JP2000119119A - 歯科用セメント - Google Patents

歯科用セメント

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JP2000119119A JP10295234A JP29523498A JP2000119119A JP 2000119119 A JP2000119119 A JP 2000119119A JP 10295234 A JP10295234 A JP 10295234A JP 29523498 A JP29523498 A JP 29523498A JP 2000119119 A JP2000119119 A JP 2000119119A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着強度、機械的強度、耐水性、生体親和性
に優れた歯科用セメントを得ること 【解決手段】 CPSAガラス繊維微粉末を歯科用セメ
ントに配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯科用セメントに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来歯科用セメントとしては酸成分とし
てリン酸(液成分)を、塩基成分として酸化亜鉛(粉
末)を使用したリン酸亜鉛セメント、酸成分としてポリ
カルボン酸水溶液(液成分)を、塩基成分として酸化亜
鉛(粉末)を使用したポリカルボキシレートセメント、
酸成分としてポリカルボン酸水溶液(液成分)を、塩基
成分として(フルオロ)アルミノシリケートガラス(粉
末)を使用したグラスアイオノマーセメント、種種の酸
を酸成分として、リン酸カルシウム塩、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウムまたこれらの焼成物を塩基成分と
したセメントなどおよびそれらをモデファイした様々な
態様が知られている。また、歯科用セメント用途として
は合着接着用、充填用、コア用、根管充填用、骨充填用
に用いられている。また整形外科用としても用いられる
ことも多々ある。
【0003】特開平3−151313号公報は特開平8
−208305号公報などにはリン酸カルシウム系化合
物を粉剤とし、不飽和ポリカルボン酸の(共)重合体を
液剤となる歯科用組成物が開示されている。繊維微粉末
の使用は開示していない。特開昭55−95642号公
報には、ホウ素系ガラスをポリカルボン酸セメントと架
橋して歯科用に使用する技術を開示している。またこの
ガラスを繊維状にする記載もあるが、これを繊維状にす
る目的は副木の包袋等のための整形用セメントを得るた
めと考えられ、繊維状微粒子として歯科用セメントに使
用したときの接着強度、機械的強度、耐水性の向上に関
しては何ら教示していない。特開昭59−161307
号公報には、歯科用セメントに繊維状細片を混合し、耐
摩耗性と強度を向上させる技術を開示している。これら
の繊維状細片はナイロン、ケプラー、セルローズ、カー
ボン等の繊維であり、それ自体歯科用セメントのポリカ
ルボン酸と反応性ではなく、単なる機械的補強作用が期
待されているにすぎない。また、繊維長も5mm前後で
あり、摩耗等により繊維端が露出するため歯科用セメン
トとしては、実用上問題がある。特開昭58−5402
3号公報、特開昭60−17118号公報、特開昭58
−4821号公報および特開昭57−117621号公
報などには、リン酸カルシウム系化合物が生体親和性に
優れている点を利用して骨の欠損部や空隙部を補綴する
技術を開示しているが、使用するリン酸カルシウム系化
合物は長繊維状で欠損部等に適用しており、微粉砕し
て、セメント用充填材に使用すると云う教示はない。
【0004】歯科用セメントとして要求される様々な性
能のうちで、接着強度、機械的強度、耐水性および生体
親和性もしくは無毒性は特に重要な性質である。一方、
本発明者らは生体親和性を有するガラスとしてCaO‐
25‐SiO2‐Al23(CPSA)ガラス繊維を
開発し、これを歯科矯正ワイヤーとして、あるいは人口
骨に応用したが、これを歯科用セメントの反応性フィラ
ーとして使用することについては知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は接着強度、機
械的強度、耐水性、生体親和性に優れた歯科用セメント
を得ることを目的とする。特にセメントの弱点である曲
げ強度を増強することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はCPSAガラス
繊維を含む歯科用セメントに関する。CPSAガラスと
はCaO‐P25‐SiO2‐Al23系ガラスを言う
が、本明細書ではCaOの全てまたは一部をSrOまた
はMgOで置換したガラスもCPSAの概念に含むもの
とする。CPSAガラス自体の製造法は公知である。即
ち、CPSAガラスを繊維状に曳くにはガラス原料であ
るCaCO3、CaHPO4、2H2O、(NH3)2HPO
4、Al23、SiO2などを、予め坩堝で溶融し、清澄
化してブロックを作っておく。低部にノズルを有する坩
堝にガラスブロックを入れ、溶融し、清澄化し、低部の
ノズルより溶融物を流出させ、ドラムに巻き取って長フ
ァイバーにする。繊維径は流出物のドラムへの巻き取り
速度できまる。ガラスの溶融温度は1250〜1700
℃の範囲が適当であり、ガラスの粘性が所定の粘度とな
るように調製する。
【0007】本発明においてCPSAガラスは繊維状に
引き伸ばしこれを裁断または粉砕して繊維状微粉末にし
て歯科用セメント用の充填材として用いる。本発明に適
したCPSAガラス繊維の太さ(直径)は好ましくは1
〜30μm、より好ましくは5〜30μm、特に好まし
くは6〜20μmである。1μmより細い繊維を得るの
は困難である。30μmより太いときは強度が出ず、セ
メントとの親和性が極端に悪くなる。またセメントの被
膜度が極端に厚くなると合着用セメントとしては使用で
きなくなる。
【0008】ガラス繊維の長さはアスペクト比(長さ/
直径)で表したとき、好ましくは1.5〜20、より好
ましくは3〜8である。アスペクト比が1.5より小さ
い時は粒子と同じであり、繊維としての効果がほぼなく
なって曲げ強度に関し効果がなくなる。20より大きい
ときは繊維長が長くなりすぎて臨床上使用できないこと
が起こる。繊維状に引き伸ばすための各酸化物のモル比
はCaO・P25が20〜65モル%、SiO2が20
〜70モル%、Al23が7〜30モル%、好ましくは
CaO・P25が30〜50モル%、SiO2が30〜
50モル%、Al23が15〜25モル%が適してい
る。好ましいCa/P比は0.3〜3であり、より好ま
しくは1〜2である。
【0009】CPSAのCaOは一部または全部がSr
OまたはMgOで置換されていてもよい。SrOに置換
するとX線不透過性のあるガラス繊維となり、塩基成分
にX線不透過性がなくても、これを添加することにより
X線不透過性が付与できる。CPSAガラス繊維は好ま
しくはセメント中の塩基成分(粉末成分)に配合して使
用する。塩基成分の比重にもよるが、配合量は塩基成分
の5〜85重量%、より好ましくは10〜80重量%で
ある。CPSAガラスの繊維が酸成分と反応性があり、
硬化時一体化することに特徴がある。CPSAガラス繊
維が塩基成分の400重量%より多いと、それだけ塩基
成分が減少し、その分酸成分(液成分)も少なめに使用
せざるを得ないため、両者を混練するとき液成分が不足
し、ぱさつき、作業性が低下する。またセメント全重量
に対しては3.5〜65重量%、より好ましくは5〜6
0重量%が適している。3.5重量%より少ないとCP
SAガラス繊維を添加した効果が十分に発現しない。こ
れらの添加量は配合しようとするセメントの種類、CP
SAガラス繊維微粉末の粒度、作業性、所望特性などに
よって選択すれば良い。特に好適な配合量はセメントが
グラスアイオノマー系セメントの場合、セメント全量の
10〜55重量%、セメントがジンクポリカルボキシレ
ート系セメントのとき、セメント全量の7〜50重量
%、セメントがリン酸亜鉛系セメントのとき、セメント
全量の7〜50重量%、セメントがリン酸カルシウム系
セメントのとき、セメント全量の10〜60重量%であ
る。
【0010】CPSAガラス繊維は好ましくは酸処理し
た上でセメント、特に粉末成分に配合する。酸処理は例
えばリン酸塩水溶液やポリカルボン酸水溶液に浸漬する
ことにより行う。リン酸塩処理はリン酸アンモニウム等
の水溶性リン酸塩の好ましくは1〜10重量%水溶液
(好ましくはpH約3〜約6であり、リン酸で調製して
もよい)に10〜40℃程度で5分から60分程度浸漬
することにより行う。勿論攪拌しても良く、浸漬に代え
てスプレイ法を用いても良い。燐塩酸処理後十分水洗す
るのが好ましい。
【0011】ポリカルボン酸水溶液による処理に使用し
得る重合体の例は、例えば、α,β−不飽和カルボン酸
の重合体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アコニッ
ト酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール
酸、グルタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、桂皮
酸、3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、トリカ
ルバリル酸などの単独あるいは共重合体であり、好まし
い重量平均分子量は1500〜150,000、より好
ましくは3000〜50,000で、酸処理に特に好ま
しいポリカルボン酸の例はポリアクリル酸、アクリル
酸、マレイン酸、イタコン酸またはブテントリカルボン
酸との共重合物である。酸処理はポリカルボン酸の0.
5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%水溶液
に、CPSAガラス繊維を常温で5〜120分浸漬する
ことにより行う。温度を60℃程度まで調節することに
より、処理量を調整できる。勿論攪拌しても良く、浸漬
に代えて、スプレーしてもよい。使用するポリカルボン
酸の量はCPSAガラス繊維100重量部当り、固形分
換算で0.1〜5重量部程度が適当である。処理後十分
水洗するのが好ましい。
【0012】本発明に使用するセメントとしては酸成分
としてリン酸(液成分)を、塩基成分として酸化亜鉛
(粉末)を使用したリン酸亜鉛セメント、酸成分として
ポリカルボン酸水溶液(液成分)を、塩基成分として酸
化亜鉛(粉末)を使用したポリカルボキシレートセメン
ト、酸成分としてポリカルボン酸水溶液(液成分)を、
塩基成分として(フルオロ)アルミノシリケートガラス
(粉末)などが例示される。特に好適なセメントは酸成
分としてポリカルボン酸を使用したグラスアイオノマー
セメントとジンクカルボキシレートセメントおよび酸成
分としてリン酸塩水溶液、カルボン酸およびポリカルボ
ン酸水溶液などを使用したリン酸カルシウム系セメント
である。カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、マ
ロン酸などが例示される。リン酸水溶液としてはリン
酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カリウム、塩
化カルシウムなどの水溶液であり、これらは使用時に種
々な組あわせで使用する。
【0013】ポリカルボン酸としてはα,β−不飽和カ
ルボン酸の重合体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、
アコニット酸、メサコン酸、マレイン酸、イタコン酸、
フマール酸、グルタコン酸、シトラコン酸、クロトン
酸、ブテントリカルボン酸、トリカルバリル酸などが例
示される。これらのポリカルボン酸としては歯科用セメ
ントとして通常使用されているものから任意に選択すれ
ばよい。本発明においてCPSAガラス繊維粉末と併用
して、特に好結果の得られるポリカルボン酸はポリアク
リル酸、アクリル酸とマレイン酸、イタコン酸またはブ
テントリカルボン酸などの共重合体(多元共重合体でも
よい)。
【0014】グラスアイオノマーセメントの塩基成分
(粉末)としては、アルミノシリケートガラス、特にフ
ロオロアルミノシリケートガラスが好ましい。ポリカル
ボン酸と(フルオロ)アルミノシリケートガラスの配合
比率は従来一般に用いられている範囲であればよいが、
CPSAガラス繊維微粉末を塩基成分と配合し、全体と
して粉末成分が増加する関係から、粉末全体量100重
量部に対して、ポリカルボン酸水溶液25〜60重量部
が好ましい。グラスアイオノマーセメントの反応調整剤
として、カルボン酸、例えば酒石酸などを用いても良
い。グラスアイオノマーセメントにレジンモノマーを添
加し、セメント反応およびモノマーの重合反応を同時に
進行させるタイプのセメントに本発明のCPSAガラス
繊維微粉末を配合しても良い。リン酸カルシウム系セメ
ントの塩基成分としてはα−リン酸三カルシウム、β−
リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カ
ルシウム、炭酸含有アパタイト、リン酸水素カルシウム
二水和物等が知られており、水酸化カルシウム、炭酸カ
ルシウム、酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト等と
の混合物またはそれらの焼成物の粉砕物も含まれる。好
ましくはα−リン酸三カルシウムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
【実施例】実施例1 CPSAガラス繊維微粉末の製造 炭酸カルシウム14.3g、リン酸水素カルシウム二水
和物33.0g、水酸化アルミニウム29.1g、ケイ
石23.6gを白金坩堝に入れ、1500℃の電気炉で
3時間溶融した。溶融ガラスを適当な大きさのペレット
とし冷却した。得られたペレットを、内径3.2mmφ
のノズルを有する坩堝に入れ、1420〜1450℃で
再溶融し、700〜1000m/分で曳き出し、直径1
1μmのCPSAガラス繊維を得た。この繊維をアルミ
ナ乳鉢で粉砕し、電磁篩震盪器(RETSCH社製AS
2000 BASIC)を用い、篩の目開きを調節して
震盪し、所定のアスペクト比を有するCPSAガラス繊
維微粉末を得た。アスペクト比はデジタル測微計付き光
学顕微鏡で測定した。
【0016】硬化セメント試験片の調製 アルミノシリケートガラス粉末(ハイボンドグラスアイ
オノマーCX(株)松風製)にCPSAガラス繊維微粉
末を所定量(0から100重量%)配合してセメント粉
末を調製した。セメント硬化液としてポリカルボン酸水
溶液(アクリル酸−ブテントリカルボン酸共重合物40
重量%水溶液)(株)松風製グラスアイオノマー液)を
用い、セメント粉末/液比=2:1で混練し、これを3
μmφx6mmの型枠中にスパチュラで押し込み、成形
体を37℃、湿度100%の定温定湿条件で1時間静置
した。脱型後、同じ定温定湿条件で23時間静置し、養
生した。
【0017】間接引張強度 アルミノシリケートガラス粉末にCPSAガラス繊維微
粉末(アスペクト比:6.0、直径:11±1.0μ
m)を重量比で0/100、60/40および100/
0配合したときの間接引張強度を測定した。結果を表1
に示す。
【0018】
【表1】
【0019】間接引張強度は引張強度試験機(島津オー
トグラフ:AGS−1000B型)を使用し、上記試験
片を0.5mm/分で押しながら間接引張強度を測定し
た。
【0020】曲げ強度(MPa) アルミノシリケート粉末にCPSAガラス繊維微粉末
(アスペクト比:6.0、直径:11±1.0μm)を
重量比で0/100、50/50および100/0配合
したセメント粉末を使用したときの曲げ強度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】 曲げ強度は以下のごとくして測定した。セメント粉末/
液比=2:1で練和し、これを2mm X 2mm X
25mmの型枠中にスパチュラで流し押し込み、型ごと
37℃、湿度100%の定温定湿条件の槽中に1時間静
置した。脱型後、同じ定温定湿条件で23時間静置し、
養生した。島津オートグラフAG−5000B型を使用
し、上記試験片を1.0mm/分で押し付けながら、曲
げ強度を測定した。
【0022】実施例2 実施例1と同様にしてCPSAガラス繊維微粉末(アス
ペクト比:5.4、繊維直径:20μm)を製造した。 硬化セメント試験片の調製 アルミノシリケートガラス粉末(ハイボンドグラスアイ
オノマーCX(株)松風製)にCPSAガラス繊維微粉
末を所定量配合し、セメント粉末を得た。セメント硬化
液としてアクリル酸−ブテントリカルボン酸共重合物水
溶液(40重量%水溶液)(株)松風製グラスアイオノ
マー液)を用い、セメント粉末/液比=2:1で混練
し、これを3mmφ x 6mm(H)の型枠中にスパ
チュラで流し押し込み、成形体を37℃、湿度100%
の定温定湿条件で1時間静置した。脱型後、同じ定温定
湿条件で23時間静置し、養生した。
【0023】間接引張強度 アルミノシリケートガラスにCPSAガラス繊維微粉末
(アスペクト比:5.4、直径20±1.0μm)を重
量比で0/100、60/40および100/0配合し
たときの間接引張強度を測定した。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】実施例3 実施例1と同様にしてCPSAガラス繊維微粉末(アス
ペクト比:5.6、繊維直径:20μm)を製造した。
上記CPSAガラス繊維微粉末5gを(NH43PO4
の5重量%水溶液(pH4、リン酸でpH調整)500
mlに浸漬し、37℃で30分間静置し、次いで多量の
水で、pHがほぼ中性になるまで十分洗浄し、濾過、乾
燥(105℃、60分間)して、リン酸塩処理CPSA
ガラス繊維微粉末を得た。
【0026】硬化セメント試験片の調製 アルミノシリケートガラス粉末(ハイボンドグラスアイ
オノマーCX(株)松風製)にリン酸塩処理CPSAガ
ラス繊維微粉末を所定量配合してセメント粉末を得た。
セメント硬化液としてポリカルボン酸水溶液(アクリル
酸−ブテントリカルボン酸共重合物40重量%水溶液)
(株)松風製グラスアイオノマー液)を用い、セメント
粉末/液比=2:1で混練し、これを3mmφ x 6
mm(H)の型枠中にスパチュラで押し込み、成形体を
37℃、湿度100%の定温定湿条件で1時間静置し
た。脱型後、同じ定温定湿条件で23時間静置し、養生
した。
【0027】間接引張強度 CPSAガラス繊維微粉末(アスペクト比:5.6、直
径20±1.0μm)を重量比で0/100、60/4
0および100/0配合して得られたセメント粉末を用
いたときの間接引張強度を測定した。結果を表4に示
す。
【0028】
【表4】
【0029】実施例4 実施例1と同様にしてCPSAガラス繊維微粉末(アス
ペクト比:6.0、繊維直径:11±1μm)を製造し
た。上記CPSAガラス繊維微粉末5gをポリアクリル
酸2重量%水溶液100mlに浸漬し、23℃で15分
以内、60分および240分間攪拌し多量の水で十分に
洗浄、濾過および乾燥して、3種類のポリカルボン酸処
理CPSAガラス繊維微粉末を得た。
【0030】硬化セメント試験片の調製 アルミノシリケートガラス粉末(ハイボンドグラスアイ
オノマーCX(株)松風製)にポリカルボン酸処理CP
SAガラス繊維微粉末を重量比で40/60の割合で配
合してセメント粉末を得た。セメント硬化液としてポリ
カルボン酸水溶液(アクリル酸−ブテントリカルボン酸
40重量%水溶液)(株)松風製グラスアイオノマー
液)を用い、上記セメント粉末/液比=2:1で混練
し、これを3mmφ x 6mm(H)の型枠中にスパ
チュラで押し込み、成形体を37℃、湿度100%の定
温定湿条件で1時間静置した。脱型後、同じ定温定湿条
件で23時間静置し、養生した。
【0031】間接引張強度 ポリカルボン酸未処理CPSAガラス繊維微粉末および
処理微粉末(3種類)をアルミノシリケートグラス(グ
ラスアイオノマーCX)に重量比で60/40の割合で
配合して得られたセメント粉末を用いたときの間接引張
強度を測定した。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】実施例5 実施例1と同様にして、直径20μm、アスペクト比
(3、4、5および6.5)を有するCPSAガラス繊
維微粉末を得た。この微粉末をアルミノシリケートグラ
スに対して60/40(重量比)で配合して得られるセ
メント粉末をポリカルボン酸40重量%水溶液(グラス
アイオノマー液)を2:1(重量比)で用い、実施例1
と同様にして試験片を得、間接引張強度を測定した。結
果を表6に示す。なおCPSAガラス繊維微粉末を使用
しないときの平均間接引張強度は9.3MPaであっ
た。
【0034】
【表6】
【0035】実施例6 実施例1と同様にして、直径9.7μm、アスペクト比
5.0および直径15.3μm,アスペクト比4.8を
有する2種類のCPSAガラス繊維微粉末を得た。この
微粉末をアルミノシリケートグラスに対してそれぞれ6
0/40(重量比)で配合して得られるセメント粉末
(A)および(B)をポリカルボン酸40重量%水溶液
(グラスアイオノマー液)にそれぞれ2:1(重量比)
の割合で配合し、実施例1と同様にして試験片を得、間
接引張強度を測定した。結果を表7に示す。なおCPS
Aガラス繊維微粉末を使用しないときの平均間接引張強
度をそれぞれ示す。
【0036】
【表7】
【0037】実施例7 ジンクカルボキシレートセメントへのCPSAガラス繊
維微粉末の添加効果を以下の如くして評価した。実施例
1と同様にしてアスペクト比6.0、直径11±1μm
のCPSAガラス繊維微粉末を得た。ZnOを1000
℃で焼成し、ボールミルを用いて粉砕し、平均粒径10
μmの粉末を得た。この粉末をポリアクリル酸(重合度
約5,000)50重量%水溶液と2:1(重量比)に
混練し、実施例1と同様にして試験片を得、間接引張強
度を測定した。約4.5MPaであった。一方、上記Z
nO粉末40重量部にCPSAガラス繊維微粉末60重
量部を混合し、同様にして間接引張強度を測定した。約
5.0MPaであった。
【0038】実施例8および比較例 表8に示す処方のCPSAガラス繊維を実施例1と同様
にして粉砕し、アスペクト比4.8、繊維直径11±
1.0μmのCPSAガラス繊維微粉末を得た。別に、
表8に示す組成の市販Eガラス繊維(直径12±2.0
μm)を実施例1と同様の方法で粉砕し、電磁篩震盪器
を用いてアスペクト比5.0のEガラス繊維微粉末を得
た。
【0039】
【表8】
【0040】硬化セメント試験片の調製 アルミノシリケートガラス粉末(ハイボンドグラスアイ
オノマーCX(株)松風製)に、CPSAガラス繊維微
粉末を重量比で60/40の割合で配合して得られたセ
メント粉末を用いて実施例1と同様にして試験片を得、
間接引張強度を測定した(実施例8)。アルミノシリケ
ートガラス粉末(ハイボンドグラスアイオノマーCX
(株)松風製)と、上で調製したEガラス繊維微粉末と
を0/100および60/40の割合で配合して得られ
たセメント粉末を用い実施例1と同様にして試験片を
得、間接引張強度を測定した(比較例)。それぞれの結
果を表9に示す。
【0041】
【表9】
【0042】曲げ強度(MPa) アルミノシリケート粉末にCPSAガラス繊維微粉末
(アスペクト比:6.0、直径:11±1.0μm)を
重量比で0/100、50/50およびEガラス繊維微
粉末(アスペクト比:5.0、直径12±2.0μm)
を50/50配合したセメント粉末を使用したときの曲
げ強度を測定した。実施例9および比較例の結果を表1
0に示す。
【0043】
【表10】 曲げ強度は以下のごとくして測定した。セメント粉末/
液比=2:1で練和し、これを2mm X 2mm X
25mmの型枠中にスパチュラで流し押し込み、型ごと
37℃、湿度100%の定温定湿条件の槽中に1時間静
置した。脱型後、同じ定温定湿条件で23時間静置し、
養生した。島津オートグラフAG−5000B型を使用
し、上記試験片を1.0mm/分で押し付けながら、曲
げ強度を測定した。
【0044】
【発明の効果】本発明によると接着強度、機械的強度、
耐水性、生体親和性に優れた歯科用セメントを得ること
ができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CPSAガラス繊維を含む歯科用セメン
  2. 【請求項2】 セメントの酸成分がポリアルケン酸であ
    る請求項1記載の歯科用セメント。
  3. 【請求項3】 セメントがグラスアイオノマー系セメン
    トである請求項1または2記載の歯科用セメント。
  4. 【請求項4】 セメントがジンクポリカルボキシレート
    系セメントである請求項1または2記載の歯科用セメン
    ト。
  5. 【請求項5】 セメントがリン酸亜鉛系セメントである
    請求項1記載の歯科用セメント。
  6. 【請求項6】 セメントがリン酸カルシウム系セメント
    である請求項1または2記載の歯科用セメント。
  7. 【請求項7】 CPSAガラス繊維がCaO−P25
    SiO2−Al23系ガラス繊維である請求項請求項1
    から6いずれかに記載の歯科用セメント。
  8. 【請求項8】 CPSAガラス繊維のCaO・P25
    20〜65モル%、SiO2が20〜70モル%および
    Al23が7〜30モル%である請求項7記載の歯科用
    セメント。
  9. 【請求項9】 CPSAガラス繊維の平均直径が5〜3
    0μmである請求項1から8いずれかに記載の歯科用セ
    メント。
  10. 【請求項10】 CPSAガラス繊維のアスペクト比が
    1.5〜20である請求項1から9いずれかに記載の歯
    科用セメント。
  11. 【請求項11】 CPSAガラス繊維が予め酸処理され
    ている請求項1から10いずれかに記載の歯科用セメン
    ト。
  12. 【請求項12】 酸処理をリン酸塩水溶液で行う請求項
    11記載の歯科用セメント。
  13. 【請求項13】 酸処理をポリアルケン酸で行う請求項
    11記載の歯科用セメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001354509A (ja) * 2000-06-13 2001-12-25 Gc Corp グラスアイオノマーセメント用ガラス粉末
WO2005120438A1 (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Fiber Glass Japan Kabushiki Kaisha 歯科用修復材料及びそれを用いた義歯

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