチオニン残基がメチオ
ニンスルホキシド化された成熟型蛋白質を得ることがで
きる。
【0030】本発明は配列表配列番号1に記載のアミノ
酸配列を有する成熟型蛋白質において、それを構成する
メチオニン残基の1ないし4個のメチオニン残基をアル
キル化した成熟型蛋白質に関する。詳細には、2mg/ml
の濃度の蛋白質に、メチオニン残基の50〜100倍の
モル比のモノヨード酢酸を添加し、室温にて15時間以
上反応させ、メチオニン残基がS−カルボキシメチル化
された成熟型蛋白質を得ることができる。
【0031】本発明は配列表配列番号1に記載のアミノ
酸配列を有する成熟型蛋白質において、それを構成する
トリプトファン残基のうち1ないし2個のトリプトファ
ン残基をアリールスルフェニル化した成熟型蛋白質に関
する。詳しくは、2mg/mlの濃度の蛋白質に、100%
酢酸に溶解したp−ニトロフェニルスルフェニルクロラ
イドを20当量添加し、室温にて1時間反応させ、トリ
プトファン残基がアリ−ルスルフェニル化された成熟型
蛋白質を得ることができる。
【0032】本発明は配列表配列番号2に記載のアミノ
酸配列の28番目、31番目のトリプトファン残基の1
個あるいは2個をアリールスルフェニル化した成熟型蛋
白質に関する。
【0033】本発明は配列表配列番号2に記載のアミノ
酸配列の26番目、67番目、70番目のバリンのいず
れかまたは全部あるいは28番目、31番目のトリプト
ファン残基の1個あるいは2個をアスパラギン酸、グル
タミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、
スレオニン等に置換した成熟型蛋白質に関する。
【0034】本発明は配列表配列番号3に記載のアミノ
酸配列の31番目、34番目のトリプトファン残基の1
個あるいは2個をアリールスルフェニル化した成熟型蛋
白質に関する。
【0035】本発明は配列表配列番号3に記載のアミノ
酸配列の29番目、70番目、73番目のバリンのいず
れかまたは全部あるいは31番目、34番目のトリプト
ファン残基の1個あるいは2個をアスパラギン酸、グル
タミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、
スレオニン等に置換した成熟型蛋白質に関する。
【0036】本発明は配列表配列番号4に記載のアミノ
酸配列の52番目、55番目のトリプトファン残基の1
個あるいは2個をアリールスルフェニル化した成熟型蛋
白質に関する。
【0037】本発明は配列表配列番号4に記載のアミノ
酸配列の50番目のロイシン、91番目のバリン、94
番目のイソロイシン、131番目のメチオニンのいずれ
かまたは全部あるいは52番目、55番目のトリプトフ
ァン残基の1個あるいは2個をアスパラギン酸、グルタ
ミン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、セリン、ス
レオニン等に置換した成熟型蛋白質に関する。
【0038】本発明の化学修飾あるいは他のアミノ酸で
置換された蛋白質のBMPアンタゴニスト様作用は、児
玉ら(Kodama, H. et al. (1981) Jpn. J. Oral Biol.,
vol.23, p.899)によりマウス頭蓋冠から単一株化され
た骨芽細胞様の性質を有するMC3T3−E1細胞株に
添加培養し、細胞中のアルカリホスファターゼ(ALPas
e)を指標として生物活性を測定することにより証明さ
れ得る。ALPaseは骨芽細胞および軟骨細胞の分化・成熟
の指標酵素としてしばしば用いられる (Pfeilschifter,
J., et al., Endocrinology (1987), vol. 121, p 212
-218; Rodan, G.A., et al., calcium regulating horm
ones and bone metabolism, Elsevier Science Publish
ers B.V., (1992), p 183-196)。
【0039】本発明の実施例1から3で得られた成熟型
蛋白質は骨芽細胞様の性質を有するMC3T3−E1細
胞株やC3H10T1/2細胞株の組換え成熟型ヒトBM
P−2(rh−BMP−2)や成熟型ヒトMP52によ
り誘導されたALPase活性の上昇を用量依存的に抑
制した。このことは、本発明蛋白質がヒトMP52の活
性のみならず他のBMP蛋白質の活性を抑えることを示し
ている。
【0040】本発明は上記で得られたいずれかの蛋白質
を有効成分とする異所性骨化の治療および予防剤に関す
る。さらに本発明は上記で得られたいずれかの蛋白質を
有効成分とする石灰沈着を伴う代謝性疾患の治療および
予防剤に関する。
【0041】本発明の化学修飾蛋白質は、OPLLや動
脈硬化の症状の進行を抑える薬剤及びBMPが発現して
いる骨や軟骨の腫瘍の治療、その他骨代謝疾患の治療剤
として有用である。その投与方法としては静脈内及び筋
肉内投与が可能であり、静脈内投与の場合は通常の静脈
内注射の他点滴静注が可能である。
【0042】注射用製剤としては、例えば注射用粉末製
剤とすることができる。その場合は、適当な水溶性賦形
剤、例えばマンニトール、ショ糖、乳頭、マルトース、
ブドウ糖、フルクトース糖の1種又は2種以上を加えて
水で溶解し、バイアル又はアンプルに分注した後、凍結
乾燥し、密封して製剤とすることができる。臨床におけ
る成人1日当たりの投与量は、投与法、患者の年齢、体
重、症状等によって異なるが、通常は本蛋白質として
0.01〜5mgの範囲である。以下に実施例により、本
発明を詳述する。なお、本発明はこれらの実施例により
限定されるものではない。
【0043】
【実施例】実施例1 メチオニン残基を酸化したヒトM
P52成熟型蛋白質の作成 (1) 過酸化水素による成熟型ヒトMP52のメチオニ
ン残基の酸化(メチオニンスルホキシドへの変換) 2mM EDTA−10mM塩酸に溶解した2mg/mlの濃度
の成熟型ヒトMP52に、終濃度が0.014%となる
ように過酸化水素を添加し、室温にて15時間以上反応
させた。 (2) メチオニン酸化成熟型ヒトMP52の分離 配列表配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する成熟型
ヒトMP52(以下未修飾成熟型ヒトMP52と記す)
とメチオニン酸化成熟型ヒトMP52は、逆相HPLC
を用いて両者の保持時間の違いにより分離した。酸化を
受けることによってタンパク質の親水性が増し、逆相H
PLCにおける保持時間は、メチオニン酸化成熟型ヒト
MP52の方が、早くなる。分離条件は、以下の通りで
ある。カラムは、Nucleosil 5−C18−300カラム(4.6mm
I.D.×150mm, GL Sciense社製)を用い、流速を1分間
あたり1.3mlに設定、カラム温度45℃、ピーク検出
波長として214nm及び280nmを用いた。溶媒は、A
液として0.05%TFAを含む水、B液として0.05
%TFAを含むアセトニトリルを用いて、B液25%か
ら45%までの80分間の直線勾配で溶出を行った。H
PLCポンプは、HP1050(HEWLETT PACKARD)を
用いた。この条件で、未修飾成熟型ヒトMP52が51
分付近で溶出するのに対し、メチオニン酸化成熟型ヒト
MP52は、これより早く47分付近で溶出し、両者は
容易に分離できた。
【0044】(3) メチオニン残基の酸化の確認 未修飾成熟型ヒトMP52及びメチオニン酸化成熟型ヒ
トMP52のトリプシン消化フラグメントの逆相カラム
クロマトグラフィにおける溶出パターンを比較すること
によって、メチオニン残基の酸化の確認を行なった。未
修飾成熟型ヒトMP52は配列表配列番号1に示すごと
く、システイン残基を7つ持つ。7つのうち6つが3組
のジスルフィド結合を形成し、残りの1つのシステイン
で二量体を形成している。充分な酵素消化のためには、
ジスルフィド結合をはずし、再結合を阻害するためのS
H基のブロックが必要となる。このため、トリプシン消
化の前に、ジチオスレイトールを用いてジスルフィド結
合を還元後、システイン残基をアルキル化(S−カルボ
キシルメチル化)する処理を行なった。まず、凍結乾燥
した未修飾成熟型ヒトMP52及びメチオニン酸化成熟
型ヒトMP52をそれぞれ終濃度1mg/mlとなるように
8M尿素−0.2M重炭酸アンモニウム−2mM EDT
A、pH8.5の溶液に溶かし、システイン残基の50
倍量のジチオスレイトール(DTT)を加えて50℃で3
0分反応させた。ここに、システイン残基の250倍量
のモノヨード酢酸アミドを加え、遮光して30分反応さ
せることにより、還元アルキル化未修飾成熟型ヒトMP
52及び還元アルキル化メチオニン酸化成熟型ヒトMP
52を得た。この溶液を水で4倍に希釈し尿素の終濃度
を2Mとした後、成熟型ヒトMP52の重量あたり1/
50量のトリプシンを加え、37℃で18時間消化を行
なった。このトリプシン消化物を逆相HPLCカラムに
かけ、すべてのフラグメントを分離した。分離条件は、
以下の通りである。カラムは、Nucleosil 5−C18−300
カラム(4.6mm I.D.×150mm, GLSciense社製)を用い、
流速を1分間あたり1.3mlに設定、カラム温度45
℃、ピーク検出波長として214nmを用いた。溶媒は、
A液として0.05%TFAを含む水、B液として0.0
5%TFAを含むアセトニトリルを用いて、5分間B液
0%に維持した後、0%から45%までの90分間の直
線勾配で溶出を行った。HPLCポンプは、HP105
0(HEWLETT PACKARD)を用いた。次に、分離した還元
アルキル化未修飾成熟型ヒトMP52及び還元アルキル
化メチオニン酸化成熟型ヒトMP52の各消化フラグメ
ントについての1次構造上の位置を決定するためにアミ
ノ酸組成分析を行なった。アミノ酸組成分析の操作は主
として続生化学実験講座(東京化学同人)第2巻、タン
パク質の化学(上)第4章記載の方法に従った。以下、簡
単に操作を記す。加水分解は、0.1%フェノールを含
む6N塩酸の蒸気下、Waters社のPICO.TAG.WORK
STATIONを用いて、110℃、21時間行なった。その
後、ピアス社のAmino acid standardHを標準アミノ酸と
して用い、PTC化法によるアミノ酸組成分析を行なっ
た。PTC−アミノ酸の分離に用いたのは、Water
s社の510HPLCポンプ、カラムは、和光純薬のWa
kopak WS−PTC(4.0mm I.D.×200mm)、溶媒はPTCア
ミノ酸溶離液A及びPTCアミノ酸溶離液B(共に和光
純薬)である。アミノ酸組成分析により1次構造上の位
置が決定された還元アルキル化未修飾成熟型ヒトMP5
2及び還元アルキル化メチオニン酸化成熟型ヒトMP5
2の各トリプシンフラグメントの逆相HPLCカラムク
ロマトグラフィにおける溶出時間を比較した。還元アル
キル化メチオニン残基を含む成熟型ヒトMP52のトリ
プシンフラグメントは、配列表配列番号1に示す29番
目から56番目に対応するもの(29−56、30番目のメチ
オニンを含む)、配列表配列番号1に示す57番目から
88番目に対応するもの(57−88、71及び74番目のメチ
オニンを含む)及び配列表配列番号1に示す107番目
から119番目に対応するもの(107−119、111番目の
メチオニンを含む)の3種類で、還元アルキル化未修飾
成熟型ヒトMP52由来のそれぞれのフラグメントの溶
出時間が、順に84分、62分、36分付近であるのに
対し、還元アルキル化メチオニン酸化成熟型ヒトMP5
2由来のフラグメントは、順に80分、48分、31分
付近で、還元アルキル化未修飾成熟型ヒトMP52由来
のフラグメントより早く溶出した。一方、これ以外のメ
チオニンを含まないフラグメントの溶出時間は両者で変
化がなかった。以上により、メチオニン残基特異的に酸
化反応がおきていることが確認できた。
【0045】実施例2 メチオニン残基をS−カルボキ
シメチル化したヒトMP52成熟型蛋白質の作成 (1) モノヨード酢酸による成熟型ヒトMP52のメチ
オニン残基のアルキル化 モノヨード酢酸を用いたアルキル化反応は、ジスルフィ
ド結合をしていないシステイン残基のSH基に最も反応
性が高いが、前述したように、未修飾成熟型ヒトMP5
2のシステイン残基はすべてジスルフィド結合をしてい
るため、酸性条件においては、アルキル化反応はほぼ選
択的にメチオニン残基に起きる。よって、以下のように
操作を行なった。10mM塩酸に溶解した2mg/mlの濃度
の未修飾成熟型ヒトMP52に、メチオニン残基の50
〜100倍のモル比のモノヨード酢酸を添加し、室温に
て3〜18時間反応させた。 (2) メチオニン残基をアルキル化した成熟型ヒトMP
52の分離 未修飾成熟型ヒトMP52とメチオニンアルキル化成熟
型ヒトMP52は、逆相HPLCを用いて両者の保持時
間の違いにより分離した。分離条件(使用カラム、流
速、温度、検出波長およびHPLCポンプ)は実施例1
(2)と同様である。溶媒は、A液として0.05%TF
Aを含む水、B液として0.05%TFAを含むアセト
ニトリルを用いて、5分後からの60分間でB液30%
から45%まで直線勾配を行なった。この条件で、未修
飾成熟型ヒトMP52が38分付近で1つのピークとし
て溶出するのに対し、アルキル化成熟型ヒトMP52
は、未修飾成熟型ヒトMP52の溶出時間である38分
付近のピークの他にこれよりも溶出時間の早いピークが
4本(溶出時間;36分、34分、32分、29分)確認でき
た。反応が進むほど、すなわちアルキル化されたメチオ
ニンの数が増すほど溶出時間が早くなる。これらピーク
を分取し、その確認のために実施例1(3)と同様にアミ
ノ酸組成分析を行なった。アミノ酸組成分析において、
アルキル化されたメチオニンは加水分解で壊れないた
め、反応していないメチオニンとは別のピークとして検
出される。すなわち、反応の進行程度はメチオニンピー
クの減少によって確認できる。これにより、溶出時間2
9分のピークはメチオニン4つすべてがアルキル化した
もの、溶出時間32分のピークはメチオニン3つがアル
キル化したもの、溶出時間34分のピークはメチオニン
2つがアルキル化したもの、溶出時間36分のピークは
メチオニン1つがアルキル化したものであることがわか
った。また、未修飾成熟型ヒトMP52の溶出時間であ
る38分付近のピークは、アルキル化されていないこと
がわかった。これらすべてのピークについて、メチオニ
ン以外のアミノ酸については、成熟型ヒトMP52のア
ミノ酸組成の理論値と一致した。以上により、メチオニ
ン残基特異的にアルキル化反応がおきていること、分離
したピークは、アルキル化反応の進行程度の違うもので
あることが確認できた。
【0046】(3) メチオニン残基のアルキル化の確認 未修飾成熟型ヒトMP52及びメチオニンアルキル化成
熟型ヒトMP52のトリプシン消化フラグメントの逆相
カラムにおける溶出パターンを比較することによって、
メチオニン残基のアルキル化の確認を行なった。実施例
1(3)と同様に、トリプシン消化の前に、ジチオスレイ
トールを用いてジスルフィド結合を還元後、システイン
残基をアルキル化する処理を行なった。ただし、メチオ
ニンのアルキル化反応にモノヨード酢酸を用いたS−カ
ルボキシメチル化を行なっているため、モノヨード酢酸
アミドを用いた実施例1と同様のS−カルボキシメチル
化ではなく、アルキル化試薬として4−vinyl pyridine
を用いたS−ピリジルエチル化を行なった。アルキル化
反応は、pH8.5においては還元したシステインにほ
ぼ選択的でメチオニンには殆ど起きないが、副反応があ
った場合に区別し得るためである。まず、凍結乾燥した
未修飾成熟型ヒトMP52及びメチオニンアルキル化成
熟型ヒトMP52を終濃度1mg/mlとなるように6M G
uanidine−HCl−0.4Mトリス塩酸緩衝液、pH8.5
の溶液に溶かし、システイン残基の50倍量のジチオス
レイトール(DTT)を加えて50℃で30分反応させ
た。ここに、システイン残基の250倍量の4−vinyl
pyridineを加え、遮光して30分反応させた。この溶液
を、6M Guanidine−HCl−0.4Mトリス塩酸緩衝液、
pH8.5の溶液にて平衡化させてある脱塩用のゲルろ
過カラム(PD-10、ファルマシア)にかけ過剰の試薬を
除いた後、逆相HPLCカラム(Cosmasil 10C18-300、
4.6mm I.D.×100mm、ナカライテスク)にて分離した。
分光光度計で、トリプトファンに由来する280nmにお
ける吸収とピリジンに由来する254nmにおける吸収を
併せ持つ分画を確認した。その後、実施例1(3)と同様
にトリプシン消化を行ない、消化フラグメントの分離を
行なった。次に、実施例1(3)と同様にして、アミノ酸
組成分析により各フラグメントの1次構造上の位置を決
定した。アミノ酸組成分析により1次構造上の位置が決
定された未修飾成熟型ヒトMP52及びメチオニンアル
キル化成熟型ヒトMP52の各トリプシンフラグメント
の逆相HPLCカラムにおける溶出時間を比較した。メ
チオニン残基を含む成熟型ヒトMP52のトリプシンフ
ラグメントは、配列表配列番号1に示す29番目から5
6番目に対応するもの(29−56、30番目のメチオニンを
含む)、配列表配列番号1に示す57番目から88番目
に対応するもの(57−88、71及び74番目のメチオニンを
含む) 及び配列表配列番号1に示す107番目から11
9番目に対応するもの(107−119、111番目のメチオニ
ンを含む)の3種類で、未修飾成熟型ヒトMP52由来
のそれぞれのフラグメントの溶出時間が、順に77分、
58分、36分付近であるのに対し、メチオニンアルキ
ル化成熟型ヒトMP52由来のフラグメントは、順に7
4分、42分、30分付近で、未修飾成熟型ヒトMP5
2由来のフラグメントより早く溶出した。一方、これ以
外のメチオニンを含まないフラグメントの溶出時間は両
者で変化がなかった。また、アミノ酸組成分析におい
て、溶出時間に変化の見られたメチオニンアルキル化成
熟型ヒトMP52由来のメチオニンを含むフラグメント
のメチオニン数だけが理論値と違っていた。さらに、Ap
plied Biosystem社のシークエンサー(Model 476A)を
用い、これらフラグメントのN末シークエンス分析も行
ない、メチオニン残基特異的にアルキル化反応がおきて
いることが確認できた。
【0047】実施例3 トリプトファン残基をアリール
スルフェニル化した成熟型ヒトMP52の作成 (1) p−ニトロフェニルスルフェニルクロライドによ
る成熟型ヒトMP52のトリプトファン残基のアリール
スルフェニル化 50%酢酸に溶解した2mg/mlの濃度の未修飾成熟型ヒ
トMP52に、100%酢酸に溶解したp−ニトロフェ
ニルスルフェニルクロライドを20当量添加し、室温に
て1時間反応させた。 (2) アリールスルフェニル化成熟型ヒトMP52の分
離 逆相HPLCにおける溶出の保持時間の違いにより分離
した。アリールスルフェニル化によって疎水性が増すこ
とから、アリールスルフェニル化成熟型ヒトMP52の
逆相HPLCにおける溶出時間は、未修飾成熟型ヒトM
P52に比べて遅くなる。分離条件は、以下の通りであ
る。使用カラム、流速、およびHPLCポンプは実施例
1(2)と同様で、カラム温度40℃、ピーク検出波長と
して214nm及び365nmを用いた。溶媒は、A液とし
て0.05%TFAを含む水、B液として0.05%TF
Aを含むアセトニトリルを用いて、B液25%で5分間
維持した後、その後の35分間でB液25%から60%
までの直線勾配で溶出を行った。この条件で、未修飾成
熟型ヒトMP52が22分付近で溶出するのに対し、ト
リプトファンをアリールスルフェニル化した成熟型ヒト
MP52は、これより遅く26分付近で溶出し、両者は
容易に分離できた。 (3) トリプトファン残基のアリールスルフェニル化の
確認 実施例1に記した方法と同様の方法で、ジスルフィド結
合を還元後、システイン残基をアルキル化(S−カルボ
キシル化)した未修飾成熟型ヒトMP52及びトリプト
ファン残基のアリールスルフェニル化成熟型ヒトMP5
2をトリプシン消化後C18逆相カラムで消化フラグメ
ントを分離し、アミノ酸組成分析により各フラグメント
の1次構造上の位置を決定した。トリプトファン残基を
含む成熟型ヒトMP52のトリプシンフラグメントは、
配列表配列番号1に示す29番目から56番目に対応す
るもの(29−56、32番目及び35番目のトリプトファンを
含む)のみである。トリプトファン残基を含むトリプト
ファン残基のアリールスルフェニル化成熟型ヒトMP5
2由来のフラグメントの溶出時間(95分付近)のみが、
未修飾成熟型ヒトMP52由来のフラグメントの溶出時
間(84分付近)に比べて遅くなっていた。一方、これ以
外のトリプトファンを含まないフラグメントの溶出時間
は両者で変化がなかった。また、N末シークエンス分析
によってもトリプトファンのみが未修飾と修飾成熟型ヒ
トMP52で違うことから確認できた。
【0048】実施例4 骨誘導活性抑制の検定 本発明の成熟型蛋白質のBMP−2アンタゴニスト様作
用は、児玉ら(前述)によるマウス頭蓋冠から単一株化
された骨芽細胞様の性質を有するMC3T3−E1細胞
株、および未分化細胞であるが、培養条件により骨芽細
胞、軟骨細胞、筋細胞、脂肪細胞などに分化する多分化
能を持つC3H10T1/2細胞株に添加培養することに
より検定された。本細胞株の培養は、多久和ら(前述)
による記載の方法に準じて行った。MC3T3−E1細
胞株の場合、1cm2当たり5×103細胞の密度に調製さ
れた細胞を播き、10%牛胎児血清を含むα−MEM培
地中で3日間前培養を行った。α−MEM培地で細胞を
洗った後、0.3%牛血清アルブミンを含む無血清α−
MEM培地に交換した。ここに種々の濃度の本発明の成
熟型蛋白質及び成熟型rh−BMP−2(リコンビナン
トヒトBMP−2)を添加し、さらに3日間培養(後培
養)を行った。細胞中のALPase活性は、p−ニト
ロフェニルリン酸を基質として用いる比色法により定量
した。C3H10T1/2細胞株の場合は、前培養に用い
た培地が10%牛胎児血清を含むBME培地であり、後
培地に用いた培地が2%牛胎児血清を含むBME培地で
ある他は、MC3T3−E1細胞株の条件と同様であ
る。MC3T3−E1細胞株中のALPase活性につ
いて、実施例2において逆相HPLCにおける保持時間
の違いにより得られたメチオニン残基アルキル化成熟型
ヒトMP52の各分画と未修飾成熟型ヒトMP52の逆
相分画とを比較した結果を図1に示す。図中の黒丸実線
は未修飾成熟型ヒトMP52の逆相分画を、黒四角実線
は1個のメチオニン残基がアルキル化されたもの、黒三
角破線は2個のメチオニン残基がアルキル化されたもの
を、白抜き丸実線は3個のメチオニン残基がアルキル化
されたものを、白抜き三角点線は4個のメチオニン残基
がアルキル化されたものをそれぞれ表わしている。X軸
の0上に示してある黒丸は、薬物を添加していない細胞
の活性を示している。図1に示すごとく、メチオニンの
アルキル化反応進行に連れ、MC3T3−E1細胞株中
のALPase活性促進作用が減少した。図2は細胞株
の違いによるメチオニン残基を酸化した成熟型ヒトMP
52およびトリプトファン残基をアリールスルフェニル
化した成熟型ヒトMP52のアンタゴ二スト様活性を示
した図である。図2(A)は、C3H10T1/2細胞株に
おける成熟型rh−BMP−2に対するアンタゴ二スト
様活性、図2(B)は、MC3T3−E1細胞株における
成熟型ヒトMP52に対するアンタゴ二スト様活性をそ
れぞれ表わしている。図中における黒丸実線トリプトフ
ァン残基をアリールスルフェニル化した成熟型ヒトMP
52を、白抜き丸点線はメチオニン残基を酸化した成熟
型ヒトMP52を、黒四角は図2(A)ではメチオニン残
基を酸化した成熟型ヒトMP52未添加の300ng/ml
の成熟型rh−BMP−2単独のALPase活性(C3
H10T1/2細胞株)、図2(B)では600ng/mlの未修飾成
熟型ヒトMP52単独のALPase活性(MC3T3-E1細
胞株)を示す。また、白抜き四角は薬物未添加の活性を
示している。図2(A)に示すごとく、300ng/mlの成
熟型rh−BMP−2はC3H10T1/2細胞株中のA
LPase活性を非添加対照群の約40倍に上昇させ
た。本発明の成熟型ヒトMP52は1当量から20当量
において用量依存的にそのALPase活性の上昇を抑
制した。また、図2(B)に示すごとく、600ng/mlの
未修飾成熟型ヒトMP52はMC3T3−E1細胞株中
のALPase活性を非添加対照群の約3倍に上昇させ
た。本発明のアミノ酸修飾成熟型ヒトMP52は1当量
から10当量において用量依存的にそのALPase活
性の上昇を抑制した。
【0049】
【発明の効果】本発明の蛋白質は異所性骨化や動脈硬化
の症状の進行を抑える医薬品として利用できる。そのほ
かBMPを発現している骨や軟骨の腫瘍の治療、OPL
L以外の靭帯や骨周辺の軟部組織の骨化を防止するため
に使用することが可能である。また、骨代謝回転の高ま
っている状態、たとえばページェット病に対し使用する
ことにより、骨芽細胞の機能を低下させ症状の進行を抑
えられる。また、BMPから出発したペプチドや低分子
化合物で、BMPとその受容体の結合に競合するような
薬物のスクリーニングや評価系における試薬としても有
用である。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Hoechst Marion Roussel Ltd. <120> BMP antagonist <130> <140> <141> <150> <151> <160> 4 <210> 1 <211> 119 <212> PRT <213> Homo sapiens <223> Human MP52 mature protein; 30th, 71st, 74th and 111th Met are modified to methionine sulfoxide, methionin sulfone, s-carboxymethyl (s-carboxamidemethyl) methionine or substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. 32nd and 34th Trp are modified to allylsulphenyl Trp or substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. <400> Pro Ser Ala Thr Arg Gln Gly Lys Arg Pro Ser Lys Asn Leu Lys Ala 1 5 10 15 Arg Cys Ser Arg Lys Ala Leu His Val Asn Phe Lys Asp Met Gly Trp 20 25 30 Asp Asp Trp Ile Ile Ala Pro Leu Glu Tyr Glu Ala Phe His Cys Glu 35 40 45 Gly Leu Cys Glu Phe Pro Leu Arg Ser His Leu Glu Pro Thr Asn His 50 55 60 Ala Val Ile Gln Thr Leu Met Asn Ser Met Asp Pro Glu Ser Thr Pro 65 70 75 80 Pro Thr Cys Cys Val Pro Thr Arg Leu Ser Pro Ile Ser Ile Leu Phe 85 90 95 Ile Asp Ser Ala Asn Asn Val Val Tyr Lys Gln Tyr Glu Asp Met Val 100 105 110 Val Glu Ser Cys Gly Cys Arg 115 <210> 2 <211> 114 <212> PRT <213> Homo sapiens <223> Human BMP-2 mature protein; 26th, 67st and 70th Val are substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. 28th and 31st Trp are modified to allylsulphenyl Trp or substituted to Glx, Asx, Lys, His, Arg, Thr or Ser. <400> Gln Ala Lys His Lys Gln Arg Lys Arg Leu Lys Ser Ser Cys Lys Arg 1 5 10 15 His Pro Leu Tyr Val Asp Phe Ser Asp Val Gly Trp Asn Asp Trp Ile 20 25 30 Val Ala Pro Pro Gly Tyr His Ala Phe Tyr Cys His Gly Glu Cys Pro 35 40 45 Phe Pro Leu Ala Asp His Leu Asn Ser Thr Asn His Ala Ile Val Gln 50 55 60 Thr Leu Val Asn Ser Val Asn Ser Lys Ile Pro Lys Ala Cys Cys Val 65 70 75 80 Pro Thr Glu Leu Ser Ala Ile Ser Met Leu Tyr Leu Asp Glu Asn Glu 85 90 95 Lys Val Val Leu Lys Asn Tyr Gln Asp Met Val Val Glu Gly Cys Gly 100 105 110 Cys Arg <210> 3 <211> 117 <212> PRT <213> Homo sapiens <223> Human BMP-4 mature protein; 29th, 70st, 73rd Val are substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. 31st and 34th Trp are modified to allylsulphenyl Trp or substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. <400> Arg Ser Pro Lys His His Ser Gln Arg Ala Arg Lys Lys Asn Lys Asn 1 5 10 15 Cys Arg Arg His Ser Leu Tyr Val Asp Phe Ser Asp Val Gly Trp Asn 20 25 30 Asp Trp Ile Val Ala Pro Pro Gly Tyr Gln Ala Phe Tyr Cys His Gly 35 40 45 Asp Cys Pro Phe Pro Leu Ala Asp His Leu Asn Ser Thr Asn His Ala 50 55 60 Ile Val Gln Thr Leu Val Asn Ser Val Asn Ser Ser Ile Pro Lys Ala 65 70 75 80 Cys Cys Val Pro Thr Glu Leu Ser Ala Ile Ser Met Lys Tyr Leu Asp 85 90 95 Glu Tyr Asp Lys Val Val Leu Lys Asn Tyr Gln Glu Met Val Val Glu 100 105 110 Gly Cys Gly Cys Arg 115 <210> 4 <211> 139 <212> PRT <213> Homo sapiens <223> Human BMP-7 mature protein; 50th Leu, 91st Val and 94th Ile are substituted to Glx, Asx, Lys, His, Arg, Thr or Ser. 52nd and 55th Trp are modified to allylsulphenyl Trp or substituted to Glx, Asx, Lys His, Arg, Thr or Ser. <400> Ser Thr Gly Ser Lys Gln Arg Ser Gln Asn Arg Ser Lys Thr Pro Lys 1 5 10 15 Asn Gln Glu Ala Leu Arg Met Ala Asn Val Ala Glu Asn Ser Ser Ser 20 25 30 Asp Gln Arg Gln Ala Cys Lys Lys His Glu Leu Tyr Val Ser Phe Arg 35 40 45 Asp Leu Gly Trp Gln Asp Trp Ile Ile Ala Pro Glu Gly Tyr Ala Ala 50 55 60 Tyr Tyr Cys Glu Gly Glu Cys Ala Phe Pro Leu Asn Ser Tyr Met Asn 65 70 75 80 Ala Thr Asn His Ala Ile Val Gln Thr Leu Val His Phe Ile Asn Pro 85 90 95 Glu Thr Val Pro Lys Pro Cys Cys Ala Pro Thr Gln Leu Asn Ala Ile 100 105 110 Ser Val Leu Tyr Phe Asp Asp Ser Ser Asn Val Ile Leu Lys Lys Tyr 115 120 125 Arg Asn Met Val Val Arg Ala Cys Gly Cys His 130 135
【図面の簡単な説明】
【図1】MC3T3−E1細胞株中のALPase活性
について、逆相HPLCにおける保持時間の違うメチオ
ニン残基をアルキル化した成熟型ヒトMP52の各分画
と未修飾成熟型ヒトMP52の逆相分画とを比較した図
である。図中の黒丸実線は未修飾成熟型ヒトMP52の
逆相分画を、黒四角実線は1個のメチオニン残基がアル
キル化されたもの、黒三角破線は2個のメチオニン残基
がアルキル化されたものを、白抜き丸実線は3個のメチ
オニン残基がアルキル化されたものを、白抜き三角点線
は4個のメチオニン残基がアルキル化されたものをそれ
ぞれ表わしている。X軸の0上に示してある黒丸は、薬
物を添加していない細胞の活性を示している。
【図2】細胞株の違いによるメチオニン残基を酸化した
成熟型ヒトMP52およびトリプトファン残基をアリー
ルスルフェニル化した成熟型ヒトMP52のアンタゴ二
スト様活性を示した図である。(A)は、C3H10T1/
2細胞株における成熟型rh−BMP−2に対するアン
タゴ二スト様活性、(B)は、MC3T3−E1細胞株に
おける成熟型ヒトMP52に対するアンタゴ二スト様活
性をそれぞれ表わしている。図中における黒丸実線トリ
プトファン残基をアリールスルフェニル化した成熟型ヒ
トMP52を、白抜き丸点線はメチオニン残基を酸化し
た成熟型ヒトMP52を、黒四角は(A)ではメチオニン
残基を酸化した成熟型ヒトMP52未添加の300ng/
mlの成熟型rh−BMP−2単独のALPase活性
(C3H10T1/2細胞株)、(B)では600ng/mlの未修飾成
熟型ヒトMP52単独のALPase活性(MC3T3-E1細
胞株)を示す。また、白抜き四角は薬物未添加の活性を
示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA07 BA01 BA21 BA22 BA44 DB70 MA44 MA66 ZA962 ZC212 4H045 AA10 AA30 BA10 CA40 EA20 EA23 EA27 EA28 FA52 GA25

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成熟型ヒトMP52のアミノ酸配列中に
    存在するメチオニン残基もしくはトリプトファン残基の
    うちの少なくとも1個の残基を化学修飾により親水性残
    基に変換するか、あるいは該残基を親水性アミノ酸残基
    もしくは極性アミノ酸残基で置換することにより得られ
    る骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白
    質。
  2. 【請求項2】 前記メチオニン残基の化学修飾が酸化で
    ある請求項1記載の成熟型蛋白質。
  3. 【請求項3】 前記メチオニン残基の化学修飾がアルキ
    ル化である請求項1記載の成熟型蛋白質。
  4. 【請求項4】 前記トリプトファン残基の化学修飾がア
    リールスルフェニル化である請求項1記載の成熟型蛋白
    質。
  5. 【請求項5】 前記成熟型ヒトMP52が配列表配列番
    号1に示すアミノ酸配列を有する蛋白質の二量体である
    請求項1乃至4に記載の成熟型蛋白質。
  6. 【請求項6】 成熟型ヒトBMP−2、成熟型ヒトBM
    P−4または成熟型ヒトBMP−7のアミノ酸配列中に
    存在するトリプトファン残基の少なくとも1個の残基
    を、化学修飾により親水性残基に変換するか、あるいは
    該残基を親水性アミノ酸残基もしくは極性アミノ酸残基
    で置換することにより得られる骨誘導因子アンタゴニス
    ト活性を有する成熟型蛋白質。
  7. 【請求項7】 成熟型ヒトBMP−2、成熟型ヒトBM
    P−4または成熟型ヒトBMP−7のアミノ酸配列にお
    いて、その受容体結合部位を構成する疎水性アミノ酸残
    基のうち、成熟型ヒトMP52のアミノ酸配列の30番
    目、71番目および74番目に位置するメチオニン残基
    に相当する位置の3個の疎水性アミノ酸残基のうち少な
    くとも1個のアミノ酸残基を親水性アミノ酸残基もしく
    は極性アミノ酸残基で置換することにより得られる骨誘
    導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質。
  8. 【請求項8】 前記成熟型ヒトBMP−2、成熟型ヒト
    BMP−4または成熟型ヒトBMP−7がそれぞれ配列
    表配列番号2、3または4に示すアミノ酸配列を有する
    蛋白質の二量体である請求項6または7に記載の成熟型
    蛋白質。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかの項に記載の
    骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質を
    有効成分とする異所性骨化の治療または予防剤。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至8のいずれかの項に記載
    の骨誘導因子アンタゴニスト活性を有する成熟型蛋白質
    を有効成分とする石灰沈着を伴う代謝性疾患の治療また
    は予防剤。
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